(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
E04H 17/16 20060101AFI20240109BHJP
E04H 17/26 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E04H17/16 105A
E04H17/16 105Z
E04H17/26
(21)【出願番号】P 2023085472
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-07-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年3月1日に、株式会社興和工業所、株式会社オオタ、及びソイル工業株式会社が共同で、岐阜県郡上市南町白山地内 東海北陸自動車道 野首橋下部現場にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591006520
【氏名又は名称】株式会社興和工業所
(73)【特許権者】
【識別番号】516205384
【氏名又は名称】株式会社オオタ
(73)【特許権者】
【識別番号】391006304
【氏名又は名称】ソイル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】澤田 靖
(72)【発明者】
【氏名】中口 勲
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛史
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-184107(JP,A)
【文献】特開2021-139262(JP,A)
【文献】実開昭62-110319(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/16
E04H 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に固定される取付部材と、
隣接する2つの前記取付部材の間に設けられ、前記取付部材に着脱可能に取り付けられるフェンス部材
であって、上下方向に別れて配置された少なくとも2つ以上の前記フェンス部材と、
を備え、
前記フェンス部材は、前記フェンス部材の周囲のうち前記取付部材と対向する部分から水平方向の外側へ突出した突出部を有し、
前記取付部材は、前記突出部を挿抜可能に受けて前記突出部が挿入された状態で前記取付部材に対する前記突出部の下方への移動及び前記取付部材から離れる方向への移動を規制する受け部を有
し、
上下に隣接して配置された2つの前記フェンス部材の前記突出部を嵌め込んで前記突出部の移動を規制した状態で前記取付部材に固定可能な固定部材を更に備える、
フェンス。
【請求項2】
前記取付部材は、前記フェンス部材の面方向と同一方向の面を形成する正面部と、前記正面部に対して直角方向の面を形成する側面部と、を有し、
前記受け部は、前記側面部に設けられ上下方向に延びる第1溝と、前記側面部に設けられ前記正面部側が開放されて水平方向に延び前記第1溝に繋がる第2溝と、を有して構成されている、
請求項1に記載のフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば高速道路の道路脇や鉄道の線路脇、若しくは商業施設、公共施設、工場、若しくは農場などの敷地の境界部には、人や動物などの侵入防止を目的としたフェンスが設けられることがある。しかしながら、例えば道路外や線路外の草刈りを行う場合など、フェンスを越えて人や機材などを行き来させることが必要な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来構成のフェンスは簡単に取り外すことができない。このため、人や機材などがフェンスを越えての行き来しようとする場合、従来構成ではフェンス自体を取り外すなどの必要があり、作業性や経済性が悪かった。
【0005】
本願発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単に着脱することができるフェンスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のフェンスは、設置面に固定される取付部材と、隣接する2つの前記取付部材の間に設けられ、前記取付部材に着脱可能に取り付けられるフェンス部材と、を備える。前記フェンス部材は、前記フェンス部材の周囲のうち前記取付部材と対向する部分から水平方向の外側へ突出した突出部を有している。前記取付部材は、前記突出部を挿抜可能に受けて前記突出部が挿入された状態で前記取付部材に対する前記突出部の下方への移動及び前記取付部材から離れる方向への移動を規制する受け部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態によるフェンスの設置例を示す図
【
図2】第1実施形態によるフェンスの一例を示す正面図
【
図3】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図2のX3部分を拡大して示す図
【
図4】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図3のX4-X4線に沿って示す断面図
【
図5】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図3のX5-X5線に沿って示す断面図
【
図6】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図2のX6部分を拡大して示す図
【
図7】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図6のX7-X7線に沿って示す断面図であって、固定部材を用いてフェンス部材を固定する際の一例を示す図(その1)
【
図8】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図6のX7-X7線に沿って示す断面図であって、固定部材を用いてフェンス部材を固定する際の一例を示す図(その2)
【
図9】第1実施形態によるフェンスの一例について、
図6のX7-X7線に沿って示す断面図であって、固定部材を用いてフェンス部材を固定する際の一例を示す図(その3)
【
図10】第1実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付ける際の手順の一例を示す図(その1)
【
図11】第1実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付ける際の手順の一例を示す図(その2)
【
図12】一実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付ける際の手順の一例を示す図(その3)
【
図13】第1実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付ける際の手順の一例を示す図(その4)
【
図14】第1実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付ける際の手順の一例を示す図(その5)
【
図15】第2実施形態によるフェンスの一例を示す正面図
【
図16】第2実施形態によるフェンスの一例を示す
図9相当図
【
図17】第2実施形態によるフェンスの一例について、取付部材にフェンス部材を取り付けた状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0009】
第1実施形態について
図1から
図14を参照して説明する。
図1及び
図2に示すフェンス10は、例えば高速道路の道路脇や鉄道の線路脇、若しくは商業施設、公共施設、又は工場などの敷地の境界部に設けられるフェンスであり、例えば人などの侵入防止を目的とするものである。フェンス10は、フェンスなどが無い場所に新規に設置することもできるが、
図1に示すように、既に設置されていた既設のフェンス90の支柱91を利用して設置することも可能である。
【0010】
すなわち、本実施形態のフェンス10は、既設のフェンス90と取り換え可能に構成されている。なお、以下の説明では、既に設置されていた既設のフェンス90を既設フェンス90と称し、その支柱91を既設支柱91と称することがある。例えば複数の既設フェンス90が連なって設置されている構成において、作業者は、複数の既設フェンス90のうちの一部をフェンス10に取り替えることができる。そして、取り替えられたフェンス10は、連なって配置された複数の既設フェンス90に対して、人や機材などがフェンス90を越えて行き来するための開口部として機能する。
【0011】
フェンス10は、フェンス部材20、取付部材30、及び
図6、
図7に示す固定部材40を備えている。なお、以下の説明において、フェンス10が設置された際の姿勢を基準とする。すなわち、フェンス10の上下方向は、フェンス10が設置された際の重力方向とする。また、取付部材30に対してフェンス部材20側を前側として、取付部材30に対してフェンス部材20とは反対側を後側とする。そして、上下方向と前後方向とに直行する方向を水平方向とする。
【0012】
フェンス部材20は、フェンス10の主要な構成であって、境界を隔てる壁を構成する部材である。フェンス部材20は、全体として矩形の板状に構成されている。本実施形態の場合、フェンス部材20は、水平方向に長い長方の板状に構成されている。フェンス10は、上下方向に別れて配置された少なくとも2つ以上のフェンス部材20を備えることができる。なお、フェンス10は、フェンス部材20を1つ備える構成であっても良い。
【0013】
本実施形態の場合、フェンス10は、2つのフェンス部材20を備えている。2つのフェンス部材20は、上下方向に並べて配置されて、それぞれ取付部材30に取り付けられている。この場合、2つのフェンス部材20は、相互に隙間Sを有して配置されている。この隙間Sは、隙間Sを通って人が抜けられない程度に狭く設定されている。フェンス部材20は、隣接する2つの取付部材30の間に設けられており、取付部材30に着脱可能に取り付けられる。
【0014】
フェンス部材20は、例えば金属製であって、枠部21と、メッシュ部22、及び突出部23を有して構成することができる。枠部21は、矩形の枠状に構成されており、フェンス部材20の外形つまり外枠を形成する。メッシュ部22は、フェンス部材20が主に人などの侵入を防止する機能を発揮するための部材である。メッシュ部22は、例えば金属ワイヤを格子状に配置して構成されており、枠部21の内側に取り付けられている。メッシュ部22は、フェンス部材20の面を構成する。また、メッシュ部22は、格子状に構成されることにより部分的に透過性を有しており、フェンス部材20の向こう側の景色を部分的に透過する。
【0015】
なお、
図2では、メッシュ部22のうち一部のみを格子状で示しているが、フェンス部材20は、枠部21の内側の領域全体にメッシュ部22が設けられている。メッシュ部22は、金属ワイヤを格子状に配置したものに限られず、例えば金属板に多数の穴が空けられたいわゆるパンチングメタルであっても良い。また、フェンス部材20は、メッシュ部22に代えて、向こう側の景色を透過しない板材などを有していても良い。
【0016】
突出部23は、フェンス部材20の周囲のうち取付部材30と対向する部分から水平方向の外側へ突出して設けられている。突出部23は、
図4に示すように、例えば円柱状の部材に半球形状の頭部を設けた形状であり、溶接などにより枠部21に強固に固定されている。本実施形態の場合、1つのフェンス10は、左右両側にそれぞれ2つずつ、合計で4つの突出部23を有している。
【0017】
取付部材30は、設置面に直接的又は間接的に固定される部材である。既設フェンス90と本実施形態のフェンス10とを取り換える場合、取付部材30は、既設支柱91に取り付けられて、既設支柱91を介して地面に固定される。すなわち、取付部材30は、既設フェンス90においてフェンス部分を取り除いた後の既設支柱91に取り付け可能に構成されている。この場合、フェンス部分とは、既設フェンス90がフェンスとしての機能を発揮するための主要部分であり、フェンス10のフェンス部材20に相当する構成である。
【0018】
取付部材30は、既設支柱91の延伸方向つまり上下方向に沿って長い長尺の部材で構成されている。取付部材30は、
図4に示すように、例えばU字ボルト11及びナット12を用いて既設支柱91に固定される。U字ボルト11は、取付部材30との間に既設支柱91を挟み込んで配置されている。そして、U字ボルト11の両端側は、取付部材30に通されてナット12が取り付けられている。これにより、取付部材30は、U字ボルト11との間に既設支柱91を挟み込んで既設支柱91に固定されている。この場合、U字ボルト11及びナット12は、取付部材30を既設支柱91に接続固定する接続部材として機能する。
【0019】
取付部材30は、フェンス部材20の両端側に設けられる。すなわち、本実施形態のフェンス10は、2つの取付部材30を備える。取付部材30は、例えば金属製であって上下方向に長い長尺の板材の両側を折り曲げた形状に形成されている。取付部材30は、例えばC形又はU形鋼で構成することができる。この場合、取付部材30は、正面部31と、側面部32と、を有している。正面部31は、取付部材30のうちフェンス部材20の面方向と同一方向の面を形成する部分である。側面部32は、正面部31の両側に設けられた部分であり、正面部31に対して直角方向の面を形成する部分である。
【0020】
取付部材30は、
図2に示すように、複数の受け部33を有している。受け部33は、取付部材30と対向する突出部23に対応して設けられている。本実施形態の場合、2つの取付部材30は、それぞれ受け部33を2つずつ有している。受け部33は、フェンス部材20の突出部23を挿抜可能に受け付ける。そして、受け部33は、
図5及び
図7に示すように、突出部23が挿入された状態で、取付部材30に対する突出部23の下方への移動、及び取付部材30から離れる方向への移動つまり前後方向への移動を規制する機能を有する。
【0021】
本実施形態の場合、受け部33は、
図5及び
図6に示すように、第1溝331、第2溝332、及び第3溝333を有して構成されている。第1溝331及び第2溝332は、取付部材30においてフェンス部材20と対向する側の側面部32を厚み方向に貫いて形成されている。第1溝331は、
図5及び
図7に示すように、上下方向に延びている。この場合、第1溝331は、下方へ行くにつれて細くなるように形成されている。第1溝331は、突出部23が第1溝331に嵌まり込んでいる状態において、突出部23の下方への移動及び前後方向への移動を規制する。
【0022】
第2溝332は、正面部31側が開放されており、水平方向に延びて第1溝331に繋がっている。すなわち、第1溝331と第2溝332とは90度近い角度を有して相互に接続されている。第2溝332の全域及び第1溝331のうち少なくとも第2溝332に繋がる部分は、突出部23が通過可能な形状に形成されている。
【0023】
第3溝333は、正面部31に設けられており、フェンス部材20側が開放された切り欠き形状若しくは溝形状に形成されている。第3溝333は、突出部23が通過可能な形状に形成されている。第3溝333は、第2溝332に繋がっている。第3溝333は、正面部31を厚み方向に貫いて形成されている。この場合、第1溝331と第2溝332と第3溝333とは、正面部31及びフェンス部材20側の側面部32を貫いて形成された周囲が閉じた穴を構成している。
【0024】
固定部材40は、
図7及び
図8に示すように、上下に隣接して配置された2つのフェンス部材20、20の突出部23、23を嵌め込んで突出部23、23の移動を規制した状態で取付部材30に固定可能に構成されている。本実施形態の場合、固定部材40は、例えば鋼製であって、全体として長尺でL字の板状の部材で構成されている。固定部材40は、
図6に示すように、フェンス部材20と取付部材30との間に配置される。
【0025】
固定部材40は、第1嵌合部41及び第2嵌合部42を有している。第1嵌合部41は、固定部材40の長尺状の端部側に設けられており、端部側が開放された切り欠き又は溝形状に形成されている。第2嵌合部42は、固定部材40の長尺状において第1嵌合部41とは反対側の端部側に設けられている。第2嵌合部42は、第1嵌合部41側を支点に固定部材40を回転させた場合の周方向に向かって開放した切り欠き又は溝形状に形成されている。この場合、第1嵌合部41が開放している方向と、第2嵌合部42が開放している方向とは直交している。
【0026】
また、取付部材30及び固定部材40は、それぞれ錠取付部34、43を有している。取付部材30の錠取付部34は、例えば穴341を有する鋼板で構成されており、例えば取付部材30の正面部31に溶接などによって強固に固定されている。固定部材40の錠取付部43は、例えば固定部材40の一部として構成することができ、穴431を有している。
【0027】
固定部材40は、上下に隣接して配置された2つのフェンス部材20、20のうちの一方のフェンス部材20の突出部23に第1嵌合部41が嵌め込まれ、他方のフェンス部材20の突出部23に第2嵌合部42が嵌め込まれるとともに、それぞれの錠取付部34、43の穴341、431が重なった状態で、例えば
図1に示す南京錠80が通される。これにより、上下に隣接して配置された2つのフェンス部材20、20は、固定部材40によって相互に連結されるとともに、固定部材40を介して取付部材30に固定される。
【0028】
この構成において、作業者は、次のようにしてフェンス部材20、20を着脱することができる。フェンス部材20、20を取り付ける際、作業者は、まず
図10及び
図11に示すように、フェンス部材20の各突出部23を、取付部材30の対応する第3溝333から第2溝332に通し、その後、
図12に示すように、突出部23を第1溝331に嵌め込む。
【0029】
次に、作業者は、
図13及び
図14に示すように、上下方向に隣接するフェンス部材20、20の突出部23、23のうち取付部材30の錠取付部34から遠い方の突出部23に、固定部材40の第1嵌合部41を嵌め込む。その後、作業者は、第1嵌合部41を支点に固定部材40を回転させ、第2嵌合部42を錠取付部34に近い方の突出部23に嵌め込む。そして、作業者は、
図1に示すように錠取付部34、43に南京錠80を取り付け、これにより取付部材30に対するフェンス部材20、20の取り付けが完了する。
【0030】
また、作業者は、上述した取り付けの手順とは逆の手順により、取付部材30からフェンス部材20、20を取り外すことができる。そして、上下2つのフェンス部材20、20が取り外されると、支柱91、91の間には開口部が形成される。そして、人や機材は、支柱91、91の間の開口部を通ることで、既設フェンス90を越えて行き来することができる。
【0031】
以上説明した実施形態によれば、フェンス10は、フェンス部材20と、取付部材30と、を備える。取付部材30は、フェンス10の設置面に固定される。フェンス部材20は、隣接する2つの取付部材30の間に設けられ、取付部材30に着脱可能に取り付けられる。フェンス部材20は、突出部23を有している。突出部23は、フェンス部材20の周囲のうち取付部材30と対向する部分から水平方向の外側へ突出している。そして、取付部材30は、受け部33を有している。受け部33は、突出部23を挿抜可能に受けて突出部23が挿入された状態で取付部材30に対する突出部23の下方への移動及び取付部材30から離れる方向への移動を規制する。
【0032】
これによれば、フェンス部材20は、突出部23を取付部材30の受け部33に差し込むことで取付部材30に取り付けられ、また、突出部23を受け部33から抜くことで取付部材30から取り外される。したがって、本実施形態によれば、フェンス10を破壊することなくフェンス部材20を取り外すことができ、また、特別な工事を行うことなくフェンス部材20を取り付けることができる。その結果、フェンス部材20を簡単に着脱することができる。
【0033】
取付部材30は、既設フェンス90においてフェンス部分を取り除いた後の既設の支柱91に取り付け可能に構成されている。これによれば、既設のフェンス90全体を取り換えることなく、既設のフェンス90の一部を本実施形態のフェンス10に取り換えることができる。
【0034】
ここで、例えば鉄道敷地内や高速道路の敷地内においては、地中内に埋設されている構造物の破損事故を防ぐため、地中の掘削や差し込み等、地中への影響を及ぼす作業に対する許可が認められないという事情がある。また、地面等に支柱91を固定する場合、コンクリートを用いることが一般的であるが、コンクリートを硬化させるためには数日間以上の養生が必要となることが多い。そのため、既設フェンス90の支柱91ごと本実施形態のフェンス10に取り換えようとすると、コンクリートの養生期間を含めた工事期間が必要となる。
【0035】
これに対し、本実施形態によれば、フェンス10の設置に既設フェンス90の既設支柱91を再利用するため、フェンス10を設置するために新たに既設支柱91を取り換えるための、地中への掘削作業や差し込み作業を行う必要がない。また、本実施形態によれば、フェンス10の設置に既設フェンス90の既設支柱91を再利用するため、コンクリートの養生期間が必要なく、したがって、短期間で既設フェンス90をフェンス10に取り換えることができる。
【0036】
取付部材30は、正面部31と、側面部32と、を有している。正面部31は、フェンス部材20の面方向と同一方向の面を形成する。側面部32は、正面部31に対して直角方向の面を形成する。そして、受け部33は、第1溝331と第2溝332を有して構成されている。第1溝331は、側面部32に設けられて上下方向に延びている。第2溝332は、側面部32に設けられ、正面部31側が開放されて水平方向に延び前記第1溝に繋がっている。
【0037】
これによれば、取付部材30に溝331、332を設けることで、突出部23を受けるための受け部33を構成することができる。そのため、取付部材30の構成を簡単にできる。
【0038】
また、フェンス10は、上下方向に別れて配置された少なくとも2つ以上のフェンス部材20を備えている。これによれば、1つのフェンス10に用いるフェンス部材20を1つで構成した場合に比べて、各フェンス部材20の重量を約半分に軽量化することができる。そのため、フェンス部材20を扱い易くすることができ、その結果、フェンス部材20の着脱の際の作業性を向上させることができる。
【0039】
また、フェンス部材20は、固定部材40を更に備える。固定部材40は、上下に隣接して配置された2つのフェンス部材20、20の突出部23、23を嵌め込んで突出部23、23の移動を規制した状態で取付部材30に固定可能に構成されている。これによれば、各フェンス部材20のそれぞれを取付部材30に固定する構成に比べて、取付部材30に対してフェンス部材20、20を固定及び取り外す際の作業性を向上させることができる。
【0040】
次に、第2実施形態について、
図15から
図17を参照しながら説明する。まず、本実施形態のフェンス部材20は、
図15及び
図17に示すように、開口部24を更に有している。開口部24は、固定部材40が取り付けられる突出部23の近傍に設けられている。開口部24は、例えばメッシュ部22の一部を除いて形成された開口であり、作業者等の手や腕を通すことができる程度の大きさに設定されている。作業者は、例えば
図2の紙面奥側から開口部24に手や腕を通して、紙面手前側の突出部23や固定部材40に対する作業を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態の固定部材40は、
図16及び
図17に示すように、第1嵌合部41に代えて第1嵌合部44を有している。第1嵌合部44は、閉じた穴で構成されており、例えば長穴やいわゆるだるま穴、若しくは長穴の中央部に長穴の幅よりも径が大きい穴を設けた形状に形成されている。
【0042】
この構成において、
図17に示すように、作業者は、下側のフェンス部材20の突出部23に固定部材40の第1嵌合部44を挿入した状態で、突出部23を受け部33に挿入して下側のフェンス部材20を取付部材30に取り付ける。
図17に示すように、下側のフェンス部材20が取付部材30に取り付けられた状態で、かつ、南京錠80が外された状態でも、固定部材40が下側のフェンス部材20から脱落することを防止できる。
【0043】
この第2実施形態によっても、上記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、本実施形態によれば、例えば作業者が南京錠80を外した際に、固定部材40が下側のフェンス部材20から不意に脱落することを防止できるため、作業性が向上する。
【0044】
なお、上記各実施形態において、フェンス10は、フェンス部材20を1つのみ備える構成で合っても良いし、3つ以上備える構成であっても良い。また、受け部33は、第1溝331及び第2溝332と同様の機能を発揮できる構成であれば、例えば取付部材30に別の部品を溶接等により固定した構成であっても良い。
【0045】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0046】
10…フェンス、20…フェンス部材、23…突出部、30…取付部材、31…正面部、32…側面部、33…受け部、331…第1溝、332…第2溝、40…固定部材、90…既設フェンス、91…既設支柱
【要約】
【課題】簡単に着脱することができるフェンスを提供する。
【解決手段】フェンスは、設置面に固定される取付部材と、隣接する2つの取付部材の間に設けられ、取付部材に着脱可能に取り付けられるフェンス部材と、を備える。フェンス部材は、フェンス部材の周囲のうち取付部材と対向する部分から水平方向の外側へ突出した突出部を有している。取付部材は、突出部を挿抜可能に受けて突出部が挿入された状態で取付部材に対する突出部の下方への移動及び取付部材から離れる方向への移動を規制する受け部を有している。
【選択図】
図2