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特許7414245ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに関連付けられた権利を行使するためのコンピュータ実装方法、コンピュータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに関連付けられた権利を行使するためのコンピュータ実装方法、コンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240109BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023519456
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2022039950
(87)【国際公開番号】W WO2023074744
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021175267
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518003096
【氏名又は名称】Bacoor dApps株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】320003367
【氏名又は名称】株式会社AI商事
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】春名 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】竹内 仁
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/111653(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/106991(WO,A1)
【文献】特開2020-068388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0390161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンのノンファンジブルトークンの識別子に対応付けられた権利行使操作用表示データを有するコンピュータシステムによって実行される、前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利をユーザに行使させるためのコンピュータ実装方法であって、
前記ブロックチェーンにおいて前記ユーザに関連付けられた前記ノンファンジブルトークンの識別子を、前記ブロックチェーンを参照することで取得し、
前記識別子に対応付けられた権利行使操作用表示データを、前記ユーザの端末における画面表示のため、前記ユーザの前記端末に提供し、
前記権利行使操作用表示の操作が実行されると、前記権利の行使に関する処理を実行する
ことを備える、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記ユーザは、前記ブロックチェーンにおいて前記ノンファンジブルトークンの所有者として記録されている者であ
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記ユーザは、イーサリアムにおいてレンタルノンファンジブルトークンを規定するEIP4907規格の「user」として前記ブロックチェーンに記録されている者である、
請求項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記権利行使操作用表示の操作者を検証することを更に備え、
前記検証することは、前記権利行使操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを所定の送信先へ送信させ、前記送信先へ送信された前記ノンファンジブルトークンの送信元データと、前記権利行使操作用表示の操作者を示すデータと、を対比することを含む
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記権利行使操作用表示の操作者を検証することを更に備え、
前記検証することは、前記ブロックチェーンに記録された前記ノンファンジブルトークンの前記ユーザを示すデータと、前記権利行使操作用表示の操作者を示すデータと、を対比することを含む
請求項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記権利行使操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを、前記ユーザから所定の送信先へ送信させることを更に備える
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記権利行使操作用表示が操作されたノンファンジブルトークンと前記送信先へ送信されたノンファンジブルトークンとが同じものであるかどうかを検証することを更に備える
請求項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記権利行使操作用表示の操作回数には前記コンピュータシステムによって制限が設定されている
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記操作回数は、1回である
請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
ブロックチェーンのノンファンジブルトークンの識別子に対応付けられた権利行使操作用表示データを有し、前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利をユーザに行使させるためのコンピュータシステムであって
前記ブロックチェーンにおいて前記ユーザに関連付けられた前記ノンファンジブルトークンの識別子を、前記ブロックチェーンを参照することで取得し、
前記識別子に対応付けられた権利行使操作用表示データを、前記ユーザの端末における画面表示のため、前記ユーザの前記端末に提供し、
前記権利行使操作用表示の操作が実行されると、前記権利の行使に関する処理を実行する
コンピュータシステム。
【請求項11】
前記権利行使操作用表示の操作者を検証する検証部を更に備え、
前記検証部は、前記権利行使操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを所定の送信先へ送信させ、前記送信先へ送信された前記ノンファンジブルトークンの送信元データと、前記権利行使操作用表示の操作者を示すデータと、を対比する
請求項10に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
前記権利行使操作用表示の操作者を検証する検証部を更に備え、
前記検証部は、前記ブロックチェーンに記録された前記ノンファンジブルトークンの前記ユーザを示すデータと、前記権利行使操作用表示の操作者を示すデータと、を対比することを含む
請求項10に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
前記権利行使操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを、前記ユーザから所定の送信先へ送信させるよう構成されている
請求項10に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記権利行使操作用表示が操作されたノンファンジブルトークンと前記送信先へ送信されたノンファンジブルトークンとが同じものであるかどうかを検証するよう構成されている
請求項13に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ実装方法、コンピュータシステム、ノンファンジブルトークンの製造方法及びノンファンジブルトークンに関する。本出願は、2021年10月27日出願の日本出願第2021-175267号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)は、ブロックチェーンに記録されるトークンの一種である。NFTは、例えば、Ethereum Request for Comments(ERC)721規格に従って発行される。特許文献1は、Ethereum(イーサリアム)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-160316号公報
【発明の概要】
【0004】
NFTは、一般に、デジタルアートなどのコンテンツデータの所有権を証明するために利用される。本発明者らは、NFTの所有者が行使可能である何らかの権利を、NFTに関連付けるという着想を得た。NFTに権利が関連付けられていることで、NFTの所有者であることの証明は、権利の所有者であることの証明にもなる。
【0005】
しかし、NFTに関連付けられた権利の行使のための手続が煩雑であると、そのようなNFTが利用されないおそれがある。したがって、権利が関連付けられたNFTの普及を図るには、NFTに関連付けられた権利の行使を容易にすることが望まれる。
【0006】
本開示のある側面は、コンピュータ実装方法である。開示の方法は、コンピュータシステムによって実行される、ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに関連付けられた権利を行使するためのコンピュータ実装方法であって、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示のため、前記端末に提供し、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行することを備える。
【0007】
本開示の他の側面は、コンピュータシステムである。開示のシステムは、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示のため、前記端末に提供する表示提供部と、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行する権利処理部と、を備える。
【0008】
本開示の他の側面は、ノンファンジブルトークンの製造方法である。開示の製造方法は、操作用表示を画面表示させるためのデータを有するノンファンジブルトークンを生成することを備え、前記操作用表示は、コンピュータシステムによって、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末に画面表示されるように構成され、前記コンピュータシステムは、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行するよう構成されている。
【0009】
本開示の他の側面は、ノンファンジブルトークンである。開示のノンファンジブルトークンは、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を画面表示させるためのデータを備え、前記データは、コンピュータシステムによって、前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示のため前記端末に提供し、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行する、ために用いられる。
【0010】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、コンピュータシステム等の概要図である。
図2図2は、NFT用データの保存の仕方を示す図である。
図3図3は、NFT用データの表示の仕方を示す図である。
図4図4は、権利に関する処理等の手順を示すフローチャートである。
図5図5は、権利行使の手順を示す説明図である。
図6図6は、検証の手順を示すフローチャートである。
図7図7は、商品の入手シナリオの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<1.ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに付属した権利を行使するためのコンピュータ実装方法、コンピュータシステム及びノンファンジブルトークンの概要>
【0013】
(1)実施形態に係る方法は、コンピュータシステムによって実行される、ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに関連付けられた権利を行使するためのコンピュータ実装方法であって、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示(indication)を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示(display)のため、前記端末に提供し、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行することを備える。この場合、ノンファンジブルトークンの所有者の端末には、権利行使のための操作用表示が画面表示されるため、ノンファンジブルトークンの所有者は、操作用表示を操作することで、権利に関する処理をコンピュータシステムに実行させることができる。
【0014】
なお、ノンファンジブルトークンの所有者は、実質的に、所有者とみなし得る者であってもよい。すなわち、所有者は、ブロックチェーンにおいて所有者として記録されている者のほか、ブロックチェーンにおいて当該ノンファンジブルトークンに関連付けられたユーザであってもよい。当該ユーザは、当該ノンファンジブルトークンの所有者が有する役割のうちの少なくとも一部の役割を果たすことができるものとしてブロックチェーンに記録され得る。このため、当該ユーザは、場合によっては、実質的な所有者とみなし得る。実質的な所有者とみなし得る当該ユーザは、例えば、レンタル可能なノンファンジブルトークンにおける借主である。借主は、所有者と同様にノンファンジブルトークンを使用できるため、所有者として、みなし得る。レンタル可能なノンファンジブルトークンは、例えば、イーサリアムのEIP4907規格に規定されたレンタルNFTである。EIP4907の「user」は、所有者としてみなし得る。
【0015】
(2)前記権利は、アイテムを入手する権利を含むのが好ましい。この場合、ノンファンジブルトークンの所有者は、操作用表示を操作することで、アイテムを入手することができる。アイテムは、物理的なアイテムであってもよいし、デジタルアイテムであってもよい。また、アイテムは、ノンファンジブルトークンに対応して予め設定されている、又は、ノンファンジブルトークンに基づいて決定されるのが好ましい。
【0016】
(3)前記権利は、サービスの提供を受ける権利を含むのが好ましい。この場合、ノンファンジブルトークンの所有者は、操作用表示を操作することで、サービスの提供を受けることができる。サービスは、現実世界で提供されるサービスであってもよいし、オンラインサービスであってもよい。サービスは、ノンファンジブルトークンに対応して予め設定されている、又は、ノンファンジブルトークンに基づいて決定されるのが好ましい。
【0017】
(4)前記ノンファンジブルトークンは、前記操作用表示を備えるのが好ましい。この場合、ノンファンジブルトークンを画面表示すると、操作用表示も画面表示させることができ好適である。なお、操作用表示は、ノンファンジブルトークンの所有者だけが操作権限を有するのが好ましい。
【0018】
(5)前記操作用表示は、前記権利の行使のために選択されるボタンであるのが好ましい。
【0019】
(6)実施形態に係る方法は、前記操作用表示の操作が、前記ノンファンジブルトークンの前記所有者によって行われたかどうかを検証することを更に備えるのが好ましい。検証は、前記操作用表示の操作者が、前記ノンファンジブルトークンの前記所有者であるかどうかの検証であり得る。
【0020】
(7)前記(6)において、前記検証することは、前記操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを所定の送信先へ送信させることを含むのが好ましい。
【0021】
(8)前記検証することは、前記送信先へ送信された前記ノンファンジブルトークンの送信元データと、前記操作用表示の操作者を示すデータと、を対比することを含むのが好ましい。
【0022】
(9)前記(6)において、前記検証することは、前記ブロックチェーンに記録された前記ノンファンジブルトークンの前記所有者を示すデータと、前記操作用表示の操作者を示すデータと、を対比することを更に含むのが好ましい。
【0023】
(10)前記(1)において、実施形態に係る方法は、前記操作用表示の操作が実行された後に、前記ノンファンジブルトークンを、前記所有者から所定の送信先へ送信させることを更に備えるのが好ましい。ノンファンジブルトークンを送信させることで、ノンファンジブルトークンの所有者を、非所有者にでき、その後の旧所有者によるノンファンジブルトークンの利用を制限できる。なお、操作用表示の操作回数には制限が設定されているのが好ましく、制限された操作回数は1回であるのがより好ましい。
【0024】
(11)前記(10)において、前記操作用表示が操作されたノンファンジブルトークンと前記送信先へ送信されたノンファンジブルトークンとが同じものであるかどうかを検証することを更に備えるのが好ましい。
【0025】
(12)前記操作用表示は、前記ノンファンジブルトークンの前記の端末には画面表示されないのが好ましい。この場合、所有者以外の者による権利行使を防止できる。
【0026】
(13)前記操作用表示は、前記ノンファンジブルトークンの前記所有者以外の端末には、前記操作用表示に対する操作不可の状態で画面表示されるのが好ましい。この場合、所有者以外の者による権利行使を防止できる。
【0027】
(14)実施形態に係るコンピュータシステムは、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示のため、前記端末に提供する表示提供部と、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行する権利処理部と、を備え得る。
【0028】
(15)実施形態に係るコンピュータシステムは、前記操作用表示の操作が、前記ノンファンジブルトークンの前記所有者によって行われたかどうかを検証する検証部を更に備えるのが好ましい。
【0029】
(16)前記コンピュータシステムは、前記権利の行使が適正であるかどうかを検証する検証部を更に備えるのが好ましい。
【0030】
(17)実施形態に係るノンファンジブルトークンの製造方法は、操作用表示を画面表示させるためのデータを有するノンファンジブルトークンを生成することを備え得る。前記操作用表示は、コンピュータシステムによって、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末に画面表示されるように構成され得る。前記コンピュータシステムは、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行するよう構成され得る。
【0031】
(18)実施形態に係るノンファンジブルトークンは、ノンファンジブルトークンに関連付けられた操作用表示を画面表示させるためのデータを備え、前記データは、コンピュータシステムによって、前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた前記操作用表示を、前記ノンファンジブルトークンの所有者の端末における画面表示のため前記端末に提供し、前記操作用表示の操作が実行されると、前記操作用表示に関連付けられた前記ノンファンジブルトークンに関連付けられた権利に関する処理を実行する、ために用いられ得る。
【0032】
<2.ブロックチェーンのノンファンジブルトークンに付属した権利を行使するためのコンピュータ実装方法、コンピュータシステム、ノンファンジブルトークンの製造方法及びノンファンジブルトークンの例>
【0033】
図1は、実施形態に係るコンピュータシステム10(以下、単に「システム10」という)の一例を示している。システム10は、ブロックチェーン11に記録されるノンファンジブルトークン101(NFT101)を利用し、NFT101に関連付けられた権利の行使を支援する。以下では、一例として、システム10は、権利行使のため、権利を行使する者210と、権利行使を受ける者220と、をオンラインで仲介するサービスを提供する。すなわち、実施形態のシステム10は、NFT101に関連付けられた権利の実行を支援する。なお、権利行使を受ける者220は、システム10の管理者であってもよい。
【0034】
実施形態においては、NFT101の所有者210が、そのNFT101に関連付けられた権利を行使し得る。NFT101の所有者210とその変更は、ブロックチェーン11に記録される。すなわち、NFT101に関連付けられた権利を行使できる者は、ブロックチェーン11に記録されたNFT所有者210である。NFT101を譲渡すると、そのNFT101に関連付けられた権利も譲渡される。システム10は、NFT101の所有者210を、そのNFT101に関連付けられた権利を行使できる者(権利者)として取り扱う。なお、実施形態に係るシステム10において、権利が関連付けられたNFT101の譲渡(送信)は、禁止されていてもよい。
【0035】
なお、システム10は、ブロックチェーン11を参照することで、NFT101の所有者210、つまり権利の所有者、を識別し得る。システム10は、NFT101とNFT101に関連付けられた権利との対応を示すデータを用いて、NFT101に関連付けられた権利を識別し得る。また、システム10は、NFT101とNFT101に関連付けられた権利の行使を受ける者220との対応を示すデータを用いて、NFT101に関連付けられた権利の行使を受ける者220を識別し得る。
【0036】
NFT101は、デジタルデータを、トークン化することで生成される。実施形態に係るNFT製造方法は、NFT101を生成することを備える。トークン化は、NFT化とも呼ばれる。NFT化されたデジタルデータは、ブロックチェーン11に記録される。なお、NFT化されたデジタルデータは、ブロックチェーン11外に記録されたデータを含んでもよい。
【0037】
NFT化されるデジタルデータは、例えば、画像データ、テキストデータ、音声データ、その他のデータ、又はそれらのデータの2以上の組み合わせである。デジタルデータは、ハイパーテキストであってもよい。デジタルデータは、NFT101をディスプレイに表示させたときに、画面に現れるデータ(表示データ)を含み得る。
【0038】
NFT化されるデジタルデータの少なくとも一部は、ブロックチェーン11外のデータベース13に格納され得る。以下では、トークン化されるデジタルデータであって、ブロックチェーン11外のデータベース13に格納されたデータをNFT用データ13Aという。
【0039】
NFT化されるデジタルデータは、後述のように、NFT101に関連付けられた権利の内容を示すデータを含み得る。NFT101が、権利の内容を示すデータを含むことで、NFT101自体が、NFT101とNFT101に関連付けられた権利との対応を示すデータになり得る。また、NFT化されるデジタルデータは、NFT101に関連付けられた権利の行使を受ける者220を示すデータを含み得る。NFT101が、権利の行使を受ける者220を示すデータを含むことで、NFT101自体が、NFT101とNFT101に関連付けられた権利の行使を受ける者220との対応を示すデータになり得る。なお、これらの対応を示すデータは、サーバ12等などのブロックチェーン11外のコンピュータに記録されていてもよい。
【0040】
NFT101に関連付けられた権利は、例えば、権利の行使を受ける第三者220に対して何らかの行為を求める権利である。権利は、例えば、アイテムを入手する権利、又はサービスの提供を受ける権利である。この場合、権利行使を受ける者220は、アイテムの提供者又はサービスの提供者である。なお、アイテム又はサービスの提供を受ける者は、NFT101の所有者210である必要はなく、NFT101の所有者210によって指定されたものであってもよい。NFT101の所有者210は、自身以外の者を、アイテム又はサービスの提供を受ける者として指定することで、アイテム又はサービスをプレゼントすることができる。
【0041】
後述のように、実施形態のNFT101は、ユーザ操作のためのユーザインタフェース13B(UI13B)を有する。ユーザインタフェースは、例えば、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。UI13Bを持つNFT101は、例えば、NFT用データ13Aを、WEBページなどを作成するためのHTML言語によって記述されたソースコードとすることで、構成され得る。NFT用データ13Aは、画像データを含み得る。これにより、NFT用データ13Aが、ユーザの端末30に、画面表示され、端末30において、選択操作などのユーザ操作が可能となる。つまり、本実施形態によれば、操作のためのUI13Bを有するNFT101が得られる。なお、NFT101にUI13Bを持たせるためのデータ13Aは、ブロックチェーン11に記録されてもよい。UI13Bは、NFT101の所有者だけが操作できるのが好ましい。
【0042】
システム10が、UI13Bを利用した操作の実行をトリガとして、何らかの処理を実行するよう構成されていることで、NFT10に対するユーザの操作によって、システム10による処理を呼び出すことができる。UI13Bが、NFT101に設けられていることで、UI13Bによる操作が行える者を、NFT10の所有者に限定することができる。また、NFT101が、UI13Bを有していることで、NFT101を扱う端末30のアプリケーションプログラム30C又はサーバ12のアプリケーションプログラム12Cは、NFT101が有するUI13Bを備える必要がない。なお、NFT101のUI13Bを利用した操作によって呼び出される処理は、サーバ12によって実行されてもよいし、スマートコントラクト130によって実行されてもよいし、サーバ12及びスマートコントラクト130の協働によって実行されてもよい。
【0043】
実施形態においては、NFT101は、NFT101に関連付けられた操作用表示13Bを画面表示させるためのデータ13Aを備える。このデータ13Aは、システム10によって、操作用表示13Bを、NFT101の所有者210の端末30における画面表示のため端末30に提供し、操作用表示13Bの操作が実行されると、操作用表示13Bに関連付けられたNFT101に関連付けられた処理を実行する、ために用いられる。
【0044】
ブロックチェーン11に記録されたNFT101と、ブロックチェーン11外のデータベース13に格納されたデータをNFT用データ13Aと、を関連付けるため、NFT101は、NFT用データ13Aへのリンクを有していてもよい。リンクは、例えば、ユニークリソースアイデンティファイア(URI)によって構成され得る。
【0045】
また、NFT101と、NFT用データ13Aと、を関連付けるには、データ13Aが、NFT101の所有者に対してだけ、NFT用データ13Aの参照を許可するように構成されていてもよい。
【0046】
例えば、データベース13は、格納されたデータへの外部からのアクセスをコントロールする。データベース13は、NFT用データ13Aに対応付けられたNFT101の所有者からのアクセスである場合、その者が所有するNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aへのアクセスを許可することができる。また、NFT用データ13Aに対応付けられたNFT101の所有者以外の者からのアクセスである場合、そのアクセスを拒否してもよい。すなわち、NFT用データ13Aは、NFT用データ13Aに対応するNFTの所有者の端末において表示されるが、NFT用データ13Aに対応するNFTの所有者以外の端末においては表示されない。なお、データベース13は、NFT用データ13Aに対応付けられたNFT101の所有者以外の第三者からのアクセスを許可してもよい。第三者からのアクセスを許可する場合、その許可は、限定的なものであってもよく、例えば、NFT用データを構成するデータに含まれる一部のデータへのアクセスは許可するが、他のデータへのアクセスは禁止してもよい。また、NFT用データ13Aは、第三者が参照できるが、NFT用データ13Aによって表示されるユーザインタフェースの操作はできないように設定されているのが好ましい。
【0047】
前述のように、データベース13に保存されたNFT用データ13Aは、ユーザの端末30のディスプレイにおいて画面表示され得る。NFT用データ13Aは、操作用表示13Bを画面表示させるよう構成されている。すなわち、NFT101は、操作用表示13Bを備える。操作用表示13Bは、ブロックチェーン11に記録されていてもよい。
【0048】
操作用表示13Bは、例えば、NFT101に関連付けられた権利の行使のために選択される選択ボタンである。操作用表示13Bは、NFT101を、端末30に画面表示させたときに、画面表示されたNFT101の一部として画面表示され得る。つまり、NFT101は、その一部として操作用表示13Bを備えているように、画面表示され得る。なお、操作用表示13Bは、画面表示されたNFT101内の領域に画面表示されるのではなく、画面表示されたNFT101外の領域において画面表示されてもよい。この場合、NFT101と操作用表示とは分離したものとして視認され得る。
【0049】
実施形態のシステム10は、ブロックチェーン11を利用する。ブロックチェーン11は、複数のコンピュータが相互に接続されたP2P(Peer to Peer)のコンピュータネットワークシステムによって構成されている。
【0050】
ブロックチェーン11においては、ブロックチェーンアドレス間で、NFT101などのトークンの取引が可能であり、トークンの取引記録が、ブロックチェーン11の分散台帳に記録される。ブロックチェーンアドレスは、例えば、ブロックチェーン11のユーザアカウント110を示す。例えば、あるユーザが、ブロックチェーン11にアカウント110を有している場合、そのアカウント110は、所定のブロックチェーンアドレス(ユーザアドレス)を有する。図1において、ユーザのアカウント110は、一例として、「0x1111」で表されている。
【0051】
NFT101は、非代替性の確保のため、ブロックチェーン11において、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子を有する。以下では、この識別子をNFT識別子という。NFT識別子は、「NFT_ID」と表記されることもある。以下において、NFT101のNFT識別子(NFT_ID)は、「id01」で表されるものとする。
【0052】
実施形態において、NFT用データ13AとNFT101との対応付けは、例えば、NFT用データ13Aを、対応するNFT101のNFT_ID:id01と対応付けて、データベース13に保存することによって実現されている。一つのNFT用データ13Aが、一つの対応するNFT101のNFT_ID:id01にだけ対応付けられている場合、NFT101とNFT用データ13Aとの1対1対応が実現される。
【0053】
なお、一つのNFT用データ13Aが、複数のNFT101のNFT_IDに対応付けられていてもよい。複数のNFT用データ13Aそれぞれのデータが同一で良い場合には、一つのNFT用データ13Aが、複数のNFT101のNFT_IDに対応付けられていてもよい。
【0054】
NFT101は、その所有者(及び所有者履歴)が、ブロックチェーン11に記録される。したがって、NFT101の所有者は、集中管理の必要がなく、NFT101の所有者の管理及び確認が容易である。NFT101の所有者であることは、ブロックチェーン11の記録によって容易に証明可能である。
【0055】
前述のように、NFT101の所有者であることの証明は、NFT101に関連付けられた権利の所有者であることの証明にもなっている。実施形態においては、ブロックチェーン11において記録されるNFT101の所有者の記録を、権利の所有者の記録として用いることができるため、権利の所有者の管理(権利の所有者の変更の管理を含む)を集中的に行う必要がなく、管理が容易である。また、権利の取引のため、必要に応じて、NFT101を取引(第三者に販売・譲渡)することも可能である。
【0056】
実施形態においては、ブロックチェーン11は、スマートコントラクト130を備え得る。スマートコントラクト130は、ブロックチェーンにおいて実行可能に実装されたソフトウェア(コンピュータプログラム)であり、所定のプロトコルを自動的に実行する。スマートコントラクト130は、ブロックチェーンアドレスであるコントラクトアドレス140を有する。スマートコントラクト130は、コントラクトアドレス140に格納されている。後述のように、コントラクトアドレス140は、行使された権利に関連付けられたNFT101(権利が行使されたNFT101)を受信し得る。
【0057】
ブロックチェーン11においては、ユーザが所有するNFT101は、ユーザアカウント110に対応付けて記録される。
【0058】
トークンがユーザアカウント(ブロックチェーンアドレス)に対応付けて記録されていることを、「アカウント(ブロックチェーンアドレス)がトークンを所有している」ということもできる。
【0059】
図1においては、ユーザアカウント110は、NFT101を所有している。つまり、図1に示すNFT101の所有者は、ユーザアカウント110を持つユーザ210である。したがって、NFT101に関連付けられた権利の所有者は、ユーザアカウント110を持つユーザ210である。
【0060】
ブロックチェーン11には、必要に応じて、NFT101の回収用アカウント120が設けられる。回収用アカウント120は、権利が行使されたNFT101を受信するためのアカウントである。権利が行使されたNFT101は、前述のように、スマートコントラクトのコントラクトアドレス140によって受信されてもよいが、コントラクトアドレス140とは別の、回収用アカウント120によって受信されてもよい。
【0061】
ここでは、権利が行使されたNFT101を「無効NFT」ともいう。回収用アカウント120は、一例として、「0x5555」のブロックチェーンアドレスを有する。ブロックチェーン11においては、回収用アカウント120は、例えば、システム10の管理者のためのアカウントとして設けられる。回収用アカウント120に送信されたNFT101は、回収用アカウント120から取り出されることはない。したがって、回収用アカウント120に送信されたNFT(無効NFT)は、ブロックチェーン11において、事実上、取引不可となる。また、コントラクトアドレス140が受信したNFT101も、ブロックチェーン11において、事実上、取引不可となるため、無効NFTになり得る。
【0062】
実施形態に係るシステム10は、ブロックチェーン11外にあるサーバ12を備え得る。システム10は、必要に応じて、前述のスマートコントラクト130をその構成要素として備えていてもよい。すなわち、システム10は、サーバ12を備えるがスマートコントラクト130を備えていなくてもよいし、スマートコントラクト130を備えるがサーバ12を備えなくてもよい。システム10は、サーバ12及びスマートコントラクト130の双方を備えてもよい。サーバ12とスマートコントラクト130との役割分担は適宜設定され得る。
【0063】
サーバ12は、インターネット等のネットワーク15に接続されている。サーバ12は、例えば、システム10の管理者によって運用される。サーバ12は、プロセッサ12A及びメモリ12B(記憶装置12B)を備えるコンピュータによって構成されている。サーバ12は、1つのコンピュータによって構成されてもよいし、ネットワーク15を介して接続された複数のコンピュータによって構成されてもよい。例えば、サーバ12は、データベース13を備えていてもよい。メモリ12Bは、プロセッサ12Aに接続されている。メモリ12Bは、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を備える。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。メモリ12Bは、プロセッサ12Aによって実行されるコンピュータプログラム12Cを備える。プロセッサ12Aは、メモリ12Bに格納されたコンピュータプログラム12Cを読み出して実行する。コンピュータプログラム12Cは、サーバ12として機能するコンピュータによって実行される命令を示すプログラムコードを有する。
【0064】
サーバ12は、コンピュータプログラム12Cがプロセッサ12Aによって実行されることで、後述の表示提供部、権利処理部、及び検証部として機能し得る。つまり、サーバ12は、表示提供部を備え得る。サーバ12は、権利処理部を備え得る。サーバ12は、検証部を備え得る。
【0065】
NFT101の所有者であるユーザ210は、ユーザ端末30を有する。ユーザ端末30は、例えば、スマートフォン又はタブレットなどのモバイルデバイスである。ユーザ端末30は、ネットワーク15に接続可能である。ユーザ端末30は、プロセッサ30A及びメモリ30Bを備えるコンピュータによって構成されている。メモリ30Bは、プロセッサ30Aに接続されている。メモリ30Bは、例えば、一次記憶装置及び二次記憶装置を備える。一次記憶装置は、例えば、RAMである。二次記憶装置は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)である。メモリ30Bは、プロセッサ30Aによって実行されるコンピュータプログラム30Cを備える。プロセッサ30Aは、メモリ30Bに格納されたコンピュータプログラム30Cを読み出して実行する。コンピュータプログラム30Cは、ユーザ端末30として機能するコンピュータによって実行される命令を示すプログラムコードを有する。
【0066】
コンピュータプログラム30Cは、例えば、ブロックチェーン11のユーザアカウント110に格納されたトークンをユーザ端末30に表示させるためのウォレットアプリケーションプログラムである。ウォレットアプリケーションプログラムは、トークンの保管、トークンの送信、及びトークンの受信のためのユーザ操作を可能とする機能を提供する。
【0067】
また、コンピュータプログラム30Cは、ブロックチェーン11におけるユーザアカウント110に対応付けられたトークン(NFT又はファンジブルトークン)をユーザ端末30のディスプレイに表示させるためのプログラムコードを有する。コンピュータプログラム30Cは、NFT101を表示させる際には、NFT101、及び、NFT101に対応付けられたNFT用データ13Aを表示させる。
【0068】
ユーザの端末30には、そのユーザ210が所有者であるNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aは表示されるが、そのユーザ210が所有者ではないNFTに対応付けられたNFT用データは表示されないのが好ましい。データベース13においてデータに対応付けられたNFTの所有者以外の端末におけるデータの表示を防止するため、データベース13は、NFT用データ13Aに対応付けられたNFT101の所有者210からのNFT用データ13Aへのアクセスは許可し、所有者以外からのNFT用データ13Aへのアクセスは許可しないようにアクセスコントロールをするよう構成されているのが好ましい。なお、データベース13は、NFT用データ13Aに対応付けられたNFT101の所有者210を、ブロックチェーン11を参照することで把握できる。
【0069】
図2は、NFT101に対応付けられたNFT用データ13Aを、NFT101の所有者であるユーザ210の端末30に表示させる方法の一例を示している。ユーザ210は、端末30を介して、サーバ12におけるユーザ210のアカウントへサインインする(ステップS201)。サインインは、例えば、端末30にインストールされたアプリケーションプログラムによって行われる。このサインインの際に、サーバ12は、ユーザ端末30から、ユーザ210のブロックチェーンアドレス110(ブロックチェーンにおけるユーザアカウント110)を取得することができる。
【0070】
ユーザ210のブロックチェーンアドレス110を有しているサーバ12は、ブロックチェーン11にアクセスする(ステップS202)。サーバ12は、ブロックチェーン11において、ユーザ210のブロックチェーンアドレス110が所有する1又は複数のNFTの記録11Bを参照し、ユーザ210が所有する1又は複数のNFTについての情報120A(例えば、NFT_ID)を取得することができる(ステップS203)。
【0071】
サーバ12は、ユーザ210が所有するNFTを、そのユーザの端末30に表示させる場合、データベース13に格納されたNFT用データ13Aの参照のため、データベース13へアクセスする。すなわち、サーバ12は、NFT用データ13A参照のため、データベース13を呼び出す(ステップS204)。
【0072】
サーバ12は、ユーザ210が所有するNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aを参照するため、ユーザ210のブロックチェーンアドレスをデータベース13へ送信する。ユーザ210のブロックチェーンアドレスを受信したデータベース13は、そのブロックチェーンアドレス110で示されるユーザ210が所有するNFT101を参照するため、ブロックチェーン11にアクセスする(ステップS205)。このアクセスにより、データベース13は、ユーザが所有するNFTのNFT_IDを取得する(ステップS206)。
【0073】
データベース13は、ユーザのブロックチェーンアドレス110を用いた呼び出しを受けた場合、その呼び出しに対する応答として、そのユーザ210が所有するNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aへのアクセスを許可する。すなわち、データベース13は、ブロックチェーン11において、そのユーザ210が所有するNFT101のNFT_IDを参照し(ステップS205)、データベース13に格納されているNFT用データのうち、そのユーザが所有するNFT101のNFT_IDに対応付けられたNFT用データ13Aへのアクセスを許可する。
【0074】
以上の処理によって、サーバ12は、ユーザが所有する、NFT_ID:id01であるNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aを取得することができる。取得されたNFT用データ13Aは、ユーザ端末30における表示のため、ユーザ端末30へ送信される(ステップS207)。
【0075】
なお、NFT101とNFT用データ13Aとの対応付けは、例えば、NFT101が、NFT用データ13Aを示すURI(Uniform Resource Identifier)を有することで実現されてもよい。また、サーバ12が、NFT用データ13Aを有する場合、サーバ12は、単に、ユーザ210が所有するNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aを判別し、そのNFT用データ13Aを、ユーザ端末30へ提供すればよい。
【0076】
さて、前述のアイテムを入手する権利は、例えば、商品を入手する権利、又は、景品を入手する権利である。商品を入手する権利は、例えば、購入した商品を、商品販売者又は商品製造者から引き渡してもらう権利である。例えば、商品を購入した者は、現物の商品の引き渡しを受ける代わりに、その商品を入手する権利が付属したNFT101を、取得する。NFT101は、例えば、商品販売者又は商品製造者から、購入者へ提供される。購入者は、現物の商品が必要になるまでは、権利を行使せずに置いておくことが可能である。購入者は、現物の商品が必要になれば、権利を行使して商品の引き渡しを受けることができる。つまり、NFT101は、商品の引換券として機能し得る。また、NFT101が、取引されて、NFT101及び権利の所有者が変更されても、NFT101に関連付けられた商品は、転々流通させる必要がない。転々流通後のNFT101の所有者は、現物の商品を入手したい場合、NFT101に関連付けられた商品を入手する権利を行使することで、現物の商品を入手することができる。
【0077】
例えば、ワイン、日本酒又はその他の酒類は、熟成のため長期間の保存が望まれることがあるが、購入者よりも販売者又は製造者が保存したほうが良好な保存状態を確保できることが多い。NFT101の所有者は、熟成期間においては、権利を行使せず販売者又は製造者に保存してもらい、飲み頃になってから、権利を行使することで、良好な保存状態の商品(酒類)を入手できる。
【0078】
また、NFT101の所有者は、権利とともにNFT101を第三者に販売することも可能である。権利は、NFT101に付属しているため、NFT101の譲渡に伴って移転される。この場合、売買は、NFT101の売買をすれば足り、現物の商品の引き渡しが不要であるため、取引が容易である。また、商品によっては、取引のために転々流通すると品質の劣化が生じることがあり、転々流通はできるだけ避けたほうが良いことがある。実施形態においては、NFT101が転々流通しても、現物の商品は、転々流通する必要がないため、品質の劣化を防止できる。さらに、転々流通した商品は、偽物である可能性も生じるが、実施形態においては、現物の商品は、信頼できる商品販売者又は商品製造者から引き渡され得るため、偽物の心配が少ない。商品以外の他のアイテムについても同様である。
【0079】
なお、商品等のアイテムは、NFT101の最初の販売時点において、現実に存在している必要はない。例えば、商品等のアイテムは、将来、製造される予定のものであってもよい。
【0080】
前述の景品を入手する権利は、例えば、抽選で当たった景品を、景品提供者から引き渡してもらう権利である。景品が当たった者は、現物の景品の引き渡しを受ける代わりに、その景品を入手する権利が付属したNFT101を、取得し得る。つまり、NFT01は、景品の引換券として機能し得る。その他の点については、商品の場合と同様である。
【0081】
サービスの提供を受ける権利は、例えば、購入したサービスを、サービス提供者から提供してもらう権利である。例えば、サービスを購入した者は、実際にサービスの提供を受ける代わりに、そのサービスの提供を受ける権利が付属したNFT101を、取得する。NFT101は、例えば、サービス提供者から、購入者へ提供される。購入者は、現実のサービスが必要になるまでは、権利を行使せずに置いておくことが可能であり、現実のサービスが必要になれば、権利を行使してサービスの提供を受けることができる。つまり、NFT101は、サービスの利用券として機能し得る。なお、サービスは、売買の対象になるものである必要はなく、例えば、商品又はサービスの料金の値引きのような優待サービスであってもよい。
【0082】
サービスの提供を受ける権利が行使された場合、サービスの提供を受ける者の利用に供するアイテムが、サービスの提供を受ける者に提供されてもよい。サービスの提供を受ける者の利用に供するアイテムは、例えば、サービスを利用するためのチケット、又は、割引券である。つまり、サービスの提供を受ける権利は、サービスの提供を受けるためのチケット等を入手する権利であってもよい。
【0083】
前述のように、NFT化されるデジタルデータは、NFT101に関連付けられた権利の内容を示すデータを含み得る。つまり、NFT101は、NFT101に関連付けられた権利の内容を示すデータを有し得る。NFT101が、NFT101に関連付けられた権利の内容を示すデータを有する場合、システム10は、ブロックチェーン11に記録されたNFT101を参照することで、そのNFT101に関連付けられた権利を識別し得る。また、システム10は、ブロックチェーン11に記録されたNFT101を参照することで、NFT101に関連付けられた権利の行使を受ける者を識別し得る。
【0084】
権利が、アイテムを入手する権利である場合、権利の内容を示すデータは、例えば、提供されるアイテムの識別子、アイテム名称、アイテムの説明、アイテム提供者名称、アイテム提供者の識別子、及びアイテムを入手できる期間(権利有効期間)の少なくとも一つ以上のデータを含み得る。権利がサービスの提供を受ける権利である場合、権利の内容を示すデータは、例えば、提供されるサービスの識別子、サービス名称、サービスの説明、サービス提供者名称、サービス提供の場所、アイテム提供者の識別子、及びサービスの提供期間(権利有効期間)の少なくとも一つ以上のデータを含み得る。
【0085】
なお、具体的なアイテム又はサービスは、あらかじめ決まっている必要はなく、権利が行使されてから決定されてもよい。例えば、権利は、アイテム又はサービスが当選する抽選へ応募する権利であってもよい。また、権利は、提供される具体的なアイテム又はサービスが権利行使の際に決定されるアイテムを入手する権利又はサービスの提供を受ける権利であってもよい。この場合、システム10は、権利が行使されてから、提供される具体的なアイテム又はサービスを決定する処理を実行すればよい。具体的なアイテム又はサービスは、システム10において、NFT101に関連付けて予め設定されたアイテム候補又はサービス候補の中から、ランダムに決定されてもよいし、所定のルールに従って決定されてもよい。このように、アイテム又はサービスは、NFT101に関連して予め設定されていてもよいし、NFT101に基づいて権利行使操作後に決定されてもよい。
【0086】
なお、具体的なアイテム又はサービスが、権利が行使されてから決定される場合、商品又はサービスの提供者(権利行使を受ける者)は、具体的なアイテム又はサービスの決定に伴って、決定され得る。
【0087】
図3は、一例として、ユーザ210が所有するNFT101に対応付けられたNFT用データ13Aが、ユーザ端末30に表示された状態を示している。なお、ここでは、NFT101は、日本酒の一種である純米大吟醸というアイテムを入手する権利が関連付けられているものとする。すなわち、NFT101は、純米大吟醸の引換券として機能する。NFT用データ13Aは、アイテムを示す画像13Cのほか、アイテムを入手する操作をユーザが実行するためのユーザインタフェース13Bを有する。
【0088】
図3に示すように、ユーザ210のユーザアカウント110は、NFT101を所有しており、アカウント110を持つユーザ210が、NFT101の所有者である。図3に示すように、そのユーザ210が有するユーザ端末30のディスプレイ31には、そのユーザ210のアカウント110に格納されたNFT101を示す表示33が画面表示される。以下では、図3の表示33をNFT表示33という。ここでは、一例として、NFT表示33は、アイテムを示す画像(純米大吟醸というアイテムを含む画像)13Cと、操作用表示13Bと、を有する。操作用表示13Bは、一例として、選択ボタンである。
【0089】
NFT用データ13Aは、そのNFT用データ13Aに対応付けられたNFT101(NFT_ID:id01であるNFT101)の所有者としてブロックチェーン11に記録されているユーザによる参照が許可されるように、データベース13に保存されている。また、ユーザの端末30は、そのユーザが所有者であるNFT101(NFT_ID:id01であるNFT101)のNFT用データ13Aを、NFT表示33として、画面表示するよう構成されている。したがって、図3に示すように、ユーザがNFT101を所有している場合、ユーザの端末30は、データベース13に保存されたNFT用データ13Aを画面表示することが可能である。
【0090】
端末30は、NFT用データ13Aが有するデータから生成されるNFT表示33を、ディスプレイ31に画面表示できる。NFT表示33がディスプレイ31に画面表示されることで、ユーザは、NFT101に関連付けられたアイテム又はサービスを確認できる。NFT表示33は、操作用表示13Bを含む。サーバ12は、操作用表示13Bを含むNFT表示33を端末30に提供するため、NFT用データ13Aを端末30へ送信し得る。このように、サーバ12は、NFT101に関連付けられた操作用表示13Bを、NFT101の所有者210の端末30における画面表示のため、端末30に提供する表示提供部として機能し得る。したがって、システム10は、表示提供部を備え得る。
【0091】
ユーザ210は、NFT表示33に含まれる操作用表示13Bを操作することで、NFT101に関連付けられた権利の行使に関する処理をシステム10に実行させることができる。このように、実施形態に係るシステム10は、NFT101に関連付けられた操作用表示13Bを、端末30における画面表示のために、端末30に提供する。システム10において、操作用表示13Bは、システム10が実行すべき権利に関する処理に、関連付けられている。システム10は、操作用表示13Bの操作が実行されると、操作用表示13Bに関連付けられた権利に関する処理を実行する。操作用表示13BはNFT101に関連付けられ、NFT101は権利と関連付けられているため、システム10は、操作用表示13Bに関連付けられた権利を、操作用表示13Bに関連付けられたNFT101から識別することができる。このように、サーバ12は、操作用表示13Bの操作が実行されると、操作用表示13Bに関連付けられたNFT101に関連付けられた権利に関する処理を実行する権利処理部として機能し得る。したがって、システム10は、権利処理部を備え得る。
【0092】
なお、操作用表示13Bは、NFT101の所有者以外の端末には画面表示されない、又はNFT101の所有者以外の端末には、操作用表示13Bに対する操作不可の状態で画面表示されるのが好ましい。この場合、所有者以外の者による操作を防止できる。なお、所有者以外の端末に操作用表示13Bが表示されない場合であっても、操作用表示13B以外のNFT表示33(NFT用データ13A)は、所有者以外の端末に表示されてもよい。つまり、操作用表示13B以外のNFT用データ13Aは、所有者以外の者も参照可能であってもよい。操作用表示13B以外のNFT用データ13Aが所有者以外の者も参照可能であることで、例えば、NFT101が転売される場合に、NFT101の購入希望者が、購入前に、操作用表示13Bを含まないNFT表示33を画面表示させて参照することができる。また、操作用表示13Bが操作不可の状態で画面表示される場合、操作用表示13B以外のNFT表示33も画面表示されるのが好ましい。
【0093】
図4は、アイテムを入手する権利の行使のための手順の一例を示している。まず、ユーザ210は、端末30を利用して、NFT101を受信する(ステップS431)。これにより、ユーザは、NFT101の所有者になる。つまり、ユーザ210は、アイテムを入手する権利を取得したことになる。ユーザ210によって受信されるNFT101の送信元は特に限定されないが、送信元は、例えば、NFT101の販売者である。NFT101の販売者は、例えば、アイテムの販売者又は製造者である。
【0094】
ユーザ210は、端末30に対して、NFT101を端末30において表示させる操作を行うことで、そのNFT101のNFT表示33を、自身の端末30のディスプレイに画面表示させる(ステップS432;図5参照)。NFT表示33を画面表示させるには、例えば、端末30又はサーバ12のアプリケーションプログラムによって、ユーザ210が有するNFT101の一覧(例えば、NFT101を示すサムネイルの一覧)を、端末30のディスプレイに画面表示させる。ユーザ210は、その一覧の中から表示させたNFT101を選択する操作を行うことができる。システム10は、選択されたNFT101のNFT表示33を、端末30に提供する。なお、ユーザ210は、NFT表示33の画面表示に先立って、端末30を介して、サーバ12へサインインする。サインインには、例えば、ユーザ210のブロックチェーンアドレスが用いられる。サーバ12は、サインしたユーザを、そのブロックチェーンアドレスによって識別し得る。
【0095】
NFT表示33は、例えば、サーバ12によって提供される(ステップS410)。サーバ12は、操作用表示13Bを有するNFT表示33を、端末30に提供し得る。ユーザは、現物のアイテムを入手することを希望する場合、アイテムの引換操作を実行する(ステップS433)。図5に示すように、引換操作は、NFT表示33に含まれる操作用表示13B(引換ボタン13B)を、ユーザが指Fでタップ又はマウス等でクリックすることなどによって実行される。
【0096】
操作用表示13Bの操作が実行されると、システム10において、権利に関する処理が開始される。操作用表示13Bは、例えば、権利に関する処理を実行するサーバ12へのリンク(URI等)を有している。操作用表示13B(引換ボタン13B)が選択されると、端末30は、そのリンクを用いて、権利に関する処理を実行するサーバ12へアクセスする。端末30は、そのアクセスの際に、操作用表示13Bに対応するNFT101が有する情報(NFT情報)を、サーバ12へ送信し得る。ここでのNFT情報は、NFT化されたデジタルデータとして、ブロックチェーン11又はデータベース13に記録された情報である。NFT情報は、例えば、NFT101を特定するためのトークン識別子(NFT_ID)及び行使される権利を特定するための権利識別子(アイテムの識別子)の少なくともいずれか一方であり得る。なお、サーバ12は、NFT情報を、ブロックチェーン11を参照することで取得してもよい。
【0097】
図4に戻り、権利に関する処理を実行するサーバ12は、端末30からのアクセスを受けると、ユーザが行使しようとする権利の内容を識別する(ステップS411)。権利の内容の識別は、例えば、ユーザに提供されるアイテム又はサービスを識別することを含み得る。また、権利の内容の識別は、ユーザに提供されるアイテム又はサービスの提供者を識別することを含み得る。ユーザに提供されるアイテム又はサービスは、サーバ12がブロックチェーン11を参照することで識別してもよいし、サーバ12において予め設定されていてもよいし、ステップS433の操作が実行されてからサーバ12が決定してもよい。
【0098】
例えば、NFT101に関連付けられた権利の内容が、ブロックチェーン11に記録されている場合、サーバ12は、ユーザ210が操作をした操作用表示13Bを有するNFT101についての、ブロックチェーン11における記録を参照することで、権利の内容を識別し得る。識別される権利の内容は、例えば、提供されるアイテムの識別子、アイテム名称、アイテムの説明、アイテム提供者名称、アイテム提供者の識別子、及びアイテムを入手できる期間(権利有効期間)の少なくとも一つ以上である。
【0099】
NFT101に関連付けられた権利の内容が、サーバ12に記録されている場合、サーバ12は、例えば、NFT101のトークン識別子と、権利内容を示すデータと、を対応付けた対応データを備え得る。サーバ12が対応データを備える場合、サーバ12は、端末30から、操作されたNFT101のトークン識別子を取得することで、そのNFT101に関連付けられた権利の内容を識別することができる。
【0100】
続いて、サーバ12は、操作用表示13Bに関連付けられた権利の行使に関する設定表示500を、端末30へ提供する(ステップS412)。設定表示500は、端末30のディスプレイに画面表示される。設定表示500では、権利の行使に関する設定が、ユーザ210によって実行される(ステップS434)。図5に示すように、権利の行使に関する設定は、一例として、アイテムの配送先の設定である。ユーザ210は、完了操作表示501を操作することで、設定を完了させることができる。完了操作表示501は、例えば、確定ボタンである。完了操作は、完了操作表示501を、ユーザが指Fでタップ又はマウス等でクリックすることなどによって実行される。
【0101】
図4に戻り、ユーザによる設定が完了すると、その設定は、端末30からサーバ12へ送信され(ステップS435)、サーバ12において保存される。保存された設定は、サーバ12による、その後の処理(ステップS415など)に用いられ得る。
【0102】
権利の行使に関する設定は、例えば、一般的なオンラインでのアイテムの販売、サービスの提供、サービスの提供の予約、又は販売時における割引サービスの適用のために、オンラインでユーザによって設定される内容と同様なものであり得る。設定された内容は、サーバ12から権利の行使を受ける者220(例えば、アイテム又はサービスの提供者)の端末40へ送信され得る。
【0103】
例えば、権利がアイテムを入手する権利である場合、権利行使に関する設定は、アイテムの配送の設定及びアイテムの配送希望日時の設定の少なくともいずれか一方の設定を含み得る。アイテムの配送先の設定は、配送先の名前と住所との設定を含み得る。アイテムの配送先の設定は、配送先の電話番号又は電子メールアドレスの設定を含んでもよい。配送先の設定は、ユーザ210が名前と住所等を手入力することで行われてもよいし、システム10において、権利を行使したユーザに関連付けて予め設定された配送先候補の中からユーザが選択することで行われてもよい。権利行使に関する設定は、ユーザが入手を希望するアイテムの選択を含んでもよい。なお、アイテムは、有体物であってもよいし、デジタルアイテムでもよい。
【0104】
権利がサービスの提供を受ける権利である場合、権利行使に関する設定は、例えば、サービスの提供を受けるために必要な情報の設定を含み得る。サービスの提供を受けるために必要な情報は、例えば、サービスの提供を受ける者の情報を含み得る。サービスの提供受ける者の情報は、例えば、サービスの提供を受ける者の名前、住所、電話番号、電子メールアドレス、SNSアカウント、性別、及び年齢の少なくとも一つを含み得る。サービスの提供を受ける者の情報の設定は、ユーザ210が名前等を手入力することで行われてもよいし、システム10において、権利を行使したユーザに関連付けて予め設定された候補者の中からユーザが選択することで行われてもよい。権利行使に関する設定は、ユーザが提供を希望するサービスの選択を含んでもよい。なお、サービスは、現実世界で提供されるサービスであってもよいし、オンラインで提供されるサービスであってもよい。
【0105】
なお、サービスの提供を受ける者の情報の設定は、例えば、サービスの提供を受ける者の利用に供するチケット等のアイテムの送り先としての設定であってもよい。
【0106】
サービスを受けるために必要な情報の設定は、例えば、サービスに関する詳細の設定であってもよい。サービスに関する詳細は、例えば、サービスを受ける日時、サービスを受ける場所、及びサービスの種類の少なくとも一つを含み得る。例えば、提供されるサービスが、イベントの開催、又は、交通機関による人の輸送等である場合、サービスに関する詳細の設定は、座席の指定を含み得る。
【0107】
権利が割引サービスの提供を受ける権利である場合、権利行使に関する設定は、割引サービスが適用されるアイテム又はサービスの選択を含み得る。
【0108】
なお、権利行使に関する設定は、ユーザ操作(ステップS434)を伴わなくてもよい。例えば、システム10が、権利を行使したユーザの情報(名前及び住所など)を予め有している場合、システム10は、そのユーザの情報を、アイテムの送り先又はサービスの提供を受ける者として設定することができる。この場合、ユーザ操作(ステップS434)は、省略され得る。
【0109】
サーバ12は、権利行使に関する検証を実行し得る(ステップS413)。ステップS413の検証は、権利の行使が適正であるかの検証であり、より具体的には、操作用表示13Bの操作者が、NFT101の所有者であるかどうかの検証であり得る。検証を行うことによって、NFT101の非所有者による権利行使を防止できる。不正な権利行使とは、例えば、NFT101の非所有者が、権利行使に関する設定の内容を示すデータを、サーバ12に送りつけることで、アイテム又はサービスの提供を不正に受けようとする攻撃である。なお、操作用表示13Bの操作者は、権利の行使に関する設定の内容を示すデータの送信元と呼んでもよい。また、ステップS413の検証は、ステップS412の後に行われてもよいし、ステップS412の前に行われてもよい。
【0110】
ステップS414においては、操作者がNFT101の所有者であるかどうかで、処理が分岐する。ステップS413の検証の結果、操作者がNFT101の所有者であると判定された場合、サーバ12は、権利行使を受ける者の端末40へ、権利行使に関する設定を、送信する(ステップS415)。権利行使に関する設定は、権利行使に係るアイテム又はサービスを示す情報を含み得る。操作者がNFT101の所有者ではないと判定された場合、サーバ12は、エラー処理を実行する(ステップS417)。エラー処理が実行された場合、ステップS415は、実行されないため、権利行使は実現しない。
【0111】
このように、サーバ12は、操作用表示13Bの操作者が、NFT101所有者であるかどうかを検証する検証部として機能し得る。したがって、システム10は、検証部を備え得る。
【0112】
ここでの権利行使を受ける者は、一例として、アイテムの提供者220である。なお、アイテムの提供者220などの権利行使を受ける者は、権利内容を示す情報の一つとして、ステップS411において識別され得る。
【0113】
権利行使に関する設定は、前述のようにアイテムの配送先の設定を含み得る。権利行使を受けた者220は、権利行使に関する設定に従って、権利行使の実現のための行動をする。例えば、あるアイテムをある配送先へ送付するための設定をサーバ12から受け取ったアイテム提供者220は、その配送先へ、そのアイテムを送付する手続を行う(ステップS441)。そのアイテムは、例えば、配送業者によって、配送先へ配送される。
【0114】
サーバ12は、ステップS415の後、ユーザの端末30へ権利の行使の控え示す表示600を提供し得る(ステップS416)。控えを示す表示600は、端末30のディスプレイに表示される。なお、控えのデータは、トークン化されたNFTであってもよい。
【0115】
図6は、ステップS413の検証の手順の一例を示している。ステップS61において、サーバ12は、権利行使の操作をしたユーザ210の端末30へ、権利行使に利用されたNFT101を、所定の送信先へ送信することを要求する。ユーザ210は、NFT101を、サーバ12から指定された送信先へ送信する操作を行う。これにより、NFT101は、指定された送信先へ送信される(ステップS62)。送信先は、例えば、システム10の管理者によって管理される管理アドレスである。管理アドレスは、NFTを受信可能なブロックチェーンアドレスである。管理アドレスは、図1に示すスマートコントラクト130が格納されたコントラクトアドレス140であってもよいし、NFT回収用アドレス120であってもよい。
【0116】
権利行使に利用されたNFT101が所定の送信先へ送信されたことは、それ自体で、権利の行使が適正であったと判断し得る要素となる。すなわち、システム10は、行使された権利に関連付けられたNFT101が、所定の送信先へ送信された場合、その権利行使は適正であったと判断し得る。NFT101の送信は、NFT101の所有者がなし得ることであるとともに、所有権を失うことであるため、そのような送信が行われたことは、権利行使は、NFT101の所有者によって行われたことを保証し得る。
【0117】
また、権利行使に利用されたNFT101を所定の送信先へ送信させることで、NFT101の所有者であった者は、所有者でなくなり、そのNFT101を利用できなくなる。すなわち、そのNFT101は、無効NFTになり、その後の利用が停止される。権利が行使されると、そのNFT101を無効にすることにより、NFT101に関連付けられた権利の行使を1回に制限することができる。なお、NFTを無効にすることを、BANともいう。
【0118】
実施形態においては、さらに確実な検証をするため、サーバ12は、管理アドレスに送信されたNFT101の送信元(NFT101の送信前における所有者)のデータを検証に利用する。前述のように、NFT101の非所有者が、不正に権利行使の操作を行い、権利行使に関する設定を示すデータを、サーバ12に送りつける攻撃を行うおそれがある。そのような攻撃でないことを確認するには、例えば、サーバ12が、NFT101の送信元と、権利行使に関する設定(例えば、アイテムの配送先の設定)の送信元と、が一致するかどうかを判定すればよい。両方の送信元が一致すれば、サーバ12は、権利行使に関する設定(アイテムの配送先の設定)の送信元は、NFT101の所有者(送信元)であり、攻撃ではないことを判別できる。
【0119】
このような判別のため、例えば、サーバ12は、管理アドレスへ送信されたNFT101の送信元データを取得する(ステップS63)。NFT101の送信記録(取引記録)は、ブロックチェーン11に記録されているため、サーバ12は、ブロックチェーン11の取引記録を参照することで、NFT101の送信元データを取得できる。NFT101の送信元データは、例えば、NFT101の所有者であったユーザ210のブロックチェーンアドレス110である。
【0120】
サーバ12は、NFT101の送信元と、権利行使に関する設定の送信元と、を対比する(ステップS64)。サーバ12は、権利行使に関する設定を端末30から受信したときに、権利行使に関する設定の送信元を把握できる。権利行使に関する設定の送信元は、例えば、ユーザ210がサーバ12にサインインした際にサーバ12にユーザ210のアカウントとして認識されたブロックチェーンアドレスである。例えば、サーバ12は、NFT101の送信元のブロックチェーンアドレスと、権利行使に関する設定の送信元のブロックチェーンアドレスと、が一致した場合、サーバ12は、権利行使に関する設定(アイテムの配送先の設定)の送信元は、NFT101の所有者(送信元)であると判別できる。つまり、サーバ12は、操作用表示13Bの操作者が、NFT101の所有者(送信元)であると判別できる(ステップS414,S415)。
【0121】
なお、ステップS61は、省略されてもよい。例えば、NFT101を送信することが、設定の送信(ステップS435)することの条件として設定されていれば、設定の送信とともに、NFT101が所定の送信先へ送信される。例えば、図5の確定ボタン501をユーザ210が選択することが、NFT101の送信の承諾となっていてもよい。この場合、確定ボタン501が操作されると、サーバ12の制御下において、設定がサーバ12へ送信されるとともに、NFT101が所定の送信先へ送信される。
【0122】
また、ステップS413の検証のためには、NFT101は、所定の送信先へ送信されなくてもよい。サーバ12は、NFT101の所有者と、権利行使に関する設定の送信元と、対比して、両者が一致すれば、適正な権利行使であると判別することができる。この場合、ユーザ210は、NFT101を所有したままになるため、操作用表示13Bの操作は、1回又は所定回数以下に制限する設定がなされているのが好ましい。この場合、無制限に権利行使がされるのを防止できる。また、NFT101を所定の送信先へ送信することは、検証目的のほか、単に、NFT101を無効NFTにするために行われてもよい。
【0123】
図7は、NFT101を操作して商品を入手するまでのシナリオの一例を示している。ユーザ210がNFT101のボタン13Bを押すと(ステップS71)、ユーザ210の端末30は、サーバ12のAPIを呼び出し、データをサーバ12へ送信する(ステップS72)。なお、ユーザ210は、ユーザ210のブロックチェーンアドレス(0x1111)によって、端末30からサーバ12にサインインしている。
【0124】
ステップS72において送信されるデータは、例えば、ボタン13Bが押されたNFT101のトークン識別子(NFT_ID)及びNFT101のアドレス(コントラクトアドレス)を含み得る。NFT101のアドレスは、ブロックチェーン11においてNFT101が配置されているアドレスである。NFT101のアドレスは、例えば、NFT101が配置されているスマートコントラクト130のコントラクトアドレスである。
【0125】
ステップS72において送信されるデータは、商品の配送情報を含み得る。商品の配送情報は、商品の配送先住所を含み得る。ステップS72において送信されるデータは、商品の配送先のEmailアドレスを含み得る。
【0126】
ステップS72において送信されるデータは、ステップS71においてNFT101のボタン13Bを操作したユーザ210のブロックチェーンアドレスを含み得る。
【0127】
サーバ12は、ステップS72において送信されたデータを受信し、受信したデータを記憶装置12Bのデータベースに保存する(ステップS73)。
【0128】
サーバ12は、ステップS72の応答として、データを保存したことを端末30へ通知する(ステップS74)。この通知は、端末30のディスプレイに表示される(ステップS75)。
【0129】
そして、ユーザ210は、スマートコントラクト130を呼び出して、NFT101をスマートコントラクト130へ送信するために端末30を操作する(ステップS76)。ステップS76の操作によって、スマートコントラクト130が呼び出され、ボタン13Bの操作がされたNFT101がスマートコントラクト130へ送信される(ステップS77A)。NFT101が、ユーザ210のブロックチェーンアドレス(0x1111)からスマートコントラクト130へ送信されることで、ユーザ210は、NFT101を有しなくなる。なお、スマートコントラクト130の呼び出し及びNFT101の送信は、端末30がアクセスしているサーバ12が実行し得る。
【0130】
スマートコントラクト130は、ステップS77Aで送信されたNFT101を受信する。スマートコントラクト130は、受信したNFT101が正当なものであるかどうかを検証する。すなわち、スマートコントラクト130は、受信したNFT101が、権利が関連付けられたNFTであるかどうかを検証する。
【0131】
スマートコントラクト130には、権利が関連付けられたNFT101を示すデータが記録されている。例えば、スマートコントラクト130に配置されたNFTだけが、権利が関連付けられたNFTとすることができる。ここで、スマートコントラクト130に配置されたNFTとは、NFTが有するブロックチェーンアドレスが、当該スマートコントラクト130のコントラクトアドレスであり、他のスマートコントラクトのコントラクトアドレスではないことをいう。
【0132】
スマートコントラクト130は、受信したNFT101が、スマートコントラクト130に配置されたNFTである場合、その旨をコンピュータシステム12に通知する(ステップS77B)。サーバ12は、受信したNFT101が、スマートコントラクト130に配置されたNFTである場合に、権利に関する処理を実行する。しかし、スマートコントラクト130に配置されたNFTではない場合には、権利に関する処理を実行しない。これにより、権利が関連付けられていないNFTが不正に送信されたときに、権利に関する処理が実行されるのを防止できる。
【0133】
また、スマートコントラクト130は、受信したNFT101を無効にする。
【0134】
スマートコントラクト130が受信したNFT101が、スマートコントラクト130に配置されたNFTである場合、サーバ12は、さらに、検証を実行する(ステップS413;図4及び図6参照)。ここでの検証は、例えば、次の第1検証と第2検証とを含む。
【0135】
第1検証は、NFT101を送信したユーザのブロックチェーンアドレスと、ボタン13Bの操作をしたユーザのブロックチェーンアドレスとが同じであるかどうかである。サーバ12は、ブロックチェーン11に記録されたNFT101の取引記録を参照することで、NFT101を送信したユーザのブロックチェーンアドレスを取得できる。また、ステップS71においてNFT101を操作したユーザ210のブロックチェーンアドレスは、ステップS73において記憶装置12Bのデータベースに保存されている。
【0136】
第2検証は、ステップS77Aで送信されたNFT101は、ステップ71で操作されたNFT101と同じであるかどうかである。サーバ12は、例えば、ステップS77Aで送信されたNFT101のトークン識別子(NFT_ID)が、ステップS73において保存されたトークン識別子(NFT_ID)と同じかどうかを判定することで、第2検証を行うことができる。
【0137】
第1検証及び第2検証ともに「同じ」と判定されると、サーバ12は、そのNFT101が、無効になったことを、記憶装置12Bのデータベースに登録する(ステップS78)。サーバ12は、無効なNFTとして登録されているNFT101のボタン13Bの操作を受け付けなくなる。
【0138】
第1検証及び第2検証のいずれかが「同じではない」と判定されると、サーバ12は、ステップS71のボタン13Bの操作は、不正なものと判断し、ステップS413より後の処理を行わない。
【0139】
ステップS79Aにおいて、サーバ12は、ステップS73で保存した商品の配送情報及び配送先のEmailアドレスを、商品の配送者へ送信する。サーバ12は、配送情報等を配送者へ送信したことを、記憶装置12Bのデータベースに登録する(ステップS79B)。配送情報等の送信は、例えば、配送者への電子メールによる送信である。配送情報等を受信した配送者は、NFT101に対応付けられた商品を、配送情報が示す配送先へ配送する。また、配送者は、商品を配送したことを、配送先のEmailアドレス宛の電子メールで、配送先へ知らせる。これにより、ユーザ210は、商品が配送されたことを把握することができる。また、ユーザ210は、配送者から配送された商品を入手する。
【0140】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0141】
10 :コンピュータシステム
11 :ブロックチェーン
11B :記録
12 :サーバ
12A :プロセッサ
12B :メモリ
12C :コンピュータプログラム
12C :アプリケーションプログラム
13 :データベース
13A :NFT用データ
13B :操作用表示
13C :画像
15 :ネットワーク
30 :端末
30A :プロセッサ
30B :メモリ
30C :コンピュータプログラム
31 :ディスプレイ
33 :NFT表示
40 :端末
101 :ノンファンジブルトークン
110 :ユーザアカウント
120 :NFT回収用アドレス
120A :NFT情報
130 :スマートコントラクト
140 :コントラクトアドレス
210 :ユーザ
220 :アイテム提供者
500 :設定表示
501 :完了操作表示
600 :表示
F :指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7