(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ヘア・スカルプター
(51)【国際特許分類】
B26B 19/20 20060101AFI20240109BHJP
B26B 19/44 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B26B19/20
B26B19/44 E
(21)【出願番号】P 2019544654
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 NZ2018050021
(87)【国際公開番号】W WO2018160075
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-03-01
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】519295281
【氏名又は名称】オートライフ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AUTOLIFE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【氏名又は名称】羽切 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100132458
【氏名又は名称】仲村 圭代
(74)【代理人】
【識別番号】100165146
【氏名又は名称】小野 博喜
(74)【代理人】
【識別番号】100211281
【氏名又は名称】大木下 香織
(72)【発明者】
【氏名】ウォフィンディン,マイケル フランシス
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-518406(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068068(WO,A1)
【文献】特表2017-500906(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19910837(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/00 - 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に下地に接する端部を有する本体と、
前記下地上の1本以上の髪の毛とスライドするように引っ張る形状に設けられたループを含む少なくとも1つのコーミング要素と、
カットユニットと、を含み、
前記本体の位置は、カメラにより、またはコントロールモジュールから本体上のセンサに発する信号により、もしくは、電磁、音響又は光学の他のシステムを用いて特定できるように設けられ、
前記少なくとも1つのコーミング要素は、
適用されるヘアスタイルによって設定されるカット距離で髪の毛をカットするために、引っ張った1本以上の髪の毛を保持しながら前記端部から後
退するように構成され、
前記カットユニットは、前記少なくとも1つのコーミング要素によって引っ張られた1本以上の髪の毛を前記カット距離でカットするように構成されているヘア長さカット装置。
【請求項2】
前記カットユニットはカットブレードである請求項1記載のヘア長さカット装置。
【請求項3】
前記ヘア長さカット装置はレールをさらに備え、
前記少なくとも1つのコーミング要素は、前記レールに沿って前記端部から後退するように構成される、請求項1記載のヘア長さカット装置。
【請求項4】
前記ヘア長さカット装置はモータをさらに備え、
前記少なくとも1つのコーミング要素は前記モータにより後退するように構成されている、請求項1記載のヘア長さカット装置。
【請求項5】
前記ヘア長さカット装置は、前記少なくとも1つのコーミング要素のループと係合するように、前記1本以上の髪の毛を一掃するよう構成された複数の移送歯をさらに備える、請求項1記載のヘア長さカット装置。
【請求項6】
前記ヘア長さカット装置は、カットされた髪の毛を前記本体内から除去するように構成された糸状のフックの付いた材料のベルトをさらに備える、請求項1記載のヘア長さカット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、人のためのヘア長さマッピング装置に関し、これはもう一つの方法として人の髪の毛を所望のヘアスタイルにカットするために適合される。
【0002】
好ましくは、本発明は、人の頭の上の複数の位置で、髪の毛の長さをマッピングするまたは所定の長さの小さい束にカットすることができるコーミング装置を備える。
【背景技術】
【0003】
特定のスタイルに所望な長さに髪の毛をカットするための装置が知られており、概して、カット装置の位置を検出する方法およびカット装置によりカットされる髪の毛の長さを調整する方法が提供される。あるヘアスタイルで位置におけるミリメートル単位の差が髪の毛の長さにおけるセンチメートル単位の差につながりうることを考えれば、設計の重大な要素は、カッターが人の頭に関してどこにあるかおよび人の頭の上の当該位置で髪の毛の長さがどうあるべきかを検出する性能に関する。
【0004】
例えば、特許文献1は、人の頭の周りに電磁場を生成し、頭の上の較正点の位置を検出し、次いでカット装置上で櫛および/またはカッターの位置を変化させて頭からのカッターの距離を変えることに関する。同様に、特許文献2は、頭の凹凸の位置および頭からの距離および角度について調整されるカット要素の位置を検出する、電磁的、光学的、慣性的または他の位置決めシステムに関する。
【0005】
特許文献3には、髪の毛に接触するローラの回転の数を数えることにより髪の毛の長さを測定するヘアカッターが記載される。
【0006】
特許文献4には、電動式カッターが頭の周りを移動する際に頭皮の位置から所要の距離に位置づけられるヘアカット装置が記載されるが、カッター中に髪の毛を引っ張る方法は記載されていない。
【0007】
そのようなヘアカットシステムは、急に長さを変えうるヘアスタイルによって必要とされる髪の毛の長さのグレーディングにどのように対処するか、どのようにしてヘアスタイルにおいてグレーディングされた髪の毛の長さを検出するかおよびどのようにしてミリメートル単位で特定される位置でそのようなグレーディングを適用するか、という全ての既知の問題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2013/163999号
【文献】国際公開第2015/067634号
【文献】独国特許出願公開第19910837号明細書
【文献】国際公開第2015/068068号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、カットまたは髪の毛の長さの検出器を正確に位置付け、かつ、ヘアスタイルに必要とされる髪の毛の長さのグレーディングを正確に適用することの問題を解決することが必要とされる。
【0010】
本発明は、このおよび他の問題への解決手段を提供し、従来技術に対して利点を提供する、または、少なくとも一般人に有用な選択を提供する。
【0011】
本明細書において引用される、任意の特許または特許出願を含む全ての文献は、ここに参照することによって本明細書に組み込まれる。いずれの文献も先行技術を構成することは自認されない。文献の議論は、著者が何を主張しているかを述べており、本出願人は、引用文献の正確性および妥当性を調べる権利を留保する。多くの従来技術の刊行物が本明細書で参照されるが、この参照は、これらの文献のいずれかが、ニュージーランドまたは任意の他の国で当該技術における周知の知識の一部を形成することの自認を構成するものではないことが容易に理解されるであろう。
【0012】
本発明のこれらのおよび他の特徴並びに本発明を特徴付ける利点が、以下の詳細な説明を読み添付の図面を参照することにより明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、使用時に下地に接する端部を有する本体と、
前記下地上の1本以上の髪の毛とスライドするように引っ張る形状に設けられたループを含む少なくとも1つのコーミング要素と、
カットユニットと、を含み、
前記本体の位置は、カメラにより、またはコントロールモジュールから本体上のセンサに発する信号により、もしくは、電磁、音響又は光学の他のシステムを用いて特定できるように設けられ、
前記少なくとも1つのコーミング要素は、適用されるヘアスタイルによって設定されるカット距離で髪の毛をカットするために、引っ張った1本以上の髪の毛を保持しながら前記端部から後退するように構成され、
前記カットユニットは、前記少なくとも1つのコーミング要素によって引っ張られた1本以上の髪の毛を前記カット距離でカットするように構成されている。
【0014】
前記カットユニットはカットブレードである。
【0015】
前記ヘア長さカット装置はレールをさらに備え、
前記少なくとも1つのコーミング要素は、前記レールに沿って前記端部から後退するように構成されている。
【0016】
前記ヘア長さカット装置はモータをさらに備え、
前記少なくとも1つのコーミング要素は前記モータにより後退するように構成されている。
【0017】
前記ヘア長さカット装置は、前記少なくとも1つのコーミング要素のループと係合するように、前記1本以上の髪の毛を一掃するよう構成された複数の移送歯をさらに備えている。
【0018】
前記ヘア長さカット装置は、カットされた髪の毛を前記本体内から除去するように構成された糸状のフックの付いた材料のベルトをさらに備えている。
【0026】
本発明のこれらのおよび他の特徴並びに本発明を特徴付ける利点が、以下の詳細な説明を読み添付の図面を参照することにより明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ヘアトリミング装置および関連する装備の概略側面図
【
図3】本発明で用いられるあるタイプのヘアカット装置の中心的要素の側面図
【
図4】
図1のヘアトリミング装置のヘアエンゲージングコーミングユニットの透視図
【
図7】コーミング装置に関する
図4のカット装置の調整を示す図
【
図8】
図1のヘアトリミング装置のカット装置の側面図
【
図9】コーミング装置の櫛と係合するカット装置の透視図
【
図10】髪の毛と係合したヘアトリミング装置の櫛およびカット装置を示す図
【
図11】髪の毛をカッターに係合するように傾けられた
図10の櫛およびカッターを示す図
【
図12】
図9のカッターのための随意的なヘアガードを示す図
【
図13】櫛中の髪の毛の存在を測定する方法を示す図
【
図15】
図3のカット装置のヘア測定ゾーンから髪の毛を取り除く1つの方法を示す図
【
図17A】ヘア除去ベルトを用いてカットまたは測定ゾーンからカットされていない髪の毛を除去する工程を示す図
【
図17B】ヘア除去ベルトを用いてカットまたは測定ゾーンからカットされていない髪の毛を除去する工程を示す図
【
図17C】ヘア除去ベルトを用いてカットまたは測定ゾーンからカットされていない髪の毛を除去する工程を示す図
【
図18】ヘア除去ベルトから人の頭皮を保護するベースプレートを示す図
【
図19A】カット装置からカットされた髪の毛を除去するためのヘア除去ローラを示す図
【
図19B】カット装置からカットされた髪の毛を除去するためのヘア除去ローラを示す図
【
図19C】カット装置からカットされた髪の毛を除去するためのヘア除去ローラを示す図
【
図20】可変コーミングおよびカッターユニットの側面図
【
図21】可変コーミングおよびカッターユニットの透視図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および2を参照すると、ヘアスタイリングシステムが示される。このシステムは、ヘアスタイルがカットまたは測定されるユーザ102、コントロールモジュール105を用いて102の頭の形状を計算するための装備を含むコントロールボックス101、および、必要に応じて1つ以上のカメラ103および1つ以上の位置確立モジュール104を備える。装置106は、必要に応じてユーザの頭の形状を測定し、ユーザの頭(現在適用されるヘアスタイル)における多くの位置でユーザの髪の毛の長さをマッピングし、あるいは、ユーザの頭に既知のスタイルを適用するために必要な長さにユーザの髪の毛をカットしうる。
【0029】
好ましくは、コントロールボックスは、カメラ103を備えてもよく、その主な目的は、ユーザの頭102の傾き、回転および距離を探知することである。好ましくは、このことは、ユーザの顔の上のキーポイント、例えば眼、鼻、顎および口を既知の態様で同定することにより、および、これらを探知して頭102の方向の変化を特定することにより、行われる。
【0030】
測定またはカット装置106は、その上にセンサを有し、これは、位置確定モジュール104またはユーザの周りの他の場所の他のそのようなモジュールからの信号に反応し、コントロールモジュール105がユーザの頭102に関して装置106の位置を特定できるように信号を発することができる。
【0031】
通常、装置104は、周囲の時間垂直または水平横断を実行する前に全方位信号を発するタイプのレーザビーコンでもよい。装置106上の光学センサは、全方位信号を検出し、次いで、装置106上の特定のセンサによって解明される時間横断(time traverse)における瞬間を検出しうる。全方位信号の検出を、検出された横断表示の時間と相関させることにより、レーザビーコンからの装置106の相対的位置が提供される。装置106上の十分な横断の検出によって、装置106センサの位置の導出が可能となる(2つのレーザビーコンが存在する場合は正確性が増す)。この位置は、装置106からの加速度計の情報と組み合わされて、装置位置の解明および期待位置の予測が提供される。
【0032】
装置106上の複数の別々のセンサからデータを取得することにより、装置106の姿勢の計算が可能となり、装置が人の頭に対して押され装置の長さが既知である場合、人の頭の上のある点の位置はカメラ103からの方位データに関して計算できる。
【0033】
例えば電磁、音響または光学の、ヒトの頭に関して装置106の位置を定める他のシステムを用いてもよく、好ましくは、位置の正確性は1mmのオーダーである。
【0034】
図3は、ヘア測定およびカット装置106の1つの構成の構造の側面図である。この装置は、本体301を備え、本体301は端部に人の頭に接触するためのヘアガイド302が取り付けられ、本体301の内部にカットユニット303およびコーミングユニット304を含むヘア測定およびカットアセンブリを有する。ユニット303および304のサブアセンブリは、少なくとも1つのモータ306の下でレール305上で本体301の長手方向に移動しうる。作動中、測定およびカットサブアセンブリ303、304は、ヘアガイド302に向かって進み、次いで、ヘアガイド302内で髪の毛とスライド可能に係合して引っ込める。本体301は、測定およびカットアセンブリ303、304から髪の毛を清掃し、より多くの髪の毛を処理できるようにするヘアクリアランスベルト307を有してもよい。ヘア測定およびカット装置106はまた、本体301の内側からカットされた髪の毛を取り除くためのヘア除去ローラ308を含んでもよい。また、コーミングユニット304の一部として櫛歯セット309が配置されてもよく、これは、コーミングユニットの下に配置され、髪の毛をコーミングユニット304と係合させるように移動されうる歯を有する。
【0035】
図4は、実施形態においてはコーミングサポート402上にペアで取り付けられることが示される、複数のコーミング要素401のためのピボット機軸を支持する伸長部を含むコーミングユニットアセンブリ304の平面図を示す。各コーミングサポート402は、コーミングサポート402上で歯406とかみ合う回転可能なギア405を有する複数のモータ404の1つにより独立して回転されてもよい。コーミング要素401は好ましくは、弾力性の導電材料のフィラメントであり、同じく導電性でありうる櫛歯406と係合するようにバイアスされる。1本または複数の髪の毛とのコーミング要素401の係合によって、好ましくは、櫛が髪の毛の端部を超えて移動するまで櫛歯406からコーミング要素401を遠ざけるようにバイアスされる。
【0036】
対象の頭、頭皮またはいくつかの他の毛髪下地と接触する装置によって、櫛歯セット309は、櫛歯401との係合から離れて示され、歯ブロック407および埋め込まれた歯408からなる。櫛歯セット309の横方向の移動は、コーミング要素401と係合するように髪の毛を移動させる。櫛歯セット309の他の構成は、カッターと係合するように髪の毛を移動させる補助をするために使用されてもよい。
【0037】
図5は、櫛が人の頭皮504に亘って移動する際にコーミングループ502が髪の毛の束503を捕捉するように、コーミング要素401が、伸長部501を画定するループエントランスを備えるループ502をどのように有するかを示す。コーミング要素は、好ましくは約1.6mm離れるが、他の距離も適切である。好ましくは、櫛歯401のループエントランスは、人の頭皮に垂直である。
【0038】
コーミングループ502との髪の毛の係合は、移送歯408が取り付けられた歯ブロック407がコーミングループ401の間の距離によって実質的に横方向に反復して移動する箇所で、櫛歯セットによって補助されうる。この動作によって、歯401のシャフトに対して髪の毛の束が一掃され、櫛が移動する際に伸長ループ502が髪の毛の束を捕捉および保持することが可能となる。櫛歯セット309の歯は、好ましくは、先端においてシャフト408に対して横方向に45度であり、装置設置時に、櫛歯408の角度が付いた先端は好ましくは櫛のループ502に合致する。櫛歯408の角度の付いた先端は、横方向動作を補助するために横に動く場合に、フックの付いた伸長部501の下方で一掃動作を提供する。
【0039】
図6は、2つのコーミング要素401、および、人の頭皮に対して垂直なコーミングサポート402の動きを可能とするピボットベアリング601を有するコーミングサポート402をより明確に示す。歯406は、回転運動の範囲に亘ってモータ404上でモータギアと係合する。例えば圧電要素のような、人の頭皮と垂直にコーミング要素401を移動させる他の方法を用いてもよい。
【0040】
図7は、カットユニット303が角度的にコーミング要素401から離れておよびそれに向かって反復的に横断する箇所における、測定およびカットサブアセンブリ303、304の側面図を示す。これは、好ましくは、コーミングユニット304の前進運動が、カットユニット304をそれが前進限界位置に近づくにつれて機械的に上昇させることを可能とすることにより行われる。コーミングユニットが前進限界位置に達すると、コーミング要素401は頭皮に近接する。コーミングユニット304がコーミング要素のフックを後退させると、髪の毛の束503と係合する。これによって、測定およびカット装置106が人の頭を横断する際に櫛が髪の毛の束を引っ張ることが可能となり、かつ、コーミングユニット304が前進位置から後退する際にコーミング要素のフックを通して髪の毛が後退することが可能となる。コーミングユニットを後方に移動させることにより髪の毛の束のそれぞれが引っ張られると、カットサブアセンブリ303は、コーミング要素401の上を下方に移動する。カットサブアセンブリが、内部の髪の毛を光学的にまたは物理的に検出することによりカットサブアセンブリ中の髪の毛の存在を検出しうる、かつ、コーミング要素401は、髪の毛の束をカットサブアセンブリ303のカッターと係合するように前方に回転されてもよい。測定およびカットサブアセンブリの全体は、モータ306(
図3)により横方向に戻されてもよく、コーミング要素401にスライド可能に引っ張られる間に髪の毛の長さを測定する、または、コーミングサポートを回転させることによりコーミング要素401に引っ張られたままの髪の毛が測定およびカットサブアセンブリ303のカッター中に髪の毛の束を引き上げるようにカット距離を設定する。各コーミングサポート402について個々のモータを配置することができない間隔では、第2のシリーズの異なる配分のコーミングサポート702にモータ701を提供してもよい。
【0041】
図8および
図9は、歯状配列のコーミング区切りブロック801および横方向に往復可能なカットブレード802を有する測定およびカットヘッド303の側面の特性をより詳細に示す。コーミングブロック801は、髪の毛を軽くつかむように髪の毛に関して高い摩擦係数を有する材料でもよい。カットブレード802は、通常はコーミング要素401中に引っ張られる髪の毛の上であり、コーミングサポート402がコーミング要素401を上昇させるように回転される場合にのみコーミング要素401中に引っ張られた髪の毛をカットする。コーミングサポート402、702は独立して回転可能なので、コーミングサポートが回転されるときに、引っ張られた髪の毛がカットされる時間のコントロールが可能となる(ある場合)。
【0042】
図10は、コーミング要素401中に引っ張られ、歯状配列の歯801の1つと接触する髪の毛503を示す。コーミングサポートブロックは下方位置にあり、カッターブレード802は髪の毛の束503の上にある。
【0043】
図11は、髪の毛がブレード802と接触しカットされている、回転された位置のコーミングサポートにより捕捉された同じ髪の毛を示す。カットおよび測定サブアセンブリおよびコーミングサブアセンブリは、
図10で示される位置よりも、人の頭からさらに移動され、カットされる髪の毛の長さを設定してもよい。
【0044】
図12は、カッターヘッド802のバリエーションを示し、各髪の毛の束503に配置される歯のない部分1201は、ヘアガード1202を有する。各コーミング要素は、頭皮上で係合された髪の毛を有し、コーミング要素は、櫛を通してループを形成する工程において、髪の毛の束がカットされる長さに対応する頭皮からの距離を引っ張られる。ヘアガード1202は、ピンと張った頭皮に付いた髪の毛を係合し、コーミングサポート402が上昇するにつれこの髪の毛をカットブレード802と係合させるようリフトすることにより機能する。カットされた髪の毛の端部は、櫛中に捕捉されたままであり、後に除去されるようにガード1202により保護される。このようにして、各髪の毛は、カッターブレードを通過してループするので二度カットされない。
【0045】
コーミングサポートは独立して回転可能であるので、カットおよび測定サブアセンブリが頭皮から離れる際に独立して上方に回転可能であり、したがって、任意の捕捉された髪の毛の束について異なる長さを可能とする。
【0046】
図13は、人の頭皮上で髪の毛の長さを検出する1つの方法を示し、歯状配列の歯801は絶縁ゴムのものであり、歯状配列の各歯801は、歯801の外側面上に導電性接触ストリップ1301を有する。金属性のコーミング要素401は、コーミング要素中のバイアスによりまたは歯の外側面の垂直からのオフセットにより、歯の外側面に接触するようにバイアスされ、通常は髪の毛がなくなるとストリップ1301の表面に接触する。髪の毛の束が櫛と表面1301との間に位置する場合、髪の毛が櫛から落下しコーミング要素401がコンタクトストリップ1301と接触するのを妨げないほど十分にカットサブアセンブリ303およびコーミングサポートサブアセンブリ403が頭皮から離れるまで、導電性コンタクトは存在しない。このようにして、人の頭皮上の任意の位置における髪の毛の長さが測定されうる。髪の毛がコーミング要素401から離れる時を導電的にまたは光学的に特定する他の方法を用いてもよい。
【0047】
図14Aは、ベーン(vanes)1401を有するコーミング構造によって、髪の毛をコーミング要素401に提示される束に分けるヘアガイド302を示す。コーミング構造のベーン1401の各対の間には、コーミング要素401がそこを通って突出できる穴1402が存在する。
図14Bはさらに、ベーン1401の間に位置する限られた柔軟性の細長いピンのアレイからなるピンマトリクス1403を示す。好ましくは、ピンは、0.1mm幅~1mm幅および0.2mm~2mm高さの断面である。ピン1403は、捕捉された髪の毛のもつれあいを防ぎ、一定のカット長さの提供を補助する作用をする。好ましくは、ピンは、垂直から頭皮または下地に対して実質的に60度にあるが、他の角度が髪の毛の分離効果を提供する。
【0048】
図15は、ユーザの頭皮102上で髪の毛503を通って左に押されるヘアガイド302の断面図を示す。髪の毛がコーミング要素401の周辺に入ると、コーミングサポートの本体304が右に横断されるにつれてコーミング要素中に捕捉される。髪の毛がカットおよび測定アセンブリ304の全てのコーミング要素から出ると、たるみ、細長い本体1501上に位置する反時計回りベルト1502により係合される。
図16は、ベルト1502および支持体1501をより詳細に示す。好ましくは、ベルト1502は、例えばシリコーンゴムのような保持力のある性質のものである、または、フックおよびループファブリックのコンパクトにフックされたバージョンのものであり、一方で支持体1501は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コーティングのような低摩擦係数を有する。
図17A、BおよびCによりよく示されるように、たるんだ髪の毛はベルト1502により捕捉され、その下に徐々に移動されて頭皮上に再び位置する。
【0049】
図18は、延長ガイド歯1802およびヒトの頭皮上の髪の毛の上にベルトを維持することを目的とする離間フィン1803を有する、ベルト1502のためのシールド1801を示す。
【0050】
図19A、BおよびCは、
図3において概して308と指定される、ヘア除去ローラの動作を示す。ローラは、カットおよび測定装置301の本体内からカットされた髪の毛を除去することを目的とする。測定およびカットサブアセンブリ303、304が右に横断する場合、髪の毛を一緒に引っ張り、他のカットされた髪の毛の端部が装置301の本体内に集まりうる。完全に横断させると、レバー1904を下げ、平坦な逆回転ローラ1901、1902の表面に係合してもよい。この動作により、髪の毛および髪の毛の端部がローラの間およびそれらの間の下方のピンチポイントに供給される。ローラに付着する任意の髪の毛は、各ローラに接触するヘアガード1903により剥がされる。あるいは、髪の毛は、装置301に取り付けられた真空ユニットにより、または、フックおよびループファスナで用いられ一対の駆動ローラの間を移動する糸状フック材料のベルトにより、除去されうる。除去が完了すると、レバー1904が上げられ、測定およびカットサブアセンブリが左に横断される。
【0051】
図20は、
図7に示されるように傾けられるのではなく長手レール305の平面にカッターヘッド303の移動が実質的に存在する、
図7の櫛およびカッターのバリエーションを示す。これによって、カットヘッド駆動の複雑さが低減される。
【0052】
図21は、コーミング区切り歯ブロック801および横断反復可能カットブレード802を有する櫛401のバリエーションを示す。歯801は硬いが、導電性コーティング1301中に被覆される。導電性コーミング要素401は、通常の動作では導電性コーティング1301に対してバイアスされるが、髪の毛503が捕捉され櫛中に保持される場合、導電性コーティングから外される。これによって、頭皮から離れる際の櫛中の髪の毛の存在を検出することができ、必要な距離で髪の毛をカットすることができる。櫛の湾曲先端2101は、ブロック801の側方の平面に実質的に存在してもよく、それらに対してコーミング要素におけるねじれによりバイアスされてもよい。
【0053】
装置106は、通常はブルートゥース(登録商標)または他の短距離無線通信により、コントロールモジュール105と通信する。装置本体上の離間光学センサから受け取った位置情報を用いて、コントロールモジュールは、モジュール104を設置する位置に関してセンサの現在の位置を計算することができる。これによって、装置の方向が計算でき、装置の既知の寸法を用いて、ヘアガイド302の先端がどこに位置するかを計算することが可能となる。
【0054】
カメラ103によって、頭102の現在の位置および方向が計算でき、したがって、ヘアガイド302の先端が頭102に関してどこにあるかを起算することが可能となる。
【0055】
人の頭皮に亘って装置106を移動させることにより、人の頭の形状を記録することができ、これが行われている間にカット動作をせずにコーミングユニット304を動作させることにより、髪の毛の長さを測定し頭の形状にマッピングすることができる。
【0056】
あるいは、頭の形状が記録されると、適用されるヘアスタイルが選択され、装置106がコーミングユニット304およびカットユニット303と共に頭の上を移動されてこのスタイルを人の頭に適用するよう動作する。
【0057】
本発明の他のバリエーションが可能であり、例えば、
図14Bのピンマトリクスは、髪の毛のもつれを解くために真空吸引により、または剛毛の緩いアレイにより置換されてもよい。
【0058】
本発明のさまざまの実施形態の多くの特徴および利点が、本発明のさまざまの実施形態の構造および機能の詳細と共に上記の説明に述べられてきたが、本開示は例示に過ぎず、本発明の機能が悪影響を受けない限り変化を細部にわたって行ってもよいことが理解されるべきである。例えば、ヘアカットおよび測定装置の特定の要素は、本発明の精神および範囲において一律に用いられる特定の用途に依存して変化してもよい。
【0059】
さらに、本明細書に記載される好ましい実施形態はヘアグルーミングシステムにおける使用のためのカッターを対象とするが、添付の請求項の範囲内でバリエーションおよび変更が可能であることが当業者に理解されるであろう。
他の実施形態
1. 下地の上で髪の毛の長さをマッピングし、以下:
それぞれ1本以上の髪の毛を前記下地に近接してスライド可能に引っ張るよう形成される、複数のヘア保持コーミング装置;
スライド可能に引っ張られた前記髪の毛を保持しながら、ある程度の距離を前記下地から引っ込めることのできる各コーミング装置;
前記ある程度の距離が前記捕捉された髪の毛の長さをいつ超えるかを検出する各コーミング装置;
前記ヘア長さマッピング装置の各コーミング装置が、前記下地に対する現在の位置に関してマッピングできる位置、
を提供する、ヘア長さマッピング装置。
2. 前記下地が人の頭皮であることを特徴とする、実施形態1に記載のヘア長さマッピング装置。
3. 前記下地に対する前記ヘア長さマッピング装置の位置が、ビーコンシステムに関して前記ヘア長さマッピング装置の位置を検出することにより、および、同じビーコンシステムに対する前記下地の位置を検出することにより特定されることを特徴とする、実施形態1に記載のヘア長さマッピング装置。
4. 前記各コーミング装置が、柔軟な導電性のヘアエンゲージングフィラメントを有する少なくとも1つのコーミング要素を備え、これは通常は櫛歯の導電性要素と接触し、前記柔軟な導電性のヘアエンゲージングフィラメントとの髪の毛の係合によって前記櫛歯から遠ざからせることができることを特徴とする、実施形態1に記載のヘア長さマッピング装置。
5. 下地の上で髪の毛を所定の長さにカットし、以下:
それぞれ1本以上の髪の毛を前記下地に近接してスライド可能に引っ張るよう形成される1つ以上のコーミング要素を有する、少なくとも1つのヘア保持コーミング装置;
前記引っ張られた髪の毛をスライド可能に保持しながら、ある程度の距離を前記下地から引っ込めることのできる各コーミング装置;
前記下地に関してマッピング可能である、前記ヘア長さカット装置の各コーミング装置の位置;
前記ある程度の距離が、前記下地の上で前記コーミング装置のマッピング可能な位置におけるコーミング装置についての特定の長さを超える場合に、各コーミング装置における髪の毛のカット、
を提供するヘア長さカット装置。
6. 前記カット装置は、前記下地の上を次第に移動し、各コーミング装置の前記櫛は、各工程の前に前進し各工程の後に引っ込むことを特徴とする、下地の上で前記髪の毛を所定の長さにカットする実施形態4に記載のヘア長さカット装置。
7. 前記コーミング装置は、前記髪の毛を複数の束に分け、該束は前記櫛に取り付けられるヘア保持装置の進路に配置され、前記櫛およびヘア保持装置はカットされる前記髪の毛を引っ張るように移動されることを特徴とする、実施形態4に記載のヘア長さカット装置。
8. 前記各コーミング装置は、髪の毛の束を保持する部分を備える櫛歯を有し、ヘア移送歯が提供され、前記コーミング装置内の髪の毛を櫛歯の髪の毛の束を保持する部分と係合するように移動させることを特徴とする、実施形態6に記載のヘア長さカット装置。
9. 前記コーミング装置が引っ込むと、前記引っ張られた髪の毛がある程度の長さにカットされることを特徴とする、実施形態4に記載のヘア長さカット装置。
10. 前記カットされた髪の毛は、糸状のフックの付いた材料に覆われたベルトにより前記カッター装置内から除去されることを特徴とする、実施形態8に記載のヘア長さカット装置。
11. 1本以上の髪の毛を下地に近接してスライド可能に引っ張ることができる少なくとも1つのヘア保持コーミング装置を提供する工程;
多くの髪の毛の束として少なくとも1つのヘア保持コーミング装置内で髪の毛を反復的に引っ張る工程;
前記引っ張られた髪の毛の束を、連続的に調整可能な所定の長さに反復的に引っ張る工程;
前記引っ張られた髪の毛の束を、前記所定の長さ未満の長さに反復的にカットする工程、
により、髪の毛をカットする方法。
12. 前記ヘア保持コーミング装置が、それぞれが髪の毛を保持する部分で髪の毛の束を保持するよう構成される櫛歯を含むことを特徴とする、実施形態8に記載の方法。
13. 前記ヘア保持コーミング装置が、それぞれが髪の毛を保持する部分の櫛歯に髪の毛を反復的に移動させるよう構成されるヘア移送歯を備えることを特徴とする、実施形態9に記載の方法。
【産業上の利用性】
【0060】
本発明のヘアカットおよび測定装置は、ヘアスタイルの測定および作成において用いられ、ヘアドレッシング産業において用いられる。したがって、本発明は産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
101 コントロールボックス
102 ユーザ
106 装置
301 本体
302 ヘアガイド
303 カットユニット
304 コーミングユニット