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特許7414263エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240109BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240109BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20240109BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20240109BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/42
A61Q5/08
A61Q5/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020010671
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021116260
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】旭 宏章
(72)【発明者】
【氏名】梅田 明宏
(72)【発明者】
【氏名】飯田 香苗
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-011292(JP,A)
【文献】特開2007-314523(JP,A)
【文献】国際公開第2012/117846(WO,A1)
【文献】特開2011-063588(JP,A)
【文献】特開2014-047171(JP,A)
【文献】特開2016-150903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剤および第2剤ともに、(A)HLBが12未満である非イオン性界面活性剤、グリセリル脂肪酸エステルおよびアルキルアルカノールアミドから選ばれる少なくとも1種以上、(B)カチオン性界面活性剤を含有し、
第1剤および第2剤ともに、前記(A)成分の含有量が1~15質量%であり、前記(B)成分の含有量が0.2~20質量%であり、炭素数が16から22である直鎖または分岐鎖状である高級アルコールおよび炭素数が16から22である直鎖または分岐鎖状である高級脂肪酸の含有量が0.1質量%以下であるエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)、ステアリン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドおよびヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1または請求項2に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に関する。更に詳しくは、低温条件下における起泡力および高温条件下における泡持ちに優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、染毛剤としてはパラフェニレンジアミンやトルエン-2,5-ジアミンなどの酸化染料およびアンモニアやモノエタノールアミンなどのアルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素などの酸化剤を含有する第2剤とからなる2剤式酸化染毛剤が広く用いられている。この2剤式酸化染毛剤は、毛髪表面に塗布することで毛髪内部に浸透後、毛髪内部で酸化染料が重合し、酸化染料が発色し毛髪が染色されるものである。
【0003】
2剤式酸化染毛剤は、液状またはクリーム状のものが普及している。その塗布方法としては、ハケやブラシを用いる事が一般的であるが、毛髪全体を均一にムラなく塗布することは、慣れない人にとっては困難である。特に毛髪内側の根元部分や後頭部の塗布には、ブロッキングや合わせ鏡などのスキルが必要であり、多くの時間を要し、大変困難な作業となっている。
【0004】
これに対し、泡状の2剤式酸化染毛剤は、毛髪への塗布作業に慣れていない人でも毛髪全体に染毛剤を容易に塗布でき、染毛操作が簡便化され、かつムラなく染め上げることができることから、市場においても幅広い年代に支持されてきている。例えば、2剤式酸化染毛剤を2つのエアゾール缶を連結したタイプの吐出容器から同時に泡状に吐出させるエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物(特許文献1)や、液状の2剤式酸化染毛剤をフォーマー容器から泡状に吐出させるノンエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物(特許文献2)がある。
【0005】
エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物は、低温で使用されることがあるが、前記組成物に使用されるLPG等の噴射剤は、低温下では気化し難くなり、前記組成物の原液を発泡させる効果が弱くなる。また、前記組成物の原液は温度が低くなるにつれ粘度が上昇する傾向があり、低温条件下においてエアゾール缶から吐出し難くなる恐れがある。そこで、低温条件下における泡形成性を向上させたエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-287534号公報
【文献】特開2004-339216号公報
【文献】特開2017-57154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3では、HLBが12未満であるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤とHLBが12以上である非イオン性界面活性剤とを組み合わせることで低温条件下における起泡力を向上させている。しかし、使用者が前記エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物を毛髪に塗布し放置した際、使用者の体温が前記エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物に伝わることで、前記エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の粘度が低下し、毛髪表面に保持することが困難となる恐れがあった。このことから、エアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の高温条件下における泡持ちを向上させる技術が望まれている。
【0008】
そこで本発明の課題は、低温条件下における起泡力、および高温条件下における泡持ちに優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも1つの剤に、(A)HLBが12未満である非イオン性界面活性剤、グリセリル脂肪酸エステルおよびアルキルアルカノールアミドから選ばれる少なくとも1種以上、(B)カチオン性界面活性剤を含有し、かつ、高級アルコールおよび高級脂肪酸を実質含まないことを特徴とすることで、低温条件下における起泡力、および高温条件下における泡持ちに優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、低温条件下における起泡力、および高温条件下における泡持ちに優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、少なくとも1つの剤に、(A)HLBが12未満である非イオン性界面活性剤、グリセリル脂肪酸エステルおよびアルキルアルカノールアミドから選ばれる少なくとも1種以上、(B)カチオン性界面活性剤を含有し、かつ、高級アルコールおよび高級脂肪酸を実質含まないことを特徴とするエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物である。
【0013】
エアゾール型泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物は1剤式、もしくは複数剤式である。1剤式としても良いし、2剤式としても良いし、3剤式以上としても良いが、好ましくは2剤式である。本明細書において「少なくとも1つの剤」とは、1剤式の場合はそれ自身のことであり、複数剤式の場合は、そのうちの1つの剤もしくは複数の剤のことをいう。
【0014】
本発明のエアゾール型泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物は、低温条件下における起泡力の観点から(A)HLBが12未満である非イオン性界面活性剤、グリセリル脂肪酸エステルおよびアルキルアルカノールアミドから選ばれる少なくとも1種以上(以下(A)成分と記す)を含有する。
【0015】
本発明におけるHLBが12未満である非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が使用できる。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(4.2E.O.)「HLB=10.0」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(5E.O.)「HLB=10.8」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.)「HLB=5.3」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.)「HLB=9.5」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.)「HLB=4.9」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.)「HLB=9.0」、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)「HLB=8.1」、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(10E.O.)「HLB=11.5」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(3E.O.)「HLB=2.8」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)「HLB=6.4」、およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)「HLB=9.7」などが挙げられる。前述記載した成分の中でも、泡持ちの観点から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(4.2E.O.)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(5E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2E.O.)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(5E.O.)、およびポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)が好ましい。これらの成分は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0016】
「HLB」とは、親水親油バランス:HYDROPHILE―LIPOPHILE BALANCEの略称であって、界面活性剤の分子が持つ親水性と親油性の相対的な強さを表すパラメーターである。HLBの値が大きいほど親水性が強く、HLBの値が小さいほど親油性が強い。本明細書に記載のHLBが12未満である非イオン性界面活性剤は、公知のGRIFFINの式から算出している。
【0017】
本発明におけるグリセリル脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、および多価アルコール脂肪酸エステルが使用できる。より具体的には、アルキル(8~16)グルコシド、およびステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。前述記載した成分の中でも、泡持ちの観点から、ステアリン酸グリセリルが好ましい。これらの成分は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0018】
本発明におけるアルキルアルカノールアミドとしては、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドおよびヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これらの成分は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0019】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の原液中の前記(A)成分の含有量は、好ましくは0.5質量%~15質量%であり、より好ましくは1質量%~15質量%である。前記(A)成分の含有量が0.5質量%未満では、低温条件下における起泡力が極端に低下する恐れがある。一方、前記(A)成分の含有量が15質量%を超えると、組成物の粘度が高くなるためエアゾール缶より吐出ができなくなる恐れがある。
【0020】
本発明のエアゾール型泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物は、高温条件下における泡持ちの観点から成分(B)カチオン性界面活性剤(以下(B)成分と記す)を含有する。
【0021】
本発明のエアゾール型泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に含有できる前記(B)成分としては、特に限定されないが、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられ1種以上を含有することができる。
【0022】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の原液中の前記(B)成分の含有量は、特に限定されないが、高温条件下における泡持ちの観点から、好ましくは0.1質量%~20質量%であり、より好ましくは0.2質量%~10質量%である。前記(B)成分が0.1質量%未満では、高温条件下における泡持ちが低下する恐れがある。一方、前記(B)成分が20質量%を超えると、組成物の粘度が高くなるためエアゾール缶より吐出ができなくなる恐れがある。
【0023】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物には、HLBが12以上である非イオン性界面活性剤が含有されてもよい。
【0024】
本発明におけるHLBが12以上である非イオン性界面活性剤としては、HLBが12以上である公知の非イオン性界面活性剤を広く使用できる。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(9E.O.)「HLB=13.6」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(21E.O.)「HLB=16.6」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.)「HLB=12.9」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)「HLB=14.6」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)「HLB=15.7」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)「HLB=16.9」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)「HLB=17.6」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)「HLB=15.3」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(40E.O.)「HLB=17.3」、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(20E.O.)「HLB=15.4」、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(30E.O.)「HLB=16.6」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)「HLB=17.3」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)「HLB=18.1」、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100E.O.)「HLB=18.8」などが挙げられる。前述記載した成分の中でも、安定性の観点から、ポリオキシエチレンセチルエーテル(15E.O.)「HLB=14.6」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)「HLB=15.7」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.)「HLB=16.9」、ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.)「HLB=17.6」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)「HLB=15.3」、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(40E.O.)「HLB=17.3」が好ましい。これらの非イオン性界面活性剤は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0025】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の原液中のHLBが12以上である非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%~10質量%である。HLBが12以上である非イオン性界面活性剤の含有量が20質量%を超えると、組成物の粘度が高くなるためエアゾール缶より吐出ができなくなる恐れがある。
【0026】
本発明に記載の「実質含まない」とは、本発明の効果を損なわない程度に含有しても構わないことを表し、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
【0027】
本発明の高級アルコールとは、炭素数が16から22である直鎖または分岐鎖状であり、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0028】
本発明の高級脂肪酸とは、炭素数が16から22である直鎖または分岐鎖状であり、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
【0029】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物には、逆浸透膜、およびイオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を用いて処理された精製水が含有されてもよい。
【0030】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に含有できる、逆浸透膜およびイオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を用いて処理された精製水の25℃における電気伝導度は、好ましくは1mS/m以下であり、より好ましくは0.1mS/m以下であり、さらに好ましくは0.05mS/m以下であり、さらに好ましくは0.01mS/m以下である。前記精製水は、浄水、水道水、地下水および海水から選ばれる少なくとも1種以上を、逆浸透膜、およびイオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を用いて処理することで得ることができる。前記精製水が1mS/mを超えた場合、乳化安定性が低下する恐れがある。なお、電気伝導率は、例えば、電気伝導率計CM-42X(東亜ディーケーケー株式会社製)等の一般的な電気伝導率計を用いて測定することができる。
【0031】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤には、アルカリ剤が含有される。
【0032】
本発明のアルカリ剤としては特に限定されるものではなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどの無機アルカリ、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸およびそれらの塩などが挙げられる。これらのアルカリ剤は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0033】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤の原液中におけるアルカリ剤の含有量は、1質量%~10質量%であり、より好ましくは1.5質量%~8質量%である。
【0034】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物の第1剤には、染料として酸化染料が含有される。
【0035】
本発明の酸化染料としては特に限定されるものではなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、パラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、5-アミノオルトクレゾール、パラアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、ピクラミン酸、2-アミノ-5-ニトロフェノール、およびそれらの塩類が挙げられ、その他、「医薬部外品原料規格2006統合版」(2013年11月25日発行、薬事日報社)に収載されるものを適宜用いることができる。これらの染料は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0036】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤および脱色剤組成物の第1剤には、染料、または着色剤として酸性染料、塩基性染料などが含有されてもよい。
【0037】
本発明の酸性染料や塩基性染料としては特に限定されるものではなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、赤色104号(1)、赤色227号、黄色202号(1)、だいだい色205号、緑色401号、紫色401号、黒色401号、8-アミノ-2-ブロム-5-ヒドロキシ-4-イミノ-6-[(3-(トリメチルアンモニオ)フェニル)アミノ]-1(4H)-ナフタリノン-クロライド(CI56059;ベーシック・ブルーNo.99)、トリス(4-アミノ-3-メチルフェニル)-カルベニウム-クロライド(CI42520;ベーシック・バイオレットNo.2)、1-[(4-アミノフェニル)アゾ]-7-(トリメチルアンモニオ)-2-ナフトール-クロライド(CI12250;ベーシック・ブラウンNo.16)、1-[(4-アミノ-3-ニトロフェニル)アゾ]-7-(トリメチルアンモニオ)-2-ナフトール-クロライド(CI12251;ベーシック・ブラウンNo.17)、2-ヒドロキシ-1-[(2-メトキシフェニル)アゾ]-7-(トリメチルアンモニオ)-ナフタリン-クロライド(CI12245;ベーシック・レッドNo.76)、2-[2((2、4-ジメトキシフェニル)アミノ)エテニル]-1、3、3-トリメチル-3H-インドール-1-イウム-クロライド(CI48055;ベーシック・イエローNo.11)などが挙げられる。これらの酸性染料や塩基性染料は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。その他、「医薬品などに使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年厚生省告示)に収載されたものも適宜用いることができる。これらの染料は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0038】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤には、染料の安定性の向上のために、亜硫酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩などの酸化防止剤、エデト酸塩などの安定剤を使用することができる。また、前述記載した成分のほか、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、油性成分、毛髪保護剤、着香料、高分子化合物、紫外線吸収剤、浸透剤、湿潤剤なども本発明の酸化染毛剤の性能を損なわない程度に適宜加えてもよい。
【0039】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第2剤には、酸化剤が含有される。
【0040】
本発明の酸化剤としては特に限定されるものではなく、公知のものを広く使用できる。より具体的には、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、臭素酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの酸化剤は単独で含有させてもよいし、2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0041】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第2剤の原液中の酸化剤の含有量としては、1質量%~10質量%が好ましく、より好ましくは2質量%~8質量%である。
【0042】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第2剤には、酸化剤の安定性の向上のためにリン酸、リン酸塩などの酸剤、エデト酸塩などの金属封鎖剤を使用することができる。また、前述記載した成分のほか、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、油性成分、毛髪保護剤、着香料、高分子化合物、紫外線吸収剤、浸透剤、湿潤剤なども本発明の酸化染毛剤の性能を損なわない程度に適宜加えてもよい。
【0043】
本発明のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物には噴射剤が含有される。エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に使用される噴射剤としては特に限定されるものではなく、LPG、ジメチルエーテル、窒素、二酸化炭素などが挙げられ、エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤原液、または第2剤原液と混合される。前記原液と前記噴射剤との混合比(質量比)は、吐出後の泡立ちの観点から、好ましくは原液:噴射剤=97:3~90:10であり、さらに好ましくは、97:3~93:7である。
【実施例
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の調製>
(実施例1から実施例39および比較例1から比較例5)
実施例1から実施例39および比較例1から比較例5記載の原液を調製し、得られた原液と噴射剤を質量比95:5の割合で加えて40gとなるようにエアゾール式吐出容器に充填し、実施例1から実施例39および比較例1から比較例5のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤および第2剤を得た。なお、各成分の含有量を示す数値の単位は質量%であり、噴射剤は、ガス圧0.29MPaのLPGを用いた。
【0045】
高温条件下における泡持ち試験は、40℃の恒温室にて、エアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤と第2剤を1:1の割合で混合して試験を実施する。実施例1から実施例29、実施例38および比較例1から比較例3のエアゾール式泡状酸化染毛剤組成物に使用する標準第2剤原液および実施例30から実施例37、実施例39および比較例4、比較例5のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物に使用する標準第1剤原液を以下に記す。これら標準第1剤原液、標準第2剤原液に関しても、得られた原液と噴射剤を質量比95:5の割合で加えて40gとなるようにエアゾール式吐出容器に充填しエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の標準第1剤、および標準第2剤を得た。噴射剤は、ガス圧0.29MPaのLPGを用いた。
【0046】
<標準第1剤原液>
トルエン-2,5-ジアミン 1.0%
レゾルシン 0.5%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.) 3.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.0%
モノエタノールアミン 8.0%
精製水 85.5%
合計 100.0%
【0047】
<標準第2剤原液>
ポリオキシエチレンセチルエーテル(2E.O.) 3.0%
ポリオキシエチレンセチルエーテル(40E.O.) 2.0%
過酸化水素 6.0%
リン酸 0.5%
リン酸水素二ナトリウム 0.8%
精製水 87.7%
合計 100.0%
【0048】
<低温条件下における起泡力試験>
低温条件下(5℃)に一晩放置した実施例1から実施例39および比較例1から比較例5に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤および第2剤に関して、低温条件下から取り出した直後に、目盛りが記載されている直径70mm×高さ100mmである円筒状の透明な容器に空間を埋めるように15g吐出した。吐出後の泡の天面の高さ(Zb)を測定し、下に示すように評価した。高さ(Zb)の小数点以下は四捨五入した。
高さ(Zb)=30mm以上 : ◎
高さ(Zb)=20mm以上、30mm未満 : ○
高さ(Zb)=10mm以上、20mm未満 : △
高さ(Zb)=10mm未満 : ×
【0049】
<高温条件下における泡持ち試験>
高温条件下における泡持ち試験は、40℃の恒温室内にて実施した。実施例1から実施例39および比較例1から比較例5に記載のエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の第1剤、第2剤およびそれと対となるエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物の標準第1剤および標準第2剤を40℃の恒温室内に一晩放置し、それぞれの組み合わせにて混合比が1:1の割合になるように同時に吐出し、ガラス棒を用いて第1剤と第2剤の泡を混合し、混合後の泡を目盛りが記載されている直径70mm×高さ100mmである円筒状の透明な容器にヘラで均一に充填した。充填後、泡の天面の高さ(X)と40分後の泡の天面の高さ(Y)との変化率(Y/X×100)を計算し、下に示すように評価した。変化率の小数点以下は四捨五入した。
変化率(Y/X×100)=80~100 : ◎
変化率(Y/X×100)=60~ 79 : ○
変化率(Y/X×100)=40~ 59 : △
変化率(Y/X×100)=39未満 : ×
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
表1および表2に記載の実施例1から実施例16は、比較例1と比べ、前記(A)成分の種類および含有量を代えても良好な結果を示した。
【0052】
【表3】
表3に記載の実施例17から実施例27は、比較例2と比べ、前記(B)成分の種類および含有量を代えても良好な結果を示した。
【0053】
【表4】
表4に記載の実施例28および実施例29は、比較例3と比べ、高級アルコールが実質含まれない含有量において良好な結果を示した。
【0054】
【表5】
表5に記載の実施例30から実施例34は、比較例4と比べ、前記(A)成分の種類および含有量を代えても良好な結果を示した。
【0055】
【表6】
表6に記載の実施例35から実施例37は、比較例5と比べ、前記(B)成分の種類および含有量を代えても良好な結果を示した。
【0056】
下記の実施例38の第1剤と、実施例39の第2剤に関して、各原液組成物と噴射剤とを95:5の比率にて充填した後、低温条件下において起泡力試験および高温条件下における泡持ち試験を実施しても良好な結果を得た。
【0057】
実施例38
<第1剤原液>
塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール 0.2%
パラフェニレンジアミン 1.0%
トルエン-2,5-ジアミン 2.5%
パラアミノフェノール 0.8%
メタアミノフェノール 0.3%
レゾルシン 1.3%
5-アミノオルトクレゾール 0.7%
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.7%
モノエタノールアミン 6.4%
ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液 1.0%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 3.0%
ポリエチレングリコール200 2.0%
亜硫酸ナトリウム 0.2%
硫酸マグネシウム 0.1%
L-アスコルビン酸 0.5%
(加水分解シルク/PG-プロピルメチルシランジオール)
クロスポリマー 0.2%
DL-リンゴ酸ナトリウム 1.0%
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液 2.5%
加水分解コンキオリン液 0.1%
ローヤルゼリーエキス 0.1%
アンズ果汁 0.1%
加水分解シルク液 0.1%
大豆たん白加水分解物 0.1%
海藻エキス(1) 0.1%
水溶性コラーゲン液(3) 0.1%
黄色202号-(1) 0.1%
精製水 69.8%
第1剤原液合計 100.0%
【0058】
実施例39
<第2剤原液>
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0%
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.7%
ポリエチレングリコール200 2.0%
過酸化水素 6.0%
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 3.0%
水酸化カリウム 0.1%
ヒドロキシエタンジホスホン酸液 0.5%
精製水 82.7%
第2剤原液合計 100.0%
【産業上の利用可能性】
【0059】
本願により、低温条件下における起泡力および高温条件下における泡持ちに優れたエアゾール式泡状酸化染毛剤または脱色剤組成物が提供される。