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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】伸縮アーム装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/04 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B25J18/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020050860
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021146476
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日 令和2年2月3日 ウェブサイトのアドレス https://www.robodex.jp/ja-jp.html https://jan2020.tems-system.com/exhiSearch/ROBO/jp/Details?id=fTVhwiwYGfo%3D&type=2&rel=undefined https://www.google.com/maps/uv?hl=ja&pb=!1s0x60186061c96a079d%3A0xc14b86f455048f41!3m1!7e115!4shttps%3A%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipMDWPVJY5DmkyhsxpII8tgYwVwIHd9FT-O0FgIp%3Dw224-h160-k-no!5z44Kr440D440I440p440z440J44K4440j440R440zIC0gR29vZ2xlI0akn0e0og!15sCAQ&imagekey=!1e10!2sAF1QipNvksVlvtAVp0Yiz4zhuCBc0RKKyzkAger9Ha68&sa=X&ved=2ahUKEwjer8KlurbnAhVCZt4KHb-uCfUQoiowC3oECA8QBg&cshid=1580769991384526# https://www.google.com/search?sxsrf=ACYBGNSBiW4RElTnxpsNTgR6dsuFp9yhWg%3A1580770341465&source=hp&ei=JaQ4XruNGtvl-Aa1irioBg&q=%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3&oq=&gs_l=psy-ab.1.0.35i362i39110.0.0..1520...2.0..0.0.0.......0......gws-wiz.....10.baCnvqcy2R4#lpstate=pid:1787953264220065965,av 展示会名 第4回ロボテックス ロボット開発・活用展 展示日 令和2年2月12日乃至14日
(73)【特許権者】
【識別番号】512057460
【氏名又は名称】株式会社 カットランドジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】森 健一
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-269591(JP,A)
【文献】特表2020-517478(JP,A)
【文献】特開2017-104921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0261931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、該基体に連結された伸縮可能なアーム部と、該アーム部の先端側に連結された手首部を有するロボットアーム装置であって、
前記手首部は、基部と、該基部に回転自在に設けられた第一プーリと、該第一プーリに連結されているハンド部取付部を具え、
前記基体は、少なくとも1つの駆動モータ、少なくとも1つの第一差動モータと、第一線状部材を送出し又は引戻すための第一回転部材及び第二回転部材と、前記第一及び第二回転部材に対応する、回転可能な第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、及び第一・第二リングギアからそれぞれ構成される第一・第二遊星歯車機構を具え、
前記第一線状部材は前記第一プーリに掛けられ、
前記第一回転部材は、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記第二回転部材は、前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記駆動モータからのトルクは、前記第一・第二回転部材にトルクを伝達する前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでない、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれか及び前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記第一差動モータからのトルクは、前記第一・第二回転部材にトルクを伝達する前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでなく、且つ、前記駆動モータからトルクが伝達される前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでない、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれか及び前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記アーム部が伸びるときに前記駆動モータからのトルクにより第一・第二回転部材が回転させられ、前記第一線状部材を前記アーム部の伸び量に応じた送出量で送出し、
前記アーム部が縮むときに前記駆動モータからのトルクにより第一・第二回転部材が回転させられ、前記第一線状部材を前記アーム部の縮み量に応じた引戻量で引戻し、
前記第一差動モータからのトルクにより、前記第一・第二回転部材を回転させ、前記第一線状部材を送出し及び引戻し、前記第一プーリを回転させるように構成されていることを特徴とする、
ロボットアーム装置。
【請求項2】
前記第一プーリが第一かさ歯車を具え、
前記ハンド部取付部が、前記第一かさ歯車の軸に対して直交する軸を中心に回転自在に設けられるとともにハンド部かさ歯車を具え、
前記第一プーリとハンド部取付部が、前記第一かさ歯車とハンド部かさ歯車が噛合うことにより連結されている、請求項1のロボットアーム装置。
【請求項3】
前記手首部が、さらに、前記基部に回転自在に設けられた第二プーリを具え、
前記第二プーリが、前記第一かさ歯車の軸と平行な軸を有し、前記ハンド部かさ歯車と噛合う第二かさ歯車を具え、
前記基体が、さらに、第二線状部材を送出し又は引戻すための第三回転部材及び第四回転部材と、前記第三及び第四回転部材に対応する、回転可能な第三・第四サンギア、第三・第四遊星ギア、及び第三・第四リングギアからそれぞれ構成される第三・第四遊星歯車機構を具え、
前記第二線状部材は前記第二プーリに掛けられ、
前記第三回転部材は、前記第三サンギア、第三遊星ギア、又は第三リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記第四回転部材は、前記第四サンギア、第四遊星ギア、又は第四リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記駆動モータからのトルクが、さらに、前記第三・第四回転部材にトルクを伝達する前記第三・第四サンギア、第三・第四遊星ギア、又は第三・第四リングギアでない、前記第三サンギア、第三遊星ギア、又は第三リングギアのいずれか及び前記第四サンギア、第四遊星ギア、又は第四リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記第一差動モータからのトルクが、さらに、前記第三・第四回転部材にトルクを伝達する前記第三・第四サンギア、第三・第四遊星ギア、又は第三・第四リングギアでなく、且つ、前記駆動モータからトルクが伝達される前記第三・第四サンギア、第三・第四遊星ギア、又は第三・第四リングギアでない、前記第三サンギア、第三遊星ギア、又は第三リングギアのいずれか及び前記第四サンギア、第四遊星ギア、又は第四リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記アーム部が伸びるときに前記駆動モータからのトルクにより第三・第四回転部材が回転させられ、前記第二線状部材を前記アーム部の伸び量に応じた送出量で送出し、
前記アーム部が縮むときに前記駆動モータからのトルクにより第三・第四回転部材が回転させられ、前記第二線状部材を前記アーム部の縮み量に応じた引戻量で引戻し、
前記第一差動モータからのトルクにより、前記第三・第四回転部材を回転させ、前記第二線状部材を送出し及び引戻し、前記第二プーリを前記第一プーリと同じ方向へ回転させるように構成されている、請求項2のロボットアーム装置。
【請求項4】
前記ハンド部取付部が、さらに、前記第一かさ歯車の軸に対して平行な軸を中心に回転自在に設けられ、
前記基体が、さらに、少なくとも1つの第二差動モータを具え、
前記第二差動モータからのトルクが、前記第一乃至第四回転部材にトルクを伝達する前記第一乃至第四サンギア、第一乃至第四遊星ギア、又は第一乃至第四リングギアでなく、且つ、前記駆動モータからトルクが伝達される前記第一乃至第四サンギア、第一乃至第四遊星ギア、又は第一乃至第四リングギアでない、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれか、前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれか、前記第三サンギア、第三遊星ギア、又は第三リングギアのいずれか、及び前記第四サンギア、第四遊星ギア、又は第四リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記第二差動モータからのトルクにより、前記第一乃至第四回転部材をそれぞれ回転させ、前記第一・第二線状部材を送出し又は引戻し、前記第一プーリと第二プーリを互いに異なる方向へ回転させるように構成されている、請求項3のロボットアーム装置。
【請求項5】
前記駆動モータからのトルクにより、前記アーム部を伸縮させるように構成されている、請求項1から4のいずれかのロボットアーム装置。
【請求項6】
前記アーム部が、前記基体と手首部の間に、第一プレートと第二プレートを具え、
前記第一プレートが、前記駆動モータからのトルクにより回転するように構成されている、内径側にねじが設けられた中空の第一ナット部材を具え、
前記第二プレートが、前記第一ナット部材の内径側のねじに螺合する棒状の第一ねじ部材を具え、
前記第一ナット部材が回転することにより、前記第二プレートが第一プレートに対して離間し又は接近するように構成されている、請求項5のロボットアーム装置。
【請求項7】
前記アーム部が、前記手首部と第二プレートの間に第三プレートをさらに具え、
前記第二プレートが、前記駆動モータからのトルクにより回転するように構成されている、内径側にねじが設けられた中空の第二ナット部材を具え、
前記第三プレートが、前記第二ナット部材の内径側のねじに螺合する棒状の第二ねじ部材を具え、
前記第二ナット部材が回転することにより、前記第三プレートが第二プレートに対して離間し又は接近するように構成されている、請求項6のロボットアーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可能なアーム部に手首部が装着されたロボットアーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等の駆動装置のトルクによって、アーム部を伸縮させ、アーム部の先に、ワークを把持等するためのハンド部が取付けられるロボットアーム装置が開発されている。アーム部とハンド部の間には、ハンド部をアーム部に対して回動させる手首部が設けられることもある。その例として、以下に挙げるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-203289号公報
【文献】特開2019-196775号公報
【0004】
特許文献1の装置は、ワークを把持するためのハンド部がアーム部に連結されたロボットアーム装置であって、アーム部の基端側に位置するモータが駆動することにより、ワイヤが送り出され、又は、巻き取られ、アーム部を伸縮させるというものである。
【0005】
特許文献2の装置は、ハンド部がアーム部に連結されたロボットアーム装置であって、モータによって、連結された複数のプレートから構成される第1コマ列と連結された複数の断面コ字状部材で構成される第二コマ列が送り出され、又は巻き戻され、第1コマ列と第2コマ列が接合し又は分解することにより、アーム部を伸縮させるというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のロボットアーム装置は、基端側に設置されるモータによって、アーム部を伸縮させ、ハンド部の把持機構を作動させることができるが、ハンド部を回動させる手首部は設けられておらず、ハンド部を自在に回動させることはできない。
【0007】
一方、特許文献2のロボットアーム装置は、第1コマ列と第2コマ列が接合し又は分解するという構成であるため、第1コマ列と第2コマ列を収納しておくスペースを要するから、大型化する傾向にあり、手首部を回動させるための駆動装置が手首部に連結されるため、アーム部に偏荷重が掛かり易く、手首部も大型化してしまう傾向にある。
【0008】
そこで、本発明は、前述した点に鑑み、アーム部に偏荷重が掛かり難く、コンパクトで、ハンド部を自在に回動させることができるロボットアーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基体と、該基体に連結された伸縮可能なアーム部と、該アーム部の先端側に連結された手首部を有するロボットアーム装置であって、
前記手首部は、基部と、該基部に回転自在に設けられた第一プーリと、該第一プーリに連結されているハンド部取付部を具え、
前記基体は、少なくとも1つの駆動モータ、少なくとも1つの第一差動モータと、第一線状部材を送出し又は引戻すための第一回転部材及び第二回転部材と、前記第一及び第二回転部材に対応する、回転可能な第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、及び第一・第二リングギアからそれぞれ構成される第一・第二遊星歯車機構を具え、
前記第一線状部材は前記第一プーリに掛けられ、
前記第一回転部材は、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記第二回転部材は、前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかからトルクが伝達されるように構成され、
前記駆動モータからのトルクは、前記第一・第二回転部材にトルクを伝達する前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでない、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれか及び前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記第一差動モータからのトルクは、前記第一・第二回転部材にトルクを伝達する前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでなく、且つ、前記駆動モータからトルクが伝達される前記第一・第二サンギア、第一・第二遊星ギア、又は第一・第二リングギアでない、前記第一サンギア、第一遊星ギア、又は第一リングギアのいずれか及び前記第二サンギア、第二遊星ギア、又は第二リングギアのいずれかに伝達されるように構成され、
前記アーム部が伸びるときに前記駆動モータからのトルクにより第一・第二回転部材が回転させられ、前記第一線状部材を前記アーム部の伸び量に応じた送出量で送出し、
前記アーム部が縮むときに前記駆動モータからのトルクにより第一・第二回転部材が回転させられ、前記第一線状部材を前記アーム部の縮み量に応じた引戻量で引戻し、
前記第一差動モータからのトルクにより、前記第一・第二回転部材を回転させ、前記第一線状部材を送出し及び引戻し、前記第一プーリを回転させるように構成されていることを特徴とするロボットアーム装置によって前記課題を解決した。
【発明の効果】
【0010】
本発明のロボットアーム装置によれば、駆動モータと第一差動モータは、基体に設けられており、第一差動モータによって第一線状部材を送出し及び引戻し、第一プーリを回転させてハンド部取付部を第一プーリの回転方向に回動させることができる。よって、手首部にハンド部取付部を回動させるモータを設ける必要がないので、アーム部に偏荷重が掛かり難く、コンパクトである。
【0011】
また、第一プーリが第一かさ歯車を具え、ハンド部取付部にハンド部かさ歯車を設け、ハンド部取付部を第一かさ歯車の軸に対して直交する軸を中心に回転自在に設け、第一かさ歯車とハンド部かさ歯車を噛合わせて連結させることにより、ハンド部取付部を第一かさ歯車の軸と直交する軸を中心に回動させることができる。
【0012】
また、手首部が第一プーリと対称的な構造を有する第二プーリを具え、基体が第一線状部材、第一回転部材、及び第二回転部材と対称的な構造を有する第二線状部材、第三回転部材、第四回転部材を具え、第二差動モータによって第二線状部材を送出し及び引戻し、第二プーリを回転させる構成とすれば、第一線状部材と第二線状部材で第一プーリと第二プーリをそれぞれ回転させてハンド部取付部を確実に回動させることができる。
【0013】
また、ハンド部取付部を第一かさ歯車の軸に対して平行な軸を中心に回転自在に設け、さらに、基体が第一乃至第四回転部材にトルクを伝達する第二差動モータを具え、第一差動モータと第二差動モータの一方又は両方を駆動することにより、ハンド部取付部を直交する2軸を中心にそれぞれ回動させることができる。
【0014】
また、駆動モータからのトルクでアーム部を伸縮させるように構成すれば、アーム部を伸縮させる別のモータを設けなくてもよいため、その分、ロボットアーム装置をコンパクトにすることができる。
【0015】
また、アーム部が第一プレートと第二プレートを具え、第一プレートが、駆動モータからのトルクにより回転するように構成されている、内径側にねじが設けられた中空の第一ナット部材を具え、第二プレートが、第一ナット部材の内径側のねじに螺合する棒状の第一ねじ部材を具えている構成とすれば、駆動モータのトルクにより第一ナット部材を回転させ、その回転方向により、第二プレートを第一プレートに対して離間又は接近させることができる。よって、特許文献2に示されているような第1コマ列と第2コマ列を収納しておくスペースが不要であるため、ロボットアーム装置を比較的コンパクトにすることができる。また、同様にして、さらに第三プレートをさらに設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のロボットアーム装置の正面図。
図2図1の平面図。
図3図1のアーム部分の拡大平面図。
図4図1のアーム部分の拡大図。
図5図1の基体の部分の内部拡大図。
図6図5のA-B-C-D-E-F線断面図。
図7図5のA-B-C-G-H-I-J線断面図。
図8図1の第一差動モータ部分の縦断面図。
図9図1の第二差動モータ部分の縦断面図。
図10図1のアーム部の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例を図1~10を参照して説明する。但し、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1,2に示すとおり、ロボットアーム装置100は、基体10と、基体10に連結されている伸縮可能なアーム部20と、アーム部20の先端側に連結されている手首部30を具えている。基体10は、駆動モータM2と第一差動モータM3、第二差動モータM4を具えている。また、アーム部20は、破線部に示すように、伸縮可能に構成されている。これらについての詳細は後述する。なお、ロボットアーム装置100は、モータM1の動力を利用して、アーム部20が水平方向の軸又は垂直方向の軸を中心に回動できるように構成することができる(図1,2の破線部参照)。
【0019】
図3に示すように、手首部30は、基部32がアーム部20に連結されている。基部32には、第一プーリ34と第二プーリ36が回転自在に設けられている。第一プーリ34と第二プーリ36は、それぞれ、第一かさ歯車35と第二かさ歯車37に連結されている。ハンド部取付部38には、ハンド部かさ歯車39が連結されている。そして、ハンド部かさ歯車39が第一かさ歯車35及び第二かさ歯車37と噛合うことにより、ハンド部取付部38は、第一プーリ34及び第二プーリ36と連結されている。ハンド部取付部38は、ワークを掴むアクチュエータ等のハンド部(図示省略)と一体にすることもでき、ハンド部取付部38にハンド部を取付ける構成としてもよい。なお、第二プーリ36を設けない構成や、ハンド部取付部38をかさ歯車を介さずに第一プーリ34や第二プーリ36と連結させる構成も可能である。
【0020】
第一かさ歯車35と第二かさ歯車37は、平行な回転軸を有し、図示しているように、同一直線上の回転軸を具えるのが好適である。また、手首部30は、第一かさ歯車35と第二かさ歯車37の回転軸上に位置する第一取付軸33を具えている。第一かさ歯車35と第二かさ歯車37は、第一取付軸33に対し回転可能に構成されている。ハンド部取付部38は、第一取付軸33に対して回転可能な第二取付軸31を介して第一取付軸33に連結させることができる。本構成により、ハンド部取付部38は、第一かさ歯車35及び第二かさ歯車37の軸に対して直交する軸を中心にしても回転自在に設けられる。
【0021】
図1に示すとおり、基体10は、第一回転部材42と第二回転部材44を具えている。第一回転部材42と第二回転部材44は、これらの回転によって、第一線状部材46を送出し又は引戻すことができるように構成されている。第一線状部材46は、適度な緊張具合を保つように第一プーリ34に掛けられている(図4も参照)。同様に、基体10は、第三回転部材52と第四回転部材54を具えることができ、第二プーリ36に掛けられている第二線状部材56を送出し又は引戻すことができるようにされている(図3参照)。なお、第一線状部材46と第二線状部材56は、第一プーリ34と第二プーリ36のそれぞれに一周以上巻付け、滑りを防止するのがよい。第一回転部材42と第二回転部材44は、互いに同径であるが、異なる径とし、駆動モータM2,第一差動モータM3,第二差動モータM4による回転速度を調整した構成とすることも可能である。
【0022】
次に、第一線状部材46と第二線状部材56が如何に送出され、又は引戻されるかについて説明する。図5は、基体10の第一回転部材42と第二回転部材44の部分の内部構造を示す図である。図5に示されているように、基体10の内部には、第一回転部材42と第二回転部材44(図1参照)のそれぞれに対応する第一遊星歯車機構62と第二遊星歯車機構82が設けられている。駆動モータM2(図1参照)のトルクは、駆動トルク入力ギア102に伝達されるように構成されており、駆動トルク入力ギア102から第一歯車列104を介して第一遊星歯車機構62に伝達され、また、第二歯車列106を介して第二遊星歯車機構82にも伝達される。
【0023】
図6に示されているように、第一遊星歯車機構62は、第一サンギア64、第一遊星ギア66、及び第一リングギア68がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第一リングギア68は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第一遊星ギア66と噛合っている。第一歯車列104からのトルクは、第一遊星歯車機構62の第一サンギア64に伝達され、第一遊星ギア66を第一サンギア64に対して公転させる。第一遊星ギア66は、第一回転部材42に連結されており、第一遊星ギア66からのトルクが第一回転部材42に伝達され、第一回転部材42を回転させる。
【0024】
同様にして、第三回転部材52に対応する第三遊星歯車機構72が設けられており、第三遊星歯車機構72は、第三サンギア74、第三遊星ギア76、及び第三リングギア78がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第三リングギア78は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第三遊星ギア76と噛合っている。第一歯車列104からのトルクは、第三遊星歯車機構72の第三サンギア74にも伝達され、第三遊星ギア76を第三サンギア74に対して公転させる。第三遊星ギア76は、第三回転部材52に連結されており、第三遊星ギア76からのトルクが第三回転部材52に伝達され、第三回転部材52を回転させる。
【0025】
図7に示されているように、第二遊星歯車機構82は、第二サンギア84、第二遊星ギア86、及び第二リングギア88がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第二リングギア88は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第二遊星ギア86と噛合っている。第二歯車列106からのトルクは、第二遊星歯車機構82の第二サンギア84に伝達され、第二遊星ギア86を第二サンギア84に対して公転させる。第二遊星ギア86は、第二回転部材44に連結されており、第二遊星ギア86からのトルクが第二回転部材44に伝達され、第二回転部材44を回転させる。
【0026】
同様にして、第四回転部材54に対応する第四遊星歯車機構92が設けられており、第四遊星歯車機構92は、第四サンギア94、第四遊星ギア96、及び第四リングギア98がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第四リングギア98は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第四遊星ギア96と噛合っている。第二歯車列106からのトルクは、第四遊星歯車機構92の第四サンギア94にも伝達され、第四遊星ギア96を第四サンギア94に対して公転させる。第四遊星ギア96は、第四回転部材54に連結されており、第四遊星ギア96からのトルクが第四回転部材54に伝達され、第四回転部材54を回転させる。
【0027】
本実施形態の場合、図1に示すとおり、第一回転部材42と第二回転部材44に対する第一線状部材46の巻方向は、互いに異なる。具体的には、図1の正面視で、第一回転部材42は、第一線状部材46を右巻きで巻取り、第二回転部材44は、第一線状部材46を左巻きで巻取るように構成されている。このような構成の場合、第一回転部材42と第二回転部材44を互いに異なる方向に回転させることにより、第一線状部材46を送出し、又は引戻すことができる。なお、第一回転部材42が第一線状部材46を左巻きで巻取り、第二回転部材44が第一線状部材46を右巻きで巻取る構成としてもよい。図示は省略するが、第三回転部材52、第四回転部材54、及び第二線状部材56の構成も同様である。
【0028】
ここで、図5乃至7に示すように、第一歯車列104と第二歯車列106を比較すると、第二歯車列106は、第一歯車列104よりも歯車の数が1つ多い。このため、駆動モータM2からのトルクは、例えば、第一サンギア64と第三サンギア74に正転方向で伝達されるとき、第二サンギア84と第四サンギア94には、逆転方向で伝達されることになる。すなわち、駆動モータM2からのトルクは、第一サンギア64及び第三サンギア74と第二サンギア84及び第四サンギア94の両組合せに対し、異なる方向で伝達される。なお、駆動モータM2からのトルクにより、第一乃至第四回転部材42,44,52,54は同速で回転させられるように構成されている。よって、駆動モータM2を一方向に駆動させたとき、第一線状部材46と第二線状部材56を送出すことができ、駆動モータM2を他方向に駆動させたとき、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻すことができる。
【0029】
駆動モータM2による第一線状部材46と第二線状部材56の送出しは、後述するように、アーム部20が伸びるときに実行され、第一線状部材46と第二線状部材56は、アーム部20の伸び量に応じた送出量で送出される。一方で、駆動モータM2による第一線状部材46と第二線状部材56の引戻しは、後述するように、アーム部20が縮むときに実行され、第一線状部材46と第二線状部材56は、アーム部20の縮み量に応じた引戻量で引戻される。
【0030】
なお、第一回転部材42と第二回転部材44に対する第一線状部材46の巻方向、及び第三回転部材52と第四回転部材54に対する第二線状部材56の巻方向を同方向にした構成とすることも可能である。この場合、駆動モータM2からのトルクが、第一サンギア64及び第三サンギア74と第二サンギア84及び第四サンギア94の両組合せに対し、同じ方向で伝達されるように構成すればよい。こうすることで、駆動モータM2を一方向に駆動させたとき、第一線状部材46と第二線状部材56を送出すことができ、駆動モータM2を他方向に駆動させたとき、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻すことができる。要するに、第一乃至第四回転部材42,44,52,54に対する第一・第二線状部材46,56の巻方向は、様々な組合せがあり得るが、駆動モータM2のトルクによって第一乃至第四回転部材42,44,52,54を回転させ、第一・第二線状部材46,56をアーム部20の伸び量又は縮み量に応じた送出量又は引戻量で送出又は引戻すようにすればよい。
【0031】
駆動モータM2は、第一乃至第四遊星歯車機構62,82,72,92に対応させて複数とすることも可能であるが、本実施形態の構成とすることにより、1つの駆動モータM2で第一線状部材46と第二線状部材56を送出し又は引戻すことができるので、製造コストを低減させることができ、ロボットアーム装置100をコンパクトにすることができる。なお、第一乃至第四遊星歯車機構62,82,72,92は、デファレンシャルギア機構にしてもよい。
【0032】
また、第一線状部材46と第二線状部材56は、第一差動モータM3と第二差動モータM4(図1参照)によっても送出及び引戻されるように構成されている。図8に示すように、第一差動モータM3からのトルクは、第一差動歯車列112を介して、第一差動遊星歯車機構122と第二差動遊星歯車機構132に伝達される。第一差動遊星歯車機構122は、第一差動サンギア124、第一差動遊星ギア126、及び第一差動リングギア128がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第一差動リングギア128は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第一差動遊星ギア126と噛合っている。同様にして、第二差動遊星歯車機構132も、第二差動サンギア134、第二差動遊星ギア136、及び第二差動リングギア138がそれぞれ回転可能に設けられて構成されている。第二差動リングギア138は、内周側と外周側のそれぞれにギアを具え、内周側のギアが第二差動遊星ギア136と噛合っている。
【0033】
第一差動モータM3からのトルクは、第一差動歯車列112から第一差動遊星歯車機構122の第一差動サンギア124と第二差動遊星歯車機構132の第二差動サンギア134に伝達され、第一差動遊星ギア126を第一差動サンギア124に対し、第二差動遊星ギア136を第二差動サンギア134に対してそれぞれ公転させる。そして、第一差動遊星ギア126の公転のトルクが第一差動トルク出力ギア142に、第二差動遊星ギア136の公転のトルクが第二差動トルク出力ギア144に伝達される。このとき、第一差動トルク出力ギア142と第二差動トルク出力ギア144は同速度で同方向に回転するように構成されている。
【0034】
第一差動トルク出力ギア142に伝達されたトルクは、第一遊星歯車機構62の第一リングギア68の外周側のギアと第二遊星歯車機構82の第二リングギア88の外周側のギアに伝達され、第一リングギア68と第二リングギア88を同速度で同方向に回転させる。また、第二差動トルク出力ギア144に伝達されたトルクは、第三遊星歯車機構72の第三リングギア78の外周側のギアと第四遊星歯車機構92の第四リングギア98の外周側のギアに伝達され、第三リングギア78と第四リングギア98を、第一差動トルク出力ギア142からのトルクによる第一リングギア68及び第二リングギア88の回転に対し同速度で同方向に回転させる。
【0035】
本構成により、第一差動モータM3のトルクによって、第一乃至第四遊星歯車機構62,82,72,92の第一乃至第四遊星ギア66,86,76,96を同方向に公転させるトルクを与えることができる。また、駆動モータM2により第一乃至第四遊星ギア66,86,76,96が公転しているときには、第一差動モータM3の回転方向に応じて、第一遊星ギア66と第三遊星ギア76の公転速度を減速させ、第二遊星ギア86と第四遊星ギア96の公転速度を増速させる、或いは、第一遊星ギア66と第三遊星ギア76の公転速度を増速させ、第二遊星ギア86と第四遊星ギア96の公転速度を減速させることができる。
【0036】
これにより、第一線状部材46と第二線状部材56を送出す方向に第一回転部材42と第三回転部材52を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻す方向に第二回転部材44と第四回転部材54を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を一方向に回転させることができる。或いは、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻す方向に第一回転部材42と第三回転部材52を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出す方向に第二回転部材44と第四回転部材54を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を他方向に回転させることができる。かくして、ハンド部取付部38を第一プーリ34と第二プーリ36の回転方向に回動させることができる。よって、手首部30にハンド部取付部38を回動させるモータを設ける必要がないので、アーム部20に偏荷重が掛かり難く、コンパクトである。また、第一プーリ34と第二プーリ36をそれぞれ回転させてハンド部取付部38を確実に回動させることができる。
【0037】
第一回転部材42と第二回転部材44に対する第一線状部材46の巻方向、及び第三回転部材52と第四回転部材54に対する第二線状部材56の巻方向を同方向にした場合、第一差動モータM3からのトルクによって、第一リングギア68及び第二リングギア88を同速度で反対方向に、第三リングギア78及び第四リングギア98も同速度で反対方向に回転させ、第一リングギア68及び第二リングギア88と第三リングギア78及び第四リングギア98の組合せを同方向に回転させ、第一プーリ34と第二プーリ36を同方向に回転させるように構成すればよい。また、上述したように、第一乃至第四回転部材42,44,52,54に対する第一・第二線状部材46,56の巻方向は、様々な組合せがあり得るが、第一差動モータM3のトルクによって第一乃至第四回転部材42,44,52,54を回転させ、第一・第二線状部材46,56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を同方向に回転させるように構成すればよい。
【0038】
図9に示すように、第二差動モータM4からのトルクは、第二差動歯車列114を介して、第一差動遊星歯車機構122の第一差動リングギア128の外周側のギアに伝達される。一方で、第二差動モータM4からのトルクは、第三差動歯車列116を介して、第二差動遊星歯車機構132の第二差動リングギア138の外周側のギアに伝達される。ここで、第一差動歯車列114と第三差動歯車列116は、互いに逆方向の回転を第一差動リングギア128と第二差動リングギア138に伝達するように構成されている。
【0039】
第二差動歯車列114からのトルクは、第一差動遊星ギア126を第一差動サンギア124に対して一方向に公転させる。一方、第三差動歯車列116からのトルクは、第二差動遊星ギア136を第二差動サンギア134に対して他方向に公転させる。そして、第一差動遊星ギア126の公転のトルクは、第一差動トルク出力ギア142に、第二差動遊星ギア136の公転のトルクは、第二差動トルク出力ギア144に伝達されるように構成されている。よって、第一差動トルク出力ギア142と第二差動トルク出力ギア144は同速度で他方向に回転する。
【0040】
上述したように、第一差動トルク出力ギア142に伝達されたトルクは、第一遊星歯車機構62の第一リングギア68の外周側のギアと第二遊星歯車機構82の第二リングギア88の外周側のギアに伝達され、第一リングギア68と第二リングギア88を同速度で同方向に回転させる。また、第二差動トルク出力ギア144に伝達されたトルクは、第三遊星歯車機構72の第三リングギア78の外周側のギアと第四遊星歯車機構92の第四リングギア98の外周側のギアに伝達され、第三リングギア78と第四リングギア98を、第一差動トルク出力ギア142からのトルクによる第一リングギア68及び第二リングギア88の回転に対し同速度で他方向に回転させる。
【0041】
かくして、本構成により、第二差動モータM4からのトルクによって、第一リングギア68及び第二リングギア88と第三リングギア78及び第四リングギア98の組合せを同速度で反対方向に回転させることができる。なお、駆動モータM2により第一乃至第四遊星ギア66,86,76,96が公転しているときには、第二差動モータM4の回転方向に応じて、第一遊星ギア66と第四遊星ギア96の公転速度を減速させ、第二遊星ギア86と第三遊星ギア76の公転速度を増速させる、或いは、第一遊星ギア66と第四遊星ギア96の公転速度を増速させ、第二遊星ギア86と第三遊星ギア76の公転速度を減速させることができる。
【0042】
これにより、第一線状部材46と第二線状部材56を送出す方向に第一回転部材42と第四回転部材54を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻す方向に第二回転部材44と第三回転部材52を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を互いに反対方向に回転させることができる。或いは、第一線状部材46と第二線状部材56を引戻す方向に第一回転部材42と第四回転部材54を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出す方向に第二回転部材44と第三回転部材52を回転させ、第一線状部材46と第二線状部材56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を互いに反対方向に回転させることができる。かくして、ハンド部取付部38を第一かさ歯車35及び第二かさ歯車37の軸に対して直交する軸である第二取付軸31を中心に回動させることができる。このようにして、ロボットアーム装置100では、ハンド部取付部38を直交する2軸を中心に回動させることができるので、ハンド部取付部38、延いてはハンド部を自在に回動させることができる。なお、第一差動モータM3と第二差動モータM4は、それぞれ駆動させてもよく、同時に駆動させることもできる。
【0043】
第一回転部材42と第二回転部材44に対する第一線状部材46の巻方向、及び第三回転部材52と第四回転部材54に対する第二線状部材56の巻方向を同方向にした場合、第二差動モータM4からのトルクによって、第一リングギア68及び第二リングギア88を同速度で反対方向に、第三リングギア78及び第四リングギア98も同速度で反対方向に回転させ、第一リングギア68及び第二リングギア88と第三リングギア78及び第四リングギア98の組合せを反対方向に回転させ、第一プーリ34と第二プーリ36を反対方向に回転させるように構成すればよい。また、上述したように、第一乃至第四回転部材42,44,52,54に対する第一・第二線状部材46,56の巻方向は、様々な組合せがあり得るが、第二差動モータM4のトルクによって第一乃至第四回転部材42,44,52,54を回転させ、第一・第二線状部材46,56を送出し及び引戻し、第一プーリ34と第二プーリ36を反対方向に回転させるように構成すればよい。
【0044】
なお、第一差動モータM3と第二差動モータM4のそれぞれを第一乃至第四リングギア68,88,78,98に対応させて複数設け、それぞれを制御することで第一乃至第四回転部材42,44,52,54を回転させる構成とすることも可能である。しかし、ロボットアーム装置100のように、第一差動モータM3と第二差動モータM4のトルクを第一差動遊星歯車機構122及び第二差動遊星歯車機構132を介して第一乃至第四回転部材42,44,52,54に伝達させる構成とすれば、第一差動モータM3と第二差動モータM4の必要数を抑えることができるので、製造コストを低減させることができ、ロボットアーム装置100をコンパクトにすることができる。なお、第一・第二差動遊星歯車機構122,132は、デファレンシャルギア機構にしてもよい。
【0045】
以上に説明したとおり、ロボットアーム装置100では、第一回転部材42に第一遊星ギア66から、第一サンギア64に駆動モータM2から、第一リングギア68に第一差動モータM3及び第二差動モータM4から、それぞれトルクが伝達されるように構成されている。本構成は、第一回転部材42に第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68のいずれかからトルクが伝達され、駆動モータM2からのトルクが、第一回転部材42にトルクを伝達する第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68でない、第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68のいずれかに伝達され、第一差動モータM3及び第二差動モータM4からのトルクが、第一回転部材42にトルクを伝達する第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68でなく、且つ、駆動モータM2からトルクが伝達される第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68でない、第一サンギア64、第一遊星ギア66、又は第一リングギア68のいずれかに伝達されるように構成すればよい。第二乃至第四回転部材44,52,54においても同様である。
【0046】
図10に示すように、アーム部20は、第一プレート22,第二プレート24,第三プレート26,及び第四プレート28を具えている。第一プレート22側に基体10が連結され、第四プレート28側に手首部30が連結される。第一プレート22は、内径側にねじが設けられている中空の第一ナット部材21aを具えている。第一ナット部材21aは、回転自在に設けられており、駆動モータM2からのトルクが第一ナット部材21aに伝達されるように構成されている。一方、第二プレート24は、第一ナット部材21aの内径側のねじに螺合する棒状の第一ねじ部材23aを具えている。よって、駆動モータM2のトルクにより第一ナット部材21aが回転させられると、その回転方向により、第二プレート24が第一プレート22に対して離間し又は接近する。
【0047】
また、第二プレート24は、内径側にねじが設けられている中空の第二ナット部材21bを具えている。一方、第三プレート26は、第二ナット部材21bの内径側のねじに螺合する棒状の第二ねじ部材23bを具えている。また、第三プレート26は、内径側にねじが設けられている中空の第三ナット部材21cを具え、第四プレート28は、第三ナット部材21cの内径側のねじに螺合する棒状の第三ねじ部材23cを具えている。駆動モータM2からのトルクは、第一ナット部材21aから第一回転伝達ナット25a及び第一回転伝達ナット25aとキー締結されている第一回転伝達軸27aを通じ、第二ナット部材21bに伝達される。同様に、第一回転伝達軸27aからのトルクは第二回転伝達ナット25b及び第二回転伝達ナット25bとキー締結されている第二回転伝達軸27bを通じて、第三ナット部材21cにも伝達される。よって、駆動モータM2の駆動により、第三プレート26を第二プレート24に対して、第四プレート28を第三プレート26に対して、それぞれ、離間又は接近させるようにすることができる。なお、第一乃至第三ナット部材21a,21b,21cと第一乃至第三ねじ部材23a,23b,23cの組合せは、それぞれ複数設けることもできる。
【0048】
このように、駆動モータM2からのトルクでアーム部20を伸縮させるように構成すれば、アーム部20を伸縮させるための別のモータを設けなくてもよい。また、特許文献2に示されているような第1コマ列と第2コマ列を収納しておくスペースが不要であるため、ロボットアーム装置100を比較的コンパクトにすることができる。
【0049】
以上に説明したように、本発明によれば、アーム部に偏荷重が掛かり難く、コンパクトで、手首部を自在に回動させることができるロボットアーム装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 基体
20 アーム部
21a 第一ナット部材
21b 第二ナット部材
22 第一プレート
23a 第一ねじ部材
23b 第二ナット部材
24 第二プレート
26 第三プレート
30 手首部
32 基部
34 第一プーリ
35 第一かさ歯車
36 第二プーリ
37 第二かさ歯車
38 ハンド部取付部
39 ハンド部かさ歯車
42 第一回転部材
44 第二回転部材
46 第一線状部材
52 第三回転部材
54 第四回転部材
56 第二線状部材
62 第一遊星歯車機構
64 第一サンギア
66 第一遊星ギア
68 第一リングギア
72 第三遊星歯車機構
74 第三サンギア
76 第三遊星ギア
78 第三リングギア
82 第二遊星歯車機構
84 第二サンギア
86 第二遊星ギア
88 第二リングギア
92 第四遊星歯車機構
94 第四サンギア
96 第四遊星ギア
98 第四リングギア
100 ロボットアーム装置
M2 駆動モータ
M3 第一差動モータ
M4 第二差動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10