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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】清掃用カート及びスプレーバー装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 3/02 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
E01H3/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020114960
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2022012841
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】畠中 徹
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-168847(JP,A)
【文献】特開2017-031643(JP,A)
【文献】特開2005-068678(JP,A)
【文献】特開2015-208237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から噴射用の水が供給されて、外部の車両に押されて進行する清掃カートであって、
車体の前方に設けられたスプレーバー取付部と、
前記スプレーバー取付部に設けられた回動部と、
前記回動部に取り付けられており、前記スプレーバー取付部に対して、回動可能なスプレーバーとを備え、
前記スプレーバーは、
主管と、
前記主管の左右に、回動可能に取り付けられた2つの支管とを含むことを特徴とする、清掃カート。
【請求項2】
伸縮可能手段をさらに備え、
前記伸縮可能手段の一端が、前記車体又は前記スプレーバー取付部に取り付けられており、
前記伸縮可能手段の他端が、前記スプレーバーに取り付けられており、
前記伸縮可能手段の長さを調整することで、前記スプレーバーの傾斜角度を調整することが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の清掃カート。
【請求項3】
前記スプレーバーは、前記主管の左右に取り付けられたスイベルジョイントをさらに含み、
前記スイベルジョイントを介して、各前記支管を前記主管に回動可能に取り付けていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の清掃カート。
【請求項4】
放水銃を取り付けるための放水銃取付部をさらに備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の清掃カート。
【請求項5】
前記支管に配置された複数の噴射ノズルの間隔は、前記主管に配置された複数の噴射ノズルの間隔よりも密であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の清掃カート。
【請求項6】
車両に取り付け可能なスプレーバー装置であって、
車体の前方に取り付けられるスプレーバー取付部と、
前記スプレーバー取付部に設けられた回動部と、
前記回動部に取り付けられており、前記スプレーバー取付部に対して、回動可能なスプレーバーとを備え、
前記スプレーバーは、
主管と、
前記主管の左右に、回動可能に取り付けられた2つの支管とを含むことを特徴とする、スプレーバー装置。
【請求項7】
伸縮可能手段をさらに備え、
前記伸縮可能手段の一端が、前記車体又は前記スプレーバー取付部に取り付けられており、
前記伸縮可能手段の他端が、前記スプレーバーに取り付けられており、
前記伸縮可能手段の長さを調整することで、前記スプレーバーの傾斜角度を調整することが可能であることを特徴とする、請求項6に記載のスプレーバー装置。
【請求項8】
前記スプレーバーは、前記主管の左右に取り付けられたスイベルジョイントをさらに含み、
前記スイベルジョイントを介して、各前記支管を前記主管に回動可能に取り付けていることを特徴とする、請求項6又は7に記載のスプレーバー装置。
【請求項9】
前記支管に配置された複数の噴射ノズルの間隔は、前記主管に配置された複数の噴射ノズルの間隔よりも密であることを特徴とする、請求項6~8のいずれかに記載のスプレーバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレーバーから水を噴射して路面を清掃する清掃用カート及びそれに用いられるスプレーバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、道路の側縁には雨水等を流すための水路が用いられている。たとえば、高速道路のトンネル内等には、特許文献1の図7に示されたような断面が円形の水路が用いられている。このような水路は、一般に、円形水路と呼ばれている。円形水路に溜まった土砂やゴミは、定期的に清掃して取り除く必要がある。しかし、水路入口の幅が、水路の最大径よりも小さいため、円形水路の清掃は困難である。そこで、特許文献1の水路清掃用カートが提案されている。
【0003】
特許文献1の水路清掃用カートは、舵取り装置を有する四輪カートの前端部に、放水用の放水銃を取付けている。放水銃は、前端部で、幅方向に左右に移動することができる構造となっている。特許文献1では、ねじ軸を回転させることで、放水銃の架台が左右に移動する構造(滑りねじ構造)となっている。特許文献1の水路清掃用カートは、散水車で押されながら、散水車からの水を、ホースを介して、放水銃から放水することで、水路内を清掃する。
【0004】
また、路面自体の清掃には、特許文献2及び3に記載のように、車両に設置された貯水タンクの水を使用して、左右に広がった散水管に取り付けられた複数の散水ノズルから水を噴射して、路面を清掃する装置が用いられる。特許文献2及び3に記載の装置では、散水管が左右に広げられるように、車幅分の主管と、主管の左右に設けられた支管とが設けられており、左右の支管を回動可能とすることで、散水幅が広げられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-168847号公報
【文献】特開昭55-88871号公報
【文献】特開2003-184042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の清掃用カートの放水銃から噴射される水は、円形水路の清掃には適しているが、路面を幅広く清掃するのには、適していない。
【0007】
特許文献2に記載の散水管は、左右に広げることができるので、路面の幅広い範囲を清掃することが可能であるが、主管は、車両に平行であるため、路面の清掃対象物が適切な方向に流れていかない場合がある。特許文献3についても、同様の課題がある。
【0008】
それゆえ、本発明は、効率的に路面を清掃することができる清掃用カート及びスプレーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、外部から噴射用の水が供給されて、外部の車両に押されて進行する清掃カートであって、車体の前方に設けられたスプレーバー取付部と、スプレーバー取付部に設けられた回動部と、回動部に取り付けられており、スプレーバー取付部に対して、回動可能なスプレーバーとを備える。スプレーバーは、主管と、主管の左右に、回動可能に取り付けられた2つの支管とを含む。
【0010】
好ましくは、清掃カートは、伸縮可能手段をさらに備える。伸縮可能手段の一端が、車体又はスプレーバー取付部に取り付けられている。伸縮可能手段の他端が、スプレーバーに取り付けられている。伸縮可能手段の長さを調整することで、スプレーバーの傾斜角度を調整することが可能であるとよい。
【0011】
一実施形態として、スプレーバーは、主管の左右に取り付けられたスイベルジョイントをさらに含む。スイベルジョイントを介して、各支管を主管に回動可能に取り付けている。
【0012】
一実施形態として、放水銃を取り付けるための放水銃取付部をさらに備えるとよい。
【0013】
好ましくは、支管に配置された複数の噴射ノズルの間隔は、主管に配置された複数の噴射ノズルの間隔よりも密であるとよい。
【0014】
また、本発明は、車両に取り付け可能なスプレーバー装置であって、車体の前方に取り付けられるスプレーバー取付部と、スプレーバー取付部に設けられた回動部と、回動部に取り付けられており、スプレーバー取付部に対して、回動可能なスプレーバーとを備える。スプレーバーは、主管と、主管の左右に、回動可能に取り付けられた2つの支管とを含む。
【0015】
スプレーバー装置は、伸縮可能手段をさらに備える。伸縮可能手段の一端が、車体又はスプレーバー取付部に取り付けられている。伸縮可能手段の他端が、スプレーバーに取り付けられている。伸縮可能手段の長さを調整することで、スプレーバーの傾斜角度を調整することが可能である。
【0016】
上記スプレーバー装置において、スプレーバーは、主管の左右に取り付けられたスイベルジョイントをさらに含む。スイベルジョイントを介して、各支管を主管に回動可能に取り付けている。
【0017】
上記スプレーバー装置において、好ましくは、支管に配置された複数の噴射ノズルの間隔は、主管に配置された複数の噴射ノズルの間隔よりも密であるとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の清掃カート及びスプレーバー装置によれば、スプレーバーは回動可能となっているので、路面進行方向に対して、傾斜を付けて、水を噴射することができるので、路肩の方向に、土やゴミ等を移動させながら、路面を清掃することが可能となり、効率的な路面清掃を実現できる。
【0019】
また、支管を主管に対して、回動可能に取り付けることで、清掃時は、スプレーバーの幅を広げて広範囲な清掃が可能となる。回送時には、支管を閉じて、幅を狭くして回送することができる。
【0020】
伸縮可能手段を用いて、スプレーバーの路面進行方向に対する傾斜角度を調整することで、単に、回動部のみで、傾斜角度を調整する場合に比較して、スプレーバーの傾斜角度を確実に固定することができるので、傾斜角度の維持や調整が可能となる。
【0021】
スイベルジョイントを用いて、支管を回動させる構造によって、簡易かつ確実な構造で、支管を回動可能に、主管に取り付けることができる。
【0022】
放水銃を取り付けるようにすれば、本発明の清掃カートを円形水路の清掃カートとしても使用可能となる。
【0023】
支管の噴射ノズルを密に配置しておくことで、路肩側の支管において、放水される水の圧力を高めることができるので、スプレーバーの傾斜によって、路肩側に溜まってくる土やゴミ等を、路肩まで、流すことが可能となる。
【0024】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る清掃用カート1の平面図である。スプレーバー2の進行方向右側が最大限開いたときの様子を、図1に示している。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る清掃用カート1の平面図である。スプレーバー2の進行方向右側が最大限閉じたときの様子を、図2に示している。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る清掃用カート1の平面図である。スプレーバー2の進行方向左側が最大限開いたときの様子を、図3に示している。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る清掃用カート1の平面図である。スプレーバー2の進行方向左側が最大限閉じたときの様子を、図4に示している。
図5図5は、本発明の一実施形態に係るスプレーバー2の構造を示す図である。図5(a)は、本発明の一実施形態に係るスプレーバー2の平面図である。図5(b)は、本発明の一実施形態に係るスプレーバー2の正面図である。図5(c)は、本発明の一実施形態に係るスプレーバー2の右側面図である。
図6図6は、スプレーバー2を回動させるための構造を示す図である。図6(a)は、回動部3の平面図である。図6(b)は、回動部3の縦方向断面図である。
図7図7は、ターンバックル4の支持ブラケット5の構造を示す図である。図7(a)は、支持ブラケット5の平面図である。図7(b)は、支持ブラケット5の右側面図である。図7(c)は、支持ブラケット5の正面図である。
図8図8は、スプレーバー2を取り外して、放水銃15を取り付けたときの清掃カート1の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1ないし図8を参照しながら、本発明の一実施形態に係る清掃カート1及びスプレーバー2の構造及び使用方法について説明する。
【0027】
清掃カート1は、前車輪11と、後車輪12と、ハンドル13と、運転席14と、放水銃15と、放水銃取付部16,16と、スライド台17と、固定部18とを備える。前車輪11は、ハンドル13によって、操舵可能となっている。運転席14は、左右にスライド可能であってもよい。
【0028】
放水銃15は、図8に示す連結部19の先端に取り付けられる。放水銃15は、主に、円形水路の清掃に用いられる。放水銃取付部16に連結部19が取り付けられる。連結部19には、ホース20が取り付けられる。ホース20には、後方を走る車両(不図示)に設けられた貯水タンク(不図示)に連結される。水ポンプ(不図示)によって、ホース20に貯水タンクからの水が送り込まれて、連結部19を介して、放水銃15の先端から水が噴射される。
【0029】
放水銃取付部16,16は、取付台16aの上に取り付けられている。取付台16aは、スライド台17の上を、左右にスライド可能となっている。取付台16aが、固定部18に、ボルト等で固定されることで、放水銃15を所望の位置に配置して、円形水路を清掃することができる。
【0030】
清掃カート1において、放水銃を用いない場合は、スプレーバー2を、スプレーバー取付部6に取り付けて、広範囲な路面の清掃に用いる。
【0031】
スプレーバー取付部6は、清掃カート1の前方に取り付けられている。スプレーバー取付部6は、清掃カート1から脱着可能であるとよいが、限定されるものではない。スプレーバー取付部6は、回動支持部6aと、左右の角度調整部6b,6bとを備える。回動支持部6aの先端部分に回動部3が取り付けられている。
【0032】
図6において、回動部3は、上下のスプレーバー固定部3a,3bと、上下の回動軸3c,3dと、コの字状のブラケット3eと、上下のプレート3f,3gと、オイレススラストワッシャ3h,3iと、オイレスブッシュ3j,3kとを備える。回動軸3c,3dは、それぞれ、スプレーバー固定部3a,3bに取り付けられている。
【0033】
スプレーバー2の中心部分がスプレーバー固定部3a,3bによって、上下に挟まれて、たとえば、六角穴付きボルトで、締め付けられる。これにより、スプレーバー2にスプレーバー固定部3a,3bが取り付けられる。回動軸3c,3dの回りに、それぞれ、オイレススラストワッシャ3h,3iが取り付けられ、ブラケット3eが取り付けられて、その上から、オイレスブッシュ3j,3kを介して、プレート3f,3gが取り付けられて、四隅がボルトで固定される。
【0034】
このような構造によって、スプレーバー2を、回動軸3c,3dを中心に回動させることが可能となる。
【0035】
次に、スプレーバー2の傾斜角度(回動角度)の固定構造について説明する。図1及び図3を比較すると分かるように、清掃カート1の前方の左右隅には、ターンバックル4の一方を取り付けるためのブラケット4aが取り付けられている。本実施形態では、進行方向右側のスプレーバー2を開ける場合は、ターンバックル4を右側に取り付け、進行方向左側のスプレーバー2を開ける場合は、ターンバックル4を左側に取り付ける構造としている。ブラケット4aは、左右で用いる場合、左右対象の構造のものをそれぞれ用意しても用意し、左右で共通に用いられる構造のものを用いるようにしてもよい。
【0036】
なお、ブラケット4aは、スプレーバー取付部6に設けられているような構造としてもよいし、スプレーバー取付部6に、元々、ブラケット4aに相当する構造が設けられていてもよい。すなわち、ターンバックル4の一端が何らかの手段で固定されていればよいのである。
【0037】
ターンバックル4の他方には、支持ブラケット5が取り付けられる。支持ブラケット5は、スプレーバー2に取り付けられる。図7に示されるように、支持ブラケット5は、ターンバックル取付用の孔5aと、スプレーバー2を左右から挟む支持部5b,5cとを有する。支持部5b,5cでスプレーバー2を挟んで、穴付きボルトで、締め付けることで、支持ブラケット5がスプレーバー2に固定される。
【0038】
また、支持ブラケット5は、たとえば、図1に示すように、ターンブラケット4とは、反対側の角度調整部6c側のスプレーバー2にも取り付けられている。そして、孔5aにボルト等を挿入して、角度調整部6cの湾曲長孔に、挿入することで、ターンバックル4の伸縮長さに応じた位置で、反対側の支持ブラケット5を、スプレーバー取付部6に固定することができるようになっている。なお、このような固定は、補助的とも言えるので、必須ではない。
【0039】
ターンバックル4の構造は特に限定されないが、ターンバックル4は、雌ネジが切られた胴部と、胴部の両端に雄ネジが切られた左右の柱部とを有しており、胴部を回転させることで、柱部が胴部から出入りして、ターンバックル4全体の長さを調整することができる。図1及び図2に示すように、右側にターンバックル4を配置した際、ターンバックル4の長さを調整することで、スプレーバー2の傾斜角度(右側の開きの角度)を調整することができる。逆に、図3及び図4に示すように、ターンバックル4を左側にターンバックル4を配置した際、ターンバックル4の長さを調整することで、スプレーバー2の傾斜角度(左側の開きの角度)を調整することができる。
【0040】
なお、たとえば、ワイヤの巻き取りによって長さを変えることができる伸縮可能手段や、油圧シリンダなどの伸縮可能手段など、その他の周知の伸縮可能手段に、ターンバックルが置き換えられてもよい。
【0041】
次に、図5を参照しながら、スプレーバー2の左右の折りたたみの構造について説明する。図5において、スプレーバー2は、中央の主管2aと、進行方向右側の支管2bと、進行方向左側の支管2cと、主管2aに取り付けられた左右のL字管2d,2eと、左右のL字管2d,2eに取り付けられた十字管2fと、十字管2fに取り付けられたホース連結管2gと、支管2b,2cの端部に取り付けられたJ字状管2h,2iと、主管2aの左右に取り付けられたスイベルジョイント2j,2kとを備える。
【0042】
スイベルジョイント2j,2kを用いることで、支管2b,2cを、スイベルジョイント2j,2kを中心に回動させることが可能となっている。図1ないし図4の破線で示すように、回送時は、支管2b,2cを回動しておいて、スプレーバー2の幅を狭くすることができる。
【0043】
支管2b,2cを広げる場合は、図5に示す主管2aと支管2b,2cに跨がっているプレート差し込み部2mに、プレート2nを差し込むことで、支管2b,2cが開いた状態を維持できる。なお、支管2b,2cを開けない場合は、主管2aに設けられたプレート差し込み部2oにプレート2nを差し込んでしまっておくことができる。なお、万が一、支管2b,2cが何かに衝突した際に、支管2b,2cが壊れてしまわないように、プレート2nが衝撃を吸収して変形するように、プレート2nに切り込みを入れたり、強度の弱い素材でプレート2nを作成したりするとよい。
【0044】
ホース連結管2gに、ホース20の先端が取り付けられて、水がスプレーバー2に供給される仕組みになっている。水は、十字管2f、L字管2d,2e、主管2a、スイベルジョイント2j,2k、J字状管2h,2iを通じて、支管2b,2cにまで、送り込むことが可能となっている。
【0045】
主管2a及び支管2b,2cには、複数の噴射ノズル2lが設けられており、それぞれのコックを開くことで、先端から、水が噴射する構造となっている。
【0046】
スプレーバー2を取り付けた清掃カート1は、放水銃15を取り付けたときと同様に、車両から押されながら、進行して、貯水タンクからの水を水ポンプを介して、スプレーバー2に送り込むことで、噴射ノズル2lから水を噴射しながら、清掃カート1が進行していくようにして使用される。
【0047】
図2では、主管2aにおける噴射ノズル2lの配置間隔よりも、支管2lにおける噴射ノズルの配置間隔の方が狭くなるように図示しているが、これに限られるものではなく、図1のように、等間隔に配置してもよい。適宜コックを開閉すればよいので、スプレーバー2の傾斜方向やゴミの溜まり具合に応じて、噴射ノズル52の粗密度合いを変更することができる。
【0048】
たとえば、図3のようなにスプレーバー2を傾斜した場合、進行方向右側に、土やゴミなどが流れていくので、進行方向右側の支管2b側に土やゴミなどが溜まりやすくなる。そのため、図3のようにしてスプレーバー2を傾斜して清掃する場合は、支管2c側のコックの開閉は調整して、主管2aと同じ程度の噴射ノズル2lの間隔にしておいて、支管2b側の噴射ノズル2lのコックを全て開いて、水が密に噴射されるようにすることで、右側に溜まる土やゴミ等を効率的に、さらに、右側に流していき、路面を清掃することが可能となる。
【0049】
なお、上記実施形態では、清掃カート1に用いる場合のスプレーバー2について説明したが、スプレーバー2は、清掃カート1以外にもその構造を流用することができる。すなわち、たとえば、貯水タンクが予め設けられている散水車の先端に、スプレーバー取付部6、回動部3、及びスプレーバー2を取り付けて(これらをまとめて、「スプレーバー装置」という。)、上記実施形態と同じように、スプレーバー2を傾斜させて使用できるようにしてもよい。その場合は、外部の貯水タンクを有する車両は必要なく、また、自走も可能となる。
【0050】
また、その他、スプレーバー装置を、自走するフォークリフトやトラックなどの車両の前に取り付けてもよい。この場合は、外部から水を供給するようにするとよいし、また、トラックの荷台に貯水タンクと水タンクを別途設けるようにしてもよい。
【0051】
このように、清掃カート以外にも、本発明のスプレーバー装置は使用可能である。
【0052】
本発明の実施形態によれば、スプレーバー2の傾斜角度(又は「回動角度」ということもできる)を調整して、適切な角度で、スプレーバーを配置して、清掃カート1や清掃カートを使用しない場合は車両を進行させることで、水を噴射させながら、路面を清掃することができる。スプレーバー2を傾斜(又は「回動」ということもできる)させることで、土やゴミなどを路肩側に順に送ってくことが可能となるので、路面の清掃を効率的に行うことができる。
【0053】
そして、上述したように、スプレーバー2における噴射ノズル2lの配置密度を適宜調整して、たとえば、路肩側に近い噴射ノズル2lからの噴射水の噴射を密にすることで、路肩付近で、土やゴミ等が溜まることなく、効率的に、路肩方向に、送り出すことが可能となる。
【0054】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、清掃カート及びスプレーバー装置に関し、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 清掃カート
2 スプレーバー
2a 主管
2b,2c 支管
2d,2e L字管
2f 十字管
2g ホース連結管
2h,2i J字状管
2j,2k スイベルジョイント
2m,2o プレート差し込み部
2n プレート
2l 噴射ノズル
3 回動部
3a,3b スプレーバー固定部
3c,3d 回動軸
3e ブラケット
3f,3g プレート
3h,3i オイレススラストワッシャ
3j,3k オイレスブッシュ
4 ターンバックル
4a ブラケット
5 支持ブラケット
5a 孔
5b,5c 支持部
6 スプレーバー取付部
6a 回動支持部
6b 角度調整部
11 前車輪
12 後車輪
13 ハンドル
14 運転席
15 放水銃
16 放水銃取付部
17 スライド台
18 固定部
19 連結部
20 ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8