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特許7414283アブレーションの対象となるセグメントを決定するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アブレーションの対象となるセグメントを決定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/346 20210101AFI20240109BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240109BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240109BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61B5/346
A61B6/03 377
A61B6/03 360J
A61B5/055 390
A61B18/12
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020531981
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 US2018065278
(87)【国際公開番号】W WO2019118640
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】62/598,162
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/607,084
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】ククリッチ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ、ジェフリー
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/078757(WO,A1)
【文献】特開2008-173473(JP,A)
【文献】特表2013-537437(JP,A)
【文献】特表2005-505331(JP,A)
【文献】特開2017-042386(JP,A)
【文献】国際公開第2017/112910(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0161896(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/346
A61B 6/03
A61B 5/055
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションの対象となる心臓不整脈標的を決定する装置の作動方法であって、
前記装置の少なくとも1つのプロセッサに制御されて実行される、前記装置の動作は、
電気的マッピング、解剖学的マッピング、及び機能的マッピングを含む複数のマッピングを受信するステップであって、前記電気的マッピングは、心電計画像であり、前記解剖学的マッピングは、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像のうちの少なくとも1つであり、前記機能的マッピングは、光子放射コンピュータ断層撮影画像、陽電子放射断層撮影画像、及び心エコー図画像のうちの少なくとも1つである、該ステップと、
前記複数のマッピングの異常を識別するステップと、
前記複数のマッピングを相互に位置合わせするステップと、
前記位置合わせされた複数のマッピングにおける、2以上の異なるマッピングにおいて識別された前記異常の部分の輪郭が重複した領域に基づいて、心臓不整脈標的を決定するステップと、を含むことを特徴とする作動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記異常は、手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせによって識別されることを特徴とする作動方法。
【請求項3】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記装置の動作が、
追加のデータに基づいて前記心臓不整脈標的を調節するステップをさらに含むことを特徴とする作動方法。
【請求項4】
請求項3に記載の作動方法であって、
前記追加のデータは、前記受信したマッピングの重み、信頼スコア、リスク、臨床データ、デモデータ、特定の患者の予備知識、以前の患者の予備知識、毒性、有効性、データの質、データの重要性、データの再現性、心臓の生理学、瘢痕サイズ、心室頻拍の数、心筋症のタイプ、貫壁性、異常の位置、年齢、性別、心臓のサイズ、駆出率、心臓の厚さ、薬物、併存症、及びそれらの任意の組み合わせから選択されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記装置の動作が、
前記心臓不整脈標的をアブレーションするステップをさらに含むことを特徴とする作動方法。
【請求項6】
請求項5に記載の作動方法であって、
前記心臓不整脈標的のアブレーションは、非侵襲的アブレーションであることを特徴とする作動方法。
【請求項7】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記装置の動作が、
前記受信したマッピングを重み付けするステップをさらに含むことを特徴とする作動方法。
【請求項8】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記装置の動作が、
信頼スコアを決定するステップをさらに含むことを特徴とする作動方法。
【請求項9】
請求項1に記載の作動方法であって、
前記装置の動作が、
意思決定支援モジュールを作成するステップをさらに含むことを特徴とする作動方法。
【請求項10】
請求項9に記載の作動方法であって、
前記意思決定支援モジュールは、
前記心臓不整脈標的の出力及び1以上の瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷サイズ及び位置の説明、アブレーションを達成するための推奨体積、前記位置合わせされたマッピングの信頼スコア、リスクがある構造体のリスト、一般的な推奨、非侵襲的治療による期待成功率、または、代替治療モダリティによる期待成功率を含むことを特徴とする作動方法。
【請求項11】
コンピュータ実行可能命令を格納した少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
電気的マッピング、解剖学的マッピング、及び機能的マッピングを含む複数のマッピングを受信するステップであって、前記電気的マッピングは、心電計画像であり、前記解剖学的マッピングは、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像のうちの少なくとも1つであり、前記機能的マッピングは、光子放射コンピュータ断層撮影画像、陽電子放射断層撮影画像、及び心エコー図画像のうちの少なくとも1つである、該ステップと、
前記複数のマッピングの異常を識別するステップと、
前記複数のマッピングを相互に位置合わせするステップと、
前記位置合わせされた複数のマッピングにおける、2以上の異なるマッピングにおいて識別された前記異常の部分の輪郭が重複した領域に基づいて、心臓不整脈標的を決定するステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記心臓不整脈標的を調節するステップをさらに実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記受信したマッピングを重み付けするステップをさらに実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
信頼スコアを決定するステップをさらに実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
人口統計学的データ、手術歴、心室頻拍に関する情報、及び以前の電気解剖学的マッピングのうちの少なくとも1つを含む1以上の臨床的マッピングを受信するステップと、
前記位置合わせされた複数のマッピングを前記1以上の臨床的マッピングで補完するステップと、
補完された前記位置合わせされた複数のマッピングに基づいて、アブレーションの対象となる心臓不整脈標的の1以上の更新されたアブレーションを決定するステップと、をさらに実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
意思決定支援モジュールを作成するステップをさらに実行させることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記意思決定支援モジュールは、前記心臓不整脈標的の出力及び1以上の瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷サイズ及び位置の説明、アブレーションを達成するための推奨体積、前記位置合わせされた複数のマッピングの信頼スコア、リスクがある構造のリスト、一般的な推奨、非侵襲的治療による期待成功率、または、代替治療モダリティによる期待成功率を含むことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年12月13日出願の米国仮特許出願第62/598,162号及び2017年12月18日出願の米国仮特許出願第62/607,084号に対する利益を主張するものである。上記出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本技術は、アブレーションの対象となる心臓不整脈の決定に関し、より詳細には、アブレーションの対象となる心房セグメントまたは心室セグメントを決定するためのマルチモーダル画像マッピング及びリスクプロファイリングに関する。
【背景技術】
【0003】
突然の心臓停止(SCA)は、先進国における死亡原因の第1位である。SCAの大部分は、心臓不整脈、すなわち心室頻拍(VT)または心房細動(AF)に起因する。現行の侵襲的可視化技術を使用して、心臓カテーテル法などの不整脈治療法が実施されている。侵襲的プロセスは、患者に重大なリスクをもたらす恐れがある。現行の不整脈治療法には、侵襲的カテーテルアブレーションが含まれる。体幹部定位放射線治療法を用いた非侵襲的アブレーションが、心臓不整脈の治療のために最近開発された。侵襲的アブレーション及び非侵襲的アブレーションでは、画像及び臨床データは、臨床医によって、治療標的に手動で変換される。このため、治療において、ユーザ依存性のばらつきが生じる。さらに、使用されるアブレーションの種類及び標的選択(例えば、サイズ、位置)は、規則に従った意思決定支援の恩恵を受けることなく、その都度決定される。
【0004】
そのため、非侵襲的及び侵襲的な不整脈アブレーションのための心臓不整脈標的体積の識別及び治療計画の改善、並びに、不整脈アブレーションの治療法の選択のための改善された意思決定支援が求められている。本開示によれば、患者の不整脈のマッピング及び治療のための非侵襲的プロセスが実現される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、アブレーションの対象となる1以上の心臓不整脈標的を決定する方法が提供される。本発明の方法は、電気的マッピング、解剖学的マッピング、機能的マッピング、及びそれらの任意の組み合わせから選択された1以上のマッピングを受信するステップと、1以上のマッピングの異常を識別するステップと、1以上のマッピングを組み合わせるステップと、組み合わされた1以上のマッピングにおける、識別された異常の重複に基づいて、1以上の心臓不整脈標的を定義するステップと、を含み得る。一態様では、電気的マッピングは、心電計画像であり、解剖学的マッピングは、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像のうちの少なくとも1つであり、機能的マッピングは、光子放射コンピュータ断層撮影画像、陽電子放射断層撮影画像、及び心エコー図画像のうちの少なくとも1つであり得る。いくつかの態様では、異常は、1以上のマッピング上の1以上のセグメント、1以上のマッピング上の1以上の輪郭、またはそれらの組み合わせとして識別され得る。異常は、手動で、自動的に、またはそれらの組み合わせによって識別され得る。一態様では、本発明の方法は、追加のデータに基づいて1以上の心臓不整脈標的を調節するステップをさらに含み得る。追加データは、受信したマッピングの重み、信頼スコア、リスク、臨床データ、デモデータ、特定の患者の予備知識、以前の患者の予備知識、毒性、有効性、データの質、データの重要性、データの再現性、心臓の生理学、瘢痕サイズ、心室頻拍の数、心筋症のタイプ、貫壁性、異常の位置、年齢、性別、心臓のサイズ、駆出率、心臓の厚さ、薬物、併存症、及びそれらの任意の組み合わせから選択され得る。いくつかの態様では、本発明の方法は、1以上の心臓不整脈標的をアブレーションするステップをさらに含み得る。1以上の心臓不整脈標的のアブレーションは、例えばSBRTなどの非侵襲的アブレーションであり得る。いくつかの態様では、本発明の方法は、受信したマッピングを重み付けするステップをさらに含み得る。さらなる態様では、本発明の方法は、信頼スコアを決定するステップをさらに含み得る。
【0006】
いくつかの態様では、本発明の方法は、意思決定支援モジュールを作成するステップをさらに含み得る。意思決定支援モジュールは、1以上の心臓不整脈標的の出力及び1以上の瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷サイズ及び位置の説明、アブレーションを達成するための推奨体積、組み合わされたマッピングの信頼スコア、リスクがある構造体のリスト、一般的な推奨、非侵襲的治療による期待成功率、または、代替治療モダリティによる期待成功率を含み得る。
【0007】
本発明によれば、コンピュータ実行可能命令を格納した少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、電気的マッピング、解剖学的マッピング、機能的マッピング、及びそれらの任意の組み合わせから選択された1以上のマッピングを受信するステップと、1以上のマッピングの異常を識別するステップと、1以上のマッピングを組み合わせるステップと、組み合わされた1以上のマッピングにおける、識別された異常の重複に基づいて、1以上の心臓不整脈標的を決定するステップと、を実行させるコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。一態様では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、1以上の心臓不整脈標的を調節するステップをさらに実行させることができる。一態様では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、受信したマッピングを重み付けするステップをさらに実行させることができる。いくつかの態様では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、信頼スコアを決定するステップをさらに実行させることができる。電気的マッピングは、心電計画像であり、解剖学的マッピングは、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像のうちの少なくとも1つであり、機能的マッピングは、光子放射コンピュータ断層撮影画像、陽電子放射断層撮影画像、及び心エコー図画像のうちの少なくとも1つであり得る。別の態様では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、人口統計学的データ、手術歴、心室頻拍に関する情報、及び以前の電気解剖学的マッピングのうちの少なくとも1つを含む1以上の臨床的マッピングを受信するステップと、組み合わされた1以上のマッピングを1以上の臨床的マッピングで補完するステップと、補完された組み合わされた1以上のマッピングに基づいて、アブレーションの対象となる1以上の心臓不整脈標的の1以上の更新されたアブレーションを決定するステップと、をさらに実行させることができる。
【0008】
いくつかの態様では、コンピュータ実行可能命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つのプロセッサに、意思決定支援モジュールを作成するステップをさらに実行させることができる。意思決定支援モジュールは、1以上の心臓不整脈標的の出力及び1以上の瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷サイズ及び位置の説明、アブレーションを達成するための推奨体積、組み合わされた1以上のマッピングの信頼スコア、リスクがある構造のリスト、一般的な推奨、非侵襲的治療による期待成功率、または、代替治療モダリティによる期待成功率を含み得る。
【0009】
さらなる態様及び特徴が、以下の説明に部分的に記載されており、明細書を詳細に読むことによって当業者に明らかになるか、または開示された主題の実施により学ぶことができるであろう。本開示の性質及び利点のさらなる理解は、本開示の一部を構成する明細書及び図面の残りの部分を参照することによって実現されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本特許または本出願は、少なくとも1つのカラー図面を含んでいる。カラー図面を含むこの特許または特許出願公開の写しは、要求し必要な手数料を支払うことで、特許商標庁により提供される。
【0011】
本開示の上述の及び他の利点及び特徴が得られる方法を説明するために、添付図面に示されているそれらの具体的な実施形態を参照して、上述の原理のより具体的な説明を簡潔に説明する。これらの図面は、本開示の例示的な実施形態のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本開示の原理は、添付図面を参照して、具体的かつ詳細に説明される。
【0012】
図1A図1Aは、例示的な方法100のフロー図を示す。
図1B図1Bは、例示的な方法101のフロー図を示す。
図2図2は、例示的な方法200のフロー図を示す。
図3A図3Aは、左心室セグメントの断面の例を示す。
図3B図3Bは、左心室セグメントの断面の例を示す。
図3C図3Cは、左心室セグメントの断面の例を示す。
図4図4は、例示的なシステムの実施形態を示す。
図5図5は、機械学習環境の例を示す。
図6A図6Aは、意思決定支援ツール出力の例を示す。
図6B図6Bは、意思決定支援ツール出力の例を示す。
図6C図6Cは、意思決定支援ツール出力の例を示す。
図7図7は、電気生理学的誘導式の非侵襲的心臓高周波アブレーションのワークフローの例を示す。
図8A図8Aは、5人の各治験患者における、治療前の3カ月間及び治療後の12カ月間での、植込み型除細動器(ICD)からの適切なショック、適切なICD抗頻脈ペーシング、及び未治療の持続性VTを含む、心室頻拍(VT)のエピソードの総数を示す。患者4、5のVTのエピソード数は、患者1、2、3よりも著しく多かった。そのため、同じ尺度で比較できるように、患者4、5の数値は30で割ってある。
図8B図8Bは、図8Aと同じ時間フレーム間での5人の患者全てについてのICDショックの総数を示す。
図8C図8Cは、図8Aと同じ時間フレーム間での5人の患者全てに対する抗頻脈ペーシングのエピソード数を示す。
図9A図9Aは、心エコー検査により評価された、各治験患者における治療後の左心室駆出率の連続的評価を示す。平均値は、6%ポイント増加した(2~22の範囲)。
図9B図9Bは、患者1における治療後の連続胸部CTスキャンを示す。治療領域は青色で示されている。3カ月目には、肺実質に隣接する局所的な炎症性変化が認められたが、12カ月目にはほぼ消失した。
図10A図10Aは、治療の3週間後に致死的な脳卒中を起こした患者5から得られた死後の心臓サンプルにおける密な線維組織(右上)と生存心筋(左下)との界面における顕著な小血管拡張を示す。急性心筋炎症や急性細胞壊死はなかった。
図10B図10Bは、放射線曝露と一致する、長方形の「ボックスカー」核及び周囲を拡張した細動脈及び細静脈を示す。内皮細胞の外観は正常であり(黒矢印)、長くて細い非反応性の核を示す。肥大型心筋細胞(白矢印)も認められる。
図11図11は、治療効果の評価を示す。6か月まで生存した患者は18人であった。持続性VTまたは持続性緩徐VTがICD検出率未満の患者は、ひし形で記録する(n=5)。これらのエピソードは、総計には含めない。PVC媒介性心筋症の患者は、+で記録し(n=2)、24時間ホルター心電計で測定したPVC負荷(%)として示す。各行は、個々の患者を示す。青色の線は切除前を示し、赤色の線は切除後を示す。上部境界は、200エピソードで人為的に切断される。患者は、経過観察期間中の再発によって、最大(底部)から最小(頂部)までの範囲に分類される。
図12図12は、24時間PVC負荷及び左心室駆出率の変化を示す。PVC関連心筋症の2人の患者を登録し、治療した。24時間ホルターモニターによって測定したPVC負荷は、ベースラインで24%と26%であった。縦方向のPVC負荷を示す(赤色の線)。左室駆出率は、心エコー検査により測定した。縦方向の左室駆出率を示す(緑色の線)。両患者は、PVC負荷が低下するとLV駆出率が改善した。
図13A図13Aは、全患者の全生存のカプラン・マイヤー曲線を示す。実測生存率は、6ヵ月では89%、12ヵ月では72%であった。
図13B図13Bは、ベースライン時及び治療後6ヵ月目での、患者における抗不整脈薬の使用の積み上げ棒グラフを示す。y軸は、使用される抗不整脈薬の総数を表す。各色のサイズは、その特定のクラスの抗不整脈薬で使用される薬剤の数に正比例する。アミオダロンの使用は、高用量(300mg/日以上)と低用量(300mg/日未満)とに分けられる。クラスI薬剤は、メキシレチンとフレカイニドとから構成される。クラスIIIの薬剤は、ソタロールであった。
図13C図13Cは、ShortForm-36質問票の3つの選択された領域において、ベースライン、治療後6週間、及び治療後6ヵ月における18人の生存患者によって報告された平均スコアをグラフで表す。青色は社会生活機能、緑色は健康変化、紫色は全体的健康感を示す。アスタリスクは、経時的な平均スコアの有意な変化を示す(p<0.05)。
図14図14は、実施例3における患者のECGを示す。
図15A図15Aは、実施例3における患者のMRIマッピングを示す。
図15B図15Bは、実施例3における患者のMRIマッピングを示す。
図16A図16Aは、実施例3における患者のCTマッピングを示す。
図16B図16Bは、実施例3における患者のCTマッピングを示す。
図17図17は、実施例3における患者のPETマッピングを示す。
図18A図18Aは、実施例3における患者のECGIマッピングを示す。
図18B図18Bは、実施例3における患者のECGIマッピングを示す。
図18C図18Cは、実施例3における患者のECGIマッピングを示す。
図19図19は、実施例3における患者の画像の輪郭を示す。
図20A図20Aは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20B図20Bは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20C図20Cは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20D図20Dは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20E図20Eは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20F図20Fは、実施例3の入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図20G図20Gは、カラーコード化された確率を有する1以上の心臓不整脈ターゲットを決定する方法の出力を示す。
図21A図21Aは、実施例4における患者のECGを示す。
図21B図21Bは、実施例4における患者のECGを示す。
図22図22は、実施例4における患者のCTマッピングを示す。
図23A図23Aは、実施例4における患者のPETマッピングを示す。
図23B図23Bは、実施例4における患者のPETマッピングを示す。
図24A図24Aは、実施例4における患者のVT1及びVT2についてのECGIマッピングを示す。
図24B図24Bは、実施例4における患者のVT1及びVT2についてのECGIマッピングを示す。
図24C図24Cは、実施例4における患者のVT1及びVT2についてのECGIマッピングを示す。
図24D図24Dは、実施例4における患者のVT1及びVT2についてのECGIマッピングを示す。
図24E図24Eは、実施例4の患者に対する追加のECGIマッピングを示す。
図24F図24Fは、実施例4の患者に対する追加のECGIマッピングを示す。
図25A図25Aは、実施例4における患者の画像の輪郭を示す。
図25B図25Bは、実施例4における患者の画像の輪郭を示す。
図26A図26Aは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26B図26Bは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26C図26Cは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26D図26Dは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26E図26Eは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26F図26Fは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26G図26Gは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26H図26Hは、実施例4における患者に対する各入力マッピングにおいて識別されたセグメント異常を示す。
図26I図26Iは、カラーコード化された確率を有する1以上の心臓不整脈標的を決定する方法の出力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の様々な実施形態を以下に詳細に説明する。特定の実施形態を説明するが、これは例示のみ目的として行われることを理解されたい。当業者であれば、他の構成要素及び構成が、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく使用され得ることを理解できるであろう。したがって、以下の説明及び図面は例示であり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の完全な理解を提供するために、様々な具体的な詳細が示される。なお、場合によっては、説明を不明瞭にすることを避けるために、周知のまたは従来の詳細は説明しない。本開示における一実施形態または或る実施形態は、同じ実施形態または任意の実施形態であり得る。そして、そのような実施形態は、少なくとも1つの実施形態を意味する。
【0014】
「一実施形態」または「或る実施形態」は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という表現の記載は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではなく、また、別個のまたは代替的な実施形態が他の実施形態を互いに排除しているわけでもない。さらに、いくつかの実施形態によって示すことができ、他の実施形態によって示すことができない様々な特徴が記載される。
【0015】
本明細書で使用するとき、「磁気共鳴画像法」(MRI)は、身体の画像を形成するための磁場及び電波の使用を指す。一般的に、心臓に使用する場合、心血管磁気共鳴画像法(CMR)は、心臓の拍動によって生成されるアーチファクトに有効なECG同期を含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、「コンピュータ断層撮影」(CT)は、断層撮影(断面)画像を生成するために様々な角度で患者から撮影されたX線画像の使用を意味する。
【0017】
「心電図画像」(ECGI)は、心電図上の身体表面電位から、心内膜電位、電位図、及び活性化シーケンス(ヒストグラフ)を非侵襲的に再構築する技術を意味する。簡単に言えば、患者は、電気的活動を記録する電極ベストを着用してCTまたはMRIスキャンを受ける。電気的活動信号の大部分は、心臓の電気的活動によるものである。次いで、身体表面からの電気的情報を、CTまたはMRI画像から得られた患者固有の心臓モデルに登録して、患者の解剖学的構造にマッピングされた心臓電気的活動の特徴を表示することができる。有用な情報としては、心拍が始まる場所、心臓組織の脱分極シーケンス、異常な脱分極挙動を示す心臓の部位など挙げられる。電極ベストを患者に装着し、電気データを取得し、CTスキャンを実施することは、一般的に、30分未満で完了する。
【0018】
定位除去放射線療法(SABR)または定位放射線手術(SRS)としても知られている「体幹部定位放射線治療」(SBRT)への言及は、正常な隣接組織への最小の曝露で、少数(一般的に、<5)の画分以上の身体の標的への高線量放射線の正確な送達を意味する。
【0019】
本明細書中で使用される用語は、一般に、本開示の文脈、及び各用語が使用される特定の文脈における、当分野でのそれらの通常の意味を有する。同意語及び同義語が、本明細書で説明される任意の用語の代わりに使用することができ、その用語が本明細書で詳述または説明されているかどうかに、特別な意味を置くべきではない。場合によっては、特定の用語の同義語が提供される。1または複数の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書で説明される任意の用語の実施例を含む、本明細書の任意の箇所における実施例の使用は、例示のみを意図しており、本開示または任意の例示的な用語の範囲及び意味をさらに限定することは意図していない。同様に、本開示は、本明細書中に示される様々な実施形態に限定されない。
【0020】
本開示の範囲の限定を意図することなく、本開示の実施形態による機器、装置、方法、及びそれらの関連する結果の例を以下に示す。タイトルまたはサブタイトルは、読者の便宜のために実施例において使用されるが、それらは決して本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術的用語及び科学的用語は、本開示の分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書の記載内容が優先されるものとする。
【0021】
本開示のさらなる特徴及び利点は、以下の説明に記載され、その一部は、説明から明らかであるか、または本明細書に開示された原理の実施によって学ぶことができるであろう。本開示の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される装置及び組み合わせによって実現及び獲得することができる。本開示のこれらの及び他の特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲によってより完全に明らかになるか、または本明細書に記載される原理の実施によって学ぶことができるであろう。
【0022】
本明細書に記載されるアプローチは、マルチモーダルイメージング技術を用いて、心臓不整脈標的を識別するシステム及び方法を実施するために使用することができる。
【0023】
心筋症及び瘢痕は、ほとんどの場合、心室性不整脈を引き起こす原因となる。心筋症(例えば、以前の心臓発作)による瘢痕は、心室頻拍(VT)を引き起こす心臓内の異常な電気回路の基体を形成する。不整脈の症状、重症度、及び原因に基づいて、治療法の選択肢としては、これに限定しないが、抗不整脈薬、ペースメーカ/除細動器の配置、外科的アブレーション、熱損傷を生じさせるために高周波エネルギーを使用するカテーテルベースのアブレーション(心内膜、心外膜)、SBRTによる非侵襲的アブレーション、及び/またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0024】
侵襲的カテーテルアブレーションは、心室瘢痕(特発性心室頻拍)が存在しない場合には、大いに有効である。しかしながら、心筋症性心室頻拍に対するカテーテルアブレーションは、6ヶ月間で50%の高い再発率を伴う。
【0025】
電気生理学的(EP)誘導式非侵襲的心臓高周波アブレーション(ENCORE)では、患者は、利用可能な心臓画像と電気生理学的データを使用し、誘導VT中に非侵襲的ECGIにより提供される情報と視覚的に同時登録することによって、治療前標的化される。例えば、ENCORE-VTワークフローでは、マルチモダリティ画像を、瘢痕画像及び電気マッピングとオフラインで組み合わせて、SBRTによるアブレーションの対象となる標的を決定することができる。次に、放射線療法治療計画システム(TPS)の計画を作成する。治療当日、患者の動きを防止するために患者を固定し、治療ユニットを患者と位置合わせし、線形加速器によって治療を提供する。
【0026】
現在、このデータは、電気生理学者及び放射線腫瘍医が、TPSからオフラインで標的データの時間のかかる、かつ不正確な反復レビューを行うことによって、SBRT計画CT上の標的に手動で変換している。
【0027】
ENCOREにおける心室瘢痕の不整脈成分の現在の識別は、様々なイメージングモダリティ間のオフラインでの視覚評価を用いてアブレーションの対象となる標的体積を手動で作成しているので、粗雑である。このような視覚的評価はユーザ依存性が高く、個々の医師による高い一貫性及びスキルを必要とする。したがって、ただ単に、医師の一貫性の低さと経験に起因して、結果にばらつきが生じる可能性がある。
【0028】
本開示の技術は、患者における1以上の不整脈の自動識別、及びユーザに依存しない客観的な治療計画に対する当技術分野の要求に対処する。本開示によれば、心室頻拍の1以上の不整脈成分を識別して治療計画を作成するためのマルチモーダル技術を実施するシステム、方法、及びコンピュータ可読記憶媒体が開示される。
【0029】
本明細書に開示される方法は、マルチモダリティ画像化により放射線治療標的(治療領域)を決定する。モダリティのいくつかまたは全ては、個々の関心領域を決定するために使用される。その後、個々の関心領域を重み付けした態様で組み合わせて、最終的な標的体積を作成してもよい。
【0030】
不整脈を画像化するための任意のモダリティは、取得されるデータが相補的かつ非重複的であり得るので、不整脈を画像化するための1以上の他のモダリティと組み合わせて使用してもよい。いくつかの例では、画像化は、電気生理学的特徴及び/または解剖学的特徴を含み得る。画像診断法は、非侵襲的な画像診断法が使用され得る。非侵襲的な画像診断法としては、これに限定しないが、CT、MRI、PET、SPECT、ECGI、12リードEKGなどが挙げられる。しかしながら、マルチモダリティ解剖学的画像化(CT、MRI)、機能的画像化(PET、SPECT)、及び電気生理学的画像化(ECGI)は、様々なファイル形式で存在し、多くの場合、1つの環境で全ての情報を1つに統合することを技術的及び視覚的に困難にする方法で提示される。そのため、様々なソースからの画像またはマッピングは、組み合わせるためまたは比較するために、互換性のあるフォーマットに変換され得る。一例では、2以上の画像またはマッピングのセットが、互いに位置合わせされ得る。このように、画像化のための非侵襲的システムは、被験者における心臓不整脈の非侵襲的治療の情報を提供するために組み合わせて使用され得る。
【0031】
各画像マッピング上の異常または関心領域は、手動でまたは自動的に決定することができる。少なくとも1つの例では、専門家によって決定された標的を使用し、マルチモダリティ画像または画像自体からの情報を入力としてニューラルネットワークなどのモデルを訓練することができる。そして、このモデルを、新しい一連のマルチモダリティ画像上で使用して、未知の標的の異常を識別するか、または標的体積を推測することができる。
【0032】
17セグメントモデルが、心室の解剖学的小領域を決定するために使用することができる。このセグメンテーションモデルは、何千もの個々のボクセルにラベル付けするのではなく、17の領域のみにラベル付けすることによって、問題を単純化することができる。さらに、このセグメンテーションモデルは、個々のマルチモダリティ画像を互いに同時に登録する必要があるという課題を克服する。
【0033】
次いで、組み合わされた非侵襲的マッピングまたはセグメント化モデルは、治療の対象となる標的の一貫性のある客観的な決定を提供することができる。患者の転帰によって評価される将来の「正しい」または「最適な」標的の識別が、標的化における医師間の不均一性によって混乱しないように、開始時の標的描写の一貫性は重要である。
【0034】
一実施形態では、少なくとも1つの心臓不整脈標的を決定する方法は、VTの存在について各マッピングを個別にスコアリングすることを含むことができる。別の例では、少なくとも1つの心臓不整脈標的を決定する方法は、標的確率を直接的に推測することを含むことができる。
【0035】
患者及び標的の属性に基づく半自動的または自動的な治療法選択は、治療法選択の均一性を提供し、それにより、転帰のよりロバストな評価を可能にする。様々な態様では、推奨される処置としては、これに限定しないが、非侵襲的アブレーション、侵襲的アブレーション、またはこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、非侵襲的アブレーション方法としては、これに限定しないが、体幹部定位放射線療法、体幹部定位アブレーション放射線療法、体幹部定位放射線手術、分割放射線療法、少分割放射線療法、高周波/集束超音波療法、またはレーザー療法が挙げられる。
【0036】
放射線は、X線/光子(一般的には、線形加速器で)、γ線(例えば、Co-60ユニットで)、または荷電粒子(例えば、陽子、炭素、ヘリウムなど)のいずれかと共に照射することができる。様々な提供システムが存在し、その全てが様々な提供方法を有する。一例では、非侵襲的治療としては、SBRTによるアブレーションが挙げられる。放射線療法の提供には、治療計画及び実施におけるモーションの固定、評価及びアカウンティングの最適化、健康な組織に対する線量を最小化しながら標的に対する線量を最大化するためにコンパクトで正確な線量分布を作成及び提供する能力、並びに、画像ガイダンスを必要とし得る。放射線療法の提供には、正常組織への標的外放射線に関連する毒性を軽減するために、治療の正確な提供及び標的体積のサイズの減少の両方のための呼吸及び心臓運動の独立した測定を用いて、患者特異的な心臓の運動軌跡を求めることを含み得る。
【0037】
I 標的の識別
【0038】
まず、図1Aに示すような、アブレーションの対象となる心臓不整脈標的を決定する方法を説明する。次に、図1Bに示すような別の実施形態について説明する。これらの変形例が、様々な実施形態として説明される。以下、図1Aを参照して説明する。
【0039】
図1Aに示す方法は、その方法を実施するための様々な方法があるので、例として提供される。加えて、図1Aに示す例示的な方法は、特定の順序のブロックで示されているが、当業者であれば、図1Aに示すブロックは、本開示の技術的利点を達成する任意の順序で実行することができ、また、図示したものよりも少ないまたは多いブロックを含んでもよいことを理解できるであろう。図1Aに示す各ブロックは、この例示的な方法において実行される1以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。
【0040】
図1Aは、不整脈標的を識別するための例示的な方法100のフロー図を示す。非限定的な例では、心臓不整脈標的は、心室不整脈セグメント、心室輪郭、心房セグメント、及び/または心房輪郭であり得る。いくつかの例では、方法100は、画像計画システムにおいてリアルタイムで実行することができる。他の例では、方法100は、画像計画システムにおいて、後で使用するための計画において実行することができる。
【0041】
方法100は、ブロック105から開始される。ブロック105では、少なくとも1つのプロセッサが、1以上の入力マッピング(例えば、対応する心室、対応する心房などの入力マッピング)を受信する。いくつかの例では、1以上の入力マッピングは、以前に取得した履歴入力マッピング、及び/または新たに必要とされた入力マッピングであり得る。いくつかの例では、1以上の入力マッピングは、単一の患者からの1以上の画像であり得る。例えば、1以上の入力マッピングは、1以上の電気生理学的マッピング、解剖学的マッピング(例えば、繊維組織)、機能的マッピング(例えば、灌流、運動など)、コンピュータシミュレーションマッピング(例えば、電気的及び/または機械的全心臓モデル)、臨床的マッピングなどであり得る。いくつかの例では、電気生理学的マッピングは、これに限定しないが、EKG、VTの12リードECG(例えば、VT/PVCなどの出口部位)、洞調律(SR)の12リードECG(例えば、梗塞前のQ波、PVC局在の比較など)、VTのECGI(例えば、VTの出口部位、リエントリー伝播、拡張期電位など)、及び/または、SRのECGI(例えば、伝導/遮断の遅い領域、遅延電位など)であり得る。いくつかの例では、解剖学的マッピングは、これに限定しないが、CTスキャン(例えば、心筋の菲薄化(肉厚%)、石灰化など)、及び/またはMRIスキャンであり得、そのようなものとしては、これに限定しないが、例えば、ガドリニウム及び/または画素強度マップ(例えば、繊維組織の位置(どのセグメント;内腔、心筋中央部、心窩部)、繊維組織の厚さ(肉厚%)、繊維組織の体積、繊維組織の不均一性など)が挙げられる。いくつかの例では、機能的マッピングは、これに限定しないが、SPECT走査(例えば、生存率、梗塞/虚血など)、PET走査(代謝、炎症など)、MRI走査(例えば、異常壁運動など)、エコー(例えば、異常壁運動など)、及び/または、心臓及び肺の動きのデータ(例えば、最適な標的化及び提供のための予測される運動エンベロープを構築するための4D-CT及び4D-MRIなどの運動感受性シーケンス)であり得る。いくつかの例では、臨床的マッピングは、これに限定しないが、人口統計学的情報(例えば、年齢、性別、NYHA、CKD、肺、PVD、チャールソンvsシアトルHFモデルなど)、手術歴(例えば、心臓手術など)、臨床的VTに関する知識(例えば、MMVTまたは複数のVT)、及び/または、以前の電気解剖学的マッピング/アブレーションであり得る。いくつかの例では、臨床的マッピングは、任意選択である。いくつかの例では、臨床的マッピングは、補足情報として使用される(例えば、リスクプロファイリング中に)。いくつかの例では、電気解剖学的マッピングは、比較目的のために、作成された画像マッピング(例えば、方法100からの出力)とは別に表示することができる(例えば、電気解剖学的マッピングは、セグメントの決定には使用されない)。いくつかの例では、コンピュータシミュレーションのマッピングは、インシリコモデルを含むことができる。
【0042】
ブロック110では、方法100は、1以上の入力マッピングにおける1以上の異常を決定または識別することができる。これらの異常は、例えば、MRIにおいては、瘢痕の位置によって識別することができる。また、PET/SPECTにおける異常は、生存可能でない領域であり得、電気的マッピングにおける異常は、VTの発生源であり得る。様々な例では、異常は、各マッピング上で異常を選択すること、マッピングを手動でまたは自動的にセグメント化して異常を手動で選択すること、マッピングを自動的に輪郭化して異常を手動で選択すること、マッピングを自動的に輪郭化して異常を自動的に選択すること、または、それらの任意の組み合わせによって決定することができる。いくつかの例では、異常の識別は、例えば教師付き学習または強化学習によってニューラルネットワークを訓練するときに使用することができる。例えば、医師は、様々な画像種類の異常を見つけることができる。異常を、画像及び画像のメタデータと共に使用して、異常の位置を自動的に(または、自律的に)検出する方法をニューラルネットワークに教示することができる。
【0043】
1以上の入力マッピングにおける1以上の異常を決定または識別することは、1以上の入力マッピングのセグメント化を含むことができる。いくつかの例では、1以上の入力マッピングは、セグメンテーションモデルを使用してセグメント化することができる。少なくとも1つのプロセッサは、1以上の心臓不整脈標的セグメントにおける1以上の異常を決定することができる。様々な例では、入力マッピングは、少なくとも2つのセグメント、少なくとも4つのセグメント、少なくとも6つのセグメント、少なくとも8つのセグメント、少なくとも10のセグメント、少なくとも12のセグメント、少なくとも14のセグメント、少なくとも16のセグメント、少なくとも18のセグメント、または、少なくとも20のセグメントに分割することができる。一例では、入力マッピング(例えば、17リードECG)を、17個のセグメントに分割することができる。各セグメントは、互いに同一または同様のサイズ、互いに異なるサイズ、またはそれらの組み合わせであり得る。入力マッピングをセグメント化した後、異常を含むセグメントを決定することができる。
【0044】
いくつかの例では、17セグメントの3Dモデルを作成することができる。様々な例では、モデルは、左心室、右心室、及び/または心房について作成することができる。楕円錐体を使用して3Dモデルを作成することができる。なお、任意の心室様または心房様の形状を使用することができる。少なくとも1つの例では、各入力マッピングについて、モデルの左心室輪郭への変形可能なレジストレーションを使用して、3Dモデルをマッピング上に重ね合わせることができる。いくつかの例では、フリーフォーム(b-スプライン)レジストレーションを位置合わせに使用することができる。セグメントモデルは対称的なので、心尖、前室間溝、後室間溝、及び僧帽弁面などの解剖学的ランドマークを識別し、モデル内の正しいセグメントを正しい解剖学的位置に整列させるためのアンカーポイントとして使用することができる。いくつかの例では、3Dモデルは心外膜面に位置し、心内膜面へ体積的に広がることができる。
【0045】
1以上の入力マッピングにおける1以上の異常を決定または識別することは、1以上の入力マッピングの輪郭付けを含むことができる。様々な例では、1以上の入力マッピング上の輪郭を識別することができる。入力マッピングは、3D入力マッピングであってもよい。例えば、ユーザまたは医師は、3D入力マッピング上に物理的に輪郭を描くことができ、プロセッサは、異常を含む3D入力マッピング上の輪郭を識別することができる。異常は、入力マッピングで自動的に決定することができる。いくつかの例では、2つ以上の異常を識別することができる。例えば、入力マッピングで決定される異常は、単一のVT、複数のVT、単一のVT出口、及び/または、複数のVT出口であり得る。
【0046】
一例では、異常は、セグメント化モデルを使用して第1の入力マッピング上で手動で識別することができ、ECGI、MRI、CT、及び/またはPETなどの別の入力マッピング上で手動で輪郭付けすることができる。別の例では、異常は、セグメント化モデルを使用して第1の入力マッピング上で手動で識別することができ、ECGI、MRI、CT、及び/またはPETなどの別の入力マッピング上で自動的に輪輪郭付けすることができる。さらに別の例では、セグメント化モデルを使用して12リードECG上で異常を手動で決定することができ、ECGI、MRI、CT、及び/またはPETマッピング上で手動で識別することができる。一例では、異常は12リードECG上で自動的に決定することができ、ECGI、MRI、CT、及び/またはPETマッピング上で手動で識別することができる。いくつかの例では、各入力マッピングを専門家が個別にレビューすることができ、VTに寄与する各セグメントの可能性をスコア化することができる。これらのスコアは、データベースに保存することができる。そして、各セグメントsについて、各患者pについての全ての入力マッピングiにわたる加重平均(重量wによって)として決定された標的確率が作成され、データベースに記憶させることができる。
【0047】
さらに別の例では、異常は、全ての入力マッピング上で自動的に決定することができる。一例では、機械学習により、1以上の入力マッピング上で異常を自動的に決定することができる。入力マッピング毎に、各セグメント内の画像コンテンツを抽出することができる。各セグメントは円錐形セクションであり得るので、各セグメントは直線状の3D画像ボリュームに展開することができる。このプロセスは、Ns,p,iセグメントを作成することができる。sは、画像当たりのセグメントの数(例えば、最大17であるが、任意の数値であり得る)であり、iは、患者当たりの入力マッピングの数であり、pは、データベース中の患者の数である。各セグメントは、VT、noVT、または、unevaluableとラベル付けすることができる。評価不可能なセグメントは、2クラスのモデリングの問題のモデリングでは無視される。各セグメントの信頼度を示すために、専門家により、0~1の範囲の数字の重み付けパラメータwを割り当てることもできる。
【0048】
どのようなモデリング手法も、各入力マッピング上の異常の位置(例えば、VT)を予測する画像特徴を学習するために使用することができる。例えば、ディープ畳み込みニューラルネットワークを使用することができる。モデルは2つのクラス(VTあり/VTなし)しか含んでいないため、ディープネットワークは不要であり得る。例えば、モデルは、畳み込みブロック、畳み込みレイヤ、及び完全に接続されたレイヤを含む約5個のレイヤブロックを使用することができる。いくつかの例では、トレーニングデータを使用してVTあり/VTなしを予測するようにネットワークをトレーニングすることができる。いくつかの例では、ホワイトニング及び正規化を含む前処理を用いてもよい。他の例では、モデルは、新しい入力マッピングに対して実行することができる。次に、セグメントを抽出し、上記のネットワークを使用して推測を実行することができる。一例では、VTあり/VTなしのラベルは、新しい各入力マッピングのセグメント毎に作成することができる。
【0049】
いくつかの例では、各異常の確率(標的確率)は、ニューラルネットワーク上にレイヤを追加することによって学習することができる。レイヤは、重みwの値を間接的に学習しようと試みる、完全に接続されたレイヤであってもよい。ラベル付きデータは、実際の標的確率であり得る。一例では、ニューラルネットワークは、個々のセグメントクラスを加重平均と組み合わせ、加重アルゴリズムを間接的に学習することを試みる追加のレイヤを含み得る。
【0050】
他の例では、各セグメントsについて、各患者pについての全画像iにわたる加重平均(重量w)として決定された標的確率が、最初に作成され得る。個々のセグメント画像は、まず、正規化され、次いで、深さiの4D深さ画像に連結され、連続的な標的確率を予測するために、これらの4D深さ画像上で訓練を開始することができる。様々な例では、連続的な標的確率は、0~1の範囲であり得る。
【0051】
ブロック115では、方法100は、1以上の入力マッピングを、識別された異常と組み合わせることができる。例えば、入力マッピングは、セグメンテーションモデルの重ね合わせ、セグメンテーションモデルと3D形状との組み合わせ、またはそれらの組み合わせによって、組み合わせることができる。いくつかの例では、3D形状における識別された異常から、輪郭の重複を選択することができる。別の例では、セグメンテーションモデルと少なくとも1つの3D入力マッピングの輪郭とを有する入力マッピングを組み合わせることができる。例えば、12リードECGからのセグメント化モデルは、3D形状からの識別された輪郭と同時登録することができる(例えば、ECGI、MRI、CT、PET)。
【0052】
ブロック120では、方法100は、結合マッピングのデータの重複に基づいて、アブレーションの対象となる標的を決定することができる。心臓不整脈標的は、セグメント、複数セグメント、または3Dボリュームであり得る。セグメント化モデルにおいて、心臓不整脈標的は、最も重複するセグメントまたは最も強度の高い領域を識別することによって決定することができる。3D輪郭の場合、心臓不整脈標的は、3D形状における輪郭の重複を識別することによって決定することができる。3D解剖学的に(手動でまたは自動的に)決定された標的は、セグメントよりも小さな領域、かつ、より患者特異的であり得る。他の例では、セグメント化モデルは、セグメントと輪郭との間の重複により標的を識別できるように、少なくとも1つの3D輪郭と同時登録することができる。いくつかの例では、アブレーションの対象となる独立して決定された複数の標的、またはアブレーションの対象となる優先順位付けされた標的は、個別のVT(マッピングされた各VT/VT出口部位について)の重複を調べることによって識別することができる。
【0053】
いくつかの実施例では、1以上のセグメントは、1以上の種類のアブレーションエネルギー技術(例えば、SBRT、光子、炭素イオン、陽子、ヘリウム、超音波など)を用いて、アブレーションのために決定することができる。いくつかの例では、1以上のセグメントは、非侵襲的不整脈誘導システムのために決定することができる。非侵襲的な定位心臓アブレーションのために、本方法は、放射線治療計画システムまたは意思決定支援モジュールと統合するか、該システムまたはモジュールにデータを転送するか、または、該システムまたはモジュール内に存在することができる。他の例では、1以上のセグメントは、侵襲的アブレーションのために決定することができる。侵襲的カテーテルアブレーションのために、本方法は、カテーテルアブレーションシステムと統合するか、カテーテルアブレーションシステムにデータを転送するか、またはカテーテルアブレーションシステム内に存在し得る。
【0054】
少なくとも1つのプロセッサは、アブレーションの対象となる1以上の標的を決定することができる。例えば、アブレーションの対象となる標的は、1以上の心臓不整脈標的セグメントを含み得る。様々な例では、アブレーションの対象となる標的は、少なくとも1つのセグメント、少なくとも2つのセグメント、少なくとも4つのセグメント、少なくとも6つのセグメント、少なくとも8つのセグメント、少なくとも10のセグメント、少なくとも12のセグメント、少なくとも14のセグメント、少なくとも16のセグメント、少なくとも18のセグメント、または少なくとも20のセグメントを含み得る。セグメントは、互いに同一または同様のサイズ、互いに異なるサイズ、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、アブレーションの対象となる標的は、画像マッピング(例えば、治療計画システムへの入力のための画像マッピング)において決定されフォーマットされ得る。いくつかの例では、アブレーションの対象となる標的は、入力マッピング及びリスクプロファイルからの重複セグメントに基づいて決定され得る。いくつかの例では、入力マッピングからのセグメントの重複は、アブレーションの対象となるセグメントの初期リストを含むことができる。そして、初期リストは、初期リストからのセグメントのアブレーションの潜在的なリスクを決定するために、リスクプロファイルを通じて実行され得る。リスクプロファイルに基づいて、アブレーションの対象となる1以上のセグメントを決定することができる。
【0055】
一例では、アブレーションの対象となる1以上のセグメントが図3A図3B、及び図3Cに示されている。図3A図3B、及び図3Cは、左心室セグメンテーションの断面図である。例えば、心室は、下記の17の異なるセグメントに分割することができる。1.基部前壁、2.基部前壁中隔、3.基部下壁中隔、4.基部下壁、5.基部下側壁、6.基部前側壁、7.中部前壁、8.中部前壁中隔、9.中部下壁中隔、10.中部下側壁、11.中下外側、12.中部前側壁、13.心尖部前壁、14.心尖部中隔、15.心尖部下壁、16.心尖部側壁、及び、17.心尖部。
【0056】
図3Bは、方法100からの出力に基づくアブレーションの対象となる1以上のセグメントをさらに示す。例えば、1.基部前壁、2.基部前壁中隔、6.基部前側壁、及び、7.中部前壁の各セグメントが、アブレーションの対象として指定されるセグメントとして決定されている。一例では、非虚血性心筋症NYHAクラス4の心不全症状(LVEF:37%、LVEDD:6.1cm)を有し、アミオダロン及びメキシレチンによる治療にもかかわらずVTに対して繰り返しICDショックを行った61歳の男性に対して、上記のセグメントが識別されている。これらの薬物療法の前に、患者はソタロールが無効であった。ICDインタロゲーションは、少なくとも2つの異なるVTサイクル長を示した。SBRTの1年前の以前の心内膜アブレーションは、基部前中隔及び前外側左心室における4つの別個のVT回路を標的とした。
【0057】
図3Bの例では、対応する入力マッピングは、2つのVT-ECGの電気的マッピング(2、6)、ECGI(1、6)、MRI及びCT(薄層化なし)の解剖学的マッピング(1、2、6、7)、並びに、エコーの機能的マッピング(グローバルHK)であり得る。各マッピングは、アブレーションの対象となる可能性がある1以上のセグメントを識別することができる。これらのマッピングを組み合わせる場合、1、2、6、及び7のセグメントがアブレーションに推奨される。この例の意思決定支援モジュールの出力を図6Aに示す。
【0058】
図3Cは、方法200からの出力に基づいて、アブレーションの対象となる1以上のセグメントをさらに示す。例えば、13.心尖部前壁、14.心尖部中隔、15.心尖部下壁、16.心尖部側壁、及び、17.心尖部の各セグメントが、アブレーションの対象として指定される高優先度のセグメントとして決定され、7.中部前壁、8.中部前壁中隔、9.中部下壁中隔、10.中部下側壁の各セグメントが、アブレーションの対象として指定される中程度の優先度のセグメントとして決定される。一例では、虚血性心筋症NYHAクラス4の心不全症状(左室20%;LVEDD6.9cm)を有し、アミオダロン及びメキシレチン(現在は両方に不寛容である)による治療にもかかわらずVTに対して繰り返しICDショックを行った75歳の男性に対して、上記のセグメントが識別されている。進行CKDは、ソタロールを除外した。ICDインタロゲーションは、主に1VTサイクル長を示した。心内膜アブレーションの前歴はなかった(合併症のリスクが高い)。
【0059】
図3Cの例では、対応する入力マッピングは、ECG(14、15、16、17)、ECGI(SR LOP15、16、17)、ECGI(VT15、17)の電気的マッピング;MRI(7、8、9、10、13、14、16、17)、CT(7、8、9、13、14、15、16、17)の解剖学的マッピング;PET(7、8、9、13、14、15、17)、MRI(2、3、4、7、8、9、10、13、14、15、17)の機能的マッピングであり得る。各マッピングは、アブレーションの対象となる可能性がある1以上のセグメントを識別することができる。これらのマッピングを組み合わせると、13~17のセグメントはアブレーションに推奨される高い優先順位であり得、7~10のセグメントはアブレーションに推奨される中程度の優先順位であり得る。この例の意思決定支援モジュールの出力を図6Bに示す。
【0060】
いくつかの例では、アブレーションの対象となる心臓不整脈標的を調節することができる。例えば、心臓不整脈標的は、これに限定しないが、リスク、臨床データ、デモデータ、特定の患者の予備知識、以前の患者の予備知識、毒性、有効性、データの質、データの重要性、データの再現性、心臓の生理学、瘢痕サイズ、VTの数、心筋症の種類(例えば、虚血性または非虚血性)、貫壁性(例えば、厚いまたは薄い瘢痕)、異常の部位(例えば、いくつかのセグメントは多かれ少なかれ成功するかもしれない)、年齢、性別、心臓のサイズ、駆出率、心臓の厚さ(例えば、弱い心臓や健康な心臓)、薬物(例えば、抗不整脈薬)、合併症、及びそれらの組み合わせを含む、様々なパラメータに基づいて調節することができる。様々な例では、標的の調節は、手動でまたは自動的に行われ得る。追加の患者が治療されると、以前の治療は、将来の治療に情報を提供することができ、現在の患者の標的を調節するために使用することができる(例えば、ニューラルネットワークを訓練することによって)。別の例では、標的は、入力マッピングの重み付け、または結合マッピングの信頼スコアに基づいて調節することができる。
【0061】
いくつかの例では、以前の患者の予備知識は、個々の患者からデータベースに入力された医学文献及び/またはデータから得ることができる。様々な例では、データは、提供者や研究者などが手動で、電子医療記録(EMR)からの自然言語処理(NLP)の離散データのキャプチャによって自動的に、または、患者に取り付けた装置から自動的にデータベースに入力することができる。データをデータベースに自動的に入力することができる患者装置の非限定的な例としては、ICD、電話、または装着型装置が挙げられる。一例では、ICDをレポートプログラムに登録することにより、データベースへの自動入力を容易にすることができる。別の例では、患者の携帯電話は、患者が報告した結果を捕捉するアプリケーションを含むことができる。さらに別の例では、ウェアラブルデバイスは、任意キャプチャデータをデータベースに送信することができるスマートウォッチ、心拍数モニタ、またはアクティビティトラッカーを含むことができる。
【0062】
いくつかの例では、決定されたセグメントに優先度及び/または確率を割り当てることができる。例えば、入力マッピングとリスクプロファイルの組み合わせに基づいて、決定されたセグメントに、高、中、または低の優先度を割り当てることができる。いくつかの例では、全ての心臓不整脈標的セグメントに優先順位(例えば、高、中、低)を割り当てることができる。他の例では、高優先度及び中優先度が割り当てられたセグメントが、決定において提供される。
【0063】
いくつかの例では、アブレーション処置で使用するために、決定されたセグメントを画像マッピング上に提供することができる。画像マッピングは、侵襲的及び非侵襲的提供プラットフォームと統合することができる。例えば、画像マッピングは、治療計画(例えば、治療計画システム/ソフトウェア)において使用されるボリュームであり得る。いくつかの例では、画像マッピングは、治療計画システム(例えば、アブレーションを実施することができるシステム)への入力として使用することができる。画像マッピングは、患者に合わせた治療計画を提供することができる(例えば、全ての患者が全ての既知のマルチモーダルデータを必要としたり提示したりするわけではない)。
【0064】
入力マッピングの重み付けは、方法100の任意の時点で行うことができる。入力マッピングの重み付けは、より高い品質、臨床的関連性、または重要性の入力マッピングに対してより高い重み付けを与えることによって、患者に対する他のマッピングと比較して、標的識別の品質または精度を改善し得る。例えば、入力マッピングの重み付けは、マッピングを組み合わせる前、異常の識別後、組み合わせ後、標的を決定した後、または標的を調節した後に行うことができる。各入力マッピングは、1以上の要因、例えば、スキャンの質(例えば、MRI上のICDアーチファクトなど)、入力マッピングの数(例えば、モダリティ数)、臨床的関連性(例えば、非臨床CT誘導など)、個々の技術の専門家の受容性、データの重要性、またはそれらの任意の組み合わせに基づく重みを与えることができる。いくつかの例では、入力マッピング間に重みを与えることができる(例えば、各入力マッピング発見間の相対的強度、グループ間の一致など)。例えば、入力マッピング間の高いレベルの重複を伴う高品質スキャンの入力マッピングモダリティの数がより多い場合、より高い重みを与えることができる。別の例では、入力マッピング間のオーバーラップのレベルがより低く、様々な品質の入力マッピングモダリティの数がより少ない場合、より低い重みを与えることができる。
【0065】
いくつかの例では、結合された入力マッピングまたは識別された心臓不整脈標的の信頼スコアを決定することができる。一例では、信頼スコアは、結合された入力マッピングの評価であり得る。信頼スコアはまた、臨床データまたは標的を調節するために使用される任意のデータを組み込むことができる。例えば、入力マッピングの重み、入力マッピング間の重み、異なる入力マッピング間のデータの一致、または結果の重複量(例えば、アブレーションのセグメントなど)を使用して、信頼スコアを決定することができる。例えば、信頼スコアは、アブレーションの対象となる1以上のセグメントまたは輪郭の品質及び再現性を定量化するために決定することができる。いくつかの例では、信頼スコアは、画像グループ間の重複度(例えば、アブレーションの対象となるセグメントなど)が高いと増加する。他の例では、信頼スコアは、不完全な入力マッピング、入力マッピングの質の低さ、VTの数の増加、大きな瘢痕サイズ(例えば、アブレーションより大きい瘢痕)などによって減少する。
【0066】
方法100は、リスクプロファイルを決定することをさらに含むことができる。いくつかの例では、リスクプロファイルは、履歴入力マッピング、副作用、セグメント体積の限界、及び/または、アブレーションの対象となる以前の推奨セグメントの結果から決定することができる。例えば、患者のリスクプロファイルを決定するために、方法100(または同様の方法)が実施された以前の患者に関連するデータ、及び方法100を介して得られたデータまたはマッピングを用いて実施された任意の手順の結果を記憶することができる。いくつかの例では、リスクプロファイルは、アブレーションの対象となる推奨セグメントに関連する患者に対する潜在的なリスクまたは影響を決定するために使用され得る。いくつかの例では、患者の人口統計学的情報を用いてリスクプロファイルを決定することができる(例えば、年齢、健康状態、以前の手術など)。いくつかの例では、病歴入力マッピング、対応するセグメント決定、及びアブレーション結果(決定による)を用いて、高リスク及び/または合併症なしに治療することができる心臓不整脈標的セグメント、さらに、一般的に高リスク及び/または最もコンパイルされるセグメントを決定することができる。少なくとも1つの例では、リスクプロファイルは、治療法の選択または毒性のカウンセリングのためにユーザ/医師に報告される。
【0067】
一例では、初期標的リストは、セグメント1、2、6、7、8、12、及び13を含むことができる。リスクプロファイルは、現在の患者の病歴及び/または同様の患者の病歴に基づいて、セグメント体積限界が4に等しくなるべきだと決定することができる。次いで、アブレーションのために得られた決定されたセグメントは、1、2、6及び7であり得る。別の例では、初期リストはセグメント1、2、6及び7を含むことができる。リスクプロファイルは、例えば冠動脈がこれらのセグメント内に存在するため、これらのセグメントがより高いリスクであることを決定することができる。次いで、セグメントの決定は、アブレーション後の冠動脈の経過観察またはモニタリングのための追加の計画情報を用いて、1、2、6及び7として行うことができる。別の例では、初期リストは、セグメント1、2及び6を含むことができる。リスクプロファイルは、セグメント1、2及び6がアブレーションされた同様の患者(例えば、同様の履歴、手順など)の病歴に基づいて決定することができる。また、セグメント7がアブレーションされた同様の患者の病歴に基づいて決定することもできる。次いで、アブレーションのために得られるセグメントは、1、2、6及び7であり得る。本明細書に提供される実施例は、例示のみを目的とし、限定を意図するものではない。
【0068】
いくつかの例では、アブレーション処置で使用するために、決定されたセグメントを画像マッピング上に提供することができる。画像マッピングは、侵襲的及び非侵襲的提供プラットフォームと統合することができる。例えば、画像マッピングは、治療計画(例えば、治療計画システム/ソフトウェア)において使用されるボリュームであり得る。いくつかの例では、画像マッピングは、治療計画システム(例えば、アブレーションを実施することができる)への入力として使用することができる。画像マッピングは、患者に合わせた治療計画を提供することができる(例えば、全ての患者が全ての既知のマルチモーダルデータを必要としたり提示したりするわけではない)。一例では、標的セグメントまたは3D輪郭を用いて、治療計画ソフトウェア内の計画標的体積を識別することができる。いくつかの例では、計画標的体積及び/またはセグメント/輪郭を使用して、内部品質保証のための処理をシミュレートすることができる。
【0069】
図1Bに示す方法は、その方法を実施するための様々な方法があるので、例として提供される。加えて、図1Bに示す例示的な方法は、特定の順序のブロックで示されているが、当業者であれば、図1Bに示すブロックは、本開示の技術的利点を達成する任意の順序で実行することができ、また、図示したものよりも少ないまたは多いブロックを含んでもよいことを理解できるであろう。図1Bに示す各ブロックは、この例示的な方法において実行される1以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。
【0070】
図1Bは、アブレーションの対象となる1以上のセグメントを決定するための例示的な方法101のフロー図を示す。いくつかの例では、アブレーションの対象となる1以上のセグメントは、心臓不整脈標的であり得る。非限定的な例では、心臓不整脈標的は、心室不整脈セグメントまたは心房不整脈セグメントであり得る。いくつかの例では、方法101は、画像計画システムにおいてリアルタイムで実行することができる。他の例では、方法101は、画像計画システムにおいて、後で使用するための計画において実行することができる。方法101は方法100のステップを含み、ブロック135での1以上の入力マッピングを重み付けするステップ、ブロック150での結合マッピングの信頼スコアを決定するステップ、及び、ブロック155でのリスクプロファイルを決定するステップをさらに含む。
【0071】
ブロック125では、少なくとも1つのプロセッサが、1以上の入力マッピング(例えば、対応する心室、対応する心房などの入力マッピング)を受信する。いくつかの例では、1以上の入力マッピングは、以前に取得した履歴入力マッピング及び/または新たに必要とされた入力マッピングであり得る。いくつかの例では、1以上の入力マッピングは、単一の患者からの1以上の画像であり得る。例えば、1以上の入力マッピングは、1以上の電気生理学的マッピング、解剖学的マッピング(例えば、繊維組織)、機能的マッピング(例えば、灌流、運動など)、コンピュータシミュレーションマッピング(例えば、電気的及び/または機械的全心臓モデル)、または臨床的マッピングであり得る。いくつかの例では、電気生理学的マッピングは、これに限定しないが、EKG、VTの12リードECG(例えば、VT/PVCなどの出口部位)、洞調律(SR)の12リードECG(例えば、梗塞前のQ波、PVC局在の比較など)、VTのECGI(例えば、VTの出口部位、リエントリー伝播、拡張期電位など)、及び/または、SRのECGI(例えば、伝導/遮断の遅い領域、遅延電位など)であり得る。いくつかの例では、解剖学的マッピングは、これに限定しないが、CTスキャン(例えば、心筋の菲薄化(肉厚%)、石灰化など)及び/またはMRIスキャンであり得、そのようなものとしては、これに限定しないが、例えば、ガドリニウム及び/または画素強度マップ(例えば、繊維組織の位置(どのセグメント;内腔、心筋中央部、心窩部)、繊維組織の厚さ(肉厚%)、繊維組織の体積、繊維組織の不均一性など)が挙げられる。いくつかの例では、機能的マッピングは、これに限定しないが、SPECT走査(例えば、生存率、梗塞/虚血など)、PET走査(代謝、炎症など)、MRI走査(例えば、異常壁運動など)、エコー(例えば、異常壁運動など)、及び/または、心臓及び肺の動きのデータ(例えば、最適な標的化及び提供のための予測される運動エンベロープを構築するための4D-CT及び4D-MRIなどの運動感受性シーケンス)であり得る。いくつかの例では、臨床的マッピングは、これに限定しないが、人口統計学的情報(例えば、年齢、性別、NYHA、CKD、肺、PVD、チャールソンvsシアトルHFモデルなど)、手術歴(例えば、心臓手術など)、臨床的VTに関する知識(例えば、MMVTまたは複数のVT)、及び/または、以前の電気解剖学的マッピング/アブレーションであり得る。いくつかの例では、臨床的マッピングは、任意選択である。いくつかの例では、臨床的マッピングは、補足情報として使用される(例えば、リスクプロファイリング中に)。いくつかの例では、電気解剖学的マッピングは、比較目的のために、作成された画像マッピング(例えば、方法100からの出力)とは別に表示することができる(例えば、電気解剖学的マッピングはセグメントの決定には使用されない)。いくつかの例では、コンピュータシミュレーションのマッピングは、インシリコモデルを含むことができる。
【0072】
ブロック130では、方法101は、1以上の入力マッピングにおける1以上の異常を決定または識別することができる。これらの異常は、例えば、MRIにおいては、瘢痕の位置によって識別することができる。また、PET/SPECTにおける異常は、生存可能でない領域であり得、電気的マッピングにおける異常は、VTの発生源であり得る。様々な例では、異常は、各マッピング上で異常を選択すること、マッピングを手動でまたは自動的にセグメント化して異常を手動で選択すること、マッピングを自動的に輪郭化して異常を手動で選択すること、マッピングを自動的に輪郭化して異常を自動的に選択すること、または、それらの任意の組み合わせによって決定することができる。いくつかの例では、異常の識別は、例えば教師付き学習または強化学習によってニューラルネットワークを訓練するときに使用することができる。例えば、医師は、様々な種類の画像における異常を見つけることができる。異常を、画像及び画像のメタデータと共に使用して、異常の位置を自動的に(または、自律的に)検出する方法をニューラルネットワークに教示することができる。
【0073】
ブロック135では、入力マッピングを重み付けすることができる。入力マッピングの重み付けは、方法101の任意の時点で行うことができる。例えば、入力マッピングの重み付けは、マッピングを組み合わせる前、異常の識別後、組み合わせ後、標的を決定した後、または標的を調節した後に行うことができる。各入力マッピングは、1以上の要因、例えば、スキャンの質(例えば、MRI上のICDアーチファクトなど)、入力マッピングの数(例えば、モダリティ数)、臨床的関連性(例えば、非臨床CT誘導など)、個々の技術の専門家の受容性、データの重要性、またはそれらの任意の組み合わせに基づく重みを与えることができる。いくつかの例では、入力マッピング間に重みを与えることができる(例えば、各入力マッピング発見間の相対的強度、グループ間の一致など)。例えば、入力マッピング間の高いレベルの重複を伴う高品質スキャンの入力マッピングモダリティの数がより多い場合、より高い重みを決定することができる。別の例では、入力マッピング間のオーバーラップのレベルがより低く、様々な品質の入力マッピングモダリティの数がより少ない場合、より低い重みを与えることができる。
【0074】
ブロック140では、少なくとも1つのプロセッサは、受信した入力マッピングを互換性のあるフォーマットに変換することができる。例えば、入力マッピング(CT、MRI、PET、SPECT、ECGIなど)は、様々なファイル形式で存在し得る。様々なファイル形式を互換性のある形式に変換することにより、例えば、重なり合うデータ点の相関が可能とする。いくつかの例では、入力マッピングは、画像の向きを変更する必要がある。例えば、モダリティに基づいて入力マッピングの方向付け及び変換を行うための標準手順を実施することができる。いくつかの例では、非画像データ(例えば、12V EKG、ECGIシステムなど)を入力マッピングと統合することができる。いくつかの例では、12リードマッピングなどの非画像データをユーザに表示することができ、ユーザは、心臓不整脈標的のセグメントとインタラクトするか、または、そのセグメントをクリックすることができる。他の例では、非画像データを入力マッピングと自動的に統合することができる。いくつかの例では、入力マッピングを点群に変換できる。
【0075】
ブロック145では、少なくとも1つのプロセッサは、互換性のあるフォーマット入力マッピングを組み合わせることができる。例えば、入力マッピングを組み合わせて、マッピングされた画像をよりロバストに示すことができる(例えば、対応する心室または心房)。いくつかの例では、入力マッピングはオーバーラップさせることができる(例えば、共通フォーマットマッピング間の共通データ点に基づく)。例えば、各入力マッピングを用いて、1以上の心臓不整脈標的セグメントをアブレーションすべきであるという個々の決定を行うことができる。次いで、各入力マッピングについて、1以上の心臓不整脈標的セグメントを、決定されたセグメント重複と組み合わせることができる。例えば、各入力マッピングがセグメント1及び2(アブレーション対象)を含み、1つのマッピングだけがセグメント4を含む場合、決定はセグメント1及び2とすることができる。いくつかの例では、入力マッピングを点群に変換し、点群を結合することができる。
【0076】
ブロック150では、1以上の入力マッピングの信頼スコアを決定することができる。いくつかの例では、ブロック150は、ブロック140の前、または方法101の任意の位置に配置することができる。例えば、信頼スコアは、各入力マッピング、結合された入力マッピング、または識別された心臓不整脈標的について決定することができる。一例では、信頼スコアは、組み合わされた入力マッピングの評価であり得る。信頼スコアはまた、臨床データまたは標的を調節するために使用される任意のデータを組み込むことができる。例えば、入力マッピングの重み、入力マッピング間の重み、異なる入力マッピング間のデータの一致、または結果の重複量(例えば、アブレーションのセグメントなど)を使用して、信頼スコアを決定することができる。例えば、信頼スコアは、アブレーションの対象となる1以上のセグメントまたは輪郭の品質及び再現性を定量化するために決定することができる。いくつかの例では、信頼スコアは、画像グループ間の重複度(例えば、アブレーションの対象となるセグメントなど)が高いと増加する。他の例では、信頼スコアは、不完全な入力マッピング、入力マッピングの質の低さ、VTの数の増加、大きな瘢痕サイズ(例えば、アブレーションより大きい瘢痕)などによって減少する。
【0077】
ブロック155では、リスクプロファイルを決定することができる。いくつかの例では、リスクプロファイルは、履歴入力マッピング、副作用、セグメント体積限界、及び/またはアブレーションの対象となる以前の推奨セグメントからの結果(例えば、ブロック160で)から決定することができる。例えば、患者のリスクプロファイルを決定するために、方法101(または同様の方法)が実施された過去の患者に関連するデータ、及び方法101を介して得られたデータまたはマッピングを用いて実施された任意の手順の結果を記憶することができる。いくつかの例では、患者の人口統計学的情報を用いてリスクプロファイルを決定することができる(例えば、年齢、健康状態、以前の手術など)。いくつかの例では、病歴入力マッピング、対応するセグメント決定、及びアブレーション結果(決定による)を用いて、高リスク及び/または合併症なしに治療することができる心臓不整脈標的セグメント、さらに、一般的に高リスク及び/または最もコンパイルされるセグメントを決定することができる。少なくとも1つの例では、リスクプロファイル、治療法の選択または毒性のカウンセリングのためにユーザ/医師に報告される。
【0078】
いくつかの例では、方法100及び方法101は、機械学習環境(図5に示す)において使用することができる。標的は、図2及び図5に示すように、機械学習を使用して自動的に調節することができる。例えば、既知の臨床データ及びユーザが経時的に決定した不整脈標的を使用して、新たな同様の臨床及びマルチモーダルデータシナリオのためのその後の標的化を提案するか、または、新たな同様の臨床及びマルチモーダルデータシナリオのための治療の選択を提案することができる。例えば、1以上の入力(ブロック105、125で)を、1以上の異常(ブロック110、130で)の決定及び1以上の心臓不整脈標的(ブロック120、160で)の決定と共に、ニューラルネットワーク(例えば、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなど)への入力として使用することができる。ニューラルネットワークへの入力は、他の学習技術、例えば、教師付き学習、強化学習なども含むことができる。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークが訓練されるまでの期間にわたって入力(例えば、トレーニングデータなど)を受信し続けることができる。ニューラルネットワークへの入力は、成功転帰、生存、副作用などの治療の成功に関連するデータも含むことができる。例えば、ニューラルネットワークは、それが新しい入力(例えば、受け取っていない)を受信できるときに訓練され、追加情報(例えば、病歴情報など)を必要とすることなくアブレーションの対象となる1以上のセグメントを作成することができる。訓練されたニューラルネットワークは、「自律的」と考えることができる。一例では、機械学習環境を使用して、患者の信頼スコアに関連する患者の治療成功などの過去の情報を使用してアブレーション処置の成功を予測することができる。
【0079】
いくつかの例では、アブレーション処置で使用するために、決定されたセグメントを画像マッピング上に提供することができる。画像マッピングは、侵襲的及び非侵襲的提供プラットフォームと統合することができる。例えば、画像マッピングは、治療計画(例えば、治療計画システム/ソフトウェア)において使用されるボリュームであり得る。いくつかの例では、画像マッピングは、治療計画システム(例えば、アブレーションを実施することができる)への入力として使用することができる。画像マッピングは、患者に合わせた治療計画を提供することができる(例えば、全ての患者が全ての既知のマルチモーダルデータを必要としたり提示したりするわけではない)。一例では、標的セグメントまたは3D輪郭を用いて、治療計画ソフトウェア内の計画標的体積を識別することができる。いくつかの例では、計画標的体積及び/またはセグメント/輪郭を使用して、内部品質保証のための処理をシミュレートすることができる。
【0080】
画像マッピングは、非侵襲的及び侵襲的アブレーションの両方の治療前標的化のための不整脈標的化を容易にすることができる。いくつかの実施例では、1以上のセグメントは、1以上の種類のアブレーションエネルギー技術(例えば、SBRT、光子、炭素イオン、陽子、ヘリウム、超音波など)を用いて、アブレーションのために決定することができる。いくつかの例では、1以上のセグメントは、非侵襲的不整脈誘導システムのために決定することができる。非侵襲的な定位心臓アブレーションのために、本方法は、放射線治療計画システムまたは意思決定支援モジュールと統合するか、該システムまたはモジュールにデータを転送するか、または、該システムまたはモジュール内に存在することができる。いくつかの例では、サポートのための測定基準は、アブレーションの対象となる1以上のセグメントと共に提供され得る(例えば、表1及び表2に示すように)。他の例では、1以上のセグメントは、侵襲的アブレーションのために決定することができる。侵襲的カテーテルアブレーションのために、本方法は、カテーテルアブレーションシステムと統合するか、カテーテルアブレーションシステムにデータを転送するか、またはカテーテルアブレーションシステム内に存在することができる。この方法は、非侵襲的アブレーションと侵襲的アブレーションとの、患者に対する治療の選択を容易にするために使用することができる。例えば、小さく明確に決定された標的が識別された場合には、カテーテルアブレーションに容易に適用可能であり、より大きな心外膜標的が識別された場合には、非侵襲的アブレーションにより適している。
【0081】
いくつかの例では、この方法は、リアルタイムまたはほぼ同時の標的化及び提供を容易にするために、非侵襲的放射線治療アブレーション提供プラットフォームに直接インターフェースすることができる。例えば、既知の不整脈(例えば、VTまたはAfib)を有する患者には、以前の臨床データ及び画像データが入力される非侵襲的アブレーション装置が用いられる。次に、ECGIベストを患者に装着し、次いで、患者に対して、ユニット上で体積測定イメージングを実施する。例えば、これは、任意の近代的な線形加速器を用いたコーンビームCTまたはMRガイドユニットを用いた体積測定MRIで実施することができる。ECGIベストは、ユニットと直接的に通信することができる。ユニットとの通信は、定常状態不整脈データ(例えば、患者に不整脈がある場合)、または、不整脈部位または発生部位を示唆する電気生理学的データのリアルタイム提示を提供する。加えて、3D空間におけるこの信号の位置特定は、患者の内部及び外部の運動全体にわたって標的の位置をリアルタイムで追跡するための追加的な手段であり得る。不整脈の標的化は、ユニット上またはユニットの近傍で実施することができ、非侵襲的治療の計画は、ユニット上またはユニットの近傍で実施される。非侵襲的治療の実施は、その後すぐに、ECGIによって提供されるリアルタイム電気生理学的データによって補足される両方の一般的な方法(例えば、オンボードkV/MV、CBCT、MR、外部/内部基準トラッキング)によって提供される標的の追跡及び/またはゲーティングによって行うことができる。
【0082】
以前に治療した患者の転帰を表すデータを用いて、作成された画像マッピング法を強化することができる。少なくとも1つの例では、患者のリスクプロファイル、アブレーションの対象となるセグメント、及び/または治療の成功は、将来の患者のリスクプロファイルに情報提供するためにデータベースに記憶され得る。いくつかの例では、リスクプロファイルは、アブレーションの対象となる推奨セグメントに関連する患者に対する潜在的なリスクまたは影響を決定するために使用され得る。一例では、経時的に、本方法は、高齢男性における左室心尖部の小さな心内膜病変に対する侵襲的カテーテルアブレーションの一貫した利用を予測することができる。その後の転帰データは、この集団における高い毒性率と、非侵襲的アブレーションで治療した患者における同様の転帰を伴う低い毒性率を明らかにする。本方法は、最初は以前の治療の多様性に基づくさらなるカテーテルアブレーションを示唆するが、強化モデルは非侵襲的アブレーションを示唆する。様々な例では、転帰データは、地域データ入力、複数施設データ、またはその両方から得られる。
【0083】
一例では、方法100または方法101は、センターが、方法の独自のローカルインスタンスを展開する必要なく、分析、標的化、及び治療推奨のために、患者に関するデータを提出する可能性を有するリモートサービスとして展開可能であり得る。
【0084】
II.意思決定支援モジュール
【0085】
本明細書では、さらに、医師にインフォームドアブレーションプランを提供するための、かつ、様々な治療オプションの成功及びリスクに関する支援のための測定基準、並びに、患者の転帰を改善する機会を提供するための意思決定支援モジュールが提供される。標的が識別された後、識別された標的は、意思決定支援モジュールの形態で医師に提示され得る。加えて、意思決定支援モジュールは、瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷のサイズ及び位置の説明、アブレーションを達成するための推奨体積(例えば、全層アブレーション、部分層アブレーションなど)、組み合わされたマッピングの信頼スコア、リスクがある構造のリスト、一般的な推奨、SBRTによる期待成功率、代替治療モダリティ(例えば、カテーテルRF、抗不整脈薬(例えばアミオダロン)など)による期待成功率、または、それらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、リスクプロファイルをさらに含むことができる。他の例では、意思決定支援モジュールは、患者の人口統計学的情報(例えば、年齢、性別、腎機能、肺機能など)、心臓病歴(例えば、NYHAクラス、LVEF、以前のCA、心筋症の種類、以前の抗不整脈薬の使用など)、心臓画像(例えば、心臓のサイズ、瘢痕のサイズ、瘢痕の位置、VTの数など)、及び/または結果の一貫性(例えば、信頼スコアなど)を含むことができる。
【0086】
意思決定支援モジュールに含まれる情報は、SBRTによる患者の不整脈の治療に関する全ての関連情報を医師に情報提供するために、患者の提案されたアブレーション標的、及び以前の患者の履歴データに基づいて作成され得る。
【0087】
図2に示す方法は、その方法を実施するための様々な方法があるので、例として提供される。加えて、図2に示す例示的な方法は、特定の順序のブロックで示されているが、当業者であれば、図2に示すブロックは、本開示の技術的利点を達成する任意の順序で実行することができ、また、図示したものよりも少ないまたは多いブロックを含んでもよいことを理解できるであろう。図2に示す各ブロックは、この例示的な方法において実行される1以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。
【0088】
図2は、意思決定支援モジュールを作成し、アブレーションの対象となる1以上のセグメントを決定するための例示的な方法200のフロー図を示す。いくつかの例では、方法200は、画像計画システムにおいてリアルタイムで実行することができる。他の例では、方法200は、画像計画システムにおいて、後で使用するための計画において実行することができる。方法200は、方法100及び/または方法101を含むことができる。
ブロック205では、少なくとも1つのプロセッサが、方法100及び方法101において上述したように、1以上の入力マッピングを受信する。ブロック210では、少なくとも1つのプロセッサは、方法100及び方法101において上述したように、1以上の入力マッピングにおける異常を識別する。いくつかの例では、異常は、心筋基質の異常である。
【0089】
ブロック215では、少なくとも1つのプロセッサは、インフォームドアブレーション計画を作成することができる。アブレーション計画は、利用可能な任意のデータを用いて作成することができ、例えば、アブレーション計画は、異常を有するセグメント、アブレーションの対象として選択されたセグメント、入力マッピングの重み付け、信頼スコア、及び/またはリスクプロファイルを含み得る。各患者のデータ及び/またはアブレーション計画は、将来の患者治療に情報提供するためにデータベースに記憶され得る。データベースには、患者の人口統計学的情報を入力され得る。
【0090】
ブロック220では、少なくとも1つのプロセッサは、アブレーション計画、リスク、及び他の治療情報を医師に情報提供するための意思決定支援モジュールを作成する。いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、意思決定支援ツールとも称される。意思決定支援モジュールは、瘢痕パターンの説明、瘢痕負荷のサイズ及び位置の説明、提案された標的、アブレーションを達成するための推奨体積(例えば、全層アブレーション、部分層アブレーションなど)、組み合わされたマッピングの信頼スコア、リスクがある構造のリスト、一般的な推奨、SBRTによる期待成功率、代替治療モダリティ(例えば、カテーテルRF、抗不整脈薬(例えばアミオダロン)など)による期待成功率、または、それらの任意の組み合わせを含み得る。一実施形態では、意思決定支援モジュールは、情報を提供することができる任意の形態で、医師に表示、印刷、または提供され得る。図6A図6B、及び図6Cは、意思決定支援モジュールの出力例である。
【0091】
ブロック225では、少なくとも1つのプロセッサが、方法100または方法101おついて上述したように、アブレーションの対象となる1以上のセグメントを決定する。患者の治療後、方法200は、治療の成功をさらに判定することができる。その後、データベースは、発生した副作用または問題を含む成功情報で更新され得る。成功情報は、将来の患者に対する推奨される治療法またはアブレーションの対象となるセグメントの選択を調節する。
【0092】
いくつかの例では、方法200は、機械学習環境(例えば、図5に示す)で使用することができる。標的は、機械学習を用いて、自動的に調節することができる。将来のアブレーション計画及び意思決定支援モジュールは、機械学習を用いて自動的に調節することができる。例えば、ブロック215、220、225、及び/または230は、機械学習を用いて自動的に調節することができる。機械学習ツール及び予測分析を方法200と統合して、意思決定支援モジュールなどの臨床的意思決定支援インフラストラクチャを作成することができる。例えば、既知の臨床データ及びユーザが経時的に決定した不整脈標的を使用して、新たな同様の臨床及びマルチモーダルデータシナリオのためのその後の標的化を提案し、または、新たな同様の臨床及びマルチモーダルデータシナリオのための治療の選択を提案することができる。例えば、1以上の入力(ブロック205)は、1以上のセグメント(ブロック225)の決定と共に、ニューラルネットワーク(例えば、人工ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワークなど)または学習アルゴリズムへの入力として使用することができる。ニューラルネットワークへの入力は、他の学習技術、例えば、教師付き学習、強化学習なども含むことができる。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークが訓練されるまでの期間にわたって入力(例えば、トレーニングデータ)を受信し続けることができる。ニューラルネットワークへの入力は、成功転帰、生存、副作用などのような治療の成功に関連するデータも含むことができる。例えば、ニューラルネットワークは、それが新しい入力(例えば、受け取ったことのない入力)を受信できるときに訓練され、追加情報(例えば、病歴情報など)を必要とすることなくアブレーションの対象となる1以上のセグメントを作成することができる。訓練されたニューラルネットワークは、「自律的」と考えることができる。
【0093】
意思決定支援モジュールは、瘢痕パターンの記述を含むことができる。いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、図6A図6B、及び図6Cに示すように、瘢痕負荷の測定をさらに含むことができる。瘢痕負荷の測定は、瘢痕の体積(例えば、cc)、及び/または瘢痕が覆う心室心筋のパーセンテージを含み得る。
【0094】
意思決定支援モジュールは、図6A図6B、及び図6Cに示されるように、アブレーションの対象として識別された標的に基づく、提案されたアブレーション位置のリストを含むことができる。いくつかの例では、決定されたセグメントに優先順位を割り当てることができる。例えば、入力マッピングとリスクプロファイルの組み合わせに基づいて、決定されたセグメントに、高、中、または低の優先度を割り当てることができる。いくつかの例では、全ての心臓不整脈標的セグメントに優先順位(例えば、高、中、低)を割り当てることができる。他の例では、心臓不整脈標的セグメントのいくつかまたは全てに、数値的優先順位が割り当てられるか、またはセグメントが優先順位順にリストされる。他の例では、高い優先度及び中程度の優先度が割り当てられたセグメントが、決定において提供される。一実施形態では、意思決定支援モジュールは、図6Bに示されるように、決定された標的セグメントの優先順位を提供するか、またはアブレーションの対象となる標的セグメントを優先順位順にリストすることができる。
【0095】
いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、アブレーション処置において使用するために画像マッピング上に提供される決定されたセグメントをさらに含むことができる。画像マッピングは、侵襲的及び非侵襲的提供プラットフォームと統合することができる。例えば、画像マッピングは、治療計画(例えば、治療計画システム/ソフトウェア)において使用されるボリュームであり得る。いくつかの例では、画像マッピングは、治療計画システム(例えば、アブレーションを実施することができる)への入力として使用することができる。画像マッピングは、患者に合わせた治療計画を提供することができる(例えば、全ての患者が全ての既知のマルチモーダルデータを必要としたり提示したりするわけではない)。いくつかの例では、決定されたセグメントを有する画像マッピングは、意思決定支援モジュール内で提供される。
【0096】
意思決定支援モジュールは、非侵襲的及び侵襲的アブレーションの両方の治療前標的化のための不整脈標的化を容易にすることができる。非侵襲的な定位的心臓アブレーションでは、意思決定支援モジュールは、放射線治療計画システムと統合するか、放射線治療計画システムにデータを転送するか、または放射線治療計画システム内に存在することができる。他の例では、1以上のセグメントは、侵襲的アブレーションのために決定することができる。侵襲的カテーテルアブレーションのために、意思決定支援モジュールは、カテーテルアブレーションシステムと統合するか、カテーテルアブレーションシステムにデータを転送するか、またはカテーテルアブレーションシステム内に存在することができる。意思決定支援モジュールは、非侵襲的アブレーションと侵襲的アブレーションとの、患者に対する治療の選択を容易にするために使用することができる。例えば、小さく明確に決定された標的が識別された場合には、カテーテルアブレーションに容易に適用可能であり、より大きな心外膜標的が識別された場合には、非侵襲的アブレーションにより適している。
【0097】
いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、リアルタイムまたはほぼ同時の標的化及び実施を容易にするために、非侵襲的放射線治療アブレーション提供プラットフォームに直接インターフェースすることができる。意思決定支援モジュールは、例えば、図6A図6B、及び図6Cに示されるように、アブレーション(例えば、全層アブレーション、部分層アブレーションなど)を達成するための推奨体積をさらに含むことができる。体積は、cc及び/または心室心筋のパーセンテージで提供され得る。
【0098】
意思決定支援モジュールは、信頼スコアをさらに含むことができる。いくつかの例では、結合された入力マッピング及び/または識別された心臓不整脈標的の信頼スコアを決定することができる。一例では、信頼スコアは、結合された入力マッピングの評価であり得る。信頼スコアはまた、臨床データまたは標的を調節するために使用される任意のデータを組み込むことができる。例えば、入力マッピングの重み、入力マッピング間の重み、異なる入力マッピング間のデータの一致、または結果の重複量(例えば、アブレーションのセグメントなど)を使用して、信頼スコアを決定することができる。例えば、信頼スコアは、アブレーションの対象となる1以上のセグメントまたは輪郭の品質及び再現性を定量化するために決定することができる。いくつかの例では、信頼スコアは、画像グループ間の重複度(例えば、アブレーションの対象となるセグメントなど)が高いと増加する。他の例では、信頼スコアは、不完全な入力マッピング、入力マッピングの質の低さ、VTの数の増加、大きな瘢痕サイズ(例えば、アブレーションより大きい瘢痕)などによって減少する。いくつかの例では、信頼スコアは、図6A図6B、及び図6Cに示すように、数値またはパーセンテージ(例えば、10のX、100のX)として、及び/またはカテゴリ(例えば、低、中、高)として表示してもよい。意思決定支援モジュールはまた、例えば図6Bに示すように、信頼スコアが特定の範囲内である理由に関する表記またはコメントを含んでもよい。
【0099】
意思決定支援モジュールは、識別されたアブレーション位置のSBRT治療によって影響を受ける可能性のあるリスク構造体のリストをさらに含むことができる。例えば、意思決定支援モジュールは、図6A図6B、及び図6Cに示すように、潜在的に危険にさらされている器官または組織の器官または略語をリストすることができる。いくつかの例では、リスク構造体は、以前の患者の治療によって情報提供され得る。例えば、以前の患者のアブレーション治療の結果をデータベースに取り込み、同一または同様のアブレーション部位または臨床データを有する将来の患者におけるリスク構造体を示唆するために使用することができる。
【0100】
意思決定支援モジュールは、例えば図6A図6B、及び図6Cに示すように、追加の手順、経過観察/評価、さらなる画像化などのための推奨事項を含み得る。意思決定支援モジュールで提供される推奨事項は、可能性のある推奨事項が格納されたデータベースから提供することができる。推奨は以前の患者から提供され得る。例えば、以前に治療された患者の転帰を表すデータを使用して、作成された画像マッピング方法及び作成された意思決定支援モジュールを強化することができる。一例では、経時的に、本方法は、高齢男性における左室心尖部の小さな心内膜病変に対する侵襲的カテーテルアブレーションの一貫した利用を予測することができる。その後の転帰データは、この集団における高い毒性率と、非侵襲的アブレーションで治療した患者における同様の転帰を伴う低い毒性率を明らかにする。意思決定支援モジュールは、以前の治療の多様性に基づいて、さらなるカテーテルアブレーションを最初に示唆するが、更新された意思決定支援モジュールは、非侵襲的アブレーションを示唆し得る。様々な例では、転帰データは、地域データ入力、多施設データ、またはその両方から得られる。
【0101】
意思決定支援モジュールはさらに、様々な治療モダリティにより期待される成功率を含み得る。一実施形態では、意思決定支援モジュールは、SBRT、カテーテルRF、及び/またはアミオダロンによる期待成功率を含むことができる。一例では、意思決定支援モジュールは、治療法の選択または毒性に関するカウンセリングのためのリスクプロファイルをさらに含むことができる。
【0102】
一例では、方法200及び/または意思決定支援モジュールは、センターが、方法の独自のローカルインスタンスを展開する必要なく、分析、標的化、及び治療推奨のために、患者に関するデータを提出する可能性を有するリモートサービスとして展開可能であり得る。他の例では、方法200及び/または意思決定支援モジュールは、非侵襲的治療システム内に統合してもよい。いくつかの例では、意思決定支援モジュールは、情報を提供することができる任意の形態で、医師に表示、印刷、または提供され得る。
【0103】
次に、図4に示す例示的なシステムを説明する。図4は、システムの各構成要素が接続405を用いて互いに通信しているコンピュータシステム400の例を示す。接続405は、バスを介した物理的接続、または、チップセットまたはシステム・オン・チップ・アーキテクチャなどのプロセッサ410への直接接続であり得る。接続405は、仮想接続、ネットワーク接続、または論理接続であり得る。
【0104】
いくつかの例では、コンピュータシステム400は、本開示に記載されている機能を、データセンタ、複数のデータセンタ、ピアネットワーク、フォグネットワークの層全体などに分散することができる分散システムである。いくつかの例では、記載されたシステムコンポーネントの1以上は、そのコンポーネントが記載された機能の一部または全部をそれぞれ実行する様々なコンポーネントを表す。いくつかの例では、コンポーネントは物理デバイスまたは仮想デバイスであり得る。
【0105】
例示的なシステム400は、少なくとも1つの処理ユニット(CPUまたはプロセッサ)410と、システムメモリ415、読み出し専用メモリ(ROM)420、ランダムアクセスメモリ(RAM)425、及び、各構成要素をプロセッサ410に結合する接続405を含む。コンピュータシステム400は、プロセッサ410に直接、近接して、またはその一部として統合された高速メモリ412のキャッシュを含み得る。
【0106】
プロセッサ410は、任意の汎用プロセッサと、ハードウェアサービスまたはソフトウェアサービス、例えば、記憶装置430に記憶され、プロセッサ410、並びに、ソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計に組み込まれた特殊用途プロセッサを制御するように構成されたサービス432、434及び436などを含むことができる。プロセッサ410は、本質的に、複数のコアまたはプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュなどを含む完全自己完結型のコンピュータシステムであり得る。マルチコアプロセッサは、対称型または非対称型であり得る。
【0107】
ユーザの対話を可能にするために、コンピュータシステム400は、音声用のマイクロフォン、ジェスチャまたはグラフィカル入力用のタッチセンシティブスクリーン、キーボード、マウス、モーション入力機構、音声入力機構などの任意の数の入力機構を表すことができる入力装置445を含む。コンピュータシステム400はまた、当業者に既知の様々な出力機構のうちの1以上であり得る出力装置435を含むことができる。場合によっては、マルチモーダルシステムは、コンピュータシステム400と通信するための複数の種類の入力/出力をユーザに提供することができる。コンピュータシステム400は、一般にユーザ入力及びシステム出力を管理及び管理することができる通信インターフェース440を含むことができ、コンピュータシステム400をネットワーク内の他のノードに接続することもできる。特定のハードウェア構成上で動作することに対する制限はなく、したがって、ここでの基本的な特徴は、それらが開発されるときに、改良されたハードウェアまたはファームウェア構成に容易に代替され得る。
【0108】
記憶デバイス430は、不揮発性メモリデバイスであってもよく、磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、バッテリバックアップ式ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、及び/またはこれらのデバイスのいくつかの組み合わせなどの、コンピュータによってアクセス可能なデータを記憶できるハードディスクまたは他の種類のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0109】
記憶装置430は、ソフトウェアを決定するコードがプロセッサ410によって実行されたときに、システムに或る機能を実行させるソフトウェアサービス、サーバ、サービスなどを含むことができる。いくつかの例では、特定の機能を実行するハードウェアサービスは、その機能を実行するために必要なハードウェアコンポーネント、例えばプロセッサ410、接続405、出力装置435などと関連してコンピュータ可読媒体に記憶されたソフトウェアコンポーネントを含むことができる。
【0110】
次に、機械学習環境500の例を示す図5を参照する。機械学習環境は、1以上のコンピュータデバイス502A~N(例えば、クラウドコンピュータサーバ、仮想サービス、分散コンピュータ、1台または複数台のサーバなど)上で実施することができる。コンピュータデバイス502は、トレーニングデータ504(例えば、クラウドベースのストレージ、ストレージネットワーク、ローカルストレージなどを含む、1以上のデータベースまたはデータストレージデバイス)を含むことができる。コンピュータデバイス502のトレーニングデータ504は、所定の期間(例えば、t、t+1、t+nなど)にわたって、1以上のデータソース506(例えば、データソース1、データソース2、データソースnなど)によって入力され得る。いくつかの実施例では、訓練データ504は、データ(例えば、データに関連する1以上のタグ)をラベル付けすることができる。例えば、トレーニングデータは、1以上の画像であり得、ラベル(例えば、VTまたはVTなし)は、各画像に関連付けられ得る。いくつかの例では、ラベル付きデータは、実際の標的確率(例えば、各患者の全受信画像にわたる加重平均としての各セグメント)であり得る。コンピュータデバイス502は、コンピュータデバイス502のニューラルネットワーク508(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、深層畳み込みニューラルネットワーク、人工ニューラルネットワーク、学習アルゴリズムなど)がトレーニングされるまで、1以上のデータソース506からデータを受け取り続けることができる(例えば、新しい入力データ要求に応答するための十分な偏りのないデータを受け取り、自律的またはほぼ自律的な推奨される行動方針を提供する、及び/または、実際に行動方針を実行するための入力を提供する)。いくつかの例では、ニューラルネットワークは、例えば、畳み込みブロック、畳み込み層、及び完全に接続された層を含む5つの層ブロックを利用する畳み込みニューラルネットワークであり得る。例えば、標的確率(例えば、1以上の心臓不整脈標的の確率など)を学習するために、ニューラルネットワークにさらなる層を追加することができる。例えば、追加のレイヤで個々のセグメントを結合することにより、加重平均(例えば、間接的な加重平均の学習)を作成することができる。例示的なニューラルネットワークが実現されるが、ニューラルネットワーク508は、単一の種類のニューラルネットワークまたは学習アルゴリズムに特に限定されない、様々な種類の1以上のニューラルネットワークであり得る。
【0111】
他の例では、標的確率を作成することができる(例えば、患者の受信データを介して提供される画像にわたる加重平均としての各セグメント)。これらの例では、個々のセグメントを正規化し、特定の深さの4D深さ画像に連結することができる。ニューラルネットワークは、例えば、連続的な標的確率(例えば、0から1の範囲)を予測するために、画像の深さに基づいて訓練され得る。トレーニングデータは、患者毎に同等の数の画像を必要とすることができ、したがって、欠落画像が存在する場合、既存の画像に基づいて代替画像を作成することができる(例えば、トレーニングデータをバイアスしないで、十分なトレーニングデータを可能にするために)。
【0112】
いくつかの例では、ここには示さないが、トレーニングデータ504は、バイアスについて、例えば、データソース506(及び対応するユーザ入力)を以前に知られたバイアスされていないデータと比較することによってチェックすることができる。データバイアスをチェックする他の技法も実現される。データソースは、本開示において上述したように、入力画像(MRI、CT、3Dモデリングなど)を提供するための任意のデータソースであり得る。
【0113】
コンピュータデバイス502は、データソースに関連するユーザ(例えば、医師)入力510を受信することができる。ユーザ入力510とデータソース506は、時間的に関連付けることができる(例えば、時刻t、t+1、t+nなどによって)。すなわち、ユーザ入力510とデータソース506は、ユーザ入力510が教師付き学習または強化学習の方法でデータソース506に対応し補足するという点で同期させてもよい。例えば、データソース506は、時刻tでMRI画像を提供することができ、対応するユーザ入力510は、時刻tでそのMRI画像のアブレーションを入力することができる。時間tは実際には実世界の時間で異なっていてもよいが、それらはトレーニングデータに提供されるデータに関して時間的に同期される。他の例では、ユーザ入力は、本明細書に記載されるように、セグメントをVTまたはVTなしとして分類することができる。
【0114】
訓練データ504は、ニューラルネットワーク508または学習アルゴリズム(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、人工ニューラルネットワークなど)を訓練するために使用することができる。ニューラルネットワーク508は、所定期間にわたってトレーニングされ、受信データ512(画像データなど)のみに基づいて、ユーザ入力510が何であるかを自動的に(例えば、自律的に)決定することができる。例えば、複数のバイアスされていないデータ及び/または対応するユーザ入力を十分に長い期間受信することによって、ニューラルネットワークは、データのみが提供された場合にユーザ入力が何であるかを決定することができる。例えば、訓練されたニューラルネットワーク508は、(例えば、512)MRI画像を受信することができ、このMRI画像に基づいて、医師が手動で識別するアブレーションを決定する(それは、トレーニング中にユーザ入力510として提供されるであろう)。いくつかの例では、これは、上述のようにデータに関連付けられたラベルに基づくことができる。訓練されたニューラルネットワークからの出力は、患者を治療するための治療ユニット514に提供することができる。いくつかの例では、訓練されたニューラルネットワークからの出力を治療ユニットに直接入力して、患者に対して処置を行うことができる。
【0115】
訓練されたニューラルネットワークシステム516は、訓練されたニューラルネットワーク508、受信されたデータ512、及び治療単位514を含むことができる。受信データ512は、上述したように、患者に関する情報であり得る。受信データ512は、訓練されたニューラルネットワーク508への入力として使用することができる。そして、訓練されたニューラルネットワーク508は、受信されたデータ512に基づいて、受信されたデータをラベル付けするか(例えば、VTまたはVTなし)、あるいは、ニューラルネットワークがどのように訓練されたかに基づいて、患者を治療するための推奨される動作経路を決定する(上記のようにして)ことができる。訓練されたニューラルネットワーク508の推奨された作用経路または出力は、治療ユニット514(例えば、受信されたデータ512が対応する患者に対して手順を実行すること)への入力として使用することができる。他の例では、訓練されたニューラルネットワークからの出力は、例えば、行動方針(例えば、回避性の低下、検証など)を決定するために医師によってレビューされるように、人間が読み取り可能な形式で提供され得る。
【0116】
説明を明確にするために、いくつかの例では、本技術は、デバイス、デバイス構成要素、ソフトウェアで実施される方法におけるステップまたはルーチン、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせを含む機能ブロックを含む個々の機能ブロックを含むものとして提示されてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶装置、媒体、及びメモリは、ビットストリームなどを含むケーブルまたは無線信号を含むことができる。しかしながら、言及される場合、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体は、エネルギー、搬送波信号、電磁波、及び信号それ自体のような媒体を明示的に除外する。
【0118】
上述の実施例による方法は、コンピュータ可読媒体に記憶されているか、または他の方法で利用可能なコンピュータ実行可能命令を使用して実施することができる。このような命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理装置に特定の機能または機能のグループを実行させる、または他の方法で構成する命令及びデータを含むことができる。使用されるコンピュータリソースの一部は、ネットワーク経由でアクセスすることができる。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語などの中間フォーマット命令、ファームウェア、またはソースコードであってもよい。説明された例による方法の間に作成された命令、使用された情報、及び/または情報を記憶するために使用され得るコンピュータ可読媒体の例としては、磁気または光ディスク、フラッシュメモリ、不揮発性メモリを備えたUSBデバイス、ネットワーク記憶デバイスなどが挙げられる。
【0119】
これらの開示に従った方法を実施するデバイスは、ハードウェア、ファームウェア及び/またはソフトウェアを含むことができ、様々なフォームファクタのうちの任意のフォームを取ることができる。このようなフォームファクタの一般的な例は、ラップトップ、スマートフォン、小型フォームファクタのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、ラックマウントデバイス、スタンドアロンデバイスなどを含む。本明細書に記載される機能は、周辺機器またはアドインカードにおいても実施され得る。このような機能は、さらに別の例として、単一のデバイス内で実行される異なるチップ間または異なるプロセス間の回路基板上に実装することもできる。
【0120】
命令、そのような命令を伝達するための媒体、それらを実行するためのコンピュータリソース、及びそのようなコンピュータリソースをサポートするための他の構造は、本開示に記載される機能を提供するための手段である。
【0121】
様々な実施例及び他の情報が添付の特許請求の範囲内の態様を説明するために用いられたが、当業者であれば、これらの実施例を用いて多種多様な実施を導き出すことができるであろうから、このような実施例における特定の特徴または配置に基づいて、特許請求の範囲の限定を暗示すべきではない。さらに、いくつかの主題事項は、構造的特徴及び/または方法ステップの例に特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲で決定される主題事項は、必ずしもこれらの記載された特徴または動作に限定されないことを理解されたい。例えば、そのような機能性は、本開示で特定される構成要素以外の構成要素において、異なって分配され、または実行され得る。むしろ、記載された特徴及びステップは、添付の特許請求の範囲内のシステム及び方法の構成要素の例として開示される。さらに、集合を「少なくとも1つの」と記述するクレーム文言は、集合の1つのメンバーまたは集合の複数のメンバーがクレームを満たすことを示す。
【0122】
実施例
【0123】
実施例1
【0124】
この例に記載されている治療は、研究仮説を具体的に検証することなく、患者の臨床状況に基づいて患者に提供された。全ての患者は、治療を行っている電気生理学者と放射線腫瘍医との両方から、治療のリスクについて詳細な説明を受けた。全ての患者は、治療に対するインフォームドコンセントを書面で提供した。心電図画像の使用についての施設内審査委員会の承認は、事前に得ていた。研究の時点で、SBRT装置は米国食品医薬品局から510(k)の市販前承認を受けていたが、ここに報告された患者におけるその使用は、適応外の臨床使用であると見なされる。この情報は、本試験に参加した患者に伝達された。
【0125】
心室頻拍の非侵襲的心臓アブレーション(非侵襲的放射線アブレーション)の従来の治療選択肢が限られている、器質的心疾患の患者、植込み型除細動器(ICD)が設置されている患者、及び治療抵抗性心室頻拍の患者を、ケースバイケースで評価した。患者は、少なくとも2つの抗不整脈薬を受け、少なくとも1つのカテーテルアブレーション処置(またはカテーテルアブレーションの禁忌がある)を受けたにもかかわらず、過去3ヵ月間に少なくとも3回のICD治療心室頻拍発作があった場合に、非侵襲的放射線アブレーションの対象とした。心臓移植に対する患者の評価は、施設の標準治療にしたがって推奨されたが、移植適格性は考慮すべき絶対条件ではなかった。左室補助装置が設置された患者については、本研究に含めるために評価しなかった。
【0126】
非侵襲的放射線アブレーションの処置ワークフローを図7に示す。治療前に、患者は、誘発性心室頻拍中に、心室頻拍回路を正確にマッピングするために、非侵襲的心電図イメージングを受けた。心電図イメージングのために、患者は、256電極ベスト(BioSemi)を着用し、胸部CT走査を受けた。その後、患者を電気生理学検査室に移し、心室頻拍を誘発するために留置ICDを使用した非侵襲的プログラム刺激を行った。心電図画像マップのデータを取得し、ICDを使用して短時間のオーバードライブペーシング操作により心室頻拍を停止させた。心電図画像マップを作成し、心室頻拍中(「出口部位」)の最も初期の電気的活性化部位を識別した。
【0127】
臨床的に利用可能な場合、追加の心臓イメージングを使用し、標準技術(図7)を用いた安静時単一光子放射型CT(SPECT)または造影心MRIによって解剖学的瘢痕領域を識別した。心電図イメージングからの電気的情報と、解剖学的瘢痕からの情報とを組み合わせて、心室頻拍(出口部位)の最初の10msecの領域と関連する心室瘢痕の全心筋厚とを標的とする放射線アブレーションの対象となる体積測定標的を構築した。
【0128】
加えて、治療前に、患者は、心臓と肺の動きの合計を評価するため、真空補助装置(BodyFIX、Elekta)の使用による胸部から脚にかけての全身の固定と、呼吸相関CTスキャン(4次元CT)の取得とを含む、計画CTスキャンを受けた。最終的な標的(計画標的量)は、上記で定義したように、動作、セットアップの不確実性、及び治療提供の不確実性を考慮して、標的を拡張することによって策定された。
【0129】
単回分割での総線量25Gyは、食道、胃、肺及び脊髄を含む周囲臓器への計算された線量制約を超える線量を回避しながら最大線量被覆を達成することを目的として、計画標的体積に提供されるように指定された。全ての計画は、提供前に校正用試料を用いて標準的な内部物理学品質保証の試験を受け、合格した。
【0130】
SBRTは、コーンビームCTを用い、計画CTに直接登録することができる胸部の画像を取得する、画像ガイド放射線治療装備線形加速器(TrueBeam, Varian Medical Systems)を使用して実施した。この処置は、基準マーカーの侵襲的な配置を必要とせずに、心臓及び標的体積の正確な位置合わせを行うことができる。治療中、患者は、コーンビームCTを使用して位置合わせされ、X線透視法によってその位置合わせが検証される、患者毎にカスタマイズされた固定装置内に入れられた。全ての患者は、治療中に追加のイメージングを用いることなく、かつ、鎮静剤または麻酔剤を使用することなく治療した。
【0131】
治療後、心室頻拍のアブレーションを受けた患者を、標準治療にしたがって経過観察した。全てのICDを、遅い心室頻拍を評価するため、100bpmでモニタのみのゾーンで再プログラムした。患者は、ICDが検出した不整脈の迅速な識別と解釈を強化するための装置の遠隔モニタリングプログラムに登録した。患者は、2ヵ月間は2週間毎、次の4ヵ月間は毎月、そして治療1年後にICDインタロゲーションによって外来診療所で診察した。
【0132】
各来院時に、抗不整脈薬の既知の短期及び長期の毒性作用を軽減するために、抗不整脈薬を中止させる試みが行われた。さらなる心室不整脈が検出されなければ、6週間の来院後に抗不整脈薬の全ての投与を中止することを目的として、抗不整脈薬の用量を減らすか、または投与を中止した。患者は、治療の前後に、心不全に対する薬物療法(β遮断薬を含む)を受け続けた。
【0133】
心室頻拍の発作は、適切なICDショック、適切なICD抗頻拍ペーシング、及びモニタゾーンにおける未治療心室頻拍の持続性(>30秒)の合計として集計した。治療を行った電気生理学者は、全てのICDインタロゲーションに対して判定した。患者は心臓有害事象を評価するために、ベースライン時、治療した1、6、12ヵ月後に心エコー検査を受けた。患者はまた、胸部SBRTのルーチン標準治療にしたがって胸部有害事象を評価するために、ベースライン時、3ヵ月時、12ヵ月時に胸部CTを受けた。
【0134】
2015年の4月~11月の間に、9人の患者を、非侵襲的放射線アブレーションについて評価した。治療を受けなかった4人の患者のうち、2人は参加を拒否し(1人は、ホスピスケアに入ることを選択して、1週間後に心室頻拍の合併症で死亡し、1人は、心室頻拍アブレーションのための侵襲的処置を受けることを選択した)、1人は治療前に進行性心原性ショックのため死亡し、1人は左心室補助装置の移植を受け、手術後に心室頻拍発作が再発した。
【0135】
表1は、各患者の人口統計学的データ及び臨床データの概要を示す。
【0136】
【表1】
【0137】
治療した5人の患者の平均年齢は66歳であった(60~83の範囲)。治療の3ヵ月前の患者あたりの心室頻拍発作の平均数は1315であった(5~4312の範囲)。全ての患者は、評価時に2種類の抗不整脈薬を服用していた。以前の侵襲的カテーテルアブレーション処置は、3名の患者で失敗した。2人の患者は、侵襲的カテーテルアブレーションに対し禁忌を示した。1人(患者2)は、新しい機械的僧帽弁補綴と心外膜心室頻拍の証拠を示し、1人(患者5)は、どの侵襲的手技に対しても虚弱すぎると考えられた。5人の患者は全て、ニューヨーク心臓協会クラスIIIまたはIV心不全症状を示した。平均左室駆出率は、23%であった(15~37の範囲)。
【0138】
全ての患者に対して、心室頻拍のマッピングのため非侵襲的心電図イメージングを行った。4人の患者は、誘発性心室頻拍を示した(平均回路数は3;1~6の範囲)。誘発性心室頻拍の全発作中に心電図イメージングを実施した。1人の患者(患者3)では、心室頻拍を誘発できず、心電図イメージングを取得できなかったので、12誘導心電図及び以前の侵襲的カテーテルマッピングの結果を使用して、容量測定標的の作成をガイドした。治療の特徴を表1に示す。アブレーションの標的体積は17~81mlの範囲であった(平均は49)。治療時間は、11~18分であった(平均は14)。
【0139】
12ヵ月の経過観察期間の中央値で、治療後に心室頻拍の負荷が著明に減少した(表1及び図9A~9C)。全体として、治療前の15患者で、1か月間に6577の心室頻拍発作があった。アブレーション直後の6週間の期間(アブレーション後の炎症のために不整脈が起こる可能性のある「ブランク期間」)に、心室頻拍の発作が680回あった。6週間のブランク期間の後、次の46患者は、1か月間に心室頻拍発作が4回あり、ベースラインから99.9%の相対的低下を示した。
【0140】
図8Aは、患者当たりベースでの心室頻拍の月間発作数を示す。全ての患者で心室頻拍負荷が減少した。12ヵ月生存した4人の患者のうち、3人は抗不整脈薬を受けていなかった。患者3は、抗頻脈ペーシングの最初の発作後、治療9ヵ月後にアミオダロン投与を再開した。患者4は、心室頻拍の不完全な停止のため、治療4週後にさらなる侵襲的カテーテルアブレーション治療を受け、その後は、さらなる発作はなかった。改善が、ICDショック数(治療前のICDショックの合計数が55回なのに対して、治療後のショック数は1回)(図8B)、及びICD抗頻脈ペーシング(治療前の発作が6577回なのに対して、治療後の発作は3回)(図8C)の両方で観察された。
【0141】
治療中または指標入院中に合併症は発生しなかった。3人の患者は治療翌日に疲労を報告した。治療直後に急性心不全増悪は起こらなかった。患者は治療後1~3日で退院した。
【0142】
ICDシステム性能、リード閾値、またはリードインピーダンスにおいて、治療後のどの時点でも有害作用は観察されなかった。連続心エコー検査は心膜液貯留を示さなかった。最後の経過観察来院時の左心室の駆出率の平均変化は、6%ポイント(2~22の範囲)の絶対的増加であった(図9A)。治療後、肺症状は生じなかった。3ヵ月での連続CTは、胸部SBRTに典型的な隣接肺組織の炎症性変化と一致する所見を示し、12ヵ月ではほぼ完全に消失した(図9B)。12ヵ月後のCTでは、治療対象領域に胸痛や心筋や冠動脈の明らかな変化はなかった。
【0143】
経過観察期間中、アミオダロン投与の中止後、3人の患者で洞結節機能が回復した。洞調律における心拍数は、時々、ICDプログラム検出カットオフ率(100bpm)を超えた。この状況は、不適切な治療を避けるためのICD再プログラミングを必要とした。
【0144】
1人の患者(患者5)は、治療3週間後に致死的な卒中が生じた。この83歳女性は、心房細動、重度心筋症、及び、脳卒中の他の危険因子の病歴を有していた。フレイル関連出血のリスクのため、脳卒中予防のために経口抗凝固薬は処方されなかった。治療後3週間で、患者の心室頻拍の負荷は82%低下した(抗頻脈ペーシングは、治療1ヵ月前の1777回から治療後322回まで減少した)。左心室の駆出率は15%から30%に増加した。心エコー検査または病理学的評価で心臓内血栓は見られなかった。脳卒中がSBRTと関連していたのか、または、患者が脳卒中のリスクの高い既存の医学的状態と関連していたのかは、依然として不明である。
【0145】
患者5における死後心臓病理学的評価について同意が得られた。顕著な拡張血管が、高密度瘢痕と生存心筋(瘢痕境界領域)との界面で識別された(図10A)。このパターンは、放射線曝露後の初期数週間に通常観察される、急性血管損傷の成分として報告されている。このような場合、損傷パターンは一般的に、内皮細胞の腫脹、空胞変性、及び血管周囲組織の浮腫を伴う。しかしながら、この患者では、これらの血管の内皮は正常で非反応性のように見え、急性血管炎または組織浮腫の証拠はなかった(図10B)。急性筋細胞壊死、出血、または急性炎症の証拠は認められなかった。高密度瘢痕の形成に対する遠隔心筋梗塞及び急性心臓SBRTの相対的寄与は不明である。
【0146】
実施例2
【0147】
ENCORE-VT試験は、単一施設で実施された有望な単一群第I/II相試験であった。現地の治験審査委員会(IRB)は、線形加速器及び心電図画像技術の使用の適用とリスクの解釈に基づいて、治験医療機器の適用免除(IDE)を希望しない試験を承認した。全ての参加者にインフォームドコンセントが提供され、独立したデータ安全性監視委員会がデータを半年毎にレビューし、試験の継続に関するガイダンスを提供した。試験登録の後、FDAはプロトコルをレビューし、研究を、IDEの承認を必要とする重大なリスク試験に分類した。研究者、IRB、及びFDAは互いに協力して、適切なヒト被験者保護が実施されていることを確実にした。
【0148】
適格患者は、18歳以上であり、(a)単形性持続性VTの3回以上の発作、または(b)単形性PVC(PVC>20%)に関連する心筋症(左室駆出率(LVEF)<50%)を有しており、かつ、1回以上の抗不整脈薬投与と1回以上のカテーテルアブレーション(または、カテーテルアブレーションの禁忌を有する)を行っていないことを条件とした。患者は、予想される治療領域に対する過去の放射線治療を受けていない。変力物質及び/または左室補助装置に依存する心不全を有する患者、またはVTがない状態でも12ヵ月生存する可能性が低いと考えられる患者は不適格と見なされた。また、非侵襲的プログラム刺激(NIPS)試験中に、多形性VTまたは心室細動、3種類以上の臨床的に異なるVT形態、または5種類以上の誘発性VT形態を有する患者も不適格であった。
【0149】
標的化
【0150】
標的化のためのプロトコル指定ベースライン研究には、心臓CT、心臓MRI、PET/CT、12誘導心電図、及びNIPS試験中の誘発性VT中のECGIの取得が含まれる。NIPS法及びECGI法については前述した。イメージング試験と電気生理学的マッピングとの組み合わせを用いて、関連回路を有するVT出口部位に近接する心室瘢痕の全領域を標的とすることを原則として、各患者のSBRTをガイドした。
【0151】
治療及び経過観察
【0152】
患者は、上記に定義したように、SBRTによって、催不整脈性標的に対する25Gyの単回照射を受けた。治療完了後、最も遅い臨床的または誘発性VTよりも少なくとも20ms遅い検出のためのゾーンを含む、事前に指定されたICDプログラミング計画を全ての患者に対して実施した。臨床ケアの一部として、ICDを遠隔監視した。もし禁忌でないならば、治療後の最初の1ヵ月間、経口抗凝固薬を処方した。治験来院は、治療後の3日目、2週目、4週目、6週目、6ヵ月目、及び12ヵ月目に実施し、その後は、年1回実施した。有害事象を継続的に評価し、ICDインタロゲーションを各治験来院時に実施した。12誘導心電図検査を、3日目、6週目、3ヵ月目、6ヵ月目、及び12ヵ月目に実施した。PVC患者に対して、24時間ホルター心電計検査を6週目、3ヵ月目、6ヵ月目、及び12ヵ月に実施した。胸部CTを、ECGI(NIPSなし)と共に、3ヵ月目及び12ヵ月目に実施した。
【0153】
結果判定及び統計的分析
【0154】
ENCORE-VT試験は、(1)安全性及び(2)有効性のコプライマリーエンドポイントを考慮してデザインされた。安全性についての主要エンドポイントは、有害事象共通用語規準(CTCAE、バージョン4.0)を用いて定義された、治験に関連する(治験に関連する可能性がある、治験におそらく関連する、または、治験に明らかに関連する)重篤な有害事象(SAE)の発生率が90日以下と定義した。SAEは、入院を必要とするグレード3毒性、またはグレード4~5毒性と定義した。最初の10人の患者のうちの5人以上でSAEが発生した場合、プロトコル登録を中止するために早期中止規則が設定された。
【0155】
有効性についての主要エンドポイントは、VTに対するICD治療回数または24時間PVC負荷が、SBRT前後の6ヵ月間と治療効果を考慮した治療後の6週間のブランク期間を比較して減少した被験者数と定義した。ICD治療は、ICDショックと抗頻脈ペーシング(ATP)とを含む。ここで報告された追加選択の事前に決められた副次的目的には、より厳密な有効性エンドポイント(50%削減、95%削減)、患者由来エンドポイント(VT患者のショックの減少、PVCの心機能の改善)、全生存、晩期有害事象(90日超~1年以内)、SF-36質問票で評価された生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)が含まれる。
【0156】
本試験は、安全性の高い可能性を保証することと有効性の予備的評価とのバランスを考慮して実施された。全ての患者がVTを停止するための以前の治療に失敗したことを考慮すると、この試験の集団は、リスクが高いと予想され、SAE率は最大20%であり、有効性は40%程度であり、臨床的に許容できると仮定した。割合について1サンプル片側検定を用いて、19人の患者が、SAE率が真に20%を超えないことを決定する75.4%の検出力(5~20%の範囲、アルファ=0.0829)、及び有効性が40%を超えないことを決定する81.5%の検出力(40~65%の範囲、アルファ=0.0885)を提供した。
【0157】
連続変数が、中央値及び範囲として報告された。ウイルコクソンの符号付き順位検定を用いて、ベースラインと6ヵ月時点との間における、VTイベント、ICDショック、ATPイベントの数を比較した。マクニマーペア検定を用いて、抗不整脈薬使用の割合の変化を評価した。生活の質の分析のために、ベースライン、6週目、及び6ヵ月目でのShortForm-36測定の各々の平均値を、グリーンハウス・ゲイザー補正を用いた反復測定ANOVAによって比較した。経過観察の中央値は、治療日から最後の予定された経過観察の日または死亡した日までについて計算した。プラン・マイヤー分析を用い、生存関数を推定した。全ての統計は、Windows(登録商標)用のIBM SPSS Statisticsfor、Version24.0(Armonk、NY、2016)で実施した。
【0158】
患者及び治療
【0159】
表2は、年齢中央値66歳、男性89.5%(n=17)、虚血性心筋症(n=11、57.9%)、LVEF中央値25%(15~58の範囲)、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIII/IV(73.7%)によって特徴付けられた、コホートに対する人口統計学的データの概要を示す。
【0160】
【表2-1】
【0161】
【表2-2】
【0162】
登録前のカテーテル除去の中央値は1であった(0~4の範囲)。3人の患者は、機械的AVR及びMVR(n=1)に起因して、以前にカテーテルアブレーションを受けておらず、医学的共存症によりLV駆出率が大幅に低下しており、血行力学的支持が妨げられており(n=1)、可動性LV血栓が存在していた(n=1)。経過観察期間の中央値は13ヵ月であり、経過観察から外れた患者はいなかった。
【0163】
ICD治療VT(n=17)またはPVC関連心筋症(n=2)の患者を登録した。ICD治療VTの17人の患者のうちの10人はVTストーム(24時間以内に3回以上のVT発作)であると考えられ、2人は治療時に持続性VTであった。半数以上(n=11、57.9%)の患者が1種類以上の抗不整脈薬を服用しており、治療時に毎日300mg以上のアミオダロンを服用していた。
【0164】
標的化及び治療の特徴を表3に示す。10人の患者は、主にICDリードの放棄に起因して、心臓MRIから除外した。全ての患者は、CT、核イメージング、並びに、VTの誘発とその後の12誘導心電図検査及びECGIイメージングを行った。患者は、中央値で2つのVT誘発を示した(1~5の範囲)。
【0165】
【表3】
【0166】
総標的体積の中央値は、25.4cc(6.4~88.6の範囲)であった。PVC患者は、最小のGTVを有していた(6.4cc、11.5cc)。動作、並びに、セットアップ及び実施に対する保存的な追加マージンを考慮して、計画標的体積の中央値は98.9cc(60.9~298.8の範囲)であった。大部分(n=17、89.5%)は、体積変調アーク療法技術を用いて治療した。ビームオン時間の中央値は、15.3分(5.4~32.3)であった。
【0167】
安全性
【0168】
SBRT中または直後に、急性毒性は観察されなかった。SBRT中または後のICDにおいて、有害事象は観察されなかった。2名の患者(10.5%)は、グレード3治療関連(たぶん、おそらく、または、明確に関連している)SAEを経験した。1名の患者は、心不全増悪(グレード3)治療の65日後に入院し、可能な限り保存的にスコア付けした。別の患者は80日目に心膜炎で入院し、プレドニソンで改善され、可能性があるとスコア付けされた。グレード4の毒性は記録されなかった。別の患者は、介護施設での治療後17日目に死亡した。この死亡は、関連性がないとスコア付けされ、6ヵ月の有効性の主要エンドポイントに寄与しなかった。早期中止規則には該当せず、DSMBは、試験の完了を推奨した。
【0169】
治療に関連する可能性がある、または治療に関連することが明らかな有害事象は、一般的に、グレード1~2(4名、8件(22%))であった。一過性のグレード1の疲労と低血圧が一般的であった。3人の患者は、治療2週間以内に低血圧のため降圧剤の調整を必要とした。他の一般的なグレード1~2の有害事象には、目まい、呼吸困難、及び吐き気が含まれる。2人の患者(11.1%)は、ステロイドで消散されるグレード2放射線肺炎を発症した。心膜液貯留が、5人の患者(28%)で6回報告された。3例は無症候性2例であり、1例は内科的治療で消散し、2例はより高グレードであった(心外膜アクセス後、関連するグレード3が1例、関連しないグレード4が1例)。症状を示す4人の心膜炎または肺炎の患者は、毎日1mg/kg(最大560mg)のプレドニソン投与で治療し、症状に基づき1週間当たり10~20mgずつ用量を漸減させた。6人の患者(33%)は、経過観察期間中の任意の時点で、心不全により少なくとも6回入院した。
【0170】
有効性
【0171】
6ヵ月生存した18名の患者について、VT発作またはPVC負荷の減少の主要有効性エンドポイントは、17/18(94%)の患者で達成された。図11は、全ての18人の患者について、非侵襲的心臓高周波アブレーションの前後における、VT発作の頻度及び24時間のPVC負荷を示す。
【0172】
ICD治療を受けたVTを有する評価可能な患者16人では、治療前6ヵ月間におけるVT発作は、合計で1778回あった。6週間のブランク期間中に、149回のVT発作があった。次の4.5ヵ月間に、111回のVT発作があった(VT発作は94%減少)。VT発作の中央値は、アブレーション前の6ヵ月(119、4~292の範囲)からアブレーション後の6ヵ月(3、0~31の範囲、p<0.001)まで減少した。ICDショックの中央値(アブレーション前4、0~30の範囲対アブレーション後0、0~7の範囲、p=0.002)、及び、ICDATP(アブレーション前81、0~292の範囲対アブレーション後3.5、0~29の範囲、p=0.001)の有意な減少が観察された。
【0173】
PVCに関係する心筋症の2人の患者に対し、24時間PVC負荷は、24%から2%、及び26%から9%に低下した。図12に示すように、LVEFは、それぞれ13%及び8%改善された。
【0174】
事前に指定された副次的評価項目には、VT発作の50%の減少、及び95%の減少、または24時間のPVC負荷が含まれる。このエンドポイントは、患者の94%及び61%でそれぞれ達成された。VT発作の頻度またはPVC負荷は、89%の患者で75%低下した。事前に指定した副次的エンドポイントは、ICDショックの除去及び/またはLVEFの改善であり、これは、患者の72%で達成された。VT負荷はほとんど全ての患者で低下したが、多くの患者は(11/16、69%)、6週間のブランク期間後の6ヵ月間にVTの再発を示した。全生存率は、6ヵ月で89%、12ヵ月で72%であった(図13A)。
【0175】
図13Bは、治療前及び6ヶ月目での抗不整脈薬使用の分布を示す。二重抗不整脈薬の使用は、58%から11%に減少した(p=0.008)。高用量アミオダロン(>300mg/日)の使用は、58%から11%に減少した。クラス1の薬剤の使用は、67%から11%に減少した。4人の患者は、抗不整脈薬の使用を完全に中止した。
【0176】
選択された患者について報告された生活の質のスコアを、ベースライン、治療後6週間、及び6ヵ月で図13Cに示す。有意な改善は、認識された健康変化及び社会的機能カテゴリーで観察された。全体的健康感の分野では変化は認められなかった。QOLスコアは、どの分野でも低下しなかった。
【0177】
実施例3
【0178】
この例は、患者サンプルデータ及びアブレーションの対象となるセグメントを決定するための方法の出力例を提供する。患者は、非虚血性心筋症(正常冠動脈造影図)を有する50歳の男性であった。患者は、2.5年前に心内膜LVマッピング/アブレーション処置を受け、抗不整脈薬の投薬治療を受けていた。患者は、サイクル長(CL)が300~320msの単形性VTと、183回の抗頻脈発作を有していた。
【0179】
左心室は、図3Aに示すようにセグメント化されていた。以前のマップ/アブレーションでは、セグメント10で最小の異常シグナルを識別し、セグメント10の経験的カテーテルアブレーションを行っていた。
【0180】
患者のECGが、300msのCL及び200bpmのHRを有するセグメント10におけるVT1を示す図14に示される。これは、心内EGMが臨床的VTと一致することを示す。
【0181】
壁運動障害を識別するためのMRIにより、セグメント11、12、5、及び6は運動不全であることが見出された。ガドリニウムを用いたMRIにより、例えば図15A及び図15Bに示すように、セグメント5、6、11、12、及び10に高密度の瘢痕が識別され、セグメント1及び2に心筋中央部の瘢痕が識別された。CTスキャンにより、例えば図16A及び図16Bに示すように、セグメント5において薄い領域が識別された。PET生存スキャン(非炎症性)により、例えば図17に示すように、セグメント5及び11における取り込み減少領域が識別された。
【0182】
図18A図18B、及び図18Cに示すように、ECGIはセグメント10及びセグメント6を最も早く識別され、また、図3Aに示すように、セグメント11はセグメント10及びセグメント6における2つの心外膜貫通の間にあるので、心内膜セグメント11が起点である可能性が高かった。小さなR波を有する局所EGMが識別された。洞調律異常は、セグメント10、11、6、及び5で識別された。
【0183】
輪郭形成は、図19に示すようにして行った。出口部位は、セグメント10と識別された。近くの瘢痕は、セグメント11及び12と識別された。アブレーションは、セグメント5に戻るように延長された。セグメント1と2の瘢痕は標的としなかった。セグメント6は、ECGが完全に上方に向けられていたので、標的化されなかった。
【0184】
一般に、患者は、略貫壁性の下外側瘢痕、下縁及び前外側縁での斑状瘢痕転移、及び前壁中隔基部での心筋中央部の「縞」を含む複雑な瘢痕を有していた。臨床的VTは容易に誘導され、ECGI及びECGは下方中間のLV出口部位(ECGI上に心外膜出口が2つある心内膜と考えられる)にマッピングされた。以前の心臓マッピングはMRI瘢痕と一致しなかったため、ECG及びECGIによりって標的化が可能であった。
【0185】
図14図15A図15B図16A図16C図17図18A図18B図18C、及び図19からのマッピングは、アブレーションの対象となる1以上の心臓不整脈標的を決定する方法への入力マッピングであった。図20A図20B図20C図20D図20E、及び図20Fは、各入力マッピング(心電図、MRI運動、MRI瘢痕、CT、PET、ECGI)により識別されるセグメント異常を示す。図20Gは、1以上の心臓不整脈標的を決定する方法の出力であり、各標的の確率を示す。例えば、高い確率の標的は赤、中程度の確率の標的はオレンジ、低い確率の標的は黄色で表示される。この例では、最終的な標的は、セグメント5、10、11、12であった。
【0186】
実施例4
【0187】
この例は、患者サンプルデータ及びアブレーションの対象となるセグメントを決定するための方法の出力例を提供する。患者は、虚血性心筋症(LVEF<25%)を有する56歳の男性であった。患者は、以前に4回のカテーテルアブレーションを受けており、二重抗不整脈薬を服用していた。
【0188】
左心室は、図3Aに示すようにセグメント化されていた。患者のECGは、セグメント7におけるVT1を示す図21A、及びセグメント14におけるVT2を示す図21Bに示される。
【0189】
患者のペースメーカが電池交換期間(ERI)にあったため、MRIは実施しなかった。CT走査により、例えば図22に示すように、セグメント7、13、14、15、16、及び17に、薄くなった心尖部瘤が識別された。PETスキャンにより、例えば図23A及び図23Bに示すように、セグメント7、13、14、15、16、及び17に、大きな前心尖部瘤が識別された。
【0190】
図24A図24B図24C、及び図24Dに示すように、ECGIにより、セグメント7、12、13、及び16にVT1が識別され、セグメント15及び16にVT2が識別された。加えて、ECGIにより、図24E及び図24Fに示すように、セグメント13、14、15、16、及び17に、洞調律、大きな心尖部瘤が識別され、セグメント13及び16に、等時性の後期活性化が識別された。
【0191】
輪郭形成は、図25A及び図25Bに示すようにして行った。一般的に、患者は2つの異なるVTを有する大きな前尖瘢痕を有し、両方とも瘢痕からの2つの異なる端部から出ており、VT部位と一致する興味深い洞調律活性化を示した。ECGIは、VT1のECGと一致するが、VT2のECGとは一致しない。標的治療の決定は、瘢痕均質化(大)と、より焦点を絞ったアプローチとのバランスをとった。12リード上のVTは、かなり離れた2つの異なる領域であり、より広いアブレーションを必要とする。完全な瘢痕の均質化は、セグメント7、13、14、15、16、及び17を必要とし、一方、ECGI単独では、瘢痕の外側縁のセグメント13、15、及び16のみを推奨する。
【0192】
図21A図21B図22図23A図23B図24A図24B図24C図24D図24E図24F図25A、及び図25Bからのマッピングは、アブレーションの対象となる1以上の心臓不整脈標的を決定する方法への入力マッピングであった。図26A図26B図26C図26D図26E図26F図26G図26Hは、各入力マッピング(VT1の心電図、VT2の心電図、CT、PET、VT1のECGI、VT2のECGI、洞調律瘢痕のECGI、及び、洞調律の最近の活性化についてのECGI)により識別されたセグメント異常を示す。図26Iは、1以上の心臓不整脈標的を決定する方法の出力であり、標的のそれぞれの確率を示す。例えば、高い確率の標的は赤、中程度の確率の標的はオレンジ、低い確率の標的は黄色で表示される。この例では、最終標的は、セグメント7、13、14、15、16、及び17であった。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図26F
図26G
図26H
図26I