(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】水泳補助具
(51)【国際特許分類】
A63B 31/14 20060101AFI20240109BHJP
A63B 31/12 20060101ALI20240109BHJP
B63B 34/45 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
A63B31/14
A63B31/12
B63B34/45
(21)【出願番号】P 2021537015
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2019011109
(87)【国際公開番号】W WO2020046030
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0102705
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521085940
【氏名又は名称】パク,リーン チュル
【氏名又は名称原語表記】PARK, Leen Chul
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パク,リーン チュル
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】実公昭02-006678(JP,Y1)
【文献】特開昭63-071207(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0114809(KR,A)
【文献】特開2015-181793(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0001147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 31/00 - 31/18
B63B 34/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の平から肘の間に挿通される本体(50)と、前記本体(50)の外面に折り畳み可能に設置されたひれ(60)とを含み、
前記本体(50)は強度を有しながら柔らかい合成樹脂材からなり、手の平から肘の間に挿通される長さで、一側が長さ方向に間隔を隔てて開放された開放部(1)を有し、手を入れる前方の手の平接触部には母指の基部が露出される凹部(2)が形成され、
前記ひれ(60)は耐久性を有する合成纎維からなり、腕が位置する本体(50)の外面に上部を除いた本体(50)の外側に開かれる「U」字状を成し、本体(50)の外周縁にヒンジ部(4)を有する複数の横方向と縦方向の支柱(5)(5`)に固定され、前記支柱(5)(5`)の外側端は本体中央の線巻き込み装置(6)(6`)に巻き取られた複数の線(7)(7`)に連結されて線巻き込みの弾性力で本体(50)の外面に折り畳まれ、弾性力を克服する水勢によって線(7)(7`)を引っ張って解きながら開かれるように構成されることを特徴とする水泳補助具。
【請求項2】
開放部(1)に
はファスナーまたはクリップで締結する締結バンド(3)が両端部と中間部に付着されて本体(50)を腕に着用する時動かないように固定することができるようになっている請求項1に記載の水泳補助具。
【請求項3】
本体(50)は開放部(1)を通じて腕を入れる時手と腕に密着される形態を有することを特徴とする請求項1に記載の水泳補助具。
【請求項4】
線巻き込み装置(6)(6`)はケーシング(8)の内部に弾力的に回転されるボビン(9)と、前記ボビンの内側にパンスプリング(10)がコイル状に巻き込まれて内蔵され、線(7)(7`)は前記ボビン(9)の外面に順次に固定されて線(7)(7`)を引っ張ればパンスプリング(10)が巻かれながら引っ張られ、引っ張られる力が消失されればパンスプリング(10)の復帰弾性力でボビン(9)に巻かれるようになり、前記線巻き込み装置(6)(6`)は一つ以上設置されて水勢によって開かれるひれ(60)を線(7)(7`)の巻取作動で折り畳まれるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の水泳補助具。
【請求項5】
支柱(5)(5`)は合成樹脂またはアルミニウムで成形されて、ヒンジ部(4)を中心として折り畳む時、本体(50)の曲面に密着されるように湾曲された形態に形成され、外側端は折り畳む時本体(50)と離隔されるように隙間部(S)を形成して折り畳まれた状態で水が流入されることができるようにし、中間と外側末端には穴(11)があいてひれ(60)と糸(12)で縫着されて構成される請求項1に記載の水泳補助具。
【請求項6】
支柱(5)(5`)の本体(50)と接触される内側末端は展開する時後にそり返らないように直角面(13)を有する請求項1または請求項5に記載の水泳補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水泳補助具に関し、さらに詳しくは、腕に付着して腕で水をかいて推進する時、魚のひれのような作動で水に対する抵抗力を増大させて推進効果を高めることにより水泳をより容易にすることができるように補助する水泳補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水泳をする時、両腕を頭の前で円を描きながら後に移動させて手の平で水をかく動作を繰り返しながら推進力を得ているが、人の手は鴨のように足指の間に水かきがないので、未熟練者は水泳をうまくすることができなかった。
【0003】
そこで、水泳をより容易にすることができるように手の平の面積を広げる水かきを有する手袋形態の水泳補助具が従来にもたくさん案出されたことがあり、近来にはこれより改良されたものとして腕に着用して水に対する推進力を高める技術が開示された。韓国特許公開第10-2007-0051158号には腕に挿通する固定リングにひれが一体に形成されてひれをハンドラーによって操向することにより推進力と方向を調整する技術を開示されているが、この構造は肘の後ろに位置するひれを利用して腕を曲げたり伸ばしたりする動作で水泳をするので一般的に水泳の種類の中で安定的な平泳ぎや背泳ぎで水泳をする時には使用しにくく、また水泳過程でハンドラーで操向しながら水泳することは難しくて実用的でなかった。
【0004】
また、韓国実用新案登録第20-0305593号は、固定バンドの下部に設置した本体に折り畳まれる羽を付着して羽の作動で水をかいて推進する構造で、羽の動作によって水泳を補助しているが、これは腕に着用する固定バンドの下部に別途の本体が設置され、これに羽が付着されているため、嵩が大きくて着用が不便であり、活動が自由でなく、重くて水の中で遊ぶ時に非常に不便な短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来のような短所を解消するために案出されたもので、本発明の目的は、手の平から腕にかけて挿通する本体に傘のように閉じたり開かれるひれを設置して水をかく時にひれが開き、水をかかない時には折り畳まれて連続的な推進力を得ることができる水泳補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような目的を達するための手段として、手の平から肘の間に挿通される本体と、前記本体の外面に折り畳み可能に設置されたひれとを含み、
前記本体は強度を有しながら柔らかい合成樹脂材からなり、手の平から肘の間に挿通される長さで一側が長さ方向に間隔を隔てて開放された開放部を有し、手を入れる前方の手の平接触部には母指の基部の露出される凹部が形成され、
前記ひれは耐久性を有する合成纎維からなり、腕が位置する本体の外面に上部を除いた本体の外側に開かれる「U」字状を成し、本体の外周縁にヒンジ部を有する複数の横方向と縦方向の支柱に固定され、前記支柱の外側端は本体中央の線巻き込み装置に巻き取られた複数の線に連結されて線巻き込みの弾性力で本体の外面に折り畳まれ、弾性力を克服する水勢によって線を繰り上げたり解きながら開かれるように構成されることを特徴とする水泳補助具を提供する。
【0007】
前記開放部にはベルクロ(登録商標)ファスナーまたはクリップで締結する締結バンドが両端部と中間部に付着されて本体を腕に着用する時に動かないように固定することができるようになることを特徴とする。
【0008】
前記本体は開放部を通じて腕を入れる時、手と腕に密着される形態を有することを特徴とする。
【0009】
前記線巻き込み装置はケーシングの内部に弾力的に回転されるボビンと、前記ボビンの内側にパンスプリングがコイル状に巻き込まれて内蔵され、線は前記ボビンの外面に順次に固定されて、線を繰り上げればパンスプリングが巻かれながら引っ張られ、引っ張られる力が消失すればパンスプリングの復帰弾性力でボビンに巻かれ、前記線巻き込み装置は一つ以上設置されて水勢によって開かれるひれを線の巻取作動で折り畳まれるように構成されることを特徴とする。
【0010】
前記支柱は合成樹脂またはアルミニウムに成形されてヒンジ部を中心として折り畳む時、本体の曲面に密着されるように湾曲された形態で形成され、外側端は折り畳む時本体と離隔されるように隙間部を形成して、折り畳まれた状態で水が流入されることができるようにし、中間と外側末団には穴があいてひれと糸で縫着されて構成されることを特徴とする。
【0011】
前記支柱の本体と接触される内側末端は展開時に後にそり返らないように直角面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明は腕に簡単に着用して羽の折り畳み作用で連続的な推進が可能であるので、水泳の未熟練者も容易に水泳ができるように補助し、また水泳に対する適応力を高めるという長所があり、特に、推進のための腕のストローク時のみ羽が開かれて水勢に対する抵抗力を提供し、ストロークをしない時には羽が折り畳まれて本体から突出しないので、着用時の拒否感が少なくて、これを着用した状態で水遊びをするのに不便を与えないという点でより優れた効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明のひれが折り畳まれた状態の縦断面図である。
【
図4】本発明のひれが開かれた状態の縦断面図である。
【
図5】本発明のひれが折り畳まれた状態の着用状態図である。
【
図6】本発明のひれが開かれた状態の着用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳細に説明すれば次の通りである。
【0015】
図1~
図2によれば、本発明の水泳補助具100は手の平から肘の間に挿通される本体50と、前記本体50の外面に折り畳み可能に設置されたひれ60とを含んでなる。
【0016】
前記本体50は強度を有しながら柔らかい合成樹脂材からなり、手の平から肘の間に挿通される長さで一側が長さ方向に間隔を隔てて開放された開放部1を有し、前記開放部1を通じて腕を入れる時、手と腕に密着される形態を有し、手が挿通される前側の手の平接触部には母指の基部が露出される凹部2が形成されている。
【0017】
また、開放部1にはベルクロファスナーまたはクリップで締結する締結バンド3が両端部と中間部に付着されて本体50を腕に着用する時動かないように固定することができるようになっている。
【0018】
前記ひれ60は耐久性を有する合成纎維からなり、腕が位置する本体50の外面に上部を除いた本体50の外側に開かれる「U」字状を成し、本体50の外周縁にヒンジ部4を有する複数の横方向と縦方向の支柱5、5`に固定され、前記支柱5、5`の外側端は本体中央の線巻き込み装置6、6`に巻き取られた複数の線7、7`に連結されて線巻き込みの巻取力で本体50の外面に折り畳まれ、巻取力を克服する水勢によって線7、7`を引っ張って解きながら開かれるように構成されている。
【0019】
前記線巻き込み装置6、6`はケーシング8の内部に弾力的に回転されるボビン9と、前記ボビン9の内側にパンスプリング10がコイル状に巻き込まれて内蔵され、線7、7`は前記ボビン9の外面に順次に固定されて線7、7`を引っ張ればパンスプリング10が巻き込まれながら引っ張られ、引っ張られる力が消失すればパンスプリング10の復帰弾性力でボビン9に巻き込まれるように構成され、前記線巻き込み装置6、6`は一つ以上設置されて水勢によって開かれるひれ60を線7、7`の巻取作動で折り畳まれるように構成されている。
【0020】
また、支柱5、5`は合成樹脂またはアルミニウムで成形されて、ヒンジ部4を中心として折り畳む時、本体50の曲面に密着されるように湾曲された形態をなし、外側端は折り畳む時、本体50と離隔されるように隙間部Sを形成して折り畳まれた状態で水が流入されることができるようにし、中間と外側末端には穴11があいてひれ60と糸12で縫着され、本体50と接触される内側末端は展開される時、後にそり返らないように直角面13を有する。
【0021】
このようになった本発明の作用効果を説明すれば、本体50の外面に設置されたひれ60は、普段にはひれ60を補強した支柱5、5`の末端に連結された線7、7`が線巻き込み装置6、6`のパンスプリング10の巻取力によってボビン9に巻き込まれるようになるので、
図1及び
図3のように、本体50の外面に密着された状態になる。
【0022】
この状態で水泳をする時、開放部1を通じて小指がある腕の側面を入れて凹部に母指の基部が露出されるように着用した状態で締結バンド3で手と腕に丈夫に締結すれば水泳補助具100は腕と一体に結合される。この時、水泳補助具100は両腕に締結することが水泳補助効果を大きく得ることができるが、必要に応じて片腕のみに着用することも可能である。
【0023】
このように、本発明の水泳補助具100を着用した状態で水泳をするために、腕の回転動作をすれば、ひれ60が開かれたり折り畳まれることを繰り返す。例えば、平泳ぎをする時、両腕を頭の前に伸ばしてから横に回転しながらかく場合、
図5のように、ひれ60が折り畳まれていた状態で
図6のように腕の両側へ開かれながら水を後に押し出して推進力を高めるようになる。
【0024】
より具体的に説明すれば、ひれ60が折り畳まれた状態で腕を前へ伸ばして横に回転させればひれ60を補強した支柱5、5`と本体50との間に形成された隙間部Sの間に水が流入され、腕で水をかく力によって発生される強い水勢によってひれ60が線巻き込み装置6、6`にパンスプリング10の収縮弾性で巻き取られた線7、7`を解きながら開かれるようになり、この時、ひれ60は支柱5、5`が適正な間隔で設置されて、合成纎維からなる包紙が水の抵抗を受けてヒンジ部4を軸として傘のように開かれて本体50の外側方向に交差するように突出されることによって、腕を後に回す時、開かれたひれ60が水を後に押し出してその反作用で泳ぐ人は前へ進むようになり、腕でかく動作を繰り返すために後に伸ばした腕を前へ回転させれば開かれたひれ60が線巻き込み装置6、6`のボビン9がパンスプリング10の復帰力で回転されながら、線7、7`を巻くようになるので、この端部に連結された支柱5、5`を引っ張って本来の状態で畳まれる。
【0025】
即ち、水泳をする時、水泳補助具100を腕に着用した状態で推進するために、腕を前から後に押し出す時には本体50の外面に設置されたひれ60が水圧によって支柱5、5`のヒンジ部4を軸として開かれて櫓の役割で水を押し出すので、強い推進力を得るようになり、繰り返し作動のために後から前へ移動させる過程でひれ60は線巻き込み装置6、6`の復帰回転力で線7、7`によって引っ張られて折り畳まれることによって、ひれ60の展開と折り畳みが腕の動作によって連続的に行われて、水泳をより容易にすることができる。
【0026】
ここで、ひれ60は中間が欠けたU字状に形成されて中間に欠如部が形成されているので、推進のための腕動作をする時、中間の欠如部を通じて隙間部Sに水勢が流入されて線7、7`が連結された支柱5、5`方、即ちひれ60の内側全体を押し出すことによって展開が容易に行われ、ヒンジ部4に軸設されて展開する時、本体50と接触される支柱5、5`の末端部は直角面13を成しているので、ひれ60が展開される時、直角面13によって後にそり返らなくなる。
【0027】
特に、ひれ60は縦方向と横方向の支柱によって「U」字状に形成されているので、水勢によって開かれる時、
図6のように腕を中心として両側横方向と直交状態の縦方向に「U」字状のように展開されて広範囲にわたって水の抵抗を高めるようになり、横方向と縦方向のひれ60は水泳をする過程で腕の動作が水平または垂直に動作する腕の軌跡に対応してそれぞれの役割を分担するようになり、特に腕を上から下へ回す時、即ち横方向のひれが開かれる前に縦方向のひれ60が開かれながら全体を展開するようになるなど腕の多様な動きによって水勢の抵抗を高めて推進力を高めるようになるという特徴がある。
【0028】
また、ひれ60を付着した支柱5、5`は全体を線7、7`で線巻き込み装置6、6`に連結することが好ましいが、添付図面の実施例のように、必要によって、一部は線巻き込み装置6、6`に連結しなくてもひれ60の展開と折り畳みには差し支えがない。
【0029】
このように、本発明はひれ60を本体50の外面に折り畳んだ状態で水勢によって展開させて櫓のような作用で水を抵抗力を増大させることができるので、強い推進力が発生されて容易に水泳ができるように補助するとともに適応力を高め、着用状態で軽くて腕とともに一体に密着されて拒否感が少ないので、水の中で水遊びをすることが容易な長所がある。