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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】航空機及び航空機を飛行させる方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 29/00 20060101AFI20240109BHJP
   B64C 27/28 20060101ALI20240109BHJP
   B64C 27/58 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B64C29/00 A
B64C27/28
B64C27/58
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022081615
(22)【出願日】2022-05-18
(62)【分割の表示】P 2019559092の分割
【原出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2022103349
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】15/848,705
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/490,814
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519381481
【氏名又は名称】プテロダイナミクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PTERODYNAMICS INC.
【住所又は居所原語表記】14165 HURON CT., MOORPARK, CA 93021, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ペトロフ,ヴァル
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0822366(KR,B1)
【文献】特開2014-113937(JP,A)
【文献】特許第154394(JP,C2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0336663(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0117150(US,A1)
【文献】米国特許第02674422(US,A)
【文献】米国特許第03937424(US,A)
【文献】米国特許第01556414(US,A)
【文献】米国特許第09550567(US,B1)
【文献】国際公開第2014/177589(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/184270(WO,A2)
【文献】英国特許出願公告第00447577(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/56
B64C 27/08
B64C 27/28
B64C 27/58
B64C 29/00-29/02
B64C 39/02
B64D 27/24
B64U 10/20
B64U 30/12
B64U 30/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体と、
前記胴体の対向側から延びている対向する翼と、
前記対向する翼の各々に取り付け可能である少なくとも一つのエンジンと、を備え、
前記少なくとも一つのエンジンを含む、各対向する翼の少なくとも一部は、回転軸周り
に前記胴体に対して回転可能であり、
前記少なくとも一つのエンジンは、循環ピッチ変動のために構成された複数のブレード
を含むプロペラを有し
前記回転軸は、前記胴体の長手方向軸に対して直角ではなく、横断しており、
前記翼の少なくとも一部を前記胴体に対して回転させて、前記エンジンと前記翼の前縁を、ホバリングのために垂直方向に向けることができるように構成されている航空機。
【請求項2】
前記少なくとも一つのエンジンを含む、各対向する翼の前記少なくとも一部は、垂直離
着陸用に構成された第一のコンフィギュレーションと、水平飛行用に構成された第二のコ
ンフィギュレーションとの間で前記胴体に対して回転する、請求項1に記載の航空機。
【請求項3】
前記少なくとも一つのエンジンは、前記第一のコンフィギュレーションにおいて前記航
空機に揚力を提供するように構成されている、請求項に記載の航空機。
【請求項4】
前記プロペラの前記複数のブレードの前記循環ピッチ変動と、集合ピッチ変動との少な
くとも一方は、前記対向する翼の前記第一のコンフィギュレーションでのホバリングを可
能にする、請求項に記載の航空機。
【請求項5】
前記プロペラの前記複数のブレードの前記循環ピッチ変動は、前記対向する翼の前記第
一のコンフィギュレーションでの前方飛行を可能にする、請求項に記載の航空機。
【請求項6】
前記エンジンの各々の出力は独立して調節可能である、請求項1に記載の航空機。
【請求項7】
前記対向する翼の各々は、前記胴体から延びている固定部と、該固定部の外側寄りの回
転部とを含む、請求項1に記載の航空機。
【請求項8】
前記対向する翼の各々の前記回転部の前縁は、前記対向する翼の垂直離着陸用に構成された第一のコンフィギュレーションにおいて上を向く、請求項に記載の航空機。
【請求項9】
前記対向する翼の各々は、前記固定部に対する前記回転部の回転を制御する少なくとも
一つのアクチュエータを備える、請求項に記載の航空機。
【請求項10】
前記少なくとも一つのアクチュエータはリニアアクチュエータである、請求項に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2017年4月27日に出願された米国仮特許出願第62/490,814号の利益を主張するものであり、該出願は、参照によってその全体が本願明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
この開示は、航空機および航空運搬手段の分野に関する。より具体的には、この開示は、回転可能な翼に取付けられたエンジンによって垂直離着陸が可能な機体に関する。
【背景技術】
【0003】
翼の横方向に延びている長さ、または翼幅が、その前縁と後縁との間の距離または翼弦よりもかなり大きい高アスペクト比の固定翼、例えば、胴体に堅固に取付けられた該翼を備えた機体は、前方飛行において信頼性が高くかつ効率的である可能性がある。なお、それらの機体には、低速で操縦する難しさや、離着陸の場合の滑走路または他のランアウトの必要性を含むいくつかの欠点がある。これらの問題に対処する以前の試みは、航空機を低速で良好に制御するためにモータ、エンジンまたは他の推力生成コンポーネントを収容し、および短距離離着陸(short takeoff and landing:STOL)または垂直離着陸(vertical takeoff and landing:VTOL)オペレーションを可能にするティルトナセルを備えた機体を含んでいた。しかし、このような構成において、高アスペクト比の固定翼は、弊害をもたらす可能性がある。例えば、長い固定翼は、該航空機の重心から離れて及んでいるそれらの質量によって生じる大きな慣性力により、STOLまたはVTOL中に操作することが難しい可能性がある。さらに、その最大表面積を前縁として与える方法で翼を動かすことによって、かなりの空力抵抗が存在する可能性がある。また、垂直方向の突風、例えば、下降気流等は、長い固定翼に著しい影響を与える可能性がある。
【0004】
高アスペクト比の固定翼機体に関する問題に対処する他の以前の試みは、エンジンまたは他の推力生成コンポーネントを含む翼アセンブル全体を、翼の先端間に延びているスパン軸周りに傾斜させることを含んでいた。このようなデザインは、その意図した迎角に対して実質的に垂直な方向に翼を動かすことによって、上述した空力的損失を軽減するのに役に立つ可能性があるが、該デザインは、該延在している翼の大きな慣性力により、依然として、操作するのが困難である可能性がある。さらに、該傾斜した翼は、該翼の傾斜した表面領域に当たった水平方向の突風によって影響を及ぼされる可能性がある。
【0005】
STOLまたはVTOLオペレーションを実現することができるティルトエンジンおよびティルトウィングの両方の機体の以前のコンフィギュレーションは、離陸または着陸のコンフィギュレーションから前方飛行のコンフィギュレーションへの移行中の不安定性にも悩まされている。したがって、このような航空機は、バイモーダルオペレーションエンベロープを呈する場合があり、および離陸または着陸の領域と、高速前方飛行の領域との間で任意の速度で安定してまたは無制限に操縦することができない。
【0006】
高アスペクト比の固定翼機体に関するさらなる欠点は、停止時のかなりの格納スペースと、陸上輸送中のかなりのクリアランスに対する必要性である。これらの問題に対処する以前の試みは、さまざまな翼の折り畳み機構および傾斜機構を含んでいた。しかし、それらの機構は、多くの場合、陸上での格納または輸送に合わせられ、および例えば、垂直離着陸等を可能にするために、飛行中は操作可能ではない。
【0007】
したがって、有効な前方飛行ならびに垂直離着陸を実行できる改良された機体に対する必要性がある。また、このようなオペレーションのモード間での円滑かつ安定的に移行することができる改良された機体に対する必要性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、一般に、以前の試みに関する欠点に対処して、垂直離着陸とともに有効な前方飛行を可能にする機体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願明細書に記載されている実施形態は、概して、広範な速度でのホバリングおよび前方飛行をともに包含する大きな飛行エンベロープを可能にするティルトウィングおよび推進ユニットの独特なコンフィギュレーションを採用することによって、このような多用途性を実現することができる。
【0010】
本願明細書に記載されている該機体は、(例えば、マルチロータードローン、ヘリコプターまたは他のホバリング航空機と同様の)コンパクトで操作可能なホバリングまたは低速コンフィギュレーションと、(例えば、固定翼航空機と同様の)有効な水平飛行が可能なリフティングウイングコンフィギュレーションとの間での繰り返しの飛行中変形を実行することができる。該ホバリングまたは低速コンフィギュレーションにおいて、航空機の重量は、その推進ユニットの推力によって実質的に支持することができ、該ユニットは、ティルトウィングも、該推力をより垂直方向に向けるように傾斜されるように、該ティルトウィングに結合することができる。前方飛行コンフィギュレーションにおいては、該航空機の該重量は、該翼によって生じた揚力によって実質的に支持することができ、また、推進推力は、より水平方向に向けることができる。さらに、中間ティルト位置の連続範囲も、推力または翼が発生させる揚力の可変レベルを実行できるようにするために採用することができる。本願明細書に記載されている該機体は、飛行中のこれら二つの操作モード間での円滑で安定して移行し、および/または中間モードにおいて無制限に操作する固有の能力を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、これらのパフォーマンス特性は、傾斜軸上で、すなわち、該航空機の前後軸または左右軸に対して傾いている軸上で旋回する折り畳み翼構造を用いることによって実現することができる。このような折り畳み動作は、該翼の該ティルトにより、各翼の前縁を、上方方向または前方方向に向けることができる。さらに、傾斜コンフィギュレーションにおいて、該翼は、それらの質量によって生じる慣性モーメント、ホバリング中のそれらの空気力学的衝撃ならびに格納または陸上輸送に必要なスペースを少なくするために、該航空機の該胴体に沿って延在することができる。さらに、いくつかの実施形態において、この方法で折り畳まれた該翼の一部は、該翼が傾斜されるか、または折り畳まれる際に、推力の方向を水平と垂直の方向の間で向け直すことができるように、該翼に結合された推進ユニットを含むことができる。
【0012】
本願明細書に記載されている該航空機のデザインは、さまざまな縮尺のうちのいずれかで具体化することができる。例えば、該デザインは、小さな航空機、例えば、ドローンまたは遠隔操作の航空機、ならびに人や貨物を輸送することが可能な実物大の航空機における適用に適している可能性がある。また、電動モータ、内燃機関、タービン等を含むさまざまな推進技術を採用することができる。
【0013】
一つの態様において、胴体と、該胴体の両側から延びている対向する翼と、複数のエンジンとを含むことができる航空機が提供される。少なくとも一つのエンジンを、該対向する翼の各々に取付けることができる。さらに、該複数のエンジンのうちの少なくとも一つを含む各対向する翼の少なくとも一部は、該胴体の長手方向軸に対して垂直ではなく、横断している回転軸周りで、該胴体に対して回転することができる。
【0014】
本願明細書に記載されている該実施形態の各々は、多数の追加的な形状構成および/またはバリエーションを有することができ、それらのすべては、本開示の範囲内にある。例えば、いくつかの実施形態において、該胴体の該長手方向軸および該対向する翼の端部間に延びている軸を含む平面内に投影された該回転軸と該胴体の該長手方向軸との間の第一の角度は、約35°と約55°の間とすることができる。いくつかの実施形態においては、該第一の角度は、約45°とすることができる。さらに、いくつかの実施形態において、該対向する翼の端部間に延び、および該胴体の該長手方向軸に垂直な軸を含む平面内に投影された該回転軸と該対向する翼の端部間に延びている該軸との間の第二の角度は、約35°と約55°の間である。いくつかの実施形態において、該第二の角度は、約45°とすることができる。
【0015】
特定の実施形態において、該複数のエンジンは、少なくとも四つのエンジンを含むことができ、および該胴体に対して回転する該対向する翼の各部分は、該部分に取付けられた少なくとも二つのエンジンを含むことができる。さまざまなエンジンタイプのいずれかを用いることができる。例えば、いくつかの実施形態において、該複数のエンジンの各々は、電気エンジンとすることができる。さらに、このような実施形態では、該航空機は、複数のバッテリをさらに含むことができ、また、各バッテリは、該複数のエンジンの内の一つに隣接する該対向する翼のうちの一つに取付けることができる。他の実施形態では、該複数のエンジンの各々は、タービンおよび内燃機関のいずれかとすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、該対向する翼の各々は、該胴体から延びている固定部と、該固定部の外側寄りの回転部とを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態において、各固定部の外側寄りの端部は、該胴体の該長手方向軸に対して斜めにすることができる。いくつかの実施形態において、該対向する翼の各回転部は、該翼の前縁と後縁との間の軸が、該胴体の該長手方向軸に平行になっている第一のコンフィギュレーションと、該翼の該前縁と該後縁との間の該軸が、該胴体の該長手方向軸に直角になっている第二のコンフィギュレーションとの間で回転することができる。さらに、いくつかの実施形態において、該対向する翼の各回転部の該前縁は、該翼が該第二のコンフィギュレーションになっているときに、上を向くことができる。
【0017】
さらにまた、特定の実施形態において、該対向する翼の各回転部は、該回転部の中央寄りの端部と外側寄りの端部との間に延びている軸が、該胴体の該長手方向軸に直角になっている第一のコンフィギュレーションと、該回転部の該中央寄りの端部と該外側寄りの端部との間に延びている該軸が、該胴体の該長手方向軸に平行になっている第二のコンフィギュレーションとの間で回転することができる。同様に、上述したように、いくつかの実施形態において、該対向する翼の各回転部の該前縁は、該翼が該第二のコンフィギュレーションになっているときに、上を向くことができる。さらにまた、いくつかの実施形態において、該複数のエンジンの各々は、各翼が該第一のコンフィギュレーションになっているときに、該翼に取付けられた該少なくとも一つのエンジンが該翼と該胴体との間に配置されるように、該エンジンが取付けられている該翼からオフセットさせることができる。
【0018】
特定の実施形態において、該航空機は、該対向する翼の各回転部の後端部に結合された少なくとも一つの着陸支持体をさらに含むことができる。該着陸支持体は、さまざまな形態のうちのいずれかを有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、該着陸支持体は、車輪、フロート、および脚のいずれかとすることができる。特定の実施形態において、該着陸支持体は、該エンジンが該車輪を回転させることができるように、該エンジンのうちの一つに結合された車輪とすることができる。
【0019】
該対向する翼の各々の該固定部に対する該回転部の動きを与えるために、さまざまな機構を採用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、該対向する翼の該固定部と該回転部は、旋回継手によって結合することができる。さらに、いくつかの実施形態において、該旋回継手は、各対向する翼の前端部に配置することができる。特定の実施形態において、該対向する翼の各々は、該固定部に対する該回転部の回転を制御するアクチュエータをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、該アクチュエータは、リンク機構によって該回転部に結合された送りねじを含むことができる。他の実施形態では、該アクチュエータは、さまざまな歯車、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ等のうちのいずれかを含むことができる。
【0020】
該航空機の該対向する翼は、さまざまな形状およびサイズを有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、該対向する翼は、エアフォイル型を有することができる。このような翼は、該航空機の前方飛行中に揚力を生成することができる。しかし、他の実施形態では、該翼は、代替的な形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、該翼は、揚力を生成しない翼桁とすることができる。実施例は、円筒形の翼桁、ビーム、スパー等を含むことができる。
【0021】
別の態様では、翼に取付けられたエンジンを有する該翼の少なくとも一部を、該胴体の長手方向軸に対して直角ではなく、横断している回転軸周りで、胴体に対して回転させて、該エンジンと該翼の前縁を、ホバリングのために垂直方向に向けることを含むことができる垂直離着陸方法が提供される。該方法は、該エンジンを作動させて、垂直方向の揚力を生成することと、該翼に取付けられたエンジンを有する該翼の該少なくとも一部を回転させて、該エンジンと該翼の前縁を、前方飛行のために水平方向に向けることとをさらに含むことができる。
【0022】
上述した該航空機の場合と同様に、多数の変形例および追加的な形状構成が可能である。例えば、いくつかの実施形態において、該翼の前縁は、該翼が垂直方向に向けられた場合に、上を向くことができる。
【0023】
特定の実施形態において、該翼の該少なくとも一部を回転させて、該エンジンと、該翼の該前縁を垂直方向に向けることは、該翼の該少なくとも一部を、該翼の前端部に配置された旋回継手周りに旋回させることを含むことができる。該翼の該少なくとも一部の回転は、さまざまな方法で実現することができる。例えば、いくつかの実施形態において、該翼の該少なくとも一部を回転させて、該エンジンと、該翼の該前縁を垂直方向に向けることは、このような回転を油圧式でおよび電気的に作用させることのいずれかを含むことができる。
【0024】
特定の実施形態において、該方法は、ホバリングと前方飛行の間で移行するために、該翼と該エンジンが、垂直方向と水平方向の間にあるように、該翼の該少なくとも一部の回転を一時的に中断することをさらに含むことができる。
【0025】
上述した該形状構成または変形例のいずれかは、多数の異なる組合せで、本発明のいずれかの特定の態様または実施形態に適用することができる。任意の特定の組合せに関する明確な列挙がないことは、単に、この概要における繰り返しの回避によるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示のさらなる形状構成、態様および利点は、以下の詳細な説明、添付クレームおよび添付図面を参照すれば、より良く理解されるであろうし、この場合、要素は、詳細をより明確に示すために縮尺通りになっておらず、同様の参照数字は、いくつかの図にわたって、同様の要素を示すものとする。
図1】本願明細書に記載されている教示による、機体の異なる翼のコンフィギュレーションの概略を示す。
図2】前方飛行のコンフィギュレーションにおける、機体の一つの実施形態の斜視図を示す。
図3】垂直離着陸のコンフィギュレーションにおける、図2の該機体の斜視図を示す。
図4】第一の移行コンフィギュレーションにおける、図2の該機体の斜視図を示す。
図5】第二の移行コンフィギュレーションにおける、図2の該機体の斜視図を示す。
図6図1の該機体の平面図を示す。
図7】垂直離着陸のコンフィギュレーションにおける、図1の該機体の斜視図を示す。
図8】本願明細書に記載されている該教示による、推進ユニットの一つの実施形態の詳細図を示す。
図9】降着車輪が備えられた垂直離着陸機体の一つの実施形態の斜視図を示す。
図10図9の該機体の側面図を示す。
図11】降着車輪が備えられた垂直離着陸機体の別の実施形態の斜視図を示す。
図12図11の該機体の側面図を示す。
図13】水上着陸のために備えられた垂直離着陸機体の別の実施形態の斜視図を示す。
図14】垂直離着陸機体の代替的な実施形態の平面図を示す。
図15】垂直離着陸機体の別の実施形態の平面図を示す。
図16】飛行フィードバック制御強度と、翼移行角度の関係の一つの実施形態を示す。
図17A】長手方向に延びている鉛直面内に投影する旋回軸Aを強調表示している、垂直離着陸機体の一つの実施形態の側面図を示す。
図17B】横方向に延びている鉛直面内に投影する該旋回軸Aを強調表示している、図17Aの該機体の正面図を示す。
図17C】水平面内に投影する該旋回軸Aを強調表示している、図17Aの該機体の平面図を示す。
図18】旋回継手の一つの実施形態の図17Aの線B-Bの方向における断面図を示す。
図19】旋回継手の別の実施形態の図17Aの線B-Bの方向における断面図を示す。
図20】旋回継手の別の実施形態の図17Aの線B-Bの方向における断面図を示す。
図21】旋回継手のさらに別の実施形態の図17Aの線B-Bの方向における断面図を示す。
図22A】直線コンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手の平面斜視図を示す。
図22B図21の該旋回軸Aに沿った直線コンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手を示す。
図23A】中間コンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手の平面斜視図を示す。
図23B図21の該旋回軸Aに沿った中間コンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手を示す。
図24A】フルに関節作動させたコンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手の平面斜視図を示す。
図24B図21の該旋回軸Aに沿った、フルに関節作動させたコンフィギュレーションにおける、図21の該旋回継手を示す。
図25】機体の翼アクチュエータアセンブリの一つの実施形態の部分透視平面図を示す。
図26A】機体の翼アクチュエータアセンブリの別の実施形態の部分透視平面図を示す。
図26B図26Aの該線C-Cに沿った図26Aの該翼アクチュエータアセンブリの部分透視図を示す。
図27A】機体の翼およびアクチュエータアセンブリの別の実施形態の部分透視平面図を示す。
図27B図27Aの該翼の正面図を示す。
図27C図27Aの該翼の側面図を示す。
図28A図27Aおよび図27Bの該線D-Dに沿った図27Aの該翼の部分透視図を示す。
図28B図27Aおよび図27Cの該線E-Eに沿った図27Aの該翼の断面図を示す。
図29】デュアルスパー(dual-spar)の機体翼の一つの実施形態の部分透視平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本願明細書に開示されている該機体の構造、機能、製造および使用の原理に関する全面的理解をもたらすために、いくつかの例示的な実施形態について説明する。それらの実施形態のうちの一つ以上は、添付図面に示されている。当業者は、本願明細書に具体的に記載され、および該添付図面に示されている該実施形態が、非限定的な例示的実施形態であること、および本発明の範囲が、該クレームによってのみ定義されることを理解するであろう。一つの例示的な実施形態に関して図示され、または記載されている該形状構成は、他の実施形態の該形状構成と組合せてもよい。このような変更および変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0028】
さらに、線寸法、縁寸法または他の寸法が、開示されている実施形態の説明において用いられている限りにおいて、このような寸法は、利用できる形状の種類を限定することは意図されていない。当業者は、このような線寸法、円寸法または他の寸法に対する等価物を、任意の幾何学形状に対して容易に決定することができることは正しく認識するであろう。さらに、本開示においては、該実施形態の類似の番号が付けられた構成要素は、一般的に、類似の形状構成を有している。さらにまた、構造全体のサイズおよび形状、およびそれらの該構成要素は、大幅に変えることができ、および意図した用途、さまざまな他の相互に作用する構成要素等に少なくとも依存する可能性がある。上述したように、本願明細書に記載されている該機体は、さまざまな規模の縮尺での、例えば、小規模の無人ドローンまたは遠隔制御航空機での、および人および/または貨物を輸送することが可能な大規模な航空機での使用が明確に意図されている。そして、方向に関する用語、例えば、鉛直方向、水平方向等が用いられている限りにおいて、それらの用語は、構成要素または公称の動作方向の間の相対的関係を知らせることが意図されている。特定のコンフィギュレーションおよび/または操縦において、本願明細書に記載されている該機体は、例えば、言及されている「鉛直」面が、実際には、重力に対して異なる角度になっていてもよいように、特定の方向に向けることができることが可能である。
【0029】
上述したように、本開示は、有効な前方飛行、ならびに垂直離着陸(VTOL)を実現するための低速操縦およびホバリングが可能な機体のさまざまな実施形態を含む。いくつかの実施形態において、本願明細書に記載されている該機体は、胴体、例えば、航行中に実質的に水平方向に延在することができる単一の細長い胴体を含むことができる。該胴体は、該胴体から延びている対向する翼を含むことができ、各翼は、内側固定部と、外側の折り畳みまたは傾斜部とを含むことができる。各翼の該外側部は、該航空機の長手方向軸および/または横方向軸に対して傾斜しているかまたは斜めになっている軸、例えば、該細長い胴体の長手方向軸、または、該長手方向軸に対して直角な横方向に延びている軸周りで、該内側部に対して旋回し、折り畳み、または傾斜するように構成することができる。各内側翼部の翼領域は、ホバリング飛行中に著しい流体抗力を伴うことなく、垂直方向に向いた気流を可能にするために、比較的小さくすることができる。逆に、各翼の該外側部は、より大きな翼領域を有することができるが、ホバリング飛行中には、該翼の前縁が、垂直方向の上向きに向くように、および前方飛行中には、水平方向の前方に向くように傾斜されるように構成することができる。各翼の該外側部は、ホバリング飛行中の垂直方向と、前方飛行中の水平方向との間で、一つ以上の推進ユニットまたは推力生成コンポーネントを動かすこともできるように、該ユニットまたはコンポーネントを担持することができる。各翼の該外側部は、翼アセンブリおよび/または航空機の重量のかなりの部分に相当する可能性があり、前方飛行のコンフィギュレーションの場合、該外側翼部は、該内側翼部と一緒になって、連続した翼面を形成することができる。
【0030】
図1は、そのさまざまな動作モードにおける、本開示の該教示による機体の一つの実施形態の概略図を示す。機体100Aは、例えば、ホバリング中の低速操縦で、およびVTOL可能なコンフィギュレーションで図示されている。このようなコンフィギュレーションにおいて、該翼102は、該翼が、該胴体の長さに対して平行に延びているように、および該翼の前縁が垂直方向の上向きになるように、または該機体の上面に向くように、該胴体104に対して傾斜されている。このコンフィギュレーションにおいては、該翼102に結合された該さまざまな推力生成コンポーネント106も垂直方向に向けられ、および該コンポーネントは、安定したホバリング飛行、および任意の方向での比較的低速の操縦を可能にするように、クワッドコプタードローンの四つのモータと同様に機能することができる。
【0031】
機体100Aによって示されたホバリングのコンフィギュレーションにより、該翼102は、該機体100Cによって示す該前方飛行のコンフィギュレーションへの移行を始めるために、該機体100Bによって図示されているように傾斜させることができる。該翼102および推力生成コンポーネント106の新規な傾斜構造は、該ホバリングのコンフィギュレーション100Aから典型的な前方飛行のコンフィギュレーション100Cへのシームレスで空気力学的に好都合な移行を可能にすることができ、この場合、該翼102は、該翼の前縁が水平方向前方に向いている状態で完全に展開されている。該前方飛行のコンフィギュレーションにおいて、該翼は、該機体の該重量を支持するための揚力を生成し、そして、高速の空気力学的に有効な飛行によって、長い航続距離を実現することができる。さらに、これらのコンフィギュレーション間での該移行は、任意の方向で進めることができ、および操縦性の程度および飛行速度の程度の変化を可能にするように、該ホバリングのコンフィギュレーション100Aと該前方飛行のコンフィギュレーション100Cとの間の任意の中間段階において無制限に中断することができる。
【0032】
次に、図2を参照すると、前方飛行および垂直離着陸を可能にする機体10の一つの実施形態が記載されている。いくつかの実施形態において、該機体10は、胴体12と、該胴体12に取付けられた一組の細長い翼14Aおよび14Bと、何らかのさまざまなピッチおよびヨースタビライザー17とを含むことができる。一つ以上のエンジン16A、16B、16C、16Dを、該一組の細長い翼14Aおよび14B上に搭載することができる。以下でより詳細に説明するように、該細長い翼14Aおよび14Bは、該機体の基本軸に対して傾斜されているか、または斜めになっている軸の周りに、すなわち、該機体がその周りに横揺れすることができる該胴体の長手方向軸L、該機体がその周りに縦揺れすることができる横方向軸L、および該機体がその周りに水平面内で回転することができる垂直方向軸Yの周りに回転させることができる。この翼の旋回コンフィギュレーションの結果として、該機体10は、該細長い翼14Aおよび14Bが、前方飛行のコンフィギュレーション(図2)において揚力を生成している間に、該エンジン16A、16B、16C、16Dによって前方方向に進ませることができ、また、VTOLコンフィギュレーション(図3)においては、該エンジン16A、16B、16C、16Dは、該機体をホバリングさせること、垂直離着陸を実行すること、または、低速での操縦することを可能にするように、該機体10を上昇させることができる。
【0033】
図3は、垂直離着陸のコンフィギュレーションにおける該機体10を示し、この場合、各細長い翼14A、14Bの外側翼部分20は、内側翼部分18に対して回転されている。このような垂直離着陸のコンフィギュレーションにおいて、該エンジン16A、16B、16C、16Dは、上方方向に向けることができ、また、該外側翼部分20は、該外側翼部分20の垂直方向に向いている面が最小限になるように垂直方向に向けることができる。言い換えると、該外側翼部分20の意図された前縁26は、上方に向けられている。このようなコンフィギュレーションにおいて、垂直方向に向けられた該エンジン16A、16B、16C、16Dは、該機体10を垂直方向に上昇させることができ、および該機体がホバリングすることを可能にしている。ホバリング中の、または、低速での航空機の精密制御は、乱気流からの悪影響に打ち勝つための十分な横方向および垂直方向の推力振幅および変動性を必要とする可能性がある。ヘリコプターは、ローターディスクの循環および集合制御を用いる(すなわち、各ローターブレードが、推力を所望の方法で推力不均衡をもたらすように回転を完全にする際に、該ブレードのピッチおよび対応する揚力を変化させる)ことにより、所要のパフォーマンスエンベロープを達成する。別の実施例として、電気モータによって駆動されるクワッドローター航空機(例えば、クワッドコプター)は、モータ出力の電子スロットリングによって、ホバリング制御性を実現することができる。図3に示すホバリング、VTOLまたは低速飛行のコンフィギュレーションにおいては、いずれかの制御スキームを採用することができる。例えば、図示されている実施形態において、四つのモータ16A、16B、16C、16Dは、クワッドコプターのような推進システムを構成することができる。該図面に示すように、スラスタ16A、16B、16C、16Dは、該翼14A、14Bが折り畳まれているときのホバリング中に、正方形パターンで配置することができる。したがって、飛行を制御し、および空中での所望の動きを生じさせる任意の所望の推力不均衡をもたらすように、各モータ16A、16B、16C、16Dによって生じる推力を調整することができる。逆に、前方飛行においては、該モータ16A、16B、16C、16Dのスロットルを揃えて、図2に図示されているように、対気速度の方向に平行に推力を生成することができる。
【0034】
図4および図5は、前方方向に動いている間も、該機体10をホバリングさせることができるように、各翼14A、14Bの第二のまたは外側翼部分20を、前方飛行のコンフィギュレーションに対して、少なくとも部分的に回転させ、傾斜させ、または折り畳むことができるさまざまな中間コンフィギュレーションを示す。例えば、図4の該コンフィギュレーションにおいては、各翼14A、14Bの該外側部分20は、該部分に結合された該エンジン16A、16B、16C、16Dとともに、図3の該VTOLコンフィギュレーションから離れて、図2の該前方飛行のコンフィギュレーションに向かって回転することを始めている。
【0035】
前方飛行のコンフィギュレーションへの移行を続けるために、各細長い翼14A、14Bの該外側翼部分20は、該内側翼部分18および該外側翼部分20が、連続する翼面を構成する全前方飛行のコンフィギュレーションに向かってさらに回転することができる。図5は、例えば、図3および図4の該コンフィギュレーションで可能な速度よりも高速および/またはより有効な前方飛行のパフォーマンスを実現するのに用いることができる第二の中間翼コンフィギュレーションで該機体10を示す。上述したように、該翼および推進ユニットが該胴体に対して旋回する方法は、安定した飛行中移行を可能にすることができ、および該機体10が、任意の中間翼コンフィギュレーションを無制限に有利に維持して、所望のパフォーマンス特性、例えば、ウイングストールを回避するために必要な水平方向速度を実現することができる。
【0036】
各翼14A、14Bの該外側翼部分20を継続的に進めることにより、該外側翼部分20を該内側翼部分18と位置合わせして、図2に示すような連続した翼面を構成することができる。このことは、高速の前方飛行に適合している前方飛行のコンフィギュレーションへの完全な移行を示し、この場合、該エンジン16A、16B、16C、16Dは、前方推力を生成し、および該翼14Aおよび14Bは、該機体10に対する揚力を作り出すことができる。
【0037】
図6は、対向する翼が、それぞれ極端な旋回動、例えば、左翼14BがホバリングまたはVTOLコンフィギュレーション状態にあり、および右翼14Aが前方飛行のコンフィギュレーション状態にある、図2から図5の該実施形態の平面図を示す。上述したように、該細長い翼14A、14Bのペアの各々は、該胴体12に隣接して取付けることができる第一の内側翼部分18と、該第一の翼部分18に回転可能に取付けることができる第二の外側翼部分20とを含むことができる。該第一の翼部分18は、該第一の翼部分18の遠位端24に配設された枢軸22を含むことができる。該第二の翼部分20は、該第二の翼部分20の前縁26に隣接して該枢軸22に回転可能に取付けることができる。該第二の翼部分20は、該第一の翼部分18の角度の付いた外側または遠位の縁部30の形状に一致する、角度の付いた内側または近位の縁部28を含むことができる。該第一の翼部分18に対する該第二の翼部分20の回転軸Aは、該機体10の上述した基本軸(例えば、該機体がその周りに回転する該長手方向軸Lおよび該機体がその周りで縦揺れする該横方向軸L)に対して斜めにすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、該第一の翼部分18に対する該第二の翼部分20の該回転軸Aは、該第二の翼部分20が、該第一の翼部分18に対して回転する際に、該第二の翼部分20が該胴体12に向かって内方に動くように、該横方向軸Lに対して約35°と約55°の間とすることができる。すなわち、該翼は、図6の該翼部分14Aの位置から、図6の該翼部分14Bの位置まで動くことができる。翼接合部の形態は、前方飛行のコンフィギュレーションとホバリングのコンフィギュレーションとの間での移行中のプロペラへの邪魔のない気流を可能にすることができる。また、このことは、図2および図3に示す該ホバリング位置と前方飛行位置との間の任意の中間位置(例えば、図4および図5の中間位置を参照)における翼の傾斜または折り畳みの無制限の中断も可能にすることができる。
【0038】
各翼14A、14Bの該外側翼部分20は、一つ以上のスラスタまたは他の推進ユニット、ならびに燃料セル(例えば、バッテリ、ジェット燃料等)を担持することができる。図6および図7を参照すると、該一つ以上のエンジン16A、16B、16C、16Dを、細長い翼14A、14Bの該ペアの各々に取付けることができる。一つの実施形態においては、四つのエンジンを、該細長い翼14A、14Bのペアに搭載することができる。該細長い翼14A、14Bの各々には、一つのエンジン(例えば、エンジン16A、16C)を、該第一の翼部分18と第二の翼部分20との間の該枢軸22に向かって取付けることができ、一方、第二のエンジン(例えば、エンジン16B、16D)は、該第一のエンジンと、該細長い翼14A、14Bのペアの各々の翼先端部32との間に取付けることができる。別の実施形態では、図14に関して以下で説明するように、該細長い翼14A、14Bのペアの各々は、(例えば、該細長い翼14A、14Bのペアの各々の中間近傍に)該翼に搭載された一つのエンジンのみを含むことができる。該スラスタ、エンジンまたは他の推進ユニットは、一つ以上のターボプロップ、タービン、電気モータ、または、有人航空機および無人航空機用に使用されて知られている他のさまざまな適当なエンジンで形成することができる。さらに、該エンジンの各々の出力は、例えば、循環制御または集合制御を利用することにより、または、該モータの各々の速度を変化させることにより、独立して調節可能にすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、各外側翼部分20の重量は、航空機の全重量の約1/3とすることができる。このような配分は、該航空機の重心を、前方飛行中は、翼の空気圧の中心に近くするとともに、ホバリングの間は、推力ベクトルに近付けることを可能にすることができる。電気モータが推進ユニットとして用いられる特定の実施形態においては、さらに該モータに動力を供給する一つ以上のバッテリを該翼に配置することができる。例えば、図8に示すように、バッテリ80を、ナセル82内に、または、翼部分20に搭載された電気モータ16も格納する他のハウジング内に収容することができる。このようにして、該モータ16に対して該バッテリ80を配置することには、例えば、ホバリングのコンフィギュレーションへの移行中に、機体の重心を後方へ移動させることによって、重量配分を改善することと、(例えば、負荷を胴体から離して、各翼の圧力の中心に向かって移動させることにより)該翼の該旋回継手に対する応力を低減することと、プロペラの振動を低減することと(例えば、該バッテリとプロペラを同一箇所に配置することは、共振振動数が増加した、より堅固なモータ支持構造を形成することができる)、電気配線の長さおよび重量を低減することと、メンテナンスおよび/または交換の場合のアクセスの容易さを増すこととを含む多くの利点がある可能性がある。該モータ16は、該モータによって空中で回転するときに推力を生成することができるローター84を含むことができる。
【0040】
図9から図12に示すように、一つ以上の着陸支持体は、該機体10が該垂直離着陸のコンフィギュレーションになっているときに、該着陸支持体が、着陸中に該機体10を支持するように、該機体10の下の面に向かって位置するように、各細長い翼14A、14Bの後縁90上に形成することができる。該着陸支持体は、降着車輪、フロートまたは他のさまざまな支持体のうちの一つ以上で形成することができる。図9から図12の該折り畳まれた翼のコンフィギュレーションは、翼が折り畳まれている状態の該航空機の翼幅は、完全に延びた翼幅の一部である可能性があるため、該航空機の道路輸送を可能にすることができる。図9から図12の該実施形態においては、一つ以上の車輪92を、各翼14A、14Bのモーターカウリング94内に格納可能に取付けることができる。いくつかの実施形態、例えば、図9および図10の該実施形態においては、例えば、該航空機10の四つの角部に支持体を設けるために、各モーターカウリング94内に車輪92を搭載することができる。このような実施形態において、該車輪のサブセットまたはすべては、操縦を可能にするために、車輪の回転軸に直角な方向に回転するように構成することができ、または、操縦は、該航空機の一方の側の車輪の速度と、該航空機の他方の側の車輪の速度を不一致にすることによって実現することができる。
【0041】
図11および図12の該実施形態等の他の実施形態では、少なくとも一つの車輪110を該胴体12に含めることができる。該胴体12に含まれている車輪または他の着陸支持体は、該実施形態により、該翼14A、14B上の着陸支持体の代わりに、または該支持体とともに用いることができる。例えば、図11および図12の該実施形態においては、前輪110が、該エンジン16B、16Dの該モーターカウリング94内に搭載された車輪92とともに使用される。このことは、地上の該航空機に対して有効な支持をもたらすことができ、また、いくつかの実施形態においては、該前輪110は、地上輸送における操縦を可能にするように回転可能にすることができる。しかし、他の実施形態では、操縦は、他の方法で、例えば、該航空機の各側における該車輪92の非対称制御速度で実現することができる。
【0042】
上記折り畳まれた翼のコンフィギュレーションは、水上着陸および水上輸送のために構成することもできる。例えば、該機体10の該翼14A、14Bは、図13に示すように、水上で該機体のバランスをとるために、浮力を持たせることができ、および防水性にすることができる。このような実施形態では、各モータ16A、16B、16C、16Dは、上方を向いているため、各翼14A、14Bの該後縁90近傍の補助翼ジョイント/リンク機構のみが防水加工される必要がある。水上輸送の実施形態における水平方向の推進力は、水平および垂直の両方向に向いた推力を生み出すように、両翼を部分的に広げることによって生成することができる。さらに、特定の実施形態において、車輪、フロート、ポンツーン等を含む着陸支持体は、該翼に組み込まれている構造物と置き換えるために、または、該構造物とともに作用させるために、該胴体12に組み込むことができる。いくつかの実施形態においては、さまざまな水推進機構、例えば、没水プロペラ等を該機体に組み込むことができる。このようなコンポーネントは、該機体に結合されている該胴体、該翼または何らかのポンツーン等のいずれかに結合することができる。
【0043】
機体10に関する上述した実施形態は、四つの推進ユニット16A、16B、16C、16Dを含んでいるが、他の実施形態では、異なる数の推進ユニットを用いることができる。例えば、いくつかの実施形態においては、より多くの数の、例えば、六つ、八つ、十個の推進ユニットを用いることができる。他の実施形態では、より少ない数の推進ユニットを用いることができる。例えば、および上述したように、いくつかの実施形態において、該モータ16A、16B、16C、16Dのうちの一つ以上に付随するプロペラは、ヘリコプターの場合と同様に、循環および/または集合ローター制御のために構成することができる。いくつかの実施形態においては、この種の制御のために備えることにより、モータの数を少なくすることができる。例えば、図14に示すように、機体10’は、胴体12’から延びている翼14A’、14B’にそれぞれ取付けられた二つのモータ16A’、16B’を含むことができる。該モータ16A’、16B’の各々は、該翼およびローターが、翼14B’によって示すように傾斜された状態でホバリングおよび低速飛行を可能にするために、循環および集合ピッチ変動のために構成されたブレードを備えたプロペラを含むことができる。図14に翼14A’によって図示されているように、前方飛行のコンフィギュレーションにおいて、プロペラブレードの該ピッチは、一定のままにすることができる(が、他の実施形態では、必要に応じて、変化させることもできる)。本願明細書に記載されている該実施形態のうちのいずれかにおいては、さまざまな異なる推進技術を採用することができることに留意する。例えば、上述した電気モータ16を用いる代わりに、該モータ、スラスタまたは推進ユニット16’は、内燃機関、ターボプロップ、タービン、または、有人航空機および無人航空機に使用されている公知の他のさまざまな適当なエンジンのうちのいずれかとすることができる。
【0044】
本願明細書に記載されている該教示による機体のさらに他の実施形態は、代替的なエンジンおよび/または翼のコンフィギュレーションを用いることができる。例えば、図15は、水平スタビライザ1502A、1502Bが、揚力主翼1504A、1504Bの前方に配置されている先尾翼コンフィギュレーションを用いる機体1500の別の実施形態を示す。図示されている実施形態において、該翼1504A、1504Bは、該胴体から延びている支柱1508A、1508Bによって胴体1506に結合することができる。各支柱1508A、1508Bの外端部は、該翼1504A、1504Bに結合して、旋回軸A、A’を画定している旋回継手1510A、1510Bを含むことができる。該旋回軸A、A’は、上述したように、長手方向またはロール軸L、横方向またはスパーまたはピッチ軸Lおよび(図15の平面から延びている)鉛直またはヨー軸Yのいずれかに対して斜角で形成することができる。該支柱1508A、1508Bおよび胴体1506に対する該旋回軸A、A’周りの該翼1504A、1504Bの運動は、本願明細書に記載されている方法のうちのいずれかで、例えば、翼アクチュエータアセンブリによって制御することができる。
【0045】
機体1500において、注目すべきことは、該翼1504A、1504Bが、図15の翼1504Aの該VTOLコンフィギュレーションから、翼1504Bの該前方飛行のコンフィギュレーションに移るときに、該胴体1506に対して外方向および下方向に旋回するように構成されているということである。これは、該機体10の図2から図5に示す該翼の動きとは逆であり、この場合、各翼14A、14Bの該外側部20は、VTOLコンフィギュレーションから前方飛行のコンフィギュレーションへの移行中に、該胴体12に対して外側および上方に動く。また注目すべきことは、各エンジンまたは推進ユニット1512が、パイロン1516を介して該翼1504A、1504Bの一方に取付けられたナセル1514に収容されているということである。このことは、該エンジンを該翼からオフセットさせ、および図15の翼1504Aの該VTOLまたはホバリングのコンフィギュレーションにおいて、該エンジン1512が、該翼と該胴体1506との間に配置されるように、該エンジンを配置する。いくつかの実施形態において、これは、該プロペラの直径1518も、該翼と該胴体との間に配置され、それによって、該プロペラブレードが外部の物体に当たるのを防ぐことを意味している。該エンジンが、該垂直飛行のコンフィギュレーションにおいて、該翼と該胴体との間に配置されている、オフセットエンジンのこの構成もまた、本願明細書に記載されている機体の該他の実施形態とともに用いることができることを正しく認識すべきである。
【0046】
本願明細書に記載されている該機体は、前方飛行のコンフィギュレーションとホバリングのコンフィギュレーションとの間の移行を通して安定した飛行を実現することが可能であるが、いくつかの実施形態においては、ホバリングおよび低速飛行中の安定性を実現するために、飛行制御システムを利用することができる。例示的な飛行制御システムは、クワッドコプター、および複数のエンジンおよび傾斜するエンジンを採用した他の航空機に関して公知である。多くの場合、これらのシステムは、さまざまなセンサ、例えば、ジャイロスコープ、高度計、GPSおよび他の位置データ等を用いて検出される航空機の速度、姿勢、高度、および他の飛行パラメータに応じて、各エンジンまたは他の推進ユニットのスロットルを調整するために、比例積分微分(proportional-integral-derivative:PID)制御フィードバックループを採用している。図16に示すように、本願明細書に記載されている該教示による機体は、該機体の該コンフィギュレーション、例えば、該胴体に対する該翼の移行角度1604に基づいて、このような飛行フィードバック制御の強度1602を調整することができる。例えば、飛行制御システムは、該機体が、(図3に示すような)ホバリングのコンフィギュレーション1606になっている場合は、かなりのフィードバック制御を与えることができ、そして、このような制御の強度は、該翼が(図2に示すような)前方飛行のコンフィギュレーションに移行したときに減少させることができる。フィードバック制御強度の変更は、さまざまな方法で実行することができる。例えば、図示されている実施形態においては、フィードバック制御強度は、該翼が、該さまざまなコンフィギュレーション間で旋回し、または傾斜する際に、線形的に減少される。
【0047】
図17から図29は、翼の旋回継手およびアクチュエータアセンブリのさまざまな実施形態を、より詳細に示している。上述したように、該旋回機構は、航空機が飛行中に、ホバリングと前方飛行の間の移行を可能にすることができる。さらに、該航空機の基本軸に対して傾斜したまたは斜めになっている軸に沿った該旋回継手の該構成は、飛行モード間の円滑で安定した移行を実行することができ、および安定した飛行を無制限に維持している間に、任意のさまざまな中間位置で該翼を休止させることを可能にすることができる。該旋回継手を形成するための、および該継手周りの該翼の構成要素の運動を作動させるための多くの異なる実施形態があるが、一般的に、該旋回継手は、該内側翼部分の外側先端における該翼のスパーライン上に配置することができる。該翼桁は、該胴体から翼先端まで横方向または翼長方向に延びている該翼の主構造部材である。該継手を該スパーライン上に配置することにより、該継手は、該内側翼部分と外側翼部分との間で応力およびトルクを支持することができる。また、該旋回継手は、該胴体/内側翼部分と、該外側翼部分との間で電線および/または油圧ラインを支持するための中空シャフトを用いることもできる。
【0048】
上述したように、該旋回軸は、該機体10の一つ以上の基本軸に対して斜角を構成することができる。図17Aから図17Cは、該機体10に対する旋回軸と、ロール軸L、ピッチ軸Lおよびヨー軸Yから成る機体10の基本軸の一つの実施形態のさまざまな斜視図を示す。図17Aの側面図においては、該旋回軸Aは、該図の平面内に投影した場合に、長手方向軸またはロール軸Lと、鉛直軸またはヨー軸Yの両方とともに斜角を構成していることが図を見て分かる。いくつかの実施形態において、該旋回軸Aと、該鉛直軸またはヨー軸Yとの間の角度θは、約35度と約55度の間とすることができる。特定の実施形態において、該旋回軸Aと、該長手方向軸またはロール軸Lとの間の角度θは、約35度と約55度の間と同様とすることができる。いくつかの実施形態において、該角度θ、θは、それぞれ約45度とすることができる。
【0049】
図17Bは、これらの軸の投影とともに、該航空機10の正面図を示す。該図に示すように、該旋回軸A、A’は、それぞれ、(該翼のスパー軸に相当する可能性もある)該機体の該横方向軸またはピッチ軸Lに対して斜角θを構成することができる。いくつかの実施形態において、該角度θは、約35度と約55度の間とすることができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、該角度θは、約45度とすることができる。
【0050】
図17Cは、該機体10の平面図を、それらの軸の投影とともに示す。該図に示すように、該旋回軸A、A’は、それぞれ、該機体の該長手方向軸またはロール軸Lに対して斜角θを構成することができる。いくつかの実施形態において、該角度θは、約35度と約55度の間とすることができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、該角度θは、約45度とすることができる。
【0051】
図18は、機体の内側翼および胴体に対する外側翼の傾斜および折り畳みを可能にするのに利用することができる旋回継手1800の一つの実施形態を示す。該継手は、該内側翼部18と該外側翼部20との間の境界を画定し、および内側翼桁1802および外側翼桁1804に沿って延びているスパー軸、横方向軸またはピッチ軸Lに沿って配置することができる。第一の翼桁インサート1806は、該内側翼18の該翼桁1802の外側または遠位端に結合することができ、また、第二の翼桁インサート1808は、該外側翼20の該翼桁1804の内側または近位端に結合することができる。該第一の翼桁インサート1806は、該外側翼20が、該内側翼18および胴体12に対して、その周りで動くことができる該旋回軸Aを画定することができる中空ボルト1812を受け入れることができる、該インサート内に形成された穴1810を含むことができる。該第二の翼桁インサート1808は、該内側翼部18と外側翼部20の互いに対する位置合わせおよび低減した摩擦運動を確保することができる一つ以上のベアリングアセンブリ1816を受け入れることができる、該インサート内に形成された穴1814を含むことができる。上述したように、該ボルト1812の該中空穴1818は、電気配線、燃料ホース、油圧ホース等のコンポーネントを、回転継手に通すのに用いることができる。該さまざまなコンポーネントは、さまざまな材料から形成することができる。例えば、該中空ボルトは、鋼鉄、チタン、または、十分な強度から成る他の材料から形成することができる。他のコンポーネント、例えば、該翼桁、翼桁インサート等は、鋼鉄、チタン、炭素繊維、または他の公知の材料を含むさまざまな材料のうちのいずれかから形成することができる。
【0052】
図19は、図18に示す継手1800と同様であるが、ベアリングアセンブリの代わりに、低摩擦ワッシャを使用している旋回継手1900の代替的な実施形態を示す。例えば、同様の第一の翼桁インサート1902は、該内側翼桁1802に結合することができ、また、第二の翼桁インサート1904は、該外側翼桁1804に結合することができる。該第一の翼桁インサート1902に形成された穴1906は、該第二の翼桁インサート1904をその周りに配置することができる、鋼鉄、チタン等で形成された中空ボルト1908を受け入れることができる。低摩擦ワッシャ1910は、該外側翼20が、該内側翼18に対して該旋回軸A周りに旋回する際の摩擦を低減するのを支援するために、該第二の翼桁インサート1904の両側において、該ボルト1908の周りに配置することができる。該低摩擦ワッシャは、例えば、油を含浸させた焼結青銅を含むさまざまな公知の材料のうちのいずれかから形成することができる。
【0053】
図20は、該翼桁に沿った高応力を吸収する能力を備えた、クレビスピンおよびボールベアリングを用いて低摩擦運動を容易にする旋回継手2000のさらに別の実施形態を示す。図20の該継手2000は、図18および図19に示す該継手と逆になっていることに留意する。このような逆は、例えば、航空機の左翼に使用される継手と、その右翼を比較した相違を説明することができる。また、該継手2000は、図18および図19の方法で描くこともでき、このような両構成は、本発明の範囲内にある。図20を参照すると、上述した該旋回継手と同様に、第一の翼桁インサート2002は、内側翼桁1802に結合され、また、第二の翼桁インサート2004は、外側翼桁1804に結合されている。該第一の翼桁インサート2002の突出アーム2006、2008は、該第二の翼桁インサート2004の内側または近位端2010を収容し、また、クレビスピン2012は、該旋回軸Aに沿って、該アーム2006、2008の各々および端部2010に形成された位置合わせされた穴に挿入することができる。ベアリング2014、2016は、該ピンの位置合わせを確実にし、および該内側翼部と外側翼部の相対運動中の摩擦を低減するために、該ピン2012の周りに配置して、該第一の翼桁インサート2002の該アーム2006、2008に対して固定することができる。
【0054】
該図に示すように、該旋回軸Aは、該ヨー軸Yに平行にすることができる鉛直軸2018とともに角度θを構成することができる。いくつかの実施形態において、該角度θは、約25°と約45°の間とすることができる。例えば、該図示されている実施形態において、該角度は、約35度とすることができる。図20は、図17Aに示すように、該旋回軸Aに垂直な平面内に図示されていることを思い出されたい。したがって、図20に示す該角度は、これらの図面のさまざまな平面内に投影した場合に、図17Aから図17Cの該上述した角度を生成することができる。
【0055】
図21は、該クレビス継手2000と同様の旋回継手2100の別の実施形態を示す。該継手2100は、第一の翼桁1802に結合された第一の翼桁インサート2102と、第二の翼桁1804に結合された第二の翼桁インサート2104とを含むことができる。該第一および第二の翼桁インサート2102、2104は、クレビスピン、ボルトまたは他の固定部材2110を、該アーム2106、2108に形成された位置合わせされた穴を通して配置することができるように、相互に作用するように構成されたアーム2106、2108をそれぞれ有することができる。いくつかの実施形態において、該位置合わせされた穴およびクレビスピン2110は、約55°だけ横方向軸またはピッチ軸Lからオフセットさせることができる旋回軸Aを画定することができる。
【0056】
図22Aから図24Bは、直線状コンフィギュレーション(例えば、図22Aおよび図22B)、中間コンフィギュレーション(図23Aおよび図23B)およびフルに関節作動させたコンフィギュレーション(図24Aおよび図24B)における該旋回継手2100の例示的な動作を示す。図22A図23Aおよび図24Aの図は、ヨー軸Yに沿って見下ろした平面図である。図22B図23Bおよび図24Bの図は、図21の該旋回軸Aに沿っている。一つの実施形態において、該旋回継手2100周りの翼の動作は、矢印2200を前縁インジケータとして採用することによって視覚化することができる。図22Aにおいて、該前縁は、前方飛行のコンフィギュレーションにおける機体の平面図(例えば、図2)のように、該ページの該平面内で上方を向いている。該翼が、VTOLコンフィギュレーションへの移行中(例えば、図4)に傾斜される場合、該前縁インジケータ2200は、該ページの該平面から上方へ移動し、図23Aに示すように、外側/後方に旋回する。そして、該翼が、ホバリングのコンフィギュレーション(例えば、図3)までフルに旋回された場合、該前縁インジケータ2200は、図24Aの場合のように、平面視で該ページの外部に直接向く。
【0057】
図25から図28は、内側翼部18および胴体12に対する外側翼部20の動きを作動させるさまざまな機構を示す。図25を見ると、該第一のまたは内側翼部分18に対して該第二のまたは外側翼部分20を回転させる翼アクチュエータアセンブリ36の一つの実施形態が、機体10の上から図示されている。該図示されている実施形態において、該アクチュエータアセンブリ36は、送りねじ38、及び、送りねじトラベラー39と該外側翼部分20上のリンク機構マウント42との間に取付けられたリンク機構40を含む。モータ44または他のアクチュエータは、該送りねじ38を回転させることができ、それによって、該トラベラー39を、矢印41で示すように、該送りねじ38の長さに沿って移動させることができる。該トラベラー39が、該送りねじ38の該長さに沿って移動するにつれて、それに結合された該リンク機構40は、該第二の外側翼部分20を、前方飛行のコンフィギュレーション(例えば、図2)と、垂直離着陸のコンフィギュレーション(例えば、図3)との間で回転させることができる。
【0058】
図25の該機械的リンク機構および送りねじドライブは、本願明細書に記載されている該教示による、翼アクチュエータアセンブリの一実施例にすぎない。図26Aおよび図26Bに示す翼アクチュエータアセンブリ2600の別の実施形態では、内側翼部18に対する外側翼部20の動きを制御するのに、回転歯車が用いられている。それらの図に示すように、モータ2602は、該外側翼部内に配置することができ、該内側翼部18に形成された固定ラック歯車2606に噛み合わせることができる駆動歯車2604を回転させることができる。このことは、図26Aの該線C-Cに沿った図26のビューで示すように、該駆動歯車2604が、該ラック2606の周囲を矢印2608の方向に移動することをもたらす可能性がある。該モータ2602および駆動歯車2604は、該外側翼部20に結合することができるため、該ラック2606周りの該駆動歯車2604の動きは、該外側翼部20を、該内側翼部18に対して該旋回軸A周りに回転させることができる。該図示されている実施形態は、該外側翼部20に結合された該モータ2602および駆動歯車2604を示しているが、他の実施形態では、該配置は、これらのコンポーネントが該内側翼部18に結合され、および該ラック歯車2606が、該外側翼部20上に形成されるか、または、該外側翼部に結合されるように逆にすることができる。さらに、さまざまなサイズの歯車を含むさまざまな異なる歯車列のうちのいずれかを、本願明細書に記載されている該翼の動きを実現するのに採用することができる。
【0059】
図27Aから図28Bは、対向する油圧、空気圧、電気または他のリニアアクチュエータを用いて、内側翼部18に対する外側翼部20の旋回軸A周りの旋回運動または折り畳み運動を実施する翼アクチュエータアセンブリ2700の別の実施形態を示す。該図に示すように、該内側翼18と該外側翼20との間の旋回継手は、スパー軸または横方向軸L上に形成することができ、および該継手は、該図面の該平面内に投射した場合に、該継手が、それに対して斜角θにあるように構成することができる。該図示されている実施形態において、該角度θは、約45度とすることができるが、上述したように、他の角度も可能である。また、該旋回継手は、該軸Lならびに他の軸、例えば、垂直またはヨー軸Y、および長手方向軸またはロール軸Lに対して斜角に形成することもできる。例えば、図27Bの正面図に示すように、該旋回軸Aは、該スパー軸、横方向軸またはピッチ軸Lに対して角度θで配置することができ、またいくつかの実施形態においては、この角度は、該図の該平面内に投射した場合に同様に約45度とすることができる。さらに、図27Cは、側面図の鉛直面内に投射した場合に、該ヨー軸または垂直軸Yに対して角度θで形成された該旋回軸Aを示す。いくつかの実施形態においては、このようなビューにおいても、該角度θは、約45度とすることができる。
【0060】
図27Aから図28Aを参照すると、該翼アクチュエータアセンブリ2700は、第一のリニアアクチュエータ2702の第一の端部2802において該内側翼18に結合された該第一のリニアアクチュエータと、第二のリニアアクチュエータ2704の第一の端部2804において該外側翼20に結合された該第二のリニアアクチュエータとを含むことができる。該第一のリニアアクチュエータ2702の第二の端部2806と、該第二のリニアアクチュエータ2704の第二の端部2808は、該内側翼18と外側翼20との間に配置され、および該旋回軸A周りに回転するように構成されたリング2810に結合することができる。該第一および第二のリニアアクチュエータ2702、2704への結合部2806、2808は、該リング2810の対向する側部に設けることができる。いくつかの実施形態において、該結合部は、径方向(例えば、図28Aの該平面)および(例えば、該旋回軸Aに沿った)軸方向の両方向において対向する側部に設けることができる。
【0061】
図27Aおよび図27Cに示す線E-Eに沿った断面図を示す図28Bは、該翼アクチュエータアセンブリ2700および旋回継手をより詳細に示している。該図に示すように、該内側翼桁1802と外側翼桁1804との間に配置された該旋回継手は、それぞれ、該内側翼桁1802および該外側翼桁1804に結合されている内側翼桁インサート2812および外側翼桁インサート2814を含むことができ、および該旋回軸Aに沿って延びているボルト、ピンまたは他の接続部材2816を受け入れることができる、該旋回継手の中に形成された穴を含むことができる。該リング2810は、該内側翼桁インサート2812と外側翼桁インサート2814との間の該接続ピンまたは部材2816の周りに配置することができる。また、該図には、該第一および第二のリニアアクチュエータ2702、2704(図28Bでは見えない)への該結合部2806、2808も見えている。さらに、さまざまなコンポーネントの互いに対する該旋回軸A周りの低減された摩擦運動を可能にするために、スラスト軸受2818を、それらのコンポーネント間に設けることができる。作動中に、該第一および第二のリニアアクチュエータ2702、2704の両方の動作は、該結合部2802、2804を介して該内側翼18および外側翼20に力を及ぼすことができ、そして、該外側翼20を、該内側翼18に対して該旋回軸A周りに動かすことができる。また、図28Bには、該図の該平面内において、該旋回軸Aと横方向軸Lとの間に形成された該角度θも図示されている。いくつかの実施形態において、この角度は、図17Aから図17Cにおける上述した角度を生成するために、約25°と約45°の間とすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、該角度θは、それぞれ、約45°になっている図17Aから図17Cの該角度θから角度θを生じさせるように、約35°(例えば、35.2°)とすることができる。
【0062】
図29は、例えば、高応力用途に採用することができる、二つの翼桁を含む翼2900の一つの実施形態を示す。高応力用途の実施例は、該翼の低減された厚さが、応力により敏感にさせることができるため、低プロファイルの翼型構造(例えば、翼弦線に直角な方向における小さな翼厚または寸法)が採用されている実施例を含むことができる。高応力用途の別の実施例は、(例えば、5G以上の)高重力を受けるように構成された機体とすることができる。該翼2900は、上述したように、胴体に取付けられた内側翼18と、該内側翼に対して旋回可能に結合された外側翼20とに分けることができる。例えば、旋回継手2902を、第一の内側翼桁2904と第一の外側翼桁2906との間に配置することができる。該旋回継手2902は、該内側翼18に対する該外側翼20の旋回軸A周りの動きを実行することができ、および本願明細書に記載され、および例えば、図18から図24Bに図示されている該実施形態のうちのいずれかを利用することができる。
【0063】
該翼2900は、該第一の翼桁からオフセットされた、例えば、該第一の翼桁と、該翼の後縁90との間に配置された第二の翼桁も含むことができる。該第二の翼桁は、第二の内側翼桁2906と、第二の外側翼桁2908とに分けることができる。該第二の内側翼桁2906および外側翼桁2908は、応力を間断なく担持できるように、互いに堅固に結合するように構成することができる。該図示されている実施形態においては、例えば、平行移動係止ピン2910を、該翼桁2906、2908に形成された凹部に配置することができる。前方飛行のコンフィギュレーション時に、該翼桁2906、2908に形成されたこれらの凹部は、位置合わせすることができ、および該係止ピンは、該内側翼18と該外側翼20との間の境界2914にわたって配置されるように、図29の矢印2912に沿って平行移動させることができる。その結果として、該第二の内側および外側翼桁2906、2908は、該内側翼18および外側翼20の全長に及ぶ単一の翼桁として効果的に接合することができる。該翼をVTOLまたは他の中間コンフィギュレーションに旋回させるために、該係止ピン2910を該境界2914の一方の側へ平行移動させて、それによって、該外側翼20が、内側翼18に対して、該継手2902および旋回軸A周りに旋回する際に、該コンポーネントを分離することを可能にするように、該第二の内側および外側翼桁2906、2908を分離することができる。
【0064】
本開示の該さまざまな機体は、垂直離着陸のコンフィギュレーションから前方飛行のコンフィギュレーションへの移行を有利に可能にする。該垂直離着陸のコンフィギュレーションにおいて、翼部を旋回させる、該翼部に取付けられたさまざまなコンポーネントの重量は、該胴体に近付けて配設することができ、それにより、該機体の重心から離れて配置された質量によって生じる任意の慣性モーメントを低減することができる。さらに、旋回する翼部は、該翼部の前縁が上方に向いた状態で、実質的に垂直方向に向けることができ、それにより、垂直飛行中の該翼にわたる、遮るもののない最大限に有効な気流を可能にする。くわえて、該翼に結合された推進ユニットは、該翼の推力によって、該航空機の重量を支持するように、垂直方向に向けることができる。逆に、前方飛行のコンフィギュレーションにおいては、該翼に結合された該エンジンは、回転させて、該機体の重心からさらに離して移動させることができ、それにより、前方飛行中のより大きな安定性がもたらされ、および推進ユニットの推力を水平方向に変えて、該翼が空気力学的揚力を生成して該航空機の該重量を支持している間の効率を最大化する。
【0065】
本開示の好適な実施形態に関する上記の説明を、例示および説明のために提示してきた。該記載されている好適な実施形態は、網羅的であることは意図されておらず、または、本開示の範囲を、開示されている詳細な形態に限定することは意図されていない。上記の教示の観点から、追加的な変更または変形が可能である。該実施形態は、本開示の原理およびその実際の適用に関する最良の説明を提供し、およびそれによって、当業者が、意図された特定の用途に適合するようなさまざまな変更によって、さまざまな実施形態において本開示で明らかになった概念を利用することを可能にしようと努力して選択され、かつ記載されている。そのようなすべての変更および変形は、それらが適正に、法律的にかつ公正に権利が与えられる範囲に従って解釈したときに添付クレームによって決まる本開示の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図29