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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】チェーンコンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/22 20060101AFI20240109BHJP
   B65G 21/16 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65G21/22 B
B65G21/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023049169
(22)【出願日】2023-03-27
(62)【分割の表示】P 2022058635の分割
【原出願日】2018-07-23
(65)【公開番号】P2023068166
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000128485
【氏名又は名称】株式会社オーイズミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中内 悠太
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-096440(JP,A)
【文献】特開2007-058880(JP,A)
【文献】特開2001-163475(JP,A)
【文献】特開平03-050061(JP,A)
【文献】特開2012-171773(JP,A)
【文献】特開2014-038450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G21/00-21/22
B65G17/00-17/48
A63F5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン駒が複数連結されたチェーンベルトを水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路を形成するチェーンコンベア装置であって、
前記屈曲した搬送路は、複数の屈曲走行路を備え、
前記屈曲走行路は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部とを備え、
前記屈曲連結部は、軸受部と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部を、平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の上方及び下方の2か所に配置した
ことを特徴とするチェーンコンベア装置。
【請求項2】
チェーン駒が複数連結されたチェーンベルトを水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路を形成するチェーンコンベア装置であって、
前記屈曲した搬送路は、複数の屈曲走行路を備え、
前記屈曲走行路は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部と、戻り側の前記チェーンベルトを下側から支持する下底板部とを備え、
前記屈曲連結部は、軸受部と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部を、平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の下方に2組に配置した
ことを特徴とするチェーンコンベア装置。
【請求項3】
チェーン駒が複数連結されたチェーンベルトを水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路を形成するチェーンコンベア装置であって、
前記屈曲した搬送路は、複数の屈曲走行路を備え、
前記屈曲走行路は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部と、戻り側の前記チェーンベルトを下側から支持する下底板部とを備え、
前記屈曲連結部は、軸受部と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部の1組を平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の下方かつ前記戻り側のチェーンベルトの上方に配置し、他の1組を平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記戻り側のチェーンベルトの下方に配置した
ことを特徴とするチェーンコンベア装置。
【請求項4】
前記屈曲連結部を、平面視前記搬送レール部の幅方向中央に配置した
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項5】
前記屈曲軸及び前記軸受部の平面視左右両側に、前記屈曲軸周りの回動を制限する当接部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項6】
前記搬送レール部は、搬送方向に対する左右方向の幅よりも搬送前後方向の長さを短く形成した
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項7】
前記屈曲軸又は前記軸受部は、
自身の前記屈曲走行路の軸受部に、他の前記屈曲走行路の屈曲軸を受容する際、又は取り外す際に退避可能となる退避構造を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチェーンコンベア装置。
【請求項8】
前記屈曲走行路は、前記チェーンベルトの浮き上がりを防止する浮き上がり防止部、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチェーンコンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「コンベヤシステムに於いてコンベヤチェーン等を案内する走行フレーム装置であって、少なくとも一対のフレーム材と、この一対のフレーム材相互を連結する連結ブロックと、フレーム材に装着されると共に、コンベヤチェーン等が摺接される適宜合成樹脂製の走行レールとを備え、フレーム材は、長尺な基板と、この基板の両長縁部分に夫々略直角に連設される一対の長尺な折曲板とで略溝形状に形成され、前記折曲板に、長手方向に対して略直交するような複数の切欠溝を適宜間隔で設け、基板をその厚み方向に於いて湾曲せしめたときに、前記切欠溝の形状が変形すると共に、折曲板がその幅方向に於いて湾曲状態となるように構成したことを特徴とするコンベヤシステムに於ける走行フレーム装置」が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、「リンク本体上部にフラットなトッププレートを備えたチェーンリンクが、連結ピンで多数連結されてなるトッププレート付きコンベヤチェーンと前記トッププレート付きコンベヤチェーンの下面で前記チェーンを支持案内するガイドレールとを有するトップチェーンコンベヤ装置において、前記コンベヤ装置が、潤滑剤を供給する潤滑ノズルを有しており、前記潤滑ノズルから供給される潤滑剤の量とタイミングを制御する制御装置を備えたトップチェーンコンベヤ装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-255327号公報(請求項1)
【文献】特開2008-68940号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の走行フレーム装置は、コンベアの湾曲部分を構成するために、フレーム材や連結ブロック等、多くの部品点数を要し、煩雑である。また、設置場所のカーブ曲率および長さを予め定めて専用のフレーム材を手配する必要がある。このように、走行フレーム装置のカーブが予め定まっているため、設置現場における想定外の状況に適応させるための自由度が乏しいという問題があった。
【0006】
特許文献2のトップチェーンコンベヤ装置は、ガイドレールのカーブ曲率および長さを予め定めて専用部品を手配する必要がある。このように、トップチェーンコンベヤ装置のカーブが予め定まっているため、設置現場における想定外の状況に適応させるための自由度が乏しいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みて、汎用性の高い部品で任意のカーブを実現し、設置現場のさまざまな状況に応じて設置可能なチェーンコンベア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明は、
チェーン駒(31)が複数連結されたチェーンベルト(3)を水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)を形成するチェーンコンベア装置(C)であって、
前記屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)は、複数の屈曲走行路(10,10A)を備え、
前記屈曲走行路(10,10A)は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部(4)と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部(上底板部113,水平滑走部112c,走行路側壁112b等)とを備え、
前記屈曲連結部(4)は、軸受部(121a,123a,113d,115d)と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部(4)を、平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の上方及び下方の2か所に配置した
ことを特徴とする。
【0009】
また、他の発明によれば、
チェーン駒(31)が複数連結されたチェーンベルト(3)を水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)を形成するチェーンコンベア装置(C)であって、
前記屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)は、複数の屈曲走行路(10,10A)を備え、
前記屈曲走行路(10,10A)は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部(4)と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部(上底板部113,水平滑走部112c,走行路側壁112b等)と、戻り側の前記チェーンベルト(3)を下側から支持する下底板部(114)とを備え、
前記屈曲連結部(4)は、軸受部(121a,123a,113d,115d)と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部(4)を、平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の下方に2組に配置した
ことを特徴とする。
【0010】
また、他の発明によれば、
チェーン駒(31)が複数連結されたチェーンベルト(3)を水平面内で屈曲走行させることで、屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)を形成するチェーンコンベア装置(C)であって、
前記屈曲した搬送路(コンベア屈曲部1)は、複数の屈曲走行路(10,10A)を備え、
前記屈曲走行路(10,10A)は、水平面内で屈曲可能に相互に連結する屈曲連結部(4)と、前記チェーンベルトの屈曲走行を支持する搬送レール部(上底板部113,水平滑走部112c,走行路側壁112b等)と、戻り側の前記チェーンベルト(3)を下側から支持する下底板部(114)とを備え、
前記屈曲連結部(4)は、軸受部(121a,123a,113d,115d)と屈曲軸受孔とを有し、
前記軸受部は、他の第1屈曲連結部の屈曲軸受孔に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔は、他の第2屈曲連結部の軸受部に対応して開設したものであり、
前記屈曲軸受孔と対応する前記軸受部とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通することにより、前記他の第1屈曲連結部と当該屈曲連結部と前記他の第2屈曲連結部とを連結可能であり、
前記屈曲連結部(4)の1組を平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記搬送レール部の下方かつ前記戻り側のチェーンベルトの上方に配置し、他の1組を平面視前記搬送レール部の範囲内であるとともに前記戻り側のチェーンベルトの下方に配置した
ことを特徴とする。
詳細は後記する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汎用性の高い部品で任意のカーブを実現し、設置現場のさまざまな状況に応じて設置可能なチェーンコンベア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】円形島および補給コンベアの上面図である。
図2】補給コンベアの斜視図である。
図3】回収コンベアの斜視図である。
図4A】コンベア直線部の上方斜視図である。
図4B】コンベア直線部の搬送方向視断面図である。
図5】チェーンベルトの分解上方斜視図である。
図6】チェーンベルトの、(a)が分解下方斜視図であり、(b)が(a)とは異なる角度から視たときの分解下方斜視図である。
図7A】チェーン駒同士が直線連結したときの、(a)が上面図であり、(b)が内部構造図である。
図7B図7A(b)に示す領域Eが示す連結ピンの先端部の部分拡大図である。
図8】チェーン駒同士が屈曲連結したときの、(a)が上面図であり、(b)が内部構造図である。
図9】コンベア駆動ユニットの内部構造図である。
図10】コンベア屈曲部の斜視図である。
図11】屈曲走行路の、(a)が上方斜視図であり、(b)が(a)とは異なる角度から視たときの上方斜視図である。
図12】コンベア屈曲部の内部を側方から視た図である。
図13】コンベア屈曲部の内部を上方から視た図である。
図14】他の実施形態における屈曲走行路の上方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態のチェーンコンベア装置は、例えば、メダルを搬送する装置であって、所定箇所で所定角度だけ水平面内で屈曲した搬送路を実現する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のチェーンコンベア装置Cは、円形島S内部上部に配置される補給コンベアとして機能することができる。パチスロ機P、および、遊技者が座る椅子Rはそれぞれ、円形島Sの周方向に等間隔で配置されている。また、パチスロ機Pの隣にはメダル貸機Qが配置されている。補給コンベアとしてのチェーンコンベア装置Cは、パチスロ機Pおよびメダル貸機Qにメダルを補給する。
【0015】
チェーンコンベア装置Cは、複数のコンベア屈曲部1と、複数のコンベア直線部2と、コンベア駆動ユニットU1と、コンベアリターンユニットU2とを備える。
コンベア屈曲部1は、チェーンコンベア装置Cが形成する搬送路の屈曲部分を構成する。
コンベア直線部2は、チェーンコンベア装置Cが形成する搬送路の直線部分を構成する。
【0016】
図1に示すように、複数のコンベア屈曲部1と、複数のコンベア直線部2が交互に接続しており、コンベア屈曲部1の各々が所定角度だけ水平面内で屈曲している。よって、チェーンコンベア装置Cは、円形島Sの円孤に沿った搬送路を提供することができる。
【0017】
コンベア駆動ユニットU1は、チェーンコンベア装置Cが備えるチェーンベルト3(図4A図4B参照)を搬送路の搬送方向に駆動する。コンベア駆動ユニットU1は、搬送路の終端部に配置されている。チェーンベルト3は、搬送路に沿って周回移動する無端のベルトであるが、詳細は後記する。
コンベア駆動ユニットU1は、チェーンベルト3を搬送方向に駆動するための駆動モータU1a(図2参照)を備える。また、コンベア駆動ユニットU1は、無端のチェーンベルト3を巻回する駆動スプロケットU1s(図9参照)を備える。
【0018】
コンベアリターンユニットU2は、コンベア駆動ユニットU1の駆動に従動することで、チェーンベルト3を搬送路の搬送方向に駆動する。コンベアリターンユニットU2は、搬送路の始端部に配置されている。図1に示すように、コンベアリターンユニットU2は、円形島Sにメダルを補給するメダル自動補給装置T内に配置されており、メダル自動補給装置Tが補給するメダルの受け入れ口として機能する。また、コンベアリターンユニットU2は、無端のチェーンベルト3を巻回する従動スプロケット(図示せず)を備える。
【0019】
メダル自動補給装置TからコンベアリターンユニットU2に補給されたメダルは、コンベア屈曲部1内とコンベア直線部2内とを交互に所定回通過して、パチスロ機P内またはメダル貸機Q内に到達する。または、補給されたメダルは、コンベア駆動ユニットU1内に到達し、回収コンベアとしてのチェーンコンベア装置CのコンベアリターンユニットU2へ落下する。
【0020】
図2に示すように、パチスロ機Pに対して、分岐ユニットB1と、補給蛇腹B2とが設けられている。
分岐ユニットB1は、チェーンコンベア装置Cが搬送しているメダルを、搬送方向から、対応のパチスロ機Pに向けて分岐する。分岐ユニットB1は、コンベア直線部2に取り付けられている。
補給蛇腹B2は、分岐ユニットB1によって分岐されたメダルをパチスロ機P内に案内する。補給蛇腹B2は、分岐ユニットB1およびパチスロ機Pに取り付けられている。
【0021】
なお、メダル貸機Q(図1参照)に対しても、分岐ユニットB1相当および補給蛇腹B2相当が設けられており、搬送されたメダルがメダル貸機Q内に案内される。
また、図2に示すように、コンベア屈曲部1およびコンベア直線部2は、接続部M1,M2によって接続されており、搬送路を連続させている。
【0022】
図3に示すように、本実施形態のチェーンコンベア装置Cは、円形島S内部下部に配置される回収コンベアとして機能することもできる。回収コンベアとしてのチェーンコンベア装置Cは、パチスロ機Pおよびメダル貸機Qからメダルを回収する。回収コンベアとしてのチェーンコンベア装置Cの構成は、補給コンベアとしてのチェーンコンベア装置Cの構成と同じである。
【0023】
図3に示すように、パチスロ機Pおよびメダル貸機Qに対して、回収受皿D1,D2が設けられている。
回収受皿D1は、パチスロ機Pから排出されたメダルを貯留し、適宜のタイミングで、貯留したメダルをチェーンコンベア装置C内に流す。
回収受皿D2は、メダル貸機Qから排出されたメダルを貯留し、適宜のタイミングで、貯留したメダルをチェーンコンベア装置C内に流す。
【0024】
パチスロ機Pおよびメダル貸機Qから回収されたメダルは、コンベア屈曲部1内とコンベア直線部2内とを交互に所定回通過して、コンベア駆動ユニットU1内に到達し、メダル自動補給装置T内へ落下する。
【0025】
[コンベア直線部2]
図4A図4Bに示すように、コンベア直線部2は、搬送方向に見て略矩形断面を呈する筒状体である。図4Aに示すコンベア直線部2は、コンベア駆動ユニットU1に接続するコンベア直線部2であるが、搬送路の直線部分を構成する他のコンベア直線部2も同様の形状を呈する。
【0026】
なお、図4Aに示すコンベア駆動ユニットU1に関しては、駆動モータU1aの図示が省略されており、駆動スプロケットシャフトU1s1と、回転センサシャフトU1r1とが図示されている。駆動スプロケットシャフトU1s1は、コンベア駆動ユニットU1が備える駆動スプロケットU1s(図9参照)のシャフトである。回転センサシャフトU1r1は、コンベア駆動ユニットU1が備える回転センサU1r(図9参照)のシャフトである。回転センサU1rは、チェーンベルト3の周回を検知するセンサである。
【0027】
コンベア直線部2は、直線レール部21と、一対のサイドカバー部22,22と、トップカバー部23とを備える。
直線レール部21は、搬送路の直線部分に沿って周回移動するチェーンベルト3を支持する。直線レール部21は、例えば、アルマイト加工をしたアルミニウムでできているが、これに限定されない。直線レール部21の詳細は、後記する。
【0028】
サイドカバー部22,22は、コンベア直線部2の側壁部となる。サイドカバー部22,22の下縁部は、直線レール部21の幅方向両側に形成されている溝部21g,21g(図4B参照)内に受容されるとともに、長手方向に沿って開設されている下穴溝21pの任意の位置にセルフタッピング螺子24を螺合して固定する。このため、サイドカバー部22,22は、直線レール部21に対して固定されており、固定作業も容易である。
【0029】
トップカバー部23は、コンベア直線部2の天井部となる。トップカバー部23は、搬送方向に見てコ字状断面を呈する枠状体である。トップカバー部23の側板下縁部が、サイドカバー部22,22の上下方向の略中央部分に形成されている凹条部22v,22v(図4B参照)に係合している。また、サイドカバー部22,22の上縁部が、トップカバー部23の角部内側に形成されている凹条部23v,23v(図4B参照)に係合している。このため、トップカバー部23は、サイドカバー部22,22、および、直線レール部21に対して固定されている。
【0030】
<直線レール部21>
直線レール部21は、上底板部211と、下底板部212,212と、中底板部213と、水平滑走部211cと、下穴溝21pとを備える。上底板部211、下底板部212,212、および、中底板部213は、上底板部211と中底板部213との間に立設している側板、および、中底板部213と下底板部212,212との間に立設している側板と一体化している。
【0031】
上底板部211は、コンベア直線部2内を周回移動する搬送側チェーンベルト3(搬送されるメダルが載置される上側のチェーンベルト3部分)の下方に存在する底板部である。上底板部211の中央部は、直線レール部21を他の直線レール部21と結合する際、コンベア駆動ユニットU1と結合する際、又はコンベアリターンユニットU2と結合する際に、固定用のセルフタッピング螺子24の頭を収容するための凹断面を有しており、コンベア直線部2の搬送方向全体に亘って延在している(図4B参照)。
【0032】
上底板部211の幅方向両側には、傾斜面211a,211a(図4B参照)が形成されている。傾斜面211a,211aは、上底板部211の幅方向途中部分から幅方向外側の水平滑走部211cに向かって所定高さまで上昇する傾斜面となる。この所定高さは、チェーンベルト3の肉厚と略同じ寸法であるが、この寸法に限定されない。
【0033】
水平滑走部211cは、チェーンベルト3のチェーン駒31(図5参照)の連結片312,313における幅方向外側の下面に形成されているチェーン駒下滑走部3cと摺接する摺動部(図4Bに示す実施形態では摺動面)である。
【0034】
下穴溝21pは、セルフタッピング螺子24を螺合する際の下穴となる溝であり、現場の状況に合わせて長手方向のどの位置でもセルフタッピング螺子24を螺合することができる。セルフタッピング螺子24を用いて固定する対象は、サイドカバー部22、分岐ユニットB1、接続部M1,M2などのオプション部品である。
【0035】
本実施形態のチェーンコンベア装置Cの搬送路に沿って周回移動するチェーンベルト3には、摺動の摩擦力やリターンユニットにおける従動スプロケット等の抵抗力に対抗するための張力が加わっている。チェーンベルト3に加わる張力は、コンベア屈曲部1においてはチェーンベルト3の外周側を浮き上がらせる力を生じさせるため、チェーンベルト3が搬送路から離れてしまうという問題がある。
また、コンベア直線部2においても、何らかの原因により分岐ユニットB1内(図2図3参照)に滞留したメダルの押力により、チェーンベルト3を側方に押す力が加わることもある。この場合には、チェーンベルト3が搬送路から逸脱し蛇行する可能性がある。
【0036】
直線レール部21において蛇行したチェーンベルト3部分は、上底板部211の傾斜面211a,211aの片方に一時的に乗り上がる。しかし、傾斜面211aに乗り上がったチェーンベルト3部分は、チェーンベルト3部分自体の自重によって、幅方向中心に戻ることができる。このように、傾斜面211a,211aは、チェーンベルト3の蛇行抑制機能を有する。
【0037】
また、上底板部211の幅方向中央部分には、搬送方向に延在しているリブ211b,211b(図4B参照)が形成されている。リブ211b,211bは、チェーンベルト3との接触部分である。
【0038】
下底板部212,212は、コンベア直線部2内を周回移動する戻り側のチェーンベルト3(搬送路の終端部となるコンベア駆動ユニットU1で折り返したチェーンベルト3部分)を支持する底板部である。下底板部212,212は、コンベア直線部2の搬送方向全体に亘って延在している。本実施形態では、戻り側のチェーンベルト3は、上底板部211と、下底板部212,212と、これらを繋ぐ側壁とで囲まれた内部を走行するので、戻り側のチェーンベルト3の走行路に異物が混入してコンベアリターンユニットU2(図2図3参照)まで搬送されて、従動スプロケットに噛み込まれてしまうという不具合を予防することができる。
【0039】
下底板部212,212の幅方向上の所定箇所には、搬送方向に延在している4本のリブ212a(図4B参照)が形成されている。4本のリブ212aは、チェーンベルト3との接触部分である。
【0040】
中底板部213は、上底板部211と、下底板部212,212との間に配置していることで、直線レール部21自体の剛性を向上させると共に耐久性を向上させることができる。
中底板部213は、コンベア直線部2の搬送方向全体に亘って延在していることから、中底板部213と、上底板部211と、これらを繋ぐ側壁とで囲まれた部分は閉空間を形成している。したがって、図4Bに示すように、上底板部211の中央部に形成した凹部にセルフタッピング螺子24を螺合させた場合であっても、螺合時に発生するキリコは当該閉空間内に留まるため、チェーンベルト3の周回移動に悪影響を与えることは無い。更に、キリコの清掃作業も不要となるため、コンベア設置時の作業も容易となる。
【0041】
[チェーンベルト3]
図5図6(a),図6(b)に示すように、チェーンベルト3は、上面に搬送対象物の載置面を備えるトッププレート付のチェーン駒31を、複数の連結ピン32で複数個連結したベルトである。チェーン駒31は、例えば、POM(PolyOxyMethylene)(または、ジュラコン(登録商標))でできているが、これに限定されない。また、連結ピン32は、例えば、66ナイロン(ナイロンは登録商標)でできているが、これに限定されない。また、連結ピン32は、円柱の棒状体である。
【0042】
チェーン駒31は、基部311と、連結片312~318と、連結片312,313の幅方向外側の下面に形成されているチェーン駒下滑走部3c(図5に示す実施形態では摺動面)を備える。
基部311は、幅方向に延在するチェーン駒31の土台部分である。特に、図6(a),図6(b)に示すように、基部311の両端部の裏面には、傾斜面311a,311aが形成されている。傾斜面311a,311aは、上底板部211の傾斜面211a,211a(図4B参照)と摺接する。
【0043】
連結片312,313は、チェーン駒31の幅方向両端部を構成し、基部311から搬送方向正方向に延在する略平板状を呈している。連結片312,313の幅方向外側の下面に形成されているチェーン駒下滑走部3cは、直線レール部21の水平滑走部211cと摺接する。
【0044】
連結片314,315は、基部311から搬送方向正方向に張り出す略粒状を呈している。連結片314,315は、チェーンベルト3の周回移動の際、コンベア直線部2の上底板部211のリブ211b,211b(図4B参照)に摺接する。
【0045】
図6(a),図6(b)に示すように、連結片314,315の各々には、連結ピン32が貫通する遊嵌孔314a,315aが形成されている。
遊嵌孔314aは、連結片314の中心部を通過し、チェーン駒31の幅方向に延在して形成されている。遊嵌孔315aは、連結片315の中心部を通過し、チェーン駒31の幅方向に延在して形成されている。連結ピン32は、遊嵌孔314a,315aに対してチェーン駒31の幅方向に挿入される。
【0046】
連結片316~318は、基部311から搬送方向逆方向に張り出す略粒状を呈している。連結片316,318は、コンベア直線部2の上底板部211の傾斜面211a,211a(図4B参照)に対応するように切り欠かれた表面を呈しており、チェーンベルト3の周回移動の際、傾斜面211a,211aに摺接することができる。
【0047】
図6(a),図6(b)に示すように、連結片316~318の各々には、連結ピン32を固定する固定孔316a~318aが形成されている。
固定孔316aは、連結片316の中心部を通過し、チェーン駒31の幅方向に延在して形成されている。固定孔317aは、連結片317の中心部を通過し、チェーン駒31の幅方向に延在して形成されている。固定孔318aは、連結片318の中心部を通過し、チェーン駒31の幅方向に延在して形成されている。連結ピン32は、固定孔316a~318aに対してチェーン駒31の幅方向に挿入される。
【0048】
図5に示すように、連結ピン32の先端部は、当該先端部から連結ピン32の軸方向に所定量だけ切り欠かれたことによって、この切り欠きに向けて弾性変形が可能な2つの先端部分32a,32aが形成されている。また、先端部分32a、32aには、連結ピン32の周方向に係合溝kg,kgが形成されている。係合溝kg,kgは、連結片318の固定孔318a内に周方向に形成されている係合凸部k(図7B参照)が係合する溝である。
【0049】
隣接するチェーン駒31A(31),31B(31)同士を連結する場合、チェーン駒31Aの連結片312,314の間に、チェーン駒31Bの連結片316が介在する。また、チェーン駒3131Aの連結片314,315の間に、チェーン駒31Bの連結片317が介在する。また、チェーン駒31Aの連結片315,313の間に、チェーン駒31Bの連結片318が介在する。このとき、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315a、および、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318aが連続して1本の連結ピン固定孔が形成される。作業員が連結ピン32をこの孔に挿入することで、隣接するチェーン駒31A,31B同士が連結される。このような連結を他のチェーン駒31に対しても行うことでチェーンベルト3が形成される。
【0050】
なお、POMでできているチェーン駒31の遊嵌孔314a,315a、および、固定孔316a,317a,318aに、66ナイロンでできている連結ピン32が挿入され、異なる材質でできた部材同士が摺接することになる。このため、チェーン駒31と連結ピン32との間に生じる摩擦を低減することができ、連結ピン32の挿入を円滑にすることができる。また、チェーン駒31および連結ピン32の耐摩耗性を向上させることができる。
【0051】
搬送路が直線である場合、図7A(a)に示すように、隣接するチェーン駒31A,31B同士は、屈曲なく直線連結している。この場合、図7A(b)に示すように、直線連結しているチェーン駒31A,31Bに対して、連結ピン32が、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315a、および、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318aに挿入されている。
なお、図7A(b)に示す断面(斜線図示部分)は、チェーン駒31A,31Bを、連結ピン32の中心軸を通過する高さ位置で切断したときの断面である。
【0052】
連結ピン32の先端部が、チェーン駒31Bの固定孔318aに挿入される際、先端部分32a、32aは、固定孔318a内の係合凸部k(図7B参照)に当接する。連結ピン32をさらに挿入すると、先端部分32a、32aは弾性変形して連結ピン32の中心軸に向かって撓み、係合凸部kに乗り上げる。連結ピン32をさらに挿入すると、図7Bに示すように、係合凸部kが、先端部分32a、32aの係合溝kg,kgに受容され、先端部分32a、32aが連結ピン32の中心軸から離れるように復元する。その結果、連結ピン32は、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315a内、および、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318a内に係合固定される。
【0053】
連結ピン32の直径は、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318aの孔径と同じ呼び径である。よって、図7A(b)に示すように、連結ピン32は、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318a内全体に接触し、チェーン駒31Bに対して水平面内に関して固定されている。なお、チェーン駒31A,31Bは、連結ピン32の軸周りに回動自在である。
【0054】
一方、図7A(b)に示すように、連結ピン32の直径に対して、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315aの孔径は若干大きいとともに、前後方向がチェーン駒31Aの幅方向外側に向かって拡径している。よって、チェーン駒31Aは、連結ピン32およびチェーン駒31bに対して水平面内に関してある程度の範囲内の角度に屈曲変位することができる(例えば最大3°)。
【0055】
搬送路が屈曲している場合、図8(a)に示すように、隣接するチェーン駒31A,31B同士は、所定の角度をなして屈曲連結している。この場合、図8(b)に示すように、直線連結しているチェーン駒31A,31Bに対して、連結ピン32が、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315a、および、チェーン駒31Bの固定孔316a,317a,318aに挿入されている。
なお、図8(b)に示す断面(斜線図示部分)は、チェーン駒31A,31Bを、連結ピン32の中心軸を通過する高さ位置で切断したときの断面である。
【0056】
さらに、屈曲連結している場合、図8(b)に示すように、連結ピン32の部分がチェーン駒31Aの遊嵌孔314a内の一部領域に当接しているとともに、連結ピン32の別の部分がチェーン駒31Aの遊嵌孔315a内の一部領域に当接している。チェーン駒31A,31B間の屈曲可能な角度の最大値は、チェーン駒31Aの遊嵌孔314a,315aの拡径の程度によって決定される。
【0057】
[コンベア駆動ユニットU1]
図9に示すように、コンベア駆動ユニットU1は、既に説明した駆動モータU1a(図9では図示略)と、底ガイドU1bと、既に説明した駆動スプロケットU1sと、既に説明した回転センサU1r(図9では図示略)とを備える。
底ガイドU1bは、コンベア駆動ユニットU1内に進入するチェーンベルト3を支持する。
【0058】
駆動スプロケットU1sは、駆動モータU1aの駆動によって駆動スプロケットシャフトU1s1周りに回転することで、チェーンベルト3を周回移動させる。チェーン駒31の連結片314,315(図6(a),(b)参照)は、駆動スプロケットU1sの歯間に嵌る。これにより、駆動スプロケットシャフトU1s1の回転は、多数のチェーン駒31が連結したチェーンベルト3に伝達され、チェーンベルト3が周回する。
【0059】
回転センサU1rは、既に説明した回転センサシャフトU1r1(図4A図9では図示略。)と、回転検出ローラU1r2と、OリングU1r3とを備える。
回転検出ローラU1r2は、駆動スプロケットU1s付近に位置する折り返したチェーンベルト3のたるみを防止する機能も有する。
OリングU1r3は、回転検出ローラU1r2の外周に配置され、チェーンベルト3の移動に対する回転検出ローラU1r2の滑りを防止する。
【0060】
図9に示すように、駆動スプロケットU1sに巻回されるチェーンベルト3は、連結ピン32周りに屈曲する。しかし、チェーンベルト3が屈曲しても、チェーン駒31の形状に起因して(図5参照)、隣接するチェーン駒31,31間で形成される隙間は、メダルMと比較して相当小さい。このため、チェーンベルト3の折り曲がり部分となるチェーン駒31,31間にメダルMが挟まることはない。その結果、コンベア駆動ユニットU1内に進入したメダルMを、チェーンベルト3の折り返し部分から、メダル詰まりなしで落下(エンド落とし)させることができる。
【0061】
[コンベア屈曲部1]
図10に示すように、コンベア屈曲部1は、同一形状の屈曲走行路10が搬送経路に沿って複数連結された筒状体である。図10に示すコンベア屈曲部1は、本実施形態のチェーンコンベア装置Cに用いられる複数のコンベア屈曲部1(図1参照)に共通である。
図10に示すように、コンベア屈曲部1内を通過するチェーンベルト3は、複数の屈曲走行路10によって形成される水平面内のカーブに沿って屈曲走行する。
【0062】
なお、図10に示すY-Y線は、後記の図12に示すコンベア屈曲部1の内部を見せるために切断したときの切断線である。
また、図10に示すZ-Z線は、後記の図13に示すコンベア屈曲部1の内部を見せるために切断したときの切断線である。
【0063】
<屈曲走行路10>
図11(a),図11(b)に示すように、屈曲走行路10は、略矩形状を呈する枠体である。屈曲走行路10は、例えば、ポリカーボネートでできているが、これに限定されず、他の樹脂や金属を用いることもできる。特にポリカーボネートは透明であるため、屈曲走行路10、および、コンベア屈曲部1を透明にすることができる。このため、作業員は、コンベア屈曲部1内を通過するメダルの搬送状況を容易に確認することができる。
なお、屈曲走行路10に関する説明の便宜上、搬送方向正方向を「前」とし、他の方向「後」、「右」、「左」、「上」、「下」は、図11(a),図11(b)に従う。
【0064】
屈曲走行路10は、内枠部11と、外枠部12とを備える。内枠部11は、屈曲走行路10の前部分を構成する。また、外枠部12は、屈曲走行路10の後部分を構成する。内枠部11の後縁部の外側の形状と、外枠部12の前縁部の内側の形状とが略一致している。屈曲走行路10は、内枠部11の後縁部の外側ほぼ全周囲が、外枠部12の前縁部の内側ほぼ全周囲に接合して一体に形成されている。
【0065】
(内枠部11)
内枠部11は、内天井部111と、内側板部112,112と、上底板部113と、下底板部114と、中底板部115、立設部116,116と、走行路側壁112bと、水平滑走部112cとを備える。
【0066】
内天井部111は、コンベア屈曲部1の天井部分を構成する。内天井部111は、チェーンベルト3(図10参照)の上方に配置される。内天井部111は、係合片111aと、右天井板111Rと、左天井板111Lとを備える。
【0067】
係合片111aは、内天井部111の幅方向中央に配置されており、内天井部111の後縁部中央から前方に延在している。係合片111aは、右天井板111Rおよび左天井板111Lと大部分で分離しているため、内天井部111の後縁部中央を起点として上下方向に若干変位(弾性変形)することが可能である。係合片111aの前端部には、屈曲軸111bが配置されている。図11(a),図11(b)に示す実施形態では、屈曲軸111bは、上方向(垂直方向)に延在する円柱状体である。
【0068】
右天井板111Rは、内天井部111のおよそ右半分を構成し、内天井部111の後縁部のおよそ右半分から前方に延在している。右天井板111Rの前後方向の寸法は、内天井部111の幅方向中央から右に向かって小さくなっている。つまり、右天井板111Rの前縁部は、屈曲走行路10の幅方向(左右方向)から斜めに後退している。
【0069】
左天井板111Lは、内天井部111のおよそ左半分を構成し、内天井部111の後縁部のおよそ左半分から前方に延在している。左天井板111Lの前後方向の寸法は、内天井部111の幅方向中央から左に向かって小さくなっている。つまり、左天井板111Lの前縁部は、屈曲走行路10の幅方向(左右方向)から斜めに後退している。
【0070】
内側板部112,112は、コンベア屈曲部1の側板部分を構成する。内側板部112,112の上下方向略中央部には、浮き上がり防止部112a、112aが形成されている。浮き上がり防止部112a、112aは、上底板部113の上方を周回移動するチェーンベルト3の外周側の浮き上がり(上方向への変位)を防止する。既に説明したように、屈曲した搬送路に沿って周回移動するチェーンベルト3には、駆動時に加わる張力によって外周側が搬送路から浮き上がる可能性がある。浮き上がり防止部112a、112aの搬送路側下面は、搬送路から浮き上がろうとするチェーンベルト3の外周側を、上方から抑えることができる。浮き上がり防止部112a、112aの搬送路側上面は、前方視内側に下降する斜面を形成しつつ、走行路側壁112bとチェーンベルト3の外周側端部との間に生じる隙間を塞ぐように屈曲走行路10の幅方向内側に突出している。
【0071】
上底板部113は、屈曲走行路10内を周回移動するチェーンベルト3の下側を支持する底板部である。上底板部113の幅方向両側には、傾斜面113a,113aが形成されている。傾斜面113a,113aは、上底板部113の幅方向途中部分から幅方向外側に向かって所定高さまで上る傾斜面となる。この所定高さは、チェーンベルト3の肉厚と略同じ寸法であるが、この寸法に限定されない。上底板部113の傾斜面113a,113aと、直線レール部21の上底板部211の傾斜面211a,211a(図4B参照)とは連続する。
【0072】
下底板部114は、屈曲走行路10内を周回移動する戻り側のチェーンベルト3の載置面を下側から支持する底板部である。下底板部114は、係合片114aと、右下底板114Rと、左下底板114Lとを備える。
【0073】
係合片114aは、下底板部114の幅方向中央に配置されており、下底板部114の後縁部中央から前方に延在している。係合片114aは、右下底板114Rおよび左下底板114Lと分離しているため、下底板部114の後縁部中央を起点として上下方向に若干変位(弾性変形)することが可能である。係合片114aの前端部には、屈曲軸114bが配置されている。図11(a),図11(b)に示す実施形態では、屈曲軸114bは、下方向(垂直方向)に延在する円柱状体である。
【0074】
右下底板114Rは、下底板部114のおよそ右半分を構成し、下底板部114の後縁部のおよそ右半分から前方に延在している。右下底板114Rの前後方向の寸法は、下底板部114の幅方向中央から右に向かって小さくなっている。つまり、右下底板114Rの前縁部は、屈曲走行路10の幅方向(左右方向)から斜めに後退している。
【0075】
左下底板114Lは、下底板部114のおよそ左半分を構成し、下底板部114の後縁部のおよそ左半分から前方に延在している。左下底板114Lの前後方向の寸法は、下底板部114の幅方向中央から左に向かって小さくなっている。つまり、左下底板114Lの前縁部は、屈曲走行路10の幅方向(左右方向)から斜めに後退している。
【0076】
下底板部114の幅方向上の所定箇所には、搬送方向に延在している4本のリブ114cが形成されている。4本のリブ114cは、チェーンベルト3の搬送面と接触する部分である。よって、4本のリブ114cが存在しない場合と比較して、下底板部114とチェーンベルト3との接触面積を小さくすることができる。その結果、下底板部114とチェーンベルト3との間に生じる摩擦を低減し、チェーンベルト3の走行を円滑にすることができる。
【0077】
中底板部115は、上底板部113と、下底板部114との間に配置していることで、屈曲走行路10自体の剛性と耐久性を向上させることができる。
立設部116,116は、上底板部113および中底板部115に接合するように立設することで、屈曲走行路10自体の剛性と耐久性を向上させることができる。
【0078】
また、内天井部111の係合片111a、右天井板111R、および、左天井板111L各々の前縁部から形成される緩い山形の折れ線に対応するように、上底板部113の前縁部、および、中底板部115の前縁部は、緩い山形の折れ線になっている。よって、上底板部113の前縁部、および、中底板部115の前縁部による、緩い山形の折れ線は、
下底板部114の係合片114a、右下底板114R、および、左下底板114L各々の前縁部から形成される緩い山形の折れ線にも対応している。
【0079】
(外枠部12)
外枠部12は、天井部121と、側板部122,122と、底板部123とを備える。
【0080】
天井部121は、コンベア屈曲部1の天井部分を構成する。天井部121は、チェーンベルト3(図10参照)の上方に配置される。天井部121は、軸受部121aを備える。
【0081】
軸受部121aは、天井部121の幅方向中央にて、天井部121の板厚方向(垂直方向)に貫通された孔である。屈曲走行路10同士の連結の際、自身の屈曲走行路10の軸受部121aは、他の屈曲走行路10が備える係合片111aの屈曲軸111bを受容する。
【0082】
側板部122,122は、コンベア屈曲部1の側板部分を構成する。
【0083】
底板部123は、屈曲走行路10内を周回移動するチェーンベルト3の下側を支持する底板部である。底板部123は、軸受部123aを備える。
【0084】
軸受部123aは、底板部123の幅方向中央にて、底板部123の板厚方向(垂直方向)に貫通された孔である。屈曲走行路10同士の連結の際、自身の屈曲走行路10の軸受部123aは、他の屈曲走行路10が備える係合片114aの屈曲軸114bを受容する。
【0085】
内枠部11が備える、上底板部113、下底板部114、中底板部115、および、立設部116,116と、走行路側壁112bと、水平滑走部112cとは、チェーンベルト3を支持する、コンベア屈曲部1の搬送レール部を構成する。コンベア屈曲部1およびコンベア直線部2が接続した際、搬送レール部と直線レール部21とは連続する。
【0086】
屈曲走行路10において、内枠部11が備える屈曲軸111b,114bと、外枠部12が備える軸受部121a,123aとは、連結構造をとる。作業員が前後2つの屈曲走行路10同士を連結させる際には、前方の屈曲走行路10の外枠部12の内側に、後方の屈曲走行路10の内枠部11を嵌め込む。すると、後方の屈曲走行路10の屈曲軸111bが、前方の屈曲走行路10の天井部121に当接し、後方の屈曲走行路10の係合片111aが下方に変位するように又は当該天井部121が上方に変位するように撓み、屈曲軸111b又は軸受部121aが退避する。また、後方の屈曲走行路10の屈曲軸114bが、前方の屈曲走行路10の底板部123に当接し、後方の屈曲走行路10の係合片114aが上方に変位するように又は底板部123が下方に変位するように撓み、屈曲軸114b又は軸受部123aが退避する。
【0087】
作業員がさらに嵌め込むと、屈曲軸111bが軸受部121aに受容されて、係合片111a及び天井部121の形状は初期状態に戻り、屈曲連結部4の組み立てが完了する。また、屈曲軸114bも軸受部123aに受容されて、係合片114a及び底板部123の形状は初期状態に戻り、屈曲連結部4の組み立てが完了する。
【0088】
上記の連結構造によって、前後2つの屈曲走行路10同士は、重なり合う内天井部111,天井部121の幅方向中央、および、重なり合う下底板部114、底板部123の幅方向中央の2箇所で連結される。このような連結構造を採用することにより、作業員は屈曲走行路10を多数連結してコンベア屈曲部1を組み立てる作業を容易にすることができる。なお、連結された前後2つの屈曲走行路10同士を分離する際には、組立時と逆の手順により容易に分離することができる。
【0089】
また、屈曲走行路10が備える、上下方向に延在する屈曲軸111b,114bおよび軸受部121a、123a(屈曲連結部4)によって、前方の屈曲走行路10に連結した後方の屈曲走行路10は、後方の屈曲走行路10の屈曲軸111b,114b周りに水平面内で回動可能となる。ただし、屈曲軸111b,114b周りの回動角度は制限されている。つまり、連結した前後2つの屈曲走行路10を右に屈曲した場合、後方の屈曲走行路10の内天井部111における右天井板111Rの前縁部が、前方の屈曲走行路10の内天井部111が備える水平の後縁部のおよそ右半分に当接する。また、後方の屈曲走行路10の下底板部114における右下底板114Rの前縁部が、前方の屈曲走行路10の下底板部114が備える水平の後縁部のおよそ右半分に当接する。このような当接によって、屈曲軸111b,114b周りの右回動が制限される(例えば、最大3°)。
【0090】
また、連結した前後2つの屈曲走行路10を左に屈曲した場合、後方の屈曲走行路10の内天井部111における左天井板111Lの前縁部が、前方の屈曲走行路10の内天井部111が備える水平の後縁部のおよそ左半分に当接する。また、後方の屈曲走行路10の下底板部114における左下底板114Lの前縁部が、前方の屈曲走行路10の下底板部114が備える水平の後縁部のおよそ左半分に当接する。このような当接によって、屈曲軸111b,114b周りの左回転が制限される(例えば、最大3°)。
【0091】
また、屈曲走行路10が、内天井部111,天井部121を備えることで、屈曲走行路10を用いるだけで、天井付きの、屈曲した搬送路を構成することができる。このため、屈曲した搬送路の天井部分を構成する専用部材(例:トップカバー)を不要とし、屈曲した搬送路の組立を容易に、かつ、安価にすることができる。
【0092】
屈曲走行路10の各々が備える、屈曲軸111bと軸受部121aとの搬送方向(図11では前後方向)における軸-軸受ピッチと、連結ピン32によって連結されたチェーン駒31(図5参照)同士の連結ピッチとが同じであることが好ましい。軸-軸受ピッチとは、屈曲軸111bの軸中心と、軸受部121aとなる円孔の軸中心との距離をいう。また、チェーン駒31同士の連結ピッチとは、一方のチェーン駒31を占める一箇所と、他方のチェーン駒31を占める同じ一箇所との距離をいう。
【0093】
軸-軸受ピッチと、連結ピッチとが同じであることにより、多数連結した屈曲走行路10を屈曲させて形成されたカーブの曲率半径と、チェーン駒31が多数連結したチェーンベルト3を屈曲させて形成されたカーブの曲率半径とが略同じになる。このため、チェーンベルト3の屈曲は、多数連結した屈曲走行路10の任意の角度の屈曲に容易に追従することができる。その結果、搬送路の屈曲部分における屈曲走行路10の走行路側壁112bとチェーンベルト3との間に生じる隙間を大幅に小さくすることができ、当該隙間へのメダル詰まりを防止し、屈曲走行時の騒音や走行抵抗を低減することができる。
【0094】
≪動作≫
次に、本実施形態のチェーンコンベア装置Cの動作について説明する。ここでは、チェーンコンベア装置Cを、円形島S(図1参照)内部上部に配置して、メダルを補給する補給コンベアとして用いた場合について説明する。しかし、この説明は、円形島S(図1参照)内部下部に配置され、メダルを回収する回収コンベアとして用いた場合についてもあてはまる。
【0095】
コンベア駆動ユニットU1によって周回移動するチェーンベルト3がコンベア直線部2内に進入した場合、チェーンベルト3は、直線レール部21上を摺接しながら、直線の搬送方向に移動する(図4B参照)。このときチェーンベルト3は、直線レール部21上を蛇行する可能性がある。
【0096】
しかし、蛇行しかけたチェーンベルト3部分は、上底板部211の傾斜面211a,211aの片方に一時的に乗り上がった後、自重で幅方向中心に戻ることができる。よって、チェーンベルト3が蛇行し続けることによる不具合を抑制することができる。
【0097】
また、上底板部211の傾斜面211a,211aは、周回移動するチェーンベルト3との接触面圧を低減することができる。傾斜面211a,211aは、チェーン駒31の傾斜面311a,311a(図6(a),図6(b)参照)と摺接しているが、上底板部211が傾斜面211a,211aを有しない場合には(したがって、チェーン駒31も傾斜面311a,311aを有しない)、チェーンベルト3の蛇行を防止するために、チェーン駒31の連結片312,313の裏面、かつ、連結片316,318の幅方向外側面に摺接する鉛直に立設する側壁部を、上底板部211の幅方向両側に配置する構成をとる必要が生じる。
【0098】
しかし、このような構成では、チェーンベルト3と上底板部211との接触面圧が過度に増大し、チェーンベルト3が上底板部211するときの摩擦が非常に大きい。その結果、コンベア駆動ユニットU1の1つの駆動モータU1aで、円形島S(図1参照)の周方向のほぼ全体に亘るチェーンベルト3を巻回するための駆動力を実現することができないという不都合がある。また、連結片312,313の裏面に鉛直な側壁部を設けてしまうと、鉛直な側壁部からチェーン駒31の幅方向両端部までの間における連結片312,313の厚さが薄くなってしまい、薄い部分における樹脂製連結片312,313の強度が不足する可能性がある。直線レール部21の傾斜面211a,211aは、このような不都合を回避する役割を果たす。
【0099】
また、上底板部211の傾斜面211a,211aは、コンベア直線部2の高さ寸法の増大を抑えることができる。チェーンベルト3は、搬送物の重さによる摩擦抵抗の増大や、コンベア屈曲部1における摺動抵抗に対抗するための張力に耐えられる程度にチェーン駒31の肉厚を大きくしなければならない。また、チェーン駒31の幅方向両端部の連結片312,313も、強度上の観点から、ある程度の厚さを確保しておく必要がある。その結果、チェーンベルト3が通過するコンベア直線部2の高さ寸法は必然的に増大してしまうことになる。
【0100】
本実施形態の直線レール部21は、上底板部211が傾斜面211a,211aを備えることで、直線レール部21の上面を略V字状にし、チェーン駒31を収容する構造をとることができる。その結果、チェーンベルト3の蛇行を抑制しつつ、チェーン駒31の連結片312,313の厚さも幅方向両端部に向かうにつれて徐々に薄くする形状を採用することで樹脂製チェーンベルト3の連結片312,313の強度も確保して、チェーンベルト3の表面の高さ位置を、直線レール部21の両側縁部の高さ位置と略同等にすることができる。その結果、チェーン駒31の肉厚が及ぼす高さ寸法に関する影響を無くすことができ、コンベア直線部2の高さ寸法の増大を抑えることができる。
【0101】
また、上記のように直線レール部21の上面を略V字状にすることによって、結果的には、本実施形態の直線レール部21の両側縁部の高さ位置を、チェーンベルト3を用いない従来のコンベア(布製の無端のローラが駆動する直線コンベア)に用いられるレールの高さ位置と略一致させることができた。また、図4Bの断面図に示されるように、直線レール部21の両側縁部における、傾斜面211a,211a(V字型傾斜面)に隣接する下方に、サイドカバー部22や分岐ユニットB1、接続部M1,M2などのオプション部品の取付け用セルフタッピング螺子の下穴溝21pを開設することができた。これによって、本実施形態のコンベア直線部2に用いるサイドカバー部22や分岐ユニットB1等の部品と、従来のコンベアに用いられている従来部品との互換性を確保することができた。
その結果、本実施形態のコンベア直線部2の製品化を早く行うことができると共に、従来部品を流用することでコストアップを抑えることができる。また、横方向に屈曲可能なチェーンベルト3の素材に樹脂を用いることができたので、潤滑等が不要となるとともに耐久性も向上して、メンテナンス作業の利便性の向上(例えば、メンテナンス工数低減)を実現することができた。
【0102】
また、上底板部211の幅方向中央部分に形成されているリブ211b,211b(図4B参照)によって、リブ211b,211bが存在しない場合と比較して、上底板部211とチェーンベルト3との接触面積を小さくすることができる。その結果、上底板部211とチェーンベルト3との間に生じる摩擦を低減し、チェーンベルト3の走行を円滑にすることができる。
【0103】
また、本実施形態の直線レール部21の下底板部212,212の幅方向上の所定箇所に形成されている4本のリブ212a(図4B参照)によって、4本のリブ212aが存在しない場合と比較して、下底板部212,212とチェーンベルト3との接触面積を小さくすることができる。その結果、下底板部212,212とチェーンベルト3との間に生じる摩擦を低減し、チェーンベルト3の走行を円滑にすることができる。
【0104】
また、アルマイト加工をしたアルミニウムでできている直線レール部21に、POMでできているチェーン駒31が摺接しているので、異なる材質でできた部材同士が摺接することになる。このため、高硬度を有する直線レール部21と、異なる材質のチェーン駒31との間に生じる摩擦を低減することができ、チェーンベルト3の走行を円滑にすることができる。また、無潤滑ながら、直線レール部21およびチェーン駒31の耐摩耗性を向上させることができる。
【0105】
コンベア駆動ユニットU1によって周回移動するチェーンベルト3がコンベア屈曲部1内に進入した場合、チェーンベルト3の下側は、屈曲走行路10の各々の上底板部113上及び水平滑走部112c上を摺接しながら、屈曲した搬送方向に移動する(図10図11図12参照)。
【0106】
しかし、図12に示すように、チェーンベルト3の張力に起因して外周部が浮き上がろうとするチェーン駒31は、屈曲走行路10の内側板部112,112に形成されている浮き上がり防止部112a、112aの下面に当接する。このため、浮き上がり防止部112a、112aは、チェーン駒31の浮き上がりを防止することができる。
【0107】
また、浮き上がり防止部112a、112aの搬送路側上面の、前方視内側に下降する斜面は、コンベア屈曲部1内での搬送中に縦立することがあるメダルが、浮き上がり防止部112a、112aの搬送路側に当接することで、当該メダルをチェーンベルト3上に寝かせる機能を有する。よって、メダルの縦立等に起因するメダル搬送の不具合を未然に防ぐことができる。
【0108】
また、ポリカーボネートでできている屈曲走行路10の上底板部113に、POMでできているチェーン駒31が摺接し、異なる材質でできた部材同士が摺接することになる。このため、屈曲走行路10の上底板部113とチェーン駒31との間に生じる摩擦を低減することができ、チェーンベルト3の走行を円滑にすることができる。また、屈曲走行路10およびチェーン駒31の耐摩耗性を向上させることができる。
【0109】
また、図13に示すように、コンベア屈曲部1を右方向に屈曲した場合、屈曲走行路10の各々が、屈曲軸111b(および屈曲軸114b)を中心にして右周りに屈曲する。このとき、屈曲走行路10の各々が備える内枠部11の前縁部全体のうちおよそ右半分は、1つ手前の屈曲走行路10の各々が備える内枠部11の後縁部全体のうちおよそ右半分に当接する。同時に、屈曲走行路10の各々が備える内枠部11の前縁部全体のうちおよそ左半分と、1つ手前の屈曲走行路10の各々が備える内枠部11の後縁部全体のうちおよそ左半分との間には相当量の隙間CLが形成される。
【0110】
しかし、図13に示すように、屈曲走行路10の形状の設計上、最大限右に屈曲したとしても、屈曲走行路10の各々が備える内枠部11の前縁部全体のうちの左端部が、1つ手前の屈曲走行路10が備える外枠部12の後縁部全体よりも、搬送方向の逆方向に変位することは無い。換言すれば、図12にも示されているように、屈曲走行路10が備える内枠部11と、1つ手前の屈曲走行路10が備える外枠部12とは常時重なっていて、外部とは遮断されている。このため、隙間CL(図13参照)は、外枠部12の枠内に収まり、チェーンベルト3がコンベア屈曲部1の外部に露出することは無い。また、隙間CLの大きさは搬送対象であるメダルよりも小さい。このため、チェーンベルト3で搬送されるメダルが隙間CLに入り込むことはなく、コンベア屈曲部1内でのメダル詰まりは生じない。
【0111】
また、本実施形態のチェーンコンベア装置Cは、コンベア駆動ユニットU1と、コンベアリターンユニットU2とを備えることで、屈曲した搬送路を周回移動するチェーンベルト3を、コンベア駆動ユニットU1の駆動モータU1aの駆動力で巻回することができる。
【0112】
(本実施形態のまとめ)
本実施形態によれば、コンベア屈曲部1を構成する複数の屈曲走行路10は同一形状を呈しているため、搬送路の任意のカーブを実現するための専用部品を用意することなく、複数の屈曲走行路10を組み合わせるだけで所望の屈曲角度を作り出すことができる。また、屈曲走行路10に屈曲連結部4を設けたことにより、屈曲走行路10同士の屈曲角度を自在に変更することができる。このため、設置現場の状況に応じたコンベア屈曲部1の屈曲の自由度を高くすることができる。
したがって、汎用性の高い部品で任意のカーブを実現し、設置現場のさまざまな状況に応じて設置可能なチェーンコンベア装置を提供することができる。
【0113】
特に、本実施形態の、チェーンベルト3と、コンベア屈曲部1との組み合わせは、チェーンベルト3が周回移動中であっても(チェーンベルト3の周回移動を停止することなく)、作業員によるコンベア屈曲部1の屈曲動作を可能にする。よって、別途の振り分け機構を新たに設けることなく、コンベア屈曲部1の姿勢を変形させることで、搬送物の搬送先を変更することができる。
【0114】
≪他の実施形態≫
図14に示す、他の実施形態の屈曲走行路10Aは、屈曲連結部4を上底板部113および中底板部115に配置した実施形態である。この屈曲走行路10Aについて、最初の実施形態の屈曲走行路10との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0115】
屈曲走行路10Aが、屈曲走行路10と相違する点は、屈曲走行路10(図11参照)が備える、内枠部11の内天井部111も、外枠部12の天井部121も備えておらず、上底板部113に支持されるチェーンベルト3(図14では図示せず)の上方を開放する形状を呈している点である。この相違点に伴い、屈曲走行路10Aの内側板部112,122は、屈曲走行路10の内側板部112,122の上部分が切り欠かれた形状を呈している。
【0116】
屈曲走行路10Aは、チェーンベルト3が搬送する搬送対象物を、上方からアクセス可能とすると共に、屈曲走行路10と比較して高さ寸法を低減することができる。
【0117】
屈曲走行路10Aの上底板部113は、係合片113bを備える。係合片113bは、上底板部113の幅方向中央から延在して配置されている。係合片113bは、上底板部113の前縁部中央を起点として上下方向に若干変位(弾性変形)することが可能である。係合片113bの前端部には、屈曲軸113cが配置されている。屈曲軸113cは、上方向(垂直方向)に延在する円柱状体である。
【0118】
また、屈曲走行路10Aの上底板部113は、軸受部113dを備える。軸受部113dは、上底板部113の幅方向中央にて、上底板部113の板厚方向(垂直方向)に貫通された孔である。屈曲走行路10A同士の連結の際、自身の屈曲走行路10Aの軸受部113dは、他の屈曲走行路10Aが備える係合片113bの屈曲軸113cを受容する。
【0119】
屈曲走行路10Aの中底板部115は、係合片115bを備える。係合片115bは、中底板部115の幅方向中央から延在して配置されている。係合片115bは、中底板部115の前縁部中央を起点として上下方向に若干変位(弾性変形)することが可能である。係合片115bの前端部には、屈曲軸115cが配置されている。屈曲軸115cは、下方向(垂直方向)に延在する円柱状体である。
【0120】
また、屈曲走行路10Aの中底板部115は、軸受部115dを備える。軸受部115dは、中底板部115の幅方向中央にて、中底板部115の板厚方向(垂直方向)に貫通された孔である。屈曲走行路10A同士の連結の際、自身の屈曲走行路10Aの軸受部115dは、他の屈曲走行路10Aが備える係合片115bの屈曲軸115cを受容する。
【0121】
なお、図14に示す実施形態では、屈曲走行路10Aの下底板部114は、屈曲走行路10(図11参照)の下底板部114が備える係合片114a相当を備えていない。
【0122】
屈曲走行路10Aにおいて、屈曲軸113c,115c、と、軸受部113d,115dとは、連結構造をとる。作業員が前後2つの屈曲走行路10A同士を連結させる際には、前方の屈曲走行路10Aの外枠部12の内側に、後方の屈曲走行路10Aの内枠部11を嵌め込む。すると、後方の屈曲走行路10Aの屈曲軸113cが、前方の屈曲走行路10Aの上底板部113に当接し、後方の屈曲走行路10Aの係合片113bが下方に変位するように撓み、屈曲軸113cが退避する。また、後方の屈曲走行路10Aの屈曲軸115cが、前方の屈曲走行路10Aの中底板部115に当接し、後方の屈曲走行路10の係合片115bが上方に変位するように撓み、屈曲軸115cが退避する。
【0123】
作業員がさらに嵌め込むと、屈曲軸113cが軸受部113d内に受容されて、係合片113bは初期状態に戻り、屈曲連結部4の組み立てが完了する。また、屈曲軸115cも軸受部115d内に受容されて、係合片115bは初期状態に戻り、屈曲連結部4の組み立てが完了する。
【0124】
上記の連結構造によって、前後2つの屈曲走行路10A同士は、上底板部113の幅方向中央、および、中底板部115の幅方向中央の2箇所で連結される。このような連結構造を採用することにより、作業員は屈曲走行路10Aを多数連結してコンベア屈曲部1を組み立てる作業を容易にすることができる。なお、連結された前後2つの屈曲走行路10A同士を分離する際には、組立時と逆の手順により容易に分離することができる。
【0125】
また、屈曲走行路10Aが備える、上下方向に延在する屈曲軸113c,115cおよび軸受部113d、115d(屈曲連結部4)によって、前方の屈曲走行路10Aに連結した後方の屈曲走行路10Aは、後方の屈曲走行路10Aの屈曲軸113c,115c周りに水平面内で回動可能となる。
【0126】
屈曲走行路10Aの各々が備える、屈曲軸113cと軸受部113dとの搬送方向(図14では前後方向)における軸-軸受ピッチと、連結ピン32によって連結されたチェーン駒31(図5参照)同士の連結ピッチとが同じであることが好ましい。また、屈曲走行路10Aの各々が備える、屈曲軸115cと軸受部115dとの搬送方向(図14では前後方向)における軸-軸受ピッチと、連結ピン32によって連結されたチェーン駒31(図5参照)同士の連結ピッチとが同じであることが好ましい。
【0127】
(その他)
(A):チェーンコンベア装置Cによって搬送される搬送物は、メダルに限られない。
【0128】
(B):各実施形態では、コンベア屈曲部1(図10参照)を構成する屈曲走行路10(図11参照)は、内枠部11が外枠部12よりも前方(搬送方向正方向)になるように連結されていた。しかし、外枠部12が内枠部11よりも前方になるように連結してもよい。
【0129】
(C):他の実施形態の屈曲走行路10A(図14参照)において、下方に延在する屈曲軸115cを備える係合片115bは、中底板部115が備える代わりに、下底板部114が備えるようにしてもよい。同時に、軸受部115dは、中底板部115が備える代わりに、下底板部114が備えるようにしてもよい。
【0130】
(D):図11(a)(b)および図14に示す屈曲軸111b,114b,113c,115cは、屈曲走行路10、10Aと一体に形成した軸であるが、一体成型とせずに別途独立した屈曲軸を用いることもできる。例えば屈曲軸111b,114b,113c,115cに代えて軸受孔を開設しておき、当該軸受孔と対応する軸受部(121a,123a,113d,115d)とに受容可能な別途独立した屈曲軸を挿通する構成を採用することもできる。
【0131】
(E):樹脂製のトッププレート付チェーン駒(31)が複数連結されたチェーンベルト(3)を周回移動させるチェーンコンベア装置(C)において、
前記チェーン駒(31)の下面において前記チェーン駒(31)を支持案内するレール部(21,10,10A)を有し、
前記レール部(21,10,10A)の支持案内部(上底板部211,113)の幅方向両側には、幅方向途中部分から幅方向外側に向かって上昇するレール側傾斜面(211a,113a)を有し、
前記チェーン駒(31)の下面には、前記レール側傾斜面(211a,113a)と摺接するチェーン側傾斜面(311a)を有する。
【0132】
(F):前記レール部のうち直線レール部(21)の両側縁部における、前記レール側傾斜面(211a)に隣接する下方に、セルフタッピング螺子(24)を螺合するための下穴溝(21p)を開設した。
【0133】
本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
【符号の説明】
【0134】
1 コンベア屈曲部
2 コンベア直線部
3 チェーンベルト
4 屈曲連結部
10,10A 屈曲走行路(レール部)
11 内枠部
12 外枠部
21 直線レール部
21p 下穴溝
31 チェーン駒
111 内天井部
111a,114a,113b,115b 係合片
111b,114b,113c,115c 屈曲軸
112 内側板部
112a 浮き上がり防止部
112b 走行路側壁(搬送レール部)
112c 水平滑走部(搬送レール部)
113 上底板部(搬送レール部)
113a 傾斜面(レール側傾斜面)
113d,115d 軸受部
114 下底板部
115 中底板部
116 立設部
121 天井部
121a,123a 軸受部
122 側板部
123 底板部
211a 傾斜面(レール側傾斜面)
311a 傾斜面(チェーン側傾斜面)
C チェーンコンベア装置
U1 コンベア駆動ユニット
U2 コンベアリターンユニット
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14