(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A61M16/16 D
A61M16/16 A
(21)【出願番号】P 2020529722
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2018059481
(87)【国際公開番号】W WO2019111110
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-25
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518329918
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FISHER & PAYKEL HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】バオ, ガオファ
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第10016005(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸療法システムのための加湿チャンバであって、流体リザーバ内に流体を保持するように構成されており、前記加湿チャンバが、
底部、上壁、および前記底部と前記上壁との間に延びる外側壁と、
前記外側壁から距離を置いて配置される内側壁であって、前記内側壁と前記外側壁との間に壁空洞を形成し、少なくとも部分的に前記流体リザーバを画定する内側壁と、
前記内側壁から前記外側壁に前記壁空洞を横切って延びるガイド部であって、前記壁空洞を通る断熱チャネルを画定するガイド部と、
呼吸ガスを受け入れるためのチャンバ入口であって、前記壁空洞に通じる開口部を備えるチャンバ入口と、
前記壁空洞から前記流体リザーバにガスを流すための経路を提供する流体リザーバ入口と、
呼吸ガスを前記流体リザーバから前記加湿チャンバの外部に送り出すための送出口と、を備え、
前記断熱チャネル、前記流体リザーバ入口、および前記流体リザーバが、前記チャンバ入口と前記送出口との間に延びるチャンバガス流路を提供し、
前記ガイド部が、前記加湿チャンバの前記底部に対して実質的に垂直な向きを有する1つ以上のバッフルの形態であり、前記1つ以上のバッフルが、前記壁空洞を通る蛇行状ガス流路を画定する
、加湿チャンバ。
【請求項2】
呼吸療法システムのための加湿チャンバであって、流体リザーバ内に流体を保持するように構成されており、前記加湿チャンバが、
底部、上壁、および前記底部と前記上壁との間に延びる外側壁と、
前記外側壁から距離を置いて配置される内側壁であって、前記内側壁と前記外側壁との間に壁空洞を形成し、少なくとも部分的に前記流体リザーバを画定する内側壁と、
前記内側壁から前記外側壁に前記壁空洞を横切って延びるガイド部であって、前記壁空洞を通る断熱チャネルを画定するガイド部と、
呼吸ガスを受け入れるためのチャンバ入口であって、前記壁空洞に通じる開口部を備えるチャンバ入口と、
前記壁空洞から前記流体リザーバにガスを流すための経路を提供する流体リザーバ入口と、
呼吸ガスを前記流体リザーバから前記加湿チャンバの外部に送り出すための送出口と、を備え、
前記断熱チャネル、前記流体リザーバ入口、および前記流体リザーバが、前記チャンバ入口と前記送出口との間に延びるチャンバガス流路を提供し、
前記ガイド部が、前記壁空洞を通る前記断熱チャネルを画定する少なくとも1つのバッフルの形態であり、
前記ガイド部が、前記壁空洞を通るガス流路を画定する1つ以上の傾斜バッフルの形態であ
る、加湿チャンバ。
【請求項3】
前記加湿チャンバが、前記流体リザーバ内の加湿空間の上部を形成する上内壁を備え、前記流体リザーバ入口が前記上内壁を貫通している、請求項1
または2に記載の加湿チャンバ。
【請求項4】
前記加湿チャンバの前記底部、前記内側壁、および前記上内壁が、前記流体リザーバを形成している、請求項
3に記載の加湿チャンバ。
【請求項5】
前記加湿チャンバがまた、前記加湿チャンバ内の前記流体に熱を供給するために加熱されるように構成された加熱要素を備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項6】
前記チャンバ入口が、前記外側壁を通って前記壁空洞に通じる開口部を備える、請求項1~
5のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項7】
前記断熱チャネルが前記チャンバ入口と前記流体リザーバ入口との間に螺旋状部分を構成するように、前記ガイド部が構成されている、請求項1~
6のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項8】
前記1つ以上の傾斜バッフルが、前記壁空洞を通る螺旋状ガス流路を画定する、請求項
2に記載の加湿チャンバ。
【請求項9】
前記螺旋状ガス流路が3周回する、請求項
8に記載の加湿チャンバ。
【請求項10】
前記内側壁および/または前記外側壁が、透明または半透明である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項11】
前記チャンバ入口が、前記加湿チャンバの前記上壁よりも前記底部に近い、請求項1~
10のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項12】
前記壁空洞が、前記加湿チャンバの前記内側壁を取り囲む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の加湿チャンバ。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の加湿チャンバを備える、呼吸療法システムのための加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、呼吸ガス療法に関する。より具体的には、本開示は、呼吸ガス療法システムで使用するためのガス加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]呼吸器疾患を患う患者は、効果的な呼吸を行うことが困難な場合がある。場合によっては、患者の換気を改善できる治療法を患者に提供することが有用である。いくつかの状況では、患者には、ガス源と、ガスを患者の気道に送るために使用され得るインターフェースと、ガス源とインターフェースとの間に延びる導管と、を備える呼吸療法システムが提供され得る。ガス源から患者の気道に送られるガスは、患者の適切な換気を促進するのに役立ち得る。ガス源は、例えば、空気もしくは吸気に適した別のガス、例えば酸素もしくは一酸化窒素の容器、ガスを導管を通してインターフェースに進ませることができる機械的ブロワ、またはこれら両方の何らかの組み合わせを備え得る。呼吸療法システムは、患者の快適さを改善する、かつ/または患者の呼吸器疾患の予後を改善するために、呼吸療法システムを通過するガスを加湿および加熱することができるガス加湿器を備え得る。ガス加湿器は、水リザーバと、リザーバ内の水を加熱するための加熱要素と、を備え得る。水が加熱されると、水蒸気が形成され、ガス加湿器を通過するガスの流れに加わり得る。このような呼吸療法システムとしては、CPAP(持続的気道陽圧)システム、非侵襲的換気(NIV)、およびネーザルハイフローシステムが挙げられる。
【0003】
[0003]従来のガス加湿器は、一般的に、加湿チャンバの流体リザーバ内の流体を加熱する。これは通常、外部熱源を使用して加熱される、加湿器の底部にある金属板を使用して実現される。流体リザーバを横切って呼吸ガスまたは空気ガスを流して、ガスを加熱および加湿する。
【発明の概要】
【0004】
[0004]第1の態様によれば、呼吸療法システムのための加湿器が提供され、加湿器は、流体源を内部に保持し得る加湿チャンバを形成するための、底部、上壁、および底部と上壁との間に延びる1つまたは複数の外側壁を備える。好ましい形態では、流体リザーバが加湿チャンバに配置される。加湿器は、呼吸ガスを受け入れるための少なくとも1つの入口と、加湿された呼吸ガスを送り出すための出口と、入口と出口との間に延びるガス流路と、をさらに備える。1つまたは複数の内側壁が、外側壁(複数可)から距離を置いて配置されて、壁空洞を形成する。
【0005】
[0005]一形態では、壁空洞は、断熱物質で少なくとも部分的に充填され得る。例えば、壁空洞は、ガスまたは発泡材料で少なくとも部分的に充填され得る。
【0006】
[0006]代替的または追加的に、ガス流路の少なくとも一部が、流体リザーバまたは加湿チャンバを横切る前の壁空洞内に配置され得る。一形態では、加湿器は、壁空洞を通るガス流路を画定する少なくとも1つのバッフルを備える案内システムを備える。例えば、壁空洞は、加湿器の底部に対して実質的に垂直な向きを有し、壁空洞を通る蛇行状ガス流路を画定する1つまたは複数のバッフルを備え得る。別の形態では、壁空洞は、壁空洞を通るガス流路を画定する1つまたは複数の傾斜バッフルを備える。あるいは、壁空洞は、壁空洞を通る螺旋状ガス流路を画定する1つまたは複数の螺旋状バッフルを備え得る。好ましくは、1つまたは複数の傾斜バッフルは、壁空洞を通る螺旋状ガス流路を画定する。一形態では、螺旋状ガス流路は3周回する。
【0007】
[0007]場合により、内壁および/または外壁(複数可)は、透明または半透明であり得る。
【0008】
[0008]一形態では、加湿器の入口は、加湿器の底部に近接して配置される。
【0009】
[0009]場合により、入口は、加湿器の上壁に近接して配置される。
【0010】
[0010]一形態では、複数の入口が加湿器の底部または上壁に近接して設けられる。
【0011】
[0011]好ましくは、加湿器の内側壁および外側壁は、実質的に円筒形である。
【0012】
[0012]第2の態様によれば、呼吸療法システムのための加湿チャンバが提供され、加湿チャンバは、流体リザーバ内に流体を保持するように構成され、かつ底部、上壁、および底部と上壁との間に延びる外側壁と、外側壁から距離を置いて配置されて、内側壁と外側壁との間に壁空洞を形成する内側壁であって、内側壁が、少なくとも部分的に流体リザーバを画定する、内側壁と、内側壁から外側壁に壁空洞を横切って延びるガイド部であって、ガイド部が壁空洞を通る断熱チャネルを画定する、ガイド部と、呼吸ガスを受け入れるためのチャンバ入口であって、チャンバ入口が壁空洞に通じる開口部を備える、チャンバ入口と、壁空洞から流体リザーバにガスを流すための経路を提供する流体リザーバ入口と、呼吸ガスを流体リザーバから加湿チャンバの外部に送り出すための送出口と、を備える。断熱チャネル、流体リザーバ入口、および流体リザーバは、チャンバ入口と送出口との間に延びるチャンバガス流路を提供する。
【0013】
[0013]一形態では、加湿チャンバは、加湿空間の上部を形成する上内壁であって、流体リザーバ入口が上内壁を貫通している、上内壁を備える。好ましくは、加湿チャンバの底部、内側壁、および上内壁が、流体リザーバを形成する。
【0014】
[0014]一形態では、加湿チャンバはまた、加湿チャンバ内の流体に熱を供給するために加熱されるように構成された加熱要素を備える。
【0015】
[0015]場合により、チャンバ入口は、外側壁を通して壁空洞に通じる開口部を備える。
【0016】
[0016]一形態では、ガイド部は、断熱チャネルがチャンバ入口と流体リザーバ入口との間に螺旋状部分を含むように構成される。
【0017】
[0017]第3の態様によれば、本発明の第2の態様の加湿チャンバを備える、呼吸療法システムのための加湿器が提供される。
【0018】
[0018]本発明は、上記のとおりであり、また以下に例のみを示す構成も想定している。
【0019】
[0019]具体的な実施形態およびその修正形態は、以下の図面を参照して本明細書の詳細な説明を検討すれば、当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】加湿システムを備える呼吸療法システムの一形態の概略図である。
【
図2】本発明による加湿チャンバの一形態の斜視図である。
【
図6】
図4の線B-Bに沿って見た上面断面図である。
【
図7】
図3の線A-Aに沿って見た切り欠き斜視図である。
【
図8】
図3の線A-Aに沿って見た側断面図である。
【
図9】
図4の線B-Bに沿って見た切り欠き斜視図である。
【
図10】
図4の線B-Bに沿って見た上面断面図である。
【
図11】チャンバ壁が垂直バッフルシステムを備える、本発明による加湿チャンバのさらに別の形態の部分切り欠き側面図である。
【
図12】チャンバ壁が螺旋状バッフルシステムを備え、チャンバが、チャンバ壁空洞内の断熱チャネルから温い空気を取り込み、チャンバの流体リザーバに空気を吹き込むフロージェネレータをさらに備える、本発明による加湿チャンバのさらに別の形態の概略断面図である。
【
図13】入口および出口の両方がチャンバの上部に配置される、本発明による加湿チャンバの別の形態の側面図である。
【
図14】チャンバ底部が支持体によって支持された加熱要素を備える、本発明による加湿チャンバのさらに別の形態の概略断面図である。
【
図15】入口空気と出口空気との間の温度差を、本発明の加湿チャンバと従来技術の加湿チャンバとで比較するグラフである。
【
図16】入口空気と出口空気との間の絶対湿度差を、本発明の加湿チャンバと従来技術の加湿チャンバとで比較するグラフである。
【
図17】チャンバ入口、出口、およびチャンバ壁空洞を通る流体流路の代替的な構成を示す、本発明による加湿チャンバの別の形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0026]一般に、本発明は、呼吸療法システムにおいて呼吸ガスを加湿するための加湿器に関する。例えば、加湿器は、CPAP、二相式PAP(Bi-Level)、非侵襲的換気、ネーザルハイフロー、または他の呼吸療法システムと共に使用され得る、またはその一部を形成し得る。
【0022】
[0027]
図1を参照すると、呼吸療法システム100の可能な構成が示されている。例示された構成では、呼吸療法システム100は、フロージェネレータ101を備え得る。フロージェネレータ101は、ガス入口102とガス出口104とを備え得る。フロージェネレータ101は、ブロワ106を備え得る。ブロワ106は、モータを備え得る。モータは、固定子と回転子とを備え得る。回転子はシャフトを備え得る。インペラがシャフトにリンクされ得る。使用中、インペラはシャフトと同時に回転して、ガス入口102からガスを引き込み得る。フロージェネレータ101は、フロージェネレータ101の動作および/または呼吸療法システム100の他の構成要素の動作を制御するために、データを表示する、および/またはフロージェネレータ101にコマンドを入力するためにユーザが使用し得る、1つまたは複数のボタン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、レバー、タッチスクリーン、スピーカ、ディスプレイ、および/または他の入力もしくは出力モジュールを備え得るユーザインターフェース108を備え得る。フロージェネレータ101は、ガス出口104を通して第1の導管110にガスを送り得る。第1の導管110は、加湿されたガス流を提供するために、ガスに水分を取り込ませるために使用され得るガス加湿器112にガスを送り得る。ガス加湿器112は、加湿器入口116と加湿器出口118とを備え得る。ガス加湿器112は、ガス加湿での使用に適した水もしくは別の液体または流動性固体などの流体(本開示では、水と総称する)を備え得る。ガス加湿器112はまた、ガス加湿器112内の水を加熱して、水の蒸気化および/またはガス流への取り込みを促進するために、かつ/またはガス加湿器112を通過するガスの温度を上げるために使用され得るヒータを備え得る。ヒータは、例えば、抵抗加熱要素を含み得る。ガス加湿器112は、ガス加湿器112の動作および/または呼吸療法システム100の他の態様の動作を制御するために、データを表示する、および/またはガス加湿器112にコマンドを入力するためにユーザが使用し得る、1つまたは複数のボタン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、レバー、タッチスクリーン、スピーカ、ディスプレイ、および/または他の入力もしくは出力モジュールを備え得るユーザインターフェース150を備え得る。ガス加湿器112の様々な構成が、本開示の他の場所および添付の図に記載されている。次に、ガスは、加湿器出口118から第2の導管152に送られ得る。第2の導管152は、導管ヒータを備え得る。
【0023】
[0028]導管ヒータは、第2の導管152を通過するガスに熱を加えるために使用され得る。熱は、ガス流に取り込まれた水蒸気が第2の導管152の壁に沿って凝縮する可能性を低減または排除することができる。導管加熱装置は、第2の導管152の壁の中、上、周囲、または付近に配置された1本または複数本の抵抗線を含み得る。次に、第2の導管152を通過するガスは、呼吸療法システム100を患者の気道に空気圧においてリンクさせ得る患者インターフェース154に入り得る。患者インターフェース154は、密封または非密封インターフェースを含むことができ、例えば、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、ネーザルピローマスク、鼻カニューレ、気管内チューブ、上記のいずれかの組み合わせ、またはいくつかの他のガス搬送システムもしくは装置を含むことができる。
【0024】
[0029]図示の構成では、また上で示唆したように、呼吸療法システム100は以下のように動作し得る。ブロワ106のモータのインペラの回転により、ガスはガス入口102を通ってフロージェネレータ101に引き込まれ得る。次に、ガスは、ガス出口104の外へ、そして第1の導管110に沿って進められ得る。ガスは、加湿器入口116を通ってガス加湿器112に入り得る。ガス加湿器112内に入ると、ガスは、ガス流路に沿って加湿器の出口118まで通過し得る。ガスが流路に沿って通過するとき、ガスは、ガス加湿器112内の水などの流体の上または付近を通過するときに水分を取り込む。場合により、水/流体は、ガス加湿器112の水リザーバ内に保持され得る。水は、ガス加湿器112を通過するガスの加湿および/または加熱を助け得る加熱装置によって加熱され得る。ガスは、加湿器出口118を通ってガス加湿器112を出て、第2の導管152に入り得る。ガスは、第2の導管152から患者インターフェース154に送られてもよく、患者インターフェース154において、ガスは、呼吸器疾患の治療を助けるために患者の気道に取り込まれ得る。要約すると、使用中、ガスは、フロージェネレータ101のガス入口102から患者インターフェース154まで延びるガス流路を通過し得る。
【0025】
[0030]例示された構成は限定するものであると解釈されるべきではなく、呼吸療法システム100のための他の多くの構成が可能である。いくつかの構成では、フロージェネレータ101は、例えば、圧縮ガス(例えば、空気、酸素など)の供給源または容器を備え得る。フロージェネレータ101または容器は、容器を出るガスの流れを制御するように調整され得る弁を備え得る。いくつかの構成では、フロージェネレータ101は、ブロワ106の代わりに、そのような圧縮ガス源および/または別のガス源を使用し得る。いくつかの構成では、ブロワ106は、別のガス源と併せて使用され得る。いくつかの構成では、ブロワ106は、電動ブロワを備えてもよいし、ベローズ構成、またはガス流を生成するように適応させた何らかの他の構造を備えてもよい。いくつかの構成では、フロージェネレータ101は、ガス入口102を通して大気ガスを引き込み得る。いくつかの構成では、フロージェネレータ101は、ガス入口102を通して大気ガスを引き込むことと、同じガス入口102または異なるガス入口を通して他のガス(例えば、酸素、一酸化窒素、二s酸化炭素など)を受け入れることとの両方に適応され得る。さらに別の形態では、ガス(酸素、一酸化窒素、二酸化炭素など)がブロワの下流で導入され得る。例えば、二相式PAP療法では、加熱され加湿されたガスと共に送り出されるように、第2の導管に追加の酸素を導入することができる。
【0026】
[0031]いくつかの構成では、フロージェネレータ101およびガス加湿器112は、一体化されてもよいし、ハウジングを共有してもよい。いくつかの構成では、第1の導管110は存在しなくてもよい。いくつかのそのような構成では、フロージェネレータ101は、例えば、ガスをガス加湿器112に直接連通させ得る。
【0027】
[0032]いくつかの構成では、呼吸療法システム100は、フロージェネレータ101、ガス加湿器112、第1もしくは第2の導管110、152、患者インターフェース154、または呼吸療法システム100の別の構成要素上に配置された単一のユーザインターフェースを備え得る。いくつかの構成では、呼吸療法システム100の構成要素の動作は、タブレット、携帯電話、携帯情報端末、または別のデバイスであり得るリモートコンピューティングデバイス上に配置されたユーザインターフェースを使用して無線で作動され得る。いくつかの構成では、フロージェネレータ101、ガス加湿器112、または呼吸療法システム100の他の構成要素もしくは態様の動作は、コントローラによって制御され得る。コントローラは、マイクロプロセッサを備え得る。コントローラは、フロージェネレータ101、ガス加湿器112、または呼吸療法システム100の他の構成要素の中もしくは上に、あるいはリモートコンピューティングデバイス上に配置され得る。いくつかの構成では、複数のコントローラが使用され得る。
【0028】
[0033]いくつかの構成では、呼吸療法システム100は、圧力、流量、温度、絶対湿度、相対湿度、エンタルピー、ガス組成、酸素濃度、および/もしくは二酸化炭素濃度を含む、呼吸療法システム100のガスの様々な特性を検出するための1つもしくは複数のセンサ、心拍数、EEG信号、EKG/ECG信号、血中酸素濃度、血中CO2濃度、および血中グルコースを含む、患者の、もしくは患者の健康の様々な特性を検出するための1つもしくは複数のセンサ、ならびに/または周囲温度および/もしくは周囲湿度を含む、呼吸療法システム100の外部のガスまたは他の対象物の様々な特性を検出するための1つもしくは複数のセンサを備え得る。センサのうちの1つまたは複数が、閉ループまたは開ループ制御システムを使用することにより(例えば、上述のコントローラを使用することにより)、ガス加湿器112を含む呼吸療法システム100の構成要素の制御を助けるために使用され得る。いくつかの構成では、呼吸療法システム100は、患者の1つまたは複数の気道とインターフェースし得る吸気および呼気ガス通路を備える多肢システムを利用し得る。
【0029】
[0034]呼吸療法システム100の構成はまた、患者の気道にガスを供給することを含まない他の用途にも使用され得る。例えば、呼吸療法システム100は、代わりに、腹腔鏡手術において気腹ガスを供給するために使用され得る。これは、例えば、患者インターフェース154を、トロカールで穿刺された腹腔内に挿入され得る外科用カニューレと交換することによって実施され得る。加えて、本開示の加湿システムの特定の特徴、態様、および利点は、室内加湿器または燃料電池加湿器を含む、ガスの加湿を含む他の用途に利用され得る。
【0030】
[0035]引き続きガス加湿器112に着目する。
図2~
図14に示すように、加湿器112は、底部121、上壁122、および底部121と上壁122との間に延びる1つまたは複数の外側壁123を備える断熱加湿チャンバ120を備え得る。一形態では、上壁122は、開閉可能な蓋を備え得る。蓋は、チャンバ120からヒンジで動くように構成され得る。蓋は、チャンバ120から完全に取り外されるように、チャンバ120から係脱または分離するように構成され得る。チャンバの底部121の少なくとも一部は、一般的には、加熱要素からチャンバ内の流体に熱を伝達できるように、金属などの熱伝導性材料で形成される。好ましい形態では、金属はアルミニウムまたはステンレス鋼である。一形態では、
図14に示されるように、底部は、チャンバ120内の流体中に、水などの流体を直接加熱する加熱要素を備える、または加熱要素から構成される。ガス加湿器112または加湿チャンバ120は、フロージェネレータ101を同様に備える一体のユニットの一部であり得る、または加湿器112または加湿チャンバ120は、フロージェネレータ101に容易に取り付けおよび取り外しできる別個のモジュールを備え得る。
【0031】
[0036]加湿チャンバ120は、加湿チャンバを通過するガスが加湿されるように、通常は水である流体を保持するための流体リザーバ125を備え得る。いくつかの形態では、流体リザーバ125は、加湿チャンバ120内でウィックを保持する。
【0032】
[0037]加湿チャンバ120は、フロージェネレータから呼吸ガスを受け入れるための少なくとも1つの入口126と、ガスが加湿チャンバを横切った後に患者に送達するための加熱され加湿された呼吸ガスが排出される送出口127と、をさらに備える。加湿チャンバ入口126は、17mm、または約15mm~約20mmの内径を有してもよく、出口127は、19.5mm、または約15mm~約20mmの内径を有してもよい。したがって、入口の内径の出口の内径に対する比は、17:19.5であってもよいし、約1:1.3~1.3:1であってもよい。ガス流路は、入口126と出口127との間に延びる。
【0033】
[0038]一形態では、加湿チャンバ120はまた、壁空洞128を形成し、加湿チャンバ120を断熱するように、外側壁(複数可)123から隔てられた1つまたは複数の内側壁124を備える。内壁124は、流体リザーバ125を少なくとも部分的に画定する。内壁124は、1.35mm、または約1mm~約2mmの厚さを有し得る。外壁123は、2.5mm、または約1.5mm~約3mmの厚さを有し得る。内壁および外壁の厚さは同じであっても異なっていてもよい。一形態では、内壁は熱伝導性材料を含むことができ、外壁は断熱性材料を含むことができる。
【0034】
[0039]好ましい形態では、加湿チャンバ120は、円筒形の外壁123と、外壁123から隔てられた円筒形の内壁124と、を備える。別の形態では、加湿チャンバ120は、角部で接合して実質的に正方形または長方形の囲いを形成する4つの外壁と、加湿チャンバが実質的に正方形または長方形の形状を有するように、同様に角部で接合する4つの内壁と、を備え得る。この場合も、内壁は外壁から隔てられている。加湿チャンバは、チャンバの壁の数および配置によって決定される任意の適切な形状であり得ることを理解されたい。例えば、チャンバは、三角形の形状を形成するために3つの外壁を有し得る、または六角形の形状を形成するために6つの外壁を有し得る。一般的には、内壁は外壁と同じ形状を形成し、外壁から等距離に配置される。したがって、空洞は、実質的に均一な厚さを有する。しかしながら、いくつかの形態では、内壁(複数可)は外壁とは異なる形状であり得る。このような配置では、壁空洞が一定ではない厚さを有し得るように、内壁と外壁とは等距離では隔てられていない。例えば、加湿チャンバは、実質的に正方形の形状を形成するための4つの外壁と、実質的に円筒形の形状を形成するための単一の内壁とを備え得る。
【0035】
[0040]壁空洞128は、加湿チャンバ120を断熱するために使用され得る。例えば、壁空洞128は、発泡体またはガラスまたはプラスチックまたはポリスチレンまたは任意の他の適切な断熱物質などの断熱物質で少なくとも部分的に充填され得る。
【0036】
[0041]一形態では、断熱物質は、呼吸ガスなどのガスを含み得る。例えば、ガス流路の少なくとも一部は、流体リザーバ125を横切る前の壁空洞128内に配置され得る。本実施形態では、加湿チャンバ120の入口(複数可)126は、加湿チャンバ内の流体リザーバ125への1つまたは複数の開口部を備え得る壁空洞128と流体連通し得る。流体リザーバ125への各開口部は、リザーバ入口129を形成する。好ましくは、流体リザーバ入口(複数可)129は、
図6~
図8に示されるように、チャンバ120の上部に配置される。一形態では、チャンバ120は、分配プレートなどの分配部材に形成された複数の流体リザーバ入口129を備える。一形態では、加湿チャンバ120は、上内壁171に1つまたは複数のリザーバ入口129を備える。一形態では、上内壁171は、1つまたは複数の内壁(複数可)124の一部を形成し得る。流体入口129は、加湿チャンバ120内の加湿ゾーンを横切って壁空洞128からのガス流を分配するように配置される。加湿ゾーンは、流体リザーバ125内の流体の表面の上方にある加湿チャンバ120内の領域である。好ましくは、流体入口129は、ガス流を加湿ゾーンに実質的に均一に分配するように配置される。ガス流路は、チャンバ入口(複数可)126から、壁空洞128および水リザーバ入口129を通って、流体リザーバ125を横切って、チャンバの送出口128から出るように設けられ、ガス流路に沿って加熱され加湿されたガスが患者に送られる。したがって、ガス流路は、壁空洞128を通過し得る。
【0037】
[0042]一形態では、壁空洞128は、壁空洞128を通る迂回経路または蛇行経路をたどるように空気を案内する案内システム130を備え得る。一形態では、案内システム130は、1つまたは複数の内側壁(複数可)124から壁空洞128を横切って1つまたは複数の外側壁(複数可)123まで延びるガイド部131の形態であり得る。一形態では、ガイド部131は、案内壁131の形態であり得る。案内システム130は、壁空洞128を横切って水平に延び得る。案内システム130は、チャンバ底部121に対してある角度で向けられ得る。したがって、案内システム130は、壁空洞を通る螺旋状経路または渦巻状経路を画定するために内側壁(複数可)124の周囲に延び得る。換言すれば、案内システム130、したがってガイド部131は、内側壁(複数可)124と外側壁(複数可)123との間に延び、かつ底部121またはその付近から上壁122に向かって上向きに延びる螺旋状構造であり得る。一形態では、案内システム130は、壁空洞128を通るガス流路の長さを増やすように構成された1つまたは複数のガイド部131を備える。一形態では、1つまたは複数のガイド部131は、加湿チャンバ120の壁空洞128を通るガス流路の長さを増やすように構成された1つまたは複数のバッフル131の形態であり得る。案内システムバッフル(複数可)131は、2mm、または約1.0mm~約2.5mmの厚さを有し得る。チャンバ入口126は、1つまたは複数の外側壁(複数可)123を通って壁空洞に通じる開口部を備え得る。
【0038】
[0043]案内システム130によって差し向けられる空気がたどる流路は、本明細書では、断熱チャネル132と呼ばれる。断熱チャネル132は、4.6mm、または約4.0mm~約5.5mmの厚さ(外壁123と内壁124との対向する表面の間の距離)を有することができ、これは壁空洞の好ましい厚さ(すなわち、加湿チャンバの外壁123と内壁124との間の好ましい距離)である。断熱チャネル132は、28mm、または約25mm~約30mmの第2の厚さまたは高さ(案内システムバッフルの下部位置にある上面と、案内システムバッフルの上部位置の、すぐ上、または下部位置を超えて渦巻1周回回転させた底面との間の距離)を有することができ、約112.5~165mm2のチャネル断面積を提供する。
【0039】
[0044]一実施形態では、
図7および
図8に示すように、案内システム130は、螺旋状または渦巻状の断熱チャネル132を画定するために壁空洞128に設けられた1つまたは複数の傾斜バッフル131を備える。螺旋状断熱チャネル132は、壁空洞128を通る螺旋状ガス流路を形成する。この形態では、螺旋状バッフル(複数可)131は、外壁123と内壁124との間の空洞128内で渦巻状になっている。断熱チャネル132は、断熱チャネル132内での空気の所望の滞留時間を実現するために、加湿チャンバ入口(複数可)126と流体リザーバ入口(複数可)129との間で任意の適切な螺旋周回数を含み得る。例えば、断熱チャネル132は、壁空洞128内に2、3、4、5、またはそれ以上の周回を含み得る。好ましくは、断熱チャネル132は3周回する。断熱チャネル132は、半径が約53mm、ピッチが約30mmの螺旋であり得る。少なくとも1つの実施形態では、ピッチは、加湿チャンバ120の高さの約1/3であり得る。あるいは、断熱チャネル132は、半径R
helixかつピッチP
helixの螺旋であってもよく、
【数1】
であり、
【数2】
である。
【0040】
[0045]上式で、Rchamberは、加湿チャンバ120の、中心点から内壁の外表面までの半径であり、Tは、チャンバ120の中心からの半径方向における断熱チャネル132の厚さであり、Hchamberは、加湿チャンバ120の高さ、またはチャンバ底部121とチャンバ120の上壁122との間の距離であり、Nturnsは螺旋の周回数である。
【0041】
[0046]少なくとも一実施形態では、断熱チャネル132は約0.1*Rhelixの厚さを有し、その結果、
Rhelix=Rchamber+X*Rchamber=(1.1)Rchamber
である。
【0042】
[0047]少なくとも一実施形態では、N
Turns=3であり、したがって、
【数3】
である。
【0043】
[0048]呼吸ガス/空気が加湿チャンバ120の入口126に吹き込まれた後、空気は、ガス流路に沿って螺旋状断熱チャネル132を通って通過する。次に、空気は、1つまたは複数の流体リザーバ入口129を通って流体リザーバ125に差し向けられ、空気は、送出口127を通過する前に加湿される。一形態では、
図6~
図8に示すように、出口バッフル137は、水リザーバ内に差し向けられた空気が出口127を直接通過するのを防ぐ。出口バッフル137によって遮られることにより、流体リザーバ125内で循環する空気を、それが流体リザーバ入口129から送出口127に直接流れる能力を低下させることによって、より長く保つ。これにより、断熱加湿チャンバ120の加湿性能が向上する。送出口127は、流体リザーバ125から加湿チャンバ120の外部への呼吸ガスのための流路を提供する。送出口127および/または流体経路は、上内壁を通過し得る。
【0044】
[0049]さらに別の形態では、
図11に示すように、案内システム130は、例えば、壁空洞は、加湿チャンバ120の底部121に対して実質的に垂直な向きを有する1つまたは複数のバッフル131を備える。しかしながら、他の形態では、バッフルは垂線から角度を付けられ得る。バッフル(複数可)131は、壁空洞128を通る蛇行状ガス流路および断熱チャネル132を画定するために壁空洞128内に提供され得る。この構成では、空気が内壁124の周りをチャンバ入口(複数可)126から加湿チャンバの流体リザーバ入口(複数可)129に移動するときに、空気は上下にジグザグに動き得る。バッフルは、任意の適切な形態であり得る。一形態では、バッフルは、内壁から外壁に半径方向に延びるプレート部材を含む。
【0045】
[0050]さらに別の形態では、
図12に示すように、加湿チャンバ120は、上記のように1つまたは複数のチャンバ入口126を備える。入口(複数可)126は、好ましくは、チャンバ120の上部140に、チャンバの上壁122に近接して配置される。入口126(複数可)は、チャンバの壁空洞128を通過する断熱チャネル132と流体連通している。例示された実施形態では、断熱チャネル132は、チャンバの内壁124の周りを旋回する螺旋状チャネルである。しかしながら、他の形態では、断熱チャネルは、チャンバの内壁の周りに実質的に垂直または斜めの構成で上下に蛇行する蛇行チャネルであり得る。断熱チャネル132は、第1の出口133と流体連通している。第1の出口133は、好ましくは、チャンバの底部121に近接して配置される。第1の出口133は、フロージェネレータ135の入口134と流体連通し、フロージェネレータ135はフロージェネレータ出口136も備える。フロージェネレータ出口136は、チャンバ内で1つまたは複数の流体リザーバ入口129と流体連通している。好ましくは、流体リザーバ入口(複数可)129は、
図12に示されるように、チャンバ120の上部に配置される。加湿チャンバ120はまた、加熱され加湿されたガスが通過できる送出口127も備える。好ましくは、送出口127は、チャンバの上壁122またはチャンバの上部に、上壁122に近接して配置される。送出口127は、チャンバの壁空洞128を貫通している導管部分を備える。
【0046】
[0051]本実施形態では、空気は、断熱加湿チャンバの上部近くのチャンバ入口(複数可)126を通って入り、第1の下部チャンバ出口133に向かって螺旋状断熱チャネル132を通過する。空気が断熱チャネル132を通過するとき、空気は、内壁124の反対側に配置された流体リザーバ125内の加熱された流体および空気からの熱伝達によって温められる。暖かい空気は、フロージェネレータ入口134を通過し、フロージェネレータ135を通って吹き出され、そこで、フロージェネレータモータからのエネルギーおよび熱放散によって、より多くの熱が加えられる。暖かい空気は、ジェネレータ出口136を通ってフロージェネレータ135を出て、流体リザーバ入口(複数可)129を通過することによって、断熱加湿チャンバの流体リザーバ125に吹き込まれる。空気は、流体リザーバ125内でさらに加熱され、また加湿されて、患者への送達のために加湿チャンバの送出口127を通過する。
【0047】
[0052]この構成では、空気は、チャンバ底部121、およびチャンバ120の下部領域を通過するときに温められ、フロージェネレータ135によってさらに温められる。次に、温められた空気は短い流路に沿って流体リザーバ入口(複数可)129に流れ、その結果、温められた空気が流体リザーバ125に到達するのにかかる時間は、温められた空気が
図7~
図11に示す実施形態の断熱チャネル132を通過する時間よりも短い。それらの実施形態では、空気は、その流路の早い段階でチャンバ底部121およびチャンバ120の下部領域を通過する。そして、空気は、チャンバ120のより冷たい上部領域を通過した後、流体リザーバ125に入る。したがって、
図12に示す実施形態は、空気を加熱および加湿するためのより効率的なシステムを提供するために、流体リザーバ125に暖かい空気をより速く送り出すことができる。
【0048】
[0053]上述の実施形態のいずれかにおける螺旋状または蛇行する断熱チャネルの使用は、いくつかの利点を有する。断熱チャネルを通して差し向けられる空気は、流体リザーバに吹き込まれる前に、断熱加湿チャンバの内壁を取り囲む。これにより、断熱チャネルの断面積、厚さ、高さ、または長さなどの断熱加湿チャンバのパラメータを制御することにより、断熱チャネル内の空気滞留時間を制御できる。断熱チャネル内の空気の滞留時間は、チャネルの厚さ(すなわち、加湿チャンバの120の内壁と外壁との間の距離)を増やすなど、断熱チャネルの断面積を増やすことにより、一定の空気流量で増やすことができる。滞留時間を長くすると、通常は浪費される、流入する空気に水リザーバから伝達される熱が増加し、したがって流体リザーバ内の空気を加熱するために必要なエネルギーが減少する。
【0049】
[0054]加湿チャンバは、チャンバおよびチャンバから流れる空気が安全上の問題を発生させたり、患者にとって不快であったりするほど高温になる熱伝達の範囲を除き、熱伝達の範囲を最大化するようにチャンバ内の空気の滞留時間を最適にすることによって、加湿チャンバの性能を最適化するように構成され得る。例えば、空気が断熱チャネル内にある期間が短すぎる場合、空気は本来可能であるほどには熱を吸収しない可能性がある。しかしながら、空気があまりにも長い間断熱チャネル内にある場合、空気は熱を除去する効果が低くなり、チャンバおよび/またはその中の空気は過熱される可能性がある。したがって、最適なパフォーマンスを得るために、これらのパラメータ間のバランスを提供するように断熱チャネルを構成することが望ましい。このことは、例えば、チャネルが螺旋状であるか蛇行しているかまたは両方の組み合わせであるかに関わらず、チャネルの周回数、チャネルの寸法、ならびに内壁および外壁の寸法および材料を選択することにより実現され得る。このようなパラメータはまた、チャンバに入る空気の圧力降下を最適化するために考慮され得る。
【0050】
[0055]本発明の加湿チャンバでは、様々なチャンバ入口および送出口構成が使用され得る。一形態では、
図2~
図11に示すように、チャンバ120は、チャンバの底部121に近接して配置された1つまたは複数のチャンバ入口126を備え得る。送出口127は、チャンバ120の上壁122もしくは上部またはその付近に配置され得る。別の形態では、
図13に示すように、チャンバ入口(複数可)126は、送出口127に実質的に平行であり得る。場合により、チャンバ入口126および送出口127は、同じまたは同様の垂直高さで加湿チャンバ120に配置される。本実施形態は、加湿チャンバのチャンバ入口(複数可)および送出口が同軸である、および/または同様もしくは同じ垂直高さであることがしばしば好ましい病院で使用される加湿器に特に適し得る。この形態では、加湿チャンバ120は、チャンバ入口(複数可)126および断熱チャネル132と流体連通している入口チャネル126aを備え得る。空気は、チャンバ入口(複数可)126および入口チャネル126aを通過し、入口チャネル126aは、図示のような垂直管、または例えば螺旋管または渦巻管を含み得る。次に、空気は、加湿チャンバの断熱チャネル132に入り、それに沿って進み、その後、1つまたは複数の流体リザーバ入口129を通過して、流体リザーバ125に入る。暖められた空気は、流体リザーバ125内でさらに加熱され、また加湿されて、患者への送達のために送出口127を通過する。
【0051】
[0056]一形態では、
図14に示すように、加湿チャンバ120は、流体リザーバ125内の水を直接加熱する加熱要素138を備える、または加熱要素138から構成される底部121を備え得る。この形態では、チャンバ入口126と出口127との間の空気/ガス流路は、加熱要素138から加熱要素138の下のガス流路に沿って通過する空気に熱を伝達することができるように、チャンバ底部121における加熱要素138の下を通るセクションを備え得る。この構成では、チャンバ120を通って流れる空気は、加熱要素138からの熱伝達によってさらに加熱することができる。一形態では、チャンバ底部121における加熱要素138は、1つまたは複数の支持体139によって支持される。各支持体139は、加熱要素138に電力を供給するために支持体139を通過する、または支持体139に沿って通る、ワイヤなどの1つまたは複数の電気接続を保持または案内するように構成され得る。加湿チャンバ120は、プラグなどの任意の他の適切な形態の電気接点を備えることができ、電気接点を介して加熱要素に電力を供給することができる。一形態では、加湿器112は、誘導により加湿チャンバ底部121内の加熱要素138を加熱する誘導加熱器を備え得る。この形態では、加熱要素138は、加熱要素138に対してワイヤ/電気接続を保持または案内するための1つまたは複数の支持体139を必要としない。一形態では、ヒータプレートが、加熱要素138と加湿チャンバ120の内部との間に配置され得る。加熱要素138は、ヒータプレートの下側に接続され得る。加熱要素138は、ヒータプレートに物理的に接続され得る。例えば、加熱要素138は、接着剤、両面テープ、糊、ねじ、および/またはラッチ構成でヒータプレートに接続され得る。
【0052】
[0057]
図17は、加湿チャンバ120の別の形態を示す。
図17の加湿チャンバ120は、上で開示された加湿チャンバ120と実質的に同様であり得るが、少なくとも注目すべき違いは、呼吸ガスがフロージェネレータから入口126を通して送達され、呼吸ガスが断熱チャネル132を通過するときに加熱要素138および1つまたは複数の支持体139を通過することである。呼吸ガスは、加熱要素138およびフロージェネレータの下流の1つまたは複数の支持体139を通過する。呼吸ガスは、加熱要素138を通過するように差し向けられ、加熱要素138からの熱は、呼吸ガスに伝達される。各支持体139は、ここでも、加熱要素に電力を供給するために支持体139を通過する、または支持体139に沿って通る、ワイヤなどの1つまたは複数の電気接続を保持または案内するように構成され得る。呼吸ガスは、断熱チャネル132を通って、1つまたは複数のリザーバ入口(複数可)129を介して流体リザーバ125に差し向けられる。1つまたは複数のリザーバ入口(複数可)129は、
図6に関連して説明されたリザーバ入口129と同様であり得る。呼吸ガスは加湿され、出口127を通ってユーザに向けて差し向けられる。この構成は、加熱要素128の動作中に、加熱要素128の底部から放散される熱エネルギーの損失があり得るため、有効である。例示された構成では、このエネルギーの少なくとも一部は、加熱要素128の下側を通過する呼吸ガスによって捕捉される。一形態では、ヒータプレートが、加熱要素138と加湿チャンバ120の内部との間に配置され得る。加熱要素138は、ヒータプレートの下側に接続され得る。加熱要素138は、ヒータプレートに物理的に接続され得る。例えば、加熱要素138は、接着剤、両面テープ、糊、ねじ、および/またはラッチ構成でヒータプレートに接続され得る。
【0053】
[0058]場合により、加湿チャンバ120の外壁および/または内壁(複数可)123、124は、透明または半透明であり得る。例えば、チャンバの一方または両方の壁123、124は、好ましくは透明または半透明である、例えばポリカーボネートまたはポリプロピレンなどのプラスチック材料から作製され得る。この形態では、チャンバの外側から、チャンバ内の流体リザーバ125内の流体の液位を見ることが可能である。したがって、ユーザは、流体リザーバを充填する必要があるときを容易に識別できる。チャンバの内面または外面にマークを付けて、チャンバが充填されるべき理想的および/または最大の水位を示すことができる。
【0054】
[0059]加湿チャンバ120は、任意の適切な製造プロセスを使用して形成され得る。例えば、加湿チャンバ120は、1つの部品として射出成形され得る。あるいは、外壁123、内壁124、および/または案内システムバッフル(複数可)131に異なる材料が望ましい場合、各部品は、当業者に知られている任意の数の仕方で別々に成形または製造された後、別途取り付けされてもよい。部品は、例えば、締まりばめ、接着、超音波溶接、高周波溶接などの任意の適切な取り付け方法を使用して取り付けされ得る。
【0055】
[0060]一形態では、例えばヒータプレートおよび流体リザーバ125内の水など、チャンバ120内部の加熱された物体から放射された熱エネルギーを反射するのに適した反射コーティングで外壁123および/または内壁124の内面および/または外面(複数可)がコーティングされ得る。別の形態では、外壁123および/または内壁124は、熱反射材料から形成され得る。両方の形態において、熱エネルギーが内壁124を横切ってより容易に伝達され得、および/または外壁123を介した熱損失が低減されるため、さらなる効率が加湿チャンバ120に提供され得る。
【0056】
[0061]断熱加湿チャンバ120の案内システム130は、チャンバ120を使用して、加湿器および呼吸療法システムのエネルギー効率を高める。例えば、標準的な加湿チャンバでは、少なくともいくらかの熱がチャンバ底部、流体リザーバ内の流体、および/または空気から加湿チャンバの壁を通って外部環境に放散される。熱損失は通常、伝導および放射による。しかしながら、本発明の加湿チャンバ120では、流入空気は、流体リザーバ125に入る前に、チャンバの内壁(複数可)124を取り囲む壁空洞128内の断熱チャネル132を通って循環されるため、通常であれば環境に放散される熱の一部は、その代わりに流入空気に移動する。これにより、熱損失が減少し、流体リザーバ125内のガスを加熱するのに必要なエネルギーおよび時間も減少する。外壁123および断熱チャネル132を通って循環する空気は、別の断熱層として機能する。空気が断熱チャネル132を通過する間に熱エネルギーを吸収することにより、通常は廃熱となるものをリサイクルできる。
【0057】
[0062]案内システム130の別の利点は、それが流体リザーバ内の空気の分布に対する制御を強化し得ることである。案内システムはまた、誘導システム130が適所になかった場合に壁空洞の特定の領域でよどみが発生する可能性を低減することにより、空気が壁空洞内で加熱される程度に対する制御を強化し得る。
【0058】
[0063]加湿チャンバ120の設計に関連する重要なパラメータは、チャンバを通過する空気流の圧力降下である。圧力降下が大きすぎる場合、エネルギー損失を減らすことでチャンバの性能が向上しても、圧力降下を克服するために圧力源で必要な電力を増加させることにより、性能の向上が打ち消され得る。
【0059】
[0064]一形態では、加湿チャンバ入口126は、円筒形の外壁123を有するチャンバの周囲など、断熱加湿チャンバ120の周囲に対して実質的に接線方向に配置され得る。そのような入口の向きにより、断熱加湿チャンバ120によって生成される圧力降下が低減される。
【0060】
[0065]案内システム130を備えた断熱加湿チャンバ120の圧力降下を、従来技術のFisher&Paykel Healthcare社製HC300加湿チャンバと比較するために試験を行った。これらの試験では、40L/分の流量で両方のチャンバに空気を供給した。試験結果は、案内システムを備えた断熱加湿チャンバの圧力降下が0.63cmH2Oであり、HC300チャンバの圧力降下が0.21cmH2Oであった。
【0061】
[0066]案内システムを備えた断熱加湿チャンバの性能も試験し、Fisher&Paykel Healthcare社製HC200 CPAP(持続的気道陽圧)システムで使用した場合の従来技術のHC300加湿チャンバの性能と比較した。
【0062】
[0067]
図15は、入口空気と出口空気との間の温度差を、断熱加湿チャンバとHC300加湿チャンバとで比較するグラフを示している。データは、45Wのヒータプレートを用いた状態で示されている。グラフは、両方のチャンバに同じ量の電力が供給されたときに、本発明の断熱加湿チャンバが、HC300チャンバよりも著しく速い速度で流入空気を加熱することを示している。性能の違いは、HC300のデータと比較して断熱加湿チャンバのデータの勾配がより高いことで示される。これに加えて、両方のチャンバが同じ電力レベルで動作していても、断熱加湿チャンバはHC300チャンバよりも高い全体温度まで空気を加熱することができる。したがって、試験は、本発明の断熱加湿チャンバが従来技術のチャンバより優れた性能を呈することを示している。実施したテストでは、定常状態の温度差は約40%の差であった。
【0063】
[0068]両方のチャンバに同じ量の電力(45W)を供給した状態で、本発明の断熱加湿チャンバの加湿性能についても、HC300加湿チャンバの加湿性能と比較した。
図16は、入口空気と出口空気との間の絶対湿度差を、断熱加湿チャンバとHC300加湿チャンバとで比較するグラフを示している。
図16からわかるように、断熱加湿チャンバは、断熱チャンバを通過する空気を、HC300チャンバを通過する空気よりも大幅に加湿する。
【0064】
[0069]上記のテストの生データのスナップショットを表1および表2に示す。
【表1】
【表2】
【0065】
[0070]HC300チャンバと比較した断熱加湿チャンバ(IHC)の改善の概要を表3に示す。
【表3】
【0066】
[0071]表は、ヒータプレート電力が45Wの場合、断熱加湿チャンバは、HC300と比較して、出口で約32.3%高い温度を生じることを示している。45Wにおける正味出力絶対湿度は約6%増加した。加えて、45Wにおける正味出力エンタルピーは約8.8%増加した。
【0067】
[0072]したがって、本発明の断熱加湿チャンバは、既存の加湿チャンバと同じ動作パラメータを提供するが、より高いエネルギー効率を有することがわかる。特に、加湿チャンバ内の空気を加熱するため、また加湿チャンバ内の水の温度を調整するために必要なエネルギーが少ないため、断熱加湿チャンバにより、チャンバを備える加湿器および呼吸療法システムが既存の加湿器および呼吸療法システムよりも低い電力レベルで動作できる。例えば、トンネルを通る空気循環経路により、通常であれば加湿チャンバの壁を通して失われる熱の一部を再利用できるため、システムを一定のパラメータで動作させるために必要な電気エネルギーが減少する。本発明の断熱加湿チャンバはまた、既知の加湿チャンバよりも速い加湿応答を提供する。断熱加湿チャンバの別の利点は、熱損失が低く、熱応答が速いため、従来技術のチャンバよりも熱出力をより簡単かつ正確に制御できることである。
【0068】
[0073]例えばヒータプレートおよび流体リザーバ内の水など、チャンバ内部の加熱された物体から放射された熱エネルギーを反射するのに適した反射コーティングで内壁および/または外壁の内面および/または外面(複数可)をコーティングすることにより、断熱加湿チャンバの性能をさらに向上させることが可能であり得る。
【0069】
[0074]本発明の上記の説明は、その好ましい形態を含む。本発明の範囲から逸脱することなく、修正を加えることができる。
【0070】
[0075]本明細書で使用される場合、「~を備える(comprising)」という用語は、「~のうちの少なくとも一部から構成される」ことを意味する。「~を備える(comprising)」という用語を含む本明細書の各記載を解釈する場合、この用語が後に続く特徴以外の特徴も存在し得る。「~を備える(comprise)」や「~を備える(comprises)」などの関連用語も同様に解釈されたい。
【0071】
[0076]上の説明において、既知の均等物を有する完全体または構成要素を参照している場合、それらの完全体または構成要素は、個別に説明されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0072】
[0077]本開示の方法、装置、およびシステムはまた、本開示で言及または指示した部分、要素、および特徴を、個別的または集合的に、前記部分、要素、または特徴のうちの2つ以上のいずれかまたはすべての組み合わせで含むと広く言うことができる。
【0073】
[0078]本明細書の範囲の記載は、本明細書で別段の指定のない限り、範囲内に含まれる各個別のサブ範囲または値を個別に参照する簡単な方法として機能することのみを意図しているに過ぎず、各個別のサブ範囲または値はあたかも本書では個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0074】
[0079]本明細書における、いかなる従来技術への参照も、その従来技術が世界中のいずれかの国の努力傾注分野における共通の一般知識の一部を形成するということを承認するものでも何らかの形態で示唆するものでもなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0075】
[0080]本開示のいくつかの構成の特定の特徴、態様、および利点を、呼吸療法システムでのガス加湿システムの使用に関連して説明してきた。しかしながら、説明されたようなガス加湿システムの使用の特定の特徴、態様、および利点は、好適には、ガスの加湿を必要とする他の治療または非治療システムと共に使用され得る。本開示の方法および装置の特定の特徴、態様、および利点は、他のシステムでの使用に等しく適用され得る。
【0076】
[0081]本開示を特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者に明らかな他の実施形態もまた、本開示の範囲内である。よって、変更および修正は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。例えば、様々な構成要素が必要に応じて再配置され得る。さらに、本開示を実施するために、特徴、態様、および利点のすべてが必ずしも必須ではない。したがって、本開示の範囲は、以下の添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが意図されている。