(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】抜栓キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B65D51/22 100
(21)【出願番号】P 2020079886
(22)【出願日】2020-04-29
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-086888(JP,A)
【文献】特開2017-226459(JP,A)
【文献】特開平06-092351(JP,A)
【文献】特開2016-008059(JP,A)
【文献】実公昭48-27476(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0015157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口頸部を封止する隔壁(6)を有し、この隔壁(6)の一部に周囲を弱化線(13)で囲まれた抜栓部(12)を形成したキャップ本体(2)と、
前記隔壁(6)の上方に配置された頂壁(26)の周端から垂下した外周壁(22)を、
前記隔壁(6)からの離脱可能に前記キャップ本体(2)に連結させ
ており、かつ、前記頂壁(26)に開口した挿通孔(28)の周囲から内周壁(30)を垂設させた上蓋(20)と
、
この上蓋(20)に対して前記内周壁(30)の内面を摺動可能に組み付けられた、前記抜栓部(12)を前記キャップ本体(2)から抜去させるための除去部材(40)と
を具備し、
前記隔壁
(6)からの
前記上蓋(20)の離脱により、前記除去部材(40)を介して
前記抜栓部(12)が
前記隔壁(6)から引き抜かれ、
前記上蓋(20)側へ移行するように設けており、
前記除去部材(40)は、
前記上蓋(20)に対して押し下げ可能であり、かつ、当該押下げ操作により、前記抜栓部(12)の
中央部を貫通して係留する連係手段(C)と、
前記抜栓部(12)の外周部分を押圧する押圧手段(D)を有することを特徴とする
抜栓キャップ。
【請求項2】
前記除去部材(40)は、前記内周壁(30)内へ摺動可能かつ下方への抜出し不能に嵌挿させた頂板(42)を有し、かつ、前記連係手段(C)として、前記頂板(42)の
中央部から連係棒(44)を垂設させており、
前記連係棒(44)は、前記抜栓部(12)の
中央部に形成された易破断部(15)を貫通することが可能に形成されており、この貫通状態で
前記抜栓部(12)の下面側へ係合可能な抜止め手段(S)を有することを特徴とする、請求項1に記載の抜栓キャップ。
【請求項3】
前記抜栓部(12)は、
前記弱化線(13)に近接させて配置した被押圧部(14)を有しており、
前記除去部材(40)の押下げ操作により、前記頂板(42)の下面で形成する
前記押圧手段(D)が
前記被押圧部(14)に当接して押圧するように形成されており、
前記連係棒(44)は、前記押下げ操作によって
前記押圧手段(D)が
前記被押圧部(14)に当接する前に、
前記連係棒(44)の下端が
前記易破断部(15)に突き当たることを可能とする垂下長を有することを特徴とする、請求項2に記載の抜栓キャップ。
【請求項4】
前記連係棒(44)は、閉蓋状態で垂直な棒本体(45)から突刺し用突子(46)を下方へ突設してなり、
前記突刺し用突子(46)は、水平方向から見て、下端側が尖ったテーパ形状に形成されており、
前記抜止め手段(S)として、
前記棒本体(45)の下端に連設する張出し段部(48)を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の抜栓キャップ。
【請求項5】
前記連係棒(44)は、閉蓋状態で垂直な棒本体(45)から、下端側に尖鋭端(47)を有する突刺し用突子(46)を下方へ突設するとともに、
この突刺し用突子(46)から上外方へ、
前記抜止め手段(S)である折返し片(49)を突設しており、
この折返し片(49)は、前記上蓋(20)の開蓋操作の際に、当該折返し片(49)の先端部が
前記抜栓部(12)の下面へ係止することが可能な突出長を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の抜栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抜栓部を引き抜いて使用する抜栓キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のキャップとして、容器体の口頸部に封止する有頂筒状のキャップ本体と、このキャップ本体の上面を開閉する上蓋とをヒンジで連結させ、前記キャップ本体の隔壁部分に破断線で囲成された抜栓部を一体的に形成するとともに、この抜栓部からプルリングを起立させ、このプルリングを引き上げることで抜栓部を周囲から破断させることができるように形成したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のキャップは、プルリングを引き上げて抜栓部の周りの破断線を破断させるために、大きな引っ張り力を要し、開封させることが簡単でなかった。
【0005】
本発明の目的は、簡単に開封させることができる抜栓キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体の口頸部を封止する隔壁6を有し、この隔壁6の一部に周囲を弱化線13で囲まれた抜栓部12を形成したキャップ本体2と、
前記隔壁6の上方に配置された頂壁26の周端から垂下した外周壁22を、前記隔壁6からの離脱可能に前記キャップ本体2に連結させており、かつ、前記頂壁26に開口した挿通孔28の周囲から内周壁30を垂設させた上蓋20と、
この上蓋20に対して前記内周壁30の内面を摺動可能に組み付けられた、前記抜栓部12を前記キャップ本体2から抜去させるための除去部材40と
を具備し、
前記隔壁6からの前記上蓋20の離脱により、前記除去部材40を介して前記抜栓部12が前記隔壁6から引き抜かれ、前記上蓋20側へ移行するように設けており、
前記除去部材40は、前記上蓋20に対して押し下げ可能であり、かつ、当該押下げ操作により、前記抜栓部12の中央部を貫通して係留する連係手段Cと、前記抜栓部12の外周部分を押圧する押圧手段Dを有する。
【0007】
本手段では、
図1又は
図5に示す如く、容器体の口頸部外面へ嵌合するキャップ本体2の隔壁6の一部に周囲を弱化線13で囲まれた抜栓部12を形成している。
また前記キャップ本体2に連結した上蓋20には、外部からの押下げ操作が可能な除去部材40を
組み付けている。こ
の除去部材40は、上蓋20の頂壁26に開口した挿通孔28の周囲から垂設された内周壁30の内面を摺動するように設ける。
除去部材40は、押下げ操作に伴い、
図3(A)に示す如く抜栓部12を押圧する押圧手段Dを有する。当該押圧により、弱化線13を抜栓操作の前に予め脆弱化させること(破断に至らない範囲で弱化線をさらに弱めること、及び弱化線を少なくとも部分的に破断させることの両方を含む)を可能としている。
さらに除去部材40は、押下げ操作により抜栓部12と係留する連係手段Cを有し、上蓋20を開蓋すると、前記除去部材40を介して抜栓部12が隔壁6から引き抜かれ、上蓋側へ移行するように形成している(
図4参照)。
この構成によれば、上蓋20の開蓋操作に先行して押圧手段Dにより弱化線13を脆弱化させるので、抜栓に要する力を小さくなり、簡単に開封することができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ前記除去部材40は、前記内周壁30内へ摺動可能かつ下方への抜出し不能に嵌挿させた頂板42を有し、かつ、前記連係手段Cとして、前記頂板42の中央部から連係棒44を垂設させており、
前記連係棒44は、前記抜栓部12の中央部に形成された易破断部15を貫通することが可能に形成されており、この貫通状態で前記抜栓部12の下面側へ係合可能な抜止め手段Sを有する。
【0009】
本手段では、
図1又は
図5に示すように、
前記除去部材40は、前記内周壁30内へ摺動可能に嵌挿させた頂板42を有する。この頂板42は、内周壁30の内部から下方への抜出し不能である。
前記頂板からは、連係手段である連係棒44が垂設させている。
この連係棒44は、前記抜栓部12の一部に形成された易破断部15を貫通することが可能に形成されており、この貫通状態で抜栓部12の下面側へ係合可能な抜止め手段Sを有する。
この構造によれば、抜栓部12に対する抜去力が向上し、上蓋20の開蓋操作により確実に抜栓部12を抜去することができる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ前記抜栓部12は、前記弱化線13に近接させて配置した被押圧部14を有しており、
前記除去部材40の押下げ操作により、前記頂板42の下面で形成する前記押圧手段Dが前記被押圧部14に当接して押圧するように形成されており、
前記連係棒44は、前記押下げ操作によって前記押圧手段Dが前記被押圧部14に当接する前に、前記連係棒44の下端が前記易破断部15に突き当たることを可能とする垂下長を有する。
【0011】
本手段では、
図1に示す如く、抜栓部12は、弱化線13に近接させた被押圧部14を有しており、この被押圧部を介して押圧手段Dで押圧されるように形成されている。
押圧手段Dは、除去部材40の頂板42の下面で形成されている。
また連係棒44の長さ(垂下長)は、前記押下げ操作によって押圧手段Dが被押圧部14に当接する前に、連係棒44の下端が易破断部15に突き当たるように設計されている。
この構成によれば、連係棒44が易破断部15に突き当たった状態で未だ弱化線13が破断していないので、連係棒44による易破断部15の破断を適切に行うことができる。
【0012】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、かつ前記連係棒44は、閉蓋状態で垂直な棒本体45から突刺し用突子46を下方へ突設してなり、
前記突刺し用突子46は、水平方向から見て、下端側が尖ったテーパ形状に形成されており、前記抜止め手段Sとして、前記棒本体45の下端に連設する張出し段部48を有する。
【0013】
本手段では、
図1(A)に示すように、前記連係棒44は、閉蓋状態で垂直な棒本体45から突刺し用突子46を下方へ突設してなる。
そして、突刺し用突子46は、
図2に示すように、水平方向から見て、下端側が尖ったテーパ形状である。そして、抜止め手段Sとして、棒本体45の下端と連設する張出し段部48を有する。この張出し段部は、抜栓部の抜止め手段Sとして機能する。
この構造によれば、抜栓部12の周囲の弱化線13が破断されても、前記突刺し用突子46の張出し段部48が抜栓部12の脱落を規制するから、抜栓部12に対する連係棒44の係止力を高めることができる。
【0014】
第5の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、かつ前記連係棒44は、閉蓋状態で垂直な棒本体45から、下端側に尖鋭端47を有する突刺し用突子46を下方へ突設するとともに、この突刺し用突子46から上外方へ、前記抜止め手段Sである折返し片49を突設しており、
この折返し片49は、前記上蓋20の開蓋操作の際に、当該折返し片49の先端部が前記抜栓部12の下面へ係止することが可能な突出長を有する。
【0015】
本手段では、
図5(A)に示す如く、前記抜止め手段Sとして、突刺し用突子46から上外方へ突出する折返し片49を設けている。この折返し片49の先端部は前記抜栓部12の下面に係止できる。
この構造によれば、連係棒44の係止力をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば、キャップ本体2の隔壁6の一部に弱化線13で囲まれた抜栓部12を形成し、この抜栓部を隔壁から除去するための除去部材40を上蓋20に装備させ、除去部材が押下げ操作により抜栓部を押圧するから、抜栓部の弱化線を抜栓操作に先立って脆弱化させることにより、抜栓に要する力が小となり、簡単に開封できる。
第2の手段に係る発明によれば、上蓋20の内周壁30内へ摺動可能に嵌挿された頂板42から連係棒44を垂設し、この連係棒が抜栓部を貫通して下面側へ係合することで抜栓部の抜け出しを防止したから、抜栓部を確実に抜去することができる。
第3の手段に係る発明によれば、押下げ操作によって押圧手段Dが被押圧部14に当接する前に、連係棒44の下端が易破断部15に突き当たるから、連係棒44で易破断部15を適切に破断させることができる。
第4の手段に係る発明によれば、連係棒44の棒本体45から突刺し用突子46を下方へ突設してなり、この突刺し用突子は、抜止め手段Sとして棒本体の下端と連設する張出し段部48を設けたから、抜栓部12に対する連係棒44の係止力を高めることができる。
第5の手段に係る発明によれば、連係棒44の突刺し用突子46から上外方へ折返し片49を突設しており、上蓋の開蓋操作の際に、折返し片49の先端部が抜栓部12の下面へ係止するから、抜栓部12に対する連係棒44の係止力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る抜栓キャップの全体の構造を示す図であり、同図(A)は当該キャップを側方から見た断面図、同図(B)は底面図である。
【
図2】
図1の抜栓キャップの除去部材の側面図である。
【
図3】
図1の抜栓キャップの除去部材を押下げ操作の説明図であり、同図(A)は連係棒が易破断部を貫通した状態を、同図(B)は除去部材の頂板が抜栓部の被押圧部に当接した状態を、また同図(C)は抜栓部の弱化線が破断された状態をそれぞれ示している。
【
図4】
図1の抜栓キャップの開蓋操作の説明図であり、同図(A)は抜栓部が隔壁から抜去された状態を、同図(B)は上蓋が抜栓部とともに反転した状態を示している。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る抜栓キャップの全体の構造を示す図であり、同図(A)は当該キャップを側方から見た断面図、同図(B)は底面図である。
【
図6】
図5の抜栓キャップの除去部材の構造を示す図であり、同図(A)は当該部材の側面図、同図(B)は正面図、同図(C)は斜視図である。
【
図7】
図5の抜栓キャップの作用の説明図であり、同図(A)は除去部材の押下げ操作により突刺し用突子が易破断部を突き破った状態を、また同図(B)は上蓋の開蓋操作により除去部材の折返し片が抜栓部の裏面に突き当たった状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から
図4は、本発明の第1実施形態に係る抜栓キャップを示している。
この抜栓キャップは、
図1(A)に示す如く、キャップ本体2と、上蓋20と、除去部材40とを具備する。
これら各部材は、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0019】
キャップ本体2は、容器体100の口頸部102の外面へ装着可能な筒周壁4と、この筒周壁4の上端に、口頸部の上面を封止可能に付設された隔壁6とを有する。
図示例では、前記隔壁6の下面の外周部からは、前記口頸部102内に嵌入させるための嵌合筒7が垂設されている。すなわち、嵌合筒7と隔壁6と筒周壁4とで囲まれた空間(溝部)内に口頸部102が嵌挿されている。
また隔壁6の上面からは、前記嵌合筒7より大径の起立筒8と、起立筒によって囲まれた注出筒10とがそれぞれ起立されている。
もっとも、これらの構造は適宜変更することができる。
図示例では、前記筒周壁4の後壁の上部にヒンジ18を介して上蓋20の外周壁22が回転可能に連結されたヒンジキャップを開示している。もっともヒンジキャップに代えて、筒周壁4と外周壁22とをネジで連結したネジキャップとしても構わない。
なお、本明細書においては、説明の便宜上、
図1(A)の左側を“前”と、同図の右側を“後”と、さらに紙面に直交する方向を“左右”と称する。
【0020】
前記隔壁6の一部(図示例では隔壁の中央部)には、ループ状の弱化線13で周囲を囲まれた抜栓部12が形成されている。
本実施形態では、前記注出筒10の内側の隔壁部分に抜栓部12を形成している。
図示例では、前記弱化線13は、薄肉破断線として形成されている。
具体的には、前記隔壁6のうちの抜栓部12の形成箇所の全範囲において、隔壁6の下面に上方へ浅く凹む窪み6aを形成するとともに、隔壁6の上面を一定の巾で隆起させている。こうすることにより、窪み6aの周端に沿って前記弱化線13が周設されている。
図示例の抜栓部12は、
図1(B)に示すように、前後方向に長く形成されている。この形状とすることで、抜栓部を抜去した後の開口から液体をスムーズに注出できる。もっとも抜栓部12の形状は適宜変更することができる。
【0021】
本発明においては、前記抜栓部12の外周部には、前記弱化線13に近接させて被押圧部14が立設されている。また抜栓部12の中央部には易破断部15が形成されている。
被押圧部14及び易破断部15が形成された箇所を除いて、図示例の抜栓部12は、水平な平板として形成されている。
【0022】
前記被押圧部14は、除去部材40による押下げ力の受部であり、この押下げ力が弱化線13に確実に伝達されるように、弱化線13の近傍に配置されている。
図示例の被押圧部14は、弱化線13の全周に亘って周壁状に形成されている。もっともこの形状は適宜変更することができる。
例えば複数の被押圧部14を、前記弱化線13に沿って間欠的に配置しても構わない。
また図示例の被押圧部14の高さは、後端側のそれ(h2)が最小で前端側のそれ(h1)が最大であり、かつ後側から前側へ向かって次第に背高となるように形成している。
【0023】
前記易破断部15は、前記抜栓部12の中央部を凹没させることにより、薄肉化することで形成されている。
図示例の易破断部15は、
図1(B)に示す如く、十字状に交差させた2本の凹溝15bと、これら凹溝の交差箇所に重ねた丸穴部15aとで形成されている。
好適な図示例では、前記凹溝15bの延びる方向Kは、前記丸穴部15aの中心から前方へ延びる仮想線Lから周方向にズラして設計されている。
また図示例では、前記丸穴部15aの縁面は、
図1(A)に示すように、下端側が窄まるテーパ状縁部pに形成されている。また前記凹溝15bは、逆ハ字状に傾斜した一対の側溝面qを有する(
図1(B)参照)。
前記テーパ状縁部pは、前記抜栓部12の抜栓時において、
図4(A)に示す如く、後述の除去部材40の連係棒44を前後方向両側から圧接することにより、除去部材40と抜栓部12との連係力を高める機能を有する。
易破断部15の形状は、適宜変更することができる。もっとも、前記連係力を十分に確保するためには、前述のように前記凹溝15bの延びる方向Kと前記仮想線Lとを周方向にズラすことにより、少なくとも丸穴部15aより前方の領域(ヒンジ18と反対側の領域)に凹溝15bを設けないようにすることが望ましい。
【0024】
上蓋20は、頂壁26の周端から垂設した外周壁22を有しており、この外周壁22を前記筒周壁4に対してヒンジで連結している。なお、外周壁22は、頂壁26の周端から段部や曲線部(R形状等)を介して垂設させてもよい。
外周壁22の内面下端部には、嵌合凹部23が周設されている。この嵌合凹部23には、前記起立筒8の上端部で形成する係合部が嵌合されている。
前記外周壁22の前壁部からは、指掛け部24が前方へ突出されている。
【0025】
本発明では、前記頂壁26を、中央部に大径の挿通孔28を開口するリング状頂壁とし、その挿通孔28の周囲から(図示例では挿通孔の縁から)内周壁30を垂設している。
内周壁30は、除去部材40を摺動可能に収納させるための部位である。
図示例では、内周壁30の内周面には、その上側の筒壁部分と、この筒壁部分に比べてやや小内径である筒壁の下部(縮径部34)との間の境界部分に位置させて、段差32が形成されている。
この構成によれば、前記除去部材40の摺接部分(後述の頂板42)が上側の筒壁部分では比較的スムーズに摺動するとともに、縮径部34に押し込まれたときに固嵌めされる。
段差32を設けた理由は、誤って抜栓キャップを床等に落下させたときに、床等への衝突時の衝撃により、除去部材40がキャップ本体の隔壁に突き刺さり、破断させるという不都合を回避するためである。
また内周壁30の下端部には内リブ38が形成されている。この内リブ38は、除去部材40の下方への抜け出しを防止している。
図示例では、前記内周壁30の上端部内面には、凸状の上側主嵌合条31が、また前記縮径部34の内面には、凸状の下側主嵌合条36が、それぞれ周設されている。
上側主嵌合条31と下側主嵌合条36とは除去部材40の摺接部分と嵌合するが、上側主嵌合条31については、落下衝撃等による下方への移動防止、下側主嵌合条36については、上記内リブ38と同様に除去部材40の下方への抜け出し防止の機能を有する。
【0026】
除去部材40は、外部からの押下げ操作により、前記弱化線13を脆弱化させるとともに易破断部15を破断させ、かつ上蓋20の開蓋操作により、前記抜栓部12をキャップ本体2から抜去させるための部材である。
“弱化線13を脆弱化させる”とは、押下げ操作による引き延ばしによって、弱化線13を更に弱めるが破断には至らない態様と、弱化線13の少なくとも一部を破断させる態様とのいずれであってもよい。
これらの機能を実現するために、前記除去部材40は、外部からの押下げが可能でありかつ開蓋操作により上蓋20から脱落しないように、当該上蓋20に対して組付けられている。
除去部材40は、前記挿通孔28より内周壁30内に嵌挿され、
図1(A)に示す位置にセットされている。
本実施形態の除去部材40は、
図1(A)に示す如く、前記内周壁30内に摺動可能に嵌挿された頂板42と、この頂板42の
中央部から垂下された連係棒44とを有する。
なお、除去部材40は、キャップ本体2及び上蓋20よりも硬い材質で形成することが望ましい。
【0027】
前記頂板42は、
図1(A)に示す開封前の状態において、内周壁30の上端部内に位置されている。
前記頂板42は、前記内周壁30にスライド自在に面接触する外周面を有する水平板であり、その水平状態を保ったままで下方へ摺動できる程度の厚みを有する。
本実施形態では、前記頂板42の外周部下面で押圧手段Dが形成されており、前記除去部材40を押し下げると、前記外周部下面が、
図3(B)に示すように、被押圧部14の前側部分に当接し、次に、
図3(C)に示す如く、被押圧部14の後半部分に当接するように形成している。
なお、頂板42の下面は平坦な水平面であることを要しない。例えば頂板が下方へ突設する押下げ片を有する構造も、“頂板の下面で形成する押圧手段”に含まれる。
図示例では、前記頂板42の外周面には、
図2に示す如く、凹状の副嵌合条43が周設されている。この副嵌合条43は、
図1(A)に示す如く除去部材40が上限位置にある状態では、凸状の上側主嵌合条31に嵌合するとともに、また、
図3(C)に示す如く除去部材40が下限位置にある状態では、凸状の下側主嵌合条36に嵌合することが可能に形成している。
なお、図示例と異なり、上側主嵌合条31及び下側主嵌合条36を凹状に、また副嵌合条43を凸状に形成してもよい。
また頂板42に副嵌合条43を設けずに、凸状の上側主嵌合条31及び下側主嵌合条36が頂板42の外周面に圧接される(或いは食い込む)ように形成してもよい。
また前記頂板42は、抜栓キャップの外観の一部として露出しているため、上蓋20の頂壁26に対する頂板42の凹み具合により、抜栓キャップが開封前の状態であるか、或いは開封後の状態であるのかを判別することができる。
なお、
図1(A)に示す状態において、図示の頂板42の上面は、上蓋20の頂壁26の上面に対して僅かなギャップaを存して低くなっているが、頂板42及び頂壁26の上面を面一にしてもよい。
ギャップaを設けた理由は、前述の段差32とほぼ同様であり、誤って落下させた抜栓キャップが倒立状態となって、前記頂板42が床等に衝突し、その衝撃で除去部材40がキャップ本体の隔壁に突き刺さるという不都合を回避するためである。
【0028】
前記連係棒44は、抜栓部の易破断部を破断させる押下げ棒としての役割と、弱化線を破断させた後に抜栓部を上蓋に連係させる連係手段Cとしての役割とを有する。
前記連係棒44は、
図1(A)に示す如く、上蓋20の閉蓋状態で前記頂板42の下面から垂直に延びる棒本体45を有し、この棒本体から突刺し用突子46を下方へ突設している。
突刺し用突子46は、下端側に尖鋭端47を有しており、除去部材40の押込み操作により、
図3(A)に示す如く、前記尖鋭端47で前記易破断部15を突き破ることが出来るように形成している。
前記突刺し用突子46は、前記易破断部15を破断することができるように、上側から下側に向かって巾狭に形成されたテーパ形状の断面形状を有することが好適である。
図示例では、当該断面形状を倒立山形形状(逆三角形状)としている。
その逆三角形の角部は、鋭角(例えば70°の角部)であることが望ましい。しかしながら、易破断部を貫通できる程度に尖った形状であればよい。
本実施形態では、前記突刺し用突子46は、円錐形に形成されている。こうすることで
図1(B)に示す形状の易破断部15を確実に破断させることができる。
もっとも突刺し用突子46の構造は、易破断部15の形状に応じて適宜変更することができる。
棒本体45の下端と突刺し用突子46の上端との間には、棒本体45の径方向に拡幅する環状の張出し段部48が形成されている。
本実施形態では、この張出し段部48は、
図4(A)に示す如く、易破断部15を貫通した突刺し用突子46の抜け出しを防止する抜止め手段Sとしての役割を有する。
すなわち、
図4(A)の状態からたとえ抜栓部12が連係棒44から脱落しようとしても、張出し段部48が易破断部15の破断箇所に引っ掛かることで、脱落を阻止する。
また連係棒44の垂下長は、前記押下げ操作によって押圧手段Dが被押圧部14に当接する前に、連係棒44の下端が易破断部15に突き当たることを可能とするように設定する。
当該突き当たりに先立って弱化線13が破断してしまうと、連係棒44が抜栓部12に突き当たっても、当該抜栓部12が下方へ逃げるように屈曲してしまい、易破断部15を破断できないおそれがあるからである。
【0029】
前記構成において、抜栓キャップを使用するときには、
図1(A)に示す如く、容器体の口頸部102に、筒周壁4を嵌合させる。
このとき、頂板42の副嵌合条43が内周壁30の上側主嵌合条31に嵌合している。これにより、例えば利用者の手指が頂板42に不意に触れることにより、除去部材40が上限位置から下降してしまうことを規制している。
この状態から、前記除去部材40の頂板42を押し下げる。
そうすると、前記連係棒44の突刺し用突子46が抜栓部12の易破断部15に突き当たり、
図3(A)に示すように、易破断部15を破断させる。
前記突刺し用突子46が抜栓部12を突き抜けた後の状態では、前記棒本体45の前後両面に前記丸穴部15aのテーパ状縁部pが圧接されている。こうすることにより、抜栓部12は連係棒44に連係(係止)されている。
さらに前記頂板42を押し下げると、
図3(B)に示す如く、前記頂板42の外周部下面で形成する押圧手段Dが被押圧部14を押圧し、その真下に位置する弱化線13を強制的に伸長させ、脆弱化させる。そして、本実施形態の場合には、弱化線13が破断される。
図示例のように、ヒンジ18側での被押圧部14の隆起高さ(h2)と比べて、ヒンジ18と反対側でのそれ(h1)が大きい場合には、弱化線13の破断は、まずヒンジ18と反対側で起こり、その破断の範囲が次第にヒンジ18側へ広がる。
前記頂板42が、
図3(C)に示す位置(下限位置)まで押し込まれると、頂板42は縮径部34内に嵌着され、かつ頂板42の副嵌合条43が縮径部34の下側主嵌合条36に嵌合される。
このとき、前記頂板42の下面周端部が内リブ38に係止されており、内周壁30からの頂板42の脱落を規制している。
なお、
図3(C)の段階において、前記弱化線13の破断は、抜栓部12の全周で完了していても良いし、ヒンジ18と反対側でのみ弱化線13が破断しており、ヒンジ18側では弱化線13は単に伸長しているだけでも構わない。
弱化線13を成形時の状態から伸長させることにより、弱化線の強度は弱められ、この状態から引きちぎることが容易となるからである。
また
図3(C)の段階で弱化線13のどこも破断しておらず、単により破断し易い状態に留まっていても構わない。
次に指掛け部24を摘んで上蓋20を開方向へ回転させる。そうすると、前述の通り、上蓋20の内周壁30に除去部材40の頂板42が嵌着されており、かつ、連係棒44に抜栓部12が連係されているため、
図4(A)に示すように、抜栓部12は、キャップ本体2の隔壁6から引き抜かれ、上蓋20側へ移行する。
このときに、抜栓部12が連係棒44から脱落しようとしても、突刺し用突子46の張出し段部48が抜栓部12の下方への抜け出しを防止しているため、脱落しない。
なお、弱化線13のヒンジ18側の部分が前述のように伸びた状態であるときには、前記引き抜き操作により、弱化線13の伸びた部分が切れる。
従来の技術のように抜栓部の引き抜きの際に弱化線13の全体を破断させる場合と比べると、本発明では、引き抜き作業に先立って弱化線13の少なくとも一部が破断され、また弱化線の残りの部分も延ばされているため、引き抜き作業を比較的小さな力で行うことができる。
さらに上蓋20を回転させると、
図4(B)に示すように、抜栓部12は、上蓋側へ移行して、除去部材40及び上蓋20とともに開方向へ移動する。
次に、抜栓部12が抜去されることでキャップ本体2に形成された開口から内容物を注出することができる。
【0030】
以下、本発明の他の実施形態に係る抜栓キャップを説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成に関しては解説を省略する。
【0031】
図5から
図7は、本発明の第2実施形態に係る抜栓キャップを示している。
本実施形態では、まず易破断部15及び突刺し用突子46の構造を変更している。
すなわち、本実施形態の易破断部15は、
図5(B)に示すように、一つの丸穴部15aと、この丸穴部を左右方向(上蓋の回転軸Aの方向)に横断する一本の凹溝15bとで形成している。
また、突刺し用突子46は、
図6(C)に示す如く、左右方向に横倒しされた三角柱形状に形成されている。
図示例では、この三角柱の左右方向から見た形状は、
図6(A)に示す如く、略逆三角形状であり、また前後方向から見た形状は、
図6(B)に示す如く、横長の長方形である。
突刺し用突子46は、前記棒本体45の下端から前後方向及び左右方向へ拡幅する張出し段部48を有する(
図6(A)及び(B)参照)。
また本実施形態では、前記張出し段部48から上外方へ一対の折返し片49を突設するとともに、これら折返し片49の先端部と係合可能な一対の係合溝16を、前記抜栓部12の裏面に形成している。これら係合溝16は、下方から見て、
図5(B)に点線で示す丸穴部15aの前後両側に位置している。
第1実施形態では、張出し段部に代えて、前記折返し片49が抜止め手段Sとしての役割を果たしている。
この構造によれば、
図7(B)に示すように、上蓋20を開方向へ回転させて、連係棒44を介して抜栓部12を引き抜く際に、前記折返し片49の先端部が係合溝16内に係止される。
突刺し用突子46が隔壁を貫通した後に抜け難くするためである。
故に連係棒44からの抜栓部12の抜出し防止機能が強化され、抜栓部12に対する連係棒44の係止力が向上する。
本実施形態では、折返し片49及び係合溝16の組み合わせにより、抜け出し防止機能を実現しているが、係合溝を省略し、抜栓部12の下面の平坦部分に折返し片49の先端部を係止させても構わない。
また図示例では、一対の折返し片49は、突刺し用突子46から前後方向へ突設されているが、それ以外の方向(例えば左右方向)へ設けてもよい。
さらに折返し片49の数も適宜変更でき、例えば3つ以上の折返し片49を、下方から見て等角的に突出させてもよい。
【符号の説明】
【0032】
2…キャップ本体 4…筒周壁 6…隔壁 6a…窪み 7…嵌合筒 8…起立筒
10…注出筒 12…抜栓部 13…弱化線 14…被押圧部
15…易破断部 15a…丸穴部 15b…凹溝 16…係合溝 18…ヒンジ
20…上蓋 22…外周壁 23…嵌合凹部 24…指掛け部
26…頂壁 28…挿通孔 30…内周壁 31…上側主嵌合条
32…段差 34…縮径部 36…下側主嵌合条 38…内リブ
40…除去部材 42…頂板 43…副嵌合条 44…連係棒 45…棒本体
46…突刺し用突子 47…尖鋭端 48…張出し段部 49…折返し片
100…容器体 102…口頸部
A…回転軸 a…ギャップ C…連係手段 D…押圧手段 K…凹溝の延びる方向
L…仮想線 p…テーパ状縁部 q…側溝面
S…抜止め手段