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  • 特許-陳列パンの支持構造 図1
  • 特許-陳列パンの支持構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】陳列パンの支持構造
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/04 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A47F3/04 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018162415
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020031985
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】馬上 朋之
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
【審判官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-50655(JP,A)
【文献】特開平6-304054(JP,A)
【文献】実開昭61-96279(JP,U)
【文献】実開昭54-129294(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成されて内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、
前記陳列室内に上下方向に配列された複数段の商品陳列部と、
前記商品陳列室の内周部に沿ってこの商品陳列室との間を背面板により仕切って形成された冷気ダクトと、
前記背面板に形成され、前記冷気ダクト内を流れる冷気の一部が前記商品陳列室内に吹出す複数の冷気孔と、
最下段の前記商品陳列部である陳列パンを支持し、水平状態と後方上がりに傾斜した状態とに切替可能な陳列パン支持部と、
を有し、
前記陳列パン支持部は、
前端部が前記ショーケース本体の手前側に上下方向回動可能に取付けられる手前側フレームと、
前記手前側フレームに前後方向スライド可能に取付けられ、後端部が前記背面板に上下方向位置切替可能に取付けられる奥側フレームと、
前記奥側フレームに設けられ、前記陳列パンが引っ掛けられる陳列パン引掛部と、を有し、
前記陳列パン支持部の傾斜状態を切替える前後において、前記陳列パン引掛部に引っ掛けられた前記陳列パンの後端部と前記背面板との間隔は近接した状態で一定に維持されていることを特徴とする陳列パンの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列パンを支持する陳列パンの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では各種のショーケースが使用されている。これらのショーケースの中には、商品陳列室内に上下方向に沿って複数段の商品陳列部が設けられ、最下段の商品陳列部として陳列パン(デッキパンともいう)が設けられたショーケースが知られている。陳列パンは、陳列パン支持部により支持され、陳列パン支持部は水平状態と後方上がりに傾斜した状態とに切替可能に設けられている場合が多い。このような陳列パンを備えたショーケースとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-304054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたショーケースでは、陳列パンを後方上がりに傾斜させると、その傾斜角度が大きくなるにつれて陳列パンの後端部が背面板から次第に離反し、陳列パンの後端部と背面板との間に隙間が生じる。
【0005】
ここで、背面板は冷気が流れる冷気ダクトを形成する部材であり、この背面板には冷気ダクト内を流れる冷気が商品陳列室内に吹出す複数の冷気孔が形成されている。そして、陳列パンの上方に位置する冷気孔から吹出した冷気は、陳列パンの上面側を流れて陳列パンの上に陳列されている商品を冷却している。
【0006】
しかしながら、陳列パンを後方上がりの姿勢に傾斜させた場合に、陳列パンの後端部と背面板との間に隙間が生じると、冷気孔から陳列パンの上方に向けて吹出した冷気が、その隙間から陳列パンの下側に入り込んでしまい、陳列パンの上に陳列されている商品に対する冷却性能が低下するという問題が生じている。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、陳列パンの傾斜角度を変えた場合においても、その陳列パンの上に陳列されている商品に対する冷却性能を維持することができる陳列パンの支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る陳列パンの支持構造は、前面に開口が形成されて内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、前記陳列室内に上下方向に配列された複数段の商品陳列部と、前記商品陳列室の内周部に沿ってこの商品陳列室との間を背面板により仕切って形成された冷気ダクトと、前記背面板に形成され、前記冷気ダクト内を流れる冷気の一部が前記商品陳列室内に吹出す複数の冷気孔と、最下段の前記商品陳列部である陳列パンを支持し、水平状態と後方上がりに傾斜した状態とに切替可能な陳列パン支持部と、を有し、前記陳列パン支持部は、前端部が前記ショーケース本体の手前側に上下方向回動可能に取付けられる手前側フレームと、前記手前側フレームに前後方向スライド可能に取付けられ、後端部が前記背面板に上下方向位置切替可能に取付けられる奥側フレームと、前記奥側フレームに設けられ、前記陳列パンが引っ掛けられる陳列パン引掛部と、を有し、前記陳列パン支持部の傾斜状態を切替える前後において、前記陳列パン引掛部に引っ掛けられた前記陳列パンの後端部と前記背面板との間隔は近接した状態で一定に維持されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る陳列パンの支持構造によれば、陳列パンを支持する陳列パン支持部は、手前側フレームと奥側フレームと陳列パン引掛部とにより構成されている。そして、手前側フレームは前端部をショーケース本体の手前側に上下方向回動可能に取付けられ、奥側フレームは手前側フレームに前後方向スライド可能に取付けられ、奥側フレームの後端部が背面板に上下方向位置切替可能に取付けられている。このため、陳列パン支持部の後端部を上下動させて陳列パン支持部の傾斜角度を切替えた場合においても、奥側フレームが前後方向にスライドすることにより、陳列パン支持部は、前端部がショーケース本体の手前側に取付けられ、後端部が背面板に取付けられた状態に維持される。さらに、前後方向にスライドする奥側フレームに陳列パン引掛部が設けられ、この陳列パン引掛部に陳列パンが引っ掛けられている。このため、陳列パン支持部の傾斜角度を切替えることにより奥側フレームを後方にスライドさせた場合でも、陳列パン引掛部と背面板との間隔を一定に維持することができ、この陳列パン引掛部に引っ掛けられた陳列パンの後端部と背面板との間隔を一定に維持することができる。これにより、陳列パンの後端部と背面板との間に隙間が生じることを防止することができ、背面板の冷気孔を通って陳列パンの上面側に吹出した冷気がその隙間から陳列パンの下側に入り込むということを防止することができる。そして、その入り込みによって陳列パンの上に陳列されている商品に対する冷却性能が低下するということを防止することができ、陳列パンの傾斜角度を切替えた場合においてもその陳列パンの上に陳列されている商品に対する冷却性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】陳列パンを水平状態としたときのショーケースを示す断面側面図である。
図2】陳列パンを後方上がりに傾斜した状態としたときのショーケースを示す断面側面図である。
図3】陳列パンを水平状態としたときの陳列パン支持部を示す斜視図である。
図4】陳列パンを後方上がりに傾斜した状態としたときの陳列パン支持部を示す斜視図である。
図5】陳列パンを陳列パン引掛部に引っ掛ける状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1及び図2はショーケース1の全体構造を示す断面側面図である。ショーケース1は、断熱材で形成された断面形状コの字型のショーケース本体2を有し、ショーケース本体2の正面側には開口3が形成され、ショーケース本体2の内部には商品陳列室4が形成されている。商品陳列室4内には、商品が陳列される複数段の商品陳列部5、6が上下方向に沿って設けられ、最下段の商品陳列部6が陳列パンとされている。
【0012】
また、ショーケース1には、商品陳列室4の内周面に沿って冷気が流れる冷気ダクト7が設けられており、この冷気ダクト7と商品陳列室4との間は背面板8により仕切られている。この背面板8には、冷気ダクト7内を流れる冷気の一部が商品陳列室4内に吹出す複数の冷気孔8aが形成されており、この冷気孔8aのいくつかは、後述する陳列パン支持部を支持する部分として兼用されている。
【0013】
冷気ダクト7内には、冷気ダクト7内の空気を冷やすことにより冷気を生成する冷却器9と、生成された冷気を送風するファン10とが配置されている。ファン10が駆動されることにより、冷気ダクト7内の冷気は矢印で示す方向に送風される。
【0014】
冷気ダクト7の上部側と下部側とは手前側に屈曲しており、冷気ダクト7の上部手前側には、冷気ダクト7内を矢印で示すように送風された冷気が下向きに吹き出す吹出口11が設けられている。また、冷気ダクト7の下部手前側には、吹出口11から吹き出した冷気が吸い込まれる吸込口12が設けられている。吹出口11から吹き出して吸込口12に吸い込まれる冷気は、矢印で示すように開口3を覆う冷気のエアカーテンを形成している。
【0015】
商品陳列室4の下部には、陳列パン6を支持する陳列パン支持部13が配置され、この陳列パン支持部13は、図3及び図4に示すように、棒状部材からなる手前側フレーム14と、棒状部材からなる奥側フレーム15と、棒状部材からなる陳列パン引掛部16とにより構成されている。
【0016】
手前側フレーム14は、前後方向に延出する直線状の3本の棒部材14aと、それらの棒部材14aと直交する向きに配置されて溶接された直線状の2本の棒部材14bとにより構成されている。両サイドの2本の棒部材14aの前端部は、ショーケース本体2の手前側に形成された取付孔(図示せず)に差し込まれて上下方向回動可能に取付けられるとともに、その前端部には取付孔から前方側に入りすぎることを防止するための突部17が設けられている。
【0017】
奥側フレーム15は、U字形に折り曲げられた棒部材15aと、この棒部材15aの中央部に溶接された直線状の棒部材15bとにより構成されている。この奥側フレーム15は、手前側フレーム14に溶接された3つの保持部18にスライド可能に挿入され、手前側フレーム14に対して、前後方向(図4及び図5に示す矢印方向)にスライド可能とされている。また、棒部材15aは背面板8の冷気孔8aに差し込み可能な構造とされており、棒部材15aの先端部には差し込んだ冷気孔8aから手前側に抜け落ちることを防止するための突部15cが設けられている。
【0018】
陳列パン引掛部16は、棒状部材をU字形に折り曲げることにより形成されており、一対の脚部16aとその間に位置する引掛部16bとにより構成されている。そして、脚部16aの端部が奥側フレーム15の棒部材15aに溶接されている。これにより、陳列パン引掛部16は、奥側フレーム15を矢印方向にスライドさせた場合には奥側フレーム15と一体となってスライドするようになっている。
【0019】
図5は、陳列パン支持部13と陳列パン6とを示す分解斜視図である。陳列パン6の端部には下向きに屈曲した屈曲部6aが形成されている。陳列パン6を陳列パン支持部13により支持する場合には、屈曲部6aが陳列パン引掛部16の引掛部16bに引っ掛けられるようになっている。
【0020】
このような構成において、このショーケース1では、陳列パン6の姿勢を、図1に示したように水平状態になる姿勢と、図2に示したように後方上がりに傾斜した状態となる姿勢とに切替えることができる。
【0021】
陳列パン6の姿勢を図1に示した水平状態から図2に示した傾斜角度に切替える場合には、陳列パ6を陳列パン支持部13から一旦取外し、奥側フレーム15を手前側フレーム14に対して後方側へスライドさせる。奥側フレーム15を後方側へスライドさせることにより陳列パン支持部13の前後方向の長さを長くした後、奥側フレーム15の棒部材15aの先端部を差し込む冷気孔8aを上方に位置する他の冷気孔8aに変更する。
【0022】
このようにして陳列パン支持部13の傾斜角度を切替えた後に、この陳列パン支持部13に陳列パン6を取付けるが、この取付けは、陳列パン6の屈曲部6aを陳列パン引掛部16の引掛部16bに引っ掛けることにより行う。
【0023】
ここで、陳列パン引掛部16は奥側フレーム15に固定されているため、陳列パン支持部13の傾斜角度を切替えるために奥側フレーム15を後方側へスライドさせた場合において、陳列パン引掛部16は奥側フレーム15と一体にスライドする。このため、後側フレーム15後方側へスライドさせた場合でも、陳列パン引掛部16の引掛部16bと背面板8との間隔を一定に維持することができる。これにより、引掛部16bに引っ掛けられた陳列パン6の後端部と背面板8との間隔を一定に維持することができ、図2に示すように、陳列パン6の後端部と背面板8との間に隙間が生じることを防止することができる。
【0024】
したがって、背面板8の冷気孔8aを通って陳列パンの上面側に吹出した冷気が、陳列パン6の後端部と背面板8との間に生じた隙間から陳列パンの下側に入り込むということを防止することができ、冷気孔8aを通って吹出した冷気を陳列パン6の上面に沿って流すことができる。このため、冷気孔8aから吹出した冷気が陳列パン6の後端部と背面板8との間に生じた隙間に入り込み、陳列パン6の上に陳列されている商品に対する冷却性能が低下するということを防止することができる。このようにして、陳列パン6の傾斜角度を切替えた場合においてもその陳列パン6の上に陳列されている商品に対する冷却性能を維持することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ショーケース
2 ショーケース本体
3 開口
4 商品陳列室
5 商品陳列部
6 陳列パン(商品陳列部)
6a 屈曲部
7 冷気ダクト
8 背面板
8a 冷気孔
9 冷却器
10 ファン
11 吹出口
12 吸込口
13 陳列パン支持部
14 手前側フレーム
14a 棒部材
14b 棒部材
15 奥側フレーム
15a 棒部材
15b 棒部材
15c 突部
16 陳列パン引掛部
16a 脚部
16b 引掛部
17 突部
18 保持部
図1
図2
図3
図4
図5