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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240109BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240109BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240109BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240109BHJP
   H10B 99/00 20230101ALI20240109BHJP
   H10B 43/40 20230101ALI20240109BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
H10B99/00 481
H10B43/40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019111045
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020205302
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176599
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100205095
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100208775
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 洋
(72)【発明者】
【氏名】橋本 寿文
(72)【発明者】
【氏名】前田 高志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真澄
(72)【発明者】
【氏名】内海 哲章
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504217(JP,A)
【文献】特開2014-049143(JP,A)
【文献】特開2018-117102(JP,A)
【文献】特開2018-026518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 43/40
H10B 99/00
H01L 21/336
H01L 21/788
H01L 21/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリチップと、
前記メモリチップに貼り合わされた回路チップを備えた半導体記憶装置であって、
前記メモリチップは、
複数のメモリセルを含む第1領域と、
前記第1領域と異なる第2領域と、
前記第1領域及び前記第2領域において、前記回路チップと前記メモリチップとの貼合面に垂直な第1方向に互いに離れて積層された複数の第1ワード線と、
前記第1領域において、前記複数の第1ワード線を貫通して設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層と前記複数の第1ワード線との間に設けられた第1絶縁体層と、を含み、前記複数の第1ワード線と前記第1半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する第1ピラーと、
前記第2領域において、前記貼合面に設けられた第1接合金属と、
前記第1方向において前記複数の第1ワード線と前記第1接合金属との間の第1層に設けられ、前記複数の第1ワード線の1つである第2ワード線と前記第1接合金属との間に接続された第1トランジスタと、
前記第1ピラーの一端に接続され、前記第1方向において、前記第2ワード線に対して前記第1トランジスタとは反対側に設けられたソース線と、を含み、
前記回路チップは、
基板と、
前記メモリチップの前記第1接合金属と対向して設けられた第4接合金属と、
前記基板上に設けられ、前記第1接合金属と前記第4接合金属とを介して前記第1トランジスタと電気的に接続された制御回路と、を含む、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリチップは、
前記第1領域及び前記第2領域において、前記複数の第1ワード線と離れて設けられ、前記第1方向において互いに離れて積層された複数の第ワード線と、
前記第1領域において、前記複数の第ワード線を貫通して設けられた第2半導体層と、前記第2半導体層と前記複数の第ワード線との間に設けられた第2絶縁体層と、を含み、前記複数の第ワード線と前記第2半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する第2ピラーと、
前記第2領域において、前記第1層に設けられ、前記複数の第3ワード線の1つである第4ワード線と前記第1接合金属との間に接続され、ゲート電極が前記第1トランジスタと分離された第2トランジスタと、をさらに含む、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記メモリチップは、前記第2領域おいて、前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続された第2接合金属と、前記第2トランジスタのゲートに電気的に接続された第3接合金属と、をさらに含む、
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
メモリチップと、
前記メモリチップに貼り合わされた回路チップを備えた半導体記憶装置であって、
前記メモリチップは、
前記回路チップと前記メモリチップとの貼合面に垂直な第1方向において互いに離れて積層された複数の第1ワード線と、
前記複数の第1ワード線を貫通して設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層と前記複数の第1ワード線との間に設けられた第1絶縁体層と、を含み、前記複数の第1ワード線と前記第1半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する第1ピラーと、
前記第1半導体層と電気的に接続された第1ビット線と、
前記第1方向において前記貼合面と前記第1ビット線との間に少なくとも一部が位置するように設けられ、前記第1ビット線と電気的に接続された第1トランジスタと、
前記第1ピラーの一端に接続され、前記第1方向において、前記第1ビット線に対して前記第1トランジスタとは反対側に設けられたソース線と、
前記貼合面に設けられ、前記第1トランジスタを介して前記第1ビット線と電気的に接続された第1接合金属と、を含み、
前記回路チップは、
基板と、
前記メモリチップの前記第1接合金属と対向して設けられた第4接合金属と、
前記基板上に設けられ、前記第1接合金属と前記第4接合金属とを介して前記第1トランジスタと電気的に接続された制御回路と、を含む、
半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリチップは、
前記複数の第1ワード線を貫通して設けられた第2半導体層と、前記第2半導体層と前記複数の第1ワード線との間に設けられた第2絶縁体層と、を含み、前記複数の第1ワード線と前記第2半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する第2ピラーと、
前記第2半導体層と電気的に接続された第2ビット線と、
前記第2ビット線と電気的に接続され、且つゲートが前記第1トランジスタのゲートと電気的に接続された第2トランジスタと、
前記第2トランジスタを介して前記第2ビット線と電気的に接続された第2接合金属と、をさらに含む、
請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記メモリチップは、前記第1トランジスタの前記ゲートと、前記第2トランジスタの前記ゲートとに電気的に接続された第3接合金属をさらに含む、
請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
メモリチップと、
前記メモリチップに貼り合わされた回路チップを備えた半導体記憶装置であって、
前記メモリチップは、
前記回路チップと前記メモリチップとの貼合面に垂直な第1方向において互いに離れて積層された複数の第1ワード線と、
前記複数の第1ワード線を貫通して設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層と前記複数の第1ワード線との間に設けられた第1絶縁体層と、を含み、前記複数の第1ワード線と前記第1半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する第1ピラーと、
前記第1半導体層と電気的に接続された第1ビット線と、
前記貼合面と前記第1ビット線との間に少なくとも一部が位置するように設けられ、前記第1ビット線と電気的に接続された第1トランジスタと、
前記第1ピラーの一端に接続され、前記第1方向において、前記第1ビット線に対して前記第1トランジスタとは反対側に設けられたソース線と、
前記貼合面に設けられ、前記第1トランジスタを介して前記第1ビット線と電気的に接続された第1接合金属と、
前記第1トランジスタを介して高電圧を前記第1ビット線に印加することが可能なポンプ回路と、を含み、
前記回路チップは、
基板と、
前記メモリチップの前記第1接合金属と対向して設けられた第4接合金属と、
前記基板上に設けられ、前記第1接合金属と前記第4接合金属とを介して前記第1トランジスタと電気的に接続された制御回路と、を含む、
半導体記憶装置。
【請求項8】
前記メモリチップは、
前記複数の第1ワード線にそれぞれ接続された複数の第2トランジスタと、
前記複数の第2トランジスタを介して前記複数の第1ワード線と接続された信号線と、
前記信号線に接続された第3トランジスタと、
前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとの間に接続された第4トランジスタと、をさらに含む、
請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記制御回路に含まれたトランジスタは、前記第1トランジスタよりも低耐圧のトランジスタによって構成される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタのチャネルは、前記第1方向に延伸している、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第1接合金属は、銅を含む、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-148071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体記憶装置が記憶するデータの信頼性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、メモリチップと、メモリチップに貼り合わされた回路チップを備える。メモリチップは、第1領域と、第2領域と、複数の第1ワード線と、第1ピラーと、第1接合金属と、第1トランジスタと、ソース線とを含む。第1領域は、複数のメモリセルを含む。第2領域は第1領域と異なる。複数の第1ワード線は、第1領域及び第2領域において、回路チップとメモリチップとの貼合面に垂直な第1方向に互いに離れて積層される。複数の第1ワード線は、第2ワード線を含む。第1ピラーは、第1領域において、複数の第1ワード線を貫通して設けられた第1半導体層と、第1半導体層と複数の第1ワード線との間に設けられた第1絶縁体層とを含む。複数の第1ワード線と第1半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する。第1接合金属は、第2領域において、貼合面に設けられる。第1トランジスタは、第1方向において複数の第1ワード線と第1接合金属との間の第1層に設けられ、第ワード線と第1接合金属との間に電気的に接続される。ソース線は、第1ピラーの一端に接続され、第1方向において、第2ワード線に対して第1トランジスタとは反対側に設けられる。回路チップは、基板と、第4接合金属と、制御回路とを含む。第4接合金属は、メモリチップの第1接合金属と対向して設けられる。制御回路は、基板上に設けられる。制御回路は、第1接合金属と第4接合金属とを介して第1トランジスタと電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の備えるセンスアンプモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図4】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるセンスアンプユニットの回路構成の一例を示す回路図。
図5】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるロウデコーダモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図6】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構造の一例を示す斜視図。
図7】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリチップの平面レイアウトの一例を示す平面図。
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域における平面レイアウトの一例を示す平面図。
図9】第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域における断面構造の一例を示す、図8のIX-IX線に沿った断面図。
図10】第1実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリピラーの断面構造の一例を示す、図9のX-X線に沿った断面図。
図11A】第1実施形態に係る半導体記憶装置のあるブロックの引出領域における断面構造の一例を示す断面図。
図11B】第1実施形態に係る半導体記憶装置の他のブロックの引出領域における断面構造の他の一例を示す断面図。
図12】第1実施形態に係る半導体記憶装置における縦型トランジスタの断面構造の一例を示す、図11AのXII-XII線に沿った断面図。
図13】第1実施形態に係る半導体記憶装置の引出領域における構造の一例を示す斜視図。
図14】第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域MR及びセンスアンプ領域における断面構造の一例を示す断面図。
図15】第2実施形態に係る半導体記憶装置の引出領域における構造の一例を示す斜視図。
図16】第2実施形態に係る半導体記憶装置における横型トランジスタの断面構造の一例を示す断面図。
図17】第3実施形態に係る半導体記憶装置のメモリ領域MR及びセンスアンプ領域における断面構造の一例を示す断面図。
図18】第4実施形態に係る半導体記憶装置におけるセンスアンプユニットの回路構成の一例を示す回路図。
図19】第4実施形態に係る半導体記憶装置における消去動作の一例を示すタイミングチャート。
図20】第5実施形態に係る半導体記憶装置の回路構成の一例を示す回路図。
図21】第5実施形態の比較例に係る半導体記憶装置における動作の完了処理一例を示すタイミングチャート。
図22】第5実施形態に係る半導体記憶装置における動作の完了処理の一例を示すタイミングチャート。
図23】第6実施形態に係る半導体記憶装置におけるドライバモジュールの回路構成の一例を示す回路図。
図24】第6実施形態に係る半導体記憶装置におけるパッド領域の平面レイアウトの一例を示す平面図。
図25】第6実施形態に係る半導体記憶装置におけるチャージポンプの構造の一例を示す斜視図。
図26】第7実施形態に係る半導体記憶装置におけるメモリチップの平面レイアウトの一例を示す平面図。
図27】第7実施形態と第7実施形態の比較例におけるプレーン間の配線のイメージを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的又は概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。本発明の技術思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
【0008】
尚、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。参照符号を構成する文字の後の数字は、同じ文字を含んだ参照符号によって参照され、且つ同様の構成を有する要素同士を区別するために使用される。同じ文字を含んだ参照符号で示される要素を相互に区別する必要がない場合、これらの要素はそれぞれ文字のみを含んだ参照符号により参照される。
【0009】
[1]第1実施形態
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置1について説明する。
【0010】
[1-1]半導体記憶装置1の構成
[1-1-1]半導体記憶装置1の全体構成
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示している。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリであり、外部のメモリコントローラ2によって制御される。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は、例えばNANDインターフェイス規格をサポートしている。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、センスアンプモジュール14、ドライバモジュール15、及びロウデコーダモジュール16を備えている。
【0012】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0013】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0014】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBAd、ページアドレスPAd、及びカラムアドレスCAdは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0015】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいてセンスアンプモジュール14、ドライバモジュール15、及びロウデコーダモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行する。
【0016】
センスアンプモジュール14は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール14は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0017】
ドライバモジュール15は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール15は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAdに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0018】
ロウデコーダモジュール16は、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAdに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダモジュール16は、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0019】
以上で説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0020】
[1-1-2]半導体記憶装置1の回路構成
(メモリセルアレイ10の回路構成について)
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示し、メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKが抽出されている。図2に示すように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU0~SU3を含んでいる。
【0021】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL0~BLm(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルトランジスタMT0~MT7、並びに選択トランジスタST1及びST2を含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0022】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7は、直列接続される。選択トランジスタST1のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST1のソースは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の一端に接続される。選択トランジスタST2のドレインは、直列接続されたメモリセルトランジスタMT0~MT7の他端に接続される。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続される。
【0023】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルトランジスタMT0~MT7の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。ストリングユニットSU0~SU3内のそれぞれの選択トランジスタST1のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に共通接続される。選択トランジスタST2のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0024】
以上で説明したメモリセルアレイ10の回路構成において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0025】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルトランジスタMTを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0026】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10は、以上で説明した回路構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0027】
(センスアンプモジュール14の回路構成について)
図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるセンスアンプモジュール14の回路構成の一例を示している。図3に示すように、センスアンプモジュール14は、例えばセンスアンプユニットSAU0~SAUmを含んでいる。センスアンプユニットSAU0~SAUmは、それぞれビット線BL0~BLmに関連付けられている。各センスアンプユニットSAUは、例えばビット線接続部BLHU、センスアンプ部SA、バスLBUS、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL及びXDLを含んでいる。
【0028】
ビット線接続部BLHUは、関連付けられたビット線BLと、センスアンプ部SAとの間に接続される。センスアンプ部SAは、例えば読み出し動作において、関連付けられたビット線BLの電圧に基づいて、読み出しデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。言い換えると、センスアンプ部SAは、関連付けられたビット線BLに読み出されたデータをセンスして、選択されたメモリセルの記憶するデータを判定する。ラッチ回路SDL、ADL、BDL及びXDLのそれぞれは、読み出しデータや書き込みデータ等を一時的に保持する。
【0029】
センスアンプ部SA、並びにラッチ回路SDL、ADL、BDL及びXDLは、それぞれがバスLBUSに接続され、バスLBUSを介して互いにデータを送受信することが出来る。ラッチ回路XDLは、図示されない入出力回路に接続され、センスアンプユニットSAUと入出力回路との間のデータの入出力に使用される。また、ラッチ回路XDLは、例えば半導体記憶装置1のキャッシュメモリとしても使用され得る。例えば、半導体記憶装置1は、ラッチ回路SDL、ADL及びBDLが使用中であったとしても、ラッチ回路XDLが空いている場合にレディ状態になることが出来る。
【0030】
図4は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1におけるセンスアンプユニットSAUの回路構成の一例を示している。図4に示すように、例えば、センスアンプ部SAはトランジスタ20~27並びにキャパシタ28を含み、ビット線接続部BLHUはトランジスタ30を含んでいる。
【0031】
トランジスタ20は、P型のMOSトランジスタである。トランジスタ21~27のそれぞれは、N型のMOSトランジスタである。トランジスタ30は、トランジスタ20~27のそれぞれよりも高耐圧なN型のMOSトランジスタである。以下では、トランジスタ20~27のことを低耐圧トランジスタ、トランジスタ30のことを高耐圧トランジスタとも称する。
【0032】
トランジスタ20のソースは、電源線に接続される。トランジスタ20のドレインは、ノードND1に接続される。トランジスタ20のゲートは、例えばラッチ回路SDL内のノードINVに接続される。トランジスタ21のドレインは、ノードND1に接続される。トランジスタ21のソースは、ノードND2に接続される。トランジスタ21のゲートには、制御信号BLXが入力される。トランジスタ22のドレインは、ノードND1に接続される。トランジスタ22のソースは、ノードSENに接続される。トランジスタ22のゲートには、制御信号HLLが入力される。
【0033】
トランジスタ23のドレインは、ノードSENに接続される。トランジスタ23のソースは、ノードND2に接続される。トランジスタ23のゲートには、制御信号XXLが入力される。トランジスタ24のドレインは、ノードND2に接続される。トランジスタ24のゲートには、制御信号BLCが入力される。トランジスタ25のドレインは、ノードND2に接続される。トランジスタ25のソースは、ノードSRCに接続される。トランジスタ25のゲートは、例えばラッチ回路SDL内のノードINVに接続される。
【0034】
トランジスタ26のソースは、接地される。トランジスタ26のゲートは、ノードSENに接続される。トランジスタ27のドレインは、バスLBUSに接続される。トランジスタ27のソースは、トランジスタ26のドレインに接続される。トランジスタ27のゲートには、制御信号STBが入力される。キャパシタ28の一方電極は、ノードSENに接続される。キャパシタ28の他方電極には、クロックCLKが入力される。
【0035】
トランジスタ30のドレインは、トランジスタ24のソースに接続される。トランジスタ30のソースは、ビット線BLに接続される。トランジスタ30のゲートには、制御信号BLSが入力される。
【0036】
以上で説明したセンスアンプユニットSAUの回路構成において、トランジスタ20のソースに接続された電源線には、例えば電源電圧VDDが印加される。ノードSRCには、例えば接地電圧VSSが印加される。制御信号BLX、HLL、XXL、BLC、STB、及びBLS、並びにクロックCLKのそれぞれは、例えばシーケンサ13によって生成される。センスアンプ部SAは、例えば制御信号STBがアサートされたタイミングに基づいて、ビット線BLに読み出されたデータを判定する。
【0037】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるセンスアンプモジュール14は、以上で説明した回路構成に限定されない。例えば、各センスアンプユニットSAUが備えるラッチ回路の個数は、1つのセルユニットCUが記憶するページ数に基づいて適宜変更され得る。センスアンプ部SAは、ビット線BLに読み出されたデータを判定することが可能であれば、その他の回路構成であっても良い。
【0038】
(ロウデコーダモジュール16の回路構成について)
図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるロウデコーダモジュール16の回路構成の一例を示している。図5に示すように、ロウデコーダモジュール16は、例えば信号線CG0~CG7、SGDD0~SGDD3、SGSD、USGD、及びUSGSを介してドライバモジュール15に接続される。
【0039】
以下に、ブロックBLK0に対応するロウデコーダRD0に着目して、ロウデコーダRDの詳細な回路構成について説明する。ロウデコーダRDは、例えばブロックデコーダBD、転送ゲート線TG及びbTG、並びにトランジスタTR0~TR17を含んでいる。
【0040】
ブロックデコーダBDは、ブロックアドレスBAdをデコードする。そして、ブロックデコーダBDは、デコード結果に基づいて転送ゲート線TG及びbTGのそれぞれに所定の電圧を印加する。転送ゲート線TGに印加される電圧と転送ゲート線bTGに印加される電圧とは、相補的な関係にある。言い換えると、転送ゲート線TGbには、転送ゲート線TGの反転信号が入力される。
【0041】
トランジスタTR0~TR17のそれぞれは、高耐圧なN型のMOSトランジスタである。トランジスタTR0~TR12のそれぞれのゲートは、転送ゲート線TGに共通接続される。トランジスタTR13~TR17のそれぞれのゲートは、転送ゲート線bTGに共通接続される。また、各トランジスタTRは、ドライバモジュール15から配線された信号線と、対応するブロックBLKに設けられた配線との間に接続される。
【0042】
具体的には、トランジスタTR0のドレインは、信号線SGSDに接続される。トランジスタTR0のソースは、選択ゲート線SGSに接続される。トランジスタTR1~TR8のそれぞれのドレインは、それぞれ信号線CG0~CG7に接続される。トランジスタTR1~TR8のそれぞれのソースは、それぞれワード線WL0~WL7に接続される。トランジスタTR9~TR12のそれぞれのドレインは、それぞれ信号線SGDD0~SGDD3に接続される。トランジスタTR9~TR12のそれぞれのソースは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。トランジスタTR13のドレインは、信号線USGSに接続される。トランジスタTR13のソースは、選択ゲート線SGSに接続される。トランジスタTR14~TR17のそれぞれのドレインは、信号線USGDに共通接続される。トランジスタTR14~TR17のそれぞれのソースは、それぞれ選択ゲート線SGD0~SGD3に接続される。
【0043】
以上の構成によりロウデコーダモジュール16は、ブロックBLKを選択することが出来る。具体的には、各種動作時において、選択されたブロックBLKに対応するブロックデコーダBDが、“H”レベル及び“L”レベルの電圧をそれぞれ転送ゲート線TG及びbTGに印加し、非選択のブロックBLKに対応するブロックデコーダBDが、“L”レベル及び“H”レベルの電圧をそれぞれ転送ゲート線TG及びbTGに印加する。
【0044】
尚、以上で説明したロウデコーダモジュール16の回路構成はあくまで一例であり、適宜変更され得る。例えば、ロウデコーダモジュール16が含むトランジスタTRの個数は、各ブロックBLKに設けられる配線の本数に基づいた個数に設計され得る。
【0045】
[1-1-3]半導体記憶装置1の構造
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構造の一例について説明する。尚、以下で参照される図面において、X方向はワード線WLの延伸方向に対応し、Y方向はビット線BLの延伸方向に対応し、Z方向は半導体記憶装置1が形成される半導体基板の表面に対する鉛直方向に対応している。平面図には、図を見易くするためにハッチングが適宜付加されている。平面図に付加されたハッチングは、ハッチングが付加された構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。本明細書で参照される図面では、図を見易くするために、配線やコンタクト等の構成要素が適宜省略されている。
【0046】
(半導体記憶装置1の全体構造について)
図6は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の全体構造の一例を示している。図6に示すように、半導体記憶装置1は、メモリチップMC及びCMOSチップCCを含み、メモリチップMCの下面とCMOSチップCCの上面とが貼り合わされた構造を有している。メモリチップMCは、例えばメモリセルアレイ10に対応する構造と、ロウデコーダモジュール16に対応する構造の一部とを含んでいる。CMOSチップCCは、例えばシーケンサ13、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、センスアンプモジュール14、及びドライバモジュール15に対応する構造と、ロウデコーダモジュール16に対応する構造の一部とを含んでいる。
【0047】
メモリチップMCの領域は、例えばメモリ領域MR、引出領域HR1及びHR2、並びにパッド領域PR1に分けられる。メモリ領域MRには、NANDストリングNSが設けられる。メモリ領域MRは、例えばX方向において引出領域HR1及びHR2によって挟まれている。引出領域HR1及びHR2には、ロウデコーダモジュール16に対応する回路の一部(例えばトランジスタTR)が設けられる。パッド領域PR1は、例えばメモリ領域MR並びに引出領域HR1及びHR2と、Y方向において隣り合っている。
【0048】
CMOSチップCCの領域は、例えばセンスアンプ領域SR、周辺回路領域PERI、転送領域XR1及びXR2、並びにパッド領域PR2に分けられる。センスアンプ領域SRには、センスアンプモジュール14が設けられる。周辺回路領域PERIには、例えばシーケンサ13等が設けられる。転送領域XR1及びXR2には、例えばロウデコーダモジュール16に対応する回路の一部(例えばブロックデコーダBD)が設けられる。センスアンプ領域SR及び周辺回路領域PERIのそれぞれは、X方向において隣り合っている。例えば、センスアンプ領域SR及び周辺回路領域PERIの組は、メモリチップMC内のメモリ領域MRと重なって配置され、X方向において転送領域XR1及びXR2によって挟まれている。転送領域XR1及びXR2は、それぞれメモリチップMC内の引出領域HR1及びHR2と重なっている。パッド領域PR2には、例えば半導体記憶装置1の入出力回路等が設けられる。パッド領域PR2は、メモリチップMC内のパッド領域PR1と重なっている。
【0049】
メモリチップMCは、メモリ領域MR、引出領域HR1及びHR2、並びにパッド領域PR1のそれぞれの下部において、複数の貼合パッドBPを有している。CMOSチップCCは、センスアンプ領域SR、周辺回路領域PERI、転送領域XR1及びXR2、並びにパッド領域PR2のそれぞれの上部において、複数の貼合パッドBPを有している。
【0050】
メモリ領域MR内の貼合パッドBPは、ビット線BLと電気的に接続され、センスアンプ領域SR内の貼合パッドBPと重なって配置される。引出領域HR1内の貼合パッドBPは、ワード線WLと電気的に接続され、転送領域XR1内の貼合パッドBPと重なって配置される。引出領域HR2内の貼合パッドBPは、ワード線WLと電気的に接続され、転送領域XR2内の貼合パッドBPと重なって配置される。パッド領域PR1内の貼合パッドBPは、パッド領域PR2内の貼合パッドBPと重なって配置される。各領域において、メモリチップMC及びCMOSチップCC間で対向する貼合パッドBP同士は貼り合わされ、電気的に接続される。
【0051】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の全体構造は、以上で説明した構造に限定されない。例えば、メモリ領域MRと隣り合う引出領域HRは、少なくとも1つ設けられていれば良い。半導体記憶装置1は、メモリ領域MR及び引出領域HRの組を複数有していても良い。この場合、センスアンプ領域SR、転送領域XR、及び周辺回路領域PERIの組は、メモリ領域MR及び引出領域HRの配置に対応して適宜設けられる。
【0052】
(半導体記憶装置1のメモリチップMCにおける構造について)
図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリチップMCにおける平面レイアウトの一例であり、メモリ領域MR及び引出領域HR1及びHR2において1つのブロックBLK(すなわちストリングユニットSU0~SU3)に対応する領域を示している。図7に示すように、メモリチップMCは、複数のスリットSLTを含んでいる。
【0053】
複数のスリットSLTは、それぞれがX方向に沿って延伸して設けられ、X方向においてメモリ領域MR及び引出領域HR1及びHR2を横切っている。また、複数のスリットSLTは、Y方向に配列している。スリットSLTは、内部に絶縁部材が埋め込まれた構造を有し、同じ配線層に設けられ且つ当該スリットSLTを介して隣り合う導電体層間を分断している。具体的には、スリットSLTは、ワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGD及びSGSにそれぞれ対応する複数の配線層を分断している。
【0054】
引出領域HR1及びHR2のそれぞれには、例えばメモリ領域MRから延伸した配線層が階段状に設けられる。そして、引出領域HR1及びHR2のそれぞれの階段部分には、NANDストリングNSに接続されたワード線WL0~WL7並びに選択ゲート線SGS及びSGDとロウデコーダモジュール16との間を電気的に接続するための複数のコンタクトが設けられる。
【0055】
以上で説明した実施形態におけるメモリセルアレイ10の平面レイアウトでは、スリットSLTによって区切られた領域のそれぞれが、1つのストリングユニットSUに対応している。つまり、本例では、各々がX方向に延伸したストリングユニットSU0~SU3が、Y方向に配列している。そして、メモリ領域MR及び引出領域HR1及びHR2には、例えば図7に示されたレイアウトがY方向に繰り返し配置される。
【0056】
図7に示された一例では、同一のブロックBLKに対応するストリングユニットSUが、スリットSLTによって完全に区切られている。この場合、同一のブロックBLK内でスリットSLTによって分割され、且つ同一の配線層に設けられたワード線WLや選択ゲート線SGSのそれぞれは、異なる配線層を介して電気的に接続される。
【0057】
尚、同一のブロックBLKに対応するストリングユニットSUは、必ずしもスリットSLTによって完全に区切られていなくても良い。例えば、同一のブロックBLKの内側に設けられたスリットSLTは、少なくともメモリ領域MRと選択ゲート線SGDとを分断していれば良い。この場合、同一のブロックBLKで同一の配線層に設けられたワード線WLは、引出領域HR1及びHR2において連続的に設けられ、電気的に接続される。
【0058】
図8は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリ領域MRにおける平面レイアウトの一例を示している。図8に示すように、メモリ領域MRにおいて半導体記憶装置1は、複数のメモリピラーMP、複数のコンタクトCV、及び複数のビット線BLをさらに含んでいる。
【0059】
各メモリピラーMPは、例えば1つのNANDストリングNSとして機能する。複数のメモリピラーMPは、例えば隣り合う2つのスリットSLT間の領域において、4列の千鳥状に配置される。これに限定されず、隣り合う2つのスリットSLT間におけるメモリピラーMPの個数及び配置は、適宜変更され得る。隣り合うスリットSLT間に配置されたメモリピラーMPの集合が、例えば1つのストリングユニットSUに対応している。
【0060】
複数のビット線BLは、それぞれがY方向に延伸し、X方向に配列している。各ビット線BLは、ストリングユニットSU毎に少なくとも1つのメモリピラーMPと重なるように配置される。本例において各メモリピラーMPには、2本のビット線BLが重なって配置されている。メモリピラーMPに重なっている複数のビット線BLのうち1本のビット線BLと、当該メモリピラーMPとの間には、コンタクトCVが設けられる。各メモリピラーMPは、コンタクトCVを介して対応するビット線BLと電気的に接続される。
【0061】
図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図であり、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリ領域MRにおける断面構造の一例を示している。図9に示された半導体記憶装置1は、上下が反転した状態で示され、図9の上側に貼合パッドBPが位置している。図9に示すように、メモリ領域MRにおいて半導体記憶装置1は、例えば絶縁体層40、導電体層41~48、並びにコンタクトV0~V2をさらに含んでいる。
【0062】
絶縁体層40は、図示された領域において最上層に設けられた絶縁体層である。絶縁体層40下には、導電体層41が設けられる。導電体層41は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、ソース線SLとして使用される。導電体層41は、例えばシリコン(Si)を含んでいる。
【0063】
導電体層41の下方には、絶縁体層を介して導電体層42が設けられる。導電体層42は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGSとして使用される。導電体層42は、例えばタングステン(W)を含んでいる。
【0064】
導電体層42の下方には、導電体層43と絶縁体層とが交互に積層される。導電体層43は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された複数の導電体層43は、絶縁体層40側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層43は、例えばタングステン(W)を含んでいる。
【0065】
最下層の導電体層43の下方には、絶縁体層を介して導電体層44が設けられる。導電体層44は、例えばXY平面に沿って広がった板状に形成され、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層44は、例えばタングステン(W)を含んでいる。
【0066】
導電体層44の下方には、絶縁体層を介して導電体層45が設けられる。導電体層45は、例えばY方向に延伸したライン状に形成され、ビット線BLとして使用される。つまり、図示せぬ領域において複数の導電体層45は、X方向に沿って配列している。導電体層45は、例えば銅(Cu)を含んでいる。以下では、導電体層45(ビット線BL)が設けられた配線層のことを配線層M0と呼ぶ。
【0067】
導電体層45の下方には、絶縁体層を介して導電体層46が設けられる。導電体層46は、例えば貼合パッドBP及びビット線BL間の接続を中継する配線として使用される。導電体層46と導電体層45(ビット線BL)との間は、コンタクトV0によって接続される。導電体層46は、例えば銅(Cu)を含んでいる。以下では、導電体層46が設けられた配線層のことを配線層M1と呼ぶ。
【0068】
導電体層46の下方には、絶縁体層を介して導電体層47が設けられる。導電体層47は、例えば貼合パッドBP及びビット線BL間の接続を中継する配線として使用される。導電体層47と導電体層46との間は、コンタクトV1によって接続される。導電体層47は、例えば銅(Cu)を含んでいる。以下では、導電体層47が設けられた配線層のことを配線層M2と呼ぶ。
【0069】
導電体層47の下方には、絶縁体層を介して導電体層48が設けられる。導電体層48は、貼合パッドBPとして使用され、メモリ領域MRの最下部に配置される。例えば、導電体層48(貼合パッドBP)と導電体層47との間は、コンタクトV2によって接続される。導電体層48は、例えば銅(Cu)を含んでいる。以下では、導電体層48が設けられた配線層のことを配線層M3と呼ぶ。
【0070】
スリットSLTは、例えばXZ平面に沿って広がった板状に形成され、導電体層42~44を分断している。スリットSLTの上端は、例えば導電体層41に接触している。スリットSLTの下端は、例えば導電体層44及び45間の層に含まれている。
【0071】
メモリピラーMPの各々は、Z方向に沿って延伸して設けられ、導電体層42~44を貫通している。メモリピラーMPの上部は、導電体層41に接している。また、メモリピラーMPの各々は、例えば半導体層50、トンネル絶縁膜51、絶縁膜52、及びブロック絶縁膜53を含んでいる。
【0072】
半導体層50は、Z方向に沿って延伸して設けられる。例えば、半導体層50の上端は、導電体層41に接触し、半導体層50の下端は、導電体層44及び45間の層に含まれている。トンネル絶縁膜51は、半導体層50の側面を覆っている。絶縁膜52は、トンネル絶縁膜51の側面を覆っている。ブロック絶縁膜53は、絶縁膜52の側面を覆っている。トンネル絶縁膜51及びブロック絶縁膜53のそれぞれは、例えば酸化シリコン(SiO)を含んでいる。絶縁膜52は、例えば窒化シリコン(SiN)を含んでいる。
【0073】
メモリピラーMP内の半導体層50下には、柱状のコンタクトCVが設けられる。図示された領域には、2本のメモリピラーMPのうち、1本のメモリピラーMPに対応するコンタクトCVが表示されている。当該領域においてコンタクトCVが接続されていないメモリピラーMPには、図示されない領域においてコンタクトCVが接続される。
【0074】
コンタクトCVの下面には、1つの導電体層45、すなわち1本のビット線BLが接触している。1つの導電体層45には、スリットSLTによって区切られた空間のそれぞれにおいて、1本のコンタクトCVが接続される。つまり、導電体層45の各々には、隣り合う2本のスリットSLT間における1本のメモリピラーMPが電気的に接続される。
【0075】
図10は、図9のX-X線に沿った断面図であり、第1実施形態に係る半導体記憶装置1におけるメモリピラーMPの断面構造の一例を示している。図10に示すように、導電体層43を含む層では、半導体層50は、例えばメモリピラーMPの中央部に設けられる。トンネル絶縁膜51は、半導体層50の側面を囲っている。絶縁膜52は、トンネル絶縁膜51の側面を囲っている。ブロック絶縁膜53は、絶縁膜52の側面を囲っている。導電体層43は、ブロック絶縁膜53の側面を囲っている。尚、各メモリピラーMPは、半導体層50の内側に絶縁体層をさらに含み、メモリピラーMPの中央部に当該絶縁体層が位置していても良い。
【0076】
以上で説明したメモリピラーMPの構造では、メモリピラーMPと導電体層42とが交差した部分が、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと導電体層43とが交差した部分が、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電体層44とが交差した部分が、選択トランジスタST1として機能する。つまり、半導体層50は、メモリセルトランジスタMT0~MT7並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれのチャネルとして機能する。絶縁膜52は、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として機能する。
【0077】
図11A及び図11Bは、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の引出領域HRにおける断面構造の一例を示している。図11Aは、半導体記憶装置1に含まれる1つのブロックBLKの引出領域HRに対応しており、図11Bは、半導体記憶装置1に含まれる他のブロックBLKの引出領域HRに対応している。
【0078】
図11Aに示すように、ある1つのブロックBLKの引出領域HRでは、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGDのそれぞれの端部は、この順番でX方向に段差が形成された階段状に設けられる。言い換えると、引出領域HRにおいて選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGDのそれぞれは、端部において下層の配線層(導電体層)と重ならないテラス部分を有している。
【0079】
また、上述の1つのブロックBLKの引出領域HRにおいて半導体記憶装置1は、複数のコンタクトCP、V1及びV2、複数のトランジスタTR、導電体層60、複数の導電体層61、並びに複数の導電体層62をさらに含んでいる。
【0080】
複数のコンタクトCPは、選択ゲート線SGSに対応する導電体層42と、ワード線WL0~WL7にそれぞれ対応する複数の導電体層43と、選択ゲート線SGDに対応する複数の導電体層44とのそれぞれのテラス部分に、それぞれ設けられる。
【0081】
各コンタクトCPの下方には、1つのトランジスタTRが設けられる。本例においてトランジスタTRは縦型トランジスタであり、トランジスタTRの上面及び底面にそれぞれ接触した2つのコンタクト間を流れる電流を制御することが出来る。尚、本明細書において“縦型トランジスタ”とは、チャネルの方向が半導体基板の表面に対して鉛直な方向であるトランジスタのことを示している。
【0082】
複数のトランジスタTRのそれぞれは、導電体層60を貫通している。導電体層60は、例えばX方向に延伸した板状に設けられる。導電体層60は、例えば配線層M1に含まれ、複数のトランジスタTRで共有される転送ゲート線TGとして機能する。
【0083】
複数のコンタクトV1は、例えば複数のトランジスタTRの下方と導電体層60の下方とにそれぞれ設けられる。各コンタクトV1の下方には、1つの導電体層61が設けられる。導電体層61は、例えば配線層M2に含まれ、ロウデコーダモジュール16に接続される信号線として機能する。対応する導電体層61及びトランジスタTRとの間と、導電体層60と導電体層61との間とのそれぞれは、コンタクトV1によって接続される。
【0084】
複数のコンタクトV2は、例えば複数の導電体層61の下方にそれぞれ設けられる。各コンタクトV2の下方には、例えば1つの導電体層62が設けられる。導電体層62は、例えば配線層M3に含まれ、貼合パッドBPとして使用される。対応する導電体層61と導電体層62との間は、コンタクトV2によって接続される。導電体層62は、例えば銅(Cu)を含んでいる。
【0085】
図11Bに示すように、他のブロックBLKの引出領域HRも、上述の1つのブロックBLKの引き出し領域HRと同様の構成を有している。一方で、他のブロックBLKの引出領域HRでは、コンタクトV2及び導電体層62がそれぞれ1つしか設けられていないという点が、上述の1つのブロックBLKと異なっている。
【0086】
図12は、図11AのXII-XII線に沿った断面図であり、第1実施形態に係る半導体記憶装置1におけるトランジスタTRの断面構造の一例を示している。図12に示すように、トランジスタTRは、絶縁体層70、半導体層71、及びゲート絶縁膜72を含んでいる。
【0087】
導電体層60を含む層では、絶縁体層70は、例えばトランジスタTRの中央部に設けられる。半導体層71は、絶縁体層70の側面を囲っている。ゲート絶縁膜72は、半導体層71の側面を囲っている。導電体層60は、ゲート絶縁膜72の側面を囲っている。つまり、半導体層71と導電体層60との間は、ゲート絶縁膜72によって絶縁されている。これにより、半導体層71がトランジスタTRのチャネルとして機能する。例えば、絶縁体層70及びゲート絶縁膜72のそれぞれは、酸化シリコン(SiO)を含んでいる。各トランジスタTRにおいて、絶縁体層70は省略されても良い。
【0088】
図13は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の引出領域HRにおける構造の一例を示す斜視図であり、引出領域HRにおける積層配線の階段構造の一部が抽出されている。図13に示すように、導電体層43(ワード線WL)のテラス部分には、コンタクトCPが接続される。そして、当該コンタクトCPには、板状の導電体層60(転送ゲート線TG)を貫通するトランジスタTRが接続される。トランジスタTRには、コンタクトV1を介して導電体層61(信号線CG)が接続される。導電体層61(信号線CG)は、複数のブロックBLKの引出領域HRにわたって設けられている。
【0089】
同様に、図示されない領域において、選択ゲート線SGSや選択ゲート線SGDには、コンタクトCP、トランジスタTR、及びコンタクトV1を介して導電体層61(信号線SGSD又はSGDD)が接続される。
【0090】
以上で説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置1の引出領域HRにおける構造では、ワード線WL0~WL7並びに選択ゲート線SGD及びSGSのそれぞれが、対応するコンタクトCPと縦型のトランジスタTRとの組を介してロウデコーダモジュール16に電気的に接続される。
【0091】
(半導体記憶装置1のCMOSチップCCにおける構造について)
図14は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1のセンスアンプ領域SRにおける断面構造の一例を示している。尚、図14には、トランジスタ30及び貼合パッドBPを含む領域が示され、センスアンプ領域SR上に配置されたメモリ領域MRも併せて示されている。図14に示すように、センスアンプ領域SRにおいて半導体記憶装置1は、例えばP型ウェル領域80、導電体層81~85、並びに柱状のコンタクトCS及びC0~C3を含んでいる。
【0092】
P型ウェル領域80は、P型不純物を含み、高耐圧トランジスタが設けられるアクティブ領域AAに対応している。また、P型ウェル領域80は、例えばY方向に並んだN型領域NP1~NP4を含んでいる。N型領域NP1~NP4のそれぞれは、N型不純物が拡散した領域であり、P型ウェル領域80の表面近傍に設けられる。
【0093】
P型ウェル領域80のN型領域NP1及びNP2間の上方には、ゲート絶縁膜を介して導電体層81が設けられる。導電体層81は、ゲート線GCとして使用される。N型領域NP1及びNP2間の導電体層81は、ビット線接続部BLHU内のトランジスタ30に対応している。同様に、P型ウェル領域80のN型領域NP3及びNP4間の上方には、ゲート絶縁膜を介して導電体層81が設けられる。N型領域NP3及びNP4間の導電体層81は、センスアンプ部SA内のトランジスタ24に対応している。N型領域NP1~NP4のそれぞれの上には、それぞれコンタクトCSが設けられる。導電体層81上には、コンタクトC0が設けられる。例えば、コンタクトCSの上面とコンタクトC0の上面とは揃っている。
【0094】
コンタクトCS及びC0上のそれぞれには、それぞれ1つの導電体層82が設けられる。導電体層82上には、コンタクトC1が設けられる。コンタクトC1上には、導電体層83が設けられる。導電体層83上には、コンタクトC2が設けられる。コンタクトC2上には、導電体層84が設けられる。導電体層84上には、コンタクトC3が設けられる。コンタクトC3上には、導電体層85が設けられる。導電体層85は、例えば銅(Cu)を含んでいる。以下では、導電体層82、83、84及び85がそれぞれ設けられた複数の配線層のことを、それぞれ配線層D0、D1、D2及びD3と呼ぶ。
【0095】
導電体層85は、貼合パッドBPとして使用され、センスアンプ領域SRの最上部に配置される。そして、導電体層85は、対向する導電体層48と電気的に接続される。言い換えると、センスアンプ領域SR内の導電体層85(貼合パッドBP)は、対向するメモリ領域MR内の導電体層48(貼合パッドBP)と貼り合わされる。
【0096】
以上で説明した半導体記憶装置1のセンスアンプ領域SRにおける構造は、CMOSチップCC内のその他の領域についても同様に設けられ得る。例えば、転送領域XR内に設けられたロウデコーダモジュール16に対応する回路(例えばブロックデコーダBD)やドライバモジュール15に対応する回路は、図14におけるトランジスタ30と類似した構造で形成される。そして、ブロックデコーダBDやドライバモジュール15に対応する回路は、CMOSチップCC内で当該回路と電気的に接続された貼合パッドBPを介して、メモリチップMC内の貼合パッドBP(導電体層62)と電気的に接続される。
【0097】
[1-2]第1実施形態の効果
以上で説明した第1実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、チップ面積を縮小することが出来、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置1における効果の詳細について説明する。
【0098】
NAND型フラッシュメモリ等の半導体記憶装置における回路構成は、大まかにメモリセルアレイとその他の周辺回路とに分けられる。半導体記憶装置のビットコストを低減するためには、半導体記憶装置のチップ面積のうちメモリセルアレイに対応する領域の占める割合(セル占有率)を拡大することが好ましい。
【0099】
これに対して、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ10を含むメモリチップMCと、その他の周辺回路を含むCMOSチップCCとを備えている。メモリチップMCとCMOSチップCCとは、それぞれ異なるウエハに形成される。そして、メモリチップMCとCMOSチップCCとが互いに貼り合わされ、半導体記憶装置1に対応する1つの半導体チップが形成される。このような半導体記憶装置1では、メモリチップMC及びCMOSチップCC間で対向する貼合パッドBP同士が接合されることによって、上下のチップが電気的に接続される。
【0100】
これにより、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ10と周辺回路とが重なった構造となり、セル占有率を大きくすることが出来る。また、第1実施形態に係る半導体記憶装置1では、メモリセルアレイ10形成時の熱がCMOSチップCC内のトランジスタに加えられないため、CMOSチップCC内のトランジスタの設計難易度を下げることが出来る。
【0101】
また、以上で説明した貼り合わせ構造を有する半導体記憶装置では、例えばメモリチップMC内に設けられたワード線WL等の積層配線が、引出領域HR内の貼合パッドBPを介してCMOSチップCC内のロウデコーダモジュール16に接続される。例えば、ロウデコーダモジュール16に対応する全ての回路がCMOSチップCCに設けられた場合、引出領域HRに設けられる貼合パッドBPの数が、トランジスタTRが接続される積層配線の本数と同じになる。言い換えると、このような例において引出領域HR内の貼合パッドBPの数は、ブロックBLKの個数と積層配線の層数とを掛けた数になる。
【0102】
これに対して、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、メモリチップMC側にロウデコーダモジュール16内のトランジスタTRが設けられた構造を有している。この場合、ブロックBLK間で共有される各種信号線に対して少なくとも1個の貼合パッドBPを設ければ、CMOSチップCC内のドライバモジュール15と電気的に接続することが出来る。
【0103】
このため、引出領域HRに設けられる貼合パッドBPの数は、例えば信号線CG0~7、SGDD0~3、SGSD、並びにUSGSの本数と、転送ゲート線TG及びTGbにそれぞれ対応する配線の本数との合計と同じになる。つまり、第1実施形態では、積層配線に対応する貼合パッドBPの数が、ブロックBLKの個数に依存せずに決定する。
【0104】
すなわち、図11Aに示すように、ある1つのブロックBLKの引出領域HRにおいては、信号線CG0~CG7、SGDD0~SGDD3、SGSD、並びにUSGSに対応する貼合パッドBPが必要である。一方で、図11Bに示すように、他のブロックBLKの引出領域HRにおいては、転送ゲート線TG及びTGbに対応する貼合パッドBPを設けるだけで良い。従って、第1実施形態に係る半導体記憶装置1では、信号線CG0~CG7、SGDD0~SGDD3、SGSD、並びにUSGSに対応する貼合パッドBPの総数を抑制することが出来る。
【0105】
その結果、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、引出領域HRに設けられる貼合パッドBPの数を、ロウデコーダモジュール16に対応する全ての素子がCMOSチップCC内に設けられる場合よりも少なくすることが出来る。また、第1実施形態に係る半導体記憶装置1では、トランジスタTRに対応する面積をCMOSチップCCにおいて省略にすることが出来るため、CMOSチップCC内でロウデコーダモジュール16に対応する回路の面積を縮小することが出来る。
【0106】
以上のように、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、セル占有率を大きくすることが出来、且つCMOSチップCCのチップ面積を縮小することが出来る。従って、第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、チップ面積を縮小することが出来、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。
【0107】
尚、引出領域HRにおける貼合パッドBPの配置は、図11A及び図11Bに示された一例に限定されない。例えば、ある1つのブロックBLKの引出領域HRに信号線CG0~CG7、SGDD0~SGDD3、SGSD、並びにUSGSに対応する貼合パッドBPを集中的に設けるのではなく、それらを複数のブロックBLKの引出領域HRに分散させて配置してもよい。
【0108】
[2]第2実施形態
第2実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態におけるメモリチップMC内のトランジスタTRが横型トランジスタで構成された構造を有する。以下に、第2実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0109】
[2-1]半導体記憶装置1の引出領域HRにおける構造
図15は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1の引出領域HRにおける構造の一例を示す斜視図であり、図14と同様の領域が抽出されている。図15に示すように、第2実施形態に係る半導体記憶装置1は、例えば第1実施形態に対して、トランジスタTRに対応する構造が複数の導電体層63、絶縁体層64、及び導電体層65に置き換えられた構造を有している。
【0110】
複数の導電体層63は、それぞれがY方向に延伸して設けられ、X方向に配列している。そして、各導電体層63の一端部分にはコンタクトCPが接続され、他端部分にはコンタクトV1が接続される。絶縁体層64は、X方向に配列する複数の導電体層63の下方、且つコンタクトCPが接続された領域とコンタクトV1が接続された領域との間に設けられる。導電体層65は、X方向に延伸し且つ絶縁体層64の下方に設けられる。
【0111】
導電体層65と導電体層63とは、絶縁体層64を介して隣り合っている。これにより、導電体層63と導電体層65との交差部分が、それぞれ横型のトランジスタTRとして機能する。尚、本明細書において“横型トランジスタ”とは、チャネルの方向が半導体基板の表面に対して平行な方向であるトランジスタのことを示している。
【0112】
つまり、導電体層63は、トランジスタTRの電流経路(チャネル)として使用される。絶縁体層64は、トランジスタTRのゲート絶縁膜として使用される。導電体層65は、複数のトランジスタTRで共有される転送ゲート線TGとして使用される。選択ゲート線SGSや選択ゲート線SGDに対しても同様に、コンタクトCPを介して横型のトランジスタTRが接続される。
【0113】
図16は、第2実施形態に係る半導体記憶装置1におけるトランジスタTRの断面構造の一例を示している。図16に示すように、導電体層63は、2つの高濃度拡散領域DD、チャネル部、及びオフセット部を含んでいる。
【0114】
導電体層63において高濃度拡散領域DDは、コンタクトCPの接続箇所と、コンタクトV1の接続箇所とのそれぞれに設けられる。高濃度拡散領域DDにドープされた不純物の導電型は、導電体層63にドープされた不純物の導電型と異なっている。例えば、導電体層63は、P型不純物がドープされた半導体層であり、高濃度拡散領域DDには、N型不純物がドープされる。チャネル部は、導電体層65と対向している。オフセット部は、チャネル部と高濃度拡散領域DDとの間に設けられる。
【0115】
以上のように、第2実施形態に係る半導体記憶装置1では、2つの高濃度拡散領域DD、チャネル部、及びオフセット部と、絶縁体層64(ゲート絶縁膜)及び導電体層65(転送ゲート線TG)とが適宜配置されることによって、導電体層63及び導電体層65の交差部分がトランジスタTRとして機能する。第2実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0116】
尚、第2実施形態では、トランジスタTRがシングルゲート型の横型トランジスタである場合について例示したが、これに限定されない。例えば、トランジスタTRは、ダブルゲート型の横型トランジスタであっても良い。この場合、半導体記憶装置1では、例えば導電体層63が、Z方向において、転送ゲート線TGとして機能する2本の導電体層65によって挟まれた構造が設けられる。
【0117】
また、第2実施形態では、トランジスタTRのチャネルとして使用される導電体層63に対して、コンタクトCPが上方から接続され、コンタクトV1が下方から接続される場合について例示したが、これに限定されない。少なくともコンタクトCP及びV1のそれぞれは、導電体層63の所定の領域に接続されていれば良く、コンタクトCP及びV1のそれぞれは任意の方向から導電体層63に接続され得る。
【0118】
[2-2]第2実施形態の効果
以上のように、第2実施形態に係る半導体記憶装置1では、メモリチップMC内に設けられたトランジスタTRが横型トランジスタで構成されている。このような場合においても、第2実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同様に動作することが出来、第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。すなわち、第2実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、チップ面積を縮小することが出来、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。
【0119】
[3]第3実施形態
第3実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態においてCMOSチップCC内に設けられていたトランジスタ30が、メモリチップMC内に設けられた構造を有する。以下に、第3実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1及び第2実施形態と異なる点を説明する。
【0120】
[3-1]半導体記憶装置1のメモリ領域MR及びセンスアンプ領域SRにおける構造
図17は、第3実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリ領域MR及びセンスアンプ領域SRにおける断面構造の一例を示し、図14と同様の領域が抽出されている。図17に示すように、第3実施形態に係る半導体記憶装置1は、例えば第1実施形態に対して、メモリ領域MR内にトランジスタ30及び導電体層49が追加された構造を有している。
【0121】
第3実施形態におけるトランジスタ30は、例えばコンタクトV0及びV1間に設けられた縦型トランジスタであり、トランジスタ30の上面及び底面にそれぞれ接触した2つのコンタクト間を流れる電流を制御することが出来る。例えば、トランジスタ30は、第1実施形態で説明した縦型のトランジスタTRと同様の構造を有し、導電体層49を貫通している。
【0122】
導電体層49は、例えば配線層M1に含まれ、トランジスタ30のゲート電極として機能する。導電体層49は、例えばコンタクトV1、導電体層47、及びコンタクトV2を介して、導電体層48(貼合パッドBP)に接続される。導電体層49に接続された貼合パッドBPは、対向するセンスアンプ領域SR内の貼合パッドBPと貼り合わされ、センスアンプ領域SR内の回路に接続される。
【0123】
第3実施形態では、メモリチップMC内のメモリ領域MRにトランジスタ30が設けられるため、図17に示された領域ではP型ウェル領域80上にトランジスタ24が設けられている。第3実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0124】
尚、第3実施形態では、トランジスタ30が縦型トランジスタである場合について例示したが、トランジスタ30は横型トランジスタであっても良い。トランジスタ30が横型トランジスタで構成される場合、トランジスタ30の構造は、第2実施形態で説明したように適宜変更され得る。
【0125】
[3-2]第3実施形態の効果
以上のように、第3実施形態に係る半導体記憶装置1では、センスアンプユニットSAU内のトランジスタ30がメモリチップMC内に設けられている。このような場合においても、第3実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同様に動作することが出来る。さらに、第3実施形態に係る半導体記憶装置1では、センスアンプ領域SRに配置されるトランジスタの数が、第1実施形態よりも少なくなる。
【0126】
その結果、第3実施形態に係る半導体記憶装置1では、センスアンプ領域SRの面積を縮小することが出来、CMOSチップCCのチップ面積を縮小することが出来る。従って、第3実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、第1実施形態よりもチップ面積を縮小することが出来、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。
【0127】
[4]第4実施形態
第4実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態におけるセンスアンプユニットSAUの回路構成の変形例である。以下に、第4実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1~第3実施形態と異なる点を説明する。
【0128】
[4-1]センスアンプモジュールの回路構成
図18は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1におけるセンスアンプユニットSAUの回路構成の一例を示している。図18に示すように、第4実施形態におけるセンスアンプユニットSAUは、第1実施形態におけるセンスアンプユニットSAU内のビット線接続部BLHUがトランジスタ31をさらに含む構成を有している。
【0129】
トランジスタ31のドレインは、ノードBLBIASに接続される。トランジスタ31のソースは、ビット線BLに接続される。トランジスタ31のゲートには、制御信号BIASが入力される。ノードBLBIASには、例えば消去電圧VERAが印加される。制御信号BIASは、例えばシーケンサ13によって生成される。
【0130】
また、第4実施形態におけるトランジスタ31は、例えば第3実施形態におけるトランジスタ30と同様に、メモリチップMC内に設けられる。具体的には、例えば第3実施形態で説明した図17における導電体層45(ビット線BL)に対して、トランジスタ31に対応し且つメモリチップMC内に設けられた縦型トランジスタが接続される。
【0131】
メモリチップMC内におけるトランジスタ30及び31の構成はこれに限定されず、適宜変更され得る。例えば、第4実施形態においてトランジスタ30及び31は、横型トランジスタで構成されても良い。また、トランジスタ30及び31との間を接続する配線が、配線層M0及びM1間の配線層に追加されても良い。第4実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0132】
[4-2]半導体記憶装置1の消去動作
以下に、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の消去動作の一例について説明する。尚、以下では、各種配線に印加される電圧について適宜参照符号のみで記載する。消去動作の対象のブロックBLKのことを選択ブロックBLKと呼び、消去動作の対象外であるブロックBLKのことを非選択ブロックBLKと呼ぶ。各種配線及びノードに印加される電圧は、例えばドライバモジュール15によって生成され、ロウデコーダモジュール16等を介して印加される。
【0133】
図19は、第4実施形態に係る半導体記憶装置1における消去動作の一例を示すタイミングチャートである。図19には、消去動作におけるノードBLBIAS、制御信号BIAS、ビット線BL、選択ゲート線SGD、ワード線WL、選択ゲート線SGS、及びソース線SLのそれぞれの電圧の一例が示されている。
【0134】
図19に示すように、消去動作前におけるノードBLBIAS、制御信号BIAS、ビット線BL、選択ゲート線SGD、ワード線WL、選択ゲート線SGS、及びソース線SLのそれぞれの電圧は、例えば接地電圧VSSである。シーケンサ13は、消去動作を開始すると、トランジスタ30をオフ状態にしてビット線BL及びセンスアンプ部SA間の電流経路を遮断し、選択ゲート線SGS及びSGDのそれぞれと、非選択ブロックBLKに対応するワード線WLとをフローティング状態にする。
【0135】
その後、シーケンサ13は、ノードBLBIAS及びソース線SLのそれぞれの電圧を消去電圧VERAまで上昇させ、制御信号BIASの電圧をVERAHまで上昇させ、選択ブロックBLKにおけるワード線WLの電圧をVISOに維持する。VERAは、VSSよりも高く、消去動作で使用される高電圧である。VERAHは、VERAよりも高い電圧である。VISOは、VERAよりも低い電圧であり、例えばVSSと同じ電圧である。
【0136】
ゲート及びドレインにそれぞれVERAH及びVERAが印加されたトランジスタ31はオン状態になり、ノードBLBIASの電圧がビット線BLに転送される。すると、ビット線BLの電圧がVERAまで上昇し、メモリピラーMPの下部に高電界領域が形成される。同様に、ソース線SLの電圧がVERAまで上昇することによって、メモリピラーMPの上部に高電界領域が形成される。これにより、選択トランジスタST1及びST2のそれぞれの近傍において、GIDL(Gate-Induced-Drain-Leakage)による正孔が発生し、メモリピラーMP内のチャネルに正孔が注入される。
【0137】
また、ビット線BL及びソース線SLの電圧がVERAまで上昇することに伴い、メモリピラーMP内のチャネル(半導体層50)の電圧が上昇する。すると、チャネルの電圧上昇に応じて、選択ゲート線SGD及びSGSと、非選択ブロックBLKに対応するワード線WLとのそれぞれの電圧が上昇する。例えば、選択ゲート線SGD及びSGSのそれぞれの電圧はSGERAまで上昇し、非選択ブロックBLKに対応するワード線WLの電圧はWLERAまで上昇する。尚、SGERA及びWLERAは異なっていても良い。
【0138】
一方で、選択ブロックBLKに対応するワード線WLは、電圧VISOに維持されているため、メモリセルトランジスタMTの制御ゲート-チャネル間で電圧差が生じる。言い換えると、高いチャネル電圧と低いワード線WL電圧との間で電圧の勾配が形成される。すると、チャネル内の正孔が、電荷蓄積層(絶縁膜52)に注入され、書き込まれたデータに基づいて電荷蓄積層に保持された電子と、注入された正孔との再結合が発生する。
【0139】
その結果、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が低下し、メモリセルトランジスタMTに記憶されていたデータが消去される。その後、シーケンサ13は、各種配線の電圧を消去動作の開始前の状態に戻す。以上のように、第4実施形態に係る半導体記憶装置1は、メモリセルトランジスタMTに記憶されたデータを消去することが出来る。
【0140】
[4-3]第4実施形態の効果
以上のように、第4実施形態に係る半導体記憶装置1では、センスアンプユニットSAU内のトランジスタ30及び31がメモリチップMC内に設けられている。このような場合においても、第4実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態と同様に動作することが出来る。そして、第4実施形態に係る半導体記憶装置1では、第3実施形態と同様に、センスアンプ領域SRの面積を縮小することが出来、CMOSチップCCのチップ面積を縮小することが出来る。従って、第4実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、第3実施形態と同様に、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。
【0141】
[5]第5実施形態
第5実施形態に係る半導体記憶装置1は、第4実施形態に対してメモリセルアレイ10に接続される配線の電圧を等しくすることが可能な回路をさらに備える。以下に、第5実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1~第4実施形態と異なる点を説明する。
【0142】
[5-1]半導体記憶装置1の回路構成
図20は、第5実施形態に係る半導体記憶装置1の回路構成の一例を示している。図20に示すように、第5実施形態に係る半導体記憶装置1は、イコライズ回路EQCを含んでいる。イコライズ回路EQCは、メモリセルアレイ10に接続された配線の電圧を等しくする機能を有している。イコライズ回路EQCは、例えばトランジスタ90~93並びにノードNEQを含んでいる。
【0143】
トランジスタ90~93のそれぞれは、高耐圧なN型のMOSトランジスタである。トランジスタ90のドレインは、信号線CG0~7に接続される。トランジスタ91のドレインは、信号線SGSD、SGDD、USGS及びUSGDに接続される。トランジスタ92のドレインは、ノードBLBIASに接続される。トランジスタ93のドレインは、ソース線SLに接続される。トランジスタ90~93のそれぞれのゲートには、それぞれ制御信号EQCG、EQSD、EQBL、及びEQSLが入力される。トランジスタ90~93のそれぞれのソースは、ノードNEQに接続される。
【0144】
また、トランジスタ90~93のそれぞれは、例えば第3実施形態におけるトランジスタ30と同様に、メモリチップMC内に設けられる。具体的には、トランジスタ90~93のそれぞれは、例えばパッド領域PR1に設けられる。トランジスタ90~93のそれぞれは、縦型トランジスタであっても良いし、横型トランジスタであっても良い。
【0145】
以上で説明したイコライズ回路EQCの回路構成において、制御信号EQCG、EQSD、EQBL、及びEQSLは、例えばシーケンサ13によって生成される。信号線CG0~7、SGSD、SGDD、USGS、並びにUSGDは、少なくとも高耐圧トランジスタを介してノードNEQと接続されていれば良く、各種信号線とノードNEQとの間に設けられるトランジスタは任意の個数に設計され得る。第5実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第4実施形態と同様のため説明を省略する。
【0146】
[5-2]第5実施形態の効果
以上で説明した第5実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、半導体記憶装置の動作を高速化することが出来る。以下に、第5実施形態に係る半導体記憶装置1における効果の詳細について説明する。
【0147】
半導体記憶装置は、読み出し動作や書き込み動作等を完了する際に、各種配線に印加した電圧をアイドル状態と同様の状態に戻している。このような動作の完了処理では、隣接する配線とのカップリング等の影響によって、各種配線の電圧に意図しない変動が生じる可能性がある。以下に、イコライズ回路EQCが省略された半導体記憶装置を第5実施形態の比較例として、動作の完了処理時における電圧変化の一例について説明する。
【0148】
図21は、第5実施形態の比較例における動作の完了処理時の電圧変化の一例を示している。図22は、第5実施形態における動作の完了処理時の電圧変化の一例を示している。図21及び図22のそれぞれには、選択されたワード線WLselの電圧と、非選択のワード線WLuselの電圧と、選択ゲート線SGS及びSGDのそれぞれの電圧と、ソース線SLの電圧とが示されている。動作の完了処理の開始時における各種配線の電圧の一例は、続けて羅列する通りである。選択されたワード線WLselの電圧は、接地電圧VSS付近である。ソース線SLの電圧は、選択されたワード線WLselよりも高い。ビット線BLの電圧は、ソース線SLの電圧よりも高い。非選択のワード線WLusel並びに選択ゲート線SGS及びSGDのそれぞれの電圧は、ビット線BLの電圧よりも高い。
【0149】
第5実施形態の比較例では、図21に示すように時刻t1において動作の完了処理が開始すると、非選択のワード線WLusel、選択ゲート線SGS及びSGD、ビット線BL、並びにソース線SLのそれぞれの電圧が接地電圧VSSまで下降する。このとき、選択されたワード線WLselの電圧は、その他の配線とのカップリングの影響により一時的に負の電圧まで下降する。選択されたワード線WLselの電圧は、カップリングの影響が小さくなると再び接地電圧VSSまで上昇する。これらの配線の電圧は、時刻t2においてアイドル状態と同様の状態になる。図21における時刻t1から時刻t2までの時間T1が、第5実施形態の比較例における動作の完了処理の時間に対応している。
【0150】
一方で第5実施形態では、図22に示すように時刻t1において動作の完了処理が開始すると、シーケンサ13がトランジスタ90~93のそれぞれをオン状態にしてから各種配線の放電を開始する。すると、非選択のワード線WLusel、選択ゲート線SGS及びSGD、ビット線BL、並びにソース線SLのそれぞれの電圧が下降し、且つ選択されたワード線WLselの電圧が上昇し、時刻t2においてこれらの電圧が等しくなる。それから、シーケンサ13は、例えばトランジスタ90~93のそれぞれをオフ状態にしてから、第5実施形態の比較例と同様に各種配線を接地電圧VSSまで放電させる。図22における、イコライズ回路EQCが動作している時刻t1から時刻t2までの期間TEQと、時刻t2から各種配線が接地電圧VSSまで放電される時刻t3までの期間TDISとの合計の時間T2が、第5実施形態における動作の完了処理の時間に対応している。
【0151】
以上のように、第5実施形態では、第5実施形態の比較例において生じているカップリングによる電圧変化が、イコライズ回路EQCによってキャンセルされている。このため、第5実施形態では、例えば選択されたワード線WLselの電圧が接地電圧VSSまで遷移するまでの時間が、第5実施形態の比較例よりも短くなる。従って、第5実施形態に係る半導体記憶装置1は、動作の完了処理の時間を短縮することが出来、動作を高速化することが出来る。
【0152】
尚、第5実施形態では、第4実施形態に対してイコライズ回路EQCを追加する場合について例示したが、イコライズ回路EQCはその他の実施形態(例えば第1実施形態)に対して追加されても良い。この場合のイコライズ回路EQCは、例えばトランジスタ92が省略された構成を有し、図22の説明と同様に動作することが出来る。
【0153】
[6]第6実施形態
第6実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態においてCMOSチップCC内に設けられたドライバモジュール15に対応する回路の一部がメモリチップMC側に設けられた構造を有する。以下に、第6実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1~第5実施形態と異なる点を説明する。
【0154】
[6-1]半導体記憶装置1の回路構成
図23は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるドライバモジュール15の回路構成の一例を示している。図23に示すように、第6実施形態におけるドライバモジュール15は、チャージポンプCHを含んでいる。チャージポンプCHは、入力された電圧VINを昇圧して、昇圧された電圧VOUTを出力する機能を有している。チャージポンプCHは、例えばトランジスタPT1~PT4、キャパシタPC1~PC4、抵抗部R1及びR2、比較器PCMP、ポンプ制御回路PCNT、並びにノードN1~N10を含んでいる。
【0155】
トランジスタPT1~PT4のそれぞれは、高耐圧なN型のMOSトランジスタである。トランジスタPT1のドレイン及びゲートは、ノードN1に共通接続される。トランジスタPT2のドレイン及びゲートは、ノードN2に共通接続される。トランジスタPT3のドレイン及びゲートは、ノードN3に共通接続される。トランジスタPT4のドレイン及びゲートは、ノードN4に共通接続される。トランジスタPT1~PT4のそれぞれのソースは、それぞれノードN2~N5に接続される。
【0156】
キャパシタPC1~PC4のそれぞれの一方電極は、それぞれノードN1~N4に接続される。キャパシタPC1~PC4のそれぞれの他方電極は、それぞれノードN6~N9に接続される。抵抗部R1は、ノードN5及びN10間に接続される。抵抗部R2は、接地線とノードN10との間に接続される。このため、チャージポンプCHにおいてノードN10の電圧は、電圧VOUTに応じて変化する。
【0157】
比較器PCMPの第1入力は、ノードN10に接続される。比較器PCMPの第2入力には、参照電圧Vrefが入力される。比較器PCMPの出力からは、比較器PCMPの第1入力の電圧と第2入力の電圧との比較結果に基づいた信号が出力される。ポンプ制御回路PCNTは、比較器PCMPの出力信号に基づいてノードN6~N9の電圧を制御する。例えば、ポンプ制御回路PCNTは、比較器PCMPを用いて電圧VOUTの電圧を間接的に検知し、キャパシタPC1~PC4を適宜充電する。これにより、チャージポンプCHは、入力された電圧を所望の電圧に昇圧して出力することが出来る。
【0158】
尚、以上で説明したチャージポンプCHの回路構成におけるトランジスタPT及びキャパシタPCの個数はあくまで一例であり、これに限定されない。チャージポンプCH内で直列接続されるトランジスタPTの個数と、隣り合うトランジスタ間のノードに接続されるキャパシタPCの個数とは、昇圧する電圧の目標値に応じて適宜変更され得る。また、参照電圧Vrefは、目標のVOUTの値に応じて適宜変更される。
【0159】
[6-2]半導体記憶装置1のパッド領域PR1における構造
図24は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1のパッド領域PR1における構造の一例を示し、チャージポンプCHに対応する領域が抽出されている。図24に示すように、パッド領域PR1において半導体記憶装置1は、複数のトランジスタPTに対応してチャネル部CNL及び複数のゲート電極GEを含み、複数のキャパシタPCに対応して複数の一方電極EL1及び複数の他方電極EL2を含んでいる。
【0160】
チャネル部CNLは、例えばX方向に延伸して設けられた半導体層である。複数のゲート電極GEは、例えばそれぞれがY方向に延伸して且つチャネル部CNLと交差して設けられ、X方向に配列している。チャネル部CNLと4本のゲート電極GEとの交差部分のそれぞれが、それぞれトランジスタPT1~PT4として機能する。
【0161】
一方電極EL1及び他方電極EL2のそれぞれは、例えば板状に設けられた半導体層である。例えば、一方電極EL1及び他方電極EL2のそれぞれは、チャネル部CNLのY方向における両側に2個ずつ設けられる。本例において、4個の一方電極EL1は、それぞれ4個の他方電極EL2と重なっている。重なった一方電極EL1及び他方電極EL2の4組が、それぞれキャパシタPC1~PC4として機能する。
【0162】
以上で説明したチャージポンプCHの各構成は、図24に示されたノードN1~N4及びN6~N9のように接続される。これにより、チャージポンプCHによって昇圧された電圧VOUTが、チャネル部CNLの端部に接続されたコンタクトを介して出力される。
【0163】
図25は、第6実施形態に係る半導体記憶装置1のチャージポンプCHの構造の一例を示す斜視図であり、トランジスタPT1及びPT2並びにキャパシタPC1及びPC2に対応する構造が抽出されている。図25に示すように、半導体記憶装置1は、チャージポンプCHが形成される領域において、絶縁体層INS1及びINS2をさらに含んでいる。
【0164】
絶縁体層INS1は、各キャパシタPCの一方電極EL1と他方電極EL2との間に設けられる。つまり、キャパシタPCの断面は、ノーマリオンのトランジスタと同様の構造を有している。絶縁体層INS2は、チャネル部CNLとゲート電極GEとの間に設けられる。つまり、絶縁体層INS2は、各トランジスタPTのそれぞれのゲート絶縁膜として使用される。また、各トランジスタPTのチャネル部CNLとゲート電極GEとのそれぞれの上に、柱状のコンタクトが適宜設けられる。同様に、各キャパシタPCの一方電極EL1と他方電極EL2とのそれぞれの上に、柱状のコンタクトが適宜設けられる。例えば、これらのコンタクトの上面は揃っており、図24で説明したように適宜電気的に接続される。第6実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0165】
尚、チャージポンプCHの構造は、以上で説明したものに限定されない。例えば、各トランジスタPTや各キャパシタPCに接続されるコンタクトの本数は、任意の本数に設計され得る。トランジスタPTは、縦型トランジスタであっても良い。キャパシタPCは、縦型キャパシタであっても良い。
【0166】
また、第5実施形態に係る半導体記憶装置1は、少なくとも図24と同様の構造を含んでいれば良く、トランジスタPT及びキャパシタPCの構造及び配置は適宜変更され得る。例えば、チャージポンプCHに対応する回路が全てメモリチップMCに含まれていても良いし、ポンプ制御回路PCNT及び比較器PCMPがCMOSチップCCに含まれていても良い。第5実施形態では、チャージポンプCH内の高耐圧トランジスタに対応する素子が、メモリチップMC側に設けられることが好ましい。
【0167】
[6-3]第6実施形態の効果
以上のように、第6実施形態に係る半導体記憶装置1では、ドライバモジュール15に含まれたチャージポンプCHがメモリチップMC側に設けられる。この場合、第6実施形態に係る半導体記憶装置1では、チャージポンプCHに対応する回路をCMOSチップCCから省略することが出来、CMOSチップCCのチップ面積を縮小することが出来る。すなわち、第6実施形態に係る半導体記憶装置1に依れば、チップ面積を縮小することが出来、半導体記憶装置1の製造コストを抑制することが出来る。
【0168】
また、第6実施形態に係る半導体記憶装置1では、チャージポンプCHがメモリチップMC側に設けられており、バックバイアス効果の影響を受けない。このため、第6実施形態におけるチャージポンプCHは、トランジスタPT及びキャパシタPCの数、すなわちポンプの段数を削減することが出来る。その結果、第6実施形態に係る半導体記憶装置1は、消費電流を減らすことが出来、消費電力を抑制することが出来る。
【0169】
[7]第7実施形態
第7実施形態に係る半導体記憶装置1は、第1実施形態に対してメモリチップMCが複数のメモリセルアレイ10を有する場合の具体例である。以下に、第7実施形態に係る半導体記憶装置1について、第1~第6実施形態と異なる点を説明する。
【0170】
[7-1]半導体記憶装置1の構成
図26は、第7実施形態に係る半導体記憶装置1のメモリチップMCにおける平面レイアウトの一例を示している。図26に示すように、第7実施形態においてメモリチップMCは、メモリ領域MRa及びMRb、引出領域HR1a及びHR2a、引出領域HR1b及びHR2b、並びにパッド領域を含んでいる。
【0171】
メモリ領域MRa及びMRbのそれぞれは、第1実施形態で説明したメモリ領域MRと同様の構造を有している。引出領域HR1a及びHR1bのそれぞれは、第1実施形態で説明した引出領域HR1と同様の構造を有し、メモリ領域MRaを挟んでいる。引出領域HR2a及びHR2bのそれぞれは、第1実施形態で説明した引出領域HR2と同様の構造を有し、メモリ領域MRbを挟んでいる。
【0172】
メモリ領域MRa並びに引出領域HR1a及びHR2aの組と、メモリ領域MRb並びに引出領域HR1b及びHR2bの組とは、例えばX方向に隣り合っている。パッド領域PR1は、例えばメモリ領域MRa及びMRbのそれぞれと隣接している。また、図示は省略されているが、CMOSチップCCには、メモリ領域MRa及びMRb、引出領域HR1a及びHR2a、並びに引出領域HR1b及びHR2bに対応して、センスアンプ領域SR、周辺回路領域PERI、及び転送領域XRが適宜配置される。
【0173】
メモリ領域MRa及びMRbのそれぞれは、メモリセルアレイ10として機能する。メモリ領域MRaに対応するメモリセルアレイ10は、メモリ領域MRaに配置された貼合パッドBPや、引出領域HR1a及びHR2aに配置された貼合パッドBPを介して、CMOSチップCCに設けられた回路に接続される。メモリ領域MRbに対応するメモリセルアレイ10は、メモリ領域MRbに配置された貼合パッドBPや、引出領域HR1b及びHR2bに配置された貼合パッドBPを介して、CMOSチップCCに設けられた回路に接続される。
【0174】
第7実施形態に係る半導体記憶装置1において、シーケンサ13は、メモリ領域MRa内のメモリセルアレイ10とメモリ領域MRb内のメモリセルアレイ10とを独立に制御することが出来る。このように、異なる領域に設けられたメモリセルアレイ10及び関連する回路の集合は、例えばプレーンと称される。第7実施形態に係る半導体記憶装置1のその他の構成は、例えば第1実施形態と同様のため説明を省略する。
【0175】
[7-2]第7実施形態の効果
以上のように、第7実施形態に係る半導体記憶装置1は、複数のプレーンを備えている。複数のプレーンを備える半導体記憶装置1では、例えばプレーン間で共有される回路や、プレーン間の通信に使用される回路が設けられる場合がある。以下に、ロウデコーダモジュール16に対応する全ての素子がCMOSチップCCに設けられた場合を第7実施形態の比較例として、第7実施形態の効果の詳細について説明する。
【0176】
図27は、第7実施形態と第7実施形態の比較例におけるプレーン間の配線のイメージを示している。図27に示すように第7実施形態と第7実施形態の比較例とでは、引出領域HRにおける貼合パッドBPの数が異なっている。具体的には、引出領域HR内の貼合パッドBPの数は、第7実施形態の比較例よりも、第7実施形態の方が少ない。
【0177】
プレーン間の通信に使用される配線は、隣り合うプレーン間の部分に配置された引出領域HRを通過する必要がある。第7実施形態の比較例のように、引出領域HRにおける貼合パッドBPの数が多くなると、プレーン間の通信に使用される配線のレイアウトが困難になる。一方で、第7実施形態では、引出領域HR内の貼合パッドBPの数が少ないため、プレーン間の通信に使用される配線のレイアウトの自由度が高くなる。
【0178】
つまり、第7実施形態に係る半導体記憶装置1は、プレーン間の通信に使用される配線レイアウトの設計難易度を下げることが出来る。従って、第7実施形態のように半導体記憶装置1が複数のプレーンを備える場合においても、第1実施形態におけるトランジスタTRの構成を適用することによって、製造コストを抑制することが出来る。
【0179】
[8]その他の変形例等
実施形態の半導体記憶装置は、第1領域と、第2領域と、複数の第1ワード線と、第1ピラーと、第1接合金属と、第1トランジスタとを含むメモリチップを含む。第1領域は、複数のメモリセルを含む。第2領域は第1領域と異なる。複数の第1ワード線は、第1領域及び第2領域において、第1方向に互いに離れて積層される。第1ピラーは、第1領域において、複数の第1ワード線を貫通して設けられた第1半導体層と、第1半導体層と複数の第1ワード線との間に設けられた第1絶縁体層とを含む。複数の第1ワード線と第1半導体層との交差部分がそれぞれメモリセルとして機能する。第1接合金属は、第2領域に設けられる。第1トランジスタは、第2領域において、複数の第1ワード線と第1接合金属との間の第1層に設けられ、1本の第1ワード線と前記第1接合金属との間に電気的に接続される。これにより、半導体記憶装置のチップ面積を縮小することが出来、製造コストを抑制することが出来る。
【0180】
上記実施形態は、組み合わせることが可能である。例えば、メモリチップMCに設けられた高耐圧トランジスタとしては、縦型トランジスタと横型トランジスタとの両方が使用されても良い。チャージポンプCHとイコライズ回路EQCとの両方がメモリチップMC側に設けられても良い。
【0181】
半導体記憶装置で使用される高耐圧トランジスタは、低耐圧トランジスタよりもデザインルールの縮小が困難である。このため、小容量のメモリチップMCや複数プレーンのメモリチップMCを作製する場合、高耐圧トランジスタを含むCMOSチップCCのチップ面積がメモリチップMCよりも大きくなってしまうおそれがある。
【0182】
これに対して、上記実施形態を組み合わせた半導体記憶装置1は、高耐圧トランジスタを全てメモリチップMC側に設けることが出来る。この場合、CMOSチップCC内のトランジスタを全て低耐圧トランジスタで構成することが出来るため、CMOSチップCCのチップ面積を縮小し且つプロセス難易度を下げることも出来る。
【0183】
上記実施形態では、メモリピラーMP及び導電体層45間が1本のコンタクトCVを介して接続される場合について例示したが、これに限定されない。コンタクトCVは、Z方向に連結された2本以上のコンタクトによって構成されても良い。その他のコンタクトについても同様である。また、X方向に複数のコンタクトが連結される場合に、隣り合うコンタクト間に異なる導電体層が挿入されても良い。コンタクト及び配線層は、半導体記憶装置1の回路構成に応じて、適宜追加又は省略されても良い。
【0184】
上記実施形態では、隣り合う2本のスリットSLT間の構造体が1つのストリングユニットSUに対応する場合について例示したが、これに限定されない。例えば、隣り合う2本のスリットSLT間に選択ゲート線SGDを分断するスリットが設けることによって、隣り合う2本のスリットSLT間に複数のストリングユニットSUが形成されても良い。隣り合うスリットSLT間におけるストリングユニットSUの個数は、選択ゲート線SGDを分断するスリットの本数に基づいて変化する。
【0185】
上記実施形態において、メモリピラーMPは、複数のピラーがZ方向に2本以上連結された構造であっても良い。また、メモリピラーMPは、選択ゲート線SGDに対応するピラーと、ワード線WLに対応するピラーとが連結された構造であっても良い。各メモリピラーMPと重なるビット線BLの本数は、任意の本数に設計され得る。
【0186】
上記実施形態において、メモリピラーMP、並びにコンタクトCP、CV、V0、V1及びV2のそれぞれは、テーパー形状又は逆テーパー形状を有していても良いし、中間部分が膨らんだ形状を有していても良い。同様に、スリットSLTがテーパー形状又は逆テーパー形状を有していても良いし、中間部分が膨らんだ形状を有していても良い。また、メモリピラーMPやトランジスタTRの断面構造が円形である場合について例示したが、これらの断面構造は楕円形であっても良く、任意の形状に設計され得る。
【0187】
上記実施形態では、ワード線WL等の積層配線が引出領域HRにおいてX方向に段差を有する階段構造を形成する場合について例示したが、これに限定されない。例えば、積層されたワード線WL並びに選択ゲート線SGD及びSGSの端部は、Y方向に段差が形成されても良い。引出領域HRにおける積層されたワード線WL並びに選択ゲート線SGD及びSGSの端部は、任意の列数の階段状に設計され得る。形成される階段構造は、選択ゲート線SGSと、ワード線WLと、選択ゲート線SGDとの間で異なっていても良い。
【0188】
本明細書において“接続”は、電気的に接続されている事を示し、例えば間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していても良い。“柱状”は、半導体記憶装置1の製造工程において形成されたホール内に設けられた構造体であることを示している。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0190】
1…半導体記憶装置、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…コマンドレジスタ、12…アドレスレジスタ、13…シーケンサ、14…センスアンプモジュール、15…ドライバモジュール、16…ロウデコーダモジュール、20~27,30,31,90~93,TR,PT…トランジスタ、R1,R2…抵抗部、28…キャパシタ、40,64,70…絶縁体層、41~49…導電体層、50,71…半導体層、51…トンネル絶縁膜、52…絶縁膜、53…ブロック絶縁膜、60~63,65,81~85…導電体層、72…ゲート絶縁膜、80…P型ウェル領域、C0~C3,V0~V2…コンタクト、MR…メモリ領域、HR…引出領域、XR…転送領域、PERI…周辺回路領域、PR…パッド領域、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、RD…ロウデコーダ、SAU…センスアンプユニット、MT…メモリセルトランジスタ、ST1,ST2…選択トランジスタ、BL…ビット線、WL…ワード線、SGD,SGS…選択ゲート線、CG,SGDD,SGSD,USGS,USGD…信号線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
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