(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アンテナ及びそれに用いられる対向部の中間製品
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/04 20060101AFI20240109BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240109BHJP
H01Q 1/12 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q1/38
H01Q1/12 Z
(21)【出願番号】P 2019119571
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-206550(JP,A)
【文献】特開2016-225956(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151430(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/04
H01Q 1/38
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたアンテナ主部と、前記基板とは別体の対向部とを有するアンテナであって、
前記アンテナ主部は、切れ目のある環状の形状を有するとともに、前記基板と平行な横方向において互いに離れて位置して前記切れ目を形成する第1端部と第2端部とを有しており、
前記対向部は、導電材料から形成されるとともに互いから離れている第1対向部及び第2対向部とを有しており、
前記第1対向部は、第1主部と、前記第1主部から延びて前記第1端部に接続された第1被接続部とを有しており、
前記第2対向部は、前記第1主部と対向する第2主部と、前記第2主部から延びて前記第2端部に接続された第2被接続部とを有して
おり、
前記アンテナ主部に給電線が接続されている
アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載されたアンテナであって、
前記基板には、第1固定部及び第2固定部が設けられており、
前記第1対向部は、前記第1主部から延びて前記第1固定部に固定される第1被固定部を有しており、
前記第2対向部は、前記第2主部から延びて前記第2固定部に固定される第2被固定部を有している
アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたアンテナであって、
前記第1対向部は、前記第1被接続部から延びる第1残部であって、その端部に折り取られた痕を有する前記第1残部を有しており、
前記第2対向部は、前記第2被接続部から延びる第2残部であって、その端部に折り取られた痕を有する前記第2残部を有している
アンテナ。
【請求項4】
基板に搭載されるキャパシタを構成する対向部の中間製品であって、
前記中間製品は、導電材料から形成されており、
前記中間製品は、前記対向部と連結部とを有しており、
前記対向部は、互いから離れている第1対向部及び第2対向部を有しており、
前記連結部は、前記第1対向部と前記第2対向部とを連結している
中間製品。
【請求項5】
請求項4に記載された中間製品であって、
前記第1対向部は、第1主部と、前記第1主部から延びて前記基板上に形成されたアンテナ主部の第1端部に接続される第1被接続部とを有しており、
前記第2対向部は、前記第1主部と対向する第2主部と、前記第2主部から延びて前記アンテナ主部の第2端部に接続される第2被接続部とを有しており、
前記連結部は、前記第1被接続部から延びる第1延部と、前記第2被接続部から延びる第2延部と、前記第1延部と前記第2延部とを連結する平板部とを有しており、
前記第1被接続部は、前記第1主部と前記第1延部との間に位置しており、
前記第2被接続部は、前記第2主部と前記第2延部との間に位置しており、
前記対向部が使用されるとき、前記第1延部と前記第2延部とにおいて前記対向部は前記平板部と切り離される
中間製品。
【請求項6】
請求項5に記載された中間製品であって、
前記平板部は、前記中間製品の吸着搬送に利用される
中間製品。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載された中間製品であって、
前記平板部は、前記第1主部及び前記第2主部と平行な水平面内において、前記中間製品の重心位置を含んでいる
中間製品。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれか一つに記載された中間製品であって、
前記第1延部及び前記第2延部には、第1ノッチ及び第2ノッチが夫々形成されており、前記第1延部及び前記第2延部は、前記第1ノッチ及び前記第2ノッチにおいて夫々折られて切断される
中間製品。
【請求項9】
請求項8に記載された中間製品であって、
前記第1被接続部は、前記第1端部に接続される第1被接続部位を有し、
前記第2被接続部は、前記第2端部に接続される第2被接続部位を有し、
前記第1ノッチから前記第1被接続部位までの距離は、前記第1主部から前記第1被接続部位までの距離より短く、
前記第2ノッチから前記第2被接続部位までの距離は、前記第2主部から前記第2被接続部位までの距離より短い
中間製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ及びそれに用いられる対向部の中間製品に関し、特に、基板上に形成された主部と、基板とは別体の対向部とを有するアンテナ、及び対向部の中間製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スプリットリング共振器構造を有するアンテナを開示している。
図16に示されるように、特許文献1のアンテナ90は、誘電体層910と、誘電体層910の一対の主面の一方に形成された導体層920と、誘電体層910の他方の主面に形成された給電線930とを有している。導体層920は、C字形状に形成されている。また、導体層920の両端部は、互いに離れて対向し、キャパシタとして動作する対向部940を形成している。導体層920と給電線930とは、誘電体層910を貫通するビア950を用いて互いに接続されている。詳しくは、ビア950は、給電線930の端部を導体層920の一方の端部の近傍に接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアンテナは、プリント基板を用いて製造される。プリント基板を用いて製造されたアンテナは、製造ばらつき等によって所望の特性が得られなかった場合に、インダクタやキャパシタ等の整合回路を後付けするか、基板自体を製造し直す必要がある。そのため、特許文献1のアンテナには、アンテナ特性のばらつきを調整することが困難であるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、アンテナ特性のばらつきを容易に調整することができるよう、基板とは別体のディスクリート部品を対向部として備えるアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のアンテナとして、基板上に形成されたアンテナ主部と、前記基板とは別体の対向部とを有するアンテナであって、
前記アンテナ主部は、切れ目のある環状の形状を有するとともに、前記基板と平行な横方向において互いに離れて位置して前記切れ目を形成する第1端部と第2端部とを有しており、
前記対向部は、導電材料から形成されるとともに互いから離れている第1対向部及び第2対向部とを有しており、
前記第1対向部は、第1主部と、前記第1主部から延びて前記第1端部に接続された第1被接続部とを有しており、
前記第2対向部は、前記第1主部と対向する第2主部と、前記第2主部から延びて前記第2端部に接続された第2被接続部とを有している
アンテナを提供する。
【0007】
本発明は、第2のアンテナとして、第1のアンテナであって、
前記基板には、第1固定部及び第2固定部が設けられており、
前記第1対向部は、前記第1主部から延びて前記第1固定部に固定される第1被固定部を有しており、
前記第2対向部は、前記第2主部から延びて前記第2固定部に固定される第2被固定部を有している
アンテナを提供する。
【0008】
本発明は、第3のアンテナとして、第1又は第2のアンテナであって、
前記第1対向部は、前記第1被接続部から延びる第1残部であって、その端部に折り取られた痕を有する前記第1残部を有しており、
前記第2対向部は、前記第2被接続部から延びる第2残部であって、その端部に折り取られた痕を有する前記第2残部を有している
アンテナを提供する。
【0009】
本発明は、第1の中間製品として、基板に搭載されるキャパシタを構成する対向部の中間製品であって、
前記中間製品は、導電材料から形成されており、
前記中間製品は、前記対向部と連結部とを有しており、
前記対向部は、互いから離れている第1対向部及び第2対向部を有しており、
前記連結部は、前記第1対向部と前記第2対向部とを連結している
中間製品を提供する。
【0010】
本発明は、第2の中間製品として、第1の中間製品であって、
前記第1対向部は、第1主部と、前記第1主部から延びて前記基板上に形成されたアンテナ主部の第1端部に接続される第1被接続部とを有しており、
前記第2対向部は、前記第1主部と対向する第2主部と、前記第2主部から延びて前記アンテナ主部の第2端部に接続される第2被接続部とを有しており、
前記連結部は、前記第1被接続部から延びる第1延部と、前記第2被接続部から延びる第2延部と、前記第1延部と前記第2延部とを連結する平板部とを有しており、
前記第1被接続部は、前記第1主部と前記第1延部との間に位置しており、
前記第2被接続部は、前記第2主部と前記第2延部との間に位置しており、
前記対向部が使用されるとき、前記第1延部と前記第2延部とにおいて前記対向部は前記平板部と切り離される
中間製品を提供する。
【0011】
本発明は、第2の中間製品として、第2の中間製品であって、
前記平板部は、前記中間製品の吸着搬送に利用される
中間製品を提供する。
【0012】
本発明は、第3の中間製品として、第2又は第3の中間製品であって、
前記平板部は、前記第1主部及び第2主部と平行な水平面内において、前記中間製品の重心位置を含んでいる
中間製品を提供する。
【0013】
本発明は、第4の中間製品として、第2から第7の中間製品のうちのいずれか一つであって、
前記第1延部及び前記第2延部には、第1ノッチ及び第2ノッチが夫々形成されており、前記第1延部及び第2延部は、前記第1ノッチ及び前記第2ノッチにおいて夫々折られて切断される
中間製品を提供する。
【0014】
本発明は、第5の中間製品として、第4の中間製品であって、
前記第1被接続部は、前記第1端部に接続される第1被接続部位を有し、
前記第2被接続部は、前記第2端部に接続される第2被接続部位を有し、
前記第1ノッチから前記第1被接続部位までの距離は、前記第1主部から前記第1被接続部位までの距離より短く、
前記第2ノッチから前記第2被接続部位までの距離は、前記第2主部から前記第2被接続部位までの距離より短い
中間製品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のアンテナは、基板上に形成されたアンテナ主部と、基板とは別体の対向部とを有している。対向部が基板とは別体であることから、対向部を変更することにより、アンテナ特性のばらつきを容易に調整することができる。
【0016】
また、本発明の対向部の中間製品は、互いから離れている第1対向部と第2対向部とが連結部によって連結されている。そのため、中間製品の基板への取り付けが容易に行える。その結果、この中間製品を用いて製造されるアンテナの特性のばらつきを容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるアンテナを示す斜視図である。
【
図2】
図1のアンテナに含まれる対向部を示す斜視図である。
【
図9】
図2の対向部の中間製品を示す斜視図である。
【
図11】
図1のアンテナを製造する製造工程における一工程を示す斜視図である。対向部の中間製品は、未だ基板に搭載されていない。
【
図12】
図11の工程に続く工程を示す斜視図である。対向部の中間製品は、基板の上面に搭載されている。
【
図13】本発明の第2の実施の形態によるアンテナに含まれる対向部の中間製品を示す斜視図である。
【
図15】
図13の中間製品の製造途中の状態を示す斜視図である。中間製品は、キャリアから未だ切り離されていない。
【
図16】特許文献1に記載されたアンテナを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるアンテナ10は、第1端子12と、第2端子14と、第1端子12に接続されたLC共振器16と、LC共振器16及び第2端子14に接続されたグランドプレーン18とを備えている。本実施の形態において、LC共振器16は、基板20上に形成されたアンテナ主部22と、基板20上に搭載された対向部30とを有している。換言すると、本実施の形態において、アンテナ10は、基板20と一体のアンテナ主部22と、基板20とは別体のディスクリート部品としての対向部30とを備えている。本実施の形態において、アンテナ主部22はインダクタ(L)として働くものであり、対向部30はキャパシタ(C)として働くものである。
【0019】
図1から理解されるように、アンテナ主部22は、上下方向に沿って見たとき切れ目221のある環状の形状を有している。換言すると、本実施の形態において、アンテナ主部22は、上下方向に沿って見たとき角張ったC字形状を有している。
【0020】
図1に示されるように、アンテナ主部22は、基板20の上面に形成された第1部分223と第2部分225とを有している。アンテナ主部22は、さらに、基板20の内部導電層(図示せず)及び下面に形成された下面導電層(図示せず)のいずれか一つ以上に形成された一つ以上の付加部分(図示せず)を有している。付加部分は、上下方向に沿って見たとき、第1部分223及び第2部分225の双方と重なるように形成されている。また、付加部分は、上下方向において第1部分223及び第2部分225の双方と電気的に接続されている。これにより、アンテナ主部22の第1部分223と第2部分225とは、付加部分を介して互いに電気的に接続される。本実施の形態において、上下方向は基板20と直交するZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0021】
図1及び
図11に示されるように、アンテナ主部22は、基板20と平行な横方向において互いに離れて位置する第1端部227と第2端部229とを有している。第1端部227と第2端部229とが、アンテナ主部22の切れ目221を形成する。第1端部227及び第2端部229に対向部30が接続される。本実施の形態において、横方向は、X方向である。
【0022】
図1から理解されるように、第2端子14とグランドプレーン18とは一体に形成されている。本実施の形態において、グランドプレーン18は、第1部分181と第2部分183とを有している。第2端子14は、第2部分183と一体に形成されている。
【0023】
図1に示されるように、グランドプレーン18の第1部分181は、アンテナ主部22の第1部分223と一体に形成されている。また、グランドプレーン18の第2部分183は、アンテナ主部22の第2部分225と一体に形成されている。グランドプレーン18の第1部分181は、横方向においてアンテナ主部22の第1部分223の外側へ延びるとともに、前後方向においてアンテナ主部22の第1部分223の後方へ延びている。また、グランドプレーン18の第2部分183は、横方向においてアンテナ主部22の第2部分225の外側へ延びるとともに、前後方向においてアンテナ主部22の第2部分225の後方へ延びている。グランドプレーン18の第1部分181と第2部分183とは、基板20の内部導電層(図示せず)又は下面に形成された補助グランドプレーンを介して電気的に互いに接続されている。本実施の形態において、前後方向はY方向である。-Y方向が前方であり、+Y方向が後方である。
【0024】
図1に示されるように、第1端子12には給電線24が接続されている。給電線24は、グランドプレーン18の第1部分181と第2部分183との間、及びアンテナ主部22の第1部分223と第2部分225との間を通って第1端子12から前方へ延びている。そして、給電線24は、アンテナ主部22の第1端部227の近くにおいて、アンテナ主部22の第1部分223に接続されている。本実施の形態において第1端子12及び給電線24は、基板20の上面に形成されているが、本発明はこれに限られない。第1端子12及び給電線24は、基板20の下面(図示せず)に形成されてもよい。その場合、アンテナ主部22の第1部分223と第2部分225とは一体に形成することができる。同様に、グランドプレーン18の第1部分181と第2部分183とは一体に形成することができる。
【0025】
図2を参照すると、対向部30は、第1対向部32と第2対向部36とを有している。第1対向部32と第2対向部36とは、同一の導電材料から形成される。
図8から理解されるように、第1対向部32と第2対向部36とは、互いに別体である。第1対向部32と第2対向部36とは、互いに離れた状態で、基板20(
図1参照)に搭載されている。
【0026】
図2、
図3及び
図8に示されるように、第1対向部32は、第1主部320と、第1主部320から延びる第1被接続部351と、第1主部320から延びる一対の第1被固定部355とを有している。
【0027】
図2から
図5までに示されるように、第1主部320は、第1中央板部321と、第1周辺板部331と、これらを連結する第1曲げ部341とを有している。第1中央板部321は、基部323と、基部323から斜め後方へ延びる本体部325とを有している。第1周辺板部331は、基部333と、基部333から延びる延長部335とを有している。延長部335は、基部333から後方へ延びた後、横方向へ延び、さらに前方へ延びている。第1曲げ部341は、第1中央板部321の基部323と第1周辺板部331の基部333とを上下方向において連結している。
【0028】
図2、
図3及び
図7から理解されるように、第1中央板部321と第1周辺板部331とは、上下方向と直交するように配置されるとともに、上下方向において互いに離れて位置している。本実施の形態において、第1中央板部321は、第1周辺板部331よりも、上下方向において下方に位置している。
【0029】
図2から
図7までに示されるように、第1被接続部351は、第1中央板部321の基部323から横方向外側へ延びた後、斜め下前方へ延び、さらに上方へ延びている。本実施の形態において、第1被接続部351の端部には、後述する連結部52(
図9参照)の第1残部527が残されている。第1残部527は、第1被接続部351の端部から上方へ延びている。
【0030】
図2から
図7までに示されるように、第1被固定部355の夫々は、第1周辺板部331の後縁から後方へ延びた後、下方へ延びている。
【0031】
図2、
図3及び
図8に示されるように、第2対向部36は、第2主部360と、第2主部360から延びる第2被接続部391と、第2主部360から延びる一対の第2被固定部395とを有している。
【0032】
図2から
図5までの図から理解されるように、第2主部360は、第1主部320を上下反転させたものに等しい。詳しくは、第2主部360は、第2中央板部361と、第2周辺板部371と、これらを連結する第2曲げ部381とを有している。第2中央板部361は、基部363と、基部363から斜め後方へ延びる本体部365とを有している。第2周辺板部371は、基部373と、基部373から延びる延長部375とを有している。延長部375は、基部373から後方へ延びた後、横方向へ延び、さらに前方へ延びている。第2曲げ部381は、第2中央板部361の基部363と第2周辺板部371の基部373とを上下方向において連結している。
【0033】
図2、
図3及び
図7から理解されるように、第2中央板部361と第2周辺板部371とは、上下方向と直交するように配置されるとともに、上下方向において互いに離れて位置している。本実施の形態において、第2中央板部361は、第2周辺板部371よりも、上下方向において上方に位置している。
【0034】
図2から
図6までに示されるように、第2被接続部391は、第2周辺板部371の基部373から横方向外側へ延びた後、斜め下前方へ延び、さらに上方へ延びている。本実施の形態において、第2被接続部391の端部には、後述する連結部52(
図9参照)の第2残部529が残されている。第2残部529は、第2被接続部391の端部から上方へ延びている。
【0035】
図2から
図7までに示されるように、第2被固定部395の夫々は、第2周辺板部371の後縁から後方へ延びた後、下方へ延びている。
【0036】
図4から
図7までの図から理解されるように、第1中央板部321と第2周辺板部371とは同一平面上にある。また、第1周辺板部331と第2中央板部361とは同一平面上にある。
図4及び
図5から理解されるように、上下方向に沿って見たとき、第1中央板部321の本体部325と第2中央板部361の本体部365とは、概ね一致している。また、上下方向に沿って見たとき、第1周辺板部331の延長部335と第2周辺板部371の延長部375とは、概ね一致している。
【0037】
図4に示されるように、第1周辺板部331は、第2中央板部361から離れて、第2中央板部361の本体部365の周りを囲っている。また、
図5に示されるように、第2周辺板部371は、第1中央板部321から離れて、第1中央板部321の本体部325の周りを囲っている。第1周辺板部331の端面と第2中央板部361の端面とは部分的に対向し、第2周辺板部371の端面と第1中央板部321の端面とは部分的に対向している。このように、第1主部320と第2主部360とは互いに対向してキャパシタを構成する。但し、本発明はこれに限られない。第1対向部32の構成及び第2対向部36の構成は任意に変更可能である。例えば、第1主部320及び第2主部360は、夫々単一の板部を有するものであってもよい。
【0038】
図6に示されるように、第1被接続部351の最下部と、第2被接続部391の最下部と、第1被固定部355の下端と、第2被固定部395の下端とは、上下方向において同じ位置にある。これにより、対向部30の基板20への搭載を適切に行うことができる。なお、第1被接続部351の最下部は、アンテナ主部22の第1端部227に接続される第1被接続部位353であり、第2被接続部391の最下部は、アンテナ主部22の第2端部229に接続される第2被接続部位393である。
【0039】
上述したように、第1対向部32と第2対向部36とは互いに別体である(
図8参照)。そのため、このままでは、第1対向部32及び第2対向部36の基板20への搭載が煩雑である。また、第1対向部32と第2対向部36との相対位置が変化してアンテナ10の特性がばらつく可能性もある。そこで、第1対向部32及び第2対向部36の基板20への搭載には、
図9に示される対向部30の中間製品50を用いる。
【0040】
図9に示されるように、対向部30の中間製品50は、対向部30と連結部52とを有している。詳しくは、中間製品50は、互いから離れている第1対向部32及び第2対向部36と、第1対向部32と第2対向部36とを連結する連結部52とを有している。第1対向部32と第2対向部36とは、キャパシタを構成するように、互いに対向する位置にある。連結部52は、第1対向部32と第2対向部36との相対位置を固定する。中間製品50は、導電材料である一枚の金属板を切断及び曲げ加工して形成することができる。
【0041】
図9に示されるように、連結部52は、第1延部521と、第2延部523と、平板部525とを有している。第1延部521は、第1被接続部351から延びており、第2延部523は、第2被接続部391から延びている。このとき、第1被接続部351は、第1主部320と第1延部521との間に位置し、第2被接続部391は、第2主部360と第2延部523との間に位置する。
【0042】
図9及び
図10から理解されるように、第1延部521は、第1被接続部351の端部から上方へ延びた後、後方へ延びている。第2延部523は、第2被接続部391の端部から上方へ延びた後、後方へ延びている。平板部525は、横方向に延びて、第1延部521と第2延部523とを互いに連結している。前後方向において、平板部525は、対向部30よりも後方に位置している。
【0043】
図10から理解されるように、連結部52は、第1延部521の一部及び第2延部523の一部を除いて、第1周辺板部331及び第2中央板部361と同一平面上にある。したがって、上下方向において、中間製品50の寸法は、対向部30の寸法と同じである。
【0044】
図9及び
図10に示されるように、第1延部521には第1ノッチ531が形成されている。第1ノッチ531は、第1被接続部351の端部の近くに位置している。第1ノッチ531から第1被接続部位353までの距離は、第1主部320から第1被接続部位353までの距離よりも短い。第1ノッチ531は、前後方向において後方に開いている。同様に、第2被接続部391には第2ノッチ533が形成されている。第2ノッチ533は、第2被接続部391の端部の近くに位置している。第2ノッチ533から第2被接続部位393までの距離は、第2主部360から第2被接続部位393までの距離よりも短い。第2ノッチ533は、前後方向において後方に開いている。
【0045】
図11及び
図12から理解されるように、アンテナ10の製造工程において、対向部30の中間製品50は基板20に搭載される。連結部52の平板部525は、中間製品50を基板20上に吸着搬送するのに利用される。即ち、平板部525は、吸着ノズル(図示せず)に吸着される被吸着部として利用可能である。
【0046】
図11に示されるように、基板20の上面には、アンテナ主部22の第1端部227及び第2端部229の他に、一対の第1固定部251と一対の第2固定部253が形成されている。第1対向部32の第1被接続部351は、第1被接続部位353(
図9参照)において第1端部227に接続される。また、第2対向部36の第2被接続部391は、第2被接続部位393(
図9参照)において第2端部229に接続される。第1対向部32の第1被固定部355(
図9参照)は、その下端において第1固定部251に夫々接続される。第2対向部36の第2被固定部395(
図10参照)は、その下端において第2固定部253に夫々接続される。
【0047】
図12及び
図1から理解されるように、基板20に中間製品50を搭載した後、平板部525は、対向部30から切り離される。詳しくは、平板部525は、第1延部521及び第2延部523において対向部30から切り離される。平板部525の切り離しにより、対向部30の第1対向部32と第2対向部36とが互いに分離される。平板部525の切り離しは、第1ノッチ531及び第2ノッチ533を利用することにより容易に行える。詳しくは、平板部525に上方への力を加えつつ前方への力を加えることで、第1ノッチ531及び第2ノッチ533において、第1延部521及び第2延部523は折られて切断される。第1ノッチ531及び第2ノッチ533の位置が第1被接続部位353及び第2被接続部位393に夫々近いので、第1被接続部351及び第2被接続部391に変形をほとんど発生させることなく、第1延部521及び第2延部523を切断することができる。それゆえ、平板部525の除去が、アンテナ10の特性のばらつきを招くことはない。なお、第1延部521の一部と第2延部523の一部は、第1残部527及び第2残部529として第1対向部32及び第2対向部36に夫々残る。第1残部527及び第2残部529の端部には、平板部525を折り取った痕が残る。
【0048】
以上のようにして、
図1に示されるアンテナ10が完成する。本実施の形態によれば、中間製品50を利用することで、第1対向部32と第2対向部36とを有する対向部30を単一部品のように扱うことができ、基板20への搭載を容易に行うことができる。また、基板20への搭載の際に、第1対向部32と第2対向部36との相対位置が変化しないので、第1対向部32と第2対向部36との相対位置のばらつきによるアンテナ10の特性にばらつきが生じない。さらに、対向部30の取り扱いが容易なことから、対向部30の変更を容易に行えるので、アンテナ10の特性のばらつきを容易に調整することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
図13を参照すると、本発明の第2の実施の形態による対向部30の中間製品50Aは、対向部30と連結部52Aとを有している。連結部52Aの形状は、第1の実施の形態における中間製品50(
図9参照)の連結部52の形状と異なっている。
【0050】
図13及び
図14に示されるように、連結部52Aは、第1延部521Aと、第2延部523Aと、平板部525Aとを有している。第1延部521Aは、第1被接続部351から斜め上前方へ延びた後、後方へ延びている。第2延部523Aは、第2被接続部391から斜め上前方へ延びた後、後方延びている。平板部525Aは、横方向に延びて、第1延部521Aと第2延部523Aとを連結している。
【0051】
図14に示されるように、平板部525Aは、上下方向において対向部30よりも上方に位置している。
図13及び
図14から理解されるように、平板部525Aは、第1主部320及び第2主部360と平行になるように配置されている。詳しくは、
平板部525Aは、第1主部320の第1中央板部321及び第1周辺板部331と、第2主部360の第2中央板部361及び第2周辺板部371と平行になるように配置されている。
【0052】
図13に示されるように、平板部525Aの前後方向の寸法は、横方向中央において大きく、横方向両端において小さい。この形状は、吸着ノズル(図示せず)により平板部525Aを吸着するのに適している。また、平板部525Aは、第1主部320及び第2主部360と平行な水平面内において、中間製品50Aの重心
位置を含むように形成されている。これにより、平板部525Aを吸着ノズルで吸着して搬送する際に、中間製品50Aを安定して搬送することができる。
【0053】
図13に示されるように、第1延部521Aは第1後端部535を有しており、第2延部523Aは第2後端部537を有している。中間製品50Aを製造する際、第1後端部535及び第2後端部537には、
図15に示されるようにキャリア540が接続されている。キャリア540は、金属板を切断及び曲げ加工して中間製品50Aを形成した後、切断され除去されてよい。
【0054】
本実施の形態による中間製品50Aも、第1の実施の形態による中間製品50と同様に、基板20(
図11及び
図12参照)に搭載され、アンテナ10(
図1参照)を構成する。詳しくは、中間製品50Aが基板20に搭載されると、第1対向部32の第1被接続部351は、第1被接続部位353(
図13及び
図14参照)において第1端部227(
図11参照)に接続される。また、第2対向部36の第2被接続部391は、第2被接続部位393(
図13参照)において第2端部229(
図11参照)に接続される。さらに、第1対向部32の第1被固定部355(
図13及び
図14参照)は、その下端において第1固定部251(
図11)に夫々接続され、第2対向部36の第2被固定部395(
図13及び
図14参照)は、その下端において第2固定部253(
図11)に夫々接続される。中間製品50Aを基板20に搭載した後、連結部52Aの平板部525Aは、第1延部521A及び第2延部523Aに夫々形成されている第1ノッチ531A及び第2ノッチ533Aを利用して、対向部30から切り離される。このとき、第1延部521Aの一部と第2延部523Aの一部は、第1対向部32及び第2対向部36に夫々残る残部となり、それら残部の端部には平板部525Aを折り取った痕が残される。平板部525Aを折り取ったことにより、対向部30の第1対向部32と第2対向部36とが互いに分離される。そして、第1対向部32と第2対向部36とは、互いに離れて対向しキャパシタを構成する。こうして、第1端部227及び第2端部229にキャパシタが接続されたアンテナ10が構成される。本実施の形態の中間製品50Aを用いても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0055】
以上、本発明について、いくつかの実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、基板20として、両面基板を用いてもよいし、多層基板を用いてもよい。また、第1対向部32及び第2対向部36の夫々形状は、上記実施の形態の形状と異なるものであってもよい。一例を挙げれば、第1対向部32及び第2対向部36は、夫々櫛歯状に形成され、インタディジタル形に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 アンテナ
12 第1端子
14 第2端子
16 LC共振器
18 グランドプレーン
181 第1部分
183 第2部分
20 基板
22 アンテナ主部
221 切れ目
223 第1部分
225 第2部分
227 第1端部
229 第2端部
24 給電線
251 第1固定部
253 第2固定部
30 対向部
32 第1対向部
320 第1主部
321 第1中央板部
323 基部
325 本体部
331 第1周辺板部
333 基部
335 延長部
341 第1曲げ部
351 第1被接続部
353 第1被接続部位
355 第1被固定部
36 第2対向部
360 第2主部
361 第2中央板部
363 基部
365 本体部
371 第2周辺板部
373 基部
375 延長部
381 第2曲げ部
391 第2被接続部
393 第2被接続部位
395 第2被固定部
50,50A 中間製品
52,52A 連結部
521,521A 第1延部
523,523A 第2延部
525,525A 平板部
527 第1残部
529 第2残部
531,531A 第1ノッチ
533,533A 第2ノッチ
535 第1後端部
537 第2後端部
540 キャリア