(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】水性化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20240109BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240109BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/39
A61Q1/14
(21)【出願番号】P 2019189194
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】木村 有希
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-320263(JP,A)
【文献】特開2012-250924(JP,A)
【文献】特開2011-126809(JP,A)
【文献】特開2002-029915(JP,A)
【文献】特開2020-083781(JP,A)
【文献】特開2017-100980(JP,A)
【文献】特開2016-074660(JP,A)
【文献】特開2004-168724(JP,A)
【文献】特開2013-112633(JP,A)
【文献】特開2015-151379(JP,A)
【文献】特開平09-255530(JP,A)
【文献】特開2003-012441(JP,A)
【文献】米国特許第05639450(US,A)
【文献】特開2017-043586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)化粧料全量に対して0.01~2.0質量%のHLBが11以上のノニオン系界面活性剤;
(b)化粧料全量に対して0.01~3.0質量%のHLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤;及び
(c)化粧料全量に対して0.01~1.5質量%のHLBが5以下のノニオン系界面活性剤、及び、
(d)化粧料全量に対して50~95質量%の水
、及び、
(e)化粧料全量に対して0.01~2.0質量%の液状油分を含有し、
アルキル変性されていないカルボキシビニルポリマーを含まず、
上記(e)液状油分が、エステル油、炭化水素油及び液体油脂から選択される少なくとも1種であることを特徴とする
水性クレンジング化粧料。
【請求項2】
(f)水相増粘剤を更に含有し、当該水相増粘剤がアルキル変性カルボキシビニルポリマーである、
請求項1に記載の水性化粧料。
【請求項3】
前記(a)、(b)、及び(c)のノニオン系界面活性剤がミセルを形成し、前記ミセルの平均粒子径が200nm以下である、
請求項1または2に記載の水性化粧料。
【請求項4】
L値が75以上である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の水性化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性化粧料に関する。さらに詳しくは、十分なメーク落とし効果を発揮しながら透明性に優れた水性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
水性媒体を主成分とする水性化粧料は、肌にみずみずしい感触を与える点で好まれている。しかしながら、水性媒体中に界面活性剤等を配合したクレンジング化粧料は、クレンジングオイルやクレンジングクリーム等の油剤によってメークを溶かして除去する油性クレンジング化粧料と比較すると、例えばウォータープルーフのメーク落とし効果において劣る場合があった。
【0003】
一方、油性クレンジング化粧料に配合されている油分が肌を刺激することがある。そこで、従来の油性クレンジング料に配合されていた油分の量を抑制し、ミセル構造内にメーク汚れを取り込んで除去する水性クレンジング化粧料が、ミセラークレンジング化粧料と呼ばれて注目を集めてきている。また、近年は、化粧品としての機能(例えばクレンジング能)を向上させることに加えて、化粧料の外観も重視される傾向にあり、透明性を備える水性クレンジング化粧料が求められるようになっている。
【0004】
特許文献1には、(A)トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、(B)高分子増粘剤、及び(C)HLB9以上の非イオン性界面活性剤を配合したクレンジング化粧料が開示されている。この化粧料は、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシランという高い揮発性を有する分岐状のシリコーン化合物を配合することによりクレンジング効果を高めたものであり、このシリコーン化合物を他の揮発性油等に置換すると十分なクレンジング効果が得られない。
【0005】
特許文献2には、(A)特定の両親媒性エステル油(ジカルボン酸とポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステル)と、(B)エチレンオキシドの平均付加モル数が5~15であるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(C)特定の親水性非イオン性界面活性剤、(D)1価または2価の低級アルコール、及び(E)水を含有する水性クレンジング化粧料が開示されている。このクレンジング化粧料は、後肌のべたつきがなく、メーク除去能、保存安定性に優れるとされている。しかし、十分なメーク落とし効果を得るには(A)特定の両親媒性エステル油が必須であり、(B)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルをヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルに置換するとメーク落とし効果と保存安定性が不十分になる。
【0006】
透明な水性化粧料に関しては、特許文献3に、親水性界面活性剤と親油性界面活性剤を組み合わせて配合し、かつイソステアリルアルコールが油分の60質量%以上を占めるように調製した液状化粧料が記載されている。この液状化粧料は、L値が60以上の透明または半透明であり、凍結や高温といった過酷な条件下でも透明性が安定に維持される。
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に開示された技術では、透明な水性化粧料は得られるが、十分なメーク落とし効果を得るには特殊な成分を配合することが必要であり、処方の幅を狭くせざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5836608号公報
【文献】特開2019-59679号公報
【文献】国際公開第2013/038861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みて、十分なメーク落とし効果を発揮でき、なおかつ透明性に優れた水性化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、HLB値が互いに異なる3種類のノニオン系界面活性剤を各々所定量組み合わせて水性媒体に配合することにより、透明性及びメーク落とし効果に優れたクレンジング化粧料が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(a)化粧料全量に対して0.01~2.0質量%の、HLBが11以上のノニオン系界面活性剤;(b)化粧料全量に対して0.01~3.0質量%の、HLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤;(c)化粧料全量に対して0.01~1.5質量%の、HLBが5以下のノニオン系界面活性剤、及び(d)化粧料全量に対して50~95質量%の水を含有する水性化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水性化粧料は、透明性に優れた外観を有し、なおかつ十分なメーク落とし効果を発揮するクレンジング料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の水性化粧料について詳述する。
本発明に係る水性化粧料は、(a)HLBが11以上のノニオン系界面活性剤、(b)HLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤、(c)HLBが5以下のノニオン系界面活性剤、及び(d)水を必須成分として含有する。
【0014】
なお、本明細書におけるHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)は、下記式(I):
【数1】
(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)
で算出される値と定義する(「川上式」による定義)。
【0015】
(a)HLBが11以上のノニオン系界面活性剤
本発明で用いられる(a)HLBが11以上のノニオン系界面活性剤(「a成分」ともいう)は、化粧料等に使用可能なものであれば特に限定されない。
例えば、PPG-13デシルテトラデセス-24(HLB=15)、モノイソステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB=13)、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル(HLB=11)、モノイソステアリン酸PEG-10(HLB=11)、モノイソステアリン酸PEG-12(HLB=12)、モノオレイン酸ポリエチレングリコール400(HLB=11.4)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール400(HLB=11.6)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(HLB=14.9)等が挙げられる。中でも、PPG-13デシルテトラデセス-24と、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(化粧品成分表示名称:ポリソルベート60)が好適に用いられる。
【0016】
(a)HLBが11以上のノニオン系界面活性剤(a成分)の配合量は、化粧料全量に対して0.01~2.0質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.5~1.5質量%である。(a)成分のノニオン系界面活性剤の配合量が0.01質量%未満であると、透明性が低下する場合があり、2.0質量%を超えると、べたつきが顕著となり使用感が損なわれる。
【0017】
(b)HLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤
本発明で用いられる(b)HLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤(「b成分」ともいう)は、化粧料等に使用可能なものであれば特に限定されない。
例えば、PEG-10水添ヒマシ油(HLB=7)等のポリオキシエチレン水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸PEG-3グリセリル(HLB=6)、モノイソステアリン酸PEG-8グリセリル(HLB=10)等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(HLB=6.0)のポリグリセリン脂肪酸エステル、ジイソステアリン酸PEG-10グリセリル(HLB=7)、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB=7)、モノイソステアリン酸PEG-6(HLB=9)等が挙げられる。中でも、PEG-10水添ヒマシ油が好適に用いられる。
【0018】
(b)HLBが6以上10以下のノニオン系界面活性剤(b成分)の配合量は、化粧料全量に対して0.01~3.0質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.3~1.0質量%である。(b)成分の配合量が0.01質量%未満であると、十分なメーク落とし効果が得られず、3.0質量%を超えると製剤の透明性が低下する。
【0019】
(c)HLBが5以下のノニオン系界面活性剤
本発明で用いられる(c)HLBが5以下のノニオン系界面活性剤(「c成分」ともいう)は、化粧料等に使用可能なものであれば特に限定されない。
例えば、水添モノステアリン酸グリセリル(HLB=3.8)、モノオレイン酸グリセリル(HLB=3.7)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB=5)、セスキイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル(HLB=3.4)、ジオレイン酸グリセリル(HLB=1.8)、セスキオレイン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB=4)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル(HLB=4.0)、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル(HLB=3.5)、ペンタオレイン酸デカグリセリル(HLB=3.5)、モノイソステアリン酸ジグリセリル(HLB=4.7)、ジイソステアリン酸ジグリセリル(HLB=3.7)、ジオレイン酸ジグリセリル(HLB=3.7)等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸ソルビタン(HLB=4.3)、トリステアリン酸ソルビタン(HLB=2.1)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB=1.7)、イソステアリン酸ソルビタン(HLB=5.0)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB=4.5)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB=3.7)等のソルビタン脂肪酸エステル等が例示できる。中でも、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2が好適に用いられる。
【0020】
(c)HLBが5以下のノニオン系界面活性剤(c成分)の配合量は、化粧料全量に対して0.01~1.5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.3~1.0質量%である。(c)成分の配合量が0.01質量%未満であると十分なメーク落とし効果が得られず、1.5質量%を超えると製剤の白濁が起こる。
【0021】
ノニオン系界面活性剤全量((a)、(b)及び(c)の合計量)に対する前記(a)HLB11以上のノニオン系界面活性剤の配合量比率((a)/(a)+(b)+(c))が0.4~0.8の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.45~0.75である。
【0022】
(d)水
(d)成分である水の配合量は、化粧料全量に対して50~95質量%とするのが好ましく、より好ましくは60~90質量%である。
【0023】
前記(a)、(b)、(c)のノニオン系界面活性剤は(d)成分である水中に分散していてもよいし、ミセルを形成してもよい。前記(a)、(b)、(c)のノニオン系界面活性剤がミセルを形成した場合の当該ミセルの平均粒子径が200nm以下であるのが好ましく、より好ましくは30~150nmである。前記ミセルの平均粒子径が200nmを超えると安定性及び透明性が低下する場合がある。
【0024】
(e)液状油分
メーク落とし効果を向上させる観点から、(e)液状油分を更に含有することが好ましい。(e)液状油分としてはエステル油、炭化水素油、液体油脂等が挙げられる。
【0025】
エステル油としては、エチルへキサン酸セチル、トリエチルヘキサノイン、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソパルミチン酸オクチル、オレイン酸イソデシル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル等が例示される。中でも、エチルへキサン酸セチルが特に好ましく使用される。ただし、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは配合しなくてもよく、本発明の化粧料は、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含まない態様も包含する。
【0026】
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン等が例示される。
【0027】
液体油脂としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が例示される。
なお、シリコーン油を配合してもよいが、透明性を確保するため、その配合量を化粧料全量に対して5質量%以内に抑えることが好ましい。また、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシランは含まなくてもよく、本発明の化粧料は、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシランを含まない態様を包含する。
【0028】
(e)液状油分の配合量は、組成物全量に対し、通常は0.01~2.0質量%であり、好ましくは0.01質量%~1.0質量%である。(e)液状油分の配合量が0.01質量%未満であるとメーク落とし効果が低下し、2.0質量%を超えて配合すると白濁が起こり、使用感も低下する場合がある。
【0029】
(f)水相増粘剤
本発明の化粧料は(f)水相増粘剤を更に含有するのが好ましい。水相増粘剤としては、化粧料に使用可能な水溶性高分子等が例示されるが、アルキル変性カルボキシビニルポリマーが特に好ましい。(f)アルキル変性カルボキシビニルポリマー等の水相増粘剤を配合すると、本発明の化粧料を浸み込ませたコットン等の肌当たりが改善される。アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー等が好適に用いられる。市販品では、「PEMULEN TR-2」等を用いることができる。ただし、(f)水相増粘剤として、アルキル変性されていないカルボキシビニルポリマー(カルボマー)を使用するとコットン等の肌当たりは改善されるが、白濁が起こる場合がある。
【0030】
(f)水相増粘剤の配合量は、化粧料全量に対し、通常は0.01~2.0質量%であり、好ましくは0.01質量%~1.0質量%である。
【0031】
本発明の化粧料は、上記の構成とすることにより透明性を高くした水性液状化粧料である。数値で表現すれば、本発明の化粧料のL値は75以上、好ましくは80以上、より好ましくは85以上である。
L値とは、濁り度合を表す尺度であり、分光光度計(例えば、グレタグマクベス(GretagMacbeth)GE-700A:GretagMacbeth社製)を用い、ガラスセルに精製水5mlを入れて、光を透過させたときの透明度を100とし、光を完全に遮断して、透過光がないときの透明度を0として測定したときの値である。
【0032】
本発明の化粧料には、上記した成分に加えて、化粧料や医薬部外品等、特にクレンジング用化粧料等に通常用いられる他の任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。他の任意成分としては、限定されないが、例えば、各種薬剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、香料等が挙げられる。
【0033】
各種薬剤として、特にグリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸誘導体を例示することができる。例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル等が例示される。グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸誘導体を配合することにより、肌荒れ予防効果を高めることができる。
【0034】
グリチルリチン酸塩、グリチルレチン酸誘導体の配合量は、化粧料全量に対し、通常は0.001~1.0質量%であり、好ましくは0.01質量%~0.5質量%である。
【0035】
本発明の化粧料は、例えば以下に示す方法にて製造することができる。簡潔に述べれば、常法に従って水に水溶性成分を順次溶解し水相を調製し、水不溶性成分を両親媒性成分と混合後、水相に添加することにより製造できる。
【0036】
本発明の化粧料は、外観が透明であり、なおかつ優れたクレンジング効果を発揮する水性液状化粧料である。本発明の化粧料は、コットンに浸み込ませてメークを拭き取るように使用してもよいし、肌に直接適用して洗い流すように使用してもよい。特に、本発明の化粧料は肌に優しい配合成分からなるため、洗い流さないリーブオンタイプの化粧料として好適に使用できる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%を意味する。
【0038】
<メーク落とし効果>
女性パネル(10名)が各例の試料を実際に使用し、ファンデーションの除去のしやすさ(メーク落とし効果)について下記の基準により評価した。
(評価基準)
A:10名中8名以上がメーク落とし効果に優れると評価した。
B:10名中6~7名がメーク落とし効果に優れると評価した。
C:10名中3~5名がメーク落とし効果に優れると評価した。
D:10名中2名以下がメーク落とし効果に優れると評価した。
<透明性(L値)>
L値とはLab表色系におけるLの値を意味し、Color-EYE7000(GretagMacbeth社製)を用いて測定した。
<平均粒径>
MALVERN社製ZETASIZER(Nano‐ZS)を用いて平均粒子径を測定した。
<コットンの肌あたり>
女性パネル(10名)がコットンに試料を一定量とり、一定圧をかけながら前腕部を一定回数往復させて使用した。その際、肌あたりの良さについて下記の基準により評価した。
+:肌滑りが良く、肌あたりもなめらかであると評価したのが10名中6名以上であった。
-:肌滑りが良く、肌あたりもなめらかであると評価したのが10名中5名以下であった。
【0039】
【0040】
【0041】
表1及び2に示すように本発明の要件を満たす実施例1~9はいずれの評価項目も良好であった。この結果は、(a)成分をPPG-13デシルテトラデセス-24としてもポリソルベート60としても同様であった。一方、(b)成分を配合しない化粧料はメーク落とし効果が著しく低下した(比較例1)。
【0042】
【0043】
表3に示すように(a)成分が配合されていない場合、水相中で水溶性成分と水不溶性成分が分離し、評価できなかった(比較例2)。(b)成分が配合されていない化粧料(比較例3)、(c)成分が配合されていない化粧料(比較例4)ではメーク落とし効果が著しく低下した。
【0044】
【0045】
表4に示すように、本発明の要件を満たした上で他の成分を添加した化粧料(実施例10及び11)についても、全ての評価項目で良好な結果が得られた。なお、(f)成分であるアクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30)クロスポリマー(アルキル変性カルボキシビニルポリマー)をカルボマーに置換した化粧料はメーク落とし効果及びコットンの肌あたりは良好であったが、透明性が低下した(参考例1)。一方、実施例10の化粧料から(a)成分のみを抜去した化粧料は、水相中で水溶性成分と水不溶性成分が分離し、評価できなかった(比較例5)。また、実施例10の化粧料から(b)成分及び(c)成分を抜去した化粧料はコットンの肌あたりは良好であったが、メーク落とし効果が低下した(比較例6)。