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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】工作機械とそのブレーキ点検方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20240109BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20240109BHJP
   B23Q 1/28 20060101ALI20240109BHJP
   F16D 66/00 20060101ALI20240109BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23Q1/52
B23Q1/28 A
F16D66/00 Z
G05B19/18 X
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019191040
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021065947
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】立木 伸吾
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特許第4422187(JP,B2)
【文献】特開2016-101643(JP,A)
【文献】特開2019-022281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 16/00 - 17/00
B23Q 1/00 - 1/76
F16D 66/00
G01L 5/28
H02P 3/04
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキを備え、モータにより駆動される駆動軸と、該駆動軸の状態量を検出する検出部と、該検出部により検出された状態量に基づいて前記駆動軸を制御する制御部とを備え、
該制御部が、前記ブレーキのオンオフを切り替える切替指令を出力する切替指令部と、該切替指令部により切替指令が出力された後の第1の時刻と、該第1の時刻に対して時間間隔をあけた第2の時刻とにおいて、前記モータを微小に正転および逆転させる加振指令を出力する加振指令部と、該加振指令部による前記加振指令の出力中に前記検出部により検出された前記第1の時刻における前記状態量と、前記第2の時刻における前記状態量とに基づいて、前記ブレーキの状態を判定する判定部とを備え
前記判定部は、前記第2の時刻における前記状態量と前記第1の時刻における前記状態量との差分の絶対値が第1の閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキに動作遅れがあると判定する工作機械。
【請求項2】
ブレーキを備え、モータにより駆動される駆動軸と、該駆動軸の状態量を検出する検出部と、該検出部により検出された状態量に基づいて前記駆動軸を制御する制御部とを備え、
該制御部が、前記ブレーキのオンオフを切り替える切替指令を出力する切替指令部と、該切替指令部により切替指令としてアンクランプ指令が出力された後の第1の時刻と、該第1の時刻に対して時間間隔をあけた第2の時刻とにおいて、前記モータを微小に正転および逆転させる加振指令を出力する加振指令部と、該加振指令部による前記加振指令の出力中に前記検出部により検出された前記第1の時刻における前記状態量と、前記第2の時刻における前記状態量とに基づいて、前記ブレーキの状態を判定する判定部とを備える工作機械。
【請求項3】
記判定部は、前記第2の時刻における前記状態量が第2の閾値以下である場合に、前記ブレーキがアンクランプ動作不良であると判定する請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1の時刻における前記状態量および前記第2の時刻における前記状態量のいずれもが第2の閾値よりも大きいかつ略等しい場合に、前記ブレーキのアンクランプ動作が正常であると判定する請求項2または請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記切替指令部が、前記切替指令としてクランプ指令を出力し、
前記判定部は、前記第2の時刻における前記状態量が第3の閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキがクランプ動作不良であると判定する請求項1に記載の工作機械。
【請求項6】
前記判定部は、前記第1の時刻における前記状態量および前記第2の時刻における前記状態量のいずれもが前記第3の閾値以下かつ略等しい場合に、前記ブレーキのクランプ動作が正常であると判定する請求項5に記載の工作機械。
【請求項7】
前記駆動軸が回転テーブルである請求項1から請求項6のいずれかに記載の工作機械。
【請求項8】
前記状態量が、変位、速度または加速度である請求項1から請求項7のいずれかに記載の工作機械。
【請求項9】
前記加振指令部が前記第1の時刻と前記第2の時刻との間に1回以上の追加の前記加振指令を出力し、
前記判定部が、前記第1の時刻における前記加振指令、前記第2の時刻における前記加振指令および追加の前記加振指令における前記状態量に基づいて、前記ブレーキの状態変化を判定する請求項1から請求項8のいずれかに記載の工作機械。
【請求項10】
ブレーキを有する駆動軸を備える工作機械のブレーキ点検方法であって、
前記ブレーキの状態を切り替える切替指令を出力し、
該切替指令が出力された後の第1の時刻と、該第1の時刻に対して時間間隔をあけた第2の時刻とにおいて、前記駆動軸に加振指令を出力し、
該加振指令の出力中の前記駆動軸の状態量をそれぞれ検出し、
検出された前記第2の時刻における前記状態量と前記第1の時刻における前記状態量との差分の絶対値が第1の閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキに動作遅れがあると判定する工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項11】
前記ブレーキに動作遅れがあると判定された場合に、所定の許容時間の範囲内において、前記第1の時刻と前記第2の時刻のいずれかまたは両方を予め設定されている時刻に対して遅れさせる請求項10に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項12】
ブレーキを有する駆動軸を備える工作機械のブレーキ点検方法であって、
前記ブレーキの状態を切り替える切替指令としてアンクランプ指令を出力し、
該切替指令が出力された後の第1の時刻と、該第1の時刻に対して時間間隔をあけた第2の時刻とにおいて、前記駆動軸に加振指令を出力し、
該加振指令の出力中の前記駆動軸の状態量をそれぞれ検出し、
検出された前記第1の時刻における前記状態量と、前記第2の時刻における前記状態量とに基づいて、前記ブレーキの状態を判定する工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項13】
記第2の時刻における前記状態量が第2の閾値よりも小さい場合に、前記ブレーキがアンクランプ動作不良であると判定する請求項12に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項14】
前記第1の時刻における前記状態量および前記第2の時刻における前記状態量のいずれもが第2の閾値以上かつ略等しい場合に、前記ブレーキのアンクランプ動作が正常であると判定する請求項12または請求項13に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項15】
前記切替指令としてクランプ指令を出力し、
前記第2の時刻における前記状態量が第3の閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキがクランプ動作不良であると判定する請求項10または請求項11に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項16】
前記第1の時刻における前記状態量および前記第2の時刻における前記状態量のいずれもが前記第3の閾値以下かつ略等しい場合に、前記ブレーキのクランプ動作が正常であると判定する請求項15に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項17】
前記駆動軸が回転テーブルである請求項10から請求項16のいずれかに記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項18】
前記加振指令の出力を行う前に、前記回転テーブルに装着するワークの重量バランスの影響を低減する動作を前記駆動軸に行わせる請求項17に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項19】
前記回転テーブル前記重量バランスの影響が小さくなる位置に回転させる請求項18に記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【請求項20】
前記状態量が、変位、速度または加速度である請求項10から請求項19のいずれかに記載の工作機械のブレーキ点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械とそのブレーキ点検方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
割出位置を保持するためにブレーキを備える回転テーブルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この回転テーブルにおいては、回転テーブルを正転方向および逆転方向に微小回転させることにより微小揺動させたときの揺動の振幅を閾値と比較して、ブレーキがクランプ状態であるか否かの判定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4422187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンクランプ状態、もしくは、アンクランプまたはクランプ動作途中の状態で微小揺動させたときの揺動の振幅は、テーブルに積載されたワークのイナーシャおよび回転テーブルの速度ゲイン等のパラメータの設定値によって異なる。また、回転テーブルにアンバランストルクが負荷されている場合にも、アンバランストルクが負荷されていない場合と比較して揺動の振幅は相違する。このため、揺動の振幅と閾値との比較によってブレーキの状態を正確に判定することは困難である。
したがって、ワークのイナーシャ等により揺動の振幅が変動する状況であっても、ブレーキの状態の判定を精度よく行うことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、ブレーキを備え、モータにより駆動される駆動軸と、該駆動軸の状態量を検出する検出部と、該検出部により検出された状態量に基づいて前記駆動軸を制御する制御部とを備え、該制御部が、前記ブレーキのオンオフを切り替える切替指令を出力する切替指令部と、該切替指令部により切替指令が出力された後の第1の時刻と、該第1の時刻に対して時間間隔をあけた第2の時刻とにおいて、前記モータを微小に正転および逆転させる加振指令を出力する加振指令部と、該加振指令部による前記加振指令の出力中に前記検出部により検出された前記第1の時刻における前記状態量と、前記第2の時刻における前記状態量とに基づいて、前記ブレーキの状態を判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記第2の時刻における前記状態量と前記第1の時刻における前記状態量との差分の絶対値が第1の閾値よりも大きい場合に、前記ブレーキに動作遅れがあると判定する工作機械である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械を示す全体構成図である。
図2図1の回転テーブルの構造の一例を示す部分的な縦断面図である。
図3図1の工作機械に備えられる制御部を示すブロック図である。
図4図1の工作機械のブレーキ点検方法を説明するフローチャートである。
図5図1の工作機械のブレーキ点検方法におけるアンクランプ動作の判定を説明するグラフである。
図6図1の工作機械のブレーキ点検方法の変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態に係る工作機械1とそのブレーキ点検方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る工作機械1は、例えば、工作機械であって、図1に示されるように、モータ2により駆動される回転テーブル(駆動軸)3と回転テーブル3を制御する制御部4とを備えている。
【0008】
回転テーブル3は、図2に示されるように、ブレーキ5を備えている。ブレーキ5は、回転テーブル3の主軸6に固定されたブレーキディスク7と、ブレーキディスク7の近傍に配置されたクランプ部材8と、ブレーキディスク7を厚さ方向に挟んでクランプ部材8とは反対側に配置されるピストン9とを備えている。図中、符号10は、ピストン9をクランプ方向に強制する板バネである。
【0009】
ピストン9は、主軸6の軸方向に移動可能に設けられ、ピストン9を主軸6の軸方向に挟んだ両側には、それぞれ密封されたクランプ室11およびアンクランプ室12が配置されている。クランプ室11にエアを供給すると、ピストン9が一方向に移動して、クランプ部材8との間にブレーキディスク7を挟み、ブレーキ5が制動(オン)状態となる。
【0010】
一方、アンクランプ室12にエアを供給すると、ピストン9が逆方向に移動してブレーキディスク7から離れ、ブレーキ5が非制動(オフ)状態となる。また、クランプ室11およびアンクランプ室12へのエアの供給が停止すると、板バネ10によってブレーキ5がクランプ方向に強制され、ブレーキ5が制動状態となる。
【0011】
モータ2と回転テーブル3との間には、回転テーブル3の回転角度(状態量)を検出するセンサ(検出部)13が設けられている。センサ13は、例えば、非接触式のエンコーダである。
【0012】
制御部4は、図3に示されるように、切替指令部14と、タイマー15と、加振指令部16と、判定部17と、表示部18とを備えている。切替指令部14、加振指令部16および判定部17は、プロセッサおよびメモリにより構成されている。表示部18はモニタである。
【0013】
切替指令部14は、回転テーブル3のブレーキ5に対し、オンオフを切り替える切替指令を出力する。タイマー15は、切替指令が出力された時点から時間の計数を開始する。
【0014】
加振指令部16は、タイマー15により第1の時刻T1および第2の時刻T2が計数された2時点において、モータ2に対して加振指令を出力する。加振指令は、例えば、1周期の微小振幅の正弦波である。加振指令が入力されると、モータ2は微小に正転および逆転させられる。
センサ13により検出された回転テーブル3の回転角度の情報は判定部17に送られ、各種判定が行われる。判定結果は表示部18に表示される。
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る工作機械1のブレーキ点検方法について以下に説明する。
本実施形態に係るブレーキ点検方法は、まず、図4に示されるように、切替指令部14から回転テーブル3のブレーキ5に対して切替信号を出力する(ステップS1)。ここでは、切替指令部14が、回転テーブル3のブレーキ5に対して、切替指令としてアンクランプ指令を出力した場合について説明する。
【0016】
切替指令部14は、切替信号の出力と同時に、タイマー15に起動指令を送り、タイマー15による計時が開始される(ステップS2)。タイマー15による計時結果は、加振指令部16および判定部17に送られる。
【0017】
加振指令部16は、タイマー15による計時結果が、第1の時刻T1となったときに、モータ2に対して加振指令を出力し、モータ2を微小振動させる(ステップS3,S4)。
判定部17は、第1の時刻T1における加振中に、センサ13から送られてくる回転テーブル3の回転角度の情報から、回転テーブル3の振動の振幅A1を抽出し、記憶する(ステップS5)。
【0018】
次いで、加振指令部16は、タイマー15による計時結果が、第1の時刻T1に対して時間間隔をあけた第2の時刻T2となったときに、モータ2に対して加振指令を出力し、モータ2を微小振動させる(ステップS6,S7)。
判定部17は、第2の時刻T2における加振中に、センサ13から送られてくる回転テーブル3の回転角度の情報から、回転テーブル3の振動の振幅A2を抽出し、記憶する(ステップS8)。
【0019】
この状態で、判定部17は、度2の時刻T2において抽出された振幅A2が所定の第2の閾値Th2以下であるか否かを判定する(ステップS9)。判定の結果、振幅A2が第2の閾値Th2以下である場合には、アンクランプ動作が不良であると判定し(ステップS10)、その旨を表示部18に表示する(ステップS14)。
【0020】
判定部17は、振幅A2が所定の第2の閾値Th2よりも大きい場合には、第1の時刻T1における振幅A1と、第2の時刻T2における振幅A2との差分の絶対値が、所定の第1の閾値Th1以下であるか否かを判定する(ステップS11)。判定の結果、差分の絶対値|A2-A1|が第1の閾値Th1よりも大きい場合には、アンクランプ動作に遅れがあると判定し(ステップS12)、その旨を表示部18に表示する(ステップS14)。
【0021】
一方、判定部17における判定の結果、差分の絶対値|A2-A1|が第1の閾値Th1以下である場合には、アンクランプ動作が正常であると判定し(ステップS13)、その旨を表示部18に表示する(ステップS14)。
【0022】
このように、本実施形態に係る工作機械1とそのブレーキ点検方法によれば、時間間隔をあけた第1の時刻T1と第2の時刻T2における加振中の回転テーブル3の振動の振幅に基づいてアンクランプ動作が正常であるか以上であるかを判定する。これにより、1回の加振において判定する場合と比較して、ワークのイナーシャに関わらず、ブレーキ5の状態の判定を精度よく行うことができるという利点がある。
【0023】
すなわち、図5に示されるように、アンクランプ動作指令後に、時間間隔をあけて2回振動させ、2回目の振動における振幅A2が小さければ、アンクランプ動作自体が行われていない(アンクランプ動作不良)と判定することができる。
また、2回目の振動における振幅A2が大きい場合には、2回目の時点でアンクランプ動作が行われているが、1回目の振動における振幅A1が小さければ、アンクランプ動作が遅れて行われていると判定することができる。
【0024】
さらに、1回目の振動における振幅A1および2回目の振動における振幅A2が略等しく(第1の閾値Th1が十分に小さい場合)かつ、十分に小さければ、アンクランプ動作は正常であると判定することができる。
【0025】
なお、本実施形態に係る工作機械1とそのブレーキ点検方法によれば、モータ2に2回の加振指令を出力し、各加振中の回転テーブル3の振幅A1,A2を用いて、アンクランプ動作が正常か異常かを判定したが、これに代えて、加振指令は2回以上出力してもよい。
この場合には、回転テーブル3のブレーキ5のアンクランプ状態の時間変化をさらに詳細に確認することができる。
【0026】
この場合に、最初に設定した2回の時刻T1,T2では、アンクランプ動作不良またはアンクランプ動作遅れと判定される場合には、判定時間の許容範囲内において、判定のための振幅の検出時刻を探索してもよい。すなわち、最初に設定した2回の時刻T1,T2よりも遅い時刻における判定が許容され、アンクランプ動作正常と判定できる場合には、時刻T1,T2を延長してもよい。
【0027】
また、本実施形態においては、切替指令部14が、回転テーブル3のブレーキ5に対して、切替指令としてアンクランプ指令を出力した場合について説明したが、クランプ指令を出力する場合に適用してもよい。
この場合には、図6に示されるように、クランプ指令を出力する(ステップS21)。
そして、第2の時刻T2において抽出された振幅A2が第3の閾値Th3よりも大きいか否かを判定し(ステップS22)、大きい場合にはクランプ動作不良であると判定する(ステップS23)。振幅A2が第3の閾値Th3以下かつ振幅A2と振幅A1との差分の絶対値が第1の閾値Th1よりも大きい場合には、クランプ動作遅れであると判定する(ステップS24)。さらに、振幅A2が第3の閾値Th3以下かつ振幅A2と振幅A1との差分の絶対値が第1の閾値Th1以下である場合には、クランプ動作が正常であると判定すればよい(ステップS25)。
【0028】
また、本実施形態においては、工作機械1の駆動軸として回転テーブル3を例示したが、これに代えて、ブレーキ5を備える駆動軸であれば、他の任意の駆動軸に適用してもよい。
また、検出する状態量として、回転テーブル3の回転角度(変位量)を例示したが、これに代えて、トルク、加速度あるいは速度等の他の状態量を検出してもよい。トルクは、モータ2の電流値あるいはトルクセンサにより検出してもよい。また、速度は回転角度あるいは変位量を微分して算出してもよい。
【0029】
また、回転テーブル3の場合、装着するワークの重量バランスが取れていない場合、回転角度位置によって判定結果が相違するので、アンクランプ指令あるいはクランプ指令の出力前に、ワークの重量バランスの影響を低減する動作を実施してもよい。
例えば、回転テーブル3を1回転させる間のモータ2の電流値を記録し、電流値が最も小さくなる回転角度位置に停止してからブレーキ点検を行ってもよい。
【0030】
また、ブレーキ点検は、点検機能専用の指令コードを加工プログラムの最初または最後に組み込んで実施してもよいし、クランプ動作/アンクランプ動作の回数が所定回数到達する毎に実施してもよい。あるいは、必要に応じて実施してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 工作機械
2 モータ
3 回転テーブル(駆動軸)
4 制御部
5 ブレーキ
13 センサ(検出部)
14 切替指令部
16 加振指令部
17 判定部
T1 第1の時刻
T2 第2の時刻
Th1 第1の閾値
Th2 第2の閾値
Th3 第3の閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6