(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】データ分類装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/06 20060101AFI20240109BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240109BHJP
B61L 1/18 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B61L25/06 A
B61L23/00 Z
B61L1/18 Z
(21)【出願番号】P 2019201277
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000180380
【氏名又は名称】四国旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】建山 弓弦
(72)【発明者】
【氏名】川端 正憲
(72)【発明者】
【氏名】為広 重行
(72)【発明者】
【氏名】三▲崎▼ 友樹
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-278269(JP,A)
【文献】特開2011-207258(JP,A)
【文献】特開2011-143779(JP,A)
【文献】特開2012-071668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/06
B61L 23/00
B61L 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得部と、
前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の前記監視データを、前記監視データの測定時点における前記監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類部と、を有し、
前記監視対象区間の状態は、前記監視対象区間
に含まれる各閉塞区間における列車の
存否の組み合わせを示す在線状態か、又は、前記監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される、データ分類装置。
【請求項2】
前記監視対象区間における列車の在線状態は、前記監視対象区間に含まれる複数の閉塞区間それぞれにおける列車の存否の組み合わせで定まる、請求項1に記載のデータ分類装置。
【請求項3】
前記監視データは、前記監視対象区間に設けられている制御回線の電流又は電圧の測定値を示す、請求項1又は2に記載のデータ分類装置。
【請求項4】
前記グループごとに、そのグループに割り当てられた前記監視データを用いて、前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定を行う推定部を有する、請求項1から3いずれか一項に記載のデータ分類装置。
【請求項5】
前記推定部が行う推定は、前記設備の故障又は交換に関する推定である、請求項4に記載のデータ分類装置。
【請求項6】
前記推定部は、
複数の前記グループそれぞれに対応する推定器を有し、
各前記グループに割り当てられた監視データを、そのグループに対応する推定器に入力し、
各前記推定器から得られた出力を用いて前記推定を行う、請求項4又は5に記載のデータ分類装置。
【請求項7】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得ステップと、
前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の前記監視データを、前記監視データの測定時点における前記監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類ステップと、を有し、
前記監視対象区間の状態は、前記監視対象区間
に含まれる各閉塞区間における列車の
存否の組み合わせを示す在線状態か、又は、前記監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される、制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の走行経路から得られるデータを分類する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
測定データに基づいて推定(故障予測など)を行う技術が開発されている。例えば、特許文献1には、モータのブレーキの故障の状態を予測する装置を開示している。この装置では、正常時のモータのブレーキから得られるデータで正常時の状態を学習しておくことで、故障検知を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、列車の走行経路から得られたデータ(例えば、線路に併設される制御回線の電圧など)を利用して、線路等の設備に関する推定を行う方法について検討した。そして、その検討を通じ、走行経路から得られるデータは、測定対象(制御回線など)の状態以外のものの影響を受けて変動しうることを見出した。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、列車の走行経路で得られるデータを用いた推定をより高い精度で実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデータ分類装置は、1)列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得部と、2)監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の監視データを、監視データの測定時点における監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類部と、を有する。
監視対象区間の状態は、監視対象区間に含まれる各閉塞区間における列車の存否の組み合わせを示す在線状態か、又は、監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される。
【0007】
本発明の制御方法はコンピュータによって実行される。当該制御方法は、1)列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得ステップと、2)監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の監視データを、監視データの測定時点における監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類ステップと、を有する。
監視対象区間の状態は、監視対象区間に含まれる各閉塞区間における列車の存否の組み合わせを示す在線状態か、又は、監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される。
【発明の効果】
【0008】
列車の走行経路で得られるデータを用いた推定をより高い精度で実現する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のデータ分類装置の概要を説明するための図である。
【
図2】実施形態1のデータ分類装置の機能構成を例示する図である。
【
図3】データ分類装置を実現するための計算機を例示する図である。
【
図4】実施形態1のデータ分類装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図5】監視対象区間の在線状態と信号機の状態との関係を例示する図である。
【
図6】監視対象区間の在線状態と信号機の状態との関係を例示する図である。
【
図7】実施形態2のデータ分類装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図8】実施形態2のデータ分類装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また各ブロック図において、特に説明がない限り、各ブロックは、ハードウエア単位の構成ではなく機能単位の構成を表している。
【0011】
[実施形態1]
<概要>
図1は、本実施形態のデータ分類装置2000の概要を説明するための図である。なお、
図1は、データ分類装置2000に対する理解を容易にするための例示であり、データ分類装置2000の機能は
図1に表されているものに限定されない。
【0012】
データ分類装置2000は、監視対象区間10内に設置されている設備に関する推定(例えば、設備の故障予測など)に利用される監視データ40の分類を扱う。監視対象区間10は、列車30の走行区間の一部又は全部であり、例えば、制御信号をやりとりする2つの制御装置が設置されている場所(例えば駅)を端点とする区間である。例えば、A駅に設置されている制御装置とB駅に設置されている制御装置との間で制御信号がやりとりされる場合、A駅とB駅の間を監視対象区間10として扱うことができる。
【0013】
制御装置間で送受信される信号としては、例えば、単線区間(上り列車と下り列車で線路が共有される区間)において、1)現在の列車の運転方向を保持するための制御信号や、2)運転方向を表示するための制御信号などがある。なお、1)の制御信号が流れる回線は FC 回線と呼ばれ、2)の制御信号が流れる回線は FK 回線と呼ばれる。以下、FC 回線や FK 回線などのように制御信号が流れる回線を、総称して制御回線と呼ぶ。監視対象区間10の端点同士は、制御回線で結ばれている。
【0014】
なお、監視対象区間10は、単線の区間に限定されず、複線の区間でもよい。複線の区間において制御装置間でやりとりされる制御信号としては、例えば、複線自動閉塞方式の制御で利用される各種の制御信号がある。
【0015】
推定の対象となる設備としては、監視対象区間10内に設定されている様々なものを扱える。例えば設備には、線路、閉塞装置、信号装置、転てつ装置、連動装置、列車集中制御装置、自動列車停止装置、又は踏切保安装置などがある。
【0016】
監視データ40は、監視対象区間10について得られる測定値を示す。監視データ40は、例えば、前述した制御回線に関する測定値を示す。具体的な例としては、制御回線にかかる電圧や制御回線を流れる電流の大きさなどが挙げられる。監視データ40を得るための測定装置(後述する測定装置60)には、前述した測定値を得るためのセンサ(例えば、電流センサや電圧センサなど)が含まれる。測定装置は、前述した制御装置内に設けられてもよいし、制御装置の外に設けられてもよい。後者の場合、測定装置は、制御回線上の任意の場所に設けることができる。
【0017】
監視データ40は、監視データ40の測定時点(測定装置によって測定が行われた時点)における監視対象区間10の状態に応じて分類される。ここで、監視データ40の分類に利用されるグループを、状態グループ50と呼ぶ。状態グループ50は、監視対象区間10がとりうる状態それぞれについて設けられる。データ分類装置2000は、各監視データ40について、その監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態を特定し、その状態に対応する状態グループ50に、その監視データ40を割り当てる(状態グループ50に監視データ40を加える)。
【0018】
監視対象区間10の状態は、監視対象区間10の在線状態(監視対象区間10のどの位置に列車30が存在するか)、又は監視対象区間10における各信号機の状態の組み合わせで表される。前者の場合、監視対象区間10の在線状態ごとに、状態グループ50が設けられる。後者の場合、監視対象区間10における各信号機の状態の組み合わせごとに、状態グループ50が設けられる。
【0019】
<作用効果の一例>
前述した制御回線などから得られる測定データ(監視データ40)は、後述するように、監視対象区間10の状態(在線状態や信号機の状態)の影響を受けて変動しうる。そのため、監視データ40を用いた推定を精度良く行うためには、監視対象区間10の状態の影響によるデータの変動と、設備の故障等によるデータの変動とを切り分けることが重要となる。
【0020】
この点、本実施形態のデータ分類装置2000によれば、監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態に応じて、各監視データ40を状態グループ50に割り当てられることにより、監視データ40の分類が行われる。そして、このようにグループ分けされた監視データ40を利用して推定を行えば、監視対象区間10の状態の影響による測定値の変動と、設備の故障等による測定値の変動とを切り分けた推定が可能となる。これにより、監視データ40を利用して行われる設備に関する推定を、より高い精度で行えるようになる。また、このような分類をすることには、監視データ40を沢山利活用できるという利点もある。
【0021】
以下、本実施形態についてさらに詳細を述べる。
【0022】
<機能構成の例>
図2は、実施形態1のデータ分類装置2000の機能構成を例示する図である。データ分類装置2000は、取得部2020及び分類部2040を有する。取得部2020は、監視対象区間10について複数の監視データ40を取得する。分類部2040は、取得した複数の監視データ40を分類する。具体的には、分類部2040は、各監視データ40について、その監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態を特定する。そして、分類部2040は、各監視データ40を、その監視データ40について特定した状態に対応する状態グループ50に割り当てる。
【0023】
<データ分類装置2000のハードウエア構成の例>
データ分類装置2000の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、データ分類装置2000の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0024】
図3は、データ分類装置2000を実現するための計算機1000を例示する図である。計算機1000は、任意の計算機である。例えば計算機1000は、PC(Personal Computer)やサーバマシンなどといった据え置き型の計算機である。その他にも例えば、計算機1000は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型の計算機であってもよい。
【0025】
計算機1000は、データ分類装置2000を実現するために設計された専用の計算機であってもよいし、汎用の計算機であってもよい。後者の場合、例えば、計算機1000に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、計算機1000において、データ分類装置2000の機能が実現される。上記アプリケーションは、データ分類装置2000の機能構成部を実現するためのプログラムで構成されるアプリケーションである。
【0026】
計算機1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0027】
プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0028】
入出力インタフェース1100は、計算機1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0029】
ネットワークインタフェース1120は、計算機1000を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば LAN(Local Area Network)や WAN(Wide Area Network)である。
図3において、計算機1000は、ネットワークインタフェース1120を介して、測定装置60と通信可能に接続されている。測定装置60は、測定を行って監視データ40を生成する装置である。測定装置60は、繰り返し測定を行うことで、各測定において、測定時点と測定値とを対応づけた監視データ40を生成する。測定装置60が測定を行うタイミングは、定期的なタイミングでもよいし、不定期のタイミングでもよい。なお、測定装置60とデータ分類装置2000(計算機1000)は通信可能に接続されていなくてもよい。
【0030】
ストレージデバイス1080は、データ分類装置2000の各機能構成部を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ1040は、これら各プログラムをメモリ1060に読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。
【0031】
<処理の流れ>
図4は、実施形態1のデータ分類装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。取得部2020は、監視対象区間10について複数の監視データ40を取得する(S102)。S104からS110は、対象とする監視データ40を変えながら繰り返し行われるループ処理Aである。S104において、分類部2040は、全ての監視データ40を対象にループ処理Aを実行したか否かを判定する。全ての監視データ40についてループ処理Aが既に実行された場合、
図4の処理はS112に進む。
【0032】
一方、まだループ処理Aの対象としていない監視データ40がある場合、分類部2040は、そのうちの1つを選択する。ここで選択される監視データ40を、監視データiと呼ぶ。
【0033】
分類部2040は、監視データiの測定時点における監視対象区間10の状態を特定する(S106)。分類部2040は、監視データiを、特定した状態に対応するグループに割り当てる(S108)。S110はループ処理Aの終端であるため、
図4の処理はS104に戻る。
【0034】
ループ処理Aの後、データ分類装置2000は、グループに分類された監視データ40を出力する(S112)。
【0035】
データ分類装置2000が行う処理の流れは、
図4に示した流れに限定されない。例えばデータ分類装置2000は、監視データ40を1つずつ取得し、監視データ40を1つ取得する度に、監視データ40に対応する監視対象区間10の状態の特定(S106)、監視データ40に対する状態グループ50の割り当て(S108)、及び状態グループ50と対応づけた監視データ40の出力(S110)を実行してもよい。
【0036】
<監視対象区間10の状態について>
監視データ40の分類を行うために、監視対象区間10がとりうる複数の状態それぞれに対応する状態グループ50が設けられる。前述したように、監視対象区間10の状態は、監視対象区間10の在線状態、又は監視対象区間10に含まれる各信号機の状態の組み合わせで定められる。以下、それぞれの場合について説明する。
【0037】
<<監視対象区間10の在線状態について>>
列車30の運行は、1つの閉塞区間に同時に存在する列車30が1台のみとなるように制御される。そのため、監視対象区間10の在線状態は、閉塞区間単位で把握することができる。具体的には、監視対象区間10の在線状態は、監視対象区間10に含まれる各閉塞区間における列車30の存否の組み合わせで表すことができる。なお、監視対象区間10に含まれる閉塞区間は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0038】
例えば、監視対象区間10に閉塞区間AからCという3つが含まれるとする。この場合、監視対象区間10の在線状態は、「閉塞区間Aにおける列車30の存否、閉塞区間Bにおける列車30の存否、閉塞区間Cにおける列車30の存否」という組み合わせで表される。そのため、計8通り(2^3)の在線状態がある。よって、最大8つの状態グループ50が用意される。
【0039】
制御回線の電流や電圧は、監視対象区間10に設けられている設備の故障等だけでなく、監視対象区間10の在線状態の影響も受けうる。例えば列車が駅間に存在する際に方向回線の切り替わりを防ぐため、FK 回線電圧は 0 になる。
【0040】
そこで例えば、データ分類装置2000は、監視対象区間10における列車30の在線状態ごとに監視データ40を分類する。これにより、監視対象区間10における列車30の在線状態に応じた監視データ40の変化と、設備の故障等による監視データ40の変化とを切り分けることができる。よって、監視対象区間10に設けられている設備の故障等をより高い精度で推定することができるようになる。
【0041】
<<信号機の状態について>>
監視対象区間10の状態は、監視対象区間10に含まれる各信号機の状態の組み合わせで表されてもよい。例えば監視対象区間10に3つの信号機AからCが含まれている場合、監視対象区間10に含まれる信号機の状態の組み合わせは、「信号機Aの状態、信号機Bの状態、信号機Cの状態」という組み合わせを意味する。信号機の状態は、例えば、赤、黄、青のうちの1いずれか1つである。
【0042】
ここで、信号機の状態の組み合わせは、監視対象区間10における在線状態を表しうる。
図5及び
図6は、監視対象区間10の在線状態と信号機の状態との関係を例示する図である。この例において、監視対象区間10は単線区間である。また、各進行方向について、閉塞区間の入り口及び駅の入り口に信号機が設けられている。なお、
図5及び
図6では、図示の都合上、青信号、黄信号、及び赤信号がそれぞれ、白塗り、ドット柄、及び格子柄で表されている。
【0043】
図5及び
図6の例では、列車30がB駅からA駅へ移動する。そのため、A駅からB駅へ向かう方向の信号機については、全て赤になっている。
【0044】
列車30が存在する閉塞区間の入り口の信号機は、赤に設定される。さらに、この例では、列車30が存在しない閉塞区間の入り口の信号機については、その1つ先の閉塞区間に列車30が存在すれば(1つ先の信号機が赤であれば)黄に設定され、存在しなければ青に設定される。
【0045】
以上のルールに従って信号機が制御されるため、列車30が存在する閉塞区間が変化するごとに、信号機の状態が変化している。例えば、列車30が閉塞区間3に移動すると(
図5中段)、閉塞区間3の入り口の信号機が赤になっている。また、列車30が閉塞区間2に移動すると(
図5下段)、閉塞区間2の入り口の信号機が赤になり、閉塞区間3の入り口の信号機が黄になる。さらに、列車30が閉塞区間1に移動すると(
図6上段)、閉塞区間1の入り口の信号機が赤になり、閉塞区間2の入り口の信号機が黄になる。また、このとき、閉塞区間3の入り口の信号機の色は青になる。
【0046】
なお、
図5及び
図6の例では列車30が1つのみであるが、監視対象区間10には列車30が複数存在しうる。例えば
図5の下段の例において、別の列車30が閉塞区間3に進入してもよい。この場合、閉塞区間3の入り口の信号が赤に設定される。
【0047】
以上のように、信号機の状態の組み合わせは、監視対象区間10の在線状態を表しうる。しかしながら、信号機の状態の組み合わせと監視対象区間10の在線状態は、必ずしも1対1で対応しない。言い換えれば、監視対象区間10の在線状態が変わらなくても、信号機の状態の組み合わせは変わりうる。なぜなら、駅の入り口に設けられている信号機の設定は、駅の場内に列車30が存在するか否か以外の条件でも変更されうるためである。
【0048】
例えば、場内に列車30が存在しないために駅の入り口の信号機が青に設定されていた状態で、ホームにいた人が線路上に荷物を落としてしまったとする。この場合、駅の入り口の信号機を赤に設定して場内に列車30が侵入しないようにした上で、駅員が荷物を拾う作業を行う。そして、その作業の完了後に、駅の入り口の信号機が再度青に変更される。このように、在線状態が変化しなくても、駅の入り口の信号の状態は変化しうる。
【0049】
また、前述したように、「1つ先の信号機が赤であれば信号機の色を黄に設定する」というルールで運用を行う場合、駅の場内の都合等で駅の入り口の信号機が赤に設定されると、その1つ手前の信号機の色が黄に設定される。そのため、駅の入り口に設けられている信号機以外についても、在線状態以外に基づいてその状態が設定されうる。
【0050】
そして、監視対象区間10の在線状態が同じあっても、信号機の状態の組み合わせの違いが、監視データ40に影響を及ぼしうる。すなわち、制御回線の電流や電圧は、監視対象区間10に設けられている設備の故障等だけでなく、監視対象区間10に含まれる信号機の状態の組み合わせによる影響も受けうる。
【0051】
そこで例えば、データ分類装置2000は、監視対象区間10に含まれる信号機の状態の組み合わせごとに監視データ40を分類する。これにより、監視対象区間10に含まれる信号機の状態の組み合わせに応じた監視データ40の変化と、設備の故障等による監視データ40の変化とを切り分けることができる。よって、監視対象区間10に設けられている設備の故障等をより高い精度で推定することができるようになる。
【0052】
<監視データ40の取得:S102>
取得部2020は、複数の監視データ40を取得する(S102)。ここで、測定装置による測定で得られたデータを取得する方法には、既存の種々の方法を採用できる。例えば、測定装置60は、データ分類装置2000からもアクセス可能な記憶装置に対し、監視データ40を格納していく。この場合、取得部2020は、この記憶装置へアクセスすることで、監視データ40を取得する。なお、この記憶装置は、測定装置60の内部に設けられていてもよいし、測定装置60の外部に設けられていてもよい。
【0053】
その他にも例えば、測定装置60がデータ分類装置2000に対して監視データ40を送信するようにしてもよい。この場合、取得部2020は、測定装置60から送信された監視データ40を受信することで、監視データ40を取得する。
【0054】
なお、取得部2020は、測定装置60以外の装置から監視データ40を取得してもよい。例えば、前述した制御装置が、測定装置60から監視データ40を取得し、その監視データ40をデータ分類装置2000へ送信するようにする。
【0055】
なお、取得部2020は、複数の監視データ40を一度に取得せず、異なるタイミングで取得するようにしてもよい。例えば取得部2020は、監視データ40が新たに生成される度に、その監視データ40を取得する。その他にも例えば、取得部2020は、定期的又は不定期のタイミングで、未取得の監視データ40を取得してもよい。
【0056】
<監視対象区間10の状態の特定:S106>
分類部2040は、各監視データ40について、その監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態を特定する(S106)。前述したように、監視対象区間10の状態は、監視対象区間10に在線状態か、又は、監視対象区間10に含まれる各信号機の状態の組み合わせで表される。
【0057】
監視対象区間10の状態が監視対象区間10の在線状態で表されるとする。この場合、分類部2040は、監視対象区間10に含まれる各閉塞区間について列車30の存否を特定することで、監視対象区間10の在線状態を特定する。なお、各閉塞区間における列車30の存否を特定する方法には、既存の方法を利用することができる。例えば、閉塞区間における列車30の存否は、その閉塞区間で構成される軌道回路の状態から把握することができる。そこで分類部2040は、各閉塞区間の軌道回路の状態を表す情報を取得することにより、各閉塞区間における列車30の存否を特定する。
【0058】
監視対象区間10の状態が監視対象区間10に含まれる各信号機の状態の組み合わせで表されるとする。この場合、分類部2040は、監視対象区間10に含まれる各信号機の状態を特定することで、監視対象区間10の状態を特定する。ここで、各信号機の状態を把握する方法には、既存の方法を利用することができる。例えば、各信号機の状態が、ネットワークを介して各信号機と接続されている管理装置によって管理されているとする。この場合、例えば分類部2040は、この管理装置から、各信号機の状態を表す情報を取得する。
【0059】
ここで、監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態を特定するためには、監視対象区間10の状態の遷移(時刻と監視対象区間10の状態との対応関係)を把握しておく必要がある。例えば分類部2040は、定期的に前述した方法で監視対象区間10の状態を特定し、その特定時点に監視対象区間10の状態を表す情報(例えば、とりうる状態それぞれに割り当てた識別子)を対応づけて、記憶装置に格納しておく。分類部2040は、この記憶装置に格納されている情報を利用して、各監視データ40について、その監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態を特定する。
【0060】
<監視データ40の分類:S108>
分類部2040は、複数の監視データ40それぞれを、その監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態に対応する状態グループ50に割り当てることで、監視データ40の分類を行う(S108)。なお、データを複数のグループのうちの1つに割り当てる具体的な方法には、任意の方法を採用できる。
【0061】
例えば、監視データ40を格納する記憶装置に、状態グループ50ごとの記憶領域(例えばファイル)を用意しておく。分類部2040は、監視データ40を、その監視データ40が属する状態グループ50に対応する記憶領域に追加することで、監視データ40をその状態グループ50に割り当てる。その他にも例えば、分類部2040は、状態グループ50の識別子と、その状態グループ50に属する監視データ40とを対応づけた情報を生成することで、監視データ40の分類を行ってもよい。
【0062】
<分類結果の出力:S112>
データ分類装置2000は、状態グループ50ごとに分類された監視データ40を出力する(S112)。分類部2040による分類の結果(すなわち、各状態グループ50に含まれる監視データ40)に関する情報を出力する方法は任意である。例えば状態グループ50ごとに分類された監視データ40は、データ分類装置2000からアクセス可能な記憶装置に格納される。その他にも例えば、状態グループ50ごとに分類された監視データ40は、データ分類装置2000と接続された他の装置に対して送信されてもよい。このように状態グループ50ごとに分類して出力された監視データ40は、例えば実施形態2で説明するように、監視対象区間10に設けられた設備に関する推定に利用される。
【0063】
[実施形態2]
図7は、実施形態2のデータ分類装置2000の機能構成を例示するブロック図である。以下で説明する点を除き、実施形態2のデータ分類装置2000は、実施形態1のデータ分類装置2000と同様の機能を有する。
【0064】
実施形態2のデータ分類装置2000は、推定部2060を有する。推定部2060は、状態グループ50ごとに、その状態グループ50に含まれる監視データ40を用いて、監視対象区間10に設けられている設備に関する推定を行う。ここでいう設備は、監視データ40と何らかの関係がある任意の設備である。例えば監視データ40が制御回線に関する測定値を示す場合、推定対象の設備として、その制御回線を流れる信号に影響を及ぼすものを採用できる。前述したように、このような設備には、線路や閉塞装置などが挙げられる。
【0065】
推定部2060が行う推定は、例えば、監視対象区間10に設けられている設備の故障の検知や予測である。ここで、推定部2060が行う推定は、識別であってもよいし、回帰であってもよい。前者の場合、例えば推定部2060は、「所定期間後に設備が故障するか否かの識別」、「現在設備が故障しているか否かの識別」、「故障が予測される時点が、将来の複数の期間のうちのいずれに属するかの識別」などを行う。将来の複数の期間の例としては、例えば、「半年以内」、「半年より後で1年以内」、「1年より後で2年以内」、及び「2年より後」の4つに区分した期間などが挙げられる。
【0066】
推定部2060が回帰を行う場合、例えば推定部2060は、「所定期間後に設備が故障する確率」、「現在設備が故障している確率」、「設備が故障するまでの時間」などを推定する。
【0067】
なお、推定部2060が行う推定は、設備の故障に関する推定に限定されない。例えば推定部2060は、「設備の交換が必要な時期の推定」、「所定期間後に設備の交換が必要であるか否かの識別」、又は「現時点で設備の交換が必要か否かの識別」などのように、設備の交換に関する推定を行ってもよい。
【0068】
<作用効果の一例>
前述した制御回線などから得られる測定データ(監視データ40)は、後述するように、監視対象区間10の状態(在線状態や信号機の状態)の影響を受けて変動しうる。そのため、監視データ40を用いた推定を精度良く行うためには、監視対象区間10の状態の影響によるデータの変動と、設備の故障等によるデータの変動とを切り分けることが重要となる。
【0069】
この点、本実施形態のデータ分類装置2000によれば、監視データ40の測定時点における監視対象区間10の状態に応じて、各監視データ40を状態グループ50に割り当てられることにより、監視データ40の分類が行われる。そして、このようにグループ分けされた監視データ40を利用して推定を行えば、監視対象区間10の状態の影響による測定値の変動と、設備の故障等による測定値の変動とを切り分けた推定が可能となる。これにより、監視データ40を利用して行われる設備に関する推定を、より高い精度で行えるようになる。
【0070】
以下、本実施形態の詳細についてさらに説明する。
【0071】
<ハードウエア構成の例>
実施形態2のデータ分類装置2000のハードウエア構成は、実施形態1のデータ分類装置2000のハードウエア構成と同様に、例えば
図3で表される。ただし、実施形態2のストレージデバイス1080には、実施形態2のデータ分類装置2000の機能を実現するためのプログラムが含まれる。
【0072】
<処理の流れ>
図8は、実施形態2のデータ分類装置2000によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図8のフローチャートは、
図4のフローチャートにS202を追加したものに相当する。S202において、推定部2060は、状態グループ50ごとに、その状態グループ50に含まれる監視データ40を用いて、監視対象区間10に設けられている設備に関する推定を行う。
【0073】
<推定部2060による推定:S202>
推定部2060は、状態グループごとに分けられた監視データ40を利用して、監視対象区間10に設けられている設備に関する推定を行う(S202)。例えば、状態グループごとに、設備に関する推定を行う推定器を設けておく。推定器のモデルの種類としては、ニューラルネットワーク、SVM、異種混合学習、RAPID 機械学習などといった種々のものを用いることができる。
【0074】
推定部2060は、各状態グループ50について、その状態グループ50に含まれる監視データ40を、その状態グループに対応する推定器に入力する。その結果、状態グループ50ごとに、推定器による推定結果が得られる。推定部2060は、各推定器から得られた推定結果を用いて、設備に関する推定を行う。
【0075】
推定器が回帰を行うとする。この場合、例えば推定部2060は、各推定器から出力された値の統計値を算出し、算出された統計値を推定結果とする。例えば統計値は、平均値、最大値、最小値、及び中央値などである。
【0076】
ここで、各推定器に対して重みが付与されてもよい。この場合、推定部2060は、各推定器の出力に対してその推定器に付与された重みを乗算した値について、統計値(例えば、重み付き平均)を算出する。
【0077】
推定器に付与する重みを決定する方法は様々である。例えば推定器に付与する重みは、その推定器に入力された(推定に利用された)監視データ40の数に基づいて決定される。すなわち、入力された監視データ40の数が多い推定器に対し、より大きい重みが付与される。その他にも例えば、学習の際に各推定器の精度を算出しておき、精度が高い推定器ほど大きい重みを付与してもよい。なお、推定器の精度を算出する具体的な方法には、既存の種々の方法を利用することができる。
【0078】
推定器が識別を行うとする。この場合、推定部2060は、複数の推定器の識別結果から、最終的な識別結果を特定する。例えば推定部2060は、複数の推定器の推定結果で多数決をすることにより、最終的な識別結果を得る。すなわち、推定部2060は、最も多くの推定器によって出力された推定結果を、最終的な推定結果とする。
【0079】
例えば、状態グループ50が7つ存在し、それぞれに対応づけて、「1ヶ月以内に設備が故障するか否かを推定する」という推定器が設けられているとする。この場合、「故障する」と識別した推定器の数が「故障しない」と識別した推定器の数より多ければ、推定部2060は、「1ヶ月以内に設備が故障する」と推定する。一方、「故障する」と識別した推定器の数が「故障しない」と識別した推定器の数より少なければ、推定部2060は、「1ヶ月以内に設備は故障しない」と推定する。
【0080】
その他にも例えば、推定部2060は、所定割合以上の推定器が特定の識別結果を示した場合に、その識別結果を最終的な識別結果としてもよい。例えば、4割以上の推定器が「1ヶ月以内に設備が故障する」と推定した場合に、最終的な推定結果を「1ヶ月以内に設備が故障する」にするとする。この場合、推定部2060は、「1ヶ月以内に設備が故障する」と識別した推定器の数が全体の数に示す割合を算出し、その割合が4割以上であれば、「1ヶ月以内に設備が故障する」と推定する。一方、その割合が4割未満であれば、推定部2060は、「1ヶ月以内に設備が故障しない」と推定する。
【0081】
なお、識別を行う推定器についても、回帰を行う推定器と同様に、重みを付与してもよい。例えば、推定器の識別結果で多数決を行う場合において、推定器の数を単純に数え上げて多数決を行う代わりに、各推定器に与えた重みを数え上げることで多数決を行う。また、「所定割合以上の推定器が特定の識別結果を示したか」を判定するケースでは、全ての推定器それぞれに与えた重みの合計値に対する、当該特定の識別結果を示した各推定器に与えた重みの合計値の割合が、所定割合以上であるか否かを判定する。
【0082】
前述した推定器は、予め学習されているものとする。なお、推定器の学習に利用する学習データについても、実施形態1で説明した方法と同様の方法により、監視対象区間10の状態に基づいて状態グループ50ごとに分けた上で学習に利用される。
【0083】
学習データを用いて推定器を学習する具体的な方法については、既存の種々の方法を利用できる。例えば、回帰を行う推定器の学習であれば、「学習用の監視データ40、正解の出力値」というペアで構成される学習データを複数用いて行うことができる。また、識別を行う推定器の学習であれば、「学習用の監視データ40、正解の識別結果」というペアで構成される学習データを複数用いて実現できる。
【0084】
<推定結果の出力>
推定部2060による推定結果を出力する方法は任意である。例えば推定結果を表す情報は、データ分類装置2000に接続されたディスプレイ装置に出力されたり、記憶装置に格納されたり、他の装置に送信されたりする。
【0085】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記各実施形態の組み合わせ、又は上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0086】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
1. 列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得部と、
前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の前記監視データを、前記監視データの測定時点における前記監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類部と、を有し、
前記監視対象区間の状態は、前記監視対象区間における列車の在線状態か、又は、前記監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される、データ分類装置。
2. 前記監視対象区間における列車の在線状態は、前記監視対象区間に含まれる複数の閉塞区間それぞれにおける列車の存否の組み合わせで定まる、1.に記載のデータ分類装置。
3. 前記監視データは、前記監視対象区間に設けられている制御回線の電流又は電圧の測定値を示す、1.又は2.に記載のデータ分類装置。
4. 前記グループごとに、そのグループに割り当てられた前記監視データを用いて、前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定を行う推定部を有する、1.から3いずれか一つに記載のデータ分類装置。
5. 前記推定部が行う推定は、前記設備の故障又は交換に関する推定である、4.に記載のデータ分類装置。
6. 前記推定部は、
複数の前記グループそれぞれに対応する推定器を有し、
各前記グループに割り当てられた監視データを、そのグループに対応する推定器に入力し、
各前記推定器から得られた出力を用いて前記推定を行う、4.又は5.に記載のデータ分類装置。
7. コンピュータによって実行される制御方法であって、
列車の走行経路上の監視対象区間について複数の監視データを取得する取得ステップと、
前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定に利用するために、複数の前記監視データを、前記監視データの測定時点における前記監視対象区間の状態に応じて、複数のグループにグループ分けする分類ステップと、を有し、
前記監視対象区間の状態は、前記監視対象区間における列車の在線状態か、又は、前記監視対象区間に含まれる信号機の状態で表される、制御方法。
8. 前記監視対象区間における列車の在線状態は、前記監視対象区間に含まれる複数の閉塞区間それぞれにおける列車の存否の組み合わせで定まる、7.に記載の制御方法。
9. 前記監視データは、前記監視対象区間に設けられている制御回線の電流又は電圧の測定値を示す、7.又は8.に記載の制御方法。
10. 前記グループごとに、そのグループに割り当てられた前記監視データを用いて、前記監視対象区間に設けられた設備に関する推定を行う推定ステップを有する、7.から9いずれか一つに記載の制御方法。
11. 前記推定ステップで推定は、前記設備の故障又は交換に関する推定である、10.に記載の制御方法。
12. 前記コンピュータは、複数の前記グループそれぞれに対応する推定器を有し、
前記推定ステップにおいて、
各前記グループに割り当てられた監視データを、そのグループに対応する推定器に入力し、
各前記推定器から得られた出力を用いて前記推定を行う、10.又は11.に記載の制御方法。
13. 7.から12いずれか一つに記載の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0087】
10 監視対象区間
30 列車
40 監視データ
50 状態グループ
60 測定装置
1000 計算機
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース
2000 データ分類装置
2020 取得部
2040 分類部
2060 推定部