IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝エネルギーシステムズ株式会社の特許一覧

特許7414479超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法
<>
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図1
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図2
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図3
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図4
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図5
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図6
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図7
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図8
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図9
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図10
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図11
  • 特許-超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】超音波探傷装置及びジェットポンプビームの検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/265 20060101AFI20240109BHJP
   G01N 29/04 20060101ALI20240109BHJP
   G21C 17/003 20060101ALI20240109BHJP
   G21C 17/007 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G01N29/265
G01N29/04
G21C17/003 100
G21C17/007
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019204313
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021076500
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦口 晃平
(72)【発明者】
【氏名】亀山 育子
(72)【発明者】
【氏名】山本 摂
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿介
(72)【発明者】
【氏名】三橋 忠浩
(72)【発明者】
【氏名】三宅 晴也
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-255075(JP,A)
【文献】実開平04-015061(JP,U)
【文献】特開昭59-012351(JP,A)
【文献】実開平02-020168(JP,U)
【文献】特開2007-017418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/04 - G01N 29/265
G21C 17/003 - G21C 17/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の探傷面に対し非接触で、液体を媒介として前記検査対象物に超音波を伝播させる超音波探触子と、装置フレームに設置されて前記超音波探触子を前記探傷面に対向した位置で直交する2方向に移動させて走査させる走査機構と、前記装置フレームを前記検査対象物に固定して取り付ける固定機構と、を有して構成され、前記超音波探触子が前記検査対象物としてのジェットポンプビームにおける前記探傷面としての上面に超音波を照射するビーム上面超音波探傷装置と、
前記検査対象物の前記探傷面に対し非接触で、液体を媒介として前記検査対象物に超音波を伝播させる前記超音波探触子と、前記装置フレームに設置されて前記超音波探触子を前記探傷面に対向した位置で直交する2方向に移動させて走査させる前記走査機構と、前記装置フレームを前記検査対象物に固定して取り付ける前記固定機構と、を有して構成されて、前記超音波探触子が前記ジェットポンプビームにおける前記探傷面としての側面に超音波を照射するビーム側面超音波探傷装置と、
前記ビーム上面超音波探傷装置または前記ビーム側面超音波探傷装置に着脱機構を介して着脱可能に装着され、前記ビーム上面超音波探傷装置または前記ビーム側面超音波探傷装置の吊り下ろしを行うための操作ポールと、を備えたことを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項2】
前記固定機構により装置フレームを検査対象物に固定して取り付ける際に前記装置フレームの姿勢を位置決めする位置決め手段を、更に有することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置。
【請求項3】
前記超音波探触子と検査対象物の探傷面との距離を調整可能とする伸展機構を、更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探傷装置。
【請求項4】
前記検査対象物の探傷面に対する超音波探触子の平行度を調整可能とするために前記超音波探触子の角度を変更する角度変更機構を、更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
【請求項5】
前記装置フレームまたは前記固定機構が検査対象物に接触したことを検知する検知手段を、更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波探傷装置。
【請求項6】
原子炉圧力容器内に設置されるジェットポンプの部品であるジェットポンプビームを超音波探傷するジェットポンプビームの検査方法であって、
請求項1乃至5のいずれか1項の超音波探傷装置を用い、
前記原子炉圧力容器内に前記ジェットポンプビームを据え付けた状態で、前記ジェットポンプビームの全体積を超音波探傷することを特徴とするジェットポンプビームの検査方法。
【請求項7】
請求項3乃至5のいずれか1項の超音波探傷装置を複数用い、
これらの各超音波探傷装置と操作ポールとの連結及び離脱を、着脱機構を介して遠隔で実施しながら、前記各超音波探傷装置によりジェットポンプビームの超音波探傷を行うことを特徴とする請求項6に記載のジェットポンプビームの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査対象物に超音波を伝播させて超音波探傷する超音波探傷装置、及び検査対象物としてのジェットポンプビームを超音波探傷して検査するジェットポンプビームの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力施設における構造物の溶接部は、残留応力等の各種応力が集中するため、き裂などの欠陥が発生する可能性のある箇所である。このような溶接部に発生した欠陥を検出する技術として、超音波探傷が従来から知られている。この超音波探傷は、探触子と呼ばれる超音波センサから検査対象物に超音波ビームを発信し、その反射波を解析することにより検査対象物に欠陥が存在するか否かを判別する技術である。
【0003】
ところで、原子炉内の構造物には応力的に厳しい条件下で使用されているものがある。例えば、原子炉圧力容器と炉心シュラウド間の円環状領域に複数配置されているジェットポンプの構成部品のうち、インレットミキサを抑え込む形で保持するジェットポンプビームと呼ばれる部材がある。このジェットポンプビームは、原子炉圧力容器内の冷却材の圧力や、インレットミキサ内を流れる冷却材を起因とする流体振動等の影響を受けて、応力的に厳しい条件となる。
【0004】
このような部品は、原子炉の全寿命の使用に耐え得るように設計・製造されているが、万一、供用中に微小なクラックが発生した場合を想定すると、早期にクラックの発生を発見することが望ましい。そこで、超音波探触子を搭載した超音波探傷装置を使用して、ジェットポンプビームを超音波探傷する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭57-53657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の超音波探傷装置は、検査すべき炉内構造物の溶接部や母材などの所定箇所に、超音波探触子を押し付けて密着させなければ探傷できないため、探傷面の形状に合わせた押付機構を具備する必要があり、水平面や垂直面など平面的な探傷動作で走査可能な面のみ探傷可能であった。また、探傷面が小さい場合には、超音波探触子を押し付けるスペースを確保できない等の課題があった。
【0007】
更に、ジェットポンプビームの超音波探傷装置は、連続していない探傷面に対してそれぞれ専用の超音波探触子を具備する必要があるため、超音波探触子の故障のリスクや、装置の部品点数が増加するなどの課題があった。また、ジェットポンプビームの検査を目的とした超音波探傷装置は、押付機構を用いて超音波探触子を押し付けることができる平面からしか超音波を送信できない。このため、ジェットポンプビームにおけるトランジションピースとの嵌合部近傍などに超音波を入射することができず、ジェットポンプビームの全体積の探傷が可能な構成とはなっていなかった。
【0008】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、検査対象物に対する超音波探傷を高精度に且つ施工工期を短縮して実施できる超音波探傷装置を提供することを目的とする。また、本発明の実施形態は、ジェットポンプビームに対する超音波探傷を高精度に且つ施工工期を短縮して実施できるジェットポンプビームの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態における超音波探傷装置は、検査対象物の探傷面に対し非接触で、液体を媒介として前記検査対象物に超音波を伝播させる超音波探触子と、装置フレームに設置されて前記超音波探触子を前記探傷面に対向した位置で直交する2方向に移動させて走査させる走査機構と、前記装置フレームを前記検査対象物に固定して取り付ける固定機構と、を有して構成され、前記超音波探触子が前記検査対象物としてのジェットポンプビームにおける前記探傷面としての上面に超音波を照射するビーム上面超音波探傷装置と、前記検査対象物の前記探傷面に対し非接触で、液体を媒介として前記検査対象物に超音波を伝播させる前記超音波探触子と、前記装置フレームに設置されて前記超音波探触子を前記探傷面に対向した位置で直交する2方向に移動させて走査させる前記走査機構と、前記装置フレームを前記検査対象物に固定して取り付ける前記固定機構と、を有して構成されて、前記超音波探触子が前記ジェットポンプビームにおける前記探傷面としての側面に超音波を照射するビーム側面超音波探傷装置と、前記ビーム上面超音波探傷装置または前記ビーム側面超音波探傷装置に着脱機構を介して着脱可能に装着され、前記ビーム上面超音波探傷装置または前記ビーム側面超音波探傷装置の吊り下ろしを行うための操作ポールと、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の実施形態におけるジェットポンプビームの検査方法は、原子炉圧力容器内に設置されるジェットポンプの部品であるジェットポンプビームを超音波探傷するジェットポンプビームの検査方法であって、前記超音波探傷装置を用い、前記原子炉圧力容器内に前記ジェットポンプビームを据え付けた状態で、前記ジェットポンプビームの全体積を超音波探傷することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、検査対象物に対する超音波探傷を高精度に且つ施工工期を短縮して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る超音波探傷装置の第1形態であるビーム上面超音波探傷装置をジェットポンプビームに取り付ける状況を示す側面図。
図2図1のII矢視図。
図3図1及び図2のジェットポンプの全体構成を示す正面図。
図4図3のIV‐IV線に沿う断面図。
図5図1及び図2のビーム上面超音波探傷装置の構成を示す側面図。
図6図5のVI矢視図。
図7図5及び図6の固定機構の構成を示す縦断面図。
図8】(A)が図5及び図6におけるポール連結部の外周面の部分展開図、(B)が図1及び図2における着脱部の内周面の部分展開図。
図9図5及び図6の超音波探触子のジェットポンプビームに対する探傷状況を示し、(A)が平面図、(B)が側面図。
図10】一実施形態に係る超音波探傷装置の第2形態であるビーム側面超音波探傷装置の構成を示す正面図。
図11図10のXI矢視図。
図12図10及び図11の超音波探触子とジェットポンプビームとを示し、(A)が超音波探触子の平行度の調整状況を示す平面図、(B)が超音波探触子のジェットポンプビームに対する探傷状況を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、一実施形態に係る超音波探傷装置の第1形態であるビーム上面超音波探傷装置をジェットポンプビームに取り付ける状況を示す側面図であり、図2は、図1のII矢視図である。また、図5は、図1及び図2のビーム上面超音波探傷装置の構成を示す側面図であり、図10は、一実施形態に係る超音波探傷装置の第2形態であるビーム側面超音波探傷装置の構成を示す正面図である。超音波探傷装置の第1形態であるビーム上面超音波探傷装置20と、第2形態であるビーム側面超音波探傷装置50は、共に、原子炉圧力容器1内に設置されたジェットポンプ2の部品であるジェットポンプビーム3に超音波探傷を施工して、ジェットポンプビーム3に存在する欠陥の有無を検査するものである。
【0014】
ここで、ジェットポンプ2は、図1に示すように原子炉圧力容器1内で、この原子炉圧力容器1と炉心シュラウド11との間の環状領域に複数設置されて、冷却材(冷却水W)を、炉心シュラウド11に囲まれた炉心(不図示)の下方へ導く。ジェットポンプ2は、図3及び図4に示すように、一対のジェットポンプ本体4と、1本の冷却材供給管5と、一対のジェットポンプ本体4の間に冷却材供給管5が配置された状態で、これらのジェットポンプ本体4及び冷却材供給管5の上部に接続されたインレットミキサ6と、を有して構成される。このインレットミキサ6の正面側及び背面側にトランジションピース7がそれぞれ取り付けられる。
【0015】
インレットミキサ6の正面側と背面側にそれぞれ取り付けられたトランジションピース7の嵌合凹部8に、ジェットポンプビーム3の両先端部3Aが嵌合される。このジェットポンプビーム3には、その長手方向Aの中央位置に形成されたねじ孔9(図9参照)にビームボルト10が貫通状態で螺装される。ジェットポンプビーム3は、ビームボルト10がインレットミキサ6に当接した状態でジェットポンプ2の一部として据え付けられる。このジェットポンプビーム3には所定の初期荷重が付与されることから、ジェットポンプビーム3の復元力が、ビームボルト10を介してインレットミキサ6に作用して、このインレットミキサ6に供給される冷却材の圧力、及びインレットミキサ6から噴射される冷却材の反力が抑え込まれるように構成される。
【0016】
図4中の符号12は、ビームボルト10のキーパー12であり、このキーパー12とジェットポンプビーム3との間にプレート13が介在される。また、ジェットポンプビーム3には、図4及び図9に示すように、ねじ孔9及びビームボルト10を挟んで両側に上面14が設けられ、この上面14は、ジェットポンプビーム3の先端部3Aに向かって先細り状に傾斜して形成される。更に、ジェットポンプビーム3の両側面15も、先端部3Aに向かって先細り状に傾斜して形成される。また、ジェットポンプビーム3の両側面15には、ジェットポンプビーム3の長手方向Aの中央位置にトラニオン16が、ジェットポンプビーム3の短手方向Bに突設されている。
【0017】
ところで、図1及び図2に示すように、原子炉圧力容器1内に冷却材(冷却水W)が満たされ且つ原子炉圧力容器1内にジェットポンプ2が据え付けられた状態で、このジェットポンプ2のジェットポンプビーム3に対して超音波探傷を実施するために、原子炉圧力容器1の上方で操作ポール17を複数本連結させる。そして、この連結された操作ポール17の最下端に着脱機構18(後に詳説)の着脱部19が取り付けられ、この着脱機構18を用いて、操作ポール17に装着されたビーム上面超音波探傷装置20(図5図6)とビーム側面超音波探傷装置50(図10図11)を必要な水深に位置づける。
【0018】
これらのビーム上面超音波探傷装置20とビーム側面超音波探傷装置50を据付状態のジェットポンプビーム3にアクセスさせることで、ビーム上面超音波探傷装置20によりジェットポンプビーム3の上面14を、ビーム側面超音波探傷装置50によりジェットポンプビーム3の側面15をそれぞれ超音波探傷する。これらのビーム上面超音波探傷装置20とビーム側面超音波探傷装置50について以下に説明する。
【0019】
図5及び図6に示すように、ビーム上面超音波探傷装置20は、前述の如く、原子炉圧力容器1内に冷却材(冷却水W)が満たされた状態で据付状態のジェットポンプビーム3の探傷面としての上面14に対し超音波を照射して超音波探傷を行なうものであり、超音波探触子21、装置フレーム22、固定機構23、位置決め手段24、上面第1走査機構25、上面第2走査機構26、ポール連結部27、及び検知手段としての接触センサ36(図7)を有して構成される。
【0020】
超音波探触子21は、検査対象物としてのジェットポンプビーム3の上面14に対し非接触で、液体としての冷却水Wを媒体としてジェットポンプビーム3に超音波Uを照射(送信)させて伝播させ、反射波を受信してジェットポンプビーム3を超音波探傷する水浸式の超音波探触子である。この超音波探触子21では、超音波Uを送受信する多数の素子が送受信面21Mに直線状に配列され、この送受信面21Mがジェットポンプビーム3の上面14に対して平行に位置づけられる。
【0021】
装置フレーム22は、主に上面第1走査機構25を収容するものであるが、この装置フレーム22の天面にポール連結部27が固着される。このポール連結部27は、複数本連結された操作ポール17(図1図2)の最下端位置に取り付けられた着脱部19と共に着脱機構18を構成する。
【0022】
図5及び図8に示すように、ポール連結部27の外周面27Aには鉤形状の嵌合溝28が形成され、また、着脱部19の内周面19Aには突起29が突設される。操作ポール17の着脱部19の突起29がビーム上面超音波探傷装置20のポール連結部27の嵌合溝28に嵌合することで、ポール連結部27が着脱部19に着脱可能に連結されて、ビーム上面超音波探傷装置20が操作ポール17に装着される。この状態で、原子炉格納容器のオペレーションフロア30(図1)に設けられた作業台車31に乗った作業員32により、操作ポール17を用いてビーム上面超音波探傷装置20が、ジェットポンプビーム3が位置する所定の水深まで吊り下される。
【0023】
図5図6及び図7に示すように、装置フレーム22の底面に、固定機構23の筒体部33が固着される。この筒体部33は、ビーム上面超音波探傷装置20をジェットポンプビーム3に取り付ける際に、このジェットポンプビーム3のビームボルト10及びキーパー12が差し込まれるものである。この筒体部33の側面に、把持手段としてのエアシリンダ34が設置され、これらの筒体部33とエアシリンダ34とにより固定機構23が構成される。
【0024】
エアシリンダ34は、筒体部33内にジェットポンプビーム3のビームボルト10及びキーパー12が差し込まれた状態で、ピストンロッド35によりキーパー12を押圧し、このピストンロッド35と筒体部33とによりキーパー12を把持することで、ビーム上面超音波探傷装置20をジェットポンプビーム3に固定して取り付ける。
【0025】
図5及び図6に示すように、固定機構23における筒体部33の側面に位置決め手段24が固着される。この位置決め手段24は、側面視L字形状で先端部24Aがコ字形状に形成されている。着脱機構18により操作ポール17に装着されてジェットポンプビーム3の据付位置まで吊り下されたビーム上面超音波探傷装置20が、固定機構23によりジェットポンプビーム3に固定して取り付けられる際に、位置決め手段24は、その先端部24Aが据付状態のジェットポンプビーム3のトラニオン16に嵌め込まれ、このトラニオン16を基準にビーム上面超音波探傷装置20の姿勢を位置決めする。ビーム上面超音波探傷装置20は、位置決め手段24により姿勢が位置決めされた状態で、固定機構23により据付状態のジェットポンプビーム3に固定して取り付けられる。
【0026】
図7に示すように、固定機構23の筒体部33における底面部に接触センサ36が設けられる。この接触センサ36は、着脱機構18を介して操作ポール17に装着されたビーム上面超音波探傷装置20が吊り下されて、ビーム上面超音波探傷装置20の固定機構23の筒体部33がジェットポンプビーム3のプレート13に接触したときに、この筒体部33とプレート13との接触(着座)を検知する。接触センサ36から検知信号が出力された後に固定機構23のエアシリンダ34が作動することで、ビーム上面超音波探傷装置20をジェットポンプビーム3に固定する。なお、接触センサ36は、例えば装置フレーム22に取り付けられ、この装置フレーム22が据付状態のジェットポンプビーム3に接触したことを検知するようにしてもよい。
【0027】
図5及び図6に示すように、上面第1走査機構25及び上面第2走査機構26は、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14(探傷面)に対して直交する2方向に移動させて走査させるものであり、上面第2走査機構26が上面第1走査機構25に設置される。上面第1操作機構25は、装置フレーム22内に収容されてこの装置フレーム22に設置される。
【0028】
つまり、上面第1走査機構25は、装置フレーム22に上面第1走査用モータ37が設置されると共に、装置フレーム22にねじ軸38が回転自在に設置され、このねじ軸38に螺合するナット(不図示)を備えたスライダ39を有する。上面第1走査用モータ37の回転力は、プーリ40及びベルト41を経てねじ軸38に伝達され、スライダ39をガイドロッド39Aに沿ってジェットポンプビーム3の短手方向Bに移動させる。
【0029】
上面第2走査機構26は、上面第1走査機構25のスライダ39に固定された探触子フレーム42に上面第2走査用モータ43が設置されると共に、探触子フレーム42にねじ軸44が回転自在に設置され、このねじ軸44に螺合するナット(不図示)を備えたスライダ45を有する。このスライダ45に超音波探触子21が設置される。上面第2走査用モータ43の回転力は、プーリ46及びベルト47を経てねじ軸44に伝達され、スライダ45をガイドロッドまたはガイドレール(共に不図示)に沿ってジェットポンプビーム3の上面14の傾斜面方向Cに移動させ、超音波探触子21を同方向(傾斜面方向C)に移動させる。
【0030】
次に、ビーム上面超音波探傷装置20によるジェットポンプビーム3の上面14に対する超音波探傷動作を説明する。
図5図6及び図9に示すように、まず、上面第2走査用モータ43を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における傾斜面方向Cの所定位置に位置づける。その後、上面第1走査用モータ37を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における短手方向Bに移動させて、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14を走査させる。次に、上面第2走査用モータ43を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における傾斜面方向Cで所定量ピッチ送りした後に、上面第1走査用モータ37を反転駆動する。この反転駆動により、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における短手方向Bに反対向きに移動させて、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14を走査させる。上述の動作を繰り返すことで、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14の全面を走査する。
【0031】
上述のようなジェットポンプビーム3の上面14の走査に対し、次のような走査も想定される。まず、上面第1走査用モータ37を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における短手方向Bの所定位置に位置づける。その後、上面第2走査用モータ43を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における傾斜面方向Cに移動させて、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14を走査させる。次に、上面第1走査用モータ37を駆動して、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における短手方向Bに所定量ピッチ送りした後に、上面第2走査用モータ43を反転駆動させる。この反転駆動により、超音波探触子21をジェットポンプビーム3の上面14における傾斜面方向Cに反対向きに移動させて、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14を走査させる。上述の動作を繰り返すことで、超音波探触子21によりジェットポンプビーム3の上面14の全面を走査してもよい。
【0032】
ジェットポンプビーム3のねじ孔9及びビームボルト10に対して対称位置にある他の上面14に対する超音波探傷は、ビーム上面超音波探傷装置20を、ジェットポンプビーム3のビームボルト10を中心に180度回転させて、ビーム上面超音波探傷装置20の姿勢を180度変更することで実施される。この180度の姿勢変更動作は、エアシリンダ34による把持を解除した後に、作業員32により操作ポール17を直接回転させること、またはビーム上面超音波探傷装置20のポール連結部27に設けられた図示しない回転機構を回転させることで行われる。
【0033】
図10及び図11に示すように、ビーム側面超音波探傷装置50は、原子炉圧力容器1内に冷却材(冷却水W)が満たされた状態で、据付状態のジェットポンプビーム3の探傷面としての側面15に対して超音波を照射することで超音波探傷を行なうものであり、超音波探触子51、装置フレーム52、固定機構23、位置決め手段24、ポール連結部27、接触センサ36、側面第1走査機構53、側面第2走査機構54、伸展機構55、及び角度変更機構57を有して構成される。このビーム側面超音波探傷装置50においてビーム上面超音波探傷装置20と同様な部分については、ビーム上面超音波探傷装置20と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0034】
超音波探触子51は、検査対象物であるジェットポンプビーム3の探傷面としての側面15に対して非接触で、液体としての冷却水Wを媒体としてジェットポンプビーム3に超音波Uを照射(送信)させて伝播させ、反射波を受信してジェットポンプビーム3を超音波探傷する水浸式の超音波探触子である。この超音波探触子51では、超音波Uを送受信する多数の素子が送受信面51Mに直線状に配列されている。
【0035】
装置フレーム52の天面にポール連結部27が、底面に固定機構23の筒体部33がそれぞれ固着される。この筒体部33に、エアシリンダ34及び位置決め手段24がそれぞれ設置されると共に、筒体部33の底面部に接触センサ36(図7)が設けられる。
【0036】
着脱機構18により操作ポール17に装着されてジェットポンプビーム3の据付位置まで吊り下されたビーム側面超音波探傷装置50は、位置決め手段24がジェットポンプビーム3のトラニオン16に嵌め込まれることで、その姿勢が位置決めされる。そして、ビーム側面超音波探傷装置50は、固定機構23の筒体部33内にジェットポンプビーム3のビームボルト10及びキーパー12が差し込まれ、接触センサ36がジェットポンプビーム3のプレート13に接触することで固定機構23のエアシリンダ34が作動して、この固定機構23によりジェットポンプビーム3に固定して取り付けられる。
【0037】
側面第1走査機構53及び側面第2走査機構54は、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15(探傷面)に対して直交する2方向に移動させて走査するものであり、側面第2走査機構54が装置フレーム52内に収容されてこの装置フレーム52に設置される。側面第1走査機構53は、装置フレーム52内に収容されて側面第2走査機構54に設置された伸展機構55に設置される。側面第1走査機構53に角度変更機構57が設置され、この角度変更機構57に超音波探触子51が設置される。
【0038】
側面第2走査機構54は、装置フレーム52に側面第2走査用モータ58が設置されると共に、装置フレーム52にねじ軸59が回転自在に設置され、このねじ軸59に螺合するナット(不図示)を備えたスライド60を有する。このスライド60に、プレート状の第2走査フレーム64が固着される。側面第2走査用モータ58の回転力は、プーリ61及びベルト62を経てねじ軸59に伝達されて、スライド60をガードレール63に沿ってジェットポンプビーム3の長手方向Aに移動させる。これにより、超音波探触子51がジェットポンプビーム3の長手方向Aに移動される。
【0039】
伸展機構55は、第2走査フレーム64に伸展用モータ65が設置されると共に、第2走査フレーム64にねじ軸66が回転自在に設置され、このねじ軸66に螺合するナット(不図示)を備えたスライド67を有する。このスライド67に、側面視略T字形状の伸展フレーム68が固定される。伸展用モータ65の回転力は、プーリ69及びベルト70を経てねじ軸66に伝達されて、スライダ67及び伸展フレーム68を、ガードレール70Aに沿ってジェットポンプビーム3の短手方向Bに移動させる。この伸展フレーム68の移動により、超音波探触子51とジェットポンプビーム3の側面15との距離が調整される。
【0040】
側面第1走査機構53は、伸展フレーム68に側面第1走査用モータ71が設置されると共に、伸展フレーム68に鉛直方向に設けられたガイドロッド72に摺動自在なスライダ73を有する。このスライダ73に、背面視略L字形状の第1走査フレーム74が固定される。側面第1走査用モータ71の回転力は、この側面第1走査用モータ71のモータ軸に設けられたピニオン75、及びスライダ73に設けられたラック76を経てスライダ73に伝達され、このスライダ73及び第1走査フレーム74をガイドロッド72に沿って鉛直方向Dに移動させる。これにより、超音波探触子51がジェットポンプビーム3の鉛直方向Dに移動される。
【0041】
角度変更機構57は、第1走査フレーム74に角度変更用モータ77が鉛直方向Dに設置されると共に、第1走査フレーム74に回転ロッド78が鉛直方向Dに設置され、この回転ロッド78の先端に超音波探触子51が固定して取り付けられる。角度変更用モータ77の回転力は、ベルト79及びプーリ80を経て回転ロッド78に伝達され、この回転ロッド78をその軸回りに回転させることで、図12(A)に示すように、ジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探触子51の角度が変更される。ジェットポンプビーム3の側面15が先端部3Aに向かって先細り状に傾斜して形成されているので、この側面15に対する超音波探触子51の角度を変更することで、側面15に対する超音波探触子51の平行度が調整される。
【0042】
次に、上述のビーム側面超音波探傷装置50によるジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探傷動作を説明する。
図10図11及び図12に示すように、まず、側面第2走査用モータ58を駆動して、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における長手方向Aの所定位置に位置づける。その後、伸展用モータ65を駆動してジェットポンプビーム3の側面15と超音波探触子51との距離を調整し、更に、角度変更用モータ77を駆動してジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探触子51の平行度を調整する。次に、側面第1走査用モータ71を駆動して、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における鉛直方向Dに移動させて、超音波探触子51によりジェットポンプビーム3の側面15を鉛直方向Dに走査させる。
【0043】
次に、側面第2走査用モータ58を駆動して、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における長手方向Aに所定量ピッチ送りする。その後、伸展用モータ65を駆動して、ジェットポンプビーム3の側面15と超音波探触子51との距離を調整し、更に、角度変更用モータ77を駆動して、ジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探触子51の平行度を調整し、その後、側面第1走査用モータ71を反転駆動させる。この反転駆動により、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における鉛直方向Dに反対向きに移動させて、超音波探触子51により、ジェットポンプビーム3の側面15を鉛直方向Dに走査させる。上述の動作を繰り返すことで、超音波探触子によりジェットポンプビーム3の側面15の全面を走査させる。
【0044】
ジェットポンプビーム3の側面15における上述のような走査に対し、次のような走査も想定される。まず、側面第1走査用モータ71を駆動して、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における鉛直方向Dの所定位置に位置づける。次に、伸展用モータ65を駆動してジェットポンプビーム3の側面15と超音波探触子51との距離を調整し、且つ角度変更用モータ77を駆動してジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探触子51の平行度を調整しつつ、側面第2走査用モータ58を駆動させる。この側面第2走査用モータ58の駆動により、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における長手方向Aに移動させて、超音波探触子51により、ジェットポンプビーム3の側面15をジェットポンプビーム3の長手方向Aに走査させる。
【0045】
次に、側面第1走査用モータ71を駆動して、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における鉛直方向Dに所定量ピッチ送りする。その後、伸展用モータ65を駆動して超音波探触子51とジェットポンプビーム3の側面15との距離を調整し、且つ角度変更用モータ77を駆動してジェットポンプビーム3の側面15に対する超音波探触子51の平行度を調整しつつ、側面第2走査用モータ58を反転駆動させる。この反転駆動により、超音波探触子51をジェットポンプビーム3の側面15における長手方向Aに反対向きに移動させて、超音波探触子51により、ジェットポンプビーム3の側面15をジェットポンプビーム3の長手方向Aに走査させる。上述の動作を繰り返すことで、超音波探触子51によりジェットポンプビーム3の側面15の全面を走査してもよい。
【0046】
ジェットポンプビーム3の反対側の位置にある他の側面15に対する超音波探傷は、ビーム上面超音波探傷装置20の場合と同様に、ビーム側面超音波探傷装置50をジェットポンプビーム3のビームボルト10を中心に180度回転させて、ビーム側面超音波探傷装置50の姿勢を180変更することで実施される。
【0047】
次に、上述のように構成されたビーム上面超音波探傷装置20及びビーム側面超音波探傷装置50を用いたジェットポンプビーム3の検査方法、つまりジェットポンプビーム3の超音波探傷方法を説明する。
【0048】
冷却材(冷却水W)で満たされた原子炉圧力容器1内に、ジェットポンプビーム3を含むジェットポンプ2を据え付けた状態でジェットポンプビーム3を超音波探傷する場合、図1及び図2に示すように、作業員32は、原子炉格納容器のオペレーションフロア30に設置された作業台車31に乗って、複数本の操作ポール17を連結し、その最下端に設けられた着脱機構18の着脱部19に、ビーム上面超音波探傷装置20またはビーム側面超音波探傷装置50のポール連結部27を着脱可能に装着する。
【0049】
この状態で、作業員32は、操作ポール17を操作してビーム上面超音波探傷装置20またはビーム側面超音波探傷装置50をジェットポンプビーム3の位置まで吊り下す。例えば、ビーム上面超音波探傷装置20が着脱機構18を介して操作ポール17に装着されている場合には、このビーム上面超音波探傷装置20によってジェットポンプビーム3の2つの上面14のそれぞれの全面を超音波探傷する。また、ビーム側面超音波探傷装置50が着脱機構18を介して操作ポール17に装着されている場合には、このビーム側面超音波探傷装置50によってジェットポンプビーム3の両側面15のそれぞれの全面を超音波探傷する。
【0050】
作業員32は、ビーム上面超音波探傷装置20と操作ポール17との連結及び離脱、ビーム側面超音波探傷装置50と操作ポール17との連結及び離脱を、それぞれ着脱機構18を用いて遠隔で実施することで、ビーム上面超音波探傷装置20によるジェットポンプビーム3の上面14の超音波探傷と、ビーム側面超音波探傷装置50によるジェットポンプビーム3の側面15の超音波探傷と、着脱機構18を用いた操作ポール17と超音波探傷装置20、50との着脱作業とを、それぞれ並行して実施して、ジェットポンプビーム3の全体積を超音波探傷する。
【0051】
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)~(4)ぞ奏する。
(1)図5図6図10及び図11に示すように、ビーム上面超音波探傷装置20、ビーム側面超音波探傷装置50のそれぞれは、超音波探触子21、51が、ジェットポンプビーム3の探傷面(上面14.側面15)に対し非接触で、冷却材(冷却水W)を媒体としてジェットポンプビーム3に超音波Uを伝播させる水浸式の超音波探触子であることから、探傷面(上面14、側面15)の形状変化などに影響されることなく、ジェットポンプビーム3に対して高精度且つ高品質な超音波探傷を実現できる。このため、ジェットポンプビーム3を、原子炉圧力容器1内に据え付けた状態でその全体積を超音波探傷できるので、探傷の施工工期を短縮できる。
【0052】
(2)ビーム上面超音波探傷装置20及びビーム側面超音波探傷装置50によりジェットポンプビーム3の全体積が超音波探傷されるので、ジェットポンプビーム3に微小な欠陥(クラック)が発生した場合にもこの欠陥を早期に発見することができる。この結果、ジェットポンプビーム3の検査及び保全の信頼性を向上させることができる。
【0053】
(3)ビーム上面超音波探傷装置20またはビーム側面超音波探傷装置50を操作ポール17の下端部に、着脱機構18を用いて遠隔操作で着脱できるので、ビーム上面超音波探傷装置20によるジェットポンプビーム3の上面14の超音波探傷作業と、ビーム側面超音波探傷装置50によるジェットポンプビーム3の側面15の超音波探傷作業と、着脱機構18による操作ポール17と超音波探傷装置20、50との着脱作業とを並行して実施できる。このため、ビーム上面超音波探傷装置20とビーム側面超音波探傷装置50を用いて、据付状態のジェットポンプビーム3を超音波探傷する施工の施工工期を短縮できる。
【0054】
(4)原子炉格納容器内の天井クレーンを用いることなく、操作ポール17を用いて、ビーム上面超音波探傷装置20またはビーム側面超音波探傷装置50を原子炉圧力容器1内に吊り下すことで、ジェットポンプ2を原子炉圧力容器1内に据え付けた状態で、ジェットポンプ2のジェットポンプビーム3に対して超音波探傷を実施できる。従って、据付状態で定期点検が実施される炉内構造物の点検作業や、天井クレーン等の揚重機を用いた作業と並行して、ジェットポンプビーム3の超音波探傷を実施できる。これにより、原子炉圧力容器1内の点検工期を短縮することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば、超音波探触子21、51は、水浸式の超音波探触子に限らず、油またはアルコール等の液体を媒体として超音波を伝播させる超音波探触子であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…原子炉圧力容器、2…ジェットポンプ、3…ジェットポンプビーム(検査対象物)、14…上面(探傷面)、15…側面(探傷面)、17…操作ポール、18…着脱機構、20…ビーム上面超音波探傷装置、21…超音波探触子、22…装置フレーム、23…固定機構、24…位置決め手段、25…上面第1走査機構、26…上面第2走査機構、27…ポール連結部、32…作業員、36…接触センサ(検知手段)、50…ビーム側面超音波探傷装置、51…超音波探触子、52…装置フレーム、53…側面第1走査機構、54…側面第2走査機構、55…伸展機構、57…角度変更機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12