IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図1
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図2
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図3
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図4
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図5
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図6
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図7
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図8
  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G15/00 107
H04N1/00 519
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019211678
(22)【出願日】2019-11-22
(65)【公開番号】P2021081685
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 建勲
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097103(JP,A)
【文献】特開2002-061618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/04
G03G 13/045
G03G 13/056
G03G 15/00
G03G 15/04 -15/043
G03G 15/047
G03G 15/056
G03G 21/16 -21/18
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの画像を読取る読取部と、
前記読取部を収容する筐体と、
前記筐体に対して上下方向に着脱されるカバーと、を備え、
前記筐体は、前記読取部を収容するフレームと、前記フレームに固定され、前記上下方向に延びる延出部を有する固定部材と、を有し、
前記カバーは、前記カバーが前記筐体に装着されて前記フレームの前面を覆う装着位置に位置する際に、前記上下方向に視て前記延出部に重ならず且つ前記延出部に係合することで前記上下方向に交差する前後方向における前記カバーの移動を規制する係合部を有する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記カバーが前記上下方向に着脱する際に前記延出部が通過することを許容する許容部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記許容部は、前記上下方向に開口する開口部であり、
前記延出部の少なくとも一部は、前記カバーが前記装着位置に位置する際に、前記上下方向に視て前記開口部の内方に位置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記フレームの前記前面の前方に配置され、前記上下方向に延びる第1部分と、前記第1部分の上端部から後方に延びる第2部分と、前記第1部分の下端部から後方に延びる第3部分と、を有し、
前記係合部及び前記開口部は、前記第3部分に設けられる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記延出部は、前記係合部を前記上下方向に案内する第1案内部と、前記第1案内部の下方に配置され、前記係合部を前記前後方向に案内する第2案内部と、を有し、
前記第2案内部は、前記係合部に係合可能な被係合部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第2案内部は、下方に向かうにしたがって後方に延びる、
ことを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記フレームの前記前面は、前記上下方向に延び、
前記前後方向において、前記第2案内部の下端部と前記前面との距離は、前記第1案内部の上端部と前記前面との距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項又はに記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記カバーは、前記係合部が前記第2案内部の前面に当接した状態で前記装着位置に向けて方に移動されることで、前記係合部が前記第2案内部を乗り越えるように弾性変形する弾性変形部を有する、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記カバーは、前記装着位置において、前記フレームの左右方向における側面に固定される、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記フレームの前方に配置される操作部を更に備え、
前記固定部材は、前記操作部の下部を覆う、
ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
シートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの画像を読取る画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上フレームと下フレームとから構成される箱状の枠体フレームと、枠体フレーム内に収容され、原稿の画像を読み取るスキャナユニットと、を備えた原稿読取部が提案されている(特許文献1参照)。枠体フレームの前方側には、カバー本体部が配置されている。カバー本体部は、上フレームの上面側を覆う上面装着部と、下フレームの下面側を覆う下面装着部と、上面装着部と下面装着部との間を繋いで枠体フレームの前面側を覆う正面張出部と、を有している。上面装着部には、楔状のリブ状介挿突起部が設けられており、該リブ状介挿突起部が枠体フレームの上面に形成された係止穴部に係止されることで、カバー本体部が枠体フレームに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-92222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のカバー本体部は、枠体フレームに対して前後方向に着脱される。そして、カバー本体部を枠体フレームから取り外す際には、ユーザがカバー本体部の上面装着部を上方に弾性変形させて、リブ状介挿突起部を係止穴部から離脱させる必要がある。このため、カバー本体部を枠体フレームから取り外すのが煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、カバーを容易に取り外すことができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、画像読取装置において、シートの画像を読取る読取部と、前記読取部を収容する筐体と、前記筐体に対して上下方向に着脱されるカバーと、を備え、前記筐体は、前記読取部を収容するフレームと、前記フレームに固定され、前記上下方向に延びる延出部を有する固定部材と、を有し、前記カバーは、前記カバーが前記筐体に装着されて前記フレームの前面を覆う装着位置に位置する際に、前記上下方向に視て前記延出部に重ならず且つ前記延出部に係合することで前記上下方向に交差する前後方向における前記カバーの移動を規制する係合部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、カバーを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】画像読取装置を示す斜視図。
図3】画像読取装置を示す平面図。
図4】画像読取装置を示す斜視図。
図5図4に示す一点鎖線部分の一部を切り取った状態を示す斜視図。
図6】フロントカバーの取付け構成を示す側面図。
図7】フロントカバーの取付け構成を示す平面図。
図8】フロントカバーをR2ルートで装着する様子を示す側面図。
図9】フロントカバーをR1ルートで装着する様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施の形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置について説明をする。なお、本実施の形態においては、複写機を例に取って上記画像形成装置の説明をする。画像読取装置は、単体で用いられてもよいことは勿論のこと、複写機の他にも、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を備えた複合機などの画像形成装置に設けられても良い。
【0011】
また、以下の説明において、シートとは、普通紙の他にも、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状からなる記録材、及びオーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルムや布などを含むものである。加えて、原稿もシートの概念に含まれるものであり、原稿は、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていても良いものとする。更に、以下の説明においては、ユーザと対向する画像形成装置の面を前面、この前面とは反対側の面を背面といい、これら画像形成装置の前後に向かう方向を前後方向という。また、この前後方向と直交する方向を左右方向及び幅方向という。
【0012】
[画像形成装置の概略構成]
図1は本実施の形態に係る画像形成装置としての複写機201の断面概略図である。複写機201は、プリンタ部103の上方に原稿の画像を読取る画像読取装置101が設けられて構成されており、画像読取装置101の上部には、ADF102が設けられている。
【0013】
プリンタ部103は、その内部に、シートを搬送するシート搬送部107と、シート搬送部107から搬送されたシートに対して画像の形成を行う電子写真方式の画像形成部104と、を備えている。また、プリンタ部103は、画像形成部104にて転写された未定着トナー像を加熱及び加圧してシートに対して定着させる定着部105と、プリンタ部103を制御するプリンタ制御部106と、を備えている。
【0014】
画像読取装置101は、原稿を載置するための原稿台ガラス1が設けられる箱体108と、この箱体108の内側に設けられ、原稿台ガラス1に載置された原稿の画像を読取る画像読取部4と、を備えている。また、画像読取装置101は、画像読取装置101を制御する読取制御部18を備えている。
【0015】
上記複写機201を使用して原稿のコピーを取る場合、まず、原稿台ガラス1上に原稿が載置され、ユーザによってコピーボタン(不図示)が押圧される。そして、このコピーボタンが操作されると、上述した画像読取部4が副走査方向M(本実施の形態では幅方向)に移動しながら、原稿の画像を読取る。画像読取部4によって読み取られた画像情報は、読取制御部18を介してプリンタ制御部106へと通信され、この画像情報に基づいて画像形成部104においてトナー像が形成される。そして、このトナー像がシート搬送部107から搬送されて来たシートに対して転写され、シートに転写された未定着トナー像が定着部105において加熱及び加圧されることによって、シートに対して定着される。定着部105によって画像が定着されたシートは機外へと排出され、これにより原稿のコピーが完了する。
【0016】
また、複数枚の原稿のコピーが取られる場合には、ADF102によって原稿が一枚ずつ搬送され、この搬送されている原稿の画像が所定の読取位置に位置している画像読取部4によって読み取られる。なお、原稿台ガラス1に載置された原稿の画像を画像読取部4が副走査方向Mに移動しながら読取る方式を固定読みというのに対して、停止した画像読取部4がADF102によって搬送されている原稿の画像を読取る方式を流し読みという。
【0017】
[画像読取装置の構成概略]
次に、画像読取装置101の構成について、図2乃至図4に基づいて説明をする。図2乃至4に示すように、画像読取装置101は、箱体108と、箱体108の上部に設けられる原稿台ガラス1及びプラテンガラス2と、箱体108に支持される操作部109と、フロントカバー13と、を有している。
【0018】
箱体108は、内部空間を有するように箱状に形成され、板金等から構成されるフレームである。箱体108の内部空間には、副走査方向Mに延びるガイドシャフト5と、プーリ6,7,8と、プーリ6,7,8に巻回される駆動ベルト9と、画像読取部4と、が設けられている。読取部としての画像読取部4は、不図示のモータによって駆動される駆動ベルト9に支持されると共に、ガイドシャフト5によって副走査方向Mに案内される。また、箱体108の内部空間には、画像読取部4が非画像読取時に位置する待機位置に位置しているか否かを検知する不図示の検知部が配置されている。
【0019】
本実施の形態では、図2及び図3における箱体108の内部空間の左端位が待機位置となっており、画像読取部4は、待機位置において、原稿台ガラス1に載置された原稿の左端の画像を読み取る。画像読取部4は、原稿の画像を読み取る読取ジョブが入力する前の待機状態では、待機位置にて待機する。
【0020】
画像読取部4は、イメージセンサ及び内部部品を保持するキャリッジと、原稿に対して光を照射する光源と、を有している。イメージセンサは、図示しない帯状のFFC(フレキシブルフラットケーブル)によって読取制御部18と電気的に接続されており、イメージセンサによって読み取られた画像情報は、読取制御部18に送信される。
【0021】
操作部109は、ICカードリーダー部10と、操作パネル部11と、操作部下カバー12と、を有している。ICカードリーダー部10は、ICカードに記録された情報を読み取り、ユーザ認証等を行う。操作パネル部11は、複写機201の各種の情報を表示可能な液晶パネルと、複数の物理ボタンと、等から構成されている。固定部材としての操作部下カバー12は、箱体108及びプリンタ部103に固定されており、操作部109の下部を覆っている。箱体108及び操作部下カバー12は、画像読取部4を収容する筐体90を構成している。
【0022】
原稿が原稿台ガラス1にセットされた状態で操作パネル部11のコピーボタンが押下されると、モータによって駆動ベルト9が駆動する。すると、駆動ベルト9に支持される画像読取部4は、ガイドシャフト5に沿って待機位置から副走査方向Mに移動する。この時、原稿台ガラス1に載置された原稿は走査され、原稿の画像が読み取られる。
【0023】
画像読取部4が、原稿のサイズに応じた所定の位置まで移動すると、モータが逆転することで駆動ベルト9が逆転する。そして、画像読取部4は、待機位置まで戻り、読取動作が完了する。
【0024】
[フロントカバー及び操作部下カバー]
次に、フロントカバー13及び操作部下カバー12について詳述する。図4に示すように、カバーとしてのフロントカバー13は、箱体108と操作部下カバー12との間に配置され、原稿台ガラス1及びプラテンガラス2の手前側にて箱体108の露出部分を覆っている。特に、フロントカバー13は、箱体108の前面108a(図5参照)を覆っている。前面108aは、左右方向及び上下方向に延びている。
【0025】
図5は、図4に示す一点鎖線部分Dの一部を切り取った状態を示す斜視図である。図6は、フロントカバー13の取付け構成を示す側面図である。図7は、フロントカバー13の取付け構成を示す平面図である。図5乃至図7において、フロントカバー13は、筐体90(図4参照)に対して装着された装着位置に位置している。
【0026】
操作部下カバー12は、図5乃至図7に示すように、ICカードリーダー部10及び操作パネル部11の下部を覆う本体部12bと、本体部12bの左端かつ後端に設けられ、本体部12bから折曲されて形成される延出部12aと、を有している。延出部12aは、上下方向に延びるリブ形状から構成される。
【0027】
フロントカバー13は、箱体108の前面108aの前方に配置され、上下方向に延びる第1部分21と、第1部分21の上端部21aから後方に延びる第2部分22と、第1部分21の下端部21bから後方に延びる第3部分23と、を有している。このように、フロントカバー13は、断面略コ字状に形成されている。
【0028】
フロントカバー13の第3部分23には、溝形状の開口部13cと、延出部12aに係合可能な係合部13bと、が設けられている。許容部としての開口部13cは、上下方向に開口しており、フロントカバー13が第1方向としての上下方向に着脱する際に延出部12aが通過することを許容している。係合部13bは、上下方向かつ左右方向に延び、延出部12aに係合可能な係合面31と、下方に向かうにしたがって後方に延びる斜面32と、を有している。
【0029】
操作部下カバー12の延出部12aは、係合部13bを上下方向に案内する第1案内部41と、第1案内部41の下方に配置され、係合部13bを前後方向に案内する第2案内部42と、を有している。第1案内部41は、上下方向に平板状に延びており、上部に斜面41aを有している。斜面41aは、下方に向かうにしたがって左方に延びるように形成されている。
【0030】
第2案内部42は、第1案内部41に連続して形成され、下方に向かうにしたがって後方に延びるように形成されている。また、第2案内部42は、フロントカバー13が装着位置に位置する際に、係合部13bの係合面31に係合可能な被係合部としての被係合面42a(図8参照)を有している。図6に示すように、前後方向において、第2案内部42の下端部と箱体108の前面108aとの距離、すなわち係合面31と前面108aとの距離は、距離L1である。前後方向において、第1案内部41の上端部と箱体108の前面108aとの距離は、距離L2である。そして、距離L1が距離L2よりも短くなるように、箱体108と延出部12aとの配置関係が決まっている。
【0031】
ここで、フロントカバー13の内側には、画像読取装置101の光学ユニットやCISセンサの調整値や特性値が記載されているサービスラベルが貼られている。このサービスラベルは、光学ユニットやCISセンサ等の部品を交換する際に、又は調整を行う場合において、記載されている工場出荷時のデフォルト調整値の確認や新たな調整値の記入のために使われる。よって、フロントカバー13を着脱することがあるため、フロントカバー13の着脱性の向上が求められている。
【0032】
また、フロントカバー13は、左右方向に長大に形成されており、ユーザによる不意な引っ張りにより変位しないようにフロントカバー13の取付け剛性の向上も求められている。
【0033】
[フロントカバーの着脱方法]
次に、本実施の形態に係るフロントカバー13の着脱方法について説明する。まず、フロントカバー13を筐体90(図4参照)に装着する場合について説明するが、本実施の形態では、フロントカバー13は、箱体108と操作部109との間の位置において、上方から下方に装着される。
【0034】
この時、フロントカバー13の係合部13bが、操作部下カバー12の延出部12aの後方を通るR2ルートと、延出部12aの前方を通るR1ルートと、があるが、まずR2ルートでのフロントカバー13の装着について説明する。
【0035】
ユーザは、図5及び図8に示すように、フロントカバー13の第3部分23に設けられた開口部13cが延出部12aを通るように位置合わせしながら、フロントカバー13を上方から下方に装着する。この時、延出部12aの上部には、斜面41aが形成されているため、開口部13cの縁部が斜面41aに案内されることで、フロントカバー13の位置合わせが容易となっている。
【0036】
そして、フロントカバー13の係合部13bは、箱体108の前面108aと延出部12aとの間の空間SPを通過する。この時、係合部13bは、延出部12aの第1案内部41によって上下方向に案内される。延出部12aの第1案内部41の上端部と、箱体108の前面108aと、の距離L2は、係合部13bの前後方向における長さL3よりも大きいため、係合部13bは容易に空間SPに進入することができる。
【0037】
更にフロントカバー13が下方に装着されると、フロントカバー13の係合部13bは、延出部12aの第2案内部42によって前後方向に案内される。係合部13bが第2案内部42に沿って案内されることで、フロントカバー13は、図5に示す装着位置へと導かれる。この時、距離L1が距離L2よりも短くなるように構成されているため、フロントカバー13は自然に前後方向に位置決めされつつ装着位置へと案内される。
【0038】
フロントカバー13の上下方向における位置決めは、図5に示すように、例えば、操作パネル部11の支持部11aや箱体108の上面108cによって行われる。そして、図4に示すように、フロントカバー13は、装着位置において、ビス15によって箱体108の左右方向における側面108bに固定される。フロントカバー13の前面には、ネジ等が設けられないため、外観性を向上できる。
【0039】
フロントカバー13が装着位置に位置する際に、係合部13bの係合面31は、延出部12aの被係合面42aに係合することで、上下方向に交差する第2方向としての前後方向におけるフロントカバー13の移動を規制する。すなわち、図6に示すように、左右方向に視て、係合部13bの係合面31は、少なくとも一部が延出部12aの被係合面42aに対して上下方向にオーバーラップする位置に配置されている。
【0040】
このため、ユーザがフロントカバー13を手前方向に引っ張ったとしても、フロントカバー13の係合部13bが延出部12aに係合するため、フロントカバー13の変位を低減することができる。特に、係合部13b及び延出部12aは、図4に示すように、フロントカバー13の左右方向における中央部に配置されているため、フロントカバー13の変位を効果的に低減することができる。
【0041】
なお、フロントカバー13が装着位置に位置する状態において、係合部13bの係合面31は、延出部12aの被係合面42aに係合しておらず、僅かなガタが設けられているが、これに限定されない。例えば、フロントカバー13が装着位置に位置する状態において、係合部13bの係合面31と延出部12aの被係合面42aとが係合していてもよい。
【0042】
次に、R1ルートでのフロントカバー13の装着について説明する。図9に示すように、R1ルートでフロントカバー13を装着する際には、係合部13bは延出部12aの前方に位置している。そして、係合部13bは、延出部12aの第1案内部41によって上下方向に案内される。
【0043】
ここで、第2案内部42の前面には、下方に向かうにしたがって後方に延びる斜面42bが形成されている。そして、フロントカバー13は、係合部13bが第2案内部42の前面に当接した状態で装着位置に向けて方に移動されることで、係合部13bが第2案内部42を乗り越えるように下方に弾性変形する弾性変形部23aを有している。
【0044】
第2案内部42の斜面42b及び係合部13bの斜面32により、これら斜面42bと斜面32とが接触した状態でフロントカバー13が方に移動されると、係合部13bに対して下方に力が作用する。この力により、弾性変形部23aが弾性変形する。なお、斜面42b及び斜面32は、いずれか一方のみ形成されていてもよい。
【0045】
係合部13bが第2案内部42を乗り越えることで、フロントカバー13は、図6に示すように装着位置に位置する。このように、本実施の形態では、フロントカバー13を装着する際に2つのルートがあるので、ユーザやサービスマンは、適宜2つのルートを選択することができ、ユーザビリティを向上できる。また、R1ルート及びR2ルートのいずれのルートであっても、フロントカバー13の装着動作に困難なことはなく、フロントカバー13を容易に装着することができる。
【0046】
次に、フロントカバー13を筐体90(図4参照)から取り外す際の動作について説明する。フロントカバー13の取り外しについても、R1ルート及びR2ルートのどちらを選択してもよいが、R2ルートの方がフロントカバー13を変形させることがなく好適である。
【0047】
ここで、フロントカバー13が装着位置に位置する状態では、係合部13bは、図7に示すように、上下方向に視て延出部12aに重ならない。更に、上下方向に視て、延出部12aの少なくとも一部は、開口部13cの内方に位置している。このため、ユーザがフロントカバー13を上方向に取り外す際に、延出部12aが係合部13bの移動を阻害することがない。また、延出部12aは、フロントカバー13の開口部13cを通過する。よって、R2ルートにおいてフロントカバー13を取り外す際に、ユーザはフロントカバー13を変形させる必要がなく、単にフロントカバー13を上方向に引き上げるだけで筐体90から取り外すことができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、フロントカバー13は、筐体90に対して上下方向に着脱される。そして、フロントカバー13が装着位置に位置する際に、係合部13b及び延出部12aによってフロントカバー13の手前方向への移動が規制される。これにより、フロントカバー13自体の剛性を上げることなく、フロントカバー13の変位を抑えることができ、フロントカバー13の高剛性化に伴う大型化やコストアップを防止することができる。
【0049】
また、フロントカバー13の着脱は、フロントカバー13を変形させることなく行うことができるので、フロントカバー13を容易に着脱することができる。特に、ユーザ先にサービスマンが赴いてメンテナンスする場合には、メンテナンスの作業時間を削減できるので、メンテナンスのコストダウン及び製品のイメージアップに寄与することができる。
【0050】
<その他の実施形態>
なお、本実施の形態では、フロントカバー13は、箱体108及び操作部下カバー12から構成される筐体90に対して装着されたが、これに限定されない。例えば、操作部下カバー12を省いて、箱体108に対してフロントカバー13が装着されてもよい。この時、延出部12aは、箱体108に形成される。
【0051】
また、本発明は、画像読取装置のカバーではなく、画像形成装置のカバーに適用してもよい。例えば、画像形成装置の筐体に着脱されるカバーに対して本発明を適用してもよい。この時、画像形成装置は、画像読取装置を備えているか否かを問わない。
【0052】
また、本実施の形態では、フロントカバー13は上下方向に着脱されたが、これに限定されない。フロントカバー13の着脱方向と、係合部によるフロントカバー13の移動規制方向と、が交差する関係であれば、これらの方向はどのような方向であってもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、フロントカバー13に溝形状の開口部13cを設けたが、開口部13cの形状は限定されず、例えば孔であってもよい。
【0054】
また、本実施の形態は、電子写真方式のプリンタ100を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【0055】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0056】
4:読取部(画像読取部)/12:固定部材(操作部下カバー)/12a:延出部/13:カバー(フロントカバー)/13b:係合部/13c:許容部、開口部/21:第1部分/21a:上端部/21b:下端部/22:第2部分/23:第3部分/23a:弾性変形部/41:第1案内部/42:第2案内部/42a:被係合部(被係合面)/90:筐体/101:画像読取装置/104:画像形成部/108:フレーム(箱体)/108a:前面/108b:側面/109:操作部/201:画像形成装置(複写機)/L1,L2:距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9