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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ロボット作業システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240109BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B25J13/00 A
B25J13/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019219473
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021088029
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大場 雅文
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-015055(JP,A)
【文献】特開2014-097540(JP,A)
【文献】特開2005-111607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークに対して所定の作業を実行するロボットと、
一定距離内に載置された前記複数のワークを、駆動実行のタイミング毎に前記一定距離ずつ断続的に搬送するように駆動する搬送装置と、
前記搬送装置の前記一定距離が示す駆動距離及び前記駆動実行のタイミングを変更可能に管理する駆動管理部と、
前記駆動管理部で管理される前記搬送装置の前記駆動実行のタイミングで、前記複数のワークに対する前記ロボットの複数の作業位置を示す前記複数のワークの位置座標それぞれ生成する作業位置生成部と、
前記作業位置生成部で生成された前記複数のワークの位置座標を前記搬送装置の駆動に合せて更新し、前記更新された前記複数のワークの位置座標に基づいて、前記ロボットに前記複数のワークに対する所定の作業を追いかけながら実行させる作業指令を生成する作業部と、
を備える、ロボット作業システム。
【請求項2】
前記駆動管理部によって管理される前記搬送装置の前記駆動距離及び前記駆動実行のタイミングに基づいて前記搬送装置を制御するとともに、前記作業部によって生成される前記作業指令に基づいて前記ロボットを制御する制御部をさらに備える、請求項1に記載のロボット作業システム。
【請求項3】
前記駆動管理部は、前記ロボットの作業状況に応じて、前記搬送装置の前記駆動距離及び前記駆動実行のタイミングのうちの少なくとも一方を変更する、請求項1又は2に記載のロボット作業システム。
【請求項4】
前記駆動管理部は、外部から入力される信号に基づいて、前記搬送装置の前記駆動距離及び前記駆動実行のタイミングを制御する、請求項1又は2に記載のロボット作業システム。
【請求項5】
前記作業位置生成部は、前記搬送装置前記駆動実行のタイミングによって前記一定距離ずつ断続的に搬送するように駆動した回数のカウント数に基づいて、前記複数のワークの位置座標を生成する、請求項1~のいずれか1項に記載のロボット作業システム。
【請求項6】
前記作業位置生成部は、前記搬送装置の前記駆動実行のタイミングで、前記複数のワークの属性情報を併せて生成し、
前記作業部は、前記作業位置生成部で生成された属性情報に基づいて前記作業指令を生成する、請求項1~のいずれか1項に記載のロボット作業システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばサーボ駆動のコンベアによって構成される搬送装置は、搬送装置の駆動の1ピッチ内に1つずつのワークを載置し、そのワークを1ピッチずつ搬送する。このような搬送装置を有するロボット作業システムでは、搬送装置が1ピッチずつ駆動することによって、1ピッチ内の1つのワークの位置を生成する。
【0003】
このような搬送装置によって搬送されるワークに対して、ロボットによって作業を実行するロボット作業システムでは、ロボットや周辺装置からのサーボ駆動信号に基づいて、搬送装置が1ピッチずつ移動する際に、ロボットがサーボモータのマシンパルスに基づいて高精度に搬送装置(ワーク)を追いかけながら作業を行うようにしている。
【0004】
なお、特許文献1は、ロボットを待機位置に移動させることなく搬送される部品の取出しを可能にすることで、部品の取出し時間を可及的に短くすることを目的として、部品を搬送するコンベアと、該コンベアにて搬送される部品の及び姿勢を認識し、認識された位置及び姿勢を認識データとして出力する視覚認識手段と、前記コンベアにより移動される部品の移動量を測定するとともに移動量データとして出力する移動量測定手段と、搬送された部品を取出す取出ロボットと、前記認識データ及び移動量データを格納し、これらデータに基づいて前記取出ロボットの動作を制御するロボット制御部と、を備える部品供給装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-71188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送装置によって1ピッチずつ搬送されるワークに対して作業を行うロボット作業システムにおいて、ワークの位置は、搬送装置の駆動信号に対して1対1に対応している。そのため、搬送装置の1ピッチ内において複数のワークが搬送される場合、その1ピッチ内の複数のワークの各々に対してロボットによる作業を行うことができなかった。
【0007】
したがって、ロボット作業システムにおいては、搬送装置が搬送を行う一定距離内に複数のワークを搬送させる場合でも、ロボットによって各ワークに対する作業を実行可能にすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のロボット作業システムの一態様は、ロボットと、一定距離内に載置された複数のワークを前記一定距離ずつ搬送するように駆動する搬送装置と、前記搬送装置の駆動距離及び駆動実行のタイミングを管理する駆動管理部と、前記駆動管理部で管理される前記搬送装置の前記駆動実行のタイミングで、前記複数のワークに対する前記ロボットの複数の作業位置を生成する作業位置生成部と、前記作業位置生成部で生成された前記ロボットの前記複数の作業位置を前記搬送装置の駆動に合せて更新し、前記ロボットに前記複数のワークに対する所定の作業を追いかけながら実行させる作業指令を生成する作業部と、前記駆動管理部によって管理される前記搬送装置の前記駆動距離及び前記駆動実行のタイミングに基づいて前記搬送装置を制御するとともに、前記作業部によって生成される作業指令に基づいて前記ロボットを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のロボット作業システムの一態様によれば、搬送装置が搬送を行う一定距離内に複数のワークを搬送させる場合でも、ロボットによって各ワークに対する作業を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のロボット作業システムの一態様を示す全体構成図である。
図2】本開示のロボット作業システムの一態様を示すブロック図である。
図3】本開示のロボット作業システムの一態様における作業位置を更新する様子を示す図である。
図4】本開示のロボット作業システムの一態様における作業位置を更新する様子を示す図である。
図5】本開示のロボット作業システムの一態様における搬送装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本開示のロボット作業システムの一態様におけるロボットの動作を示すフローチャートである。
図7】本開示のロボット作業システムの他の一態様における搬送装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のロボット作業システムの一態様について図面を参照して説明する。図1は、本開示のロボット作業システムの一態様を示す全体構成図である。図2は、本開示のロボット作業システムの一態様を示すブロック図である。
本実施形態のロボット作業システム1は、図1に示すように、作業対象であるワークWを搬送する搬送装置2と、搬送装置2の近傍に設置されるロボット3と、搬送装置2の近傍に固定配置される検出部4と、搬送装置2及びロボット3の駆動を制御する制御装置5と、を備える。
【0012】
図1中のXZは、ロボット作業システム1における搬送装置2及びロボット3の座標系を示す。X方向は、搬送装置2の移動方向に沿う方向でもある。Z方向は、重力方向に沿う方向である。
【0013】
搬送装置2は、サーボモータ(図示せず)によって駆動するサーボコンベアからなる。搬送装置2は、制御装置5によって制御されるサーボモータの駆動によって、白抜き矢印で示すX方向に沿って、一定距離ずつ移動するように構成される。
【0014】
搬送装置2の上面には、搬送装置2の移動方向に沿って一定距離毎に立設される複数の第1の仕切り部21と、隣り合う第1の仕切り部21,21の間にそれぞれ立設される複数の第2の仕切り部22と、を有する。第1の仕切り部21は、第2の仕切り部22よりも高い。隣り合う第1の仕切り部21,21の距離は、搬送装置2が駆動する1ピッチに対応する。すなわち、搬送装置2は、サーボモータの駆動によって、隣り合う第1の仕切り部21,21間の距離(1ピッチ)ずつ移動する。
【0015】
搬送装置2は、隣り合う第1の仕切り部21,21の間に、複数種類のワークW1,W2を載置する。具体的には、隣り合う第1の仕切り部21,21の間に立設される複数の第2の仕切り部22によって、隣り合う第1の仕切り部21,21の間に複数のワーク載置領域Sが形成される。図1に示す例では、隣り合う第1の仕切り部21,21の間に2つの第2の仕切り部22,22が立設されることによって、3つのワーク載置領域Sが形成されている。図1に示す搬送装置2は、そのうちの1つのピッチ内の3つのワーク載置領域Sに、2つの同一種類のワークW1,W1と、このワークW1とは種類の異なる1つのワークW2との3つのワークが1つずつ載置されている。したがって、搬送装置2は、サーボモータの駆動によって1ピッチずつ移動することによって、1ピッチ内に載置される3つのワークW1,W1,W2をまとめて搬送する。
【0016】
ロボット3は、床面に設置されるタイプ、天井吊り下げタイプ等、搬送装置2上のワークに対して実行する作業の種類に応じた任意のタイプのロボットであってよい。図1に示すロボット3は、搬送装置2の上方の天井100に吊り下げられ、下端にワークW1,W2を把持可能なロボットハンド31を備えている。ロボット3は、ロボット制御装置(図示せず)によって駆動制御されることによって、ロボットハンド31をZ方向に沿って上下移動させ、更にZ方向に交差する他の任意の方向に移動させることができる。これによって、ロボット3は、搬送装置2上のワークW1,W2に対して所定の作業を行う。所定の作業は、例えば、搬送装置2上のワークW1,W2をそれぞれ所定の場所に移送する払い出し作業、搬送装置2上のワークW1,W2に対するシール貼付作業等である。
【0017】
検出部4は、ロボット3よりも搬送装置2の移動方向の上流側に配置され、搬送装置2上に載置されるワークW1,W2の有無(搬送装置2にワークW1,W2が配置されたこと)、及び搬送装置1の移動方向に沿う1ピッチ内のワークW1,W2の位置を検出する。具体的な検出部4は特に限定されないが、例えば、搬送装置2上の少なくとも1ピッチの領域に視野を有する2次元カメラ、搬送装置2上のワークW1,W2を光によって検出する光電センサ等であってよい。図1に示す検出部4は、搬送装置2の上方からワークW1,W2を撮影して2次元画像を取得する2次元カメラによって構成される。検出部4の検出信号(2次元画像等)は、制御装置5に出力される。
【0018】
制御装置5は、搬送装置駆動信号を生成して搬送装置2のサーボモータに出力することによって、搬送装置2の駆動を制御するとともに、ロボット駆動信号を生成してロボット3のロボット制御装置(図示せず)に出力することによって、ロボット3の駆動を制御する。図2に示すように、制御装置5は、駆動管理部51と、作業位置生成部52と、作業部53と、制御部54と、を有する。
【0019】
駆動管理部51は、搬送装置2の駆動距離(ワークを移動させる距離)及び駆動実行のタイミング(ワークの移動を開始するタイミング)を管理する。具体的には、駆動管理部51は、予め教示された搬送装置2の管理プログラムに従って、搬送装置1の1ピッチの所定の移動距離を示す情報と、搬送装置2の1ピッチの移動開始の所定のタイミングを示す情報とを生成する。これら搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングは、既定値として予め設定される。駆動管理部51で生成された駆動距離及び駆動開始のタイミングを示す各情報は、制御部54に出力される。また、駆動管理部51で生成された情報のうちの駆動開始のタイミングを示す情報は、作業位置生成部52及び作業部53に出力される。
【0020】
駆動管理部51で生成される駆動距離及び駆動開始のタイミングは、制御装置5の外部から入力される信号に基づいて制御される。具体的には、駆動管理部51は、検出部4からの検出信号を入力し、この検出信号をトリガとして、搬送装置2の駆動距離及び駆動開始のタイミングの各情報を生成する。これによって、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングの情報を容易に生成することができる。
【0021】
駆動管理部51によって生成される駆動距離及び駆動開始のタイミングの各情報のうちのいずれか一方又は両方は、後述する制御部54から送られるロボット3の作業状況を示す情報に基づいて変更可能である。ロボット3の作業状況の情報は、搬送装置2の1ピッチ内の複数種類のワークW1,W2に対する作業が終了して次の1ピッチの作業に移れるかどうかの情報である。具体的には、駆動管理部51は、制御部54から送られる作業情報を示す情報から、例えば、ロボット3の作業が搬送装置2の移動速度に対して遅れ気味であると判断した場合は、駆動管理部51は、予め設定される搬送装置2の1ピッチの移動距離を、通常の駆動における移動距離に対して短くする制御、及び、予め設定される搬送装置2の駆動開始のタイミングを、通常の駆動におけるタイミングに対して遅らせる制御のうちのいずれか一方の制御又は両方の制御を行う。これによって、複数種類のワークW1,W2に対して、ロボット3による作業を確実に実行することができる。
【0022】
また、駆動管理部51は、例えば、搬送装置2の移動がロボット3の作業に対して遅れ気味であると判断した場合は、駆動管理部51は、予め設定される搬送装置2の1ピッチの移動距離を、通常の駆動における移動距離に対して長くする制御、及び、予め設定される搬送装置2の駆動開始のタイミングを、通常の駆動におけるタイミングに対して早める制御のうちのいずれか一方の制御又は両方の制御を行う。これによって、複数種類のワークW1,W2に対するロボット3による迅速な作業を実現することができる。
【0023】
作業位置生成部52は、駆動管理部51で管理されて入力される搬送装置2の駆動実行のタイミングを示す情報に基づいて、搬送装置2上の1ピッチ内の複数のワークW1,W2に対するロボット3の複数の作業位置を生成する。具体的には、作業位置生成部52は、検出部4からの検出信号を入力し、この検出信号と駆動管理部51から入力される搬送装置2の駆動開始のタイミングを示す情報とに基づいて、ロボット3の作業位置となる搬送装置2上の1ピッチ内のワークW1,W2のそれぞれの位置座標(X-Z座標)を生成する。すなわち、搬送装置2の1ピッチ内に複数種類の複数の物品W1,W2が配置されていても、その1ピッチ内の複数種類の複数の物品W1,W2毎に位置作業が生成される。作業位置生成部52によって生成されたロボットの作業位置(ワークW1,W2の各位置座標)の情報は、作業部53に出力される。
【0024】
作業位置生成部52は、搬送装置2の駆動実行のタイミングで、複数種類のワークW1,W2のそれぞれの属性情報を併せて生成することもできる。ワークW1,W2の属性情報とは、ロボット3がワークW1,W2に対して作業を実行する際に必要となるワークW1,W2毎に対応する情報である。具体的には、例えば、ロボット3の作業がワークW1,W2の払い出し作業である場合、属性情報はワークW1,W2毎の移送先の位置情報である。また、例えば、ロボット3の作業がワークW1,W2に対するシール貼付作業である場合、属性情報はワークW1,W2毎のシールの種類の情報である。
【0025】
属性情報は、作業位置生成部52内又は制御装置5の記憶部(図示せず)等にワークW1,W2毎に対応して予め記憶される。作業位置生成部52は、検出部4から入力される検出信号に基づいて、例えば、搬送装置2上に載置されたワークW1,W2に対するパターンマッチング等の画像処理を施すことによってワークW1,W2を認識し、そのワークW1,W2に対応する属性情報を読み出す。作業位置生成部52によって生成された属性情報は、ワークW1,W2の位置座標に対応させて作業部53に出力される。これによって、ロボット作業システム1は、ロボット3によって、複数のワークW1,W2にそれぞれ対応する作業を簡単に実行させることができる。
【0026】
作業部53は、作業位置生成部52で生成されたロボット3の複数の作業位置(ワークW1,W1の各位置座標)の情報を搬送装置2の駆動に合せて更新し、ロボット3に複数種類のワークW1,W2に対する所定の作業を追いかけながら実行させる作業指令を生成する。具体的には、図3に示すように、検出部4の下方の搬送装置2上にワークW1a,W1b及びワークW2が載置された場合、作業位置生成部52は、検出部4の検出信号に基づいてロボット3の複数の作業位置(ワークW1,W2の各位置座標)を生成する。図3において、検出部4に検出された時点での各ワークの位置座標は、ワークW1a;(X:0090,Z:0010)、ワークW1b;(X:0080,Z:0010)、ワークW2;(X:0070,Z:0010)となっている。
【0027】
搬送装置2は、サーボモータの駆動によって図中の白抜き矢印の方向に移動するため、図4に示すように、ワークW1a,W1b及びW2がロボット3の作業範囲に到達した時点の位置座標は、図3に示す検出部4に検出された時点での位置座標に対して、搬送装置2が移動した距離だけズレが生じている。したがって、図4において、ロボット3の作業範囲に到達した時点での各ワークの位置座標は、ワークW1a;(X:0030,Z:0010)、ワークW1b;(X:0020,Z:0010)、ワークW2;(X:0010,Z:0010)となっている。
【0028】
このように、作業部53は、駆動管理部51から送られる搬送装置2の駆動実行のタイミングを示す情報に基づいて、搬送装置2の駆動に合せて、ロボット3の複数の作業位置(ワークW1,W2の各位置座標)の情報を更新する。これによって、作業部53は、ワークW1,W2がロボット3の作業範囲に到達したかどうか、及び、ロボット3の作業開始のタイミングを監視する。監視の結果、ワークW1,W2がロボット3の作業範囲に到達し、ロボット3は作業開始のタイミングであると判断された場合、作業部53は、作業位置生成部52から送られる属性情報と併せて、ロボット3に複数種類のワークW1,W2に対する所定の作業を追いかけながら実行させるための作業指令を生成し、制御部54に出力する。
【0029】
制御部54は、予め教示された制御プログラムに従って、駆動管理部51によって管理されて入力される搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングに基づいて搬送装置2を制御するとともに、作業部53によって生成されて入力される作業指令に基づいてロボット3を制御する。すなわち、制御部54は、駆動管理部51から搬送装置2の駆動開始のタイミングを示す情報の入力があると、搬送装置駆動信号を生成して搬送装置2のサーボモータに出力する。これによって、搬送装置2は、通常の駆動において、予め設定された1ピッチ毎の移動距離で駆動し、ワークW1,W2を1ピッチずつ移動させる。また、制御部54は、作業部53からロボット3の作業指令の入力があると、ロボット3の駆動を制御するロボット駆動信号を生成してロボット制御装置に出力する。これによって、ロボット3は、1ピッチ内の複数種類のワークW1,W2のそれぞれに対して、払い出し作業等の所定の作業を実行する。
【0030】
次に、このロボット作業システム1の具体的な動作について、図5及び図6に示すフローチャートを用いて説明する。図5は、本開示のロボット作業システム1の一態様における搬送装置2の動作を示すフローチャートである。図6は、本開示のロボット作業システム1の一態様におけるロボット3の動作を示すフローチャートである。
【0031】
まず、図5に示すように、制御装置5の駆動管理部51は、所定の制御周期で搬送装置2上にワークが載置されたかどうかを監視する(S101)。駆動管理部51は、検出部4からの検出信号によって、搬送装置2の1ピッチ内にワークが載置されたことを検出すると(ステップS101;YES)、予め設定された搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングを示す各情報を制御部54に出力する。これによって、制御部54は搬送装置駆動信号を生成してサーボモータに出力し、既定の駆動距離及び駆動実行のタイミングで搬送装置2を駆動させる(S102)。
【0032】
搬送装置2の駆動開始後、駆動管理部51は、制御部54から送られるロボット3の作業状況を監視する(S103)。このステップS103において、ロボット3の作業状況が正常に進行している場合(ステップS103;YES)はステップS104に移行し、搬送装置2によって搬送される全てのワークに対する作業が終了するまで、搬送装置2及びロボット3の駆動を継続する。
【0033】
ステップS103において、ロボット3の作業状況が正常に進行していない場合(ステップS103;NO)は、駆動管理部51は、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングの既定値のいずれか一方又は両方を変更する(S105)。その後、ステップS104に移行し、上記同様、搬送装置2によって搬送される全てのワークに対する作業が終了するまで、搬送装置2及びロボット3の駆動を継続する。
【0034】
一方、図6に示すように、制御装置5の作業位置生成部52は、所定の制御周期で搬送装置2上にワークが載置されたかどうかを監視する(S201)。作業位置生成部52は、検出部4からの検出信号によって、搬送装置2の1ピッチ内にワークが載置されたことを検出すると(ステップS201;YES)、検出部4からの検出信号に基づいて、搬送装置2の1ピッチ内の複数種類のワークW1,W2のそれぞれの位置座標を求め、ロボット3の作業位置を生成し、作業部53に出力する(S202)。このとき、作業位置生成部52は、作業位置に加えて、ワークW1,W2毎の属性情報も生成して作業部53ら出力する。
【0035】
作業部53は、作業位置生成部52から送られるロボット3の作業位置を、駆動管理部51から送られる搬送装置2の駆動実行のタイミングを示す情報に基づいて更新し、その更新した作業位置と作業位置生成部52から送られる属性情報とに基づいて作業指令を生成し、制御部54に出力する(S203)。
【0036】
次いで、制御部54は、作業部53から送られる作業指令に基づいて、ロボット3を駆動するためのロボット駆動信号を生成し、ロボット制御装置に出力してロボット3を制御する(S204)。これによって、ロボット3は、1ピッチ内の複数種類のワークW1,W2の全てに対する作業が完了するまで、ワークW1,W2を追いかけながら所定の作業を継続する(S205)。このときのロボット3による作業状況の情報は、所定の制御周期で制御部54から駆動管理部51に出力され、図5に示すフローチャートのステップS103において、ロボット3の作業状況が正常に進行しているかどうか判断される。
【0037】
ロボット3によって搬送装置2の1ピッチ内の全てのワークW1,W2に対する作業が終了した場合(ステップS205;YES)、制御部54は、搬送装置2によって搬送される次の1ピッチのワークに対する作業があるかどうか、すなわち、作業部53からの作業指令があるかどうかを判断する(S206)。次の作業がある場合(ステップS206;YES)は、ステップS204からの処理を繰り返し、次の処理がない場合(ステップS206;NO)は、動作を終了する。
【0038】
図1に示す搬送装置2は、各ピッチ内に3つずつの同数のワーク載置領域Sを有している。しかし、搬送装置2のピッチ内のワーク載置領域Sの数は同数ではなくてもよい。また、搬送装置2のピッチ毎にワークの種類及び数のうちのいずれか一方又は両方がことなってもよい。例えば、図7に示す搬送装置2は、偶数ピッチと奇数ピッチとで異なる数のワーク載置領域Sを有している。この場合、作業位置生成部52は、搬送装置2の駆動実行のタイミングのカウント数に基づいて、すなわち、偶数ピッチか奇数ピッチかに基づいて、複数種類のワークW1,W2の位置座標をそれぞれ生成することができる。これによって、搬送装置2のピッチ毎にワークの種類や数が異なっても、そのワーク毎にそれぞれロボット3の作業位置(ワークの各位置座標)を生成することができる。
【0039】
図2に示す制御装置5において、搬送装置駆動信号及びロボット駆動信号は、1つの制御部54から出力されるように構成されるが、搬送装置駆動信号及びロボット駆動信号は、それぞれ独立した制御部(搬送装置用制御部、ロボット用制御部)から出力されるように構成されてもよい。
【0040】
また、制御装置5の各構成部位は、一つにまとめて設けられるものに限定されない。制御装置5の各構成部位のうちの1つ又は2つ以上が、ロボット作業システム1を構成する他の部位(例えば、搬送装置2の駆動を制御するサーボ制御装置、ロボット3の駆動を制御するロボット制御装置等)に分かれて配置されていてもよい。
【0041】
以上説明した本開示のロボット作業システム1の一態様は、以下のような効果を奏する。
ロボット3と、一定距離内に載置された複数のワークW1,W2を一定距離ずつ搬送するように駆動する搬送装置2と、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングを管理する駆動管理部51と、駆動管理部51で管理される搬送装置2の駆動実行のタイミングで、複数のワークW1,W2に対するロボット3の複数の作業位置を生成する作業位置生成部52と、作業位置生成部52で生成されたロボット3の複数の作業位置を搬送装置2の駆動に合せて更新し、ロボット3に複数のワークW1,W2に対する所定の作業を追いかけながら実行させる作業指令を生成する作業部53と、駆動管理部51によって管理される搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングに基づいて搬送装置2を制御するとともに、作業部53によって生成される作業指令に基づいてロボット3を制御する制御部54と、を備える。
これによって、搬送装置2が搬送を行う一定距離(1ピッチ)内に複数のワークW1,W2を搬送させる場合でも、その複数のワークW1,W2毎にロボット3の作業位置(ワークW1,W2の各位置座標)を生成するため、ロボット3によって各ワークW1,W2に対する作業を実行することができる。
【0042】
駆動管理部51は、ロボット3の作業状況に応じて、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングのうちの少なくとも一方を変更する。
これによって、搬送装置2によって搬送される複数のワークW1,W2に対して、ロボット3によって作業を確実に実行することができる。
【0043】
駆動管理部51は、外部から入力される信号に基づいて、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングを制御する。
これによって、搬送装置2の駆動距離及び駆動実行のタイミングの情報を容易に生成することができる。
【0044】
作業位置生成部52は、搬送装置2の駆動実行のタイミングのカウント数に基づいて、複数のワークW1,W2の位置を生成する。
これによって、搬送装置2のピッチ毎にワークの種類や数が異なっても、そのワーク毎にそれぞれロボット3の作業位置(ワークの各位置座標)を生成することができる。
【0045】
作業位置生成部52は、搬送装置2の駆動実行のタイミングで、複数のワークW1,W2の属性情報を併せて生成し、作業部53は、作業位置生成部52で生成された属性情報に基づいて作業指令を生成する。
これによって、ロボット作業システム1は、ロボット3によって、複数のワークW1,W2にそれぞれ対応する作業を簡単に実行させることができる。
【符号の説明】
【0046】
3 ロボット
W1,W1a,W1b,W2 ワーク
2 搬送装置
51 駆動管理部
52 作業位置生成部
53 作業部
54 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7