(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/16 20200101AFI20240109BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240109BHJP
B60W 30/18 20120101ALI20240109BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240109BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B60W30/16
G08G1/16 C
G08G1/16 D
B60W30/18
B60W40/02
B60T7/12 C
(21)【出願番号】P 2019220149
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】栃木 康平
(72)【発明者】
【氏名】池澤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】土田 憲生
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-038121(JP,A)
【文献】特開2012-173879(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066024(WO,A1)
【文献】特開2009-154590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60T 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方の減速対象を検出し、検出した前記減速対象と前記自車両との距離に少なくとも基づいて
、前記自車両
を予め定められた目標速度まで減速させる減速支援を開始する運転支援装置であって、
前記減速対象の検出信頼度を算出する信頼度算出部と、
算出された前記検出信頼度に応じて、複数の支援内容の中から前記減速支援の前記支援内容を選択する支援内容選択部と、
選択された前記減速支援の前記支援内容
に従って、前記目標速度まで前記自車両を減速させる運転支援部と、
を備え、
前記複数の支援内容には、第1支援と、前記第1支援よりも前記減速支援の度合いが大きい第2支援とが含まれ、
前記第1支援と前記第2支援とは、前記減速支援によって前記自車両を減速させるときのGの下限値が互いに異なっており、
前記第1支援におけるGの下限値は、前記第2支援におけるGの下限値よりも値が大きく、
前記支援内容選択部は、前記検出信頼度が予め定められた信頼度閾値未満の場合には前記第1支援を選択し、前記検出信頼度が前記信頼度閾値以上の場合には前記第2支援を選択する運転支援装置。
【請求項2】
自車両の前方の減速対象を検出し、検出した前記減速対象と前記自車両との距離に少なくとも基づいて
、前記自車両
を予め定められた目標速度まで減速させる減速支援を開始する運転支援装置であって、
前記減速対象の検出信頼度を算出する信頼度算出部と、
算出された前記検出信頼度に応じて、複数の支援内容の中から前記減速支援の前記支援内容を選択する支援内容選択部と、
選択された前記減速支援の前記支援内容
に従って、前記目標速度まで前記自車両を減速させる運転支援部と、
を備え、
前記複数の支援内容には、第1支援と、前記第1支援よりも前記減速支援の度合いが大きい第2支援とが含まれ、
前記第1支援と前記第2支援とは、所定のGまで前記自車両を減速させる支援内容であり、前記減速支援によって前記所定のGまで前記自車両を減速させるときの減速のジャーク値が互いに異なっており、
前記第2支援における減速のジャーク値は、前記第1支援における減速のジャーク値よりも値が大きく、
前記支援内容選択部は、前記検出信頼度が予め定められた信頼度閾値未満の場合には前記第1支援を選択し、前記検出信頼度が前記信頼度閾値以上の場合には前記第2支援を選択する運転支援装置。
【請求項3】
自車両の前方の減速対象を検出し、検出した前記減速対象と前記自車両との距離に少なくとも基づいて
、前記自車両
を予め定められた目標速度まで減速させる減速支援を開始する運転支援装置であって、
前記減速対象の検出信頼度を算出する信頼度算出部と、
算出された前記検出信頼度に応じて、複数の支援内容の中から前記減速支援の前記支援内容を選択する支援内容選択部と、
選択された前記減速支援の前記支援内容
に従って、前記目標速度まで前記自車両を減速させる運転支援部と、
を備え、
前記複数の支援内容には、第1支援と、前記第1支援よりも前記減速支援の度合いが大きい第2支援とが含まれ、
前記第1支援と前記第2支援とは、前記減速支援の開始タイミングが互いに異なっており、
前記第2支援における前記減速支援の開始タイミングは、前記第1支援における前記減速支援の開始タイミングよりも早く、
前記支援内容選択部は、前記検出信頼度が予め定められた信頼度閾値未満の場合には前記第1支援を選択し、前記検出信頼度が前記信頼度閾値以上の場合には前記第2支援を選択する運転支援装置。
【請求項4】
前記信頼度算出部は、前記自車両と前記減速対象との位置関係に基づいて前記検出信頼度を算出し、
前記位置関係に基づいて前記信頼度算出部が前記検出信頼度を算出することには、前記自車両から前記減速対象までの距離が長いほど前記検出信頼度を小さく算出すること、及び前記自車両に対する前記減速対象の横位置のずれが大きいほど前記検出信頼度を小さく算出することの少なくともいずれかを含む、請求項1
~3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記信頼度算出部は、
前記減速対象が先行車両である場合、前記自車両と前記減速対象との前記位置関係に基づいて前記検出信頼度を算出し、
前記減速対象が信号機である場合、撮像画像に基づいて認識される前記信号機の画像認識尤度に基づいて前記検出信頼度を算出する、請求項
4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記減速支援における前記目標速度は、前記減速対象の種別に応じて予め定められている、請求項1~5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援装置に関する技術文献として、特開2013-218429号公報が知られている。この公報には、自車両の減速支援を行う運転支援装置において、運転支援装置が減速支援を行う際に、減速対象までの距離と自車両の速度とが所定の条件を満たす場合に減速支援を停止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば減速支援を行うために自車両の前方の減速対象を検出する場合、減速対象の検出信頼度は種々の要因によって変化する。上述したような運転支援装置では、減速支援を行う際に減速対象の検出信頼度については考慮されておらず、検出信頼度が異なっていても同じ度合いの減速支援が行われる。このため、例えば、減速対象の検出信頼度が高く減速対象が精度よく検出されているにも関わらず、減速対象の検出信頼度が低く減速対象の検出精度が悪い場合と同じ度合いの減速支援を行うと、確実な減速支援が行われない等、減速支援として適切でない場合があり得る。
【0005】
そこで、本開示は、減速対象の検出信頼度を考慮した適切な減速支援を行うことができる運転支援装置について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、自車両の前方の減速対象を検出し、検出した減速対象と自車両との距離に少なくとも基づいて自車両の減速支援を開始する運転支援装置であって、減速対象の検出信頼度を算出する信頼度算出部と、算出された検出信頼度に応じて、複数の支援内容の中から減速支援の支援内容を選択する支援内容選択部と、選択された減速支援の支援内容を実行する運転支援部と、を備え、複数の支援内容には、第1支援と、第1支援よりも減速支援の度合いが大きい第2支援とが含まれ、支援内容選択部は、検出信頼度が予め定められた信頼度閾値未満の場合には第1支援を選択し、検出信頼度が信頼度閾値以上の場合には第2支援を選択する。
【0007】
この運転支援装置では、検出信頼度が信頼度閾値以上の場合には減速支援の度合いが大きい第2支援が行われ、検出信頼度が信頼度閾値未満の場合には減速支援の度合いが小さい第1支援が行われる。このように、運転支援装置は、検出信頼度が高い場合には、減速支援の度合いが大きいより確実な減速支援を実行できる。以上のように、運転支援装置は、減速対象の検出信頼度を考慮した適切な減速支援を行うことができる。
【0008】
運転支援装置において、信頼度算出部は、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出し、位置関係に基づいて信頼度算出部が検出信頼度を算出することには、自車両から減速対象までの距離が長いほど検出信頼度を小さく算出すること、及び自車両に対する減速対象の横位置のずれが大きいほど検出信頼度を小さく算出することの少なくともいずれかを含んでいてもよい。この場合、運転支援装置は、減速対象を検出するセンサの検出性能を考慮して、検出信頼度をより適切に算出できる。
【0009】
運転支援装置において、信頼度算出部は、減速対象が先行車両である場合、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出し、減速対象が信号機である場合、撮像画像に基づいて認識される信号機の画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出してもよい。例えば、先行車両は自車両の前方の道路上を走行しているものの、信号機は自車両の前方の道路上に設けられていたり路肩に設けられていたりする。このため、運転支援装置は、減速対象が先行車両である場合には自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出し、減速対象が信号機である場合には画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出することで、減速対象の種類に応じて検出信頼度をより適切に算出できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一側面によれば、減速対象の検出信頼度を考慮した適切な減速支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2(a)は、パターンマッチングにおいて用いられる信号機の画像パターンの一例を示す図である。
図2(b)及び
図2(c)は、カメラによって撮像された信号機の撮像画像の一例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、減速支援を行うときのGの下限値を変更した場合におけるGの時間変化を示す図である。
図3(b)は、減速支援を行うときのジャーク値を変更した場合におけるGの時間変化を示す図である。
【
図4】
図4は、運転支援装置において行われる減速支援処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に示すように運転支援装置100は、乗用車などの車両(自車両)に搭載され、運転者による自車両の運転を支援する装置である。運転支援装置100は、自車両の前方の先行車両、信号機などの減速対象を検出した場合に、所定条件下で自車両の減速支援を行う。減速対象とは、減速支援の対象である。減速対象には、先行車両、信号機、及び一時停止線が含まれる。減速対象には、先行車両以外にも歩行者、自転車などの移動物が含まれてもよく、信号機及び一時停止線以外にも、一時停止等の標識、横断歩道、落下物、工事用設置物、構造物などの静止物が含まれてもよい。減速対象には、カーブ路が含まれていてもよい。減速対象には、赤信号又は黄信号の信号機のみを含み、青信号の信号機を含まなくてもよい。
【0014】
減速支援とは、自車両を予め設定された目標速度まで減速させる運転支援である。目標速度は特に限定されず、0km/hであってもよく、10km/hであってもよい。目標速度は減速対象の種別に応じて決められていてもよい。減速対象が信号機である場合、信号機の点灯状態(青信号、黄信号、赤信号などの点灯状態)に応じて減速支援の目標速度を変更してもよい。目標速度は、自車両の速度に限られず、自車両と減速対象との相対速度を用いてもよい。
【0015】
〈運転支援装置の構成〉
運転支援装置100の構成について図面を参照して説明する。
図1に示すように、運転支援装置100は、装置を統括的に管理する運転支援ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。運転支援ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などを有する電子制御ユニットである。運転支援ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。運転支援ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0016】
運転支援ECU10は、外部センサ1、内部センサ2、及びアクチュエータ3と接続されている。
【0017】
外部センサ1は、自車両の周辺の状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、カメラ及びレーダセンサのうち少なくともカメラを含む。
【0018】
カメラは、自車両の外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば自車両のフロントガラスの裏側に設けられ、自車両の前方を撮像する。カメラは、自車両の外部状況に関する撮像情報を運転支援ECU10へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0019】
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自車両の周囲の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自車両の周囲に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体の情報を運転支援ECU10へ送信する。物体には、ガードレール、建物などの固定障害物の他、歩行者、自転車、他車両などの移動障害物が含まれる。
【0020】
内部センサ2は、自車両の走行状態を検出する検出機器である。内部センサ2は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、自車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)を運転支援ECU10に送信する。
【0021】
加速度センサは、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、自車両の加速度情報を運転支援ECU10に送信する。ヨーレートセンサは、自車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自車両のヨーレート情報を運転支援ECU10へ送信する。
【0022】
アクチュエータ3は、自車両の制御に用いられるデバイスである。アクチュエータ3は、駆動アクチュエータ及びブレーキアクチュエータを少なくとも含む。アクチュエータ3は、操舵アクチュエータを含んでもよい。駆動アクチュエータは、運転支援ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両の駆動力を制御する。なお、自車両がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータに運転支援ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自車両が電気自動車である場合には、動力源としてのモータに運転支援ECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ3を構成する。
【0023】
ブレーキアクチュエータは、運転支援ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を運転支援ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、自車両の操舵トルクを制御する。
【0024】
次に、運転支援ECU10の機能的構成について説明する。
図1に示すように、運転支援ECU10は、減速対象検出部11、開始条件判定部12、信頼度算出部13、支援内容選択部14、及び運転支援部15を有している。なお、以下に説明する運転支援ECU10の機能の一部は、自車両と通信可能なサーバにおいて実行される態様であってもよい。
【0025】
減速対象検出部11は、外部センサ1の検出結果に基づいて、自車両の前方の減速対象を検出する。また、減速対象検出部11が減速対象を検出することには、減速対象の種別(先行車両、信号機などの種別)を認識ことが含まれる。減速対象検出部11は、例えばカメラにより撮像された自車両の前方の撮像画像に基づいて、予め記憶された種別ごとの画像パターンを用いたパターンマッチングを行うことにより、減速対象の検出及び種別の認識を行う。減速対象検出部11は、レーダセンサの物体情報に基づいて減速対象の種別を認識してもよい。
【0026】
減速対象検出部11が減速対象を検出することには、自車両と減速対象との相対状況を認識することが含まれる。相対状況には、少なくとも自車両と減速対象との距離(自車両の前後方向又は進行方向における距離)が含まれる。相対状況には、自車両と減速対象との相対速度が含まれてもよい。具体的には、減速対象検出部11は、例えば外部センサ1の検出結果に基づいて、自車両と減速対象との相対状況を認識する。減速対象検出部11は、減速対象が自車両と車々間通信可能な車両である場合には、車々間通信により取得した情報を用いて自車両と減速対象との相対状況を認識してもよい。減速対象検出部11は、例えば車々間通信により取得した減速対象の速度と自車両の速度とに基づいて、自車両と減速対象との相対速度を認識してもよい。
【0027】
ここで、減速対象検出部11は、自車両と減速対象との位置関係を相対状況として認識する。この自車両と減速対象との位置関係には、自車両と減速対象との距離と、自車両に対する減速対象の横位置のずれとが含まれる。横位置とは、自車両の車幅方向における位置である。自車両に対する減速対象の横位置のずれとは、自車両の基準位置と減速対象の基準位置との横方向(自車両の車幅方向)のずれである。例えば、自車両の基準位置とは、自車両の中心位置であってもよく、自車両における外部センサ1(カメラ、レーダセンサ)の取り付け位置であってもよい。例えば、減速対象の基準位置とは、自車両から見て減速対象が右側に位置している場合には減速対象の左側端部の位置であってもよく、自車両から見て減速対象が左側に位置している場合には減速対象の右側端部の位置であってもよい。また、減速対象の基準位置とは、減速対象の中心位置であってもよい。
【0028】
開始条件判定部12は、減速対象に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。減速支援開始条件とは、減速支援の開始の判定に用いるために予め設定された条件である。開始条件判定部12は、自車両と減速対象との距離に少なくともに基づいて、減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0029】
減速支援開始条件は、減速対象の種別に応じて変更される。開始条件判定部12は、例えば減速対象の種別が先行車両である場合、自車両と減速対象との相対状況に基づいて、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0030】
具体的に、開始条件判定部12は、自車両の速度が先行車両の速度より大きく(相対速度が接近する方向で正の値)、自車両と先行車両とのTTC[Time To Collusion]がTTC閾値未満であるとき、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたと判定する。TTCは、自車両と減速対象(先行車両)との距離を自車両と減速対象との相対速度(接近速度)で除して求められる。TTC閾値は予め設定された値の閾値である。以下、説明で用いる閾値は予め設定された値の閾値を意味する。
【0031】
開始条件判定部12は、TTCに代えて、自車両と先行車両との距離を自車両の速度で除したTHW[Time Headway]がTHW閾値未満になったときに、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。開始条件判定部12は、TTCに代えて、自車両と先行車両との距離が距離閾値未満であるとき、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。
【0032】
開始条件判定部12は、自車両の速度が先行車両の速度より大きく、自車両の要求減速度が減速度閾値以上であるときに、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。要求減速度は、例えば自車両と先行車両との距離が速度毎に予め定められた閾値未満になることを避けるために必要な減速度とすることができる。要求減速度は、自車両と先行車両との距離が一定値未満になることを避けるために必要な減速度としてもよい。
【0033】
開始条件判定部12は、減速対象の種別が一時停止線(静止物)である場合、内部センサ2(車速センサ)の検出した自車両の速度と自車両及び一時停止線の相対状況とに基づいて、一時停止線に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する。
【0034】
具体的に、開始条件判定部12は、自車両の速度が支援開始速度閾値以上であり、自車両と一時停止線とのTTCがTTC閾値未満であるとき、一時停止線に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。この場合のTTCは自車両の一時停止線に対する到達時間に対応する。開始条件判定部12は、TTCに代えて、自車両と一時停止線との距離が距離閾値未満であるとき、先行車両に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。
【0035】
また、開始条件判定部12は、自車両の速度が支援開始速度閾値以上であり、自車両の要求減速度が減速度閾値以上であるときに、一時停止線に対する減速支援開始条件が満たされたと判定してもよい。この場合の要求減速度は、例えば自車両が一時停止線の位置で停止するために必要な減速度である。なお、TTC閾値、距離閾値、減速度閾値は、減速対象の種別に応じて異なる値としてもよい。
【0036】
開始条件判定部12は、減速対象の種別が信号機である場合、信号機の手前の一時停止線を対象として減速支援開始条件の判定を行う。ここで、開始条件判定部12は、減速対象の種別が信号機である場合であって、一時停止線の白線の擦れなどにより外部センサ1により信号機の手前の一時停止線を検出できなかったときには、信号機から一定距離手前の位置に一時停止線が存在すると仮定して減速支援開始条件の判定を行う。なお、一時停止線に対する減速支援開始条件の判定は、減速対象の種別が静止物である場合に適用可能である。
【0037】
信頼度算出部13は、減速対象の検出信頼度を算出する。この検出信頼度とは、減速対象検出部11において検出(認識)された減速対象の情報(減速対象の種別、自車両と減速対象との相対状況)の確からしさを表す。本実施形態において信頼度算出部13は、一例として、次の検出信頼度の算出方法1~算出方法3の少なくともいずれかを用いて減速対象の検出信頼度を算出することができる。
【0038】
(検出信頼度の算出方法1)
検出信頼度の算出方法1として、信頼度算出部13は、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出することができる。ここで、減速対象を検出する外部センサ1の検出性能によって、外部センサ1からの距離が離れるほど減速対象の検出信頼度が低下し、外部センサ1の検出の中心軸(検出範囲の幅方向の中心位置)から横方向にずれるほど検出信頼度が低下する。
【0039】
このため、信頼度算出部13は、減速対象検出部11によって検出された自車両と減速対象との位置関係に基づいて、自車両から減速対象までの距離が長いほど検出信頼度を低く算出する。また、信頼度算出部13は、減速対象検出部11によって検出された自車両と減速対象との位置関係に基づいて、自車両に対する減速対象の横位置のずれが大きいほど検出信頼度を低く算出する。
【0040】
このように、自車両と減速対象との位置関係に基づいて信頼度算出部が検出信頼度を算出することには、自車両から減速対象までの距離が長いほど検出信頼度を小さく算出すること、及び自車両に対する減速対象の横位置のずれが大きいほど検出信頼度を小さく算出することが含まれる。
【0041】
(検出信頼度の算出方法2)
検出信頼度の算出方法2として、信頼度算出部13は、周辺環境に基づいて検出信頼度を算出することができる。この周辺環境として、例えば、自車両(外部センサ1)の前方が視界不良であるか否かを用いることができる。自車両(外部センサ1)の前方が視界不良である場合、視界不良でない場合に比べて外部センサ1を用いた減速対象の検出信頼度が低下する。
【0042】
例えば、外部センサ1の前側に位置するフロントガラスに曇りが生じている場合、外部センサ1は減速対象を精度よく検出できないことが生じ得る。このため、信頼度算出部13は、外部センサ1の前側に位置するフロントガラスに曇りが生じている場合、曇りが生じていない場合に比べて検出信頼度を低く算出する。例えば、信頼度算出部13は、フロントガラスの曇りの有無を、フロントガラスの曇りを除去するデフロスターの作動状況に基づいて判定してもよい。信頼度算出部13は、自車両の乗員がデフロスターを作動させている場合、フロントガラスに曇りが生じていると判定することができる。また、信頼度算出部13は、フロントガラスの曇りの有無を、外部センサ1として設けられたカメラの撮像画像に基づいて判定してもよい。具体的には、例えば、フロントガラスが曇っている場合、カメラの撮像画像内の物体のエッジが正しく認識できない(エッジがぼやける)ことがある。このため、信頼度算出部13は、例えば、カメラの撮像画像内の物体のエッジがうまく認識できない場合、フロントガラスに曇りが生じていると判定することができる。
【0043】
また、例えば、自車両が走行している場所で雨が降っている場合、自車両(外部センサ1)の前方が視界不良となることがある。このため、信頼度算出部13は、自車両の走行している場所で雨が降っている場合、雨が降っていない場合に比べて検出信頼度を低く算出する。例えば、信頼度算出部13は、ワイパーの動作状況、降雨センサの検出結果、カメラの撮像画像に基づいて行われる降雨の画像認識処理、及び気象情報センター等から取得した自車両の周囲の気象情報等に基づいて、雨が降っているか否かを判定することができる。信頼度算出部13は、雨が降っている場合以外にも、雨以外の気象(例えば、降雪、霧等)に基づいて前方が視界不良であるか否かを判定し、検出信頼度を算出してもよい。
【0044】
さらに、例えば、自車両が走行している場所が逆光となっている場合、自車両(外部センサ1)の前方が視界不良となることがある。このため、信頼度算出部13は、自車両の走行している場所が逆光となっている場合、逆光でない場合に比べて検出信頼度を低く算出する。例えば、信頼度算出部13は、外部センサ1として設けられたカメラの絞りの調整結果、カメラの撮像画像における白飛びの度合い等に基づいて、逆光であるか否かを判定することができる。
【0045】
また、周辺環境に基づいて検出信頼度を算出するときの周辺環境として、例えば、誤検出が増大する可能性がある環境であるか否かを用いることができる。例えば、減速対象検出部11によって多数の減速対象が検出されている場合、自車両(外部センサ1)から見て減速対象同士が重なること等によって、減速対象のそれぞれを精度よく検出できずに誤検出が増大する可能性がある。このため、信頼度算出部13は、減速対象検出部11によって認識された減速対象の数が多い場合、減速対象の数が少ない場合に比べて検出信頼度を低く算出する。
【0046】
また、例えば、自車両の走行している道路が複雑な道路環境である場合、減速対象の動き等を精度よく検出することができずに誤検出が増大する可能性がある。この複雑な道路環境としては、例えば、複数の道路が交差する交差点、急勾配の道路等が挙げられる。信頼度算出部13は、自車両が走行している道路が複雑な道路環境であるか否かを、例えば、ナビゲーションシステムの地図情報等に基づいて取得してもよい。信頼度算出部13は、自車両が走行している道路が複雑な道路環境である場合、複雑な道路環境でない場合に比べて検出信頼度を低く算出する。
【0047】
(検出信頼度の算出方法3)
検出信頼度の算出方法3として、信頼度算出部13は、カメラ(外部センサ1)の撮像画像に基づいて減速対象検出部11が検出した減速対象の画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出することができる。画像認識尤度とは、撮像画像に基づいて認識される減速対象の認識の確からしさを表す。減速対象検出部11は、上述したようにカメラの撮像画像に基づいて減速対象を検出することに加え、減速対象の画像認識尤度を求める。
【0048】
例えば、減速対象検出部11は、撮像画像の鮮明度が高い場合、鮮明度が低い場合に比べて画像認識尤度を高くしてもよい。また、例えば、減速対象検出部11は、パターンマッチングを行って減速対象を検出したときの画像パターン一致度に基づいて画像認識尤度を求めてもよい。画像パターン一致度とは、カメラの撮像画像と、予め定められた画像パターンとの一致の程度を表している。減速対象検出部11は、画像パターン一致度が高い場合、画像パターン一致度が低い場合に比べて減速対象の画像認識尤度を高くする。
【0049】
ここで、減速対象検出部11がパターンマッチングを行って信号機を認識する場合の具体例について説明する。例えば、減速対象検出部11は、
図2(a)に示される画像パターンPのように、信号機の画像パターンを予め記憶している。画像パターンPには、信号機Sが含まれている。この画像パターンPは、過去に撮像された信号機の撮像画像に基づいて生成された学習データ等であってもよい。
【0050】
図2(b)及び
図2(c)に示されるように、カメラによって信号機の撮像画像P1及びP2が撮像されたとする。
図2(b)に示される撮像画像P1は、雨又は霧等によって信号機S1が少しボケた状態となっている。このため、減速対象検出部11が画像パターンPと撮像画像P1とを用いてパターンマッチングを行ったときに、撮像画像P1が鮮明な場合(ボケていない場合)に比べて画像パターン一致度が低くなる。この場合、減速対象検出部11は、撮像画像が鮮明なときに比べて画像認識尤度を低くする。また、
図2(c)に示される撮像画像P2は、光の影響又は遮蔽物等によって、自車両から見て信号機S2の右端部分のみが写っている状態である。このため、減速対象検出部11が画像パターンPと撮像画像P2とを用いてパターンマッチングを行ったときに、信号機S2の全体が写っている場合に比べて画像パターン一致度が低くなる。この場合、減速対象検出部11は、信号機S2の全体が写っているときに比べて画像認識尤度を低くする。なお、減速対象検出部11は、
図2(c)に示される撮像画像P2に基づいて認識される信号機の画像パターン一致度よりも、
図2(b)に示される撮像画像P1に基づいて認識される信号機の画像パターン一致度を高くしてもよい。
【0051】
また、例えば、自車両の周辺環境によって、カメラの撮像画像に基づいて認識された減速対象の画像認識尤度が変化することがある。この周辺環境としては、上記の「検出信頼度の算出方法2」において説明したことと同様に、自車両の前方が視界不良であるか否か、及び誤検出が増大する可能性がある環境であるか否かを用いることができる。減速対象検出部11は、自車両の前方が視界不良である場合には、視界不良でない場合に比べて画像認識尤度を低くする。また、減速対象検出部11は、誤検出が増大する可能性がある環境である場合には、誤検出が増大する可能性がある環境でない場合に比べて画像認識尤度を低くする。
【0052】
信頼度算出部13は、減速対象検出部11が求めた画像認識尤度を取得し、取得した画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出する。ここでは、信頼度算出部13は、画像認識尤度が高い場合、画像認識尤度が低い場合に比べて検出信頼度を高く算出する。
【0053】
このように、信頼度算出部13は、検出信頼度の算出方法1~算出方法3の少なくともいずれかを用いて減速対象の検出信頼度を算出することができる。但し、本実施形態において、信頼度算出部13は、減速対象検出部11で認識された減速対象が先行車両である場合、上述した検出信頼度の算出方法1及び算出方法3のうち、算出方法1に基づいて検出信頼度を算出する。すなわち、信頼度算出部13は、減速対象検出部11で認識された減速対象が先行車両である場合、自車両と先行車両との位置関係に基づいて検出信頼度を算出する。なお、信頼度算出部13は、減速対象が先行車両である場合、上述した検出信頼度の算出方法1に加え、検出信頼度の算出方法2も用いて検出信頼度を算出してもよい。
【0054】
また、本実施形態において、信頼度算出部13は、減速対象検出部11で認識された減速対象が信号機である場合、上述した検出信頼度の算出方法1及び算出方法3のうち、算出方法3に基づいて検出信頼度を算出する。すなわち、信頼度算出部13は、減速対象検出部11で認識された減速対象が信号機である場合、カメラの撮像画像に基づいて認識される信号機の画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出する。なお、信頼度算出部13は、減速対象が信号機である場合、上述した検出信頼度の算出方法3に加え、検出信頼度の算出方法2も用いて検出信頼度を算出してもよい。
【0055】
支援内容選択部14は、信頼度算出部13で算出された検出信頼度に応じて、複数の支援内容の中から減速支援の支援内容を選択する。ここで、減速支援の支援内容として、減速支援の度合いが異なる複数の支援内容が予め設定されている。支援内容選択部14は、検出信頼度が高い場合には、検出信頼度が低い場合に比べて減速支援の度合いが大きい支援内容を選択する。
【0056】
具体的には、本実施形態では、減速支援の支援内容として、高信頼度支援(第2支援)、中信頼度支援(第1支援)、及び低信頼度支援の3つが含まれている。高信頼度支援は、中信頼度支援よりも支援の度合いが大きい。中信頼度支援は、低信頼度支援よりも支援の度合いが大きい。ここで、減速支援の度合いが大きいこととは、減速支援の度合いが小さい場合に比べて減速支援の支援量が大きいことであってもよい。また、減速支援の度合いが大きいこととは、減速支援の度合いが小さい場合に比べて早期に減速支援を開始することであってもよい。
【0057】
具体的には、例えば、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援は、減速支援によって自車両を減速させるときのGの下限値が互いに異なっていてもよい。この場合、例えば、
図3(a)に示されるように、低信頼度支援のときのGの下限値としてK1が設定され、中信頼度支援のときのGの下限値としてK2が設定され、高信頼度支援のときのGの下限値としてK3が設定されていてもよい。K1はK2よりも値が大きく(絶対値が小さい)、K2はK3よりも値が大きい(絶対値が小さい)。すなわち、低信頼度支援、中信頼度支援、高信頼度支援の順で、減速支援の支援量が大きくなる。このように、減速支援の複数の支援内容には、自車両を減速させるときのGの下限値が異なる支援内容が含まれていてもよい。
【0058】
また、具体的には、例えば、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援は、減速支援によって自車両を減速させるときのジャーク値が互いに異なっていてもよい。この場合、高信頼度支援を行う際に用いられるジャーク値は中信頼度支援を行う際に用いられるジャーク値よりも大きい値が設定され、中信頼度支援を行う際に用いられるジャーク値は低信頼度支援を行う際に用いられるジャーク値よりも大きい値が設定されている。これにより、例えば、
図3(b)に示されるGの時間変化を示すグラフL1~L3のように、減速のジャーク値が小さい低信頼度支援が行われたときにはグラフL1のようにGが変化し、減速のジャーク値が中程度の中信頼度支援が行われたときにはグラフL2のようにGが変化し、減速のジャーク値が大きい高信頼度支援が行われたときにはグラフL3のようにGが変化する。これにより、
図3(b)に示されるように、高信頼度支援が行われた場合には中信頼度支援が行われた場合よりも短時間で所定のGの値へ到達し、中信頼度支援が行われた場合には低信頼度支援が行われた場合よりも短時間で所定のGの値へ到達する。すなわち、低信頼度支援、中信頼度支援、高信頼度支援の順で、減速支援の支援量が大きくなる。このように、減速支援の複数の支援内容には、所定のGの値まで自車両を減速させるときのジャーク値が異なる支援内容が含まれていてもよい。
【0059】
また、具体的には、例えば、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援は、開始条件判定部12によって減速支援開始条件が満たされたと判定された後、減速支援を開始する開始タイミングが互いに異なっていてもよい。すなわち、高信頼度支援における減速支援の開始タイミングは、中信頼度支援における減速支援の開始タイミングよりも早い。中信頼度支援における減速支援の開始タイミングは、低信頼度支援における減速支援の開始タイミングよりも早い。このように、減速支援の複数の支援内容には、減速支援開始条件が満たされたと判定された後で減速支援を開始する開始タイミングが異なる支援内容が含まれていてもよい。
【0060】
なお、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援の支援内容は、減速対象の種別(先行車両、信号機、歩行者等)ごとにそれぞれ定められていてもよい。
【0061】
支援内容選択部14は、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援のうちから、検出信頼度に応じて支援内容を選択する。ここでは、支援内容選択部14は、検出信頼度が予め定められた第2信頼度閾値(信頼度閾値)以上である場合、高信頼度支援を選択する。支援内容選択部14は、検出信頼度が第1信頼度閾値以上かつ第2信頼度閾値未満である場合、中信頼度支援を選択する。なお、第2信頼度閾値は、第1信頼度閾値よりも値が大きい。支援内容選択部14は、検出信頼度が予め定められた第1信頼度閾値未満である場合、低信頼度支援を選択する。
【0062】
運転支援部15は、開始条件判定部12により減速支援開始条件が満たされたと判定された場合、支援内容選択部14で選択された減速支援の支援内容を実行する。運転支援部15は、アクチュエータ3に対して制御信号を送信することで、自車両の減速支援を行う。運転支援部15は、例えば自車両と減速対象との距離及び自車両の速度に基づいて、支援内容選択部14で選択された支援内容に従って自車両が予め設定された目標速度まで減速するように減速支援を行う。
【0063】
次に、運転支援装置100において行われる減速支援処理の流れについて、
図4のフローチャートを用いて説明する。なお、
図4に示される処理は、自車両の減速支援の機能が作動状態とされている場合に行われる。また、
図4に示される処理は、処理がエンドに至った場合、再びS101から処理が開始される。
【0064】
図4に示されるように、減速対象検出部11は、自車両前方の減速対象を検出する(S101)。減速対象が検出されていない場合(S101:NO)、運転支援ECU10は、今回の処理を終了し、再びS101から処理を開始する。減速対象が検出されている場合(S101:YES)、開始条件判定部12は、減速対象に対する減速支援開始条件が満たされたか否かを判定する(S102)。減速支援開始条件を満たさない場合(S102:NO)、運転支援ECU10は、今回の処理を終了し、再びS101から処理を開始する。
【0065】
減速支援開始条件を満たす場合(S102:YES)、信頼度算出部13は、減速対象の検出信頼度を算出する(S103)。支援内容選択部14は、算出された検出信頼度が第2信頼度閾値以上であるか否かを判定する(S104)。検出信頼度が第2信頼度閾値以上である場合(S104:YES)、支援内容選択部14は、高信頼度支援を選択する。そして、運転支援部15は、自車両の減速支援として高信頼度支援を実行する(S105)。
【0066】
検出信頼度が第2信頼度閾値以上でない場合(S104:NO)、支援内容選択部14は、検出信頼度が第1信頼度閾値以上であるか否かを判定する(S106)。検出信頼度が第1信頼度閾値以上である場合(S106:YES)、支援内容選択部14は、中信頼度支援を選択する。そして、運転支援部15は、自車両の減速支援として中信頼度支援を実行する(S107)。
【0067】
検出信頼度が第1信頼度閾値以上でない場合(S106:NO)、支援内容選択部14は、低信頼度支援を選択する。そして、運転支援部15は、自車両の減速支援として低信頼度支援を実行する(S108)。
【0068】
以上のように、運転支援装置100では、検出信頼度が第2信頼度閾値以上の場合には減速支援の度合いが大きい高信頼度支援が行われ、検出信頼度が第2信頼度閾値未満かつ第1信頼度閾値以上の場合には減速支援の度合いが中程度の中信頼度支援が行われ、検出信頼度が第1信頼度閾値未満の場合には減速支援の度合いが小さい低信頼度支援が行われる。このように、運転支援装置100は、検出信頼度が高い場合には、減速支援の度合いが大きいより確実な減速支援を実行できる。以上のように、運転支援装置100は、減速対象の検出信頼度を考慮した適切な減速支援を行うことができる。
【0069】
信頼度算出部13は、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出する際に、自車両から減速対象までの距離が長いほど検出信頼度を小さく算出し、自車両に対する減速対象の横位置のずれが大きいほど検出信頼度を小さく算出する。この場合、運転支援装置100は、減速対象を検出する外部センサ1の検出性能を考慮して、検出信頼度をより適切に算出できる。
【0070】
信頼度算出部13は、減速対象が先行車両である場合、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出する。また、信頼度算出部13は、減速対象が信号機である場合、撮像画像に基づいて認識される信号機の画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出する。例えば、先行車両は自車両の前方の道路上を走行しているものの、信号機は自車両の前方の道路上に設けられていたり路肩に設けられていたりする。このため、運転支援装置100は、減速対象が先行車両である場合には自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出し、減速対象が信号機である場合には画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出することで、減速対象の種類に応じて検出信頼度をより適切に算出できる。
【0071】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、減速支援の支援内容として、高信頼度支援、中信頼度支援、及び低信頼度支援の3つが含まれている場合を例に説明した。しかしながら、減速支援の支援内容の数は3つに限定されず、減速支援の度合いが異なる少なくとも2以上の支援内容が含まれていればよい。この場合であっても、運転支援装置100は、検出信頼度が高いほど、支援の度合いが大きい支援内容を選択して実行すればよい。
【0072】
信頼度算出部13は、自車両と減速対象との位置関係に基づいて検出信頼度を算出する場合、自車両から減速対象までの距離が長いほど検出信頼度を小さく算出すること、及び自車両に対する減速対象の横位置のずれが大きいほど検出信頼度を小さく算出することのうち、いずれか一方のみを用いる構成であってもよい。
【0073】
上記実施形態において信頼度算出部13は、減速対象が先行車両である場合には自車両と先行車両との位置関係に基づいて検出信頼度を算出し、減速対象が信号機である場合には画像認識尤度に基づいて検出信頼度を算出する場合を例に説明した。しかしながら、信頼度算出部13は、減速対象が先行車両である場合と信号機である場合とにおいて異なる検出信頼度の算出方法を用いる構成でなくてもよい。
【0074】
図4に示されるように、開始条件判定部12は、減速対象に対する減速支援開始条件が満たされたか否かの判定(S102)を、検出信頼度の算出処理(S103)の前に行った。しかしながら、減速支援開始条件が満たされたか否かの判定処理は、上述した
図4に示されるタイミングで行われることに限定されない。例えば、検出信頼度に基づいて実行すべき支援内容を支援内容選択部14が選択した後に、減速支援開始条件が満たされているか否かを開始条件判定部12が判定してもよい。また、支援内容選択部14が支援内容を選択する処理と、開始条件判定部12が減速支援開始条件を満たしているか否かを判定する処理とは、並行して行われてもよい。この場合、支援内容選択部14は、検出信頼度に基づいて実行すべき支援内容を選択する。そして、運転支援部15は、開始条件判定部12において減速支援開始条件を満たしていると判定されている場合に、支援内容選択部14によって選択された支援内容を実行すればよい。
【0075】
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0076】
13…信頼度算出部、14…支援内容選択部、15…運転支援部、100…運転支援装置、S1,S2…信号機(減速対象)。