(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】制御装置、計測システム、計測方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4093 20060101AFI20240109BHJP
G05B 19/401 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G05B19/4093 J
G05B19/401
(21)【出願番号】P 2019226291
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】板倉 慎一郎
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067342(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168727(WO,A1)
【文献】特開2016-130953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/18-19/416
G05B19/42-19/46
B23Q15/00-15/28
B23Q17/00-23/00
G01B 5/00- 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブを制御しワークの位置を計測する産業機械の制御装置であって、
前記プローブに対するユーザからの手動操作を受け付ける手動操作部と、
前記手動操作による前記プローブの移動履歴を記録する移動履歴記録部と、
前記ワークの計測プログラムを作成する計測プログラム作成部と、
前記手動操作による前記プローブの移動履歴に基づき、前記計測プログラムの作成に使用する前記プローブの移動方向の候補をユーザに提示する移動方向提示部と、
前記提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付ける
入力部と、を備え、
前記計測プログラム作成部は、前記
入力部が受け付けたユーザの入力を用いて、前記ワークの計測プログラムを作成する、制御装置。
【請求項2】
前記移動履歴記録部は、前記ワークの計測開始位置に前記プローブを移動する際の手動操作の移動履歴を記録する、前記請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記産業機械は、複数の軸を有し、
前記移動履歴記録部は、前記軸ごとの移動履歴を記録し、
前記移動方向提示部は、軸ごとの移動方向の候補をユーザに提示する、請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記移動方向提示部は、前記移動履歴の最後又は終盤の移動方向に基づき、前記プローブの移動方向の候補をユーザに提示する、請求項1記載の制御装置。
【請求項5】
前記移動方向提示部は、前記移動履歴における前記プローブの移動量を基に、前記プローブの移動方向の候補をユーザに提示する、請求項1記載の制御装置。
【請求項6】
前記移動履歴記録部は、前記プローブの移動量を記録し、
前記移動方向提示部は、移動量が十分に大きい移動履歴のみを、移動方向の推定に用いる、請求項1記載の制御装置。
【請求項7】
プローブを制御しワークを計測する計測システムであって、
前記プローブに対するユーザからの手動操作を受け付ける手動操作部と、
前記手動操作による前記プローブの移動履歴を記録する移動履歴記録部と、
前記ワークの計測プログラムを作成する計測プログラム作成部と、
前記手動操作による前記プローブの移動履歴に基づき、前記計測プログラムの作成に使用する前記プローブの移動方向の候補をユーザに提示する移動方向提示部と、
前記提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付ける
入力部と、を備え、
前記計測プログラム作成部は、前記
入力部が受け付けたユーザの入力を用いて前記ワークの計測プログラムを作成する、計測システム。
【請求項8】
プローブを制御しワークを計測する計測方法であって、
前記プローブに対するユーザからの手動操作を受け付け、
前記手動操作による前記プローブの移動履歴を記録し、
前記プローブの移動履歴に基づき、計測プログラムに設定する前記プローブの移動方向をユーザに提示し、
前記提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付け、
前記ユーザの入力を用いて、前記ワークの計測プログラムを作成する、計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械の制御装置、計測システム、計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場では、工作機械や産業ロボットなど、様々な産業機械が利用されている。産業機械の中でも特に工作機械では、加工プログラムを実行してワークを加工する際に、ワークの基準位置を工作機械に設定する必要がある。そのため、工作機械において、主軸にプローブを取り付け、プローブとワークとの接触を検出することにより、ワークの位置計測や寸法測定が行われている。
【0003】
従来、「穴測定」、「点測定」、「コーナ―測定」、「工具長測定」、「工具径測定」等の測定種別ボタンを提示し、測定種別の1つを選択すると、選択された測定種別に対応する測定プログラムと測定動作工程が呼び出される。表示部には、測定に必要な操作ボタンや測定結果が表示され、オペレータは表示画面に従ってプローブを操作することで、ワーク座標系が設定できる。例えば、特許文献1参照。
【0004】
上述のように、プローブを操作する際、プローブの移動方向は、「+X」「-Y」など正負の符号と軸の名称で表現されるため、どの軸をどの方向に移動しているのかを想像しながらプローブを操作する必要がある。
【0005】
他のワーク座標系の設定方法として、プログラムを使用する方法もある。この方法では、制御装置の中にワークの測定方法を選択するためのテンプレートを記憶させ、そのテンプレートにワークの大まかな大きさやプローブの移動方向を入力する。オペレータは、テンプレートで規定された位置までプローブを移動させ、プログラムを実行して、自動でワークの基準点を計測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動でワーク座標系の基準点を計測する場合、プローブの最初の移動方向(例えば、規定されたプローブの位置に対するワークが存在する方向)を数値制御装置に入力する必要がある。このとき、プローブの移動方向が正確に入力されなければ、プローブが想定外の方向に移動することがある。
【0008】
このような課題に対応するためには、産業機械におけるプローブの移動方向を認識しやすくするための機構が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様における制御装置は、プローブを制御しワークの位置を計測する産業機械の制御装置であって、プローブに対するユーザからの手動操作を受け付ける手動操作部と、手動操作によるプローブの移動履歴を記録する移動履歴記録部と、ワークの計測プログラムを作成する計測プログラム作成部と、手動操作によるプローブの移動履歴に基づき、計測プログラムの作成に使用するプローブの移動方向の候補をユーザに提示する移動方向提示部と、提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付ける入力部と、を備え、計測プログラム作成部は、入力部が受け付けたユーザの入力を用いて、ワークの計測プログラムを作成する。
【0010】
本開示の一態様における計測システムは、プローブを制御しワークの位置を計測する計測システムであって、プローブに対するユーザからの手動操作を受け付ける手動操作部と、手動操作によるプローブの移動履歴を記録する移動履歴記録部と、ワークの計測プログラムを作成する計測プログラム作成部と、手動操作によるプローブの移動履歴に基づき、計測プログラムの作成に使用するプローブの移動方向の候補をユーザに提示する移動方向提示部と、前記提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付ける入力部と、を備え、計測プログラム作成部は、入力部が受け付けたユーザの入力を用いて前記ワークの計測プログラムを作成する。
【0011】
本開示の一態様における計測方法は、プローブを制御しワークを計測する計測方法であって、プローブに対するユーザからの手動操作を受け付け、手動操作によるプローブの移動履歴を記録し、プローブの移動履歴に基づき、計測プログラムに設定する前記プローブの移動方向をユーザに提示し、提示した移動方向に関するユーザの入力を受け付け、ユーザの入力を用いて、ワークの計測プログラムを作成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、産業機械におけるプローブの移動方向が認識しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示における数値制御装置のハードウェア構成図である。
【
図2】本開示における数値制御装置のブロック図である。
【
図4】プローブの移動方向の候補を提示する画面の一例を示す図である。
【
図6】本開示における数値制御装置のワーク計測手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の制御装置としての数値制御装置100を説明する。
図1における数値制御装置100が備えるCPU111は、数値制御装置を全体的に制御するプロセッサである。CPU111は、バス122を介してROM112に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従って数値制御装置100の全体を制御する。RAM113には一時的な計算データや表示データ、入力部71を介してユーザが入力した各種データ等が一時的に格納される。
【0015】
表示部70は、数値制御装置100に付属のモニタなどである。表示部70は、後述するテンプレート17の選択画面、ワークデータ入力画面などを表示する。
【0016】
入力部71は、表示部70と一体、又は、表示部70とは別のキーボード、タッチパネルなどである。ユーザは入力部71を操作して、表示部70に表示された画面への入力などを行う。
【0017】
不揮発性メモリ114は、例えば、図示しないバッテリでバックアップされるなどして、数値制御装置100の電源がオフされても記憶状態が保持されるメモリである。不揮発性メモリ114には、図示しないインタフェースを介して外部機器から読み込まれたプログラムや入力部71を介して入力されたプログラム、数値制御装置100の各部や工作機械200等から取得された各種データ(例えば、工作機械200から取得した設定パラメータ等)が記憶される。不揮発性メモリ114に記憶されたプログラムや各種データは、実行時/利用時にはRAM113に展開されてもよい。また、ROM112には、各種のシステム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0018】
工作機械200の各軸を制御するコントローラ40は、CPU111からの軸の移動指令をパルス信号に変換しドライバ41に出力する。ドライバ41はパルス信号を電流に変換してモータ42を駆動する。
【0019】
駆動部(主軸等)には、プローブ50が取り付けられている。モータ42は、プローブ50とワークとを相対的に移動させる。本開示では、プローブ50とワーク51とは、XYZの3軸方向に相対移動とするが、4軸や5軸に移動してもよい。
【0020】
プローブ50とは、測定対象の位置を検出する装置である。本開示のプローブ50は、測定対象であるワーク51との接触を検出する。プローブ50は、赤外線などを用いて非接触で位置検出してもよい。
【0021】
手動操作部10は、モータ42の手動操作を受け付ける。モータ42が移動させる駆動部にはプローブ50が取り付けられている。モータ42を操作すると、プローブ50が工作機械200の軸に沿って移動する。ユーザは、プローブ50を操作して計測開始位置MSTRにプローブを配置する。
【0022】
図2を参照して、数値制御装置100について説明する。
図2は数値制御装置100のブロック図である。数値制御装置100は、ユーザからの手動操作を受け付ける手動操作部10と、手動操作によるプローブの移動履歴を記録する移動履歴記録部11と、ワーク51の計測プログラムを作成する計測プログラム作成部12と、ワークデータの入力を受け付けるワークデータ入力処理部13と、プローブ50の移動方向の候補をユーザに提示する移動方向提示部14と、計測プログラムに必要なデータの入力を受け付ける計測データ入力処理部15と、計測プログラムに従いワーク51の計測を行うワーク計測部16と、を備える。
【0023】
手動操作部10は、プローブ50の手動操作を受け付ける。手動操作部10の種類は、ボタン、ハンドル、タッチパネル、キーボード、レバー、ダイヤルなどが考えられるが特に限定しない。工作機械200の駆動部には、プローブ50が取り付けられている。手動操作部10を操作すると、工作機械200の軸に沿ってプローブ50が移動する。
図2の工作機械200において、プローブ50は、XYZの3軸方向に移動する。なお、手動操作部10は、工作機械200に設けてもよい。プローブ50の移動量は、コントローラ40に出力した指令量を基に算出することができる。
【0024】
移動履歴記録部11は、手動操作部10により操作されたプローブ50の移動履歴を記憶部52に記録する。プローブ50の移動履歴は、工作機械200の軸ごとに記録することが望ましい。プローブ50の移動履歴としては、
図3(a)の表のように最後の移動についてのみ記録してもよいし、
図3(b)の表のようにプローブ50の移動を開始してから終了するまでの全ての移動を記録してもよい。また、
図3(c)の表のように移動方向のみを記録してもよい。また、手のブレや誤入力などによる、ユーザの意図しない移動を記録対象から除外してもよい。本開示では、移動方向提示部14がデータの選別を行う(後述)。
【0025】
計測プログラム作成部12は、複数のテンプレート17、ワークデータ入力処理部13、移動方向提示部14を含む。テンプレート17は、計測するワークの形状、計測方法ごとに準備されている。
【0026】
ワークデータ入力処理部13は、選択されたテンプレート17に対応する入力画面を表示部70に表示する。この入力画面(以下、ワークデータ入力画面という)では、ワーク51の寸法、プローブ50の移動方向、プローブ50の移動量などの入力を受け付ける。本開示では、ワークデータ入力画面に、プローブ50の移動方向の候補が提示される。ユーザは、提示された候補を参考にしながら移動方向を入力する。
【0027】
移動方向提示部14は、プローブ50の移動履歴を基にプローブ50の移動方向を推定し、推定した移動方向を、移動方向の候補としてユーザに提示する。以下、移動方向の推定方法について説明する。この例では、形状が直方体のワーク51を計測し、Y軸方向の端面を基準面としてワーク座標系を設定する例について説明する。
【0028】
ワーク51の形状を直方体、計測対象をY軸方向の端面、計測内容をワーク座標系の設定というテンプレートが選択された場合、ワークデータ入力処理部13は、テンプレートに対応するワークデータ入力画面を表示する。
【0029】
図4は、ワークデータ入力画面の一例である。ワークデータ入力画面の右側には、プローブ50の手動による移動開始位置I
STRと、プローブ50の現在位置I
CRTが表示されている。この画面には、右上には「移動候補:↓」という文字が表示されており、プローブ50の移動方向の候補が提示される。
計測データ入力画面の左側には、プローブ50の移動方向の入力領域21と、プローブ50の移動距離の入力領域22がある。移動方向の入力領域21にはポップアップ画面23が重ねて表示され、ポップアップ画面23には、「提示内容:-Y軸方向に計測でいいですか?」というプローブの移動方向の候補が提示される。ユーザは、この表示を参考にプローブ50の実際の移動方向を指定することができる。
【0030】
上述のように、移動方向の候補を提示することにより、数値制御装置100が認識する機械座標系上のワーク51の位置と、ユーザが目視で確認した位置関係とのズレが補正される。具体的に説明すると、工作機械200にワーク51を設置した時点では、数値制御装置100は、ワーク51の位置を認識していない。そのため、どちらの方向にどれだけプローブ50を移動させればワーク51を計測できるのか、数値制御装置100に指定しなければならない。ワーク51とプローブ50との位置関係はユーザが入力するが、機械座標系上のワーク51の位置と、ユーザが目視で確認した位置関係には感覚的なズレが生じることがある。本開示の数値制御装置100は、手動によるプローブ50の移動履歴を基にプローブ50とワーク51との位置関係を推定し、その結果をユーザに提示することにより、ワーク計測開始時の誤入力を防止する。
【0031】
次いで、プローブ移動方向の推定方法について説明する。なお、この例ではY軸の端面を計測することを前提としているので、Y軸方向の移動候補のみをユーザに提示する。プローブ50の計測開始位置をM
STRとすると、計測開始位置M
STRにプローブ50を移動させる経路として
図5(a)~(c)が考えらえる。
図5(a)の経路では、まず、[1]X軸プラス方向、[2]Y軸マイナス方向、[3]X軸プラス方向、[4]Y軸マイナス方向、[5]X軸プラス方向、[6]Y軸マイナス方向、[7]X軸プラス方向、[8]Y軸マイナス方向にプローブ50を移動させて計測開始位置M
STRにプローブ50を配置する。
図5(b)の経路では、[1]Y軸プラス方向、[2]X軸プラス方向、[3]Y軸マイナス方向、[4]X軸マイナス方向、[5]Y軸マイナス方向にプローブ50を移動させて計測開始位置M
STRにプローブ50を配置する。
図5(c)の経路では、[1]X軸プラス方向、[2]Y軸マイナス方向、[3]X軸マイナス方向、[4]Y軸プラス方向にプローブ50を移動させて計測開始位置M
STRにプローブ50を配置する。
【0032】
図5(a)の例では、Y軸方向の全ての移動[2]、[4]、[6]、[8]でマイナス方向に移動させているため、ワーク51はプローブ50に対しY軸マイナス方向に存在することが推定できる。
図5(b)の例では、[1]ではY軸プラス方向に大きく移動するが、その後、[3]、[5]でY軸マイナス方向に移動する。最後の移動又は終盤の移動でY軸マイナス方向に移動させているため、ワーク51はプローブ50に対してY軸マイナス方向に存在することが推定できる。
図5(c)の例では、[2]でY軸マイナス方向に移動したのち、[4]でY軸プラス方向に移動している。最後の移動はY軸プラス方向であるが、その移動量は小さく、[2]と[4]の移動量の和を求めると、プローブ50はY軸マイナス方向に移動しており、[2]での移動量を補正していると考えられる。このように、
図5(a)の場合は、全体の移動方向、
図5(b)の場合は、最後又は終盤の移動方向、
図5(c)の場合は、終盤の移動方向と移動量を基に移動方向が推定できる。
【0033】
移動方向提示部14は、前述のような、全体の移動方向、最後又は終盤の移動方向、移動方向と移動量の和などから、プローブ50の移動方向、すなわち、プローブ50に対するワーク51の方向を推定する。推定した移動方向の候補は、上述したように、ワークデータ入力画面やポップアップ画面23に表示される。
【0034】
なお、移動方向の推定を行う際、移動方向提示部14は、移動量が小さいデータを推定の対象データから除外する。手動でプローブ50を移動させる場合、手のブレや反応の遅れなどにより、プローブ50の操作が変動することがある。移動方向提示部14は、所定の閾値との比較などを行い、移動量の十分大きな操作のみを、ユーザの意識的な操作として採用する。
【0035】
計測プログラム作成部12は、ユーザが選択したテンプレート17と、ワークデータ入力画面に入力された情報とを基に、ワーク51の計測プログラムを作成する。ワーク計測部16は、ワーク計測プログラムに従いワーク51の計測を行う。上述の端面を基準面としたワーク座標系の設定の例では、端面を基準面として測定し、ワーク51の基準線を測定し、機械座標系とのズレを補正し、ワーク座標系の原点を設定する。
【0036】
次いで、
図6のフローチャートを参照して、ワーク51の計測方法について説明する。最初に、計測したいワーク51を工作機械に取り付ける(ステップS11)。ワーク51を工作機械200に取り付けた後、ワーク51の計測開始を指定する。計測開始の指定は、手動操作部10により操作が可能となる手動モードへの切替で代用してもよい(ステップS12)。
【0037】
次いで、ユーザは、手動操作部10を操作して、ワーク51の近くにプローブ50を手動で移動させる(ステップS13)。この間、移動履歴記録部11は、手動操作部10の移動量を算出し、プローブ50の移動履歴を記憶部52に記録する(ステップS14)。
【0038】
プローブ50を計測開始位置M
STRまで移動させ(ステップS15)、ユーザがテンプレート17の選択を指示すると、計測プログラム作成部12は、ユーザが選択したテンプレート17に応じたワークデータ入力画面を表示する(ステップS16)。ステップS16と同時に、移動方向提示部14は、プローブ50の移動方向の候補を推定し(ステップS17)、推定した候補をワークデータ入力画面に提示する。
図4の例では、ワークデータ入力画面の右側には、プローブ50の移動開始位置I
STRとプローブ50の現在位置I
CRT、移動方向提示部14が推測した計測方向が画面右上に「移動候補:↓(-Y方向)」で提示される。一方、ワークデータ入力画面の左側には、プローブ50の移動方向を入力する入力領域21と、ワーク51とプローブ50との距離を入力する入力領域22が存在する。プローブ50の移動方向を入力する入力領域21にはポップアップ画面23が重ねて表示され、ポップアップ画面23には、「提示内容:-Y軸方向に計測でいいですか?」というプローブ50の移動方向の候補が提示される(ステップS18)。
【0039】
ユーザは、ワークデータ入力画面の表示や実際の工作機械200の配置などを確認しながら、プローブ50の移動方向とプローブ50の移動距離を入力する(ステップS19)。計測プログラム作成部12は、ワークデータ入力画面に入力されたワーク寸法、プローブ50の移動方向などを基に計測プログラムを作成する(ステップS20)。ワーク計測部16は、計測プログラム作成部12が作成した計測プログラムを解析し、ワーク51の計測を行う(ステップS21)。
【0040】
以上、ここまで、ワーク51の計測を行う数値制御装置100、及びワーク51の計測方法について説明したが、本開示は上述の例に限定されるものではなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
【0041】
例えば、上述の開示では、Y軸方向の端面を基準面とするワーク座標系の設定を行ったが、計測対象の形状及び計測内容はこれに限定されず、球、円筒、穴、傾斜面など他の形状のワーク51にも適用できる。また、プローブ50の移動方向の提示方法も上記のものに限定しない。また、本開示の工作機械は制御軸数が3軸以上のマシニングセンタの例を記載しているが、制御軸数や機械種類によらず実施することができ、例えば2軸制御の旋盤でも可能である。
【0042】
また、上述の開示では、プローブ50を手動操作した後、テンプレート17を選択し、ワークデータ入力画面を表示したが、処理の順序は、これに限定されず、プローブ50の手動操作の前にテンプレート17を選択したり、テンプレート17の選択と同時にワーク寸法を入力したりしてもよい。本開示の第1の要旨は、手動操作によるワーク51の移動履歴を基に、ワーク51とプローブ50との位置関係を推定し、ユーザに提示することであり、その他の手順は適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 数値制御装置
111 CPU
10 手動操作部
11 移動履歴記録部
12 計測プログラム作成部
14 移動方向提示部
16 ワーク計測部
50 プローブ
51 ワーク
52 記憶部
70 表示部
71 入力部
200 工作機械