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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】安全扉装置および安全扉のロック方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240109BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240109BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B23Q11/00 D
B23Q11/08 Z
B23Q17/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019229022
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021094672
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】100169029
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 恵一
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】淺野 佳太
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214214(JP,A)
【文献】特開2017-109286(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0026372(KR,A)
【文献】特開2002-137144(JP,A)
【文献】特開2014-233823(JP,A)
【文献】特開2001-138173(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109648393(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23Q 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全扉が開状態から全閉になったことを検出する全閉検出器と、
前記安全扉が開かないようにロックするロック機構と、
前記安全扉が閉じるときの移動加速度、移動速度、または移動時間を計測する計測部と、
前記安全扉が全閉になったことが検出された場合に前記ロック機構を制御して前記安全扉をロックする制御部であって、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合は、前記安全扉をロックさせない制御部と、
を備える、安全扉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の安全扉装置であって、
前記制御部は、前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が前記第2閾値より短い場合、警告信号を発する、安全扉装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の安全扉装置であって、
前記計測部は、
前記安全扉が全開であることを検出する全開検出器と、
前記安全扉が全開であることが検出されなくなってから、前記安全扉が全閉であることが検出されるまでの時間を前記移動時間として計時する計時部と、を有する、安全扉装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の安全扉装置であって、
前記制御部は、前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値以下の場合、または前記移動時間が前記第2閾値以上の場合は、前記安全扉が全閉になったことが検出されてから所定時間が経過したときに、前記安全扉をロックさせる、安全扉装置。
【請求項5】
安全扉が開状態から全閉になったことを検出する全閉検出器と、前記安全扉が開かないようにロックするロック機構と、を備える安全扉装置を用いる安全扉のロック方法であって、
前記安全扉が閉じるときの移動加速度、移動速度、または移動時間を計測する工程と、
前記安全扉が全閉になったことが検出された場合であって、前記移動加速度もしくは前記移動速度が第1閾値以下か、または前記移動時間が第2閾値以上の場合に前記ロック機構を制御して前記安全扉をロックし、前記安全扉が全閉になったことが検出された場合であって、前記移動加速度もしくは前記移動速度が前記第1閾値より大きい、または前記移動時間が前記第2閾値より短い場合は、前記安全扉をロックしない工程と、
を有する安全扉のロック方法。
【請求項6】
請求項5に記載の安全扉のロック方法であって、
前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が前記第2閾値より短い場合、警告信号を発する工程を有する、安全扉のロック方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の安全扉のロック方法であって、
前記安全扉装置が、前記安全扉が全開であることを検出する全開検出器を有し、
前記計測する工程において、前記安全扉が全開であることが検出されなくなってから、前記安全扉が全閉であることが検出されるまでの時間を前記移動時間として計時する、安全扉のロック方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか1項に記載の安全扉のロック方法であって、
前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値以下の場合、または前記移動時間が前記第2閾値以上の場合は、前記安全扉が全閉になったことが検出されてから所定時間が経過したときに、前記安全扉をロックする工程を有する、安全扉のロック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業の安全確保に用いられる安全扉装置および安全扉のロック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業の安全を確保するため、機械に安全扉が設けられることがある。工作機械、射出成形機、プレス機などの機械は、その中で刃物や金型が動作し、作業者の手などが入ると危険な、作業領域を有する。安全扉は、機械の動作中に作業領域を閉鎖し、作業の安全を確保する。すなわち、安全扉が閉じられると、ロック機構が作動して、安全扉はロックされ、その後、機械の動作が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-5759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、安全扉が急激に閉められた場合、安全扉の跳ね返りの衝撃をロック機構などが受け、損傷する可能性がある。本発明は、安全扉が急激に閉められた場合の損傷の防止を図った安全扉装置および安全扉のロック方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る安全扉装置は、安全扉が開状態から全閉になったことを検出する全閉検出器と、前記安全扉が開かないようにロックするロック機構と、前記安全扉が閉じるときの移動加速度、移動速度、または移動時間を計測する計測部と、前記安全扉が全閉になったことが検出された場合に前記ロック機構を制御して前記安全扉をロックする制御部であって、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合は、前記安全扉をロックさせない制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、安全扉が急激に閉められた場合の損傷の防止を図った安全扉装置および安全扉のロック方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る安全扉付き機械装置の機械構成を表す模式図である。
図2】安全扉付き機械装置の制御構成を表すブロック図である。
図3図3A図3Cは、キースイッチの詳細を表す模式図である。
図4】安全扉付き機械装置の動作手順の一例を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る安全扉付き機械装置10および安全扉30のロック方法を説明する。図1図2は、実施形態に係る安全扉付き機械装置10の機械構成および制御構成を表す。
【0009】
図1に示すように、安全扉付き機械装置10は、機械装置本体(図示せず)がカバー20内に設置され、安全扉30によって、その開口部22を開閉する。また、安全扉付き機械装置10は、安全扉30の開閉、ロック、およびこれらの制御を行う安全扉装置12を備える(図2参照)。安全扉装置12は、全開検出器26、キー34、加速度センサ36、キースイッチ40(全閉検出器44、ロック機構46)、制御部50、報知部52を有する。
【0010】
全開検出器26は、例えば、カバー20に設置される接触式、近接式のスイッチであり、安全扉30が全開のときに、安全扉30と近接または接触し、安全扉30が全開であることを検出する。全開検出器26による検出の状態が、全開の検出から非検出へと移行したときには、安全扉30が移動を開始したことになる(移動開始の検出)。
【0011】
キー34は、安全扉30から突き出すように保持される(図1参照)。安全扉30を閉じると、キー34はキースイッチ40のキー挿入口42に挿入され、安全扉30を開くと、キー34はキー挿入口42から引き抜かれる。
【0012】
加速度センサ36(計測部)は、安全扉30に設置され、安全扉30に印加される移動加速度αを検出する。
【0013】
キースイッチ40(全閉検出器44、ロック機構46)は、キー34を用いて、安全扉30の全閉の検出およびロックを行う。
【0014】
図3A図3Cは、キースイッチ40の内部構成を示す。図3A図3Cはそれぞれ、(1)キー34の挿入前(引き抜き後)、(2)キー34の挿入後、(3)キー34の挿入およびロック後、のキースイッチ40の状態を表す。
【0015】
全閉検出器44は、例えば、接触式、近接式のスイッチであり、安全扉30が全閉のとき(キー34がキー挿入口42に完全に挿入されたとき、図3B参照)に、キー34と近接または接触し、安全扉30が全閉であることを検出する。
【0016】
ロック機構46は、例えば、電磁ソレノイドであり、通電時にはロック部材46aを下方に変位させ、非通電時には、バネなどの付勢手段により、ロック部材46aを上方に変位させる。安全扉30が全閉のときに(図3B参照)、ロック機構46に通電することで、ロック部材46aがキー34の係合部341と係合する(図3C参照)。このように、ロック機構46は、通電、非通電によって、安全扉30のロック(安全扉30の開放不可)、非ロック(安全扉30の開放可能)を切り替えることができる。
【0017】
制御部50は、キースイッチ40を制御して、安全扉30が急激に閉まった場合に安全扉装置12を保護する。この詳細は後述する。なお、制御部50は、例えば、ハードウェア(CPU:中央演算処理装置)とソフトウェアから構成でき、機械装置本体の制御部と兼用してもよい。
【0018】
報知部52は、表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)であり、安全扉30が急激に閉まった場合に警告メッセージを表示する。なお、報知部52が、表示装置に替えて、あるいは表示装置と共に、音声を出力する音声出力装置(例えば、スピーカ)を有し、この音声出力装置が音声で警告メッセージを出力してもよい。
【0019】
(制御部50の詳細)
以下、制御部50の詳細を説明する。
【0020】
制御部50は、安全扉30が全閉になったことが検出された場合に、ロック機構46を制御して、安全扉30をロックする。
【0021】
但し、安全扉30が全閉になったことが検出された場合であっても、移動加速度αが閾値α1(第1閾値)より大きい場合は、安全扉30をロックさせない。このとき、制御部50は、警告信号を発する。この警告信号に基づいて、報知部52が画像または音声で警告メッセージを発する。
【0022】
一方、制御部50は、移動加速度αが閾値α1(第1閾値)以下の場合は、安全扉30が全閉になったことが検出されたときに、ロック機構46を制御して安全扉30をロックさせる。
【0023】
図4は、安全扉付き機械装置10の動作手順の一例を表すフロー図である。以下、図4に基づき、安全扉付き機械装置10の動作手順を説明する。
【0024】
安全扉30の閉操作が開始される(ステップS1)。例えば、人力で安全扉30を閉方向(ここでは、図1の右方向)に移動させる。なお、制御部50がモータを制御して、安全扉30を移動させてもよい。
【0025】
加速度センサ36(計測部)が移動加速度αを計測し(ステップS2)、制御部50は移動加速度αが閾値α1より大きいか否かを判定する(ステップS3)。移動加速度αが閾値α1より大きい場合、制御部50は警告信号を発する(ステップS4)。
【0026】
その後、安全扉30が閉方向に移動したことで、キー34がキー挿入口42に挿入される。この結果、全閉検出器44は、ON状態となり、安全扉30の全閉を検出する。
【0027】
移動加速度αが閾値α1以下の場合、制御部50は、全閉の検出時にロック機構46に通電させ、安全扉30をロックする(ステップS5)。一方、移動加速度αが閾値α1より大きい場合、全閉を検出しても、制御部50は安全扉30をロックさせない。
【0028】
なお、移動加速度αが閾値α1以下の場合であっても、安全のために、全閉の検出直後ではなく、安全扉30が全閉になったことが検出されてから所定時間(例えば、0.1~1秒)が経過したときに、安全扉30をロックしてもよい。
【0029】
以上のように、安全扉付き機械装置10は、安全扉30の移動加速度αが閾値α1以下の場合、安全扉30の全閉時に安全扉30をロックするが、移動加速度αが閾値α1より大きい場合は安全扉30をロックしない。このため、安全扉30が勢いよく閉められたときに、安全扉30の跳ね返りの衝撃によって、安全扉装置12が損傷するおそれが低減する。
【0030】
移動加速度αが閾値α1より大きい場合、安全扉30の跳ね返りの衝撃によって安全扉装置12が損傷するおそれがある。すなわち、移動加速度αのいかんにかかわらず、安全扉30の全閉時に安全扉30をロックすると、キー34、ロック機構46のいずれかが損傷するおそれがある。
【0031】
(変形例1)
以下、変形例1を説明する。上記では、移動加速度αを用いて、安全扉30のロックを制御している。変形例1では、安全扉30の移動時間Tを用いて、安全扉30のロックを制御する。
【0032】
この移動時間Tは、安全扉30の移動開始から、安全扉30が全閉であることが検出される(全閉の検出)までの時間Tとして計時できる。この計時は、制御部50によって行える。すなわち、制御部50の一部は、安全扉30が全閉であることが検出される(全閉の検出)までの時間Tを計時する計時部として機能できる。
【0033】
安全扉30の移動開始は、例えば、次のような手法1)、2)によって、判定できる。
【0034】
1)加速度の検出
安全扉30の移動開始は、加速度センサ36が検出誤差(閾値α2)を超えた加速度αを検出したことで判定できる。すなわち、制御部50が、加速度センサ36で検出された加速度αを閾値α2と比較し、これを越えていれば、安全扉30が移動を開始したと判定する。なお、安全扉30の移動開始の判定に用いられる閾値α2は、安全扉30のロックの判定に用いられる閾値α1よりも小さい。
【0035】
2)全開の非検出
安全扉30の移動開始は、安全扉30が全開であることを全開検出器26が検出しなくなること(全開の非検出)によっても判定できる。すなわち、全開検出器26の状態が全開の検出から非検出へと移行したと、制御部50が判定する。
【0036】
制御部50は、例えば、安全扉30の移動開始の時刻t0と安全扉30の全閉の検出の時刻t1の差として、移動時間Tを求めることができる。
T=t1-t0 …式(1)
【0037】
なお、制御部50が、移動開始の検出時にタイマをスタートし、全閉の検出時にストップするなどして、それぞれの時刻t0、t1を求めず、移動時間Tを直接求めてもよい。
【0038】
以下、変形例1における安全扉付き機械装置10の動作手順を説明する。変形例1の安全扉付き機械装置10は、移動加速度αに替えて、移動時間Tをロックの判断に使ったことを除き、実施形態の安全扉付き機械装置10と、動作が大きく異なるものではない。このため、図4を用いて、主として相違点を説明する。
【0039】
変形例1が、実施形態と異なるのは、ステップS2、S3であり、移動加速度αに替えて、移動時間Tの検出・判定がなされる。
【0040】
既述のように、安全扉30の移動開始から、安全扉30が全閉であることが検出される(全閉の検出)までの時間Tとして、制御部50が移動時間Tを求める(ステップS2)。
【0041】
制御部50は、その移動時間Tが閾値T1(第2閾値)より小さいか否か(T<T1?)を判定する(ステップS3)。移動時間Tが閾値T1(第2閾値)より小さい場合、制御部50は、警告信号を発し(ステップS4)、全閉を検出しても、安全扉30をロックさせない。移動時間Tが閾値T1(第2閾値)以上の場合、制御部50は、全閉の検出時に(または、検出後所定時間の経過時に)安全扉30をロックさせる(ステップS5)。
【0042】
(変形例2)
以下、変形例2を説明する。上記では、移動加速度α、移動時間Tを用いて、安全扉30のロックを制御している。変形例2では、安全扉30の移動速度Vを用いて、安全扉30のロックを制御する。
【0043】
この移動速度Vは、例えば、次のような手法1)、2)によって、求めることができる。
【0044】
1)加速度の積算
制御部50が、加速度センサ36が検出した移動加速度α(t)を時間的に積算(時間tでの積分)することで、安全扉30の移動速度V(t)を算出できる。
V(t)=∫α(t)・dt …式(2)
【0045】
この場合、制御部50は、移動速度V(t)の時間的な変化を算出できる。
【0046】
2)移動時間Tからの算出
制御部50が、安全扉30の移動距離Lを変形例1の手法1)、2)で求めた移動時間Tで除することで、移動速度Vを求めることもできる。
V=L/T …式(3)
【0047】
この移動距離Lは、安全扉付き機械装置10に応じた適宜の固定値を用いることができる。
【0048】
変形例2は、移動加速度αに替えて、移動速度Vをロックの判断に用いたことが異なる以外は、実施形態と大きく異なるものではない。すなわち移動速度Vが閾値V1(第1閾値)より大きいか否か(V>V1?)が判定される(ステップS3)。移動速度Vが閾値V1(第1閾値)より大きい場合、制御部50は、警告信号を発し(ステップS4)、全閉を検出しても、安全扉30はロックさせない。移動速度Vが閾値V1(第1閾値)以下の場合、制御部50は、全閉の検出時に安全扉30がロックさせる(ステップS5)。
【0049】
以上のように、制御部50は、安全扉30の移動加速度α、移動時間T、または移動速度Vに基づいて、安全扉30をロックさせる。この結果、安全扉30の跳ね返りの衝撃によって、ロック機構などが損傷する可能性を低減できる。すなわち、移動加速度α、移動時間T、または移動速度Vはいずれも、安全扉30の跳ね返りの衝撃の大きさに対応する物理量として利用できる。
【0050】
上記実施形態および変形例から把握される発明は以下のようになる。
【0051】
[1]安全扉装置(12)は、安全扉(30)が開状態から全閉になったことを検出する全閉検出器(44)と、前記安全扉が開かないようにロックするロック機構(46)と、前記安全扉が閉じるときの移動加速度(α)、移動速度(V)、または移動時間(T)を計測する計測部(加速度センサ(36)など)と、前記安全扉が全閉になったことが検出された場合に前記ロック機構を制御して前記安全扉をロックする制御部(50)であって、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値(α1、V1)より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値(T1)より短い場合は、前記安全扉をロックさせない制御部と、を備える。
【0052】
これにより、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合に、前記安全扉をロックさせないことで、安全扉装置が損傷する可能性を低減できる。
【0053】
[2]前記制御部は、前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値以下の場合、または前記移動時間が第2閾値以上の場合は、前記安全扉が全閉になったことが検出されてから所定時間が経過したときに、前記安全扉をロックさせる。
【0054】
これにより、全閉の検出後、所定時間が経過したときに安全扉をロックさせることで、より安全なロックが可能となる。
【0055】
[3]前記制御部は、前記移動加速度αまたは前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合、警告信号を発する。
【0056】
これにより、安全扉装置が損傷する可能性があることを警告することができる。この警告信号に基づいて、画像、音声による警告メッセージを発してもよい。
【0057】
[4]前記計測部は、次のような構成を採用できる。
(1)移動加速度の計測
前記計測部は、前記安全扉に印加される移動加速度を検出する加速度センサを有する。
【0058】
(2)移動時間の計測
a)前記計測部は、前記安全扉が全開であることを検出する全開検出器(26)と、前記安全扉が全開であることが検出されなくなってから、前記安全扉が全閉であることが検出されるまでの時間を前記移動時間として計時する計時部と、を有する。これにより、加速度センサを用いなくても、安全扉装置を保護できる。
【0059】
b)前記計測部は、前記安全扉に印加される移動加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサが移動加速度を検出してから前記全閉検出器が前記安全扉の全閉を検出するまでの時間を前記移動時間として計時する計時部と、を有する。これにより、全開検出器を用いなくても、移動時間に基づいて、安全扉装置を保護できる。
【0060】
(3)移動速度の計測
a)移動加速度に基づく速度の算出
前記計測部は、前記加速度センサによって検出される移動加速度を積算して、移動速度を算出する積算器と、を有する。
【0061】
b)移動時間に基づく速度の算出
前記安全扉が閉じるときの移動距離(L)を前記移動時間(T)で除算して速度(V)を算出する除算器をさらに有してもよい。
【0062】
[5]安全扉が開状態から全閉になったことを検出する全閉検出器と、前記安全扉が開かないようにロックするロック機構と、を備える安全扉装置を用いる安全扉のロック方法であって、前記安全扉が閉じるときの移動加速度、移動速度、または移動時間を計測する工程と、前記安全扉が全閉になったことが検出された場合に前記ロック機構を制御して前記安全扉をロックし、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合は、前記安全扉をロックしない工程と、を有する。
【0063】
これにより、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合は、前記安全扉をロックしないことで、安全扉装置が損傷する可能性を低減できる。
【0064】
[6]前記安全扉のロック方法は、前記移動加速度または前記移動速度が前記第1閾値以下の場合、または前記移動時間が第2閾値以上の場合は、前記安全扉が全閉になったことが検出されてから所定時間が経過したときに、前記安全扉をロックする工程を有する。これにより、全閉の検出後、所定時間が経過したときに安全扉をロックすることで、より安全なロックが可能となる。
【0065】
[7]前記安全扉のロック方法は、前記移動加速度または前記移動速度が第1閾値より大きい場合、または前記移動時間が第2閾値より短い場合、警告信号を発する工程を有する。これにより、安全扉装置が損傷する可能性があることを警告することができる。この警告信号に基づいて、画像、音声による警告メッセージを発してもよい。
【0066】
[8]前記安全扉装置が、前記安全扉が全開であることを検出する全開検出器(26)を有し、前記安全扉のロック方法は、前前記計測する工程において、前記安全扉が全開であることが検出されなくなってから、前記安全扉が全閉であることが検出されるまでの時間を前記移動時間として計時する。これにより、加速度センサを用いなくても、安全扉装置を保護できる。
【0067】
なお、本発明に係る安全扉装置および安全扉のロック方法は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0068】
10…安全扉付き機械装置 12…安全扉装置
20…カバー 22…開口部
26…全開検出器 30…安全扉
34…キー 36…加速度センサ
40…キースイッチ 42…キー挿入口
44…全閉検出器 46…ロック機構
50…制御部
図1
図2
図3
図4