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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240109BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G03G15/20 555
G03G15/00 303
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019233016
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101225
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 聡
(72)【発明者】
【氏名】森原 遼
(72)【発明者】
【氏名】秋月 智雄
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-014728(JP,A)
【文献】特開2019-138959(JP,A)
【文献】特開2019-197169(JP,A)
【文献】特開2012-118496(JP,A)
【文献】特開2005-321549(JP,A)
【文献】特開2007-248656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/20
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
記録材上のトナー像を加熱して記録材に定着させる定着手段と、
前記定着手段の温度を目標温度に合わせて制御する温度制御手段と、
前記画像形成手段にトナー像を形成させるための画像データを、画素の連続性について解析する画像解析手段と、を備え、
前記温度制御手段は、
第1モード及び第2モードを切り替え可能に構成されており、
前記第1モードが設定されている場合、画素の連続性が所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値が、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定し、
前記第2モードが設定されている場合、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値を、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値以下になるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像解析手段は、前記画像データを二値化した二値化画像において、画像領域を構成する画素が所定方向に連続する幅の最小値を画素の連続性として算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定値は、記録材上の長さで1.0mmに相当する値である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、
記録材上のトナー像を加熱して記録材に定着させる定着手段と、
前記定着手段の温度を目標温度に合わせて制御する温度制御手段と、
前記画像形成手段にトナー像を形成させるための画像データを、画素の連続性について解析する画像解析手段と、を備え、
前記温度制御手段は、画素の連続性が所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値が、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定し、
前記画像解析手段は、前記画像データの画像濃度を解析し、
前記温度制御手段は、前記画像濃度が所定濃度より低い場合の前記目標温度の値が、前記画像濃度が前記所定濃度より高い場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記目標温度を設定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、感光体に形成したトナー像を記録材に転写した後、定着装置において記録材上のトナー像を加熱することで記録材に画像を定着させる。近年、省エネルギー化の要求に対応して、記録材に対する画像の最低限の定着性を確保できる範囲で定着温度を低く設定することで画像形成装置の消費電力の削減が図られている。
【0003】
特許文献1~3には、画像データで画素毎のトナー量を解析したり、ページ記述言語(PDL)で記述された印刷データを解析することで、局所的にトナー付着量が多い領域が存在する画像を出力する場合に定着温度を高くすることが記載されている。また、融点の低いトナーを使用し、或いはトナー像を可能な限り薄い層で形成することで、定着温度を下げる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-154413号公報
【文献】特開2009-92688号公報
【文献】特開2015-25946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、記録材に対する画像の定着性を評価する場合は、例えば記録材同士の摩擦による画像欠損や定着部材へのオフセットの有無についての評価が行われており、消しゴム等の消去手段に対する耐久性は考慮されてこなかった。しかし、省エネルギー性を高めるために、従来の評価基準で定着性を満たす範囲で定着温度を低く設定すると、消しゴムをかけた際の摩擦熱やせん断力によって画像の欠損が生じる可能性があることが分かった。
【0006】
そこで、本発明は、消しゴム等の消去手段に対する画像の耐久性を確保しつつ、省エネルギー性に優れた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、記録材上のトナー像を加熱して記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を目標温度に合わせて制御する温度制御手段と、前記画像形成手段にトナー像を形成させるための画像データを、画素の連続性について解析する画像解析手段と、を備え、前記温度制御手段は、第1モード及び第2モードを切り替え可能に構成されており、前記第1モードが設定されている場合、画素の連続性が所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値が、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定し、前記第2モードが設定されている場合、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値を、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値以下になるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
本発明の他の一態様は、記録材にトナー像を形成する画像形成手段と、記録材上のトナー像を加熱して記録材に定着させる定着手段と、前記定着手段の温度を目標温度に合わせて制御する温度制御手段と、前記画像形成手段にトナー像を形成させるための画像データを、画素の連続性について解析する画像解析手段と、を備え、前記温度制御手段は、画素の連続性が所定値より小さい画像を前記画像データが含む場合の前記目標温度の値が、画素の連続性が前記所定値より小さい画像を前記画像データが含まない場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記画像解析手段の解析結果に基づいて前記目標温度を設定し、前記画像解析手段は、前記画像データの画像濃度を解析し、前記温度制御手段は、前記画像濃度が所定濃度より低い場合の前記目標温度の値が、前記画像濃度が前記所定濃度より高い場合の前記目標温度の値より高くなるように、前記目標温度を設定する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消しゴム等の消去手段に対する画像の耐久性を確保しつつ、省エネルギー性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置の概略図。
図2】本開示の実施形態に係る定着装置の断面図。
図3】実施例1に係る画像形成装置の制御構成を表すブロック図。
図4】実施例1における画像データの処理フローを表すフローチャート。
図5】実施例1における画素の連続性の定義を説明するための図(A、B)。
図6】実施例1における定着温調温度の決定フローを表すフローチャート。
図7】実施例1における補正温度決定テーブル。
図8】消しゴムをかけた際にトナー像に作用するせん断力について説明するための模式図(A、B)。
図9】実験1の比較例2における定着温度の補正温度決定テーブル。
図10】実験1の結果を表す表。
図11】実施例2における画像データの処理フローを表すフローチャート。
図12】実施例2における定着温調温度の決定フローを表すフローチャート。
図13】実施例2における補正温度決定テーブル。
図14】実施例3における定着モード毎の補正温度決定テーブル(A、B)。
図15】実施例4における補正温度決定テーブル。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(画像形成装置)
まず、本開示の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1は、本実施形態にて用いた画像形成装置Pの概略図である。画像形成装置Pは、略直線状に配列された4つの画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kと、中間転写ベルト9と、を備えたタンデム型中間転写方式の電子写真装置である。画像形成ステーション3Yはイエロー(以下Yと略記)のトナー像を形成する画像形成ユニットである。画像形成ステーション3Mは、マゼンタ(以下Mと略記)の画像を形成する画像形成ユニットである。画像形成ステーション3Cは、シアン(以下Cと略記)の画像を形成する画像形成ユニットである。画像形成ステーション3Kは、ブラック(以下Kと略記)の画像を形成する画像形成ユニットである。
【0014】
各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)4Y,4M,4C,4Kと、帯電手段としての帯電ローラ5Y,5M,5C,5Kを有している。また、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kは、現像手段としての現像装置7Y,7M,7C,7Kと、クリーニング手段としてのクリーニング装置8Y,8M,8C,8Kを有している。さらに、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kの感光ドラム4Y,4M,4C,4Kを露光する露光手段としての露光装置6が画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kの上方に配置されている。
【0015】
ビデオコントローラ30は、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から受信した情報を基に、制御部31へプリント信号と画像信号を送信する。このとき、ビデオコントローラ30は受信した情報を解析し、文字コードのビットマップ化や中間調画像のディザ等によるハーフトーニング処理等を行った画像信号を制御部31に送信する。
【0016】
制御部31が画像信号を受信すると画像形成動作が開始する。画像形成動作では、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kでトナー像の作成プロセスが開始する。
【0017】
まず、画像形成ステーション3Yで感光ドラム4Yが矢印方向に回転される。感光ドラム4Yの外周面(表面)は帯電ローラ5Yにより一様に帯電される。感光ドラム4Yの帯電した表面は、露光装置6により画像信号に応じたレーザ光が照射されることによって露光され、静電潜像が形成される。この潜像は、現像装置7Yによりイエロートナーを用いて顕像化されイエロートナー像となる。これにより、感光ドラム4Yの表面にイエロートナー像が形成される。画像形成ステーション3M,3C,3Kにおいても同様の画像形成プロセスが行われる。これにより、感光ドラム4M,4C,4Kの表面にそれぞれマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が形成される。
【0018】
中間転写ベルト9は、画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kの配列方向に沿って設けられている無端状部材であり、駆動ローラ9aと、従動ローラ9bと、従動ローラ9cとに張架されている。駆動ローラ9aは、図1中矢印方向に回転する。これにより、中間転写ベルト9は、各画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kに沿って100mm/secのスピードで回転移動される。
【0019】
この中間転写ベルト9の外周面(表面)には、中間転写ベルト9を挟んで感光ドラム4Y,4M,4C,4Kと対向配置されている一次転写手段としての一次転写ローラ10Y,10M,10C,10Kにより、各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。これによって、中間転写ベルト9の表面に4色のフルカラートナー像が形成される。
【0020】
一次転写後に感光ドラム4Y,4M,4C,4Kの表面に残った転写残トナー等の付着物は、クリーニング装置8Y,8M,8C,8Kに設けられている不図示のクリーニングブレードにより除去される。これにより、感光ドラム4Y,4M,4C,4Kは次の画像形成に備える。
【0021】
一方、画像形成装置Pの装置本体の下部に設けられた給送カセット11に積載収納されている記録材Sは、給送ローラ12によって給送カセット11から一枚ずつ分離給送され、レジストレーションローラ対13に給送される。レジストレーションローラ対13は、給送された記録材Sを、中間転写ベルト9と二次転写ローラ14との間の転写ニップ部に送り出す。なお、記録材Sとしては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材を使用可能である。
【0022】
二次転写ローラ14は、中間転写ベルト9を挟んで従動ローラ9bと対向するように配置される。二次転写ローラ14には、記録材Sが転写ニップ部を通過する際に不図示の高圧電源からバイアスが印加される。これにより、転写ニップ部を通過する記録材Sに対して、中間転写ベルト9からフルカラーのトナー像が二次転写される。以上の画像形成ステーション3Y,3M,3C,3K、中間転写ベルト9、及び二次転写ローラ14は、記録材にトナー像を形成する本実施形態の画像形成手段を構成している。二次転写後に中間転写ベルト9の表面に残った転写残トナー等の付着物は、中間転写ベルトクリーニング装置16により除去される。これにより、中間転写ベルト9は次の画像形成に備える。なお、ここでは中間転写方式の画像形成手段を例示したが、直接転写方式の電子写真ユニットを画像形成手段として用いてもよい。
【0023】
トナー像を転写された記録材Sは、定着装置F1に搬送される。その記録材Sは、定着装置F1を通過することにより加熱及び加圧される。これによりトナー像を構成するトナーが溶融し、その後冷えて固まることで、トナー像が記録材Sに定着(固定化)される。定着装置F1を通過した記録材Sは、画像形成装置P外部の排出トレイ15へ排出される。
【0024】
(定着装置)
次に、本実施形態の定着手段である定着装置F1について述べる。以下の説明において、定着装置F1及び定着装置F1を構成する部材に関し、「長手方向」とは記録材の面に沿った方向のうち記録材搬送方向と直交する方向(画像形成時の主走査方向)を表す。「短手方向」とは、記録材の面に沿った方向のうち記録材搬送方向と平行な方向である。「幅」とは、短手方向の寸法である。また、記録材に関し、「長手幅」とは、長手方向における記録材の寸法である。
【0025】
図2は、定着装置F1を長手方向に垂直な断面(横断面)で見た模式図である。この定着装置F1は、定着フィルム22に対向し定着フィルム22と共に記録材を加圧された状態で挟持搬送するニップ部を形成する対向体(加圧体)としての加圧ローラ21を回転駆動し、定着フィルム22を加圧ローラ21の搬送力により回転させる。すなわち、この定着装置F1は、いわゆるフィルム加熱方式、加圧ローラ駆動方式の所謂テンションレスタイプの装置である。
【0026】
本実施形態の定着装置F1は、加圧部材としての加圧ローラ21と、定着部材としての定着フィルム22と、加熱部材としてのヒータ23と、加熱部材保持部材としてのヒータホルダ24と、剛性部材としての剛性ステー25と、を有している。加圧ローラ21、定着フィルム22、ヒータ23、ヒータホルダ24及び剛性ステー25は、いずれも長手方向に延びた細長い部材である。
【0027】
ヒータ23は、耐熱性、絶縁性、良好な熱伝導性を供えた長手方向に細長いセラミック製の基板231を有する。そして、その基板231の表側(加圧ローラ21側)の短手方向中央部に基板長手方向に沿って抵抗発熱体(不図示)を形成させている。基板231の長手方向の両端部内側には抵抗発熱体に給電するための給電電極(不図示)が設けられている。そして、基板231の表面側に抵抗発熱体(不図示)の表面を覆うように耐熱性のオーバーコート層232を設けている。
【0028】
定着フィルム22は、可撓性を有する耐熱樹脂材料により筒状に形成されている。定着フィルム22の外周長は57mmである。この定着フィルム22は、筒状のベース層221として厚さ50ミクロンのポリイミド層を有し、そのベース層221の外周に厚さ200ミクロンのシリコーンゴムで形成された弾性層222を有する。そして、その弾性層222の外周に厚さ15ミクロンのフッ素樹脂の離型層223を有している。
【0029】
定着フィルム22の内周長は、ヒータ23を保持させたヒータホルダ24の外周長よりも3mm大きくしてある。そしてその定着フィルム22は、ヒータ23を保持しているヒータホルダ24に周長に余裕をもたせてルーズに外嵌されている。即ち、定着フィルム22はヒータ23を内包している。
【0030】
剛性ステー25は、横断面下向きU字型の剛性部材から構成されている。この剛性ステー25は、ヒータホルダ24の上面の短手方向中央に配置されている。
【0031】
図2で、加圧ローラ21は、丸軸状の芯金211と、芯金211の外周に芯金211と同心一体に形成されたシリコーンゴムから成る弾性層212と、弾性層212の周りには導電性のフッ素樹脂で形成される離型層213と、を有している。加圧ローラ21の外周長は、63mmである。なお、弾性層212は、フッ素ゴム等の耐熱性ゴム、あるいはシリコーンゴム等を発泡して形成したものでも良い。離型層213は、絶縁性のフッ素樹脂でも良い。
【0032】
加圧ローラ21は、定着フィルム22の下方において定着フィルム22と並列に配置され、芯金211の長手方向両端部を軸受け部材を介して回転自由に保持させている。そして、加圧ローラ21の芯金211と剛性ステー25は、長手方向両端部において不図示の加圧スプリングにより加圧ローラ21の外周面(表面)と定着フィルム22の外周面(表面)が接触するように加圧されている。その加圧力により、加圧ローラ21表面と定着フィルム22表面を接触させ、加圧ローラ21表面と定着フィルム22表面間に記録材Sを挟持搬送する所定幅のニップ部NFを形成している。加圧力の総圧は、20kgfである。
【0033】
加圧ローラの回転を制御する回転制御手段(駆動制御手段)としての制御部31は、プリント指令に応じて、図2に示すように加圧ローラ21を周速度(プロセススピード)100mm/secで矢印方向へ回転させる。その際、ニップ部NFにおける加圧ローラ21の表面と定着フィルム22の表面との摩擦力により、定着フィルム22に回転力が作用する。そのため、定着フィルム22は、その回転力により定着フィルム22の内周面がヒータ23と密着して摺動しながら、ヒータホルダ24の外周を矢印方向に従動回転する。
【0034】
その際に、定着フィルム22の回転は定着フィルム22の内周形状に沿って形成されているヒータホルダ24の外周面によってガイドされる。これにより、定着フィルム22の回転が安定し、定着フィルム22は同じ回転軌跡を描きながら回転する。また、定着装置F1の温度を制御する温度制御手段(通電制御手段、加熱制御手段)としての制御部31は、プリント指令に応じてヒータ23の抵抗発熱体に通電する。その通電により、ヒータ23は昇温し定着フィルム22を加熱する。
【0035】
ヒータ23の温度は、ヒータ23の基板231の裏面側に温度検知手段として設けられているサーミスタ等の温度検知素子26によって検知される。制御部は、温度検知素子26の出力信号に基づいてヒータ23が所定の温調温度(加熱制御される加熱温度)を維持するように抵抗発熱体(不図示)への通電を制御する。これによって、ニップ部NFは所定の温調温度に維持される。通常のプリント時の温調温度は、120℃~230℃の範囲内で設定される。
【0036】
加圧ローラ21及び定着フィルム22の回転が安定し、かつ、ヒータ23の温度が温調温度に維持されている状態で、未定着のトナー像tを担持した記録材Sが入口ガイド27に案内されてニップ部NFに導入される。その記録材Sはニップ部NFで加圧ローラ21の表面と定着フィルム22の表面とにより挟持搬送される。その搬送過程で記録材Sに定着フィルム22の熱と圧力が加えられ、トナー像tは記録材Sの表面に加熱定着される。トナー像tが加熱定着された記録材Sは定着フィルム22の表面から曲率分離してニップ部NFから排出される。
【0037】
(制御回路)
次に、定着装置F1の制御を中心とした画像形成装置Pの制御構成を説明する。図3はビデオコントローラ30のシステム構成を表している。ビデオコントローラ30は、CPUバス301を介して相互に接続されたホストコンピュータインタフェース部302、画像形成装置インタフェース部303、ROM304、RAM305、及びCPU306等の各デバイスを備えている。CPUバス301は、アドレス、データ、コントロールバスを含む。
【0038】
ホストコンピュータインタフェース部302は、ネットワークを介してホストコンピュータ等の外部装置(データ送信装置)と双方向に通信接続する機能を有する。画像形成装置インタフェース部303は、画像形成装置Pの制御部31と双方向に通信接続する機能を有する。ビデオコントローラ30及び制御部31は、協働して本実施例の画像形成装置Pを制御する制御手段として機能する。
【0039】
ROM304は、後述する画像データ処理や、その他の処理を実行するための制御プログラムコードを保持する。RAM305は、画像形成装置インタフェース部303で受信した画像データをレンダリングした結果のビットマップデータや画像濃度情報を保持したり、一時的なバッファエリアや各種処理ステータスを保持したりするためのメモリである。CPU306は、ROM304に保持された制御プログラムコードに基づいて、CPUバス301に接続された各デバイスを制御する。
【0040】
ビデオコントローラ30は、外部装置から受信した印刷データに基づいて画像形成用の画像信号を生成する画像処理手段としての機能を有する。また、ビデオコントローラ30は、受信した印刷データを解析し、後述するように、トナー像の濃度情報や連続性情報等を取得する画像解析手段としての機能を有する。なお、ビデオコントローラ30のこれらの機能部は、CPU306とは独立したASIC等のハードウェア回路として実装してもよく、CPU306等が実行する制御プログラムの機能モジュールとしてソフトウェア的に実装してもよい。
【実施例1】
【0041】
以下、実施例1に係る画像形成装置Pの動作及び制御方法を説明する。図4に、ビデオコントローラ30が実行する画像データの処理フローを示す。まず、ホストコンピュータから画像データと当該画像データのプリント条件とを規定する、ページ記述言語(PDL)で記述された印刷データ(PDLデータ)が送られてくる(S10)。
【0042】
ビデオコントローラ30は、PDLで記述された画像データ(入力画像データ)を印刷用の画像データ(ビットマップデータ)に変換する。入力画像データがカラー画像である場合には、画像形成装置Pが再現可能な色データに変換する必要がある。例えば、入力画像データがRGB(レッド、グリーン、ブルー)形式の色情報を有する場合、画像形成装置Pが再現可能なデバイスRGBデータに割り付けられ変換される(S11)。
【0043】
続いて、画像データの色情報は、デバイスRGBデータからデバイスYMCK(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)データに変換される(S12)。このYMCKデータは、画像形成ステーション3Y,3M,3C,3Kが最大濃度のトナー像を作成した場合の記録材上のトナー量に対する、今回の画像形成で要求されるトナー量の比を0%~100%の値で表したものである。つまり、YMCKデータの値が100%である場合、該当する画像形成ステーションでは露光装置6が全点灯して露光処理を行うことで、最大濃度のトナー像が作成される。YMCKデータの値が0%である場合、該当する画像形成ステーションでは露光装置6が全消灯し、トナー像が作成されない(トナー量が0)。YMCKデータに対して、各色の露光量と実際に使用されるトナー量との関係を示す階調テーブルを用いて、YMCK各色の露光量が算出される。
【0044】
S13~S15では、ビデオコントローラ30がYMCKデータを解析し、今回の画像データを特徴付ける情報を抽出する。
【0045】
まず、画素毎の画像濃度が算出される(S13)。つまり、ここではビデオコントローラ30が、トナー像の濃度情報を取得する濃度情報取得手段として機能する。例えば、ある画素におけるYMCKデータが、Y=50%、M=70%、C=20%、K=0%である場合には、画像濃度は140%(=50+70+20+0)となる。
【0046】
濃度情報と記録材S上のトナー量の関係について述べる。画素の濃度情報は、上記の通り、当該画素についてのYMCKデータの合計値である。特定の領域についての濃度情報とは、当該領域を構成する画素の濃度情報の最大値を指すものとする。本実施例では、濃度情報の最小値は0%、最大濃度を200%としている。濃度情報は、実際の記録材S上の単位面積当たりのトナー量と相関があり、濃度情報100%のときの記録材S上の単位面積当たりのトナー量は、例えば0.45mg/cm2である。また、濃度情報200%のときの記録材S上の単位面積当たりのトナー量は、例えば0.90mg/cm2である。
【0047】
続いて、ビデオコントローラ30は、画素の連続する大きさ(連続性)を計算し、連続性が低い画像の有無を判断する(S14)。つまり、本実施例では、ビデオコントローラ30が、画素の連続する大きさ(連続性)の取得手段として機能する。
【0048】
ビデオコントローラ30は、画素毎にトナー像の有無によって二値化した画像データに基づいて画素の連続性を解析する。例えば、画像なし(トナー量0)なら0、画像あり(トナー量が0以外)なら1である。
【0049】
図5(A、B)は、画素の連続性の定義と画素の連続性の取得方法を説明するための図である。0又は1の値が振られたマスは、二値化された画像データにおける各画素を表している。
【0050】
本実施例における画素の連続性とは、二値化画像において「1」の画素が連なっている画像領域について、縦方向又は横方向に「1」の値が連続する画素の数を求めたときの連続する画素の数の最小値を指す。図5(A、B)の各画像の画素の連続性は、Dで表された幅(連続する画素の数)である。従って、図5(A)の画像は、図5(B)の画像に比べて画素の連続性が高いことになる。一般的に、図形や写真を表す画像は画素の連続性が大きくなり、線画やテキストを表す画像は画素の連続性が小さくなる。
【0051】
次に、連続性が小さい画像の有無を判断する方法を説明する。連続性が小さい画像とは、画素の連続性が所定値以下となる画像を指す。例えば、画素の連続性が小さいか否か判断する基準(所定値)を0.4mmとする。このとき、入力画像データの解像度が600dpiであれば、1画素の大きさは約0.04mm四方であり、10画素が約0.4mmに相当する。
【0052】
二値化画像において画素の連続性が10画素以下の画像があるか否かは、次のようにして判断できる。まず、0(画像なし)の画素と隣接する1(画像あり)の画素を検出する。その1の画素を基点に、隣の画素が0か1かを確認し、1ならさらに隣の画素を確認する。1の画素が10連続で続くか、次に0の画素が確認されるまで繰り返し、1が続く回数をカウントする。11画素以内に0があれば、画素の連続性が10画素より小さい画像があることが分かる。つまり、その画像データには、記録材上で0.4mm以下の幅の画像(例えば細い線やテキスト)が含まれている。一方、1ページ分の画像データを解析しても11画素以内でカウントが終了することがなければ、その画像データには記録材上で0.4mm以下の画像がないことが分かる。
【0053】
上記の連続性の解析方法は、次のように言い換えることができる。二値化画像における画像の連結成分である画像領域が、塗り潰し図形のような幅広のものであるかテキスト画像のような幅狭のものであるかを、画像領域を所定方向(ここでは縦方向又は横方向)に横切った際に画素が連続する数によって評価する。そして、画像領域を横切った際に画素が連続する数の最小値として、当該画像領域に対応する画像の画素の連続性が定義される。なお、1ページ分の画像データ中に複数の画像領域が含まれる場合、各画像領域に対応する画像の画素の連続性の中での最小値を、当該画像データの画素の連続性として定義する。
【0054】
続いて、ビデオコントローラ30は、画像データに含まれる画像領域毎の画像濃度を算出する。つまり、トナー量が0でない画素が連続している領域を構成する画素の中で、S13で取得した画素の濃度情報の最低値を、その画像領域の画像濃度とする(S15)。
【0055】
ビデオコントローラ30は、S13~S15で解析した画素の連続性の情報及び画像濃度の情報を、制御部31へ送信する(S16)。
【0056】
その後、ビデオコントローラ30は、S12で取得したYMCKデータに対してハーフトーン処理等を行い、各画素に対して、各色の露光量を実際に用いる露光パターンに変換して画像信号を生成する(S17)。ビデオコントローラ30から制御部31にこの画像信号は送信され、露光装置6が画像信号に基づいてレーザ光を出力することで露光処理が実行される(S18)。
【0057】
(定着温調温度の決定フロー)
以下、定着装置F1の温調温度決定フローを、図6のフローチャートに沿って説明する。以下で説明するフローは、本実施例の温度制御手段である制御部31が実行する処理の内容を表している。
【0058】
ビデオコントローラ30がホストコンピュータからPDLデータを受け取ると、画像形成装置は画像形成動作の準備を開始する。まず、PDLデータに記載されたプリント条件や、設置環境の雰囲気温度、前回の画像形成動作からの経過時間などの情報を取得し、これらの情報から、定着装置F1の基本温調温度T0が決定される(S21)。
【0059】
次に、ビデオコントローラ30がPDLデータを解析した結果を参照して、今回の画像形成動作の対象である画像データに関する画素の連続性の情報と、画像濃度の情報とを取得する(S22)。そして、画素の連続性が所定値D1以下である画像があるか否かを判断する(S23)。また、S23の判断結果と、画像濃度とに応じて、基本温調温度T0に対する補正量を表す補正温度T1を決定する(S24A,S24B)。
【0060】
本実施例では、画素の連続性の閾値である所定値D1を24画素とする。この値は、本実施例の画像形成装置Pの解像度600dpiで、約1.0mmに相当し、フォントの種類にもよるが、おおよそ30pt以下のテキスト画像などが該当する。
【0061】
図7は、定着温調温度Tを決定するための補正温度決定テーブルである。本テーブルに表される、連続性及び画像濃度の条件と補正温度との対応関係を表すデータは、例えばビデオコントローラ30のROM304(図3)等、画像形成装置Pが備える不揮発性の記憶領域に格納されているものとする。
【0062】
基本温調温度T0に補正温度T1を加算した値で、定着温調温度Tが決定される(S25)。そして、決定された定着温調温度Tに基づいて定着装置F1の温度を制御しながら、トナー像が転写された記録材Sに定着装置F1を通過させて定着処理を実施する(S26)。以上の制御は、PDLデータで指定された全ての画像の出力が完了するまで繰り返される(S27)。
【0063】
図7の表に表されているように、本実施例では、画像データが画素の連続性が小さい画像を含む場合に、画素の連続性が小さい画像を含まない場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。即ち温度制御手段としての制御部31は、画素の連続性が所定値より小さい画像を画像データが含む場合の目標温度の値が、画素の連続性が所定値より小さい画像を画像データが含まない場合の目標温度の値より高くなるように、定着装置の目標温度を設定する。これにより、消しゴムかけに対する耐久性向上を図っている。
【0064】
また、本実施例では、画素の連続性が同等(図7の表で同じ列に分類される場合)であれば、画像濃度が低い場合に、画像濃度が高い場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。即ち温度制御手段としての制御部31は、画像濃度が所定濃度(100%)より低い場合の目標温度の値が、画像濃度が所定濃度より高い場合の目標温度の値より高くなるように、定着装置の目標温度を設定する。これにより、消しゴムかけに対する耐久性のさらなる向上を図っている。なお、図7に示す例では画像濃度が所定濃度(100%)に等しい場合を含めて3段階で定着温調温度を変更しているが、画像濃度が所定値に等しい場合を上段又は下段に含めて2段階の制御としてもよい。
【0065】
なお、1ページ分の画像データに画素が連続する画像領域が複数含まれる場合において、画像領域同士の間で連続性や画像濃度が異なるとき、各画像領域に対応する定着温調温度の中で最も高い値をそのページの定着温調温度Tとする。
【0066】
(消しゴム)
ここで、消しゴムかけによって生じる画像欠損のメカニズムと、求められる耐久性について説明する。大別して二種類がある。一つ目は、鉛筆で描かれた線を消去する用途の一般的な消しゴムである。ゴムや、樹脂などを主成分としている。二つ目は、硬質フィラーが添加されている消しゴムである。鉛筆だけでなく、ボールペンで描かれた線等の通常は消去しない画像を消去する用途のものである。後者の消しゴムには、記録材の表層ごと削りとるものもある。
【0067】
トナーを構成する樹脂よりも硬い硬質フィラーが添加されている消しゴムに対して、消しゴムかけによるトナー像の濃度低下や画像欠損を完全に防ぐことは難しい。しかしながら、消しゴムかけによってトナー像が容易に消去されることは、保存文書のセキュリティの観点からも望ましくない。従って、消しゴムかけ後も、文字などが判読可能なレベルでトナー像が残ることが望ましく、少なくとも、消去された痕跡が残ることが好ましい。
【0068】
なお、本実施例によれば、上記二種類の代表的な消しゴム以外の消去手段(字消し用の器具一般)についても、消しゴムかけに対する耐久性を向上可能である。例えば、加熱によって透明化するインキを用いたボールペンの字を消す用途で、紙面を擦って摩擦熱を発生させるためのラバーキャップが知られている。
【0069】
(消しゴムかけへの耐久性と他の耐久性との違い)
定着後のトナー像に望まれる実用的な耐久性として、持ち運び、整列動作などによる指との摩擦、記録材Sとの摺擦に対する耐久性などがある。記録材Sとの摺擦と、消しゴムかけの大きな差異として、摺擦する部材の密着性、圧力があげられる。
【0070】
主に紙が使用される記録材Sには、高さ数十μm程度の凹凸がある。記録材S同士の摺擦では、互いの密着性は高くない。ミクロに見れば、点接触した部材の一部が摺擦しているに過ぎない。これに対し、消しゴムには弾性があるため、記録材Sや画像表面に対して密着し、トナー像tに面で接触する。また、一般的に、消しゴムは強い力で記録材に圧接され、摺擦させられる。個人差があるものの、消しゴムをかける際に、少なくとも0.3kgf、おおよそ3.0kgfまでの荷重をかける。従って、消しゴムかけの際には、トナー像に対し強いせん断力がかかる。
【0071】
図8(A、B)は、消しゴムかけ時のトナー像tにかかるせん断力を説明するための模式図である。消しゴムかけを行うと、消しゴムEが接しているトナー像tの表面、及び、記録材Sとトナー像tの界面に、記録材Sと水平方向のせん断力Fがかかる。このとき、図8(B)のように、消しゴムが接触する範囲の中で、記録材Sとの接触面積が小さいトナー像tは、トナー像tと記録材Sとの間にかかる単位面積あたりのせん断力が大きくなる。即ち、画素の連続性が小さい画像は、小さい面積でせん断力に耐える必要があり、連続性の大きい画像よりも単位面積あたりに高い定着性を確保する必要がある。
【0072】
上述した通り、本実施例では、画素の連続性が低い画像の場合に、定着温調温度Tを高くしている。つまり、画素の連続性が比較的高い画像のみを出力する場合は、省エネルギー性を優先して定着適正温度の範囲内で定着温調温度Tを相対的に低く設定するのに対し、画素の連続性が低い画像が含まれるときは定着温調温度Tを相対的に高く設定する。これにより、一般には消しゴムかけに弱い画素の連続性が低い画像を構成するトナーを記録材Sに対して強固に定着させることができ、消しゴムかけへの耐久性を確保できる。
【0073】
また、画像濃度が100%未満の画像(ハーフトーン画像)についても、画像濃度が100%以上の画像よりも定着温調温度Tを高く設定している。これは、以下の理由による。
【0074】
上記の画素の連続性に基づく定着温調温度Tを設定するときは、ハーフトーン処理前の画像データに基づいて連続性の大小が判断される。画像濃度を無視すれば、一般的に、テキスト画像の連続性は小さく、図形の画像の連続性は大きい。
【0075】
ここで、ハーフトーン処理には、ディザ処理や誤差拡散などのいくつかの処理方法があるが、階調が連続的に変化する画像データが離散的な画像(ドットの有無)に変換されるため、最終的に記録材S上に形成されるトナー像tの連続性は低くなる。即ち、二値化画像における画素の連続性が同程度であったとしても、記録材に実際に形成されたハーフトーン画像はベタ塗画像よりも連続性が低く、消しゴムかけに対する耐久性が低くなる。
【0076】
そのため、本実施例では、ハーフトーン画像の定着温調温度Tを画像濃度が100%以上の画像よりも高く設定している。また、テキスト画像等のハーフトーン処理前から連続性が小さかった画像は、ハーフトーン処理によって一段と連続性が低下することになるため、消しゴムかけに対する耐久性がさらに低くなる。そこで、画素の連続性の条件と画像濃度の条件が重なったときはさらに定着温調温度Tを高く設定し、消しゴムかけへの耐久性を確保している。
【0077】
なお、画像濃度が100%以上の画像であっても、連続性が同等の画像であれば、画像濃度が高いほうが消しゴムに対する耐久性が高い。これは以下のように説明することができる。
【0078】
消しゴムには、トナー樹脂より硬い硬質フィラーが添加されたものがあり、この消しゴムには、画像表面からトナー像tを磨耗させる研磨力がある。画像濃度が高く、トナー像tの高さが高いほうが、トナー像tが磨耗し、記録材Sが露出するまでの消しゴムかけの往復回数が多くなる。従って、消しゴム跡が汚くなりやすく、記録材S上に痕跡が残りやすい。一方、画像濃度が低く、トナー像tの高さが低い画像は、相対的に容易に磨耗する。従って、消しゴム跡を残さずに記録材Sからトナー像tを削りとりやすくなる。
【0079】
本実施例では、画像濃度が低い画像に対して、画像濃度が高い画像に比べて高い定着温調温度Tを適用する。定着温調温度Tが高くなると、トナー粒子同士が溶融して結着する程度が高くなるため、トナー像tが磨耗しにくくする作用がある。
【0080】
(実験1)
本実施例の構成を適用した場合の効果を確認する実験を行った。実験に用いた画像形成装置のプロセススピードは100mm/sで、先行する記録材Sと次の記録材Sの間隔(紙間)は30mmである。実験には、一般的なレーザービームプリンタ用の印刷用紙である、坪量80g/m、LTRサイズ(幅216mm、縦279mm)の紙を用いた。実験は、環境温度23℃、湿度50%の環境に画像形成装置を設置して行った。
【0081】
実施例1の画像形成装置は、上述した通り、図7の補正温度決定テーブルに従って定着温調温度Tを決定するため、画素の連続性が低い場合や画像濃度が低い場合に定着温調温度Tが高くなる。実施例1と比較を行うための比較例1、比較例2の画像形成装置を用意した。比較例1は、画像データの内容によらず定着温調温度Tを一定とする画像形成装置である。比較例2は、画素の連続性が低い場合や画像濃度が低い場合に、実施例1とは異なり定着温調温度Tを下げるように設定されている(図9参照)。比較例1,2は、定着温調温度Tの設定以外の構成は、実施例1の画像形成装置と同じものである。
【0082】
それぞれの画像形成装置で、記録材S上に形成する画像を変えて、画像形成動作を実行し、出力されたトナー像tの定着性を評価する実験を行った。実験に用いた画像は、下記の通りである。
・実験画像1は、画像濃度200%のベタ画像である。余白部としてページ先端、後端、右端、左端に5mmの余白を設け、ページ全体にトナーを載せたベタ画像で、YMCKの4色のトナーで、合わせて200%の画像濃度となるように形成している。
・実験画像2は、画像濃度100%のベタ画像である。Kトナー100%の画像濃度で形成している。
・実験画像3は、画像濃度200%のテキスト画像である。11ポイントのゴシックフォントで、「ABC」の文字を繰り返し並べたテキスト画像であり、YMCKの4色のトナーで、合わせて200%の画像濃度となるように形成している。
・実験画像4は、画像濃度100%のテキスト画像である。11ポイントのゴシックフォントで、「ABC」の文字を繰り返し並べたテキスト画像であり、Kトナー100%の画像濃度で形成している。
【0083】
各画像形成装置で出力された画像について、以下の定着性評価を行った。
・定着評価1として、定着動作後のトナー像の画像不良(オフセット)がないかどうかの確認を行った。
・定着評価2として、記録材S同士を摺擦させ、画像欠損が発生しないかどうかの確認を行った。
・定着評価3として、消しゴム試験によって画像欠損が発生しないか確認した。
【0084】
定着評価1として行った定着動作後の画像不良(オフセット)の確認について説明する。トナー像tと記録材Sとの定着性が十分でない場合、トナー像tが欠ける画像欠損や、オフセットとよばれる画像不良が発生する。オフセットとは、定着動作時に、記録材S上のトナー像tが、定着フィルム22側に転移し、記録材S上の本来の位置から定着フィルム22一周分の長さだけずれた位置に再付着する現象である。定着評価1では、定着動作後の画像を目視で確認し、以下のように判定した。
OK:画像欠損やオフセットが発生しない。又は軽微であり、目立たない。
NG:目立つ画像欠損やオフセットが発生している。
【0085】
定着評価2として行った記録材同士の摺擦試験では、トナー像tが形成された記録材S同士を摺擦させて画像欠損の有無を確認する。具体的には、トナー像tが形成された記録材Sを固定し、その上に別の記録材を重ね、0.2kgfで加圧した状態で記録材を10往復させて、摺擦させた。摺擦後の画像を目視で確認し、以下のようにランク分けした。
OK:画像欠損が発生しない。又は、軽微であり、目立たない。
NG:目立つ画像欠損やオフセットが発生している。
【0086】
定着評価3として行った消しゴム試験の試験条件は下記の通りである。記録材Sを固定し、消しゴムを約1.0kgfで押し当てながら、前後50mm、毎秒1往復の速度で100往復させる。消しゴムは、Laufer社製PLAST0140を使用した。この消しゴムには硬質なフィラーが含まれている。試験後のトナー像を観察し、以下のようにランク分けした。
OK:画像欠損が発生しない。又は、濃度薄や、部分的な画像欠損が発生するが、画像の輪郭は維持される。テキスト画像の場合は文字が正しく判読できる。
NG:線が途切れるなど画像の輪郭が崩れる。テキスト画像の場合は文字が正しく判読できない。
【0087】
図10は実験1の結果である。実施例1の画像形成装置では、実験画像1~4の全てで、定着評価1、定着評価2、定着評価3の評価結果がいずれもOKであった。一方、比較例1、2では、実験画像1~4の全てで、定着評価1、定着評価2の評価結果がいずれもOKであったが、一部の実験画像2~4について、定着評価3(消しゴム試験)がNGとなった。
【0088】
比較例1、2において、一部条件で定着評価3がNGとなったのは、消しゴムかけに対する耐久性の面で不利となる連続性の低い画像や画像濃度が低い画像について、定着温調温度Tを他の画像と同等以下にしており、耐久性が不足していたためである。これに対し、実施例1によれば、消しゴムかけに対する耐久性の面で不利な画像でも十分な定着性を確保することができることが確認された。また、連続性の低い画像や画像濃度が低い画像を含まない場合には定着温調温度Tを低く設定することで、省エネルギー性を高めることができる。
【0089】
なお、本実施例では、1ページ中に複数の画像領域が含まれる場合に、各画像領域についての画素の連続性及び画像濃度の最小値を、当該ページの画像についての画素の連続性の情報及び画像濃度の情報としているが、他の情報を用いてもよい。例えば、各画像領域についての画素の連続性及び画像濃度の平均値を、当該ページの画像についての画素の連続性の情報及び画像濃度の情報として用いてもよい。
【0090】
また、本実施例では、例えば線やテキストの幅に相当する数値を、画素の連続性と定義した。つまり、画素の連続性を判断する画像解析手段として、トナー量が0でない画素が連続して並ぶ数をカウントしたが、画素の連続性の程度を判断できる方法であれば他の解析手法を用いてもよい。一例として、二値化画像を離散フーリエ変換した際の高周波成分の有無によって画素の連続性の程度を判断してもよい。また、例えば二値化画像データにおいて、1の画素の総数に対する、0の画素に隣接する1の画素の数の比は、画像領域の面積に対する輪郭線の長さの比を表している。この比が大きい程、トナー像の面積に対して輪郭線が入り組んでいることになるから、連続性が低いということができる。
【実施例2】
【0091】
実施例2に係る画像形成装置について説明する。本実施例は、定着温調温度Tを変更する条件として、実施例1で説明した画素の連続性の条件に代えて、PDLデータに含まれるオブジェクトの種類の条件を用いる点で実施例1と異なっている。以下、実施例1と共通の符号を付したものは実施例1で説明したものと同一の構成や作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を説明する。
【0092】
PDLデータは、制御データと、画像データとしてのオブジェクトデータとによって構成される。制御データには、記録材の給送条件や記録材のサイズ指定などの印刷処理条件を設定する設定コマンドが含まれる。オブジェクトデータには、テキスト画像を規定するデータ(テキストオブジェクトデータ)や、図形画像を規定するデータ(グラフィックオブジェクトデータ)や、写真等のイメージ画像を規定するデータ(イメージオブジェクトデータ)が含まれる。テキストオブジェクトデータには、テキストの色、テキストのフォント、テキストのサイズ、を指定するコマンド、テキストデータ等が含まれる。
【0093】
PDLデータを受信したビデオコントローラ30は、オブジェクトデータを解析することで、テキスト画像があるか否かを判断できる。テキスト画像は一般的には図形画像や写真等のイメージ画像に比べて画素の連続性が小さいから、オブジェクトデータとしてテキストオブジェクトデータが含まれていれば、今回の画像形成の対象となる画像は画素の連続性が低いとの推定が成り立つ。
【0094】
画像データを画素単位で解析し、画素の連続性を算出するには、比較的高度な画像解析処理が必要となる。従って、画像形成装置Pの生産性を下げることなく、画像解析処理を続けるには、ビデオコントローラ30に比較的高い処理能力が求められる。本実施例では、オブジェクデータからテキスト画像の有無を判断する簡易な手段で定着温調温度Tを判断するため、実施例1に比べて負荷を低減可能である。
【0095】
以下、実施例2に係る画像形成装置Pの動作及び制御方法を説明する。図11に、ビデオコントローラ30が実行する画像データの処理フローを示す。まず、ホストコンピュータから制御データとオブジェクトデータとを含むPDLデータが送られてくる(S30)。ビデオコントローラ30は、まず、PDLデータからページ毎にオブジェクトデータを抽出して解析し(S31)、抽出したオブジェクトデータがテキストオブジェクトデータか否かを判断する(S32)。テキストオブジェクトデータがあった場合、そのテキストオブジェクトデータからテキストサイズ情報を取得する(S33)。以下、テキストオブジェクトデータの有無及びテキストサイズ情報を合わせたものを「テキスト情報」とする。
【0096】
以降のS34~S39の処理は、実施例1で説明した図4のS11~S13,S16~S18と同様であるため、説明を省略する。ただし、S16では画素の連続性の情報と画像濃度の情報を制御部31に送信していたのに対し、S37ではテキスト情報と画像濃度の情報を制御部31に送信する。
【0097】
(定着温調温度の決定フロー)
以下、定着装置F1の温調温度決定フローを、図12のフローチャートに沿って説明する。以下で説明するフローは、本実施例の温度制御手段である制御部31が実行する処理の内容を表している。
【0098】
ビデオコントローラ30がホストコンピュータからPDLデータを受け取ると、画像形成装置は画像形成動作の準備を開始する。まず、PDLデータに記載されたプリント条件や、設置環境の雰囲気温度、前回の画像形成動作からの経過時間などの情報を取得し、これらの情報から、定着装置F1の基本温調温度T0が決定される(S41)。
【0099】
次に、ビデオコントローラ30がPDLデータを解析した結果を参照して、今回の画像形成動作の対象である画像データに関するテキスト情報と、画像濃度の情報とを取得する(S42)。そして、テキストサイズが所定サイズD2以下のテキスト画像があるか否かを判断する(S43)。また、S43の判断結果と、画像濃度とに応じて、基本温調温度T0に対する補正量を表す補正温度T1を決定する(S44A,S44B)。本実施例では、テキストサイズの閾値である所定サイズD2を30ポイントとする。
【0100】
図13は、定着温調温度Tを決定するための補正温度決定テーブルである。本テーブルに表される、テキスト情報及び画像濃度の条件と補正温度との対応関係を表すデータは、例えばビデオコントローラ30のROM304(図3)等、画像形成装置Pが備える不揮発性の記憶領域に格納されているものとする。
【0101】
基本温調温度T0に補正温度T1を加算した値で、定着温調温度Tが決定される(S45)。そして、決定された定着温調温度Tに基づいて定着装置F1の温度を制御しながら、トナー像が転写された記録材Sに定着装置F1を通過させて定着処理を実施する(S46)。以上の制御は、PDLデータで指定された全ての画像の出力が完了するまで繰り返される(S47)。
【0102】
図13の表に表されているように、本実施例では、PDLデータがテキスト画像を表すデータを含む場合に、PDLデータがテキスト画像を表すデータを含まない場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。即ち、温度制御手段としての制御部31は、画像データがテキスト画像を含む場合の目標温度の値が、画像データがテキスト画像を含まない場合の目標温度の値より高くなるように、定着装置の目標温度を設定する。これにより、消しゴムかけに対する耐久性向上を図っている。また、テキスト画像を含まない場合は定着温調温度Tを下げることで、省エネルギー性を向上可能である。
【0103】
特に、本実施例では、線幅が細い所定サイズ以下(上記の例では30ポイント以下)のテキストオブジェクトが含まれる場合の定着温調温度Tを、所定サイズ以下のテキストオブジェクトを含まない場合に比べて高く設定している。これにより、テキスト画像を出力する場合においても、線幅が太いために消しゴムかけに対して比較的強い大きなテキスト画像のみの場合には、省エネルギー性を優先することが可能となる。
【0104】
なお、本実施例では、テキスト画像の有無をPDLデータを解析することで検知しているが、テキスト画像の有無を検知できる手法であれば、解析手段は問わない。
【実施例3】
【0105】
実施例3に係る画像形成装置について説明する。本実施例は、定着装置F1の制御方法が異なる複数のモード(複数の定着モード)を備えており、定着モードに応じて定着温調温度の設定方法が異なる点が実施例1と異なっている。以下、実施例1と共通の符号を付したものは実施例1で説明したものと同一の構成や作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を説明する。
【0106】
本実施例において、第1の定着モード(第1モード)では、連続性の低い画像や画像濃度が低い画像を出力する場合、そうでない場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。一方、第2の定着モード(第2モード)では、連続性の低い画像や画像濃度が低い画像を出力する場合、そうでない場合に比べて定着温調温度Tを低く設定する。なお、定着モードの変更は、例えば画像形成装置Pのユーザインタフェースを介して、画像形成装置Pの用途に応じてユーザーが手動で設定するものとする。
【0107】
図14(A)は、本実施例の第1の定着モードにおいて定着温調温度Tを決定するための補正温度決定テーブルである。図14(B)は、本実施例の第2の定着モードにおいて定着温調温度Tを決定するための補正温度決定テーブルである。本実施例における定着温調温度Tの決定方法は、図6のS24A及びS24Bで定着モードの設定に応じて図14(A)又は図14(B)のテーブルを使用する点を除いて、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0108】
第1の定着モードは、実施例1と同様の方法で定着温調温度Tを変更するものであり、連続性の低い画像や画像濃度が低い画像についても消しゴムかけに対して耐久性を与える。そのため、第1の定着モードは、契約書類や保存文書など、書面として半永久的に保存する画像を作成する用途に適している。
【0109】
一方、第2の定着モードの場合、消しゴムかけに対する耐久性について課題を有するものの、日常的な取り扱いに関しては十分な定着性を与えるものである。そのため、第2の定着モードは、電子化して保存されたドキュメントや画像を、一時的に閲覧するために画像を形成する用途に適している。
【0110】
どちらの定着モードも、画像データの解析結果に応じて定着温調温度Tを切り替えることで、最小限のエネルギーで、目標とする定着性を達成することができる。なお、第2の定着モードでは、連続性の低い画像や画像濃度が低い画像に関して第1の定着モードよりも定着温調温度Tが低くなるため、第1の定着モードに比べてさらに消費エネルギーが小さくなる。
【0111】
このように、用途に応じて定着モードを切り替え可能な構成とすることで、消しゴム等の消去手段に対する画像の耐久性と省エネルギー性とを両立しつつ、利便性を高めることができる。
【実施例4】
【0112】
実施例4に係る画像形成装置について説明する。本実施例の画像形成装置は、画像形成時のカラーモードをモノクロモードとフルカラーモードとの間で切り替え可能であり、カラーモードの設定に応じて定着温調温度の設定方法が異なる点が実施例2と異なっている。以下、実施例1、2と共通の符号を付したものは実施例1、2で説明したものと同一の構成や作用を有するものとし、実施例2と異なる部分を説明する。
【0113】
本実施例において、モノクロモードで画像を出力する場合、フルカラーモードで画像を出力する場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。また、モノクロモード及びフルカラーモードのそれぞれにおいて、テキスト画像(特に、フォントサイズが30ポイント以下のテキスト画像)を含む画像を出力する場合に、テキスト画像を含まない画像を出力する場合に比べて定着温調温度Tを高く設定する。
【0114】
図15は、本実施例において定着温調温度Tを決定するための補正温度決定テーブルである。本実施例における定着温調温度Tの決定方法は、図12のS44A及びS44Bで図15のテーブルを使用する点を除いて、実施例2と同じであるため説明を省略する。
【0115】
図1に示すようにYMCKの4色のトナーでの画像形成が可能な画像形成装置Pは、複数色(4色)のトナーを使用するフルカラーモードと、単色のトナーのみで画像形成を行うモノクロモードの間でカラーモードを切り替え可能とすることができる。カラーモードの切り替えは、画像データの色情報に応じてビデオコントローラ30等が自動的に判断するか、又はユーザーの明示的な選択によって行われる。
【0116】
フルカラーモードでは、原理的には400%までの画像濃度での画像形成が可能である。ただし、定着性や転写性の観点から、一般的には最大画像濃度が200~300%となるように構成される。
【0117】
フルカラーモードでも、黒のテキストは、Kトナー100%で画像形成されるが、オブジェクトの種類によっては、Kトナーに他のトナーを混ぜたプロセスブラックが使用される。プロセスブラックの画像濃度は例えば150~230%である。また、黒のテキストであっても、プロセスブラックに変更することが可能である。
【0118】
フルカラーモードでは、100%を超える高い画像濃度の画像が使用される可能性があるのに対し、モノクロモードでは、必ず100%までの画像濃度での画像形成となる。そのため、モノクロモードでは、フルカラーモードに比べれば、画像濃度が低い画像である可能性が高く、消しゴムかけに対して不利な可能性が高い。
【0119】
本実施例では、モノクロプリントモードでは、フルカラープリントモードに比べて、定着温調温度Tを高く設定する。これにより、モノクロモードで記録材に形成されるトナー像tに対して、消しゴムかけに対して十分な耐久性を与えることができる。一方、比較的消しゴムかけに対して強いトナー像が形成されることが想定されるフルカラーモードでは、定着温調温度Tを相対的に低く設定する。これにより、消しゴムかけに対するトナー像の耐久性を確保しつつ、省エネルギー性を向上させることができる。
【0120】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0121】
F1…定着手段(定着装置)/P…画像形成装置/3Y,3M,3C,3K,9,14…画像形成手段/30…画像解析手段(ビデオコントローラ)/31…制御部(温度制御手段)
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図15