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  • 特許-クロファラビンのプロドラッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】クロファラビンのプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/16 20060101AFI20240109BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240109BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C07H19/16 CSP
A61K31/7076
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019544805
(86)(22)【出願日】2017-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017059420
(87)【国際公開番号】W WO2018085307
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-09-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】62/417,081
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519161481
【氏名又は名称】ウー,ローレンス,アイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ローレンス,アイ.
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】関 美祝
【審判官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/142411(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0167353(US,A1)
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1978年,Vol.21,No.12,p.1218-1221
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1979年,Vol.22,No.3,p.273-279
【文献】 Medicinal Chemistry Research,2015年,Vol.24,No.6,p.2325-2335
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,Vol.19,No.3,p.792-796
【文献】 Journal of Pharmaceutical Sciences,2002年01月,Vol.91,No.1,p.171-179
【文献】 Biochimica et Biophysica Acta,1999年,Vol.1420,No.1-2,p.153-167
【文献】 Pharmaceutical Research,2005年9月,Vol.22,No.9,p.1510-1518
【文献】 Tetrahedron Letters,2016年,Vol.57,p.2935-2938
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/16
A61K 31/7076
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】
式中、RはH又は-C(=O) -O-Rであり、及びRはH又は-C(=O) -O-Rであり、ただし、R及びRは同時にHではなく、並びに、R及びRは、それぞれ独立的にアルキルアルケニルアルキニルアリールアリールアルキル及びシクロアルキルからなる群から選択される)で表される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩
【請求項2】
が-C(=O) -O-Rである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩
【請求項3】
がHである、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩
【請求項4】
が、アルキル及びアリールアルキルらなる群から選択される一つである、請求項1~3のいずれか一つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩
【請求項5】
式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物であって、
【化2】
式中、RはH又は-C(=O) -O-Rであり、及びRはH又は-C(=O) -O-Rであり、ただし、R及びRは同時にHではなく、並びに、R及びRは、それぞれ独立的にアルキルアルケニルアルキニルアリールアリールアルキル及びシクロアルキルからなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項6】
が-C(=O) -O-Rである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
がHである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
が、アルキル及びアリールアルキルらなる群から選択される一つである、請求項5~7のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項9】
癌を治療するための医薬組成物であって、有効量の請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
さらに、抗癌剤を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記抗癌剤が、従来の化学療法剤、標的治療剤、放射線治療剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記抗癌剤が、シタラビン、デシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、カペシタビン、ソラフェニブ、スニチニブ、イダルビシン、ダウノルビシン、ブスルファン、エトポシド、ミトキサントロン、シクロホスファミド、チオペタ、ベンダムスチン、メルファラン、ビンクリスチン、ビノレルビン、エンチノスタット、デキサメタゾン、メトトレキサート、レナリドマイド、トポテカン、テムシロリムス、リツキシマブ、アレムツズマブ、フィルグラスチム、エプラツズマブ、及びサイモグロブリンからなる群から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記癌が、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、乳癌、及び膵臓癌からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年11月3日に出願された米国仮出願第62/417,081号の利益を主張するものであり、法律によって許容される範囲でその全体が参照によりここに援用される。
【背景技術】
【0002】
クロファラビンは、代謝拮抗薬であるプリンヌクレオシドである。クロファラビンは、プリンとリボース環との両方にホロゲン化された構造を有するので、この分子は2つの重要な時点でDNAの合成を阻害することが知られている:DNAポリメラーゼI及びRNAレダクターゼ。
【0003】
この薬は、通常、少なくとも2回の前治療後に、再発性又は難治性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)に罹患した1~21歳の小児患者の治療のために、静脈内注入によって投与される。
【0004】
Montgomeryの米国特許第5,661,136号は、癌性細胞株に対して毒性である特定の2’-フルオロ-2-置換プリンヌクレオチドを開示している。
【0005】
Muellerらの米国特許公開第2010/0249055号は、クロファラビンの特定のリン脂質エステル、及び腫瘍の治療におけるそのような脂質エステルの使用を開示している。
【0006】
米国特許第7,772,206号は、自己免疫疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療を必要とする患者へのクロルアラビンの投与を含む方法を開示している。この発明は、さらに、自己免疫疾患を治療又は予防する方法であって、そのような治療を必要とする患者へのクロファラビンと追加の治療薬との投与を含む方法に関する。
【0007】
一般に、プロドラッグは、投与後に、代謝されて薬学的に活性な薬物になる薬物又は化合物である。プロドラッグは、化学的又は生理学的なプロセス(例えば、生理学的なpHに到達すること、又は酵素作用によって、生物学的に活性な化合物に変換すること)を介して、インビボで生物学的に活性な化合物を放出する。プロドラッグ自体は、所望の生物学的活性を欠いているか、又は持っている可能性がある。多くの場合に、プロドラッグは副作用を減らし、及び薬物自体よりも優れた薬物動態学的パラメータを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本技術分野においては、クロファラビンのプロドラッグへのニーズがある。本発明は、これら及び他のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、薬物動態学的パラメータを改善するために、クロファラビンのプロドラッグを提供する。このように、一つの実施形態では、本発明は、式Iで表される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化1】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、及びRはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
並びに、R及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する:
【化2】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、及びRはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0011】
また、他の実施形態では、本発明は、癌を治療するための方法を提供し、方法には、癌を治療するために、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を、有効量で対象に投与することを含む:
【化3】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、及びRはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0012】
これら及びその他の態様、目的及び実施形態は、下記添付されている詳しい説明及び図面を参照すると、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態による、37℃で行われたインビトロ代謝変換アッセイの結果を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I.定義
本明細書においては、「プロドラッグ」という用語とは、投与後に、化学的または生理学的なプロセス(例えば、プロドラッグが生理的なpHに到達すること、又は酵素作用によって生物的に活性な化合物に変換すること)を介して、インビボで生物学的に活性な化合物を放出する前駆体化合物をいう。プロドラッグ自体は、所望の生物学的活性を欠いているか、又は持っている可能性がある。
【0015】
本明細書においては、「塩」という用語は、本発明の化合物の酸塩又は塩基塩をいう。薬学的に許容可能な塩の具体例は、鉱酸塩(塩酸、臭化水素酸、リン酸などを用いて調製されたもの)、有機酸塩(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、マレイン酸などを用いて調製されたもの)、及び、第四級アンモニウム塩(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなどを用いて調製されたもの)である。薬学的に許容可能な塩は無毒であることが理解される。適切な薬学的に許容可能な塩に関するさらなる情報は、参照により本明細書に援用されている、Remington:The Science&Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott Williams&Wilkins、Philadelphia、PA、2000に見出され得る。
【0016】
酸性化合物の塩は、塩基、すなわちアルカリ及びアルカリ土類金属カチオン(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムイオン)、ならびに、アンモニウムカチオン(例えば、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、およびトリス-(ヒドロキシメチル)-メチル-アンモニウムイオン)などのカチオン種と共に形成される。塩基性化合物の塩は、鉱酸、有機カルボン酸、有機スルホン酸などと共に形成される塩である。中性型の化合物は、塩を塩基又は酸と接触させ、従来の方法で親化合物を単離することによって再生され得る。原型(parent form)の化合物は、極性溶媒への溶解度などの特定の物理的性質において様々な塩形態と異なるが、その点以外に、塩は本発明の目的のための原型の化合物と同等である。
【0017】
本明細書においては、「アリール」という用語とは、任意の適切な数の環原子と任意の適切な数の環とを有する芳香族環系をいう。アリール基は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の環メンバー、ならびに、6~10、6~12又は6~14の環メンバーなどの任意の適切な数の環原子を含むことができる。アリール基は、単環式であってもよく、二環式又は三環式基を形成するように縮合されてもよく、あるいは、結合によってビアリール基を形成するように連結されてもよい。代表的なアリール基は、フェニル、ナフチル及びビフェニルを含む。他のアリール基は、メチレン連結基を有するベンジルを含む。いくつかのアリール基は、6~12の環メンバーを有し、例えば、フェニル、ナフチル又はビフェニルである。他のアリール基は、6~10の環メンバーを有し、例えば、フェニル又はナフチルである。いくつかのアリール基は、6の環メンバーを有し、例えばフェニルである。「置換アリール」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
【0018】
アリール基は、ヘテロアリール基をも含む。「ヘテロアリール」とは、5~16の環原子を含有する、単環式、あるいは縮合された二環式又は三環式芳香環集合体をいい、ここで、1~5の環原子は、N、O又はSなどのヘテロ原子である。付加ヘテロ原子も有用であり、B、Al、Si及びPが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロ原子は、基などにおいて酸化されてもよく、基は、-S(O)-及び-S(O)-を含むが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、又は3~12の環メンバーなどの任意の数の環原子を含むことができる。ヘテロアリール基には、1、2、3、4、又は5、あるいは1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5、3~4、又は3~5などの任意の適切な数のヘテロ原子を含むことができる。ヘテロアリール基は、5から8までの環メンバーと1から4までのヘテロ原子、又は、5から8までの環メンバーと1から3までのヘテロ原子、又は、5乃至6環メンバーと1から4までのヘテロ原子、又は、5から6までの環メンバーと1から3までのヘテロ原子を有することができる。ヘテロアリール基は、ピロリル、ピリジル(2-、3-、及び4-異性体)、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル(1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-異性体)、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、及びイソオキサゾリルなどの基を含むことができる。ヘテロアリール基は、フェニル環などの芳香環系に縮合されることにより、インドリル及びイソインドリルなどのベンゾピロール、キノリニル及びイソキノリニルなどのベンゾピリジン、ベンゾピラジニル(キノキサリン)、ベンゾピリミジニル(キナゾリン)、フタラジニル及びシンノリニルなどのベンゾピリダジン、ベンゾチオフェニル、及びベンゾフラニルを含むメンバーを形成することもできるが、それらに限定されない。他のヘテロアリール基は、ビピリジルなどの結合によって結合したヘテロアリール環を含む。「置換ヘテロアリール」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0019】
本明細書においては、「アルキル」という用語は、1から約10までの炭素原子を有する直線又は分岐の飽和脂肪族基をいう。アルキルは、Cl~2、Cl~3、Cl~4、Cl~5、Cl~6、Cl~7、Cl~8、Cl~9、Cl~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6、及びC5~6などの任意の数の炭素原子を含むことができる。例えば、C1~6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどを含むが、それらに限定されない。アルキルは、20までの炭素原子を有するアルキル基をいうこともでき、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどを含むが、それらに限定されない。「置換アルキル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0020】
本明細書においては、「アルケニル」という用語は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とを有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素をいう。アルケニルは、C、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C、C3~4、C3~5、C3~6、C、C4~5、C4~6、C、C5~6、及びCなどの任意の数の炭素を含むことができる。アルケニル基は、任意の適切な数の二重結合を有することができ、当該適切な数は、1、2、3、4、5又はそれ以上を含むが、これらに限定されない。アルケニル基の例としては、ビニール(エテニル)、プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、イソペンテニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,5-ヘキサジエニル、2,4-ヘキサジエニル、又は1,3,5-ヘキサトリエニル(hexatrienyl)を含むが、それらに限定されない。「置換アルケニル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されることができる。
【0021】
本明細書においては、「アルキニル」という用語は、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素-炭素三重結合とを有する直鎖又は分岐の炭化水素をいう。アルキニルは、C、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C、C3~4、C3~5、C3~6、C、C4~5、C4~6、C、C5~6、及びCなどの任意の数の炭素を含むことができる。アルキニル基の例としては、アセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、イソブチニル、sec-ブチニル、ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジイニル、1,4-ペンタジイニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジイニル、1,4-ヘキサジイニル、1,5-ヘキサジイニル、2,4-ヘキサジイニル,又は1,3,5-ヘキサトリニルを含むが、それらに限定されない。「置換アルキニル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0022】
本明細書においては、「アリールアルキル」という用語は、アルキル成分とアリール成分とを有する基をいい、ここで、アルキル成分はアリール成分を結合点に結合する。アルキル成分は、アリール成分を結合点に結合するために、アルキル成分が少なくとも2価(すなわち、アルキレン)であることを除いて、上記で定義した通りである。アルキル化合物は、C1~6、C1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6、及びC5~6などの任意の数の炭素を含むことができる。アリール化合物は上記で定義した通りである。アリールアルキル基の例としては、ベンジル及びエチル-ベンゼンを含むが、それらに限定されない。「置換アリールアルキル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される基で置換されることができる。
【0023】
本明細書においては、「シクロヘテロアルキル」という用語は、3~12の環メンバーと、1~4のN、O及びSのヘテロ原子とを有する飽和環系をいう。さらなるヘテロ原子も有用であり、B、Al、Si及びPを含むが、これらに限定されない。ヘテロ原子は、基などにおいて酸化されてもよく、基は、-S(O)-及び-S(O)-を含むが、これらに限定されない。シクロヘテロアルキル基は、3~6、4~6、5~6、3~8、4~8、5~8、6~8、3~9、3~10、3~11、又は3~12の環メンバーなどの任意の数の環原子を含むことができる。シクロヘテロアルキル基には、任意の適切な数のヘテロ原子を含むことができ、当該適切な数は、1、2、3、又は4、あるいは1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、又は3~4である。シクロヘテロアルキル基は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル(azepanyl)、アゾカニル(azocanyl)、キヌクリジニル、ピラゾリジニル(pyrazolidinyl)、イミダゾリジニル、ピペラジニル(1,2-、1,3-、及び1,4-異性体)、オキシラニル(oxiranyl)、オキセタニル(oxetanyl)、テトラヒドロフラニル、オキサニル(テトラヒドロピラニル)、オキセパニル、チイラニル、チエタニル、オラニル(テトラヒドロチオフェニル)、チアニル(テトラヒドロチオピラニル)、オキサゾリジニル、イソオキサリジニル、チアゾリジニル(thiazolidinyl)、イソチアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル(dithiolanyl)、モルホリノ、チオモルホリノ、ジオキサニル、又はジチアニルなどの基を含むことができる。シクロヘテロアルキル基は、芳香族又は非芳香族環系に縮合されることにより、メンバーを形成することもでき、当該メンバーは、インドリニルを含むが、これに限定されない。シクロヘテロアルキル基は、非置換又は置換されたものであることができる。「置換シクロヘテロアルキル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、アルコキシ、及びオキソから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0024】
本明細書においては、「ヘテロアルキル」という用語は、任意の適切な長さの、N、O及びSなどのヘテロ原子を1~3つ有するアルキル基をいう。さらなるヘテロ原子も有用であり、B、Al、Si及びPを含むが、これらに限定されない。ヘテロ原子は、基などにおいて酸化されてもよく、基は、-S(O)-及び-S(O)-を含むが、これらに限定されない。例えば、ヘテロアルキルは、エーテル、チオエーテル、及びアルキル-アミンを含むことができる。ヘテロアルキルのヘテロ原子部分は、アルキル基の水素を置換して、ヒドロキシ、チオ又はアミノ基を形成することができる。あるいは、ヘテロ原子部分は、連結原子であってもよく、又は2つの炭素原子の間に挿入されてもよい。「置換ヘテロアルキル」基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0025】
本明細書においては、「アルコキシ」という用語は、アルキル基を結合点に結合する酸素原子を有する(すなわち、アルキル-O-)、本明細書で定義されるアルキル基をいう。アルコキシ基は、C1~6などの任意の適切な数の炭素原子を有することができる。アルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、2-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを含む。
【0026】
本明細書においては、「アシル」という用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、カルボニル基の炭素原子に結合した本明細書で定義されるアルキル基を含むラジカルをいい、当該カルボニル炭素原子は、さらにラジカルの結合点である。
【0027】
本明細書においては、「アミノ」という用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、水素及び炭素から選択される2又は3つの原子に結合した窒素原子を含むラジカルをいい、当該窒素原子は、さらにラジカルの結合点である。
【0028】
本明細書においては、「アミド」という用語は、それ自体又は他の置換基の一部として、アミノ基の窒素原子に結合した本明細書で定義されるアシル基を含むラジカルをいい、当該カルボニル炭素原子又は当該窒素原子は、さらにラジカルの結合点である。
【0029】
本明細書においては、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む製品、ならびに、特定量の特定成分の組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の製品を包含することを意図する。「薬学的に許容可能」とは、化合物中の担体、希釈剤又は賦形剤が、他の成分と相溶性でなければならず、そしてそのレシピエントに有害ではないことを意味する。
【0030】
本明細書においては、「薬学的に許容可能な担体」という用語は、対象への活性剤の投与及び対象による吸収を補助する物質をいう。本発明に有用な薬理学的な担体は、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤及び着色剤を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、他の薬理学的な担体が本発明に有用であることを理解するはずである。
【0031】
本明細書においては、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、癌の治療又は改善、又は癌に関連する損傷、病理、状態又は症状(例えば、疼痛。)における任意の成功の兆候をいい、当該兆候は、任意の客観的又は主観的なパラメータ、例えば、軽減;緩解;症状の軽減又は症状、損傷、病理学もしくは状態の許容度の向上;症状や状態の頻度又は期間の減少;あるいは、場合によって、症状や状態の発症の予防を含む。症状の治療又は改善は、任意の客観的又は主観的なパラメータによるものであってもよく、例えば、身体検査の結果を含む。
【0032】
本明細書においては、「癌」という用語は、固形癌、リンパ腫、及び白血病を含む状態をいう。異なる種類の癌の例としては、肺癌(例えば、非小細胞肺癌又はNSCLC)、卵巣癌、前立腺癌、結腸直腸癌、肝癌(例えば、肝細胞癌、腎癌(例えば、腎細胞癌)、膀胱癌、乳癌、甲状腺癌、胸膜癌、膵臓癌、子宮癌、子宮頸癌、精巣癌、肛門癌、胆管癌、消化管カルチノイド腫瘍、食道癌、胆嚢癌、虫垂癌、小腸癌、胃(gastric)癌、中枢神経系の癌、皮膚癌、絨毛癌、頭頸部癌、血液癌、骨原性肉腫、線維肉腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、黒色腫、B-cellリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小細胞性リンパ腫、大細胞性リンパ腫、単球性白血病、骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、及び多発性骨髄腫を含むが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書においては、「対象」という用語は、哺乳動物などの動物をいい、当該動物は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0034】
本明細書においては、「投与」という用語は、本発明の化合物又は組成物の、対象への経口投与、局所投与、非経口投与、腹腔内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、皮下投与、又は髄腔内投与、ならびに、坐剤による投与、又は徐放装置、例えばミニ浸透圧ポンプの移植をいう。
【0035】
本明細書においては、「有効量」という用語は、投与されると治療効果を生み出す化合物又は組成物の用量をいう。正確な用量は、治療の目的によるものであり、及び、当業者が既知の技術(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols. 1-3,1992); Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar, Dosage Calculations(1999);及び、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2003年, Gennaro編,Lippincott, Williams & Wilkinsを参照)を使用することで確認されるものである。感作細胞では、治療上有効な用量は、感作されていない細胞に対する従来の治療上有効な用量よりも低い場合が多い。

II.クロファラビンのプロドラッグ
【0036】
一つの実施形態では、本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する:
【化4】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、RはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
並びに、R及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0037】
特定の態様では、RはHである。他の態様では、RはHである。式Iにおいては、R及びRは同時にHではない。
【0038】
特定の態様では、Rは-C(=O)-X-Rであり、XはO、CH又は-CH(NH)-である。
【0039】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-R、-C(=O)-CH-R、又は-C(=O)-CH(NH)-Rであり、かつ、RはHである。
【0040】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-Rである。
【0041】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-Rであり、かつ、RはHである。
【0042】
特定の態様では、Rは-C(=O)-Y-Rであり、YはO、CH又は-CH(NH)-である。
【0043】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-R、-C(=O)-CH-R又は-C(=O)-CH(NH)-Rであり、かつ、RはHである。
【0044】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-Rである。
【0045】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-Rであり、かつ、RはHである。
【0046】
特定の態様では、Rは、アルキル、置換アルキル、アリールアルキル、及び置換アリールアルキルからなる群から選択される。
【0047】
特定の態様では、Rはアルキル又は置換アルキルである。適切なアルキル基は、例えば、1から約10の炭素原子を有する直線又は分岐の飽和脂肪族基を含む。アルキルは、C1~2、C1~3、C1~4、C1~5、C1~6、C1~7、C1~8、C1~9、C1~10、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C3~4、C3~5、C3~6、C4~5、C4~6、及びC5~6などの任意の数の炭素を含むことができる。例えば、C1~6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0048】
置換アルキル基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アシル、ニトロ、シアノ、及びアルコキシから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。
【0049】
特定の態様では、Rはアリールアルキル又は置換アリールアルキルである。特定の例においては、アリールアルキル基がヘテロアリールアルキル基であり、及び、置換アリールアルキル基が置換ヘテロアリールアルキル基である。適切なヘテロアリール基は、例えば、ピロリル、ピリジニル(2-、3-、及び4-異性体)、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル(1,2,3-、1,2,4-、及び1,3,5-異性体)、チオフェニル、フラニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、及びイソオキサゾリルを含む。
【0050】
特定の態様では、Rは-C(=O)-O-Rであり、RはHであり、かつ、Rはアリールアルキル、置換アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキル基である。
【0051】
特定の態様では、式Iの化合物は、下記の基から選択される:
1.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン;
2.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-2-(エトキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン;
3.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-(エトキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン-3-オール;
4.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-2-(ブチルオキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン;
5.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-(ブチルオキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン-3-オール;
6.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(2-メチルプロピルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン;
7.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(2-メチルプロピルオキシ-カルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール;
8.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ペンチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン;
9.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ペンチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール;
10.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン;
11.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール;
12.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン;
13.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール;
14.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(3-フェニルプロパノールオキシメチル)オキソラン;
15.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(3-フェニルプロパノールオキシメチル)オキソラン-3-オール;
16.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(3-(3-ピリジル)プロパノールオキシメチル)オキソラン;
17.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(3-(3-ピリジル)プロパノールオキシメチル)オキソラン-3-オール;
18.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-プロパノールオキシメチル]-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-オキソラン;
19.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-プロパノールオキシメチル]-4-フルオロ-オキソラン-3-オール;及び、
20.(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-アミノプロパノールオキシメチル]-4-フルオロ-オキソラン-3-オール。

III.医薬組成物
【0052】
他の態様では、発明は、1つ以上の上記式Iで表される化合物を含有する医薬組成物、又はその化合物の薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0053】
特定の態様では、本発明は、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する:
【化5】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、及びRはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0054】
発明の化合物を投与するための医薬組成物は、薬学及び薬物送達の分野における周知の方法のいずれかによって調製することができる。化合物は、単位剤形として都合よく調製及び/又は包装されることができる。化合物を調製する方法は、活性成分を、1つ以上の副成分を含有する担体と会合(association)させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液相担体、微細に分割された固相担体又はその両方と均一で密接に会合させ、そして、必要ならば、生成物を所望の製剤に成形することによって製造される。
【0055】
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性又は油性の懸濁液の形態であることができる。この懸濁液は、上記の適切な分散又は湿潤剤と、懸濁剤とを使用し、既知の技術に従って配合されることができる。無菌の注射可能な製剤は、例えば、1,3-ブタンジオール溶液のような、無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒における無菌の注射可能な溶液又は懸濁液であってもよい。用いられる許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張食塩水である。さらに、従来では、無菌の不揮発性油が溶媒又は懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成のモノ-又はジ-グリセリドを含む任意の刺激のない不揮発油が用いられる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に用途がある。
【0056】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性物質を含有する。このような賦形剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、オオレアジノ(oleagino)-プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル-ピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム(gum acacia)などの懸濁剤;レシチン、ポリオキシエチレンステアレート、及びポリエチレンソルビタンモノオレエートなどの分散又は湿潤剤;ならびに、エチル、n-プロピル、及びp-ヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤を含むが、これらに限定されない。
【0057】
油性懸濁剤は、活性成分を植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナッツ油に、あるいは、流動パラフィンなどの鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールを含んでもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0058】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散又は湿潤剤、懸濁剤、及び、1つ以上の防腐剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散又は湿潤剤、及び懸濁剤は、前記で述べたものによって例示される。さらなる賦形剤も存在し得る。
【0059】
発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油又は落花生油、鉱油、例えば流動パラフィン、あるいは、これらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアガム又はトラガカントゴム;天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン;脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来するエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート;及び、部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる。乳剤は、甘味剤及び風味剤を含んでもよい。
【0060】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ(lozenges)、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、乳剤、硬又は軟カプセル、シロップ、エリキシル、溶液、バッカルパッチ、経口ゲル、チューインガム、咀嚼錠、発泡性粉末及び発泡性錠剤であることができる。経口使用を意図した組成物は、当該技術分野における医薬組成物の製造用の既知任意の方法に従って調製することができ、また、薬学的に洗練された美味しい製剤を提供するために、そのような組成物は、甘味剤、風味剤、着色剤、酸化防止剤、及び保存剤から選択される1つ以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の薬学的に許容される賦形剤と活性成分との混合物を含む。これらの賦形剤は、セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、グルコース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸カルシウム及びリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;コーンスターチ及びアルギン酸などの造粒・崩壊剤;PVP、セルロース、PEG、デンプン、ゼラチン、及びアカシアなどの結合剤;及び、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルクなどの滑剤を含むが、これらに限定されない。錠剤は、コーティングされていなくてもコーティングされていてもよく、かつ、経腸的であり、あるいは、消化管での崩壊と吸収を遅らせるための既知の技術により、長い期間にわたって持続的な作用を提供する。例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートなどの時間遅延材料が用いられる。それらは、放出を制御するための浸透療法錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号、及び第4,265,874号に記載の技術によってコーティングされてもよい。
【0061】
経口使用のための配合は、活性成分と不活性固体希釈剤(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンなど)とが混合された硬ゼラチンカプセルとして、又は、活性成分と水又は油性媒体(落花生油、流動パラフィン、又はオリーブオイルなど)とが混合された軟ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。さらに、乳剤は、油などの非水混和性成分を用いて調製され、かつ、モノジグリセリド、PEGエステルなどの界面活性剤で安定化されることができる。
【0062】
本発明の化合物は、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、薬物と、常温では固体であるが直腸温度では液体である適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができ、このように、直腸内で溶解して薬物を放出する。そのような材料には、カカオバター及びポリエチレングリコールを含む。また、化合物は、溶液又は軟膏の方法で、眼内送達を介して投与されることができる。さらに、対象化合物の経皮送達は、イオン導入パッチなどの方法によって達成され得る。局所使用のためには、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが用いられる。本明細書で使用されるように、局所適用は、洗口剤及び含嗽剤の使用、ならびに眼科用の点眼剤の使用を含むことをも意味する。
【0063】
発明の化合物は、様々な従来の移植片、ステント移植片を含むステント、カテーテル、バルーン、バスケット、又は、体腔内に配置されるか又は永久的に埋め込むことができる他の装置のいずれかを含み得る医療装置に付着されるために製剤化され得る。特定の例としては、発明の化合物を、介入技術によって治療された身体の局部に送達することができる装置及び方法を有することが望ましい。「付着」という用語は、阻害剤がコーティングされるか、吸着されるか、配置されるか、又は当該技術分野における公知の方法によって装置に組み込まれることを意味する。例えば、阻害剤は、医療機器を被覆又は覆うポリマー材料内に埋め込まれて放出され(「マトリックス型」)、又は、当該ポリマー材料によって囲まれて放出され(「リザーバ型」)得る。後者の例では、抑制剤は、当該技術分野において既知のそのような材料を生成するための1つ以上の技術を使用することによって、ポリマー材料内に閉じ込められるか、又はポリマー材料に結合され得る。他の製剤において、阻害剤は、分離可能な結合及び経時的な放出の手段によってコーティングを必要とせずに医療機器の表面に結合させることができ、能動的な機械的又は化学的なプロセスによって除去されることができ、又は、移植部位に阻害剤を提示する永久的に固定化された形態である。

IV.癌を抑制する方法
【0064】
第3の態様では、発明は、対象において癌を治療する方法を提供する。方法には、発明の化合物又は医薬組成物を、有効量で対象に投与することを含む。癌の治療のための治療的使用において、本発明の化合物及び組成物は、1日に約0.001mg/kgから約1000mg/kgの範囲にあるクロルアラビンプロドラッグの初期投与量で投与され得る。用いられる1日の用量は、約0.01~500mg/kg、約0.1~200mg/kg、約1~100mg/kg、約10~50mg/kg、約10mg/kg、約5mg/kg、約2.5mg/kg、又は約1mg/kgである。
【0065】
投与量は、患者の要求、治療される癌の重篤度、及び用いられるクロファラビンプロドラッグに応じて、変更され得る。例えば、投与量は、特定の患者において診断された癌の種類及び病期を考慮し、経験的に決定することができる。患者に投与される用量は、経時的に患者に有益な治療反応をもたらすのに十分であるべきである。用量の多少は、特定の患者において特定のクロララビンプロドラッグの投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度によっても決定される。特定の状況についての適切な投与量の判定は、典型的な開業医のスキルの範囲内である。通常、治療は、クロラファラビンプロドラッグの最適用量より少なくて比較的に少量の投与量で開始される。その後、その状況下における最適な効果が達せられるまで、投与量を少量ずつ増加させる。1日の総投与量は、分割されて1日の間に少量ずつ投与され得る。
【0066】
発明の方法において、組成物は、単独で、又は他の治療薬と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、方法が、抗癌剤を対象に投与することをさらに含む。特定の場合には、方法が、抗癌剤の組み合わせを含む。発明の方法においては、任意の適切な抗癌剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、抗癌剤が、従来の化学療法剤、標的治療剤、及び放射線治療剤から選択される。
【0067】
一つの実施形態では、本発明は、癌を治療するための方法を提供し、方法には、癌を治療するために、式Iで表される化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を、有効量で対象に投与することを含む:
【化6】
式中、RはH又は-C(=O)-X-Rであり、及びRはH又は-C(=O)-Y-Rであり、X及びYは、それぞれ独立的にO、CH又はCH(NH)である。ただし、R及びRは同時にHではない。
及びRは、それぞれ独立的にアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、及び置換ヘテロアルキルからなる群から選択される。
【0068】
特定の態様では、方法が、さらに、対象に抗癌剤を投与することを含む。
【0069】
特定の態様では、抗癌剤が、従来の化学療法剤、標的治療剤、放射線治療剤、及びこれらの混合物である。
【0070】
特定の態様では、抗癌剤は、シタラビン、デシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、カペシタビン、ソラフェニブ、スニチニブ、イダルビシン、ダウノルビシン、ブスルファン、エトポシド、ミトキサントロン、シクロホスファミド、チオペタ、ベンダムスチン、メルファラン、ビンクリスチン、ビノレルビン、エンチノスタット、デキサメタゾン、メトトレキサート、レナリドマイド、トポテカン、テムシロリムス、リツキシマブ、アレムツズマブ、フィルグラスチム、エプラツズマブ、及びサイモグロブリンからなる群から選択される。
【0071】
特定の態様では、組成物が、経口的に投与される。
【0072】
特定の態様では、組成物が、非経口的に投与される。
【0073】
特定の態様では、治療される癌は、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、乳癌、及び膵臓癌からなる群から選択される。
【0074】
適切な従来の化学療法剤は、アントラサイクリン系抗生物質、DNA合成阻害剤、アルキル化剤、抗葉酸剤、代謝阻害剤及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。アントラサイクリン系抗生物質の例は、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンなどを含むが、これらに限定されない。DNA合成阻害剤の例は、マイトマイシンC、5FU(5-フルオロウラシル)、カペシタビン、塩酸イリノテカン、チミタック(thymitaq)などを含むが、これらに限定されない。アルキル化剤の例は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ミトキサントロンなどを含むが、これらに限定されない。代謝阻害剤の例は、エトポシド、ロットレリンなどを含むが、これらに限定されない。抗葉酸剤の例は、ノラトレキシドなどを含むが、これらに限定されない。
【0075】
標的癌療法は、単に急速に分裂する細胞を妨害すること(例えば、従来の化学療法剤との併用)ではなく、発癌及び癌増殖に必要とされる特定の標的分子を妨害することによって癌細胞の増殖を阻害する薬物療法である。標的癌療法には、キナーゼ阻害剤、血管新生阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、HER2/neu受容体、又はそれらの組み合わせを含むことができる。キナーゼ阻害剤の例は、ラパチニブ、ソレフェニブ(sorefenib)、スニチニブ、エロチニブ(erotinib)、ABT-869、ARQ197などを含むが、これらに限定されない。血管新生阻害剤の例は、アバスチン、ブリバニブ、ベバシズマブ、ラムシルマブなどを含むが、これらに限定されない。EGFR阻害剤の例は、セツキシマブ、ゲフィチニブなどを含むが、これらに限定されない。HER2/neu受容体の例は、トラスツズマブなどを含むが、これらに限定されない。
【0076】
放射線治療薬は、癌治療の治療分野において従来から採用されているものであり、かつ、例えば、放射性核及びX線からのアルファ(α)、ベータ(β)、及びガンマ(γ)線などの化学結合イオン化に十分なエネルギーを有する光子を含む。放射線は、高LET(線エネルギー付与)か低LETのいずれかである。LETは、距離の単位長さあたりに転送されるエネルギーである。高LETは密な電離放射線と言われ、低LETは希薄な電離放射線と言われる。高LETの代表的な例は、中性子及びアルファ粒子である。低LETの代表的な例は、X線及びガンマ線である。癌患者の放射線療法には、X線とγ線との両方を含む低LET放射線が最も一般的に使用される。放射線は、通常外来で与えられる外部放射線療法、又は、腫瘍と非常に近い場所又は腫瘍の内部に配置された放射線を使用する内部放射線療法に使用することができる。内部放射線療法の場合に、放射線源は通常インプラントと呼ばれる小さなホルダーに密封される。インプラントは、細いワイヤ、カテーテルと呼ばれるプラスチックチューブ、リボン、カプセル、又は種子の形態とし得る。インプラントは直接体内に入れる。内部放射線療法では、入院が必要になることがあります。電離放射線源は、単位線量の放射線として提供され、かつ、線源を容易にオンオフすることができる便利な調節可能な投与、最小限の廃棄問題などの多くの利点を提供するため、X線管であることが好ましい。放射線の単位線量は、通常、グレイ(Gy)で測定される。電離放射線源は、固体放射性同位体源(例えば、ワイヤ、ストリップ、ペレット、シード、ビーズなど)などの放射性同位体、又は液体放射性同位体充填バルーンを含んでもよい。後者の場合に、バルーンは、バルーンから体腔又は血流への放射性同位体物質の漏出を防ぐように特別に構成される。さらに、電離放射線源は、ペレット又は液体のような放射性同位体材料を受容するためのカテーテル本体内の容器を含み得る。放射性同位体材料は、α、β及びγを放出するように選択されてもよい。通常、α及びβ放射線は、それらが周囲の組織によって迅速に吸収され、治療される体腔の壁を実質的に越えて貫通しないので、好ましい。したがって、心臓及び治療領域に隣接する他の器官への付随的な照射を実質的に排除することができる。提供される単位の総数は、電離放射線を用いる治療において当業者によって治療的に有効であると決定される量である。この量は、対象、及び治療される悪性腫瘍又は腫瘍の種類によって変更される。量は変更されることがあるが、患者は数週間にわたって約30~75 Gyの投与量を受けることがある。
【0077】
さらなる抗癌剤は、20-エピ-l,25ジヒドロキシビタミン D3、4-イポメアノール、5-エチニルウラシル、9-ジヒドロタキソール、アビラテロン、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール、アクロニン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、all-tk拮抗薬、アルトレタミン、アムバムスチン(ambamustine)、アンボマイシン(ambomycin)、酢酸アメタントロン、アミドックス(amidox)、アミホスチン、アミノグルテチミド、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管新生阻害剤、拮抗薬D、拮抗薬G、アンタレリックス(antarelix)、アントラマイシン、抗ドーサライジング形成タンパク質-1、アンチエストロゲン、アンチネオプラストン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィディコリングリシネート、アポトーシス遺伝子モジュレータ、アポトーシスレギュレータ、アプリン酸、ARA-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン、アトリムスチン(atrimustine)、アキシナスタチン1(axinastatin 1)、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザシチジン、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン(azatyrosine)、アゼテパ、アゾトマイシン(azotomycin)、バッカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、ベンゾクロリン、ベンゾデパ(benzodepa)、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、ベータラクタム誘導体、ベータアレチン(beta-alethine)、ベータクラマイシンB(betaclamycin B)、ベツリン酸、BFGF阻害剤、ビカルタミド、ビスアントレン、塩酸ビスアントレン、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド、ビスナフィドジメシレート、ビストラテンA(bistratene A)、ビセレシン、ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、BRC/ABL拮抗薬、ブレフレート(breflate)、ブレキナルナトリウム、ブロピリミン、ブドチタン(budotitane)、ブスルファン、ブチオニンスルホキシミン、カクチノマイシン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カルステロン、カンプトテシン誘導体、カナリポックスIL-2(canarypox IL-2)、カペシタビン、カラセミド(caracemide)、カルベチマー(carbetimer)、カルボプラチン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、carest M3、カルムスチン、cam 700、軟骨由来阻害剤、塩酸カルビシン、カルゼルシン、カゼインキナーゼ阻害剤、カスタノスペルミン、セクロピンB、セデフィンゴル(cedefingol)、セトロレリックス、クロラムブシル、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、cis-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA(collismycin A)、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン(conagenin)、クランベシジン816、クリスナトール(crisnatol)、クリスナトールメシレート、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA(curacin A)、シクロペンタントラキノン類(cyclopentanthraquinones)、シクロホスファミド、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビン、シタラビンオクホスフェート(cytarabine ocfosfate)、細胞溶解因子、シトスタチン(cytostatin)、ダカルバジン、ダクリキシマブ(dacliximab)、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、デキソルマプラチン(dexormaplatin)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、デクスベラパミル(dexverapamil)、デザグアニン(dezaguanine)、デザグアニンメシレート、ジアジクオン、ダイデムニンB(didemnin B)、ジドックス(didox)、ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine)、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine)、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン(droloxifene citrate)、プロピオン酸ドロモスタノロン、ドロナビノール、デュアゾマイシン(duazomycin)、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン(ecomustine)、エダトレキサート、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ、エフロミチン(eflomithine)、塩酸エフロミチン、エレメン(elemene)、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エミテフール、エンロプラチン(enloplatin)、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、エピルビシン、塩酸エピルビシン、エプリステリド(epristeride)、エルブロゾール(erbulozole)、赤血球遺伝子治療ベクターシステム、塩酸エソルビシン(esorubicin hydrochloride)、エストラムスチン、エストラムスチン類似体、エストラムスチンリン酸ナトリウム(estramustine phosphate sodium)、エストロゲン作用薬、エストロゲン拮抗薬、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン(etoprine)、エキセメスタン、ファドロゾール、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン(flezelastine)、フロクスウリジン、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン、リン酸フルダラビン、塩酸フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin hydrochloride)、フルオロウラシル、フルオロシタビン(fluorocitabine)、フォルフェニメクス(forfenimex)、フォルメスタン、フォスキドン(fosquidone)、フォストリエシン、フォストリエシンナトリウム(fostriecin sodium)、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン(galocitabine)、ガニレリックス(ganirelix)、ゲラチナーゼ阻害剤(gelatinase inhibitors)、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファン(hepsulfam)、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒドロキシウレア、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、塩酸イダルビシン、イドキシフェン、イダラマントン(idramantone)、イホスファミド、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン(imidazoacridones)、イミキモド、免疫賦活ペプチド(immunostimulant peptides)、インスリン様成長因子-1(insulin-like growth factor-1)阻害剤、インターフェロン作用薬、インターフェロンアルファ-2A、インターフェロンアルファ-2B、インターフェロンアルファ-Nl、インターフェロンアルファ-N3、インターフェロンベータ-IA、インターフェロンガンマ-IB、インターフェロン、インターロイキン、ヨーベングアン、ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin)、イプロプラチン(iproplatin)、イリノテカン、塩酸イリノテカン、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン、イソベンガゾール(isobengazole)、イソホモハリコンドリンB(isohomohalicondrin B)、イタセトロン(itasetron)、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリドF(kahalalide F)、ラメラリン-Nトリアセテート(lamellarin-N triacetate)、ランレオチド、酢酸ランレオチド、レイナマイシン(leinamycin)、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球アルファインターフェロン、酢酸リュープロリド、リュープロリド/エストロゲン/プロゲステロン、リュープロレリン、レバミソール、リアロゾール、塩酸リアロゾール、線状ポリアミン類似体(linear polyamine analog)、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リソクリナミド7(lissoclinamide 7)、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメテレキソール、ロメテレキソールナトリウム、ロムスチン、ロニダミン、ロソキサントロン、塩酸ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ラルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン(lysofylline)、溶解性ペプチド(lytic peptides)、メイタンシン(maitansine)、マンノスタチンA(mannostatin A)、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリライシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、マイタンシン(maytansine)、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルバロン、メルカプトプリン、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メトクロプラミド、メトプリン(metoprine)、メツレデパ(meturedepa),微細藻類のプロテインキナーゼC阻害剤(microalgal protein kinase C inhibitors)、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二重鎖RNA(mismatched double stranded RNA)、ミチンドミド、ミトカルシン(mitocarcin)、ミトクロミン(mitocromin)、ミトギリン、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、マイトマイシン類似体、ミトナフィド(mitonafide)、マイトスペル(mitosper)、ミトタン、マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン(mitotoxin fibroblast growth factor-saporin)、ミトキサントロン、塩酸ミトキサントロン、モファロテン(mofarotene)、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリルリピドa/ミオバクテリウム細胞壁SK(monophosphoryl lipid a/myobacterium cell wall SK)、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤(multiple drug resistance gene inhibitors)、多種腫瘍サプレッサー1-ベース治療(multiple tumor suppressor l-based therapy)、マスタード(mustard)抗癌剤、マイカペルオキシドB(mycaperoxide B)、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミコフェノール酸、ミリアポロン(myriaporone)、n-アセチルジナリン、ナファレリン、ナグレスチップ(nagrestip)、ナロキソン/ペンタゾシン、ナパビン(napavin)
、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸(neridronic acid)、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン(nisamycin)、一酸化窒素モジュレータ、窒素酸化物抗酸化物、ニトルリン(nitrullyn)、ノコダゾール、ノガラマイシン、n-置換ベンズアミド、06-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン(okicenone)、オリゴヌクレオチド、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン、オラシン(oracin)、経口サイトカインインデューサー、オルマプラチン、オサテロン(osaterone)、オキサリプラチン、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、オキシスラン(oxisuran)、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン(panomifene)、パラバクチン、パゼルリプチン(pazelliptine)、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン(pentamustine)、ペントサンポリ硫酸ナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール(pentrozole)、硫酸ペプロマイシン、ペルフルブロン(perflubron)、ペルホスファミド(perfosfamide)、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、酢酸フェニル、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピポブロマン、ピポスルファン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone hydrochloride)、プラセチンA(placetin A)、プラセチンB、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、プリカマイシン、プロメスタン(plomestane)、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、塩酸プロカルバジン、プロピルビスアクリドン(propyl bis-acridone)、プロスタグランジンJ2、前立腺癌抗アンドロゲン(prostatic carcinoma antiandrogen)、プロテアソーム阻害剤、プロテインA-ベース免疫モジュレータ(protein A-based immune modulator)、プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、プルプリン(purpurins)、ピラゾフリン(pyrazofurin)、ピラゾロアクリジン(pyrazoloacridine)、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン結合体(pyridoxylated hemoglobin polyoxyethylene conjugate)、RAF拮抗薬、ラルチトレキセド(raltitrexed)、ラモセトロン、RASファルネシルプロテイントランスフェラーゼ阻害剤、RAS阻害剤、RAS-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン(retelliptine demethylated)、レニウムRE186エチドロン酸塩(rhenium RE 186 etidronate)、リゾキシン、リボプリン(riboprine)、リボザイム、RIIレチナミド、RNAi、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ロムルチド、ロキニメックス(roquinimex)、ルビギノンBl(rubiginone Bl)、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、サイントピン(saintopin)、sarcnu、サルコフィトールA(sarcophytol A)、サルグラモスチム、SDI 1模倣物、セムスチン、老化由来阻害剤1(senescence derived inhibitor 1)、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達モジュレータ、シムトラゼン(simtrazene)、単鎖抗原結合性タンパク質、シゾフラン(sizofuran)、ソブゾキサン、ボロカプテートナトリウム(sodium borocaptate)、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン(sonermin)、スパルホサートナトリウム(sparfosate sodium)、スパルホシン酸(sparfosic acid)、スパルソマイシン、スピカマイシンD(spicamycin D)、塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium hydrochloride)、スピロマスチン(spiromustine)、スピロプラチン(spiroplatin)、スプレノペンチン(splenopentin)、スポンギスタチン1(spongistatin 1)、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド(stipiamide)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ストロメライシン阻害剤、スルフィノシン(sulfinosine)、スロフェヌル(sulofenur)、超活性血管作動性腸管ペプチド拮抗薬(superactive vasoactive intestinal peptide antagonist)、スラジスタ(suradista),スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリソマイシン、タリムスチン(tallimustine)、タモキシフェンメチオジド(tamoxifen methiodide)、タウロムスチン(tauromustine)、タザロテン、テコガランナトリウム(tecogalan sodium)、テガフール、テルラピリリウム(tellurapyrylium)、テロメラーゼ阻害剤、塩酸テロキサントロン(teloxantrone hydrochloride)、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン、テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide)、テトラゾミン(tetrazomine)、タリブラスチン(thaliblastine)、サリドマイド、チアミプリン(thiamiprine)、チオコラリン(thiocoraline)、チオグアニン、チオテパ、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物(thrombopoietin mimetic)、チマルファシン(thymalfasin)、チモポエチン受容体作動薬、サイモトリナン(thymotrinan)、甲状腺刺激ホルモン、チアゾフリン、エチルエチオプルプリンすず、チラパザミン(tirapazamine)、二塩化チタノセン、塩酸トポテカン、トプセンチン(topsentin)、トレミフェン、クエン酸トレミフェン、全能性幹細胞因子(totipotent stem cell factor)、翻訳阻害剤、酢酸トレストロン(trestolone acetate)、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン(triciribine)、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン(triptorelin)、トロピセトロン(tropisetron)、塩酸ツブロゾール(tubulozole hydrochloride)、ツロステリド(turosteride)、チロシンキナーゼ阻害剤、チロホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス(ubenimex)、ウラシルマスタード、ウレデパ(uredepa)、尿生殖洞由来増殖阻害因子(urogenital sinus-derived growth inhibitory factor)、ウロキナーゼ受容体拮抗薬、バプレオチド、バリオリンB、ベラレソール(velaresol)、ベラミン(veramine)、ベルディン(verdins)、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン(vinepidine sulfate)、硫酸ビグリシネート(vinglycinate sulfate)、硫酸ビネルロシン(vinleurosine sulfate)、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビノロシジン(vinrosidine sulfate)、ビンキサルチン(vinxaltine)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine sulfate)、ビタキシン(vitaxin)、ボロゾール(vorozole)、ザノテロン(zanoterone)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジラスコルブ(zilascorb)、ジノスタチン、ジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)、又は塩酸ゾルビシン(zorubicin hydrochloride)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、メトトレキサート、タキソール、L‐アスパラギナーゼ、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン(procarbizine)、トポテカン、ナイトロジェンマスタード、シトキサン、エトポシド、5-フルオロウラシル、BCNU、イリノテカン、カンプトテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、及びドセタキセルから選択される。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、ザルツムマブ、ミノツズマブ(minotuzumab)、及びマツズマブから選択されるが、これらに限定されない。
【0078】
上記のような化合物及び組成物は、発明の方法に使用される際に、任意の適切な経路を介して投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物又は組成物が経口的に投与される。いくつかの実施形態では、化合物又は組成物が非経口的に投与される。他の投与経路も本発明の方法に有用であり得る。
【0079】
発明の方法によれば、多くの癌を治療することができる。本発明の方法を用いた治療が考えられる癌には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、非小細胞肺癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻癌、咽頭癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、神経膠腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫瘍、乏突起膠腫、髄膜腫、皮膚癌、黒色腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫などの固形腫瘍を含む。癌には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病、T細胞急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化型白血病、慢性骨髄球性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、及び多発性骨髄腫などの血液・骨癌も含む。癌には、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ性、及び骨髄球性白血病などの急性及び慢性白血病も含む。癌には、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病、及び真性赤血球増加症などのリンパ腫も含む。発明のいくつかの実施形態は、上記のような癌を治療する方法を提供し、その中、癌は、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、乳癌及び膵臓癌から選択される。
【0080】
関連の一態様において、発明は、癌細胞の増殖を阻害するための方法を提供する。方法は、細胞と、有効量の発明に係る化合物のいずれかとを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、さらに、細胞を抗癌剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、シタラビン、デシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、アザシチジン、カペシタビン、ソラフェニブ、スニチニブ、イダルビシン、ダウノルビシン、ブスルファン、エトポシド、ミトキサントロン、シクロホスファミド、チオペタ、ベンダムスチン、メルファラン、ビンクリスチン、ビノレルビン、エンチノスタット、デキサメタゾン、メトトレキサート、レナリドマイド、トポテカン、テムシロリムス、リツキシマブ、アレムツズマブ、フィルグラスチム、エプラツズマブ、及びサイモグロブリンから選択される。いくつかの実施形態では、抗癌剤は、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、ザルツムマブ、ミノツズマブ及びマツズマブから選択される。いくつかの実施形態では、癌細胞は、白血病細胞、リンパ腫細胞、異常血液細胞、乳癌細胞、及び膵臓癌細胞からなる群から選択される。

V.実施例
【0081】
以下に記載される反応において、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基団が最終生成物中に望まれる場合には、これらの反応性官能基を保護して、反応への望まれない関与を回避することが必要かもしれない。従来の保護基は、実施基準に従って使用することができ、例えば、「プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・ケミストリー(Protective groups in Organic Chemistry)」、T.W. Greene及びP. G. M. Wuts著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)(1999年)を参照する。

[製造方法]
【0082】
下記のスキームIは、式Iの化合物を製造するための発明の様々な方法を示す。実施例1において詳細に記載されているように、市販のクロラフラビン()から始まり、BocO、NaOH、THF、HOを用いて、化合物を合成する(方法A)。スキームで示されるように、化合物は、から始まり、ROC(=O)Cl、TMEDA、CHClの方法Bを使用することによって製造されたジカルボナートである。化合物は、から始まり、方法Cを使用することによって、優れた収率で製造された。
【0083】
発明の他の方法は、スキームに示される。例えば、化合物から始まり、方法Dを使用することによって、化合物1618又は類似物を用意する。方法C又はEは、16又は18又は類似物から始まり、化合物17又は20(又は類似物)を用意するために使用される。

スキームI.
【化7】

実施例1
【0084】
方法A:(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)オキソラン()の調製
【化8】
【0085】
クロファラビン(1.0g、3.3mmol)と、水酸化ナトリウム(265mg、6.6mmol)と、テトラヒドロフラン26mLと、水7mLとの溶液に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(791mg、3.6mmol)を添加した。反応混合物を、室温で18時間撹拌し、真空中で濃縮し、そしてEtOAcで2回抽出した。有機抽出物を併合し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製し(1:1→2:1→4:1 EtOAc/ヘキサン)、を無色固体として供給した(793mg、収率58%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.33(s,1H),7.99(s,2H),6.40-6.35(dd,1H),5.63-5.51(d,1H),5.39-5.35(d,1H),5.22(t,1H),4.12(s,1H),3.73(t,2H),1.50(s,9H)。
【0086】
方法B:(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-2-(エトキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン()の調製
【化9】
【0087】
(100mg、0.25mmol)と、テトラメチルエチレンジアミン(58mg、0.5mmol)と、ジクロロメタン2.5mLとの溶液に、0°Cでエチルクロロホルメート(30mg、0.27mmol)を添加した。反応混合物を、室温まで昇温し、1時間撹拌し、そして真空中で濃縮した。残渣をEtOAcと水とに分配し、そして水層をEtOAcで再抽出した。有機抽出物を併合し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すること(1:2 EtOAc/ヘキサン)により、を無色固体として与えた(99mg、収率84%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.24(s,1H),7.98(s,2H),6.44-6.39(dd,1H),5.70-5.58(tt,1H),5.48-5.44(d,1H),4.54-4.43(m,2H),4.38-4.35(m,1H),4.19-4.14(m,2H),1.50(s,9H),1.26-1.22(t,3H).
【0088】
方法C:(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-(エトキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン-3-オール()の調製
【化10】
【0089】
(99mg、0.21mmol)と、イソプロピルアルコール1mLと、水1mLとの溶液を、90~100°Cで加熱しながら2時間撹拌し、室温まで冷却し、そして真空中で濃縮した。残渣をEtOAcと水とに分配し、そして水層をEtOAcで再抽出した。有機抽出物を併合し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮することにより、を無色固体として提供した(76mg、収率99%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23-8.22(d,1H),7.96(s,2H),6.45-6.35(dd,1H),6.21(s,1H),5.45-5.15(tt,1H),4.57-4.41(m,3H),4.21-4.09(m,3H),1.27-1.20(t,3H).

実施例2
【0090】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-2-(ブチルオキシカルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン()の調製
【化11】
【0091】
方法Bとブチルクロロホルメートとを使用し、に変更した(無色固体、収率96%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.24(s,1H),7.98(s,2H),6.44-6.39(dd,1H),5.70-5.57(tt,1H),5.48-5.44(d,1H),4.54-4.44(m,2H),4.39-4.35(m,1H),4.14-4.11(t,2H),1.62-1.58(t,2H),1.50(s,9H),1.37-1.32(t,2H),0.92-0.88(t,3H).
【0092】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-(ブチルオキシ-カルボニルオキシメチル)-4-フルオロ-オキソラン-3-オール()の調製
【化12】
【0093】
方法Cを使用し、に変更した(無色固体、収率80%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23-8.22(d,1H),7.95(s,2H),6.45-6.35(dd,1H),6.25-6.22(d,1H),5.45-5.14(tt,1H),4.58-4.42(m,3H),4.19-4.08(m,3H),1.62-1.55(t,2H),1.38-1.31(t,2H),0.92-0.85(t,3H).

実施例3
【0094】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-カルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(2-メチルプロピルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン()の調製
【化13】
【0095】
方法Bとイソブチルクロロホルメートとを使用し、に変更した(無色固体、収率99%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.24(s,1H),7.98(s,2H),6.45-6.40(dd,1H),5.70-5.57(tt,1H),5.49-5.44(d,1H),4.55-4.45(m,2H),4.40-4.36(m,1H),3.93-3.91(d,2H),1.96-1.89(m,1H),1.50(s,9H),0.92-0.90(d,6H).
【0096】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(2-メチル-プロピルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール()の調製
【化14】
【0097】
方法Cを使用し、に変更した(無色固体、収率74%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23-8.22(d,1H),7.97(s,2H),6.45-6.36(dd,1H),6.22-6.20(d,1H),5.45-5.15(tt,1H),4.60-4.43(m,3H),4.12-3.90(m,3H),1.99-1.85(m,1H),0.92-0.89(d,6H).

実施例4
【0098】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシ-カルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ペンチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン()の調製
【化15】
【0099】
方法Bとアミルクロロホルメートとを使用し、に変更した(無色固体、収率94%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.24(s,1H),7.97(s,2H),6.44-6.39(dd,1H),5.70-5.57(tt,1H),5.48-5.44(d,1H),4.54-4.44(m,2H),4.39-4.35(m,1H),4.13-4.10(t,2H),1.63-1.60(t,2H),1.50(s,9H),1.31-1.30(m,4H),0.89-0.85(t,3H).
【0100】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ペンチルオキシ-カルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール()の調製
【化16】
【0101】
方法Cを使用し、に変更した(無色固体、収率66%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23(d,1H),7.96(s,2H),6.45-6.35(dd,1H),6.22-6.19(d,1H),5.45-5.14(tt,1H),4.60-4.42(m,3H),4.14-4.07(m,3H),1.64-1.57(t,2H),1.32-1.25(m,4H),0.90-0.87(t,3H).

実施例5
【0102】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン(10)の調製
【化17】
【0103】
方法Bとヘキシルクロロホルメートとを使用し、10に変更した(無色固体、収率76%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.23(s,1H),7.96(s,2H),6.44-6.39(dd,1H),5.70-5.57(tt,1H),5.48-5.43(d,1H),4.53-4.44(m,2H),4.38-4.36(m,1H),4.12-4.09(t,2H),1.61-1.58(t,2H),1.49(s,9H),1.30-1.23(m,6H),0.87-0.84(t,3H).
【0104】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヘキシルオキシ-カルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール(11)の調製
【化18】
【0105】
方法Cを使用し、1011に変更した(無色固体、収率81%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23(s,1H).7.96(s,2H),6.45-6.35(dd,1H),6.22-6.20(d,1H),5.42-5.16(tt,1H),4.57-4.44(m,3H),4.14-4.11(m,3H),1.60(s,2H),1.27(s,6H),0.86(s,3H).

実施例6
【0106】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシ-カルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(ヘプチルオキシカルボニルオキシメチル)オキソラン(12)の調製
【化19】
【0107】
方法Bとヘプチルクロロホルメートとを使用し、12に変更した(無色固体、収率88%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.23(s,1H).7.96(s,2H),6.44-6.39(dd,1H),5.70-5.57(tt,1H),5.48-5.43(d,1H),4.54-4.44(m,2H),4.39-4.34(m,1H),4.13-4.09(t,2H),1.61-1.58(t,2H),1.49(s,9H),1.31-1.22(m,8H),0.87-0.84(t,3H).
【0108】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヘプチルオキシ-カルボニルオキシメチル)オキソラン-3-オール(13)の調製
【化20】
【0109】
方法Cを使用し、1213に変更した(無色固体、収率50%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.23-8.22(d,1H),7.96(s,2H),6.45-6.35(dd,1H),6.23(s,1H),5.44-5.14(tt,1H),4.59-4.42(m,3H),4.14-4.07(m,3H),1.63-1.56(t,2H),1.25(s,8H),0.89-0.82(t,3H).

実施例7
【0110】
方法D:(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(3-フェニルプロパノールオキシメチル)オキソラン(14)の調製
【化21】
【0111】
(100mg、0.25mmol)と、3-フェニルプロパン酸(45mg、0.3mmol)と、4-ジメチルアミノピリジン(3mg、0.02mmol)と、ジクロロメタン2.5mLとの溶液に、0°CでΝ,Ν’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(61mg、0.3mmol)を添加した。反応混合物を、室温まで昇温し、18時間撹拌し、濾過し、そして真空中で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製し(1:2→1:1 EtOAc/ヘキサン)、14を提供した(無色油、収率99%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.25(s,1H),7.97(s,2H),7.30-7.18(m,5H),6.43-6.38(dd,1H),5.70-5.56(tt,1H),5.50-5.44(d,1H),4.46-4.36(m,2H),4.33-4.31(m,1H),2.90-2.86(t,2H),2.71-2.68(t,2H),1.49(s,9H).
【0112】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(3-フェニル-プロパノールオキシメチル)オキソラン-3-オール(15)の調製
【化22】
【0113】
方法Cを使用し、1415に変更した(無色固体、収率52%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.25-8.24(d,1H),7.96(s,2H),7.32-7.19(m,5H),6.44-6.35(dd,1H),6.19(s,1H),5.46-5.15(tt,1H),4.59-4.49(d,1H),4.41-4.33(m,2H),4.10-4.00(m,1H),2.91-2.84(t,2H),2.73-2.66(t,2H).

実施例8
【0114】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-3-tert-ブチルオキシ-カルボニルオキシ-4-フルオロ-2-(3-(3-ピリジル)プロパノールオキシメチル)オキソラン(16)の調製
【化23】
【0115】
方法Dと3-(3-ピリジル)プロパン酸とを使用し、16に変更した(無色固体、収率94%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.48(s,1H),8.42-8.41(d,1H),8.27(s,1H),8.00(s,2H),7.68-7.67(d,1H),7.31-7.28(t,1H),7.43-7.38(dd,1H),5.70-5.58(d,1H),5.49-5.44(d,1H),4.46-4.37(m,2H),4.34-4.30(m,1H),2.91-2.88(t,2H),2.77-2.73(t,2H),1.49(s,9H).
【0116】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(3-(3-ピリジル)プロパノールオキシメチル)オキソラン-3-オール(17)の調製
【化24】
【0117】
方法Cを使用し、1617に変更した(無色固体、収率73%):HNMR(400MHz,DMSO-d)δ8.49(s,1H),8.43-8.41(d,1H),8.25(s,1H),7.96(s,2H),7.69-7.67(d,1H),7.32-7.29(t,1H),6.42-6.37(dd,1H),6.19-6.17(d,1H),5.38-5.24(d,1H),4.57-4.51(d,1H),4.40-4.31(m,2H),4.06(s,1H),2.90(t,2H),2.75(t,2H).

実施例9
【0118】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノールオキシメチル]-3-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-4-フルオロ-オキソラン(18)の調製
【化25】
【0119】
方法DとN-Boc-L-アラニンとを使用し、18に変更した(無色固体、収率83%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.27-8.26(d,1H),7.99(s,2H),7.39-7.35(d,1H),6.46-6.35(dd,1H),5.75-5.38(tt,1H),5.49-5.48(d,1H),4.44-4.43(m,2H),4.36-4.31(t,1H),4.11-4.01(m,1H),1.50(s,9H),1.38(s,9H),1.29-1.25(d,3H).
【0120】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)プロパノールオキシメチル]-4-フルオロ-オキソラン-3-オール(19)の調製
【化26】
【0121】
方法Cを使用し、1819に変更した(無色固体、収率93%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.24-8.23(d,1H),7.95(s,2H),7.38-7.35(d,1H),6.44-6.35(dd,1H),6.18(s,1H),5.44-5.14(tt,1H),4.59-4.44(tt,1H),4.40-4.36(m,2H),4.11-4.00(m,2H),1.38(s,9H),1.29-1.25(d,3H).
【0122】
方法E:(2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロプリン-9-イル)-2-[(2S)-2-アミノプロパノールオキシメチル]-4-フルオロ-オキソラン-3-オール(20)の調製
【化27】
【0123】
18(100mg、0.17mmol)とジクロロメタン1.5mLとの溶液に、0°Cでトリフルオロ酢酸(0.5mL)をゆっくり添加した。得られた反応混合物を、室温まで昇温し、2時間撹拌し、そして重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、さらにEtOAcで2回抽出した。有機抽出物を併合し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空中で濃縮することにより、20を無色固体として供給した(54mg、収率79%):HNMR(200MHz,DMSO-d)δ8.26-8.25(d,1H),7.96(s,2H),6.44-6.35(dd,1H),6.21(s,1H),5.45-5.15(tt,1H),4.60-4.51(d,1H),4.39-4.36(m,2H),4.12-4.07(m,1H),1.22-1.18(d,3H).

実施例10
【0124】
方法F:ヒト血漿を用いたインビトロ代謝変換アッセイ。代表的な化合物(実施例1、化合物)を、15μg/mLでヒト血漿(Innovative Research)と共にインキュベートした。インキュベーションは、37℃において、振とう水浴中で行った。0、10、30及び60分で試料を採取し、25μLのトリフルオロ酢酸で急冷し、次いで、4℃で、25,000gで3分間遠心分離した。各サンプルの上清を収集し、そしてHPLCを使用して分析し、クロラファラビンの形成をモニターした。図1は、37℃で行われたインキュベートの結果を示す。
【0125】
ヒト血漿と共に60分間、37℃でインキュベートした後、その代謝産物としてのクロファラビンの形成と共にの減少が観察された。

実施例11
【0126】
方法G:ヒトU-937リンパ腫細胞株を用いたインビトロ抗増殖アッセイ。代表的な化合物(実施例1、化合物)のヒトU-937リンパ腫細胞株(Bioresource Collection and Research Center)に対する抗増殖活性を、10μM~0.005μMの範囲における様々な濃度で、3連(in triplicates)で評価した。インキュベーションは、37℃、5%CO、加湿雰囲気下で、72時間行った。インキュベーションした後に、CellTiter 96 Aqueous Non-Radioactive Cell Proliferation Assay(Promega)によって、細胞生存率を測定した。化合物は、ヒトU-937リンパ腫細胞の増殖を効果的に阻害することが見出され、IC50値が約0.082±0.003μMであった。
【0127】
明確さと理解のために、前述のものは図面及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内である変更や修正を実施できることを理解するべきである。さらに、本明細書に提供される各参考文献は、各参考文献がそれぞれ単独で参照により援用されるのと同程度に、それらの全体が参照により援用される。
図1