(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】断熱性熱源を備えたエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
A24F 42/60 20200101AFI20240109BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20240109BHJP
A24D 1/22 20200101ALI20240109BHJP
【FI】
A24F42/60
A24F47/00
A24D1/22
(21)【出願番号】P 2019560222
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2018064297
(87)【国際公開番号】W WO2018220082
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-27
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】デュック ファビアン
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-246365(JP,A)
【文献】特表2017-500852(JP,A)
【文献】特開昭62-269676(JP,A)
【文献】特開平03-039077(JP,A)
【文献】特開平03-019684(JP,A)
【文献】特開平04-263698(JP,A)
【文献】特許第6992008(JP,B2)
【文献】特表2019-520053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 42/60
A24F 47/00
A24D 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体と、
可燃性熱源と、
前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む、セラミック紙の少なくとも一つの層と、を備え、
前記セラミック紙の少なくとも一つの層がセルロース誘導体結合剤およびアルカリ土類シリケートを含む繊維を含み、前記
繊維が、
生体溶解性繊維、
低生体内持続性繊維、および、
二酸化ケイ素、酸化カルシウム、および酸化マグネシウムのうちの少なくとも一つを含む繊維、
のうちの少なくとも一つを含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記セラミック紙の少なくとも一つの層が、約40重量パーセント以下のセルロース誘導体結合剤を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
それに沿って、ユーザー吸入用に前記エアロゾル発生物品を通して空気が引き出されうる一つ以上の気流経路を含む、請求項1~2のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記可燃性熱源と前記エアロゾル形成基体との間に一つ以上の不燃性の
不通気性のバリアを備える、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記可燃性熱源と前記エアロゾル形成基体との間の前記不燃性の
不通気性のバリアが、前記可燃性熱源の近位端と前記エアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に当接する、第一のバリアを備える、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記セラミック紙の少なくとも一つの層が、前記一つ以上の気流経路から分離され、そのため、使用時に、前記一つ以上の気流経路に沿って前記エアロゾル発生物品を通じて引き出される空気が、前記セラミック紙の少なくとも一つの層に直接接触しない、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記可燃性熱源の燃焼の間に、前記エアロゾル形成基体の温度が375℃を超えない、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記セラミック紙の少なくとも一つの層が、少なくとも約50重量パーセントのセラミック材料を含む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記セラミック紙の少なくとも一つの層が、約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの厚さを有する、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
可燃性熱源を配置して、エアロゾル形成基体を加熱することと、
セルロース誘導体結合剤およびアルカリ土類シリケートを含む繊維を含むセラミック紙の少なくとも一つの層を用いて、前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むことと、を含み、前記
繊維が、
生体溶解性繊維、
低生体内持続性繊維、および、
二酸化ケイ素、酸化カルシウム、および酸化マグネシウムのうちの少なくとも一つを含む繊維、
のうちの少なくとも一つを含む、請求項1~9に記載のエアロゾル発生物品の形成方法。
【請求項11】
セラミック紙の少なくとも一つの層を用いて、前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むことが、
対向する端を有するセルロース誘導体結合剤を含む細片のセラミック紙を提供することと、
前記可燃性熱源がセラミック紙の少なくとも一つの層によって囲まれるように、前記可燃性熱源に前記細片を巻くことと、
前記細片の前記対向する端を重ね合わせることと、
前記重なり合う端を一緒に固定して、前記セラミック紙の少なくとも一つの層を前記可燃性熱源に固定することと、を含む、請求項10に記載のエアロゾル発生物品の形成方法。
【請求項12】
セラミック紙の少なくとも一つの層を用いて、前記可燃性熱源の前記長さの少なくとも一部分を囲むことが、
対向する端を有するセルロース誘導体結合剤を含む細片のセラミック紙を提供することと、
少なくとも前記対向する端のそれぞれに、前記細片の一方の側面に接着層を適用することと、
前記接着層が前記可燃性熱源に面するように前記細片を配置することと、
前記可燃性熱源が前記セラミック紙の少なくとも一つの層によって囲まれるように、前記可燃性熱源に前記細片を巻くことと、
前記対向する端を重ね合わせることなく、前記細片の前記対向する端を当接させることと、
前記接着層を用いて、前記可燃性熱源に前記細片を固定することと、を含む、請求項10に記載のエアロゾル発生物品の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体および可燃性熱源を備えるエアロゾル発生物品と、こうしたエアロゾル発生物品を形成するための方法と、に関連する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くのエアロゾル発生物品も、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」エアロゾル発生物品の一つの目的は、可燃性紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を低減させることである。一つの公知のタイプの加熱式エアロゾル発生物品では、可燃性熱源から可燃性熱源に隣接して位置されるエアロゾル形成基体への熱の移動によりエアロゾルが生成される。エアロゾル発生の間、揮発性化合物は、可燃性熱源からの熱伝達によりエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
加熱式エアロゾル発生物品で使用するための可燃性熱源の燃焼温度は、加熱式エアロゾル発生物品の使用中のエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解をもたらすほど高くなるべきでない。ところが、可燃性熱源の燃焼温度は、エアロゾル形成基体から十分な揮発性化合物を放出して、特に吸い始めに容認可能なエアロゾルを生成するために十分な熱を生成するのに十分に高いものであるべきである。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品で使用するための各種の可燃性熱源が、当技術分野において提案されてきた。加熱式エアロゾル発生物品で使用するための可燃性熱源の燃焼温度は、一般的には、約600℃~800℃である。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品の表面温度を低減するために、加熱式エアロゾル発生物品の可燃性熱源の周辺を断熱部材で包むことは公知である。しかし、こうした断熱部材は、可燃性熱源の燃焼中に可燃性熱源の温度を低減し、エアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体の加熱における熱源の有効性を潜在的に低減しうることが分かっている。この影響は、特に、断熱部材が可燃性熱源の長さを実質的に延在する場合に顕著である。こうした断熱部材はまた、可燃性熱源の持続的な燃焼を阻害し、そのため可燃性熱源の燃焼の持続時間が減少されうる。
【0006】
熱源の近傍で表面温度が低く、容認できる外観をもち、単純で信頼できる方法で組み立てられうるエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。また、吸い始めおよび吸い終わりの両方で容認可能なエアロゾルを発生するエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成基体と、可燃性熱源と、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むセラミック紙の少なくとも一つの層と、を含むエアロゾル発生物品が提供されている。セラミック紙の少なくとも一つの層は、セルロース誘導体を含む。
【0008】
使用時に、可燃性熱源は、ライターなどの外部熱源によって点火されてもよく、燃焼が開始されうる。可燃性熱源は、エアロゾル形成基体の揮発性化合物が気化するように、エアロゾル形成基体を加熱しうる。ユーザーがエアロゾル発生物品で吸い込んだ時、空気は、エアロゾル発生物品内に引き出され、加熱式エアロゾル形成基体からの蒸気と混合してエアロゾルを形成しうる。エアロゾルは、エアロゾル発生物品の外へ引き出され、ユーザーによる吸入のためにユーザーに送達されうる。
【0009】
可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源を断熱しうる。このことは、可燃性熱源におけるエアロゾル発生物品の表面温度を低減しうる。セラミック紙の少なくとも一つの層はまた、可燃性熱源の燃焼が実質的に妨げられないように、十分な空気が層を通ることを可能にしうる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「紙」という用語は、薄いマットまたは繊維のシートを記述するために用いられる。一般的には、本明細書に記載の紙は、薄いシートまたはマットに圧縮された繊維のパルプから製造される。本発明の紙は、織布繊維を含みうる。しかし、本発明の紙は、一般的に、不織布繊維を含む。本発明の紙の繊維は、ランダムに織り込まれうる。本明細書に記載の紙は、全体的に薄い。別の言い方をすると、マットまたは繊維のシートの厚さまたは深さは、マットまたはシートの長さおよび幅などのマットまたはシートのその他の寸法よりも実質的に小さい。本明細書に記載の紙は、一般的に可撓性である。別の言い方をすると、本明細書に記載の紙は、紙が可燃性熱源の少なくとも一部分を囲むように、可燃性熱源の周囲を包み込むために曲げられ、または形成されうる。
【0011】
本明細書に使用される場合、「セラミック紙」という用語は、セラミック材料を含む紙を記述するために使用される。別の言い方をすると、「セラミック紙」という用語は、セラミック材料を含む繊維の薄いマットまたはシートを記述するために使用される。本明細書に使用される場合、「セラミック紙」および「セラミック繊維紙」という用語は、互換的に使用される。
【0012】
本発明のセラミック紙は、セラミック材料の繊維を含む。セラミック紙は、セラミック材料の織布繊維を含みうる。セラミック紙は、セラミック材料の不織布繊維を含みうる。セラミック紙は、セラミック繊維の原綿、セラミック繊維の詰め綿、およびセラミック繊維の綿毛のうちの少なくとも一つを含む、繊維状のセラミック材料を含みうる。一部の実施形態では、セラミック紙は、セラミック材料の繊維のみを含んでもよい。別の言い方をすると、一部の実施形態では、セラミック紙は、非セラミック材料の繊維を含まなくてもよい。
【0013】
セラミック紙は、粒子状のセラミック材料を含むその他の形態のセラミック材料を含んでもよい。セラミック紙は、例えば、繊維状のセラミック材料および粒子状のセラミック材料などの、二つ以上の形態のセラミック材料を含みうる。
【0014】
セラミック材料は、適切な任意のセラミック材料を含みうる。セラミック材料は、結晶質のセラミック材料を含みうる。セラミック材料は、半晶質のセラミック材料を含みうる。セラミック材料は、非晶質のセラミック材料を含みうる。セラミック材料は、無定形であってもよい。セラミック材料は、半晶質であってもよい。セラミック材料は、結晶質であってもよい。
【0015】
本明細書に使用される場合、「セラミック材料」という用語は、ガラスを包含する。本明細書で使用される場合、「ガラス」という用語は、ガラス転移温度におけるガラス転移を示す材料を記述するために用いられる。一般的には、「ガラス」という用語は、非晶質または無定形の固体材料を記述するために本明細書で用いられる。しかし、「ガラス」という用語はまた、結晶質成分および非晶質成分を含む材料を包含する。結晶質成分と非晶質成分の両方を含むガラス材料は、「ガラスセラミック」材料として言及されうる。
【0016】
本発明のガラス材料の属性は、ガラスの形成方法によって定められうる。本明細書で使用される場合、「ガラス」という用語は、任意の適切な方法によって形成されたガラスを包含する。ガラスを形成する適切な方法には、溶解焼入れ、物理的蒸着、熱化学および機械化学反応を含む固体状態反応、ゾルゲル方法などの液体状態反応、放射アモルファス化などの結晶性固体の放射、ならびに圧力アモルファス化(すなわち、高圧の作用に基づく形成)が含まれる。
【0017】
一部の実施形態では、セラミック材料はガラスを含んでもよい。セラミック材料は、ガラスであってもよい。ガラスは、ガラスセラミック材料であってもよい。セラミック紙は、ガラス繊維を含みうる。セラミック紙は、ガラスセラミック繊維を含みうる。
【0018】
一部の実施形態では、セラミック材料はガラスを含まなくてもよい。別の言い方をすると、セラミック材料は、ガラス以外の任意のセラミック材料を含みうる。セラミック材料は、ガラス材料でなくてもよい。セラミック材料は、ガラス繊維を含まなくてもよい。それらの実施形態では、セラミック材料は、一般的には、結晶質のセラミック材料を含む。
【0019】
セラミック材料は、酸化物、炭化物、ホウ化物、窒化物およびケイ化物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。例えば、セラミック材料は金属酸化物を含みうる。セラミック紙は、シリカ(SiO2)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al2O3)、および二酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの少なくとも一つを含んでもよく、それらのすべては、セラミック材料であると理解される。例えば、セラミック紙は、アルカリ土類シリケートウール、アルミナシリケートウールまたは多結晶ウールのうちの少なくとも一つを含みうる。セラミック紙は、酸化鉄(Fe2O3)、酸化カリウム(K2O)、および酸化ナトリウム(Na2O)のうちの少なくとも一つを含んでもよく、それらのすべては、セラミック材料であると理解される。
【0020】
セラミック紙は、任意の適切な量の繊維性材料を含みうる。セラミック紙は、少なくとも約40重量パーセントのセラミック材料、少なくとも約50重量パーセントのセラミック材料、または少なくとも約60重量パーセントのセラミック材料を含みうる。セラミック紙は、約99.99重量パーセント未満のセラミック紙材料、または約95重量パーセント未満のセラミック材料を含みうる。例えば、セラミック紙は、約50重量パーセントのセラミック材料~約99.99重量パーセントのセラミック材料を含みうる。
【0021】
セラミック紙は、非繊維質材料を含みうる。非繊維質材料は水を含みうる。
【0022】
本発明によるセラミック材料の少なくとも一つの層は、セルロース誘導体結合剤を含む。結合剤は、セラミック材料を一緒に保持するために一部のセラミック紙で使用される。結合剤の提供はまた、セラミック紙の機械的属性を向上しうる。例えば、結合剤は、セラミック紙を壊れやすくせず、かつより可撓性にしうる。これにより、有利なことに、可燃性熱源の少なくとも一部分にセラミック紙の少なくとも一つの層を巻くことが可能になりうる。
【0023】
本明細書で使用される場合、「セルロース誘導体結合剤」という用語は、セルロース誘導体を含む結合剤を記述するために使用される。特に、セルロース誘導体結合剤は、セルロースに対する特定の側の群の添加によって形成される、セルロース誘導体を含みうる。
【0024】
適切なセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースエステル、およびセルロースエーテルを含むが、これらに限定されない。セルロース誘導体結合剤は、カルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
【0025】
セルロース誘導体結合剤は、液体中、例えば、水中に、約0.01重量パーセント~約20重量パーセントの濃度で分散されうる。
【0026】
セルロース誘導体結合剤を含むセラミック紙の使用は、有利なことに、セラミック繊維を一緒に保持し、上述の有利な機械的属性を提供することが分かっている。さらに、セルロース誘導体結合剤を含むセラミック紙の使用は、可燃性熱源が点火され燃焼された時に不快な匂いを生じないことが分かっている。
【0027】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、任意の量のセルロース誘導体結合剤を含みうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、少なくとも約0.01重量パーセントのセルロース誘導体誘導体結合剤、少なくとも約1重量パーセントのセルロース誘導体結合剤、少なくとも約5重量パーセントのセルロース誘導体結合剤、または少なくとも約10重量パーセントのセルロース誘導体結合剤を含みうる。いくつかの実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、約40重量パーセント以下のセルロース誘導体結合剤、約30重量パーセント以下のセルロース誘導体結合剤、または約15重量パーセント以下のセルロース誘導体結合剤を含みうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、約0.01重量パーセント~約40重量パーセントのセルロース誘導体結合剤を含みうる。セラミック紙は、非セラミック材料を含みうる。非セラミック材料は、ポリマー材料を含みうる。非セラミック材料は、有機材料を含みうる。非セラミック材料は、無機材料を含みうる。
【0028】
セラミック紙は、粒子状の補強材などの追加的な手段によって、さらに補強されてもよい。例えば、セラミック紙は、カーボンブラックの粒子を用いて補強されてもよい。セラミック紙は、鉄およびマンガンを含みうる二酸化チタン、三水和アルミニウム、および顔料を含むがそれらに限定されない、任意のその他の適切な成分をさらに含みうる。
【0029】
セラミック紙は、任意の適切な量の非セラミック材料を含みうる。一部の実施形態では、セラミック紙は、セラミック材料のみを含んでもよい。別の言い方をすると、一部の実施形態では、セラミック紙は、非セラミック材料を少しも含まなくてもよい。セラミック紙は、約0重量パーセントの非セラミック材料を含みうる。セラミック紙は、0重量パーセントの非セラミック材料~約25重量パーセントの非セラミック材料を含みうる。セラミック紙は、少なくとも約0.5重量パーセントの非セラミック材料、少なくとも約2重量パーセントの非セラミック材料、少なくとも約10重量パーセントの非セラミック材料、少なくとも約20重量パーセントの非セラミック材料、少なくとも約30重量パーセントの非セラミック材料、少なくとも約40重量パーセントの非セラミック材料、または少なくとも約50重量パーセントの非セラミック材料を含みうる。セラミック紙は、約40重量パーセント未満の非セラミック材料、約30重量パーセント未満の非セラミック紙材料、または約15重量パーセント未満の非セラミック材料を含みうる。
【0030】
一部の実施形態では、セラミック紙は、低生体内持続性繊維を含んでもよい。一部の特定の実施形態では、セラミック紙の繊維質材料は、低生体内持続性繊維から成ってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「生体内耐久性」という用語は、インタクトな繊維がヒトの呼吸器系の肺および胸膜(胸郭)内に残る時間の長さを指す。
【0032】
生体内耐久性の測定に適した短期試験には、短期吸入実験が含まれる。例示的な短期吸入実験は、齧歯類を既知の濃度の所与のタイプの繊維に、毎日6時間、5日間曝露した後、サクリファイスして、肺の繊維障害を判定することを含む。このような手順は、Bernstein、D.M.、C.Morscheidt、H.-G.Grimm、P.Thevenaz、およびU.Teichert(1996)Evaluation of soluble fibers using the inhalation biopersistence model,a nine-fiber comparison.Inhalation Toxicol.8(4):345-385に記載されている。代替的な生体内耐久性を測定する適切な短期試験は、生理的食塩水中の既知の量の繊維を用いて気管内注入することによって齧歯類に投薬し、定期的にサクリファイスして肺の繊維障害を判定することを含む気管内注入実験が含まれる。
【0033】
短期吸入方法および気管内注入方法の両方からの所見は、重み付けクリアランス半減期(WT1/2)として、または肺(T90)から90%の繊維を排除するために必要な時間として表されうる。
【0034】
1997年12月5日の欧州委員会指令97/69/ECのノートQに記載されているように、吸入による短期生体内持続性試験が、20マイクロメートルよりも長い繊維が10日以下の重み付け半減期を有すると示した場合、または気管内注入法による短期生体内耐久性試験が、20マイクロメートルよりも長い繊維が40日以下の重み付け半減期を有すると示した場合に、繊維は「低生体内持続性」または「低生体内耐久性」を有するものとみなされうる。また、指令97/69/ECからのドイツ特例によって通知された鉱物ウールに関する国際規定において1999年10月26日の欧州委員会指令1999/836/ECのノートQ2に記載されているように、5μmの長さ、3μm未満の直径、および3:1より大きい長さ対直径比(WHO繊維)を有する繊維に対して2mgの微細懸濁液を気管内注入した後の半減期が40日以下である場合に、繊維は「低生体内持続性(low biopersistence」または「低生体内持続性(low biopersistent)」を有するものとみなされうる。
【0035】
低生体内耐久性を有する材料は、機構によってヒトの呼吸器系から除去または排除されうる。呼吸器系からの材料の除去の一つの模範的機構は、粘液繊毛輸送によるなどの物理的移動である。呼吸器系からの材料の除去の別の模範的機構は、化学的溶解である。呼吸器系の溶媒中の材料の溶解度が十分に高い場合、材料は「生体溶解性」とみなされうる。
【0036】
一部の実施形態では、セラミック紙は、生体溶解性繊維を含んでもよい。一部の特定の実施形態では、セラミック紙の繊維質材料は、生体溶解性繊維から成ってもよい。
【0037】
本明細書で使用される場合、「生体溶解性」という用語は、生物学的システムに可溶である材料を記述するために使用され、特に、ヒトの呼吸器系に可溶である材料を記述するために使用される。ヒトの呼吸器系における材料の生体溶解性は、水における材料の溶解性と著しく異なりうる。本明細書で使用される場合、生体溶解性繊維は、低生体内持続性繊維であるとみなされる。
【0038】
本明細書で使用される場合、物質は、インビトロ静的溶解性試験が、少なくとも0.1gのその物質が100mlのヒトの呼吸器系の溶媒内で溶解されることを示す場合に、生体溶解性であると考えられうる。同様に、物質は、静的溶解性試験が、0.1g未満の材料が100mlのヒトの呼吸器系の溶媒内で溶解されることを示す場合に、生体非溶解性であると考えられうる。
【0039】
適切なインビトロ静的溶解性試験は、試験する物質の試料を適切な溶媒に、37℃の温度で24時間曝露することを含む。24時間後、溶解液組成物または残りの試料の重量を判定することによって溶解を測定しうる。例えば、溶解流体の誘導結合されたプラズマ分光法を使用する元素分析を使用して、溶解流体中の溶解した試料の総質量を計算してもよい。
【0040】
インビトロ静的溶解性試験においてヒトの呼吸器系の溶媒として使用する適切な溶媒には、生理的食塩水溶液、および公知の模擬肺液(SLF)などのヒトの呼吸器系の溶媒の代理物質が含まれる。公知の適切なSLFには、pHが約4.5で、吸入された粒子が肺における肺胞および間質マクロファージによる貪食後に接触する流体に類似した、人工リソソーム液(ALF)、およびpHが約7.4で、肺内の深部の間質マクロファージに類似した、ギャンブル溶液を含む。
【0041】
また、本明細書で使用される場合、インビトロ動的溶解性試験が、ヒトの呼吸系の溶媒中で、物質が少なくとも150平方センチメートル/時間/時間(ng/cm2・時間)の溶解速度定数を示す場合に「生体溶解性」であると考えられるうる。
【0042】
適切なインビトロ動的溶解性試験は、試験物質の試料にわたって適切な溶媒をゆっくりと流し、経時的に繊維の溶解を測定することを含む。試料が長時間にわたって一様であるかどうかを判定するために、試験は少なくとも3週間など長時間実施される。より詳細には、適切な溶媒は、新鮮な溶液が常にサンプルに提供されるように、その表面積に対して正規化された繊維の試料にわたって徐々にポンプされる。特定の適切なインビトロ動的溶解性試験は、一時間あたり5mlのレートで試験される試料にわたり、適切な溶媒を37℃の温度で1000時間流すことを含む。溶液を収集し、繊維試料から浸出した要素の濃度について分析する。試料の溶解が時間の経時的に均一または一定であるかどうかを判定するために、溶液を、一週間に2回など試験期間にわたって収集する。
【0043】
溶解は、溶解流体組成物または残りの試料の重量を判定することによって測定されうる。例えば、溶解流体の誘導結合されたプラズマ分光法を使用する元素分析を使用して、溶解流体中の溶解した試料の総質量を特定の時間間隔で計算してもよい。試料の表面積および溶媒の流量は既知であり、浸出剤濃度は溶解測定から判定されるため、これらの値を使用して公知の方法による溶解速度を判定することができる。溶解速度は、ナノグラム/平方センチメートル/時間(ng/cm2時間)で表されうる。
【0044】
インビトロ動的溶解性試験におけるヒトの呼吸器系の溶媒として使用する適切な溶剤のには、インビトロ静的溶解性試験について上述するように、生理的食塩水溶液およびSLFが含まれる。
【0045】
特定の適切なインビトロ動的溶解性試験は、B.D.Law、W.B.Bunn&T.W.Hesterberg(2008)Solubility of Polymeric Organic Fibers and Manmade Vitreous Fibers in Gambles Solution,Inhalation Toxicology、2:4、321-339、DOI:10.3109/08958379009145261に記載されている。
【0046】
生体溶解性材料は、任意の適切な生体溶解性材料でありうる。適切な生体溶解性材料は、アルカリ土類シリケート材料および高アルミナ低シリカ材料を含む。
【0047】
一部の好ましい実施形態では、繊維質材料はアルカリ土類シリケート繊維を含む。一部の特に好ましい実施形態では、繊維質材料はアルカリ土類シリケート繊維から本質的に成る。一部の特に好ましい実施形態では、繊維質材料はアルカリ土類シリケート繊維から成る。
【0048】
本発明の一部の実施形態では、セラミック紙は、約99.99重量パーセントの、アルカリ土類シリケートウールなどのアルカリ土類シリケート材料を含みうる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、セラミック紙は、約50重量パーセントの繊維アルカリ土類シリケート材料~約99.99重量パーセントの繊維質アルカリ土類シリケート材料を含みうる。
【0050】
本発明の一部の実施形態では、セラミック紙は、約60重量パーセントの二酸化ケイ素~約70重量パーセントの二酸化ケイ素、約15重量パーセントの酸化カルシウム~約35重量パーセントの酸化カルシウム、および約4重量パーセントの酸化マグネシウム~約20重量パーセントの酸化マグネシウムを含みうる。
【0051】
本発明の一部の実施形態では、セラミック紙は、約40重量パーセント未満のアルミナ、約10重量パーセント未満の有機材料、および約1重量パーセント未満の湿気、を含みうる。
【0052】
上述の組成は、セラミック紙が燃えた後の種々の成分の重量パーセントを表わす。
【0053】
市販の生体溶解性セラミック繊維を含むセラミック紙の実施例は、以下を含む。これらのすべてがMorgan Advanced Materials,plcから入手可能である、Superwool(登録商標)Fibre Paper、Superwool(登録商標)Fibre Flex Wrap、Superwool(登録商標)HT Fibre、Superwool(登録商標)Plus Fibre、およびSuperwool(登録商標) Plus 332-E。Final Advanced MaterialsのRescor 300 BL、またはDL-Thermalの結合剤を有さない生体溶解性繊維紙などのセラミック紙がまた、好適でありうる。生体溶解性繊維、低生体内持続性繊維、および二酸化ケイ素、酸化カルシウム、および酸化マグネシウムのうちの少なくとも一つを含む繊維のうちの少なくとも一つを含む、結合剤を含まない一部のセラミック紙が適切でありうる。アルカリ土類シリケート繊維を含む、結合剤を含まない一部のセラミック紙が適切でありうる。
【0054】
一部の実施形態では、セラミック紙は、生体内持続性繊維および低生体内持続性繊維のうちの一つ以上を含みうる。生体溶解性および低生体内持続性のうちの少なくとも一つである適切な材料の例には、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、および酸化マグネシウムを含むが、これらに限定されない。生体溶解性および低生体内持続性の少うちのなくとも一つである特に適切な材料は、アルカリ土類シリケートを含む。
【0055】
セラミック紙は低い熱伝導率を有してもよい。別の言い方をすると、セラミック紙は、良好な断熱材でありうる。例えば、セラミック紙は、約23℃の温度で約0.5~2W/mKの熱伝導率を有しうる。この低い熱伝導率は、セラミック紙が織布または不織布の繊維状セラミック材料を含む場合、特に観察される。これは、伝導による熱伝達を低減する繊維状セラミック材料から成る、セラミック紙の比較的目の粗い高い多孔性構造によるものでありうる。
【0056】
セラミック紙は空気に対して高い浸透性を有してもよい。これは、比較的目の粗い高い多孔性構造によるものでありうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、十分に浸透性であり、それにより、空気が可燃性熱源の燃焼を実質的に妨げないことを可能にしうる。例えば、セラミック紙の少なくとも一つの層は、約4000(cm3/(min*cm2)より大きい空気に対する浸透度を有しうる。
【0057】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む。本発明のセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の実質的に全長を囲んでもよい。これは、エアロゾル発生物品がセラミック紙の断熱属性の利益を得ることを可能にし、それにより、使用時に熱源に近位の表面温度が低減され、またセラミック紙の空気に対する浸透性の利益を得て、それにより、十分な周囲空気が可燃性熱源の点火および燃焼を実質的に妨げずに可燃性熱源に到達することを可能にしうる。
【0058】
セラミック紙は、有利には、機械的な属性を有してもよい。例えば、セラミック紙は、セラミック材料(特に、存在する場合にはセラミック繊維)の補強効果によって、可撓性であり、また機械加工に適しうる。セラミック紙は、熱源の長さの少なくとも一部分を囲むセラミック紙の層の形成を容易にする、機械加工性を有しうる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、可燃性熱源の形状に全体的に適合する材料の本体を描写するために使用される。セラミック紙の少なくとも一つの層は、熱源を囲むように配置される任意の適切なタイプの層でありうる。適切なタイプの層は、とりわけ、ラッパーおよび被覆を含む。本明細書で使用される場合、「塗布」という用語は、熱源を覆いそれに接着する材料の層を描写するために使用される。
【0060】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源と直接接触しうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源から間隔をおいて配置されうる。
【0061】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む。例えば、セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さのおおよそ半分の部分を囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの半分より多い部分を囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの約60パーセント~約100パーセントを囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約70パーセントを囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約80パーセントを囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約90パーセントを囲んでもよい。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の長さを実質的に囲んでもよい。
【0062】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の全長を囲んでもよい。本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、エアロゾル発生物品の長手方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素または一部分の寸法を記述するために使用される。
【0063】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、エアロゾル形成基体の長さのおおよそ半分の部分を囲んでもよい。有利には、エアロゾル形成基体を囲むセラミック紙の少なくとも一つの層は、エアロゾル形成基体におけるエアロゾル発生物品の表面温度より低くありうる。
【0064】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の下流端における可燃性熱源を囲みうる。これは、有利には、エアロゾル発生物品の通常の動作中にユーザーに近い、可燃性熱源の一部分におけるエアロゾル発生物品の表面温度を低減しうる。
【0065】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の上流端における可燃性熱源を囲みうる。
【0066】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、上流端および下流端で可燃性熱源を囲みうる。
【0067】
可燃性熱源の被覆されていない部分は、「露出した」部分として本明細書で言及され得る。本発明のセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の「露出した」または被覆されていない部分を覆う、または囲むように提供されてもよい。
【0068】
一部の実施形態では、可燃性熱源の一部分は、上流端で少なくとも一つの追加的な層によって囲まれうる。少なくとも一つの追加的な層は、紙巻たばこ用紙の層でありうる。それらの実施形態では、可燃性熱源の上流部分は、露出した部分である。言い換えると、可燃性熱源の上流部分は、少なくとも一つの追加的な層によって覆われていない。それらの実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の上流部分を囲みうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の上流部分を囲む少なくとも一つの追加的な層の上流端から、可燃性熱源の下流端まで、またはその下流端の周りまで、可燃性熱源を囲みうる。そのため、それらの実施形態では、可燃性熱源は、下流端における少なくとも一つの追加的な層と上流端におけるセラミック紙の少なくとも一つの層の組み合わせによって、実質的にその長さに沿って囲まれうる。一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層および少なくとも一つの追加的な層は、可燃性熱源の長さに沿って部分的に重なりうる。
【0069】
可燃性熱源、エアロゾル形成基体およびセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の温度が約375℃を超えることを実質的に防ぐ、または阻止するように構成されうる。例えば、可燃性熱源、エアロゾル形成基体およびセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の温度が約375℃を超えることを実質的に防ぐ、または阻止するように、形成され、寸法され、また配置されうる。これは、エアロゾル形成基体の完全性を保存しうる。例えば、エアロゾル形成基体が一つ以上のエアロゾル形成体を含む場合、エアロゾル形成体は、約375℃の温度より高い熱分解を受けうる。さらに高い温度で、例えば、エアロゾル形成基体がたばこを含む場合、たばこは燃焼しうる。
【0070】
可燃性熱源、エアロゾル形成基体およびセラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の近位面から2mmにおけるエアロゾル形成基体の温度が、少なくとも約6分間少なくとも約100℃であるように構成されうる。
【0071】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、任意の適切な厚さを有しうる。一般的に、セラミック紙の少なくとも一つの層は薄層である。セラミック紙の少なくとも一つの層の厚さは、少なくとも約0.25ミリメートルまたは少なくとも約0.5ミリメートルでありうる。セラミック紙の少なくとも一つの層の厚さは、約10ミリメートル未満または約5ミリメートル未満でありうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、約0.25ミリメートル~約10ミリメートル、または約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの厚さを有しうる。
【0072】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、一つ以上の穿孔などの一つ以上の空気吸込み口をさらに含んでもよい。一つ以上の空気吸込み口は、セラミック紙の少なくとも一つの層の空気に対する浸透性をさらに増大しうる。
【0073】
本発明の一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、それに沿ってユーザー吸入用にエアロゾル発生物品を通して空気を引き出すことができる一つ以上の気流経路をさらに含む。ユーザーがエアロゾル発生物品で吸い込んだ時、空気は、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品内に引き出される。
【0074】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、一つ以上の気流経路から分離されてもよく、そのため、使用時に、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気がセラミック紙の少なくとも一つの層に直接接触しない。
【0075】
一部の実施形態では、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気がセラミック紙の少なくとも一つの層に直接接触しないように、セラミック紙の少なくとも一つの層は、一つ以上の気流経路から間隔をおいて配置されてもよい。
【0076】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層の一つ以上の部分は、繊維および粒子に対して実質的に不浸透性である材料内に覆われ、被覆され、または閉じ込められてもよい。繊維および粒子に対して実質的に不浸透性である材料内に覆われ、被覆され、または閉じ込められるセラミック紙の少なくとも一つの層の一つ以上の部分は、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気の近位に位置されうる。覆うこと、被覆または閉じ込めは、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出された空気をセラミック紙の少なくとも一つの層の繊維および粒子から分離しうる。
【0077】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層の一つ以上の部分は、紙の層内に覆われ、それにより、セラミック紙の少なくとも一つの層が一つ以上の気流経路から分離される。紙の層は、セラミック紙の少なくとも一つの層の内側表面およびセラミック紙の少なくとも一つの層の外側表面のうちの少なくとも一つに提供されうる。紙の層は、セラミック紙の少なくとも一つの層の内側表面と外側表面の両方に提供されてもよい。紙の層は、積層紙を含みうる。紙の層は、セラミック紙の少なくとも一つの層と共積層されてもよい。紙の層は、気流経路に隣接するセラミック紙の少なくとも一つの層の一部分にのみ提供されてもよい。
【0078】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、実質的に耐燃焼性であってもよい。本明細書で使用される場合、「耐燃焼性」という用語は、可燃性熱源の点火および燃焼中に実質的に無傷のままである材料を意味する。可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む耐燃焼性セラミック紙の少なくとも一つの層の提供は、有利には、層から放出される炎または煙を防ぎうる。これは、可燃性熱源の燃焼の間に層から放出される望ましくない放出または匂いを実質的に防ぎ、または阻害しうる。
【0079】
本発明の一部の実施形態では、エアロゾル発生物品は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に一つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアをさらに備えうる。可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の一つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、一つ以上の気流経路から可燃性熱源を分離し、そのため、使用時に、エアロゾル発生物品を通して一つ以上の気流経路に沿って引き出された空気が可燃性熱源と直接接触しない。
【0080】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成しうる加熱に基づく揮発性化合物の放出の能力を備えた基体を描写するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0081】
エアロゾル形成基体は固体であってもよい。エアロゾル形成基体は室温で固体であってもよい。
【0082】
エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体および加熱に応答して揮発性化合物を発する能力のある少なくとも一つの材料を含みうる。
【0083】
少なくとも一つのエアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は当技術分野で周知であり、例えば多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセタート、ジアセタート、またはトリアセタートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明によるエアロゾル発生物品における使用のための例示的なエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの、多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0084】
加熱に反応して揮発性化合物を発する能力を有する材料は、植物由来材料の装填(例えば、均質化した植物由来材料の装填)であってもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンが挙げられるがこれらに限定されない、植物由来の一つ以上の材料を含んでもよい。植物ベース材料は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない添加剤を含んでもよい。植物由来材料は、本質的にたばこ材料、随意的に均質化したたばこ材料から成りうる。
【0085】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ニコチンを含むエアロゾル形成基体を含みうる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、たばこを含むエアロゾル形成基体を備える。
【0086】
エアロゾル形成基体は、フィルタープラグラップによって囲まれうる。
【0087】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を加熱するように配置され、一つ以上の気流経路から分離される、可燃性熱源を備える。
【0088】
可燃性熱源は、可燃性材料の本体を含みうる。可燃性材料の本体は、実質的に一定の直径を有しうる。可燃性材料の本体は、その長さに沿って一定の直径を有しうる。これは、有利には、可燃性熱源およびエアロゾル発生物品を製造することに関与する処理を簡単にしうる。一部の実施形態では、可燃性材料の本体は、その長さに沿って実質的に一定の直径を有する、実質的に環状の円筒形の本体を形成しうる。
【0089】
可燃性熱源は、炭素質熱源であってもよい。本明細書に使用される場合、「炭素質」という用語は、炭素を含む可燃性熱源を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品で使用するための可燃性炭素質熱源の炭素含有量は、30の可燃性熱源の乾燥質量で少なくとも約35パーセントであることが好ましく、少なくとも約40パーセントがより好ましく、少なくとも約45パーセントが最も好ましい。
【0090】
本発明による可燃性熱源は可燃性炭素ベース熱源でありうる。本明細書に使用される場合、「炭素ベース熱源」という用語は、主に炭素から成る熱源を記述するために使用される。
【0091】
本発明によるエアロゾル発生物品での使用のための可燃性炭素ベース熱源の炭素含有量は、可燃性炭素ベース熱源の乾燥質量で、少なくとも約50パーセントであり、少なくとも約60パーセントであることが好ましく、少なくとも約70パーセントであることがより好ましく、少なくとも約80パーセントであることが最も好ましい。
【0092】
本発明の可燃性熱源は、エアロゾル発生物品を通じて一つ以上の気流経路から分離される。本明細書に使用される場合、「気流経路」という用語は、ユーザーによる吸入のためにそれに沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出されうる空気の経路を記述するために使用される。用語「上流」および「下流」は本明細書で使用される時、ユーザーがエアロゾル発生物品で吸い込んだ時に、空気が一つ以上の気流経路を通じて流れる方向に関してエアロゾル発生物品の構成要素の相対的な方向および位置を記述するために使用される。
【0093】
エアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離は、ユーザーがたばこを吸う間、可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止または阻害しうる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に防止または阻止しうる。これは、激しい吸煙の状況の下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を実質的に防止または阻害しうる。このことは、ユーザーの吸煙の状況によりエアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルの組成の変化を実質的に防止または阻害しうる。
【0094】
一つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離はまた、可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出される空気に入るのを実質的に防止または阻害しうる。
【0095】
本発明の分離された可燃性熱源は、ブラインド熱源を含みうる。本明細書で使用される場合、「ブラインド」という用語は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾル発生物品を通して引き出された空気が、可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない可燃性熱源を記述するために使用される。そのため、ブラインド可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝達は、伝導性熱伝達によって主に起こる。
【0096】
可燃性熱源を通る気流チャネルが提供されないので、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達が低減される、または最小限にされる。可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を低減することは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に防止または阻害しうる。これは、激しい吸煙の状況の下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を実質的に防止または阻害しうる。このことは、ユーザーの吸煙の状況によりエアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルの組成の変化を実質的に防止または阻害しうる。これはまた、可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、一つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通して吸い込まれる空気に入るのを実質的に防止または阻害しうる。
【0097】
本発明の分離された可燃性熱源は、非ブラインド熱源を含みうる。本明細書で使用される場合、「非ブラインド」という用語は、エアロゾル発生物品を通して引き出されたユーザーによる吸入のための空気が、その中で熱源に沿った一つ以上の気流チャネルを通過する熱源を記述するために使用される。そのため、非ブラインド可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝達は、一つ以上の気流チャネルに沿った伝導性熱伝達と対流性熱伝達の両方によって起こりうる。
【0098】
本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーによる吸入のために下流に引き出されうる空気が通る可燃性熱源の長さに沿って延在する流路を記述するために使用される。そのため、本発明のエアロゾル発生物品は、一つ以上の気流チャネルを含まなくてもよい。
【0099】
可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の一つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、可燃性熱源の近位端とエアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に当接する、第一のバリアを含みうる。第一のバリアは、エアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離を容易にしうる。第一のバリアは、可燃性熱源の点火および燃焼の間にエアロゾル形成基体が曝露される最大温度を低減でき、エアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を実質的に防止または阻害しうる。
【0100】
本明細書で使用される「不燃性」という用語は、その燃焼中または点火時に可燃性熱源が到達する温度で実質的に不燃性である材料を記述するために使用される。
【0101】
本明細書に使用される場合、「不通気性」という用語は、それを通じる空気の通路を実質的に防ぐまたは阻止する材料を記述するために使用される。
【0102】
第一のバリアは、可燃性熱源の近位端とエアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に当接してもよい。第一のバリアは、可燃性熱源の近位端とエアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に接着され、または別途貼り付けられてもよい。
【0103】
第一のバリアは、可燃性熱源の近位面に提供される第一のバリア被覆を含みうる。このような実施形態において、第一のバリアは、少なくとも実質的に可燃性熱源の近位面全体に提供される第一のバリア被覆を含みうる。第一のバリアは、可燃性熱源の近位面全体に提供される第一のバリア被覆を含みうる。第一のバリア被覆は、WO-A1-2013120855に記載の方法などの任意の適切な方法によって、可燃性熱源の近位面に形成され、塗布されうる。
【0104】
エアロゾル発生物品の所望の特徴および性能に応じて、第一のバリアは、低熱伝導率または高熱伝導率を有してもよい。一定の実施形態において、第一のバリアは、約0.1W/m.K~約200W/m.Kの熱伝導率を有してもよい。
【0105】
第一のバリアの厚さは、良好なエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。一定の実施形態において、第一のバリアは、約10ミクロン~約500ミクロンの厚さを有しうる。
【0106】
第一のバリアは、点火および燃焼中、可燃性熱源によって達成される温度にて実質的に熱安定しており不燃性である一つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、ガラス、ミネラル、セラミック材料、樹脂、金属、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれに限定されない。
【0107】
第一のバリアが形成されうる材料は、粘土およびガラスを含む。第一のバリアが形成されうるその他の材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al2O3)、樹脂およびミネラル接着剤を含む。
【0108】
第一のバリアが、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属または合金を含む場合、第一のバリア被覆は、有利には、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱リンクとしての役目を果たしうる。このことは、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を改善しうる。
【0109】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の近位端から下流の一つ以上の空気吸込み口をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、一つ以上の空気吸込み口は、可燃性熱源の近位端とエアロゾル発生物品の近位端との間にある。一つ以上の空気吸込み口は、空気が、可燃性熱源を通じて引き出されることなく、一つ以上の空気吸込み口を通じてエアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路内に引き出されうるように配置されうる。これは、ユーザーによる吸煙の間、エアロゾル形成基体の温度の急上昇を実質的に防止または阻害しうる。
【0110】
一つ以上の空気吸込み口は、空気がそれを通じてエアロゾル発生物品内に引き出されうる、任意の適切な空気吸込み口を含んでもよい。例えば、適切な空気吸込み口は、穴、スリット、溝穴またはその他の開口部を含む。空気吸込み口の数、形状、サイズおよび配置を、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整してもよい。
【0111】
一つ以上の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体に配置されうる。一つ以上の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体の遠位端とエアロゾル形成基体の近位端との間に配置されうる。一つ以上の空気吸込み口がエアロゾル形成基体に配置され、エアロゾル形成基体がフィルタープラグラップを含む場合、フィルタープラグラップには、エアロゾル形成基体内への空気を許容する一つ以上の開口部が提供されうる。一つ以上の開口部は、空気がそれを通じてエアロゾル形成基体内に引き出されうる、スリット、溝穴またはその他の適切な開口部でありうる。開口部の数、形状、サイズおよび配置を、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整してもよい。
【0112】
可燃性熱源は、一つ以上の気流チャネルを含みうる。言い換えると、可燃性熱源は、非ブラインド熱源であってもよい。一つ以上の気流チャネルは、可燃性熱源の長さに沿って延在しうる。一つ以上の気流チャネルは、エアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路の一部分を形成しうる。
【0113】
可燃性熱源がエアロゾル発生物品に一つ以上の気流チャネルを含む場合、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の一つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、可燃性熱源と可燃性熱源の一つ以上の気流チャネルとの間に第二のバリアをさらに含んでもよい。
【0114】
第二のバリアは、エアロゾル発生物品の一つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離を容易にしうる。第二のバリアは、可燃性熱源の点火および燃焼の間にエアロゾル形成基体が曝露される最大温度を減少でき、そのためエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を回避または低減するのに役立つ。
【0115】
第二のバリアは、可燃性熱源に接着され、または別途貼り付けられてもよい。
【0116】
第二のバリアは一つ以上の気流チャネルの内側表面上に提供された第二のバリア被覆を含みうる。第二のバリアは、一つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体に提供される第二のバリア被覆を含みうる。第二のバリアは、一つ以上の気流チャネルの内側表面全体に提供される第二のバリア被覆を含みうる。
【0117】
第二のバリア被覆は、一つ以上の気流チャネルへのライナーの挿入によって提供されてもよい。例えば、一つ以上の気流経路が可燃性熱源の内部を通って延在する一つ以上の気流チャネルを含む場合、不燃性で実質的に不通気性の中空管は、一つ以上の気流チャネルのそれぞれに挿入されてもよい。
【0118】
第二のバリアは、本発明に従ったエアロゾル発生物品の可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼または分解生成物が一つ以上の気流チャネルに沿って下流に引き出される空気に入ることを有利に実質的に防止または阻害しうる。
【0119】
エアロゾル発生物品の所望の特徴および性能に応じて、第二のバリアは、低熱伝導率または高熱伝導率を有してもよい。第二のバリアは、低熱伝導率を有しうる。
【0120】
第二のバリアアの厚さは、良好なエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。一定の実施形態において、第二のバリアは、約30ミクロン~約200ミクロンの厚さを有してもよい。一実施形態において、第二のバリアは、約30ミクロン~約100ミクロンの厚さを有する。
【0121】
第二のバリアは、点火および燃焼中、可燃性熱源によって達成される温度にて実質的に熱安定しており不燃性である一つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、例えば粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、二酸化ケイ素、シリカ-アルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0122】
第二のバリアが形成されうる材料は、粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄およびこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、二酸化炭素への一酸化炭素の酸化を促進する原料成分などの触媒原料成分は、第二のバリアに組み込まれてもよい。適切な触媒原料成分は、例えば、白金、パラジウム、遷移金属およびこれらの酸化物を含むが限定されない。
【0123】
本発明に従ったエアロゾル発生物品が、可燃性熱源の下流端とエアロゾル形成基体の上流端との間にある第一のバリア、および可燃性熱源と可燃性熱源に沿った一つ以上の気流チャネルとの間にある第二のバリアを含む場合、第二のバリアは、第一のバリアと同じまたは異なる材料から形成されてもよい。
【0124】
第二のバリアが一つ以上の気流チャネルの内側表面に提供される第二のバリア被覆を含む場合、US-A-5,040,551およびWO-A1-2013120855に記述される方法などの任意の適切な方法によって、第二のバリア被覆は、一つ以上の気流チャネルの内部表面に塗布されてもよい。
【0125】
エアロゾル発生物品は、少なくとも可燃性熱源の近位部分およびエアロゾル形成基体の遠位部分を囲む、一つ以上の追加的な層をさらに含んでもよい。一つ以上の追加的な層は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体に熱を伝達する熱伝導性要素、および紙巻たばこ用紙の層のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0126】
熱伝導性要素は、エアロゾル形成基体の遠位部分のみを囲んでいてもよい。エアロゾル形成基体の長さは、熱伝導性要素によって実質的に囲まれてもよい。熱伝導性要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体のうちの少なくとも一つと直接接触してもよい。熱伝導性要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の両方と直接接触していなくてもよい。
【0127】
熱伝導性要素は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱リンクを提供しうる。熱伝導性要素は、実質的に耐燃焼性でありうる。
【0128】
適切な熱伝導性要素には、金属箔ラッパーまたは合金箔ラッパーが含まれうる。金属箔ラッパーは、アルミ箔ラッパー、スチール箔ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーを含みうる。熱伝導性要素は、アルミニウムの管を含みうる。
【0129】
熱伝導性要素によって囲まれる可燃性熱源の近位部分は、長さ約2ミリメートル~約8ミリメートル、または長さ約3ミリメートル~約5ミリメートルでありうる。
【0130】
熱伝導性要素によって囲まれていない可燃性熱源の遠位部分は、長さ約4ミリメートル~約15ミリメートル、または長さ約4ミリメートル~約8ミリメートルでありうる。
【0131】
紙巻たばこ用紙の層は、少なくとも可燃性熱源の近位部分、エアロゾル形成基体の長さ、およびエアロゾル形成基体の近位に配置されるエアロゾル発生物品のいくつかのその他の構成要素を囲みうる。紙巻たばこ用紙の層は、可燃性熱源の長さを実質的に囲みうる。紙巻たばこ用紙の層が可燃性熱源の長さを実質的に囲む場合、紙巻たばこ用紙の層には、可燃性熱源において穿孔、穴またはスリットなどの換気が提供されてもよく、それにより、空気が紙巻たばこ用紙の層を通じて可燃性熱源に通ることが可能になる。開口部の数、形状、サイズおよび位置は、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。紙巻たばこ用紙の層が、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を握持して固定するように、紙巻たばこ用紙の層は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に隙間なく巻き付けられうる。
【0132】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、半径方向の外側層でありうる。エアロゾル発生物品が一つ以上の追加的な層を含む場合、セラミック紙の半径方向の外側層は、一つ以上の追加的な層の少なくとも一部分を覆いうる。別の言い方をすると、一つ以上の追加的な層は、可燃性熱源とセラミック紙の少なくとも一つの層との間に配置されうる。例えば、エアロゾル発生物品が熱伝導性要素を含む追加的な層を備える場合、熱伝導性要素は、半径方向の内側層であってもよく、セラミック紙の少なくとも一つの層は、熱伝導性要素の少なくとも一部分を囲む半径に沿った外側層であってもよい。
【0133】
本明細書で使用される場合、「半径方向の外側」および「半径方向の内側」という用語は、エアロゾル発生物品の長手方向軸からのエアロゾル発生物品の構成要素の相対距離を示すために使用される。本明細書で使用される場合、「半径方向」という用語は、エアロゾル発生物品の近位端と遠位端との間の方向に延在する、エアロゾル発生物品の長手方向軸に対して垂直な方向を記述するために使用される。
【0134】
一つ以上の追加的な層は、半径方向の外側層でありうる。一つ以上の追加的な層は、セラミック紙の少なくとも一つの層の少なくとも一部分を覆いうる。
【0135】
セラミック紙の少なくとも一つの層は、エアロゾル発生物品の一つ以上の他の構成要素または部品に固定されうる、または取り付けられうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、エアロゾル発生物品の任意の適切な構成要素に固定されうる。例えば、セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源、エアロゾル形成基体および一つ以上の追加的な層のうちの少なくとも一つに固定されうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、任意の適切な手段によって、エアロゾル発生物品の一つ以上の構成要素に固定されうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、接着剤を用いて固定されうる。適切な接着剤は、シリケート接着剤などの耐高温性を示しうる。一つ以上の追加的な層が半径方向の外側層である場合、一つ以上の追加的な層は、セラミック紙の少なくとも一つの層の少なくとも一部分に隙間なく巻かれうる。
【0136】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、可燃性熱源の一部を形成しうる。本明細書で使用される場合、「一体型」という用語は、可燃性熱源と直に接触した状態にあり、かつ外因性接着材またはその他の中間結合材料の補助なしに可燃性熱源に付着した層を描写するために使用される。
【0137】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、対向する端を有するセラミック紙の細片から形成されうる。セラミック紙の細片は、細片の対向する端が部分的に重なるように可燃性熱源に巻かれうる。細片の重なり合う対向する端は、接着剤または任意の他の適切な手段を用いて一緒に固定されうる。これは、可燃性熱源上にセラミック紙の少なくとも一つの層を固定しうる。
【0138】
一部の実施形態では、中間層が、セラミック紙の少なくとも一つの層と、可燃性熱源、エアロゾル形成基体および一つ以上の追加的な層のうちの少なくとも一つとの間に提供されうる。中間層は、セラミック紙の少なくとも一つの層に隣接していてもよい。中間層は、セラミック紙の少なくとも一つの層に接触していてもよい。中間層は、セラミック紙の少なくとも一つの層の半径方向内方に配置されうる。
【0139】
中間層は接着層であってもよい。接着層は、任意の適切な接着剤を含みうる。適切な接着剤は、シリケート接着剤などの耐高温性を示しうる。接着層は、セラミック紙の少なくとも一つの層と可燃性熱源との間に配置されてもよく、セラミック紙の少なくとも一つの層を可燃性熱源に取り付けうる。接着層は、セラミック紙の少なくとも一つの層と一つ以上の追加的な層との間に配置されてもよく、セラミック紙の少なくとも一つの層を一つ以上の追加的な層に取り付けうる。接着層は、セラミック紙の少なくとも一つの層とエアロゾル形成基体との間に配置されてもよく、セラミック紙の少なくとも一つの層をエアロゾル形成基体に取り付けうる。
【0140】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、対向する端を有するセラミック紙の細片から形成されうる。セラミック紙の細片は、細片の対向する端が当接して部分的に重ならないように、可燃性熱源に巻かれうる。接着層は、少なくとも細片の対向する端において、可燃性熱源に面する細片の側面上に提供されうる。接着層は、少なくとも細片の対向する端において、セラミック紙の細片を可燃性熱源に固定しうる。
【0141】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に配置される熱伝導性部材を備えうる。熱伝導性部材は、上述の第一のバリアであってもよい。エアロゾル発生物品は、熱伝導性部材および第一のバリアを備えうる。熱伝導性部材は、熱伝導性要素と同様の材料を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、熱伝導性部材および熱伝導性要素を備えうる。熱伝導性要素および熱伝導性部材のうちの少なくとも一つの提供は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を容易にしうる。
【0142】
エアロゾル発生物品は、任意の他の適切な構成要素をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、移動要素、エアロゾル冷却要素、スペーサー要素およびマウスピースのうちの少なくとも一つを備えてもよい。一つ以上のさらなる構成要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体と同軸配列であってもよい。一つ以上のさらなる構成要素は、エアロゾル形成基体の近位に配置されうる。一つ以上のさらなる構成要素は、任意の適切な順序に配置されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の近位端に隣接する移動要素と、移動要素の近位端に隣接するエアロゾル冷却要素と、エアロゾル冷却要素の近位端に隣接するスペーサー要素と、スペーサー要素の近位端に隣接するマウスピースと、をさらに備えてもよい。
【0143】
本明細書で使用される場合、「近位」および「遠位」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。エアロゾル発生物品の構成要素の近位端は、エアロゾル発生物品の口側の端の近くにあるその構成要素の端であり、エアロゾル発生物品の構成要素の遠位端は、エアロゾル発生物品の口側の端から遠くにあるその構成要素の端である。一般的には、可燃性熱源は、エアロゾル発生物品の遠位端に配置される。
【0144】
本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品を形成する方法が提供されている。方法は、可燃性熱源を配置してエアロゾル形成基体を加熱すること、およびセルロース誘導体結合剤を含むセラミック紙の少なくとも一つの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部を囲むことを含む。
【0145】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部を囲む工程は、対向する端を有する、セルロース誘導体結合剤を含むセラミック紙の細片を提供することと、可燃性熱源がセラミック紙の少なくとも一つの層によって囲まれるように、可燃性熱源に細片を巻くことと、細片の対向する端を重ね合わせることと、重なり合う端を一緒に固定して、セラミック紙の少なくとも一つの層を可燃性熱源に固定することと、を含みうる。
【0146】
セラミック紙の細片の重なり合う端は、任意の適切な手段を用いて一緒に固定されうる。例えば、セラミック紙の細片の重なり合う端は、接着剤を用いて一緒に固定されうる。適切な接着剤は、耐高温性を有し、シリカ接着剤を含むべきである。
【0147】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部を囲む工程は、対向する端を有する、セルロース誘導体結合剤を含むセラミック紙の細片を提供することと、少なくとも対向する端のそれぞれにおいて細片の一方の側面に接着層を適用することと、接着層が可燃性熱源に面するように細片を配置することと、可燃性熱源の長さの少なくとも一部がセラミック紙の少なくとも一つの層によって囲まれるように、可燃性熱源に細片を巻くことと、対向する端を重ね合わせることなく、細片の対向する端を当接させることと、接着層を用いて可燃性熱源に細片を固定することと、を含みうる。
【0148】
一部の実施形態では、セラミック紙の少なくとも一つの層は、紙巻たばこ用紙の層などの追加的な層と積層されうる。セラミック紙の少なくとも一つの層は、セラミック紙の少なくとも一つの層が可燃性熱源に取り付けられる前に、追加的な層と積層されうる。セラミック紙の少なくとも一つの層および追加的な層を含む共積層された紙の細片は、セラミック紙の細片と同様の様式において、可燃性熱源に巻かれうる。一部の実施形態では、共積層された紙は、セラミック紙の少なくとも一つの層が可燃性熱源に面するように、配置されうる。別の言い方をすると、セラミック紙の少なくとも一つの層は、追加的な層の半径方向内方に配置されうる。一部の実施形態では、共積層された紙は、追加的な層が可燃性熱源に面するように、配置されうる。
【0149】
本発明はセラミック紙に関連しているが、セルロース誘導体結合剤は、エアロゾル発生物品の可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むために使用されるその他の層の結合剤として使用されうる。セルロース誘導体結合剤は、任意の繊維質材料の層で使用されうる。セルロース誘導体結合剤は、セラミック繊維を含む繊維質材料の層で使用されうる。
【0150】
セルロース誘導体結合剤は、繊維強化エアロゲルの層で使用されうる。
【0151】
本明細書で使用される場合、「エアロゲル」という用語は、連続気泡発泡体を記述するために使用される。エアロゲルは、メソポーラスであってもよい。「メソポーラス」という用語は、直径が約2ナノメートル~約50ナノメートルの範囲の空孔を含む材料を意味する。エアロゲルは、相互連結構造のネットワークを含んでもよく、相互連結構造のネットワークは、ナノ構造であってもよい。エアロゲルは、約50パーセント以上の多孔度を示しうる。エアロゲルは、約90パーセント以上の多孔度を示しうる。エアロゲルは、従来型のゲルから液状成分を取り除くことによって形成されうる。従来型のゲルは、液体中に分散される半固体コロイド懸濁液の固体を意味することが理解されよう。
【0152】
エアロゲルは、一般的には、きわめて低い熱伝導率を有する。理論に束縛されることは望まないが、伝導性熱伝達は、それらの高い多孔度によりエアロゲルにおいて阻害される一方で、伝導性熱伝達が、小径の空孔によりエアロゲルにおいて阻害される。小径の空孔は、エアロゲルを通じる空気の移動を制限する。
【0153】
本明細書で使用される場合、「繊維強化エアロゲル」という用語は、繊維性材料を用いて強化されるエアロゲルマトリクスを含む複合材料を意味する。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【
図1】
図1は、ブラインド可燃性熱源を備える、本発明によるエアロゾル発生物品の第一の実施形態の略図を示す。
【
図2】
図2は、物品内の第一の位置における、
図1に示すものと類似したエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【
図3】
図3は、物品内の第二の位置における、
図1に示すものと類似したエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【
図4】
図4は、物品内の第三の位置における、
図1に示すものと類似したエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【
図5】
図5は、物品内の第三の位置における、
図1に示すものと類似したさらなるエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示し、エアロゾル発生物品のうちの一つは、生体溶解性アルカリ土類シリケート繊維を有するセラミック紙を含む。
【
図6】
図6は、非ブラインド可燃性熱源を備える、本発明によるエアロゾル発生物品の第二の実施形態の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0155】
図1はエアロゾル発生物品2の略図を示す。エアロゾル発生物品2は、可燃性熱源3を備える。可燃性熱源3は、約10ミリメートルの長さをもつ炭素質の材料の実質的に環状の円柱状の本体を含む。可燃性熱源3は、ブラインド熱源である。言い換えると、可燃性熱源3は、それを通じて延在する任意の空気チャネルを含まない。
【0156】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体4をさらに含む。エアロゾル形成基体4は、可燃性熱源3の近位端に配置される。エアロゾル形成基体4は、フィルタープラグラップ19によって囲まれるたばこ材料の実質的に環状の円筒形のプラグ18を備える。
【0157】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア6は、可燃性熱源3の近位端とエアロゾル形成基体4の遠位端との間に配置される。第一のバリア6は、アルミ箔のディスクを備える。第一のバリア6はまた、可燃性熱源3の近位面からエアロゾル形成基体4の遠位面に熱を伝導するために、可燃性熱源3とエアロゾル形成基体4との間に熱伝導性部材を形成する。
【0158】
熱伝導性要素9は、可燃性熱源3の近位部分およびエアロゾル形成基体4の遠位部分を囲む。熱伝導性要素9は、アルミ箔の管を含む。熱伝導性要素9は、可燃性熱源3の近位部分およびエアロゾル形成基体4のフィルタープラグラップ19と直接接触する。
【0159】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体4の近位端に配置される移動要素11、移動要素11の近位端に配置されるエアロゾル冷却要素12、エアロゾル冷却要素11の近位端に配置されるスペーサー要素13、スペーサー要素13の近位端に配置されるマウスピース10、を含む、エアロゾル形成基体4の近位に配置される種々のその他の構成要素をさらに備える。
【0160】
エアロゾル発生物品2の構成要素は、紙巻たばこ用紙の層7内に包装される。紙巻たばこ用紙の層7は、熱伝導性要素9を囲むが、熱伝導性要素9の遠位端を越えて、また可燃性熱源3の遠位部分にわたって延在していない。
【0161】
本発明に従って、エアロゾル発生物品2は、セラミック紙の層5をさらに備える。セラミック紙の層5は、可燃性熱源3の長さ、ならびに紙巻たばこ用紙の層7、熱伝導性要素9およびエアロゾル形成基体4の遠位部分を実質的に囲む。別の言い方をすると、セラミック紙の層5は、エアロゾル発生物品2の遠位端における半径方向の外側層である。
【0162】
セラミック紙の層5は、約60重量パーセントの二酸化ケイ素~約70重量パーセントの二酸化ケイ素、約16重量パーセントの酸化カルシウム~約22重量パーセントの酸化カルシウム、および約12重量パーセントの酸化マグネシウム~約19重量パーセントの酸化マグネシウムを含む。また、セラミック紙の層5は酸化アルミニウムを含む。セラミック紙の層5はセルロース誘導体結合剤も含む。セルロース誘導体結合剤は、水中に8重量パーセントの濃度で分散されたCMCを含む。
【0163】
複数の空気吸込み口8が、エアロゾル形成基体4に配置され、それは、周囲空気がエアロゾル発生物品2内へ引き出されることを可能にする。空気吸込み口8は、エアロゾル形成基体4を囲む、紙巻たばこ用紙の層7およびプラグラップ19の下位層を通る複数の穿孔を備える。空気吸込み口8は、エアロゾル形成基体4の遠位面と近位面との間に配置される。
【0164】
ユーザーがエアロゾル発生物品2のマウスピース10で吸い込むと、周囲空気が空気吸込み口8を通じてエアロゾル発生物品2内に引き出されうる。エアロゾル発生物品2内に引き出された空気は、エアロゾル発生物品2の気流経路に沿って、空気吸込み口8から、エアロゾル形成基体4、移動要素11、冷却要素12およびスペーサー要素13を通って、マウスピース10へと流れ、さらに吸入のためにマウスピース10の外へ出てユーザーへと流れうる。エアロゾル発生物品2を通じる気流の全体的な方向を矢印で示す。
【0165】
使用時に、ユーザーは、可燃性熱源3をライターなどの外部熱源に露出することによって、可燃性熱源3を点火しうる。可燃性熱源3は、点火および燃焼されてもよく、熱は、熱伝導性部材6および熱伝導性要素9を通じる伝導を介して、可燃性熱源3からエアロゾル形成基体4に運ばれうる。加熱式エアロゾル形成基体4の揮発性成分は、蒸発されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生物品2のマウスピース10で吸い込むと、周囲空気が空気吸込み口8を通じてエアロゾル発生物品2の気流経路内に引き出されうる。加熱式エアロゾル形成基体4からの蒸気は、エアロゾル形成基体4を通して引き出された空気に混入されてもよく、マウスピース10の方へ空気とともに引き出されうる。蒸気がマウスピース10の方へ引き出されるのにつれて、蒸気は、冷却されてエアロゾルを形成しうる。エアロゾルは、マウスピース10の外へ引き出され、吸入のためにユーザーに送達されうる。
【0166】
当然のことながら、実質的に不通気性の第一のバリア6は、空気が可燃性熱源3を通じて、エアロゾル形成基体4内に引き出されることを阻止する。そのため、第一のバリア6は、エアロゾル発生物品2の気流経路を可燃性熱源3から実質的に分離する。
【0167】
この実施形態では、セラミック紙の層5は、エアロゾル形成基体4の遠位端のわずかな部分を覆って延在する。そのため、セラミック紙の層5は、空気吸込み口8から間隔をおいて配置される。この間隔は、セラミック紙の層5を空気吸込み口8から実質的に分離し、そのためエアロゾル発生物品2の気流経路を通して引き出された空気は、セラミック紙の層5と接触しない。
【0168】
当然のことながら、一部の実施形態では、セラミック紙の層は、空気吸込み口に近接しうる。それらの実施形態では、空気吸込み口に近接するセラミック紙の層の部分は、繊維および粒子に対して実質的に不浸透性の材料で被覆されうる。これは、空気吸込み口に近接するセラミック紙の層の部分を実質的に分離し、そのためエアロゾル発生物品の気流経路を通して引き出された空気は、セラミック紙の層と接触しない。
【0169】
実験に基づくデータが、可燃性熱源の燃焼時間を通じて、
図1に示したエアロゾル発生物品2と同様の種々のエアロゾル発生物品の可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の温度を定めるために集められた。測定されたそれぞれのエアロゾル発生物品は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の異なる層を含んでいた。実験では、2mmの深孔がエアロゾル発生物品内に形成されるが、孔のうちの二つは
図1における位置T
1およびT
2ににおいて可燃性熱源内に形成され、また孔のうちの一つは
図1における位置T
3においてエアロゾル形成基体内に形成される。各孔に熱電対を挿入して、各位置の温度を測定できるようにした。特に、実験に基づくデータは、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を含むが、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を含まない、エアロゾル発生物品のために収集された。
図2~
図4は、種々のエアロゾル発生物品の三つの異なる位置における、経時的な温度の実験に基づく測定値のグラフを示す。
【0170】
図2は、
図1に示される位置T
1に対応する、可燃性熱源の遠位端から2ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、
図2は、可燃性熱源の遠位端における温度を示す。
【0171】
図3は、
図1に示される位置T
2に対応する、可燃性熱源の遠位端から5ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、
図3は、可燃性熱源の長さに沿ったおよそ中間部分における温度を示す。
【0172】
図4は、
図1に示される位置T
3に対応する、可燃性熱源の遠位端から11ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、
図4は、エアロゾル形成基体の遠位端における温度を示す。
【0173】
すべての温度プロファイルは、エアロゾル発生物品の関連する構成要素内におよそ2ミリメートルの深さまで挿入された、電子温度プローブを用いて測定された。
【0174】
図2、
図3および
図4において、20として標識付けされた「SMAR」線は、「露出した」可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品の温度プロフィールを示す。別の言い方をすると、「SMAR」線22は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さない、エアロゾル発生物品の温度プロフィールを示す。
【0175】
図2、
図3および
図4において、21として標識付けされた「セラミック紙1」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。「セラミック紙1」測定における可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙は、Morgan Advanced Materials,plcから入手可能なSuperwool(登録商標)Plus Fibreであった。
【0176】
図2、
図3および
図4において、22として標識付けされた「セラミック紙2」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。「セラミック紙2」測定における可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙は、Ningbo Firewheel Thermal Insulation&Sealing Co.,Ltdから入手可能なCFP Ceramic Fibre Paperであった。
【0177】
図2、
図3および
図4において、23として標識付けされた「ガラス紙」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。「ガラス紙」測定における可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙は、ガラス繊維を含むセラミック紙であった。
【0178】
エアロゾル発生物品は、露出した可燃性熱源を有するが可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度プロフィール20と実質的に同様の、またはそれを超える温度プロフィールを示すために、エアロゾル発生物品の長さを実質的に囲む材料の層を有することが望ましい。可燃性熱源が露出した可燃性熱源と同様の温度、またはそれよりも高い温度を示す場合、このことは、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層が可燃性熱源の燃焼を実質的に阻止していないことを示す。
【0179】
意外にも、
図2、
図3および
図4に示すように、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有するエアロゾル発生物品の温度プロフィール21、22、23は、可燃性熱源の燃焼時間の大部分の間のエアロゾル発生物品のすべての三つの測定位置における、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度プロフィール20と実質的に同様である。さらに、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有するエアロゾル発生物品の温度プロフィール21および22は、エアロゾル発生状態にある間のいくらかの期間、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度プロフィール20を実質的に超える。
【0180】
この驚くべき結果は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の少なくとも一つの層を提供することが、有利には、可燃性熱源の燃焼を実質的に妨げていないことを示す。事実上、セラミック紙の層を提供することは、可燃性熱源の燃焼の間の期間、可燃性熱源の温度を増加しうる。
【0181】
図5は、三つの特定のエアロゾル発生物品に対する、上述の通り収集されたさらなる実験データのグラフを示す。
図4と同様に、
図5は、
図1の位置T
3に対応する、可燃性熱源の遠位端から11ミリメートルの位置で測定した、エアロゾル形成基体の遠位端における温度を示す。温度プロファイルは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体内におよそ2ミリメートルの深さまで挿入された、電子温度プローブを用いて測定された。
【0182】
図5において、30として標識付けされた「SMAR」線は、「露出した」可燃性熱源を有するエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。別の言い方をすると、「SMAR」線22は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さない、エアロゾル発生物品の温度プロフィールを示す。
【0183】
図5において、31として標識付けされた「ガラス紙」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。「ガラス紙」測定における可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙は、ガラス繊維を含むセラミック紙であった。ガラス繊維を含むセラミック紙は、約1ミリメートルの厚さおよび約5.5ミリメートルの長さを有し、可燃性熱源の遠位端から可燃性熱源の全長にわたって、エアロゾル形成基体の遠位端に延びる。
【0184】
図5において、32として標識された「生体溶解性繊維」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。「生体溶解性繊維」測定における可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙は、Morgan Advanced Materials,plcから入手可能なSuperwool(登録商標)Plus Fibreであった。Superwool(登録商標)Plus繊維は、生体溶解性アルカリ土類シリケートを含む。生体溶解性繊維を含むセラミック紙は、約0.5ミリメートルの厚さおよび約5.5ミリメートルの長さを有し、可燃性熱源の遠位端から可燃性熱源の長さ全体にわたってエアロゾル形成基体の遠位端に延びる。
【0185】
驚くべきことに、
図5に示すように、生物溶解性アルカリ土類シリケート繊維を含むセラミック紙の層を有するエアロゾル発生物品の温度プロファイル32は、200秒後の可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度プロファイル30およびガラス繊維を含むセラミック紙の層を有するエアロゾル発生物品の温度プロファイル31の両方よりも、約200秒後に高い温度を示すことが見いだされた。
【0186】
この驚くべき結果は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むガラス繊維を含むセラミック紙の層を有する物品と比較して、可燃性熱源の長さを実質的に囲む生体溶解性アルカリ土類シリケート繊維を含むセラミック紙の層を有するエアロゾル形成物品を提供することによって喫煙時間が増大しうることを示している。
【0187】
本発明によるエアロゾル発生物品は、熱源の点火後にワットマン紙にそれらを置くことによるそれらの影響を観察することによって測定された。例えば、約23℃±3℃および相対湿度55%±5%で24時間、エアロゾル発生物品を検査した。検査されるエアロゾル発生物品を、電気式ライターを用いて点火し2分間燃焼した。2分後、エアロゾル発生物品を10分間、積み重ねたワットマン紙に置いた。10分後、ワットマン紙を検査した。可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有するエアロゾル発生物品は、いずれのワットマン紙においても穴を生成せず、一番上の紙に褐色したわずかな領域を生成したことを観察した。この結果は、可燃性熱源の長さを実質的に囲むセラミック紙の層を有することが、熱源の近傍の表面温度を低減することを示す。
【0188】
本発明によるエアロゾル発生物品の第二の実施形態の略図を
図6に示す。エアロゾル発生物品102は、
図1に示すエアロゾル発生物品2と実質的に同様である。エアロゾル発生物品102は、
図1に示すエアロゾル発生物品2の対応する構成要素と同様に配置された、可燃性熱源103、エアロゾル形成基体104、セラミック紙の層105、および紙巻たばこ用紙の層107を備える。しかし、可燃性熱源103は、非ブラインド熱源である。非ブラインド熱源103は、遠位端面と近位端面との間に延在する通路116を有する炭素質材料の環状の本体115を備える。通路116は、エアロゾル発生物品を通じる気流経路の一部分を形成し、また空気がエアロゾル発生物品の近位端から、可燃性熱源103を通じて、エアロゾル形成基体104へと引き出されることを可能にする。セラミック紙の層105は、エアロゾル発生物品102を通じる気流経路から間隔をおいて配置され、そのため気流経路を通じて引き出された空気は、セラミック紙の層105と接触しない。
【0189】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア6は、
図1に関連して上述した第一のバリア106と同様に、可燃性熱源103の近位端とエアロゾル形成基体104の遠位端との間に配置される。しかし、上述の第一のバリア6と異なり、第一のバリア106は、通路116と整列される開口部120を含み、それは空気が通路116からエアロゾル形成基体104へと通ることを可能にする。
【0190】
不燃性で、実質的に不通気性の第二のバリア117は、通路116の内側表面に被覆される。第二のバリア117は、通路116を通り抜ける空気を、可燃性熱源103および可燃性熱源の燃焼の生成物から分離する。
【0191】
可燃性熱源103が非ブラインド熱源であるので、エアロゾル発生物品102は、エアロゾル形成基体104に配置される空気吸込み口を含まない。ユーザーがエアロゾル発生物品102のマウスピースで吸い込むと、周囲空気が熱源103を通じる通路116を通ってエアロゾル発生物品102内に引き出されうる。エアロゾル発生物品102内に引き出された空気は、エアロゾル発生物品102の気流経路に沿って、通路116を通って、エアロゾル形成基体104、移動要素、冷却要素およびスペーサー要素を通って、マウスピースへと流れ、さらに吸入のためにマウスピースの外へ出てユーザーへと流れうる。エアロゾル発生物品102を通じる気流の全体的な方向を矢印で示す。
【0192】
当然のことながら、一部の実施形態では、その他の空気吸込み口がまた、可燃性熱源を通じる空気通路の他にエアロゾル発生物品内に提供されてもよい。
【0193】
上記の特定の実施形態は本発明を例証するように意図される。しかし、その他の実施形態は、特許請求の範囲に定義されるように本発明の範囲から逸脱することなく作製されてもよく、また当然のことながら上記の特定の実施形態が制限的であるように意図されていない。