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特許7414528耐火物産業用の断熱材料または断熱製品を製造するための方法、対応する断熱材料および製品、ならびに使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】耐火物産業用の断熱材料または断熱製品を製造するための方法、対応する断熱材料および製品、ならびに使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/66 20060101AFI20240109BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20240109BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C04B35/66
C04B38/00 303Z
C04B38/00 304Z
F27D1/00 N
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019566145
(86)(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018064201
(87)【国際公開番号】W WO2018220022
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】102017111849.7
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591194322
【氏名又は名称】ヒュッテネス-アルベルトゥス ヒェーミッシェ ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所原語表記】Wiesenstrasse 23,D-40549 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】レーマン サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】リーマン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ツィマー ニルス
(72)【発明者】
【氏名】リーバー ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバート ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ゾラ ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ムスハルト ハイケ
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-536333(JP,A)
【文献】特開昭54-045315(JP,A)
【文献】特開2014-062018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/66
C04B 38/00
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法であって、
以下のステップ(a)ならびに(b)を含む前記方法。
(a)以下のステップ(a1)、(a2)および(a3)を有するマトリックスカプセル化プロセスによって複合材粒子を製造するステップであって、前記複合材粒子が篩い分けにより決定して5mm未満の粒径を有するステップ
(a1)少なくとも以下の出発材料(i)、(ii)および(iv)で構成される懸濁液の液滴を生成するステップ:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のそれぞれのかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
ならびに連続相としての、
(iv)化学反応により固化可能な液体である固化性液体、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップであって、固化性液体の固化が、化学反応により誘導されるステップ
(a3)複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップであって、該処理が熱処理を含むステップ、
(b)ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップ
【請求項2】
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法であって、以下のステップ(a)を含む前記方法。
(a)以下のステップ(a1)、(a2)および(a3)を有するマトリックスカプセル化プロセスによって複合材粒子を製造するステップであって、前記複合材粒子が篩い分けにより決定して5mm未満の粒径を有するステップ
(a1)少なくとも以下の出発材料(i)、(ii)、(iii)および(iv)で構成される懸濁液の液滴を生成するステップ:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のそれぞれのかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素;ならびに
連続相としての、
(iv)化学反応により固化可能な液体である固化性液体
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップであって、固化性液体の固化が、化学反応により誘導されるステップ
(a3)複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップであって、該処理が熱処理を含むステップ
【請求項3】
コロイド状二酸化ケイ素(iii)が、アニオン性コロイド状二酸化ケイ素である、
または
コロイド状二酸化ケイ素(iii)が、
- 水性連続相、および
- ナノ粒子状二酸化ケイ素を含む分散相
を含む分散液である、
または
コロイド状二酸化ケイ素(iii)が、アニオン性コロイド状二酸化ケイ素であり、かつ
- 水性連続相、および
- ナノ粒子状二酸化ケイ素を含む分散相
を含む分散液である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)または追加のステップとして、
(b)ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、および
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含み、
ステップ(b)において、もしくはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種もしくは複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを含んでもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを含んでもよく、
ならびに/または
(c)ステップ(a)からの複合材粒子を使用して、耐火物産業用の断熱製品、もしくはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するステップを含み、
ステップ(c)は、ステップ(a)の後もしくはステップ(b)の後に実行され、
および/または
耐火物産業用の断熱製品、もしくはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料は、耐火性および高耐火性の成形および非成形製品からなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
結合剤として機能する相により互いに結合した多数の複合材粒子を含む耐火物産業用の断熱製品の製造における、750g/L未満のかさ密度を有する複合材粒子の製造のための、ノズルを使用した、請求項1に記載のマトリックスカプセル化プロセスの使用。
【請求項6】
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料が、耐火性および高耐火性の成形および非成形製品からなる群から選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
いくつかの耐火性複合材粒子を含む、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、これらの複合材粒子は、
- 1種もしくは複数種の耐火性物質の粒子、
および
- 耐火性物質の前記粒子の結合剤もしくは結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素
を含み、
かつ
製品もしくは中間体は、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項8】
請求項7に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、製品または中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上の粒強度、
および/もしくは
(D)750g/L以下のかさ密度、
および/もしくは
(E)篩い分けにより決定して5mm以下の粒径、
および/もしくは
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、前記耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項9】
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物を含み、
ならびに/もしくは
耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライト
からなる群から選択される1種もしくは複数種の物質をさらに含む、
ならびに/または断熱製品または中間体としての断熱材料が、耐火性および高耐火性の成形および非成形製品からなる群から選択される、請求項7又は請求項8に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項10】
- 高アルミナれんが、
- 耐火粘土れんが、
- 耐火コンクリート、
- 補修用コンパウンド、
- レベリングコンパウンド、
- モルタルおよび接着剤、
- るつぼ、
- 取鍋内張り、
- 鋳造用の樋、
- ストッパーコンパウンド、
- 浸漬ノズル、
- スライドゲート、
- 冶金用供給ノズル、
- 注入コンパウンド、および
- 炉内張り
からなる群から選択される、請求項9に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項11】
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、
方法は、以下のステップ(a)ならびに(b)を含み
(a)以下のステップ(a1)、(a2)および(a3)を有するマトリックスカプセル化プロセスによって複合材粒子を製造するステップであって、前記複合材粒子が篩い分けにより決定して5mm未満の粒径を有するステップ
(a1)少なくとも以下の出発材料(i)、(ii)および(iv)
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のそれぞれのかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、ならびに
連続相としての、
(iv)化学反応により固化可能な液体である固化性液体
で構成される懸濁液の液滴を生成するステップと、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップであって、固化性液体の固化が、化学反応により誘導されるステップと、
(a3)複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップであって、該処理が熱処理を含むステップ、
(b)ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップ
方法は、ステップ(b)において、もしくはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種もしくは複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを有してもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを有してもよい、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法。
【請求項12】
ステップ(a1)において、液滴が1つもしくは複数のノズルを用いて提供される、請求項1から4まで、および11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
固化性液体が、カチオン交換反応により固化可能な液体である、
ならびに/または
固化性液体が、
アルギネート、PVA、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、および/もしくは
水溶液
を含む、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体である、
請求項1から4および11から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
固化可能な液体が、カルシウムイオンおよび/もしくはバリウムイオンおよび/もしくはマンガンイオンとの反応により固化可能な液体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
固化性液体が、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体であり、
- 固化性液体が、アルギネート、PVA、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、
および/もしくは
- 水溶液を含み、固化性液体は、アルギネート水溶液である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
篩い分けにより決定して0.8mm未満の粒径を有する、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤もしくはその少なくとも1種が、
無機中空ビーズ、有機中空ビーズ、多孔質および/もしくは発泡材料の粒子、もみ殻灰、コアシェル粒子および焼成珪藻土
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a)において成分(ii)として使用される熱分解性充填剤もしくはその少なくとも1種が、
- ポリマービーズ
および
- 発泡スチロールビーズ
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む酸化物、窒化物および炭化物、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む混合酸化物、混合炭化物および混合窒化物
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体の前駆体もしくは前駆体の少なくとも1種が、
- 水酸化アルミニウム、
- 水酸化マグネシウム、
- 層状ケイ酸塩、
- 粘土、
- リン酸塩
および
- 炭酸塩
からなる群から選択される、請求項1から4および11から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(a3)における処理が、得られる複合材粒子のかさ密度が乾燥状態の硬質化液滴のかさ密度より低くなるように行われ、
および/もしくは
前記複合材粒子が、750g/L未満のかさ密度を有する、
ならびに/または
ステップ(a3)において得られる複合材粒子および/もしくはステップ(b)において使用される複合材粒子の少なくとも一部が、篩い分けにより決定して5.0mm未満の粒径を有する、
ならびに/または
成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含む、
ならびに/または
硬質化液滴が、ステップ(a3)において中間体としての固体粒子をもたらすように処理され、その後これらの固体粒子の表面が、前記複合材粒子をもたらすようにシールされる、請求項1から4および11から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含み、
耐火性固体の前駆体または前駆体の少なくとも1種が粘土であり、ステップ(a3)における処理が、粘土が耐火性固体に変換されるような900~980℃の範囲内の温度での熱処理を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
粘土は、カオリナイトおよび/もしくはイライトを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(b)として、ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、および
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含む、
ならびに/または
ステップ(a1)が、懸濁液の液滴の生成のためのさらなる出発材料として、および分散相として、(i)および(ii)に加えて、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素
を使用する、
ならびに/または
ステップ(a3)において得られる複合材粒子が、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR、
および/もしくは
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上の粒強度、
および/もしくは
(D)750g/L以下のかさ密度、
および/もしくは
(E)篩い分けにより決定して5mm以下の粒径、
および/もしくは
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、請求項1から4および11から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、
- 1種または複数種の耐火性物質の粒子
を含むいくつかの耐火性複合材粒子、
ならびに
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物
を含み、
製品もしくは中間体は、請求項11から19までのいずれか1項に記載の方法により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項22】
耐火性複合材粒子がさらに耐火性物質の前記粒子の結合剤または結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素を含む、請求項21に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【請求項23】
製品または中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上の粒強度、
および/もしくは
(D)750g/L以下のかさ密度、
および/もしくは
(E)篩い分けにより決定して5.0mm以下の粒径、
および/もしくは
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられ、
ならびに/または
前記耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料が、耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライト
からなる群から選択される1種または複数種の物質をさらに含む、請求項21に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法、および対応する断熱材料/断熱製品に関する。同様に、本発明は、耐火物産業用の断熱製品の製造におけるマトリックスカプセル化プロセスの使用、ならびに対応する断熱製品および/またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料に関する。本発明は、添付の特許請求の範囲および明細書の対応する節において定義される。
本書に関連して、「耐火物産業」という表現は、好ましくは、非鉄、鉄および鋼用途、セメントおよび石灰産業、化学および石油化学、ならびにごみ焼却プラントにおける、耐火性フィッティングおよび内張りの製造における、またはそれらとしての本発明の物品の使用を包含する。他の産業部門、特に鋳物産業における本文書に記載の本発明の物品の用途は、本発明の一部ではない。
【背景技術】
【0002】
耐火物用途の分野において、現在、軽量でもある様々な材料の使用、特に、膨張粘土、パーライト、膨張パーライト、バーミキュライト、およびセラミック繊維または鉱物繊維(ケイ酸カルシウム)等の繊維の使用が知られている。「球」(円形中空ボール)もまた、耐火性化合物の構成要素としてすでに説明されている。同様に、耐火物用途の分野において、燃焼中に膨張粒子を使用することにより空隙率を増加させることが慣例的である。
高耐火性用途の分野、例えば炉構造における内張りおよび/またはフィッティングでは、特に低質量が望ましい場合、中空球形コランダム(実験式Al23)が一般に使用される。中空球形コランダムは、約2000℃まで耐燃性である。しかしながら、欠点は、約750~1000g/L(製造プロセスに依存する)というその高いかさ密度、およびその比較的良好な熱伝導率であり、高いかさ密度は、例えば中空球形コランダムから軽量内張りを製造することを困難にする。高い熱伝導率は、中空球形コランダムで改良された高耐火性設備における熱損失、ひいてはエネルギー損失が比較的高いことを意味する。
「耐火」および「高耐火」という用語は、本文書全体にわたり、標準DIN51060:2000-06における対応する定義に従って使用される。
【0003】
現在の標準的な耐火性および高耐火性物質の製造における既知の欠点は、均一な規則的形状の粒子を製造するにはセラミック出発材料を溶融相に変換することが必要であり、これには高温、およびそれに対応して大量のエネルギーが必要とされるという点である。エネルギー必要量を低減するためにはフラックスを使用することが必要であるが、これは、得られる耐火性または高耐火性材料の耐燃性を低減する。耐火性粒子状原材料を提供するためのさらなる公知の手法は、例えば、極めて多孔質または中空の球形断熱材料を製造するための方法である。
【0004】
工業製品の製造における高温および大量のエネルギーの使用はまた、中でもパリ協定の目的に反しており、「パリ協定」は、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の195の加盟国間の条約であり、京都議定書に従う気候の保護を目的としている。パリ協定は、2015年12月、パリでの国連気候会議において締結され、人間による地球温暖化を産業革命前の値と比較して2℃未満に制限することを想定している。そこから派生したドイツの「気候変動行動計画2050(Climate Action Plan 2050)」は、2016年11月に締結され、2030年までに、産業部門の1990年の値と比較して約50%温室効果ガスの排出を削減することを想定している。この背景に対して、耐火物産業は、第1にその製品自体の製造のためのエネルギー需要を低減し、第2に耐火性製品の断熱効果をさらに改善し、このようにしてまた高温炉の運転におけるエネルギーの削減に寄与するという二重の課題に直面している。
【0005】
文献DE1173828は、セラミック原材料から中空球体を製造するための方法を開示している。
文献DE2037937は、軽量セラミック成形体を製造するための方法を記載している。
文献DE2100802は、高温での使用のための軽量耐火れんがを製造するための方法を記載している。
文献DE2352188は、耐火性断熱パネルおよびその製造のための方法を記載している。
文献US5061526は、多孔質耐火性材料を製造するための方法を記載している。
【0006】
文献欧州特許出願公開第0934785号は、金属鋳造用の鋳型における使用のための中空円形球を含む断熱組成物を記載している。
文献欧州特許出願公開第0854124号は、耐火性セラミックれんがを記載している。
文献欧州特許出願公開216835号は、耐火性材料の製造のための材料組成物およびその使用、ならびに耐火性成形体およびその製造のための方法を記載している。
文献独国特許出願公開第102008063815号は、開放細孔成形体を記載している。
文献独国特許出願公開第102015120866号(国際公開第2017/093371号パンフレットに対応する)は、鋳物産業用の耐火性複合材粒子およびフィーダ要素を製造するための方法、対応するフィーダ要素および使用を特定している。
それにもかかわらず、先行技術を踏まえて、耐火物産業では、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の製造のための、低い熱伝導率、低質量(すなわち低いかさ密度)と組み合わされた高い機械的強度、および最大限の均一性の規則的粒子形状を有する、粒子状耐火性または高耐火性材料が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主目的は、断熱材料中に存在する粒子の特性に関して特段の問題なしに実際の需要に適合させることができる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための改善された方法を提供することであった。特定される方法は、5mm以下の粒径を有する粒子を含む断熱材料をもたらすものであった。特定される方法の個々の構成に依存して、粒子は、特に、低いかさ密度、高い熱安定性、優れた断熱特性、すなわち低い熱伝導率、および/または高い機械的強度(粒強度)を有するものであった。
【0008】
好ましくは、特定される方法は、以下の特性の1つまたは複数、好ましくは全てを有する充填剤粒子の使用を含むものであり、またはその製造を可能にするものであった。
- 特に高い熱安定性、
- 優れた断熱特性、
- 良好な注入性、
- 高い球形度、
- 流動性、
- 750g/L未満、好ましくは400g/L未満の低いかさ密度、
および/または
- 特に高い機械的強度。
耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の製造のための特定される方法は、可変サイズの充填剤粒子の製造および使用に関して柔軟に調節可能なものであり;より具体的には、方法は、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の製造において、5mm未満(好ましくは2mm未満)の粒径を有する充填剤粒子の製造および使用を可能にするものである。製造および使用される充填剤粒子は、可変の組成を有するものであった。特定される方法のこの可変性および柔軟性によって、個々の場合の需要に個々に適合した材料特性を有する、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造することが可能である。したがって、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の製造のための特定される方法はまた、既存の方法よりも、定義されたサイズおよび組成の充填剤粒子の市場での利用可能性から独立したものである。
【0009】
本発明の主目的のさらなる態様は、この種の公知の方法と比較してより低いエネルギー消費量を有する、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法を提供することであった。
本発明のさらなる目的は、対応する断熱材料または断熱製品を特定することであった。本発明のさらなる目的は、適宜変更を加えて、上述の見解から明らかとなり、以下の文章における対応する解説から明らかとなる。
本発明、ならびに本発明に従い好ましい本発明の好ましいパラメータ、特性および/または構成要素の組合せは、添付の特許請求の範囲において、または明細書中で特定される態様において定義される。本発明の好ましい態様はまた、以下の説明および例において特定または定義される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここで、主目的、ならびにさらなる特定の目的および部分的目的は、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための(第1の本発明の)方法であって、
(a)以下のステップ:
(a1)少なくとも以下の出発材料:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
構成要素(i)および(ii)に加えて、
(iii)コロイド状、好ましくはアニオン性二酸化ケイ素;
ならびに連続相としての、
(iv)固化性液体
で構成される懸濁液の液滴を生成するステップと、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップと、
(a3)熱処理を含む、複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップと
を有するマトリックスカプセル化プロセスにおいて、篩い分けにより決定して5mm未満、好ましくは2mm未満の粒径を有する前記複合材粒子を製造するステップを有する方法によって達成されることが判明した。
【0011】
本発明が基づく1つの知見は、ステップ(a1)に特定される出発材料(ステップ(a1)における項目(i)~(iv)を参照されたい)のマトリックスカプセル化(カプセル化)が、上に列挙された主な特性を有する複合材粒子を製造し得ることである。
本発明の方法により製造される複合材粒子は、篩い分けにより決定して5mm未満、好ましくは2mm未満の粒径を有する。篩い分けによる決定は、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法F(個々の可動篩またはガス状静止流体中に設置された篩による機械的篩い分け)を用いて達成される。RETSCH AS 200制御型の振動篩機が使用され、ここでは振幅はレベル2に設定され、中間的篩い分けは存在せず、篩い分け時間は1分である。
【0012】
「耐火性固体」という用語は、DIN51060:2000-06に従い「耐火」性と呼ばれる固体を包含し、「耐火性固体」という用語はさらに、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、グラファイト、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、層状ケイ酸塩(好ましくは雲母)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(好ましくはコーディエライト)、炭化ケイ素、窒化ホウ素、上述の金属酸化物からの1種または複数種の金属原子を含有する混合酸化物、および上述の金属ケイ酸塩からの1種または複数種の金属原子を含有する混合ケイ酸塩からなる群からの固体を包含する。
「耐火性固体の前駆体」は、硬質化液滴の処理(ステップ(a3))において、例えば熱処理によって、上で定義された「耐火性固体」に転換される材料である。
【0013】
本発明に関連して、粒子または材料(例えばある量の同じ組成の粒子)は、粒子または材料が所与の温度上限値(例えば1600℃または1700℃、好ましくは1600℃)未満でその三次元形状の損失を伴って溶融も軟化もせず、またはさらには分解しない場合、熱的に安定であるとみなされる。ある量の同じ組成の粒子は、特に焼結試験において特定の温度で焼結しない場合、熱的に安定であるとみなされる。焼結試験の実行に関しては、後述の「熱安定性の決定方法(焼結試験)」を参照されたい。
「少なくとも以下の出発材料から懸濁液の液滴を生成する」という特徴は、「以下の出発材料のみから懸濁液の液滴を生成する」こと、ならびに「以下の出発材料およびさらなる出発材料から懸濁液の液滴を生成する」ことを含む。
【0014】
「マトリックスカプセル化プロセス」は、本文書において、マトリックス(連続相)中に懸濁された固体または液体状態の物質を含む分散液の液滴がまず調製されるプロセスを意味すると理解される。液滴は、固化および任意選択のその後の処理により、複合材粒子を製造するために使用される。本発明の方法は、そのステップ(a)において、上で定義された構成ステップによる特定のマトリックスカプセル化プロセスを含む。コアシェル粒子の製造のための典型的なプロセスは、コアシェル粒子におけるシェル材料が単一コアを包み込むだけであるという点で、マトリックスカプセル化プロセスとは異なる。典型的なコアシェル粒子のこの単一コアは、典型的には、コアの他の構成要素に結合する任意の結合剤を含まない。典型的には、これはまた本発明の方法のステップ(a)において特定のマトリックスカプセル化プロセスを用いて製造された複合材粒子についても当てはまるが、マトリックスカプセル化プロセスを用いて製造された複合材粒子は、耐火性固体からなる5個超、好ましくは50個超の個別のマイクロ粒子を含む。好ましい耐火性固体については以下を参照されたい。本発明によれば、そのような複合材粒子が好ましい。
【0015】
「密度低減物質」は、本発明の方法において使用された場合、比較を目的としてこれらの「密度低減物質」が使用されない以外は同一の様式で行われた本発明によらない(比較)方法と比較して、ステップ(a3)において得られた複合材粒子のかさ密度の低減を達成する効果を有する物質である。硬質化液滴の処理に依存して、使用される熱分解性充填剤は、膨張または熱分解してもよく、またはしなくてもよい。使用される熱分解性充填剤が熱分解する場合にのみ(ステップ(a3)において)、「密度低減」基準を満たす。
本発明に従い使用される「軽量充填剤」は、それぞれDIN EN ISO 60 2000-01に従い決定して10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する充填剤である。本発明の方法における使用に好ましい軽量充填剤は、
- 球、好ましくはフライアッシュの球、例えばOmya GmbH製の「Fillite 106」球、
あるいは
- ガラス、例えば、LUH Georg H.Luh GmbH製の「GHL450」という名称のガラス、Jebsen&Jessen GmbH&Co.KG製の「JJ Glass Bubbles」という名称の製品、Potters Industries製の「Q-cel(登録商標)300」という名称の製品、または3M製の「K1」、「K15」もしくは「K20」製品
である。
【0016】
「熱分解性充填剤」は、ステップ(a3)における硬質化液滴の処理において、例えば加熱工程中に部分的または完全に、好ましくは完全に熱分解される充填剤である。熱分解性充填剤は同時に、10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する軽量充填剤であってもよい。
本発明の方法のステップ(a)において製造される複合材粒子は、ステップ(ii)における密度低減物質の使用により、特に低いかさ密度を有するが、個々の場合の需要に応じて個々に調節されたかさ密度を有し、また、特に熱分解性充填剤を使用した場合、高い空隙率を有するが、個々の場合の需要に応じて個々に調節された空隙率を有し、したがって、最終的な個々に製造された複合材粒子は、高い断熱効果と同時に低いかさ密度を有する。
本発明により想定される上で特定された密度低減物質だけでなく、本発明の方法のステップ(a1)、項目(ii)において使用される追加的なさらなる密度低減物質は、発泡剤であってもよい。「発泡剤」は、ステップ(a3)における硬質化液滴の処理において、例えば加熱工程中に膨張する、または発泡ガスを放出し、ひいては複合材粒子中に空洞を生成する物質である。
【0017】
本発明の方法のステップ(a1)、項目(iii)において出発材料として使用される「コロイド状二酸化ケイ素」は、好ましくは、水性(すなわち水含有)連続相と、5~30nmの範囲内、好ましくは7~25nmの範囲内の平均粒子径(電子顕微鏡測定により決定される)を好ましくは有するナノ粒子状二酸化ケイ素を含む分散相とを含む分散液である。粒子状二酸化ケイ素の比表面積は、「BET法」により決定して、好ましくは100~300m2/gの範囲内、より好ましくは200~300m2/gの範囲内である(S. Brunauer, P.H. Emmett, E. Teller: J. Amer, Chem. Soc. 60, 309-312 (1938)を参照されたい)。分散液の二酸化ケイ素含量(SiO2として報告される)は、分散液の総質量を基準として好ましくは10質量%~50質量%の範囲内、より好ましくは15質量%~40質量%の範囲内、最も好ましくは18質量%~35質量%の範囲内である。「コロイド状二酸化ケイ素」は、好ましくはアニオン性コロイド状二酸化ケイ素である。コロイド状二酸化ケイ素は、より好ましくは表面改質アニオン性コロイド状二酸化ケイ素である。「分散液」は、ここでは、コロイド状二酸化ケイ素を形成する連続相および分散相全体を意味すると理解される。上で特定された本発明の方法における使用のための好ましいコロイド状二酸化ケイ素は、W.R.Grace&Co.製の「Ludox(登録商標)TMA」製品、Zschimmer&Schwarz GmbH&Co.KG製の「Lithosol(登録商標)1530」製品、「Levasil(登録商標)200E/20%」製品、「Levasil(登録商標)200B/30%」製品(共にH.C.Starck製)およびChemiewerk Bad Kostritz GmbH製の「Kostrosol(登録商標)0820BS」製品である。
【0018】
上で特定された本発明の方法により製造される複合材粒子において、ステップ(a1)において使用されるコロイド状に分散した二酸化ケイ素粒子は、ステップ(a3)における熱処理(または複合材粒子に適用される別の熱処理、例えば焼結操作)に選択された温度が、ナノ粒子が粒子形状の損失と共に互いに完全に融合または焼結するような高いレベルでない限り、ナノ粒子状二酸化ケイ素の形態である。ナノ粒子形態の二酸化ケイ素の存在の検出は、走査型電子顕微鏡(「SEM」)または透過型電子顕微鏡(「TEM」)を用いて行うことができる。
構成要素(iii)としてコロイド状二酸化ケイ素を含む上で特定された本発明の方法により製造される複合材粒子または断熱材料は、特に高い粒強度と同時に、低いかさ密度、耐火特性および高い断熱効果の点で注目すべきである。したがってそれらは、高い機械的安定性が重要である耐火物産業用の断熱製品の製造に特に好適である。いかなる正確性も保証するものではないが、上で特定された本発明の方法により製造された複合材粒子または断熱材料の特に良好な粒強度は、(j-1)好ましい温度範囲内(以下を参照されたい)でのステップ(a3)における熱処理、(j-2)ステップ(a2)における好ましい固化性液体(以下を参照されたい)の硬化、および(j-3)ステップ(a1)におけるコロイド状二酸化ケイ素の結合剤としての効果のうちの2つまたは3つ全ての要素の、時には相乗的となる相互作用に起因すると推定される。
【0019】
したがって、耐火物産業における使用のための複合材粒子の所望の高い粒強度を達成するための(特にステップ(a3)における)熱処理のエネルギー消費は、他の同様の方法と比較して、本発明の方法により有利に低減され得る。
好ましいのは、
ステップ(a1)において、液滴が1つもしくは複数のノズル、好ましくは振動ノズルを用いて提供され、
および/または
ステップ(a2)において、固化性液体の固化が、冷却、乾燥もしくは化学反応により誘導される、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
時間的に効率よく、また粒径の最大限の均一性を伴って複合材粒子を製造するためには、ステップ(a1)において1つまたは複数のノズル、好ましくは振動ノズルを使用することが好ましい。
【0020】
好ましいのは、ステップ(a1)において使用される固化性液体が、化学反応により固化可能な液体であり、ステップ(a2)における固化性液体の固化が、化学反応により誘導される、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
化学反応による固化性液体の固化は、この操作が一般に不可逆的であり、さらに十分速く、したがって固化性液体が一般に滴下による添加時に、ひいては固化性液体の固化時に液滴の形状を保持するという利点を有する。物理的方法、例えば冷却または乾燥による固化は、いくつかの場合においては可逆的であり、これらの場合においては、例えば熱または水分の供給により(少なくとも部分的に)反転し得る。
特に好ましいのは、固化性液体がカチオン交換反応により固化可能な液体、好ましくはカルシウムイオンおよび/またはバリウムイオンおよび/またはマンガンイオンとの反応により、好ましくはカルシウムイオンとの反応により固化可能な液体である、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0021】
実際のカチオン交換反応は、比較的短い期間内で通常完了するという利点を有する。
ステップ(a2)において、固化性液体が一価カチオンを含有し、固化性液体を固化させるためにカルシウムイオンと接触させるカチオン交換反応を実行することが好ましく、これに代えて、カルシウムイオンではなくバリウムイオンまたはマンガンイオンを使用することができる。好ましい手順において、固化性液体中に存在する一価カチオンは、そのようにして固化性液体を固化させるために、カルシウムイオンと交換される。カルシウムイオンは、電荷移動度とイオン移動度との間のバランスの取れた比率を有する。実際には、一般に、固化性液体中に存在する一価カチオンと交換されるカチオンの電荷は、カチオン交換において難溶性化合物が形成するように最大となるべきである。しかしながら、カチオンはまた、所望の化学反応が最大速度で進行するように、最大イオン移動度を有するべきである。カチオンのイオン移動度は、カチオン電荷の増加と共に減少する。
【0022】
特に好ましいのは、固化性液体が、
アルギネート、ポリビニルアルコール(PVA)、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、
ならびに/または(好ましくは「ならびに」)
水溶液
を含む、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体であり、
固化性液体は、好ましくはアルギネート水溶液であり、
固化性液体は、より好ましくはアルギン酸ナトリウム水溶液である、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0023】
好ましくは水溶液の形態のアルギネート溶液、特にアルギン酸ナトリウム溶液は、環境に優しく、分解性であり、特に非毒性であることから、本発明の方法におけるカルシウムイオンとの反応により固化可能な液体としての使用に特に好適である。さらに、そのようなアルギネート溶液は、再現性のある標準化された様式で固化され得る。固化性液体としてアルギネート溶液を使用して製造された、独自の研究で得られた複合材粒子は、一様に分布または配設された耐火性物質の粒子を有する均一構造を有していた。
【0024】
好ましいのは、
篩い分けにより決定して(決定方法については上記を参照されたい)0.8mm未満、より好ましくは0.5mm未満、最も好ましくは0.3mm未満の粒径を好ましくは有する、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤もしくはその少なくとも1種が、
無機中空ビーズ、有機中空ビーズ、多孔質および/もしくは発泡材料の、好ましくはガラスの粒子、もみ殻灰、コアシェル粒子および焼成珪藻土からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a)において成分(ii)として使用される熱分解性充填剤もしくはその少なくとも1種が、
- ポリマービーズ、好ましくはAkzo Nobel製の「Expancel(登録商標)091 DE 80 d30」ポリマービーズもしくはKISH Company Inc.製の「SPHERE ONE EXTENDOSPHERES(商標)PM 6550 Hollow Plastic Spheres」ポリマービーズ、
および
- 発泡スチロールビーズ、好ましくはBASF製「F655-N」発泡スチロールビーズ
からなる群から選択される、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0025】
特に好ましいのは、
使用される軽量充填剤の総量が、ステップ(a1)において生成される懸濁液の全質量を基準として30質量%までの範囲内、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲内、特に好ましくは2質量%~5質量%の範囲内であり、
および/または
使用される熱分解性充填剤の総量が、ステップ(a1)において生成される懸濁液の全質量を基準として30質量%までの範囲内、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲内、特に好ましくは2質量%~10質量%の範囲内である、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0026】
使用される密度低減物質の総量は、ステップ(a1)において生成される懸濁液の全質量を基準として好ましくは1質量%~20質量%の範囲内、より好ましくは2質量%~10質量%の範囲内である。
成分(ii)として使用される上記の軽量充填剤は、個々に、または互いに組み合わせて使用されてもよい。
成分(ii)として使用される上記の熱分解性充填剤は、個々に、または互いに組み合わせて使用されてもよい。
成分(ii)として使用される上記の軽量充填剤および熱分解性充填剤は、それぞれ個々に、または互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0027】
本発明により想定される密度低減物質に加えて、追加のさらなる密度低減物質として本発明の方法において任意選択的に使用可能な上で特定された発泡剤は、好ましくは、
- 好ましくはアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群からのカチオンとの炭酸塩、炭酸水素塩およびシュウ酸塩、好ましくは炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウムおよびシュウ酸カルシウム、
- ヤシ殻粉末、好ましくはMahlwerk Neubauer-Friedrich Geffers GmbH製の「Coconit 300」という名称のヤシ殻粉末、
- クルミ殻粉末、好ましくはZiegler Minerals製の「Walnusschalenmehl 200m」という名称のクルミ殻粉末、
- ブドウ種子粉、好ましくはA+S BioTec製の「Traubenkernmehl M100」という名称のブドウ種子粉、
- オリーブ核粉、好ましくはJELU-Werk製の「OM2000」または「OM3000」という名称のオリーブ核粉、
- デンプン、
- 小麦粉、好ましくはHummel製の「Mehl 405」という名称の小麦粉、
- トウモロコシ粉、好ましくはHummel製の「Maismehl MK100」という名称のトウモロコシ粉、
- ポテトデキストリン、
- 砂糖、例えばスクロース、
- 植物種子、
- 木粉、好ましくはBrandenburg Holzmuhle製の「Holzmehl Ligno-Tech 120mesh TR」という名称の木粉、
ならびに
- もみ殻灰、好ましくは高炭素含量を有するもみ殻灰、例えばRefratech製の「Nermat AF(<80μm)」という名称のもみ殻灰
からなる群から選択される。
【0028】
さらなる追加の成分(ii)として任意選択的に使用可能な上記発泡剤は、個々に、または互いに組み合わせて、好ましくはステップ(a1)において生成される懸濁液の全質量を基準として30質量%までの範囲内、より好ましくは1質量%~20質量%の範囲内、特に好ましくは3質量%~10質量%の範囲内の総量で使用されてもよい。
【0029】
特に低いかさ密度を有する複合材粒子の製造のための上述の密度低減物質(例えば、軽量充填剤または加水分解性充填剤、ならびに発泡剤)は、かなりの程度まで市場で利用可能である。本発明の方法におけるそれらの使用により、耐火物産業に良好な断熱性を有する軽量製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の再現性のある製造が可能となる。
【0030】
好ましいのは、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む酸化物、窒化物および炭化物、
ならびに
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む混合酸化物、混合炭化物および混合窒化物
からなる群から選択され、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、好ましくは、
- 酸化アルミニウム(例えばCAS番号21645-51-2)、
- 酸化ジルコニウム(例えばCAS番号1314-23-4)、
- 二酸化チタン(例えばCAS番号13463-67-7)、
- 二酸化ケイ素(例えばCAS番号:14808-60-7の石英もしくはCAS番号:60676-86-0のSiO2ガラス)、
- 酸化マグネシウム(例えばCAS番号:1309-48-4)、
- 酸化カルシウム(例えばCAS番号1305-78-8)、
- ケイ酸カルシウム(例えばCAS番号:1344-95-2)、
- 層状ケイ酸塩、好ましくは雲母、
- ケイ酸アルミニウム、
- ケイ酸アルミニウムマグネシウム、好ましくはコーディエライト、
- 炭化ケイ素、
および
- 窒化ホウ素
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体の前駆体もしくは前駆体の少なくとも1種が、
- 水酸化アルミニウム(例えばCAS番号:1344-28-1)、
- 水酸化マグネシウム(例えばCAS番号:1309-42-8)、
- 層状ケイ酸塩、好ましくはカオリナイト、モンモリロナイトおよびイライト、
- 粘土、好ましくはカオリンおよびベントナイト、
- リン酸塩、例えばリン酸三カルシウム(例えばCAS番号:7758-87-4)
および
- 炭酸塩、例えば炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム(例えばCAS番号:546-93-0(無水物)、13717-00-5(一水和物)、5145-48-2(二水和物)、14457-83-1(三水和物)、61042-72-6(五水和物))
からなる群から選択される、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0031】
特に好ましいのは、ステップ(a1)において使用される耐火性物質の総量が、ステップ(a1)において生成される懸濁液の総量を基準として1質量%~70質量%の範囲内、より好ましくは5質量%~50質量%の範囲内、最も好ましくは10質量%~30質量%の範囲内である、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
また、上述の種の全てが、互いの混合物として、例えば骨灰の形態の炭酸塩/リン酸塩として使用されてもよい。
【0032】
耐火性物質:
上述の耐火性固体は、個々に、または組み合わせて使用され得る。上述の前駆体は、個々に、または組み合わせて使用され得る。耐火性固体のみ、または前駆体のみ、またはその両方を互いに組み合わせて使用することが可能である。
層状ケイ酸塩:
耐火性固体としての使用に好ましい層状ケイ酸塩は、以下の通りである。
- C.H.Erblsloh製の「Pyrax(登録商標)RG-140」
- Aspanger Bergbau und Mineralwerke GmbH製の「Mica G」
- Denain-Anzin Mineraux製の「Mica-MG160」
および
- Aspanger Bergbau und Mineralwerke GmbH製の「Glimmer CMG」という名称の雲母。
上記の好ましい層状ケイ酸塩は、個々に、または組み合わせて使用され得る。
【0033】
酸化物:
しかしながら、いくつかの場合において、ステップ(a1)における成分(i)の耐火性物質として特定の酸化物を使用することが有利であり、これらの酸化物の少なくとも1つは、
- 酸化アルミニウム(例えばCAS番号21645-51-2)、
- 酸化ジルコニウム(例えばCAS番号1314-23-4)、
- 二酸化チタン(例えばCAS番号13463-67-7)、
- 粒子状固体(本発明の方法のステップ(a1)、項目(iii)に従うコロイド状二酸化ケイ素とは対照的に)としての二酸化ケイ素(例えばCAS番号:14808-60-7の石英またはCAS番号:60676-86-0のSiO2ガラス)、
- 酸化マグネシウム(例えばCAS番号:1309-48-4)、
および
- 酸化カルシウム(例えばCAS番号1305-78-8)
からなる群から選択される。
上述の酸化物は、個々に、または組み合わせて使用され得る。
【0034】
ここで、好ましい酸化アルミニウムは、Nabaltec AG製の酸化アルミニウム「Nabalox(登録商標)NO315」、Treibacher Schleifmittel製の酸化アルミニウム「Alodur(登録商標)EK S1」、MAL Magyar Aluminum製の酸化アルミニウム「Alumina DF2」およびWester Minerals製の酸化アルミニウム「Edelkorund weiss EK-Filterstaub」である。
金属酸化物の好ましい組合せは、酸化アルミニウムと酸化ジルコニウムの混合物、例えばTreibacher Schleifmittel製の「Alodur(登録商標)ZKSF」である。
【0035】
ここで、好ましい酸化ケイ素は、Refratech製のシリカ「Sillimat GS(<80μm)」、Ziegler Minerals製の酸化ケイ素「Kalzinierte Reisspelzen」、Evonik製の酸化ケイ素「Aerosil 200」、RW Silicium GmbH製の酸化ケイ素「SiO2 RW filler Q1 plus」およびQuarzwerke製の酸化ケイ素「Millisil-Mehl W8」である。
好ましいケイ酸カルシウムは、Possehl Erzkontor製のケイ酸カルシウム「China Wollastonite TMM SG」である。
【0036】
ケイ酸アルミニウム:
耐火性固体または前駆体としての使用に好ましいケイ酸アルミニウムは、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび以下のケイ酸アルミニウムである。
- Europe Minerals製の「Andalusit 200mesh」、「Andalusit 120mesh」または「Kysil 58」、
- Cofermin Rohstoffe製の「Marlusit DIN 80」、
- Possehl Erzkontor製の「Kyanit 100mesh/200mesh」、
- Ziegler Mineralstoffe製の「Kyanit 40-120mesh」、
- Sibelco Deutschland Westerwald製の「Kaolinschamotte PrimaCal 50」、
- Franz Mandt製の「Porzellanmehl」、
- IMERYS UK製の「Molochit 120/200」
および
- ムライト。
【0037】
ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび/または上述の好ましいケイ酸アルミニウムは、個々に、または組み合わせて使用され得る。
耐火性固体としての使用に好ましいケイ酸アルミニウムマグネシウムは、コーディエライト、好ましくはCeske Lupkove Zavody SA製の「Cordierit C 65」、Alroko GmbH&Co KG製の「Cordierit B」およびSpitzer Rohstoffhandelsgesellschaft mbH製の「Cordierit 0-1mm」または「Cordierit DIN 70」である。
これらの好ましいケイ酸アルミニウムマグネシウムは、個々に、または組み合わせて使用され得る。
【0038】
上述の化合物または混合物は、本発明に関連する耐火性固体として、互いに組み合わせて使用され得る。当業者は、例えば複合材粒子の所望の熱安定性、およびある特定の程度だけそれに依存するかさ密度を、耐火性固体の種類および量によって制御することができる。同様のことが、以降で特定される耐火性固体の好ましい前駆体、これらの好ましい前駆体の組合せ、および耐火性固体の好ましい前駆体と上述の好ましい耐火性固体との組合せに対しても適用される。
【0039】
前駆体:
耐火性固体の前駆体としての使用に好ましい混合物は、骨灰、例えばNeue Leimfabrik Tangermunde GmbH製の「CALTAN Knochenasche」である。
耐火性固体の前駆体としての使用に特に好ましいカオリンは、
- Amberger Kaolinwerke製の「Chinafill 100」または「Kaolin TEC」、
- Karlicher Ton-und Schamottewerke Mannheim&Co.KG製の「Karlicher Blautonmehl」、
- BASF AG製の「Satintone W」、
および
- Omya製の「Kaolin Burgess No.20」または「Kaolin Burgess BSC SD」
である。
上記の特に好ましいカオリンは、個々に、または組み合わせて使用され得る。
【0040】
耐火性固体の前駆体としての使用に特に好ましいベントナイトは、
- Elementis Specialities製の「Bentone 27」または「Bentone EW」、
- C.H.Erbsloh製の「Bentonit B」(例えばCAS番号:1302-78-9)、
および
- Sud Chemie製の「Bentonit Volclay」
である。
上記の特に好ましいベントナイトは、個々に、または組み合わせて使用され得る。
上述の好ましい耐火性物質の使用は、特に熱的に安定(耐火性)である複合材粒子をもたらす。
【0041】
ステップ(a1)における耐火性物質は、好ましくは非凝集および非集塊化粒子の形態であることは明らかであり、本発明の方法により製造された複合材粒子の最大粒径に対する耐火性物質の粒子の最大粒径(上で定義される)の比率は、好ましくは0.01~0.2の範囲内である。このように、耐火性物質の多くの粒子が、単一の複合材粒子内に配置され得る。
ステップ(a1)において使用される耐火性物質は、好ましくは粒子であり、好ましくは、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法D(空気ジェット篩を用いた、ガス状可動流体中の静止した個々の篩による機械的篩い分け)を用いて篩い分けにより決定して0.1mm未満の粒径を有する耐火性物質、好ましくは耐火性固体の粒子である。
【0042】
好ましいのは、
ステップ(a3)における処理が、得られる複合材粒子のかさ密度が乾燥状態の硬質化液滴のかさ密度より低くなるように行われ(これは、例えば、処理が熱分解性充填剤の熱分解をもたらすように行われる場合、密度低減物質、好ましくは熱分解性充填剤を使用することによって特に容易に達成される)、
および/または
前記複合材粒子が、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
本発明に関連して、ステップ(a1)において使用される構成要素(i)、(ii)、(iii)および(iv)の特定の選択の場合において、ステップ(a3)における硬質化液滴の制御された処理により、多くの場合において有利であるまたは必要とされるかさ密度の低減が達成可能である(構成要素が、例えば熱分解される、または発泡ガスの放出と共に変換されるため)ことが認識されている。ここで、驚くべきことに、硬質化液滴から形成された複合材粒子の寸法安定性または熱安定性に対する悪影響は存在しない。
【0043】
750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する複合材粒子は、低いかさ密度、高い断熱効果および適切な熱安定性の利点を組み合わせ、したがって、本発明による方法におけるその使用は特に好ましい。
多くの場合において、好ましいのは、ステップ(a3)において得られる複合材粒子の少なくとも一部が、篩い分けにより決定して5.0mm未満、好ましくは2.0mm未満の領域の粒径を有する、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。2.0mm未満の粒径を有する複合材粒子は、断熱耐火性材料中に微細粒を形成し、したがって耐火物産業用の断熱材料または対応する断熱製品を製造するための特に良好な加工性を有し、本発明の方法のステップ(a)におけるその製造、およびステップ(b)におけるその使用(以下を参照されたい)が好ましい。好ましくは、ステップ(a)において製造された複合材粒子の全質量を基準として、ステップ(a)において製造された複合材粒子の少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%が、篩い分けにより決定して2.0mm以下の粒径を有する。
【0044】
また、多くの場合、好ましいのは、成分(ii)が密度低減物質として1種または複数種の熱分解性充填剤を含み、またステップ(a3)における処理が、熱分解性充填剤が熱分解し、ひいては得られる複合材粒子中に空洞を形成するように行われる、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
熱分解性充填剤の使用によるステップ(a3)における空洞の形成は、得られる複合材粒子のかさ密度がそのようにして低減され、断熱効果が増大するため、本発明の一態様である。熱分解性充填剤の量および粒径は、得られる複合材粒子のかさ密度および空隙率の関連パラメータである。
好ましいのは、成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含み(これは典型的にはXRD分析を用いて検出され得る)、
好ましくは、耐火性固体の前駆体または前駆体の少なくとも1種が粘土または粘土含有岩石であり、ステップ(a3)における処理が、粘土が耐火性固体に変換されるように900~980℃の範囲内の温度での熱処理を含み、粘土は、好ましくはカオリナイトおよび/またはイライトを含む(これは典型的にはXRD分析を用いて検出され得る)、上述の本発明の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0045】
独自の研究では、本発明の方法により、900~980℃の範囲内のステップ(a3)における比較的低い温度であっても、構成要素(iii)としてコロイド状二酸化ケイ素を含有する複合材粒子が、極めて高い機械的強度(粒強度)を伴って得られることが示されている。また、900~980℃の範囲内の温度での本発明の方法のステップ(a3)における熱処理による、複合材粒子の機械的強度の発達は、特定された温度範囲内でのより長い熱処理がより高い機械的強度をもたらすという意味で時間依存的であることが判明した。
また、独自の実験において、900~980℃の範囲内の温度での本発明の方法のステップ(a3)における熱処理による、複合材粒子の空隙率も、特定された温度範囲内でのより長い熱処理がより低い空隙率をもたらすという意味で時間依存的であることが判明した。
【0046】
900~980℃の範囲内の比較的低い温度でも、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような断熱製品を製造するための中間体としての断熱材料への優れた適合性を有する複合材粒子を製造することができる可能性は、本発明の方法のさらなる特段の利点である。耐火物産業用の同様の断熱製品または中間体を製造するための既存の方法は、一般に、それよりもはるかに高い温度で、最終的により高いエネルギー消費量を伴って行われる。
したがって、本発明の方法のステップ(a3)における温度または時間を適切に選択することにより、粒強度および表面空隙率の所望の値を有する複合材粒子を製造することが可能である。
ここで、前駆体としての使用のための粘土または粘土含有岩石の例は、カオリンおよびベントナイトである。
【0047】
比較的低い温度であっても、ステップ(a3)における熱処理時の特定の前駆体材料(カオリン、例えばAmberger Kaolinwerke製の「Chinafill 100」または「Kaolin TEC」およびKarlicher Ton-und Schamottewerke Mannheim&Co.KG製の「Karlicher Blautonmehl」、BASF AG製の「Satintone W」)は、卓越した熱安定性を有する別の相に転換され、したがって本発明の方法において製造された複合材粒子のさらにより良好な熱安定性に寄与することが認識されるのは、本出願の特段の成果である。本発明の方法のステップ(a3)においてカオリンが前駆体として使用される場合、硬質化液滴は、例えばカオリナイトが中間相を介して極めて高い熱安定性を有する耐火性固体ムライトに転換されるように、好ましくは900~980℃の範囲内の温度に加熱される。
耐火性固体の前駆体の使用、特に上述の耐火性固体の好ましい前駆体の使用は、耐火性固体の直接的な使用と同様に、本発明に従って製造された複合材粒子の向上した熱安定性に寄与する。
【0048】
特に好ましいのは、好ましくは熱処理において1000℃の温度を超えない、上述の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
1000℃の処理温度を超える反応器の構造においては、特別な技術的対策が必要である。したがって、980℃以下の熱処理は、反応器の複雑性の低減に寄与し、エネルギー必要量がはるかにより低い。
本発明に従って製造された複合材粒子の熱安定性は、標準的な中空球形コランダム材料の熱安定性と比較すると特に驚くべきものである。中空球形コランダムの製造には、通常酸化アルミニウムの溶融物が生成され、次いでブローされる。酸化アルミニウム溶融物を生成するために、Al23の溶融温度に対応して約2000℃の領域の温度が一定して必要である。例えば、EP1832560によれば、セラミックまたはガラス質中空ミクロスフェアが、1000~2000℃の温度範囲内で製造される。好適な前駆体を使用して本発明に従って製造された複合材粒子は、より低い温度での処理(焼結/熱処理、上記を参照されたい)後であっても、向上した熱安定性を有する。
【0049】
好ましいのは、硬質化液滴がステップ(a3)において洗浄され、得られた洗浄液滴が好ましくは乾燥される、上述の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。洗浄(および任意選択的に乾燥)後、次いでさらなる処理ステップ、好ましくは上述で、または以降で好ましいものとして説明される処理ステップが行われる。好ましくは、さらなる処理ステップとして、洗浄および任意選択で乾燥された液滴の熱処理が、1000℃未満の温度で行われる。
ステップ(a)において製造された複合材粒子は、好ましくは自由流動性である。
好ましいのは、硬質化液滴が、ステップ(a3)において中間体として固体粒子をもたらすように処理され、その後これらの固体粒子の表面が、好ましくは有機コーティング組成物またはケイ素含有結合剤を用いて、前記複合材粒子をもたらすようにシールされる、上述の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。個々の場合において、異なる無機コーティング組成物の使用が有利である。
【0050】
本発明の方法による、ひいては本発明の様式で製造された複合材粒子を使用した、耐火物産業用の断熱製品、またはその目的のための中間体としての断熱材料の製造において、多くの場合前記複合材粒子の高い空隙率が観察される。上述の製品または中間体がさらに結合剤を使用して加工される場合、高い空隙率は、結合剤の消費量の増加をもたらし得る。これは、特に有機結合剤が使用される場合、コストの増加、およびさもなくば必要ではなく、最悪の場合には有害である(例えば健康に有害である)さらなる材料の組込みをもたらし得るため、望ましくない。したがって、結合剤消費量を低減するために、多くの場合、前記複合材粒子の表面または表面細孔をシールすることが有利である。
【0051】
特に好ましい有機コーティング組成物は卵白であり、これは好ましくは水溶液の形態で適用される。
卵白水溶液は、好ましくは、卵白粉末を水と混合することにより生成される。対応する卵白溶液は、例えば以下を使用して生成される。
- NOVENTUM Foods製の標準卵白粉末(製品番号150061)、
- NOVENTUM Foods製の高ホイップ卵白粉末(製品番号150062)、
および
- NOVENTUM Foods製の高ゲル卵白粉末(製品番号150063)。
【0052】
特に好ましい非有機コーティング組成物は、ケイ素含有結合剤、好ましくはアルコキシシラン(「シラン」)および/またはアルコキシシロキサン(「シロキサン」)混合物、特にWacker Silicones製のSILRES(登録商標)BS3003製品である。好ましいアルコキシシランおよびアルコキシシロキサン混合物等の非有機コーティング組成物は、撥水性および耐熱性であるという利点を有する。
【0053】
上述の前記複合材粒子は、いくつかの場合には高い空隙率を有するため、好ましいコーティング組成物の1つでこれらをシールすることが特に有利である。上述の好ましいコーティング組成物は、市場で直接入手可能であり、非毒性で容易に加工可能である。
卵白は、複合材粒子の表面の優れたシールを提供し、ひいては結合剤を吸収する能力を有利に低減するため、有機コーティング組成物として特に好ましい。
【0054】
好ましいのは、追加のステップとして、
- (b)ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップ、
好ましくは、
(b)ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含み、
ステップ(b)において、もしくはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種もしくは複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを含んでもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを含んでもよく、
および/または
- (c)ステップ(a)からの複合材粒子を使用して、耐火物産業用の断熱製品、もしくはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するステップを含み、
ステップ(c)は、好ましくはステップ(a)の後および/もしくはステップ(b)の後に実行され、
ならびに/または
好ましくは、耐火物産業用の断熱製品、もしくはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料は、耐火性および高耐火性の成形および非成形製品、好ましくは非塩基性耐火性材料からなる群から選択され、
より好ましくは、
- 高アルミナれんが、
- 耐火粘土れんが、
- 耐火コンクリート、
- 補修用化合物、
- 注入、鋳造、ラミング、噴霧および振動化合物の形態のレベリング化合物、
- モルタルおよび接着剤、
- るつぼ、
- 取鍋内張り、
- 鋳造用の樋、
- ストッパー化合物、
- 浸漬ノズル、
- スライドゲート、
- 冶金用供給ノズル、
- 注入化合物、好ましくはノズルれんがおよび栓、ならびに
- 炉内張り
からなる群から選択される、上述の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0055】
上で特定された「シリカゾル」は、専門分野において慣例的であるように、30質量%~60質量%(水溶液の全質量を基準とする)の範囲内の二酸化ケイ素含量を有するほぼ球形のコロイド状に溶解したポリシリカ分子の水溶液(すなわち水含有溶液)を意味する。粒子の粒子径によれば、シリカゾルは乳濁から無色透明であり;平均粒子直径は5~150nmである。これは、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液(「水ガラス」)を処理することにより生成される。
【0056】
上で特定された結合剤または結合剤成分は、耐火物産業用の製品における使用を意図した硬化性耐火性組成物の製造に好適であることが分かった。上で特定された本発明の方法、または好ましいものとして特定された本発明の方法のステップ(a)により製造された複合材粒子を、結合剤または複数種の結合剤の混合物と混合することが可能である。そのような結合剤は、上述の結合剤成分の1種または複数種、例えばこの種の複数の結合剤成分の混合物を含んでもよい。
【0057】
また、好ましいのは、ステップ(a3)において得られる複合材粒子が、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性(決定方法については下記を参照されたい)、
および/または
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR、
および/または
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、DIN EN 13055-1:2008-08、付属書類A(方法1、0.5の振幅で2×30秒間の撹拌)に従い決定して(決定方法については下記を参照されたい)1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径、
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、上述の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0058】
本発明に関連して、「熱伝導率値」(中でも以下の項目「(B)」を参照されたい)は、標準DIN EN 12667:2001-05、「建築材料および製品の熱的性能-保護ホットプレートおよび熱流計による方法を用いた熱抵抗の決定-高および中程度の熱抵抗を有する製品(Thermal performance of building materials and products - Determination of thermal resistance by means of guarded hot plate and heat flow meter methods - Products of high and medium thermal resistance)」に従って決定される。
本発明に関連して、「かさ密度」(中でも上記の項目「(D)」を参照されたい)は、DIN EN ISO 60 2000-1に従い決定される。
【0059】
本発明に関連して、複合材粒子の「粒径」(中でも上記の項目「(E)」を参照されたい)は、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法F(個々の可動篩またはガス状静止流体中に設置された篩による機械的篩い分け)を用いて、篩い分けにより決定される。RETSCH AS 200制御型の振動篩機が使用され、ここでは振幅はレベル2に設定され、中間的篩い分けは存在せず、篩い分け時間は1分である。
【0060】
本発明に関連して、「吸水容量」(中でも上記の項目「(F)」を参照されたい)は、Enslin法により決定される。この方法は、当業者に公知である。これは、ガラス吸引フィルタがホースにより目盛り付きピペットに接続された「Enslin装置」と呼ばれるものを使用する。ピペットは、ガラスフリットと全く同じ高さに位置するように水平に装着される。したがって、1.5mL/gの吸水は、1gの複合材粒子当たり1.5mLの水の吸水に対応する。評価は、DIN18132:2012-04に従う。
【0061】
本発明はまた、結合剤として機能する相により互いに結合した多数の複合材粒子を含む耐火物産業用の断熱製品の製造における、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する複合材粒子の製造のための、好ましくはノズルを使用した、より好ましくは振動ノズルを使用したマトリックスカプセル化方法の使用に関する。
本発明のこの態様は、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有するように調製された複合材粒子の使用が、良好な断熱性を有し、また好ましくは高い熱安定性を有する非常に軽量の材料をもたらすという驚くべき知見に基づいている。そのような使用の好ましい構成に関して、本発明の方法について行われた解説が対応して適用可能である。
誤解を避けるために、鋳物産業用のフィーダ要素は、当業者には耐火物産業用の製品として考慮されないことが指摘されるべきである。鋳物産業用のフィーダ要素は、本発明の一部ではなく、耐火物産業用の製品とみなされない。本書に関連する「フィーダ要素」という用語は、フィーダケーシング、フィーダインサートおよびフィーダキャップ、ならびに加熱パッドの両方を含む。
【0062】
本発明の方法により製造された複合材粒子またはそれらを含む断熱材料がその製造に好適となる耐火物産業用の典型的な製品は、特にその高い粒強度と同時に低いかさ密度により、耐火性および/または高耐火性、好ましくは耐火性の成形および非成形製品、特に完全非塩基性耐火性材料である。耐火物産業用のそのような耐火性および/または高耐火性の成形または非成形製品の好ましい例は、
- 高アルミナれんが、
- 耐火粘土れんが、
- 耐火コンクリート、
- 補修用化合物、
- レベリング化合物、好ましくは注入、鋳造、ラミング、噴霧および振動化合物、
- モルタルおよび接着剤、
- るつぼ、
- 取鍋内張り、
- 鋳造用の樋、
- ストッパー化合物、
- 浸漬ノズル、
- スライドゲート、
- 冶金用供給ノズル、
- 注入化合物、好ましくはノズルれんがおよび栓、ならびに
-炉内張り
からなる群から選択される。
【0063】
本発明の方法について行われた解説は、マトリックスカプセル化プロセスの本発明の使用の好ましい構成に関しても対応して適用可能であり、またその逆も成り立つ。
本発明はまた、いくつかの耐火性複合材粒子を含む、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、これらの複合材粒子は、
- 1種もしくは複数種の耐火性物質の粒子、
および
- 耐火性物質の前記粒子の結合剤もしくは結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素
を含み、
ならびに
製品または中間体は、上で特定された本発明の方法もしくは本発明の好ましい方法により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性(決定方法については下記を参照されたい)、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR(決定方法については上記を参照されたい)
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料に関する。
【0064】
上で特定された「耐火性物質の前記粒子の結合剤または結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素」は、本発明の方法に関連して上で特定されたコロイド状二酸化ケイ素から製造されるため、ここではそれに対応して、二酸化ケイ素粒子はナノ粒子状二酸化ケイ素の形態であるが、ただし、ステップ(a3)において選択される焼結温度は、二酸化ケイ素ナノ粒子が粒子形状の損失と共に互いに完全に焼結または融合するような高いレベルではない。ナノ粒子形態の二酸化ケイ素の存在の検出は、走査型電子顕微鏡(「SEM」)または透過型電子顕微鏡(「TEM」)を用いて行うことができる。
【0065】
本発明の方法について、およびマトリックスカプセル化プロセスの本発明の使用について行われた解説は、耐火物産業用の本発明の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料の好ましい構成に関しても対応して適用可能であり、またその逆も成り立つ。
【0066】
好ましいのは、製品または中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径、
および/または
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料である。
【0067】
またさらに、好ましいのは、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物を含む、耐火物産業用の本発明の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される断熱製品または断熱材料)である。
【0068】
また同様に、好ましいのは、
耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライトからなる群から選択される1種または複数種の物質をさらに含む、耐火物産業用の本発明の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される断熱製品または断熱材料)である。
【0069】
本発明はまた、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための(本発明の)(第2の)方法であって、
(a)以下のステップ:
(a1)少なくとも以下の出発材料:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
ならびに連続相としての、
(iv)固化性液体
で構成される懸濁液の液滴を生成するステップと、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップと、
(a3)熱処理を含む、複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップと
を有するマトリックスカプセル化プロセスにおいて、篩い分けにより決定して5mm未満、好ましくは2mm未満の粒径を有する前記複合材粒子を製造するステップを有し、
(b)ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを有し、
ステップ(b)において、またはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種または複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを有してもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを有してもよい方法に関する。
【0070】
本文書において開示される本発明の第1の方法(上述で好ましいものとして説明された方法または方法の変形例を含む)についての、特に定義、好ましい構成、可能な好ましい組合せ、より具体的な説明、および使用可能なパラメータの決定方法に関する上記の全ての記述は、別段に指定されない限り、以下で引用されるその好ましい変形例または実施形態に関し、本発明の第2の方法に対して、ならびに特に本発明の第1の方法および本発明の第2の方法の全ての特徴が組み合わされる特に好ましい方法に対して、対応しておよび/または同様に適用可能である。
【0071】
好ましいのは、
ステップ(a1)において、液滴が1つもしくは複数のノズル、好ましくは振動ノズルを用いて提供され、
および/または
ステップ(a2)において、固化性液体の固化が、冷却、乾燥もしくは化学反応により誘導される、上述の本発明の第2の方法である。
同様に好ましいのは、ステップ(a1)において使用される固化性液体が、化学反応により固化可能な液体であり、ステップ(a2)における固化性液体の固化が、化学反応により誘導される、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
さらに好ましいのは、ステップ(a1)において使用される固化性液体が、カチオン交換反応により固化可能な液体、好ましくはカルシウムイオンおよび/またはバリウムイオンおよび/またはマンガンイオンとの反応により、好ましくはカルシウムイオンとの反応により固化可能な液体である、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0072】
また好ましくは、追加のステップとして、
(c)ステップ(a)からの複合材粒子、および/またはステップ(b)からの硬化性耐火性組成物もしくは硬化耐火性組成物を使用して、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するステップを含み、
ステップ(c)は、好ましくはステップ(a)の後および/もしくはステップ(b)の後に実行され、
ならびに/または
好ましくは、耐火物産業用の断熱製品、もしくはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料は、耐火性および高耐火性の成形および非成形製品からなる群から選択され、
より好ましくは、
- 耐火れんが、
- 断熱れんが、
- 軽量耐火性材料、
- バルク材料、鋳造化合物、ラミング化合物、噴霧化合物および振動化合物を含む断熱化合物、
- 吊り天井用、好ましくは可動天井構造用の天井タイルおよび天井要素や炉およびプラント建造物におけるアーチ構造、
- ヒートフード、
- るつぼ、ならびに
- 取鍋内張り
からなる群から選択される、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明される方法)である。
【0073】
また多くの場合において、好ましいのは、固化性液体が、
アルギネート、ポリビニルアルコール(PVA)、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、
ならびに/または
水溶液
を含む、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体であり、
固化性液体は、好ましくはアルギネート水溶液である、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0074】
また好ましいのは、
篩い分けにより決定して0.8mm未満、より好ましくは0.5mm未満、最も好ましくは0.3mm未満の粒径を好ましくは有する、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤もしくはその少なくとも1種が、
無機中空ビーズ、有機中空ビーズ、多孔質および/もしくは発泡材料の粒子、もみ殻灰、コアシェル粒子および焼成珪藻土
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a)において成分(ii)として使用される熱分解性充填剤もしくはその少なくとも1種が、
- ポリマービーズ
および
- 発泡スチロールビーズ
からなる群から選択される、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0075】
またさらに、好ましいのは、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む酸化物、窒化物および炭化物、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む混合酸化物、混合炭化物および混合窒化物
からなる群から選択され、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、好ましくは、
- 酸化アルミニウム、
- 酸化ジルコニウム、
- 二酸化チタン、
- 二酸化ケイ素、
- 酸化マグネシウム、
- 酸化カルシウム、
- ケイ酸カルシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくは雲母、
- ケイ酸アルミニウム、
- ケイ酸アルミニウムマグネシウム、好ましくはコーディエライト、
- 炭化ケイ素、
および
- 窒化ホウ素
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体の前駆体もしくは前駆体の少なくとも1種が、
- 水酸化アルミニウム、
- 水酸化マグネシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくはカオリナイト、モンモリロナイトおよびイライト、
- 粘土、好ましくはカオリンおよびベントナイト、
- リン酸塩
ならびに
- 炭酸塩
からなる群から選択される、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0076】
またさらに、好ましいのは、
ステップ(a3)における処理が、得られる複合材粒子のかさ密度が乾燥状態の硬質化液滴のかさ密度より低くなるように行われ、
および/または
前記複合材粒子が、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
またさらに、好ましいのは、ステップ(a3)において得られる複合材粒子および/またはステップ(b)において使用される複合材粒子の少なくとも一部が、篩い分けにより決定して5.0mm未満、好ましくは2.0mm未満の粒径を有する、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0077】
またさらに、好ましいのは、
成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含み、
好ましくは、耐火性固体の前駆体または前駆体の少なくとも1種が粘土であり、ステップ(a3)における処理が、粘土が耐火性固体に変換されるように900~980℃の範囲内の温度での熱処理を含み、粘土は、好ましくはカオリナイトおよび/またはイライトを含む、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0078】
またさらに、好ましいのは、硬質化液滴が、ステップ(a3)において中間体として固体粒子をもたらすように処理され、その後これらの固体粒子の表面が、好ましくは有機コーティング組成物を用いて、前記複合材粒子をもたらすようにシールされる、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
またさらに、好ましいのは、ステップ(b)として、ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、および
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含む、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0079】
また多くの場合において、好ましいのは、ステップ(a1)が、懸濁液の液滴の生成のためのさらなる出発材料として、および分散相として、構成要素(i)および(ii)に加えて、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素、好ましくはアニオン性コロイド状二酸化ケイ素
を使用する、本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0080】
また多くの場合において、好ましいのは、ステップ(a3)において得られる複合材粒子が、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性(決定方法については下記を参照されたい)、
および/または
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR(決定方法については下記を参照されたい)、
および/または
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、DIN EN 13055-1:2008-08、付属書類A(方法1、0.5の振幅で2×30秒間の撹拌)に従い決定して(決定方法については上記を参照されたい)1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度(決定方法については上記を参照されたい)、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径(決定方法については上記を参照されたい)、
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量(決定方法については上記を参照されたい)
により特徴付けられる、上述の本発明の第2の方法(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)である。
【0081】
本発明はまた、耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料であって、
- 1種または複数種の耐火性物質の粒子、および
- 好ましくは、耐火性物質の前記粒子の結合剤または結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素
を含むいくつかの耐火性複合材粒子、
ならびに
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物
を含み、
製品もしくは中間体は、本発明の第2の方法(特に上述で、もしくは以降で好ましいものとして説明されるそのような方法)により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR
により特徴付けられる、耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料に関する。
【0082】
耐火物産業用の本文書において言及される本発明の(第1の)断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料(上述で好ましいものとして説明された断熱製品または断熱材料を含む)についての、特に定義、好ましい構成、可能な好ましい実施形態、より具体的な説明、および使用可能なパラメータの決定方法に関する上記の全ての記述は、別段に指定されない限り、以下で引用されるその好ましい変形例または実施形態を含む、耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料(以降で「耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料」と呼ばれる)にも対応しておよび/または同様に適用可能である。
【0083】
本発明の第2の方法により製造された複合材粒子またはそれらを含む断熱材料がその製造に好適となる耐火物産業用の製品は、特にその高い耐燃性と同時に低いかさ密度により、耐火性および/または高耐火性、好ましくは高耐火性の成形および非成形製品、特に完全非塩基性耐火性材料を含む。本発明の第2の方法により製造された複合材粒子またはそれらを含む断熱材料がその製造に好適となる耐火物産業用の好ましい耐火性および/または高耐火性の成形または非成形製品は、
- 耐火れんが、
- 断熱れんが、
- 軽量耐火性材料、
- バルク材料、鋳造化合物、ラミング化合物、噴霧化合物および振動化合物を含む断熱化合物、
- 吊り天井用、特に可動天井構造用の天井タイルおよび天井要素や炉およびプラント建造物におけるアーチ構造、
- ヒートフード、
- るつぼ、ならびに
- 取鍋内張り
からなる群から選択される。
【0084】
ここで、好ましいのは、第2の製品または第2の中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、DIN EN 13055-1:2008-08、付属書類A(方法1、0.5の振幅で2×30秒間の撹拌)に従い決定して(決定方法については上記を参照されたい)1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度(決定方法については上記を参照されたい)、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径(決定方法については上記を参照されたい)、
および/または
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量(決定方法については上記を参照されたい)
により特徴付けられる、耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような(本発明の)(第2の)製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料である。
【0085】
またさらに、好ましいのは、
耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライト
からなる群から選択される1種または複数種の物質をさらに含む、耐火物産業用の第2の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての第2の断熱材料(特に上述で、または以降で好ましいものとして説明されるそのような断熱製品または断熱材料)である。
【0086】
以降で、図面を参照しながら、および例により、本発明を詳細に解説する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】B36複合材粒子に対する1600℃での焼結試験後のるつぼ内の残留物を示す図である。図1において確認され得るように、互いに焼結した複合材粒子の割合は低いが、同時に注入可能な形態の割合はまだかなり高い。
図2】本発明によらないW250-6複合材粒子に対する1600℃での焼結試験後のるつぼ残留物を示す図である。図2において確認され得るように、るつぼ残留物は互いに焼結し、合着した「るつぼケーキ」を形成している。
図3】本発明によらないKHP108複合材粒子に対する1600℃での焼結試験後のるつぼ内容物の画像である。明確に示されるように、るつぼの内容物は融合し、合着した塊を形成している。
図4】1600℃での焼結試験後のB36複合材粒子の顕微鏡画像である。明瞭に示されているように、焼結試験後の複合材粒子はいかなる焼結ネックもまだ形成していない。
図5】1600℃での焼結試験後の本発明によらないW250-6複合材粒子の顕微鏡画像である。本発明によらない複合材粒子の間に焼結ネックが形成しており、したがって本発明によらない複合材粒子の全体が合体して、合着した「るつぼケーキ」を形成したことが明確に確認され得る。
図6】B36複合材粒子に対する1700℃での焼結試験後のるつぼ内の残留物を示す図である。互いに焼結した複合材粒子の割合は低い。しかしながら、注入可能な形態はまだかなり高い割合で存在する。
図7】本発明によらない「Hargreaves」中空球形コランダム複合材粒子に対する1700℃での焼結試験後のるつぼ残留物を示す図である。本発明によらない複合材粒子の全体が合体して、合着した「るつぼケーキ」を形成したことが確認され得る。
図8】本発明によらない「KKW」中空球形コランダム複合材粒子に対する1700℃での焼結試験後のるつぼ残留物を示す図である。明確に示されるように、本発明によらない複合材粒子の全体が合体して、合着した「るつぼケーキ」を形成した。
図9】1700℃での焼結試験後のB36複合材粒子の顕微鏡画像である。明瞭に示されているように、焼結試験後の複合材粒子はいかなる焼結ネックもまだ形成していない。
図10】1700℃での焼結試験後の本発明によらない「Hargreaves」中空球形コランダム複合材粒子の顕微鏡画像である。粒子は焼結試験中に表面的に溶融し、その結果、本発明によらない複合材粒子の全てが固化時に合体し、合着した「るつぼケーキ」を形成した。
図11】1700℃での焼結試験後の本発明によらない「KKW」中空球形コランダム複合材粒子の図10の顕微鏡画像の拡大図である。粒子は焼結試験中に表面的に溶融し、その結果、本発明によらない複合材粒子の全てが固化時に合体し、合着した「るつぼケーキ」を形成した。
図12】「B36」と称する複合材粒子の走査型電子顕微鏡写真である(本文書のさらに下記の例を参照されたい)。
図13】「B36」と称する複合材粒子の拡大した走査型電子顕微鏡写真である(本文書のさらに下記の例を参照されたい)。異なる耐火性固体が連続相により個々に包囲され、したがってよりしっかりと互いに保持され、その結果、本発明に従って製造された複合材粒子が、所望の寸法安定性および所望の熱安定性を達成することが即座に確認され得る。
図14】「B36」複合材粒子の大きく拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
図15】例4a(本発明の第2の方法により製造された本発明の第2の中間体、下の温度/時間曲線(灰色))および例4b(比較例、上の温度/時間曲線(黒色))の断熱材料それぞれの場合における、それぞれの第2の断熱材料から製造されたるつぼの、鋳造操作後の時間の関数としての温度を示すグラフである。断熱材料4aにおいて、明確により小さい(約30%だけ)温度上昇が記録されていることが容易に明らかであり(詳細については下記を参照されたい)、これは、本発明によらない比較断熱材料4b(詳細については下記を参照されたい)と比較して、明確により低い熱伝導率またはより良好な断熱効果を示している。
図16】本発明に従って製造されたC6複合材粒子に対する1600℃での焼結試験後のるつぼ内の残留物を示す図である。図16において確認され得るように、互いに焼結した複合材粒子の割合はごく僅かであるが、同時に注入可能な形態の割合はまだかなり高い。
図17】1600℃での焼結試験後の本発明に従って製造されたC6複合材粒子の顕微鏡画像である。明瞭に示されているように、焼結試験後の本発明に従って製造された複合材粒子は、ごく僅かな焼結ネックを形成した。
図18】本発明に従って製造された「C6」複合材粒子に対する1700℃での焼結試験後のるつぼ残留物を示す図である。図18において容易に明らかであるように、互いに焼結した本発明に従って製造された複合材粒子の割合はごく僅かである。しかしながら、注入可能な形態はまだかなり高い割合で存在する。
図19】1700℃での焼結試験後の本発明に従って製造されたC6複合材粒子の顕微鏡画像である。図19において容易に明らかであるように、焼結試験後の本発明に従って製造された複合材粒子は、ごく僅かな焼結ネックを形成した。
【実施例
【0088】
以降で、例により本発明を詳細に解説する。
試験方法:
1.粒子径の決定:
篩い分けによる複合材粒子の粒径の決定は、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法F(個々の可動篩またはガス状静止流体中に設置された篩による機械的篩い分け)を用いて達成された。RETSCH AS 200制御型の振動篩機が使用され、ここでは振幅はレベル2に設定され、中間的篩い分けは存在せず、篩い分け時間は1分であった。
同様に、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤の粒径の決定は、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法F(個々の可動篩またはガス状静止流体中に設置された篩による機械的篩い分け)を用いて達成された。同様に、RETSCH AS 200制御型の振動篩機が使用され、ここでは振幅はレベル2に設定され、中間的篩い分けは存在せず、篩い分け時間は1分であった。
0.1mm未満の粒径を有する耐火性固体の粒径の決定は、DIN66165-2(4.1987)に従い、それに特定される方法D(空気ジェット篩を用いた、ガス状可動流体中の静止した個々の篩による機械的篩い分け)を用いて篩い分けにより達成された。
【0089】
2.かさ密度の決定:
かさ密度は、DIN EN ISO 60 2000-1に従って決定された。
3.吸水容量の決定:
吸水の決定は、Enslin機器を利用して行われた。評価は、DIN18132:2012-04に従う。
4.化学組成および形態の決定:
試料の形態は、Jeol製のJSM 6510 SEMを利用して行われた。化学組成は、Oxford INCA EDXを用いたEDX分析を利用して行われた。
さらに、形態は、Visicam 3.0カメラを備えたVisiScope ZTL 350光学顕微鏡を使用して決定された。
【0090】
5.熱安定性の決定方法(焼結試験):
様々な原材料の熱安定性を決定するための本発明における焼結試験は、VDG[Society of German Foundry Experts]ガイドラインシートP26「Prufung von Formgrundstoffen」[鋳型原材料の試験]に従って行われた。ある量の試験される同一組成の粒子を、E3216型温度調整器を備えたCarbolite HTF 1800炉内で規定の熱処理(例えば1600℃または1700℃のそれぞれの場合において30分間)に供し、次いで規定の機械的応力を用いた篩い分けにより評価した。
まず、異なる実験の再現性および比較可能性を確保するために、メッシュサイズ0.5mm(以下の表2を参照されたい)または0.71mm(以下の表3を参照されたい)の篩を用いて、ある量の試験対象粒子の篩い分けを行った。
その後、篩い分けされた粒子を酸化アルミニウムるつぼ内で以下のステップにより規定の熱処理に供した。
本発明の複合材粒子に対するものと同一の比較試料に対する熱応力を保証するための、予熱炉内での900℃で30分間の試料の「予備焼結」、
規定の炉サイクル(E3216型温度調整器を備えたCarbolite HTF 1800炉)による試料の熱処理:25℃~200℃は1K/分、次いで最終温度(1600℃で30分(以下の表2を参照されたい)または1700℃で30分(以下の表3を参照されたい))まで3K/分、その後の室温までの冷却は3K/分。
【0091】
その後、冷却された粒子を酸化アルミニウムるつぼあり(図3(溶融した粒子)、図6および図7を参照されたい)または酸化アルミニウムるつぼなし(図1図2および図8を参照されたい)で撮影し、試験した粒子が規定の熱処理中に溶融しなかった場合、試験した粒子がその中で熱処理に供された酸化アルミニウムるつぼを篩塔にクランプし、Retsch AS 200での制御篩による規定の篩い分けによって、それぞれの場合において1分間、中間的篩い分け、すなわち持続的篩い分けなしで、振幅2で機械的応力下に置いた。制御篩のメッシュサイズは、試験した粒子において推定される最大粒径(0.5mm(以下の表2を参照されたい)または0.71mm(以下の表3を参照されたい)のいずれか)に調節した。使用した基準は、篩通過物に対する篩残留物の比率である(VDGガイドラインシートP26「Prufung von Formgrundstoffen」、1999年10月を参照されたい)。篩残留物/篩通過物の係数が1超である場合、試料は焼結したとみなされ、したがって熱的に不安定であるとみなされる。
試料固有のパラメータ、例えば各試料の粒径が、評価に考慮された。
6.粒強度の決定方法
試料の粒強度は、0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、DIN EN 13055-1:2008-08、付属書類A(方法1、0.5の振幅で2×30秒間の撹拌)に従って決定された。
【0092】
(例1)
以降に記載のように、本発明の第1の方法のステップ(a)により、5mm未満の粒径を有する複合材粒子(C6)を製造した(以降で「本発明に従って製造された複合材粒子」ともいう)。その目的に使用された懸濁液の組成を、以下の表1に報告する。
同様に、以降に記載のように、本発明の第2の方法のステップ(a)により、5mm未満の粒径を有する複合材粒子(B36、B361)を製造した。別段に指定されない限り、複合材粒子B36およびB361は、複合材粒子C6と同様にして製造した。
(a1)出発材料の懸濁液の液滴の生成:
1%のアルギン酸ナトリウム水溶液を生成した(水溶液の全質量を基準として1質量%の、CAS番号9005-38-3のAlpichem製アルギン酸ナトリウム)。
【0093】
BASF製のSokalan(登録商標)FTCP5分散剤を水で希釈して、対応する分散溶液を調製した。水に対するSokalan(登録商標)FTCP5の質量比は1:2であった。
その後、調製した1%アルギン酸ナトリウム水溶液および調製した分散溶液を、表1に従う混合比で混合して、固化性液体(本発明の第1の方法のステップ(a1)における構成要素(iv)の意味での、または本発明の第2の方法のステップ(a1)における構成要素(iv)の意味での連続相として使用するための固化性液体)を得た。
撹拌中、以下の表1に従い選択される耐火性固体の前駆体および耐火性固体(ステップ(a1)における構成要素(i))を、さらなる構成要素(ステップ(a1)における構成要素(iii)、複合材粒子C6の場合のみ)としての任意のコロイド状二酸化ケイ素と同様、クリーム状懸濁液が形成されるまで固化性液体に添加した。
その後、撹拌中、軽量充填剤(ステップ(a1)の構成要素(ii))の例として、以下の表1に対応する量でホウケイ酸塩ビーズをクリーム状懸濁液に添加し、続いて表1に従う量の水を添加した。その結果、希釈懸濁液が得られる。
【表1】

【0094】
(a2)固化性液体の固化
希釈懸濁液を、プラスチックシリンジ内に導入し、LA-30シリンジポンプにクランプした。供給速度は、12~15mL/分であった。次いで、希釈懸濁液が一様な液滴として振動ノズルから滴下するように、シリンジ内の希釈懸濁液を振動ノズルに押し通した。振動ノズルから滴下した液滴は、約2%の塩化カルシウム水溶液(CaCl2、製品名「塩化カルシウム二水和物粉末、分析用ACS」、Applichem製、CAS番号10035-04-8、塩化カルシウム溶液の全質量を基準として2質量%)内に落下して、それらが硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質およびホウケイ酸ガラスビーズが固化混合物(1%アルギン酸ナトリウム溶液および分散溶液からなる)内にカプセル化されるように固化した。
備考:硬質化液滴のサイズは、希釈懸濁液の組成、ポンプの送出速度およびノズルの振動周波数に依存した。
【0095】
(a3)硬質化液滴の処理
続いて、硬質化液滴をすくい取り、水中で洗浄した。
その後、洗浄および硬質化液滴を、乾燥キャビネット内で180℃で40分間乾燥させた。乾燥後、硬質化液滴は自由流動性であったが、その「マッフル炉内での処理直前の」かさ密度を表1に報告する。
その後、自由流動性の硬質化液滴を、予熱マッフル炉内で950℃で30分間加熱した。冷却後、結果として、耐火物産業用の優れた断熱材料、好ましくは耐火物産業用の断熱製品を製造するための中間体としての断熱材料を構成する、本発明に従って複合材粒子が製造された。
【0096】
表1の最後から3番目の行から推察され得るように、製造された本発明の複合材粒子の測定されたかさ密度は、400g/Lを下回っている。耐火性材料または耐火性材料の前駆体および軽量充填剤を適切に選択することにより、本発明に従って製造された最終的な複合材粒子のかさ密度を必要に応じてさらに低減することが可能である。
表1の最後の行から推察され得るように、本発明の方法により製造された「C6」複合材粒子は、驚くほど高い粒強度を有する。この有利な高強度は、(j-1)ステップ(a3)における900~980℃の範囲内の温度での熱処理、(j-2)ステップ(a2)における固化性液体、好ましくはアルギネートの硬質化、および(j-3)ステップ(a1)におけるコロイド状二酸化ケイ素の結合剤としての効果という要因の相互作用の結果であると推定される。したがって、所望の高い粒強度を達成するためのエネルギー消費は、他の類似の(既知の)方法と比較して、本発明の方法のステップ(a3)における熱処理において低減され得る。
【0097】
(例2)
焼結試験
本発明に従って製造された複合材粒子の熱安定性を本発明に従って製造されなかった複合材粒子の熱安定性と比較するための、1600℃での焼結試験
さらに上で説明された焼結試験において、本発明の第1の製造方法により製造された「C6」複合材粒子および本発明の第2の製造方法により製造された「B36」複合材粒子(ステップ(a))を、本発明に従って製造されなかった「KHP108」複合材粒子(Chemex製のコアシェル粒子)および本発明に従って製造されなかった「W205-6」粒子(Omega Minerals製の「Weisse Spheres W250-6」製品)と比較することにより試験した。本発明に従って製造された粒子および本発明に従って製造されなかった粒子は、0.25~0.5mmの範囲内の粒径を有していた。焼結温度は1600℃であった。篩残留物および篩通過物を確かめるための制御篩は、0.5mmのメッシュサイズを有していた。
【0098】
1600℃での焼結試験の結果を表2に示す。
【表2】
【0099】
表2から推察され得るように、焼結後の「B36」および「C6」複合材粒子における篩通過物に対する篩残留物の比率は1を下回り、一方焼結後の本発明に従って製造されなかった複合材粒子におけるこの比率は1を超えている。したがって、1600℃での「B36」および「C6」複合材粒子の熱安定性は、本発明によらない複合材粒子の熱安定性よりも良好である。
【0100】
本発明に従って製造された複合材粒子および本発明に従って製造されなかった複合材粒子に対する1700℃での焼結試験
さらに上で説明された焼結試験により、本発明の第1の製造方法により製造された「C6」複合材粒子および本発明の第2の方法により製造された「B36」複合材粒子(ステップ(a))を、本発明に従って製造されなかった「Hargreaves」複合材粒子(「Hargreaves raw material services GmbH」製の98.8%超のAl23を含む中空球形コランダム)および本発明に従って製造されなかった「KKW」複合材粒子(「Imerys Fused Minerals Zschornewitz GmbH」製の98.8%超のAl2O3を含む中空球形コランダム)と比較することにより試験した。複合材粒子の粒径は、常に0.18~0.71mmの規定範囲内であった。焼結温度は1700℃であった。篩残留物および篩通過物を決定するための制御篩は、0.71mmのメッシュサイズを有していた。
【0101】
1700℃での焼結試験の結果を表3に示す。
【表3】
【0102】
表3から推察され得るように、焼結後の本発明に従って製造された「C6」および「B36」複合材粒子における篩通過物に対する篩残留物の比率は1を下回り、一方焼結後の本発明に従って製造されなかった複合材粒子におけるこの比率は1を超えている。したがって、本発明に従って製造された「C6」複合材粒子および「B36」複合材粒子の1700℃における熱安定性は、本発明に従って製造されなかった複合材粒子の熱安定性より良好である。
【0103】
(例3)
「表面シール」
予熱オーブン内で900℃で30分間加熱された後のB36複合材粒子(表1を参照されたい)を、以下のように表面シールした。
表面シールは、得られる水溶液の総質量を基準として6質量%のNOVENTUM Foods製高ゲル卵白粉末(製品番号150063)を含有する卵白水溶液で達成した。
【0104】
続いて、B36複合材粒子を、生成された卵白溶液と、2:1の卵白溶液に対する複合材粒子の質量比で混合し、得られた混合物中で卵白溶液が完全に吸収されるまで撹拌した。続いて、卵白溶液で処理された複合材粒子を、乾燥キャビネット内で110℃で40分間乾燥させた。得られた複合材粒子をB36-卵白と呼ぶ。
Enslin機器を用いたB36(卵白コーティングなし)およびB36-卵白(卵白コーティングあり)複合材粒子の吸水容量の分析結果は、複合材粒子の吸水が、卵白コーティングにより1.6mL/g(B36)~0.1mL/g(B36-卵白)に低減されることを示した。
【0105】
(例4)
断熱材料の断熱効果の比較
耐火物産業用の断熱製品を製造するための中間体としての断熱材料の製造のために、「B36」複合材粒子(本発明の第2の方法、ステップ(a1)~(a3)による製造、例1ならびに表1および表2を参照されたい)を、以下の表4に特定されるさらなる構成要素(本発明の第2の方法、ステップ(b)による製造、詳細については以下を参照されたい)と混合した。その結果、耐火物産業用の本発明の第2の断熱材料が得られた(例4a)。
【0106】
比較のために、本発明によらない耐火性断熱材料を上で詳説した例4aと同様にして製造したが、ただし「B36」複合材粒子は存在せず、代わりに軽量耐火粘土(「微細粒」)の割合を、対応する質量割合だけ増加させた(表4を参照されたく、詳細については下記を参照されたい)。その結果、耐火物産業用の本発明によらない従来の断熱材料が得られた(例4b)。
【表4】
【0107】
ISOSAT(登録商標)150は、約57質量%の含量のAl23およびTiO2ならびに約2質量%の含量のFe23を有する市販の耐火性材料である。
例4a(本発明の第2の方法)および4b(比較例)に従う断熱材料の製造のための構成要素を、Hobartミキサーを用いて全ての乾燥構成要素を予備混合し、次いで水を添加することにより混合した。
2つの得られた断熱材料を、それぞれるつぼの形態に鋳造し(断熱材料4aを含むるつぼは本発明の第2の断熱製品である)、室温で24時間乾燥させた。これに続いて、それぞれの場合において900℃で10時間熱処理を行った(温度形式:80K/時)。乾燥および熱処理後、温度測定用の熱電対(K型)をそれぞれ断熱材料内の同一位置で2つのるつぼ内に挿入した。次いで、2つのるつぼを鉄(ねずみ鋳鉄)と共に1500℃の温度で鋳造し、断熱材料における結果的な温度上昇を測定および記録した。データは、PCE-T390デジタル温度計(PCE Deutschland GmbH製)により記録した。
【0108】
温度測定の結果を、図15においてグラフ形式で示す。
図15は、例4a(本発明の第2の断熱材料に関連する、下の温度/時間曲線(灰色))および例4b(比較例、上の温度/時間曲線(黒色))の断熱材料それぞれの場合における、それぞれの断熱材料から製造されたるつぼの、鋳造操作後の時間の関数としての温度(断熱材料の「熱伝達曲線」)を示す。
本発明の第2の断熱材料4aにおいて、比較例4bの断熱材料よりも明確に小さい(約30%だけ)温度上昇が記録されたが、これは、本発明によらない比較断熱材料と比較して、断熱材料4aの明確により低い熱伝導率またはより高い断熱効果を示している。
【0109】
耐火物産業用の製品におけるそのような明確に改善された断熱効果は、産業規模でのエネルギーおよびコストの明確な削減を意味する。
(第1の)発明(本発明の第1の方法および製品)は、以下に特定される態様1~18に要約される。
【0110】
1.耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法であって、
(a)以下のステップ:
(a1)少なくとも以下の出発材料:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
構成要素(i)および(ii)に加えて、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素;
ならびに連続相としての、
(iv)固化性液体
で構成される懸濁液の液滴を生成するステップと、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップと、
(a3)熱処理を含む、複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップと
を有するマトリックスカプセル化プロセスにおいて、篩い分けにより決定して5mm未満の粒径を有する前記複合材粒子を製造するステップを有する方法。
【0111】
2.ステップ(a1)において、液滴が1つもしくは複数のノズル、好ましくは振動ノズルを用いて提供され、
および/または
ステップ(a2)において、固化性液体の固化が、冷却、乾燥もしくは化学反応により誘導される、態様1に記載の方法。
3.ステップ(a1)において使用される固化性液体が、化学反応により固化可能な液体であり、ステップ(a2)における固化性液体の固化が、化学反応により誘導される、態様1または2に記載の方法。
【0112】
4.固化性液体が、カチオン交換反応により固化可能な液体、好ましくはカルシウムイオンおよび/またはバリウムイオンおよび/またはマンガンイオンとの反応により、好ましくはカルシウムイオンとの反応により固化可能な液体である、態様1から3までのいずれか1つに記載の方法。
5.固化性液体が、
アルギネート、PVA、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、
ならびに/または
水溶液
を含む、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体であり、
固化性液体は、好ましくはアルギネート水溶液である、態様1から4までのいずれか1つに記載の方法。
【0113】
6.篩い分けにより決定して0.8mm未満、より好ましくは0.5mm未満、最も好ましくは0.3mm未満の粒径を好ましくは有する、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤もしくはその少なくとも1種が、
無機中空ビーズ、有機中空ビーズ、多孔質および/もしくは発泡材料の粒子、もみ殻灰、コアシェル粒子および焼成珪藻土
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a)において成分(ii)として使用される熱分解性充填剤もしくはその少なくとも1種が、
- ポリマービーズ
および
- 発泡スチロールビーズ
からなる群から選択される、態様1から5までのいずれか1つに記載の方法。
【0114】
7.ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む酸化物、窒化物および炭化物、
ならびに
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む混合酸化物、混合炭化物および混合窒化物
からなる群から選択され、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、好ましくは、
- 酸化アルミニウム、
- 酸化ジルコニウム、
- 二酸化チタン、
- 二酸化ケイ素、
- 酸化マグネシウム、
- 酸化カルシウム、
- ケイ酸カルシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくは雲母、
- ケイ酸アルミニウム、
- ケイ酸アルミニウムマグネシウム、好ましくはコーディエライト、
- 炭化ケイ素、
および
- 窒化ホウ素
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体の前駆体もしくは前駆体の少なくとも1種が、
- 水酸化アルミニウム、
- 水酸化マグネシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくはカオリナイト、モンモリロナイトおよびイライト、
- 粘土、好ましくはカオリンおよびベントナイト、
- リン酸塩
ならびに
- 炭酸塩
からなる群から選択される、態様1から6までのいずれか1つに記載の方法。
【0115】
8.ステップ(a3)における処理が、得られる複合材粒子のかさ密度が乾燥状態の硬質化液滴のかさ密度より低くなるように行われ、
および/または
前記複合材粒子が、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する、態様1から7までのいずれか1つに記載の方法。
9.ステップ(a3)において得られる複合材粒子および/またはステップ(b)において使用される複合材粒子の少なくとも一部が、篩い分けにより決定して5.0mm未満、好ましくは2.0mm未満の粒径を有する、態様1から8までのいずれか1つに記載の方法。
【0116】
10.成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含み、
好ましくは、耐火性固体の前駆体または前駆体の少なくとも1種が粘土であり、ステップ(a3)における処理が、粘土が耐火性固体に変換されるような900~980℃の範囲内の温度での熱処理を含み、粘土は、好ましくはカオリナイトおよび/またはイライトを含む、態様1から9までのいずれか1つに記載の方法。
11.硬質化液滴が、ステップ(a3)において中間体としての固体粒子をもたらすように処理され、その後これらの固体粒子の表面が、好ましくは有機コーティング組成物またはケイ素含有結合剤を用いて、前記複合材粒子をもたらすようにシールされる、態様1から10までのいずれか1つに記載の、好ましくは態様10に記載の方法。
【0117】
12.追加のステップとして、
(b)ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップ、
好ましくは、
(b)ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
-ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含み、
ステップ(b)において、またはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種または複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを含んでもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを含んでもよい、態様1から11までのいずれか1つに記載の方法。
【0118】
13.ステップ(a3)において得られる複合材粒子が、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/または
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR、
および/または
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径、
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、態様1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0119】
14.結合剤として機能する相により互いに結合した多数の複合材粒子を含む耐火物産業用の断熱製品の製造における、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する複合材粒子の製造のための、好ましくはノズルを使用した、より好ましくは振動ノズルを使用したマトリックスカプセル化方法の使用。
【0120】
15.いくつかの耐火性複合材粒子を含む、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、これらの複合材粒子は、
- 1種もしくは複数種の耐火性物質の粒子、
および
- 耐火性物質の前記粒子の結合剤もしくは結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素
を含み、
ならびに
製品もしくは中間体は、態様1から13までのいずれか1つに記載の方法により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0121】
16.製品または中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5.0mm以下、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm以下の粒径、
および/または
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、態様15に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0122】
17.
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物を含む、態様15または16に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0123】
18.耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライト
からなる群から選択される1種または複数種の物質をさらに含む、態様15から17までのいずれか1つに記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0124】
本発明の第2の方法および製品(耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料)は、以下に特定される態様A1~A17に要約される。
【0125】
A1.耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料を製造するための方法であって、
(a)以下のステップ:
(a1)少なくとも以下の出発材料:
分散相としての、
(i)耐火性固体および耐火性固体の前駆体からなる群から選択される1種もしくは複数種の耐火性物質、
(ii)さらに、10~350g/Lの範囲内のかさ密度を有する軽量充填剤、および熱分解性充填剤からなる群から選択される、1種もしくは複数種の密度低減物質、
ならびに連続相としての、
(iv)固化性液体
で構成される懸濁液の液滴を生成するステップと、
(a2)液滴が硬質化して硬質化液滴を生成し、耐火性物質および密度低減物質が固化連続相中にカプセル化されるように、固化性液体を固化させるステップと、
(a3)熱処理を含む、複合材粒子をもたらすように硬質化液滴を処理するステップと
を有するマトリックスカプセル化プロセスにおいて、篩い分けにより決定さして5mm未満の粒径を有する前記複合材粒子を製造するステップを有し、
(b)ステップ(a3)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムもしくは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムもしくは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムもしくは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、および
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを有し、
ステップ(b)において、もしくはステップ(a)の後のさらなるステップにおいて、1種もしくは複数種のさらなる物質と混合して、硬化性耐火性組成物を生成するステップを有してもよく、
硬化性耐火性組成物を硬化させるステップを有してもよい方法。
【0126】
A2.ステップ(a1)において、液滴が1つもしくは複数のノズル、好ましくは振動ノズルを用いて提供され、
および/または
ステップ(a2)において、固化性液体の固化が、冷却、乾燥もしくは化学反応により誘導される、態様A1に記載の方法。
A3.ステップ(a1)において使用される固化性液体が、化学反応により固化可能な液体であり、ステップ(a2)における固化性液体の固化が、化学反応により誘導される、態様A1またはA2に記載の方法。
A4.固化性液体が、カチオン交換反応により固化可能な液体、好ましくはカルシウムイオンおよび/またはバリウムイオンおよび/またはマンガンイオンとの反応により、好ましくはカルシウムイオンとの反応により固化可能な液体である、態様A1からA3までのいずれか1つに記載の方法。
【0127】
A5.固化性液体が、
アルギネート、PVA、キトサンおよびスルホキシエチルセルロースからなる群から選択される1種もしくは複数種の結合剤、
ならびに/または
水溶液
を含む、カルシウムイオンとの反応により固化可能な液体であり、
固化性液体は、好ましくはアルギネート水溶液である、態様A1からA4までのいずれか1つに記載の方法。
【0128】
A6.篩い分けにより決定して好ましくは0.8mm未満、より好ましくは0.5mm未満、最も好ましくは0.3mm未満の粒径を有する、ステップ(a)において成分(ii)の密度低減物質として使用される軽量充填剤もしくはその少なくとも1種が、
無機中空ビーズ、有機中空ビーズ、多孔質および/もしくは発泡材料の粒子、もみ殻灰、コアシェル粒子および焼成珪藻土
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a)において成分(ii)として使用される熱分解性充填剤もしくはその少なくとも1種が、
- ポリマービーズ
および
- 発泡スチロールビーズ
からなる群から選択される、態様A1からA5までのいずれか1つに記載の方法。
【0129】
A7.ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む酸化物、窒化物および炭化物、
- Si、Al、Zr、Ti、MgおよびCaからなる群からの1つもしくは複数の元素をそれぞれ含む混合酸化物、混合炭化物および混合窒化物
からなる群から選択され、
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体もしくはその少なくとも1種が、好ましくは、
- 酸化アルミニウム、
- 酸化ジルコニウム、
- 二酸化チタン、
- グラファイト、
- 二酸化ケイ素、
- 酸化マグネシウム、
- 酸化カルシウム、
- ケイ酸カルシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくは雲母、
- ケイ酸アルミニウム、
- ケイ酸アルミニウムマグネシウム、好ましくはコーディエライト、
- 炭化ケイ素、
および
- 窒化ホウ素
からなる群から選択され、
ならびに/または
ステップ(a1)において成分(i)の耐火性物質として使用される耐火性固体の前駆体もしくは前駆体の少なくとも1種が、
- 水酸化アルミニウム、
- 水酸化マグネシウム、
- 層状ケイ酸塩、好ましくはカオリナイト、モンモリロナイトおよびイライト、
- 粘土、好ましくはカオリンおよびベントナイト、
- リン酸塩
ならびに
- 炭酸塩
からなる群から選択される、態様A1からA6までのいずれか1つに記載の方法。
【0130】
A8.ステップ(a3)における処理が、得られる複合材粒子のかさ密度が乾燥状態の硬質化液滴のかさ密度より低くなるように行われ、
および/または
前記複合材粒子が、750g/L未満、好ましくは500g/L未満、より好ましくは350g/L未満のかさ密度を有する、態様A1からA7までのいずれか1つに記載の方法。
【0131】
A9.ステップ(a3)において得られる複合材粒子および/またはステップ(b)において使用される複合材粒子の少なくとも一部が、篩い分けにより決定して5.0mm未満、好ましくは2.0mm未満の粒径を有する、態様A1からA8までのいずれか1つに記載の方法。
【0132】
A10.成分(i)が、耐火性物質として、耐火性固体の1種または複数種の前駆体を含み、ステップ(a3)における処理が、前駆体が耐火性固体に変換される熱処理を含み、
好ましくは、耐火性固体の前駆体または前駆体の少なくとも1種が粘土であり、ステップ(a3)における処理が、粘土が耐火性固体に変換されるような900~980℃の範囲内の温度での熱処理を含み、粘土は、好ましくはカオリナイトおよび/またはイライトを含む、態様A1からA9までのいずれか1つに記載の方法。
A11.硬質化液滴が、ステップ(a3)において中間体としての固体粒子をもたらすように処理され、その後これらの固体粒子の表面が、好ましくは有機コーティング組成物またはケイ素含有結合剤を用いて、前記複合材粒子をもたらすようにシールされる、態様A1からA10までのいずれか1つに記載の、好ましくは態様10に記載の方法。
【0133】
A12.ステップ(b)として、ステップ(a)において製造された複合材粒子を、
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、および
- 酸化アルミニウムのゾル
からなる群から選択される結合剤成分を含む結合剤と混合するステップを含む、態様A1からA11までのいずれか1つに記載の方法。
【0134】
A13.ステップ(a1)が、懸濁液の液滴の生成のためのさらなる出発材料として、および分散相として、構成要素(i)および(ii)に加えて、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素、好ましくはアニオン性コロイド状二酸化ケイ素
を使用する、態様1から12までのいずれか1つに記載の方法。
【0135】
A14.ステップ(a3)において得られる複合材粒子が、
(A)焼結試験により決定さして、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/または
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR、
および/または
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径、
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、態様A1からA13までのいずれか1つに記載の方法。
【0136】
A15.耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料であって、
- 1種または複数種の耐火性物質の粒子、および
- 好ましくは、耐火性物質の前記粒子の結合剤または結合剤成分として機能するナノ粒子状二酸化ケイ素
を含むいくつかの耐火性複合材粒子、
ならびに
- アルミナセメント、
- アルミン酸カルシウムセメント、
- 第一リン酸アルミニウムまたは第一リン酸アルミニウムの溶液、
- 第一リン酸マグネシウムまたは第一リン酸マグネシウムの溶液、
- リン酸、
- 無機リン酸塩、
- ホウ素化合物、好ましくは酸化ホウ素、
- 硫酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムの溶液、
- シリカゾル、
- 酸化アルミニウムのゾル、
- 塑性粘土、
- 水和性酸化アルミニウム結合剤、
- ケイ酸エチル、
- 硫酸アルミニウム
からなる群から選択される結合剤成分の硬化物
を含み、
製品もしくは中間体は、態様A1からA11までのいずれか1つに記載の方法により製造可能であり、
ならびに/または
製品もしくは中間体中に存在する複合材粒子は、
(A)焼結試験により決定して、1600℃以上の温度での熱安定性、
および/もしくは
(B)0.26W/m*K以下、好ましくは0.10W/m*K以下、より好ましくは0.07W/m*K以下の室温(20℃)での熱伝導率値γR
により特徴付けられる、耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0137】
A16.製品または中間体中に存在する複合材粒子が、
(C)0.25~0.5mmの範囲内の粒径で、EN 13055-1、付属書類A、方法1に従い決定して1.5N/mm2以上、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは3.0N/mm2以上の粒強度、
および/または
(D)750g/L以下、好ましくは500g/L以下、より好ましくは350g/L以下のかさ密度、
および/または
(E)篩い分けにより決定して5mm以下、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の粒径、
および/または
(F)Enslinに従う吸水により決定して4.5mL/g以下、好ましくは3.5mL/g以下、より好ましくは2.0mL/g以下の吸水容量
により特徴付けられる、態様15に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
【0138】
A17.耐火粘土、軽量耐火粘土、コランダム、中空球形コランダム、焼結コランダム、溶融コランダム、焼結ムライト、溶融ムライト、酸化アルミニウム(アルミナ)、アンダルサイト、カイヤナイト、シリマナイト、コーディエライト、粘土、珪灰石、ジルコニウムムライト、ジルコニウムコランダム、フライアッシュの球およびバーミキュライト
からなる群から選択される1種または複数種の物質をさらに含む、態様A15またはA16に記載の耐火物産業用の断熱製品、またはそのような製品を製造するための中間体としての断熱材料。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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