(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】トナー製造用機械式粉砕機、トナーの製造方法及びトナー製造システム
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
G03G9/08 381
(21)【出願番号】P 2020001584
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜次
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 祐一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正治
(72)【発明者】
【氏名】田村 順一
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 陽介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】土川 黎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 信一
(72)【発明者】
【氏名】中江 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 光司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-167491(JP,A)
【文献】特開平06-262096(JP,A)
【文献】特開平07-295294(JP,A)
【文献】特開昭56-015848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー製造用機械式粉砕機であって、
該粉砕機は、
被粉砕物の投入口及び排出口を有するケーシング内に、
中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部及び凹部を有する円柱形の回転子と、
該回転子の外側に、該回転子の該外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部及び凹部を有する固定子と、を備え、
該粉砕機は、該固定子の該内周面と該回転子の該外周面とが形成する隙間に被粉砕物を通過させて粉砕し、
該回転子の該凸部の先端と該固定子の該凸部の先端が対向した時の隙間の距離が、該被粉砕物の通過方向において上流側よりも下流側が広
く、
該回転子の該凸部の先端と該固定子の該凸部の先端が対向した時の隙間の距離が広くなっている該下流側においても、該回転子の該外周面及び該固定子の該内周面には、該凸部及び該凹部が存在していることを特徴とするトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項2】
前記下流側における、前記隙間の距離が前記上流側よりも広くなっている領域が、
前記隙間の前記中心回転軸方向の距離を基準として、前記隙間の下流側端部を起点に前記中心回転軸上流方向へ15%以上55%以下までの範囲である請求項1に記載のトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項3】
前記下流側の隙間の距離は、前記上流側の隙間の距離の1.1倍以上2.1倍以下である請求項1又は2に記載のトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項4】
トナーの原料を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕工程で用いる粉砕機が、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー製造用機械式粉砕機であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項5】
トナー原料を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕工程は、
該トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕工程及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕工程を有し、
少なくとも該第一の粉砕工程で用いる粉砕機が、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー製造用機械式粉砕機であるトナーの製造方法。
【請求項6】
前記粉砕工程において、前記トナー製造用機械式粉砕機における前記回転子の回転周速を180m/sec以上230m/sec以下に設定する請求項4又は5に記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
トナーの原料を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕工程は、
該トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕工程及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕工程を有し、
該第一の粉砕工程及び該第二の粉砕工程で用いる粉砕機が請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー製造用機械式粉砕機であり、
少なくとも該第二の粉砕工程において、前記トナー製造用機械式粉砕機における前記回転子の回転周速を180m/sec以上230m/sec以下に設定するトナーの製造方法。
【請求項8】
トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕機及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕機を備えるトナー製造システムであって、
少なくとも該第一の粉砕機が、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー製造用機械式粉砕機であるトナー製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー製造用機械式粉砕機、トナーの製造方法及びトナー製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性が要求されるようになってきている。トナーにおいては、帯電性、現像性及び転写性の安定化に加え、さらなる小粒径化を行うことで高画質化を図ることができる。
一般的な、トナー粒子の製造方法として溶融混練粉砕法が知られている。具体的には、結着樹脂、着色剤、離型剤などのトナー構成材料を溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化しトナー粒子を得る手法である。その後、必要に応じて所望の粒度分布に分級したり、流動化剤などを添加したりする。
混練物の粉砕手段として各種粉砕機が用いられるが、高圧気体で被粉砕物を搬送し、加速管の出口より噴射し、加速管の出口の開口面に対向して設けた衝突部材の衝突面に衝突させて、その衝撃力により被粉砕物を粉砕する衝突式気流粉砕機(特許文献1)が知られている。
また、被粉砕物の投入口及び排出口を有するケーシング内に、中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、この回転子の外側に、この回転子の外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子とを備え、投入口から排出口を流れる気流にのって回転子と固定子とが対向する処理部を被粉砕物が通過する際に、回転子又は固定子の凸部又は凹部に衝突することで被粉砕物を粉砕する機械式粉砕装置(特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-051496号公報
【文献】特開2011-237816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような機械式粉砕機によるトナー溶融混練物の粉砕では、機械式粉砕機の回転子の周速を向上させることで、回転子及び固定子と被粉砕物との衝突エネルギーが増大し、トナー粒子を小粒径化することが可能となる。
さらには、被粉砕物が通過する回転子と固定子との隙間(ギャップ)を狭くするほど粒径は小さくなることが知られている。
こうした機械式粉砕機の場合、回転子及び固定子の隙間を被粉砕物が通過する際、回転子及び固定子上流から下流側に向かうにつれて、徐々に粗大粒子が粉砕され、微粒子化される。同時に、衝突エネルギーが被粉砕物に蓄積され温度上昇していく。
【0005】
被粉砕物の温度上昇は、例えばトナー粒子をより小粒径に粉砕するために回転子の回転数を増大させた場合や、生産性向上のために単位時間当たりの被粉砕物の投入量を増やした場合により顕著となる。
例えば、被粉砕物の温度上昇が顕著になると、被粉砕物の表面が部分的に溶け、被粉砕物どうしが結合してしまい、粒径が安定しない場合がある。さらには、被粉砕物が粉砕機内部に付着する場合もあり(以下、この現象を「融着」と表記する)、安定した粉砕ができなくなる場合がある。
上記製造の安定性及び融着は、溶融混練粉砕法におけるトナー製造、特に小粒径トナー製造においての課題である。
本開示は、溶融混練粉砕法において、トナー粒子の小粒径化及び生産性の向上を達成するトナー製造用機械式粉砕機、トナーの製造方法及びトナー製造システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、
トナー製造用機械式粉砕機であって、
該粉砕機は、
被粉砕物の投入口及び排出口を有するケーシング内に、
中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部及び凹部を有する円柱形の回転子と、
該回転子の外側に、該回転子の該外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部及び凹部を有する固定子と、を備え、
該粉砕機は、該固定子の該内周面と該回転子の該外周面とが形成する隙間に被粉砕物を通過させて粉砕し、
該回転子の該凸部の先端と該固定子の該凸部の先端が対向した時の隙間の距離が、該被粉砕物の通過方向において上流側よりも下流側が広いトナー製造用機械式粉砕機に関する。
また、本開示の他の態様は、
トナーの原料を粉砕する粉砕工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕工程で用いる粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機であるトナーの製造方法に関する。
また、本開示の他の態様は、
トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕機及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕機を備えるトナー製造システムであって、
少なくとも該第一の粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機であるトナー製造システムに関する。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、溶融混練粉砕法においてトナー粒子の生産性の向上及び小粒径化を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例に用いられる機械式粉砕機の回転子と固定子の模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0010】
上記効果が得られる要因について、以下のように想定している。
回転子と固定子との隙間が一定である従来の機械式粉砕機においては、回転子の回転速度と回転子と固定子との隙間の距離により粉砕物の粒径が決定される。
前述したとおり、回転子の回転数を上げるほど被粉砕物の粒度は小さくなり、回転子と固定子の隙間を小さくするほど被粉砕物の粒度は小さくなる。
しかしながら、粒度を小さくするほどに、粉砕機内部の温度上昇は顕著になり、トナー原料の粉砕では温度上昇に伴い前述したような粒度の安定性低下や生産性の低下の課題が
発生する。
【0011】
これに対し、上記トナー製造用機械式粉砕機は、回転子と固定子との隙間の距離が、被粉砕物の通過方向において上流側よりも下流側が広い構成である。
回転子と固定子との隙間を広げると、被粉砕物の粒度は大きくなってしまう。しかし、上記構成とした機械式粉砕機においては、粒度が大きくなった分、回転子の回転速度を上げて粒度を下げた場合でも、従来の機械式粉砕機と比べて機内の温度と、回転子の駆動にかかる負荷電流を抑えられることを本発明者らは実験的に確認した。
具体的には、回転子と固定子の隙間が全領域において1.0mmの従来粉砕機で重量平均粒径100μm程度のトナー原料を6.0μmの粒度に粉砕した場合と、上流側の隙間が1.0mm、隙間の下流端から30%までの下流側の領域の隙間が1.4mmの機械式粉砕機にて6.0μmの粒度に粉砕した場合を比べた。上記機械式粉砕機を用いることで、機内温度、回転子の駆動にかかる負荷電流の低下が認められた。
【0012】
このような効果が得られるメカニズムについて、以下のように推測している。
上記機械式粉砕機を用いて粉砕する工程では、数10μm~数100μm程度の中粉砕粒子と呼ばれる粒径のトナー原料を、微粉砕粒子から数μmの超微粉砕粒子に粉砕する。
トナー原料が粉砕機内を粉砕されながら通過する過程において、中粉砕粒子から微粉砕粒子への粉砕が実施される機内の上流部分では主として体積粉砕が行われ、微粉砕粒子から超微粉砕粒子への粉砕が行われる下流側の領域では、主として表面粉砕が行われると推測される。
粉砕に必要なエネルギーは表面粉砕に比べ体積粉砕が大きく、発生する熱エネルギーも大きくなる。
従来の粉砕機の場合、体積粉砕が行われる上流で発生した熱エネルギーは被粉砕物に蓄積される。下流側においても継続して表面粉砕が実施されるために、被粉砕物の表面を軟化させる温度を超える場合があると考えられる。
さらには、表面粉砕に必要なエネルギーの閾値以上のエネルギーが与えられ被粉砕物の昇温が加速してしまうのではないかと推測している。
【0013】
一方、上記機械式粉砕機の場合、下流側の表面粉砕が主となる領域において、回転子と固定子の隙間が広く設定されているので、不必要な表面粉砕のエネルギーが被粉砕物に与えられにくくなり、適度なエネルギーで表面粉砕が行われると推測している。これより、上流側で被粉砕物に蓄積されたエネルギーが下流領域において、被粉砕物に悪影響を及ぼすことなく表面粉砕が行われると推測している。
さらに、下流領域の回転子と固定子との隙間が広いことで、粉砕中の機内の気体風量が増加し、被粉砕物の降温作用が生じるのではないかと考えている。
その結果、上記機械式粉砕機を用いた場合、従来粉砕機に比べて機内温度の低下効果が得られ、粉砕粒度の安定化、融着の抑制の効果が得られ、高い生産性及び小粒径化が両立できると考えている。
【0014】
まず、上記機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、
図1を用いて説明する。
図1では、横型の機械式粉砕機の概略断面図を示しているが、縦型であってもよい。被粉砕物の投入口及び排出口を有するケーシング、ケーシング内にあって冷却水を通水できるジャケット、ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた回転体からなる、高速回転する表面(外周面)に複数の凸部及び凹部が設けられている円柱形の回転子103、回転子103の外側に所定の間隙を保持して配置され、表面(内周面)に複数の凸部及び凹部が設けられている固定子104、被粉砕物を導入する為の原料投入口101、処理後の粉体を排出する為の原料排出口106を有している。
【0015】
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、定量供給機から機械式粉砕機の原料投入
口101へ所定量の粉体原料が投入される。原料は機械式粉砕機内の前室1021を通過し、円柱形の回転子103の外周面と固定子104の内周面との間隙による粉砕処理部を通過し、後室105を通過し、後室105と連通する排出口106より排出される。
被粉砕物は該粉砕処理部内で高速回転する回転子の凸部若しくは凹部表面と、又は固定子の凸部若しくは凹部表面との衝突により粉砕される。被粉砕物及び粉砕後のトナー粒子は、吸引ブロアー(不図示)により引かれるエアー(空気)の気流に乗って装置システムの系外に排出される。
【0016】
このような機械式粉砕機は、従来の機械式粉砕機を適宜改造して得ることができる。従来の機械式粉砕機としては、例えば、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトリン(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、トルネードミル(日機装社製)などを挙げることができる。
【0017】
図3に示した従来の機械式粉砕機の固定子と回転子との隙間の距離は一定である。本開示においては、
図1及び
図2により例示されるように、被粉砕物の通過方向における上流側と下流側で、固定子の凸部の先端と回転子の凸部の先端とが対抗したときの隙間の距離が異なる。さらに、上流側の隙間の距離よりも下流側の隙間の距離が広くなっている。
このことにより、前述したように粉砕機内の上流で蓄積された熱エネルギーが、下流側の回転子と固定子との隙間を広げた領域において効率よく解消され、被粉砕物の降温作用が生じると考えている。
【0018】
図1及び
図2において、上流側の隙間の距離は一定であり、下流側の隙間の距離も一定であるが、回転子及び固定子の形状はこのような形状に制限されない。回転子の中心回転軸方向の断面形状に傾斜がつけられていてもよい。例えば、回転子の中心回転軸方向の断面形状が台形状であってもよいし、回転子の中心回転軸方向の断面形状の少なくとも一部がテーパー形状を有していてもよい。一方、同様に、固定子の中心回転軸方向の断面形状に傾斜がつけられていてもよい。
上流側における隙間の距離は一定であることが好ましい。また、下流側における隙間の距離が一定であることが好ましい。隙間の距離は、少なくとも二段階(例えば、二段階~四段階)で変化していることが好ましく、二段階で変化していることがより好ましい。
図1及び
図2のように、上流側における隙間の距離と下流側における隙間の距離とが階段状に変化していることが好ましい。階段状部分は垂直であってもよいし、傾斜がつけられていてもよい。隙間の距離の段階的な変化は、固定子側に段差をつけて行うことが好ましい。
【0019】
また、下流側における、隙間の距離が上流側よりも広くなっている領域が、固定子の内周面と回転子の外周面とが形成する隙間の中心回転軸方向の距離を基準として、隙間の下流側端部を起点に中心回転軸上流方向へ15%以上55%以下までの範囲であることが好ましい。より好ましくは、隙間の下流側端部から中心回転軸上流方向へ20%以上50%以下までの範囲であり、さらに好ましくは25%以上40%以下である。
上記領域が隙間の下流側端部から15%以上であると、被粉砕物の降温効果がより得られやすくなる。
上記領域が隙間の下流側端部から55%以下であると、目標粒径を得るための、回転子の回転数を好適な範囲に維持できる。
【0020】
下流側の隙間の距離は、上流側の隙間の距離の1.1倍以上2.1倍以下であることが好ましい。より好ましくは1.2倍以上2.0倍以下であり、さらに好ましくは1.3倍以上1.8倍以下である。
上記隙間の距離の比が1.1倍以上であると、被粉砕物の降温効果が得られやすくなる。
上記隙間の比が2.1倍以下であると、目標粒径を得るための、回転子の回転数を好適な範囲に維持できる。
【0021】
上流側の隙間の距離は、好ましくは0.5mm~2.0mmであり、より好ましくは0.7mm~1.5mmである。
下流側の隙間の距離は、好ましくは0.8mm~3.0mmであり、より好ましくは1.2mm~2.5mmである。
固定子の内周面と回転子の外周面とが形成する隙間の中心回転軸方向の距離は、好ましくは150mm~1000mm程度であり、より好ましくは200mm~600mm程度である。
【0022】
固定子の内周面の凸部及び凹部の形状は、中心回転軸方向に沿って直線状の溝が形成された構造であることが好ましい。また、回転子の外周面の凸部及び凹部の形状は、中心回転軸方向に沿って直線状の溝が形成された構造であることが好ましい。
凸部の先端から凹部の最深部までの距離は、好ましくは1.0mm~5.0mm程度であり、より好ましくは2.0mm~3.0mm程度である。
凸部間の距離は、好ましくは1.0mm~8.0mm程度であり、より好ましくは2.0mm~5.0mm程度である。
回転子の中心回転軸方向に垂直な断面の直径は、製造規模により任意に決定されるため特に限定はないが、好ましくは100mm~900mm程度であり、より好ましくは250mm~800mm程度である。
【0023】
粉砕法によるトナーの製造方法においては、粒径2mm程度にする粗粉砕工程と、所望の粒径にする微粉砕工程とを採用してもよい。粗粉砕工程及び微粉砕工程の間に中粉砕工程を入れてもよい。上記機械式粉砕機はいずれの工程にも使用しうる。中粉砕工程及び/又は微粉砕工程において上記機械式粉砕機を用いることが好ましい。また上記機械式粉砕機を直列又は並列に2段以上連結して粉砕してもよい。
重量平均粒径が4.0μm台の小粒径トナーの粉砕工程においては、上記機械式粉砕機を直列に連結し、二段階で粉砕することも有効である。
【0024】
例えば、以下のようなトナー製造システムが好ましい。
トナー製造システムは、トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕機及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕機を備え、
少なくとも該第一の粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機であることが好ましい。より好ましくは第一の粉砕機及び第二の粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機である。
【0025】
また、トナーの製造方法は、トナーの原料を粉砕する粉砕工程を有し、
該粉砕工程で用いる粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機であることが好ましい。
また、トナーの製造方法は、トナー原料を粉砕する粉砕工程を有し、
該粉砕工程は、
該トナー原料を粉砕し、第一の粉砕品を得る第一の粉砕工程及び
該第一の粉砕品をさらに粉砕する第二の粉砕工程を有し、
少なくとも該第一の粉砕工程で用いる粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機であることが好ましい。より好ましくは第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程で用いる粉砕機が、上記トナー製造用機械式粉砕機である。
【0026】
前記隙間を広げる構成は、上流及び下流の二段階変化に限定はされない。例えば、三段階、四段階と数段階で下流側に向かって広げることも有効である。
さらには、下流側に向かって連続的に隙間を広げることも有効な手段である。
【0027】
トナーの粉砕工程において、回転子の回転周速を180m/sec以上230m/sec以下に設定することが好ましい。より好ましくは190m/sec以上220m/sec以下でる。
上記周速が180m/sec以上であると、被粉砕物の粉砕機内における固定子及び回転子との衝突において、被粉砕物に与えられるエネルギーが高くなる。
そのため、トナーを粉砕させるために必要となるクラックの成長がトナー表面近傍で適度に起こることになり、その結果表面粉砕が適度に発生する。このように表面粉砕が適度に発生すると、製品トナーとして除去すべき微粉生成物の過剰な発生を抑制できる。
【0028】
上記周速が230m/sec以下であると、被粉砕物に与えられるエネルギーが適度である。そのため、過剰なエネルギーが被粉砕物の粉砕だけでなく、圧縮、せん断といったトナーを変形させる力として作用することを抑制できる。その結果として、扁平又は異形のトナーが生じにくく、製品として所望の円形度を付与できる。
また、上記周速の範囲内で粉砕機を運転することで、得られるトナーの粒度分布をシャープにすることができる。粉砕工程を粗粉砕工程から微粉砕工程まで分割して行う場合、機械式粉砕機を上記周速範囲で運転するプロセスは、最終的に得られるトナーの粒径分布を決定する工程である、微粉砕工程に適用することがより好ましい。
もちろん最終工程以外の粉砕プロセスにおいて、上記プロセスを適用することも有効である。
【0029】
(トナー製造手順)
次に、機械式粉砕機で、トナー粒子を製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、結着樹脂及び着色剤などを所定量秤量して配合し、混合する。必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤、該離型剤を分散させる分散剤、帯電制御剤などを混合してもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0030】
さらに、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。
さらに、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0031】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。さらに、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等の機械式粉砕機で微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。当該粉砕工程で、上記機械式粉砕機を用いることが好ましい。
【0032】
次に、トナーについて説明する。
<結着樹脂>
トナーは結着樹脂を含む。結着樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、例えば以下のものが挙げられる。ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキ
シ樹脂などが例示できる。
この中でも、低温定着性を良好にするという観点から非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、低分子量ポリエステルと高分子量ポリエステルを併用することが好ましい。また、さらなる低温定着性の向上と保管時の耐ブロッキング性の観点から結晶性ポリエステルを可塑剤として用いることもある。
【0033】
<着色剤>
トナーは着色剤を含む。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
着色剤としては、公知の有機顔料若しくは油性染料、カーボンブラック、又は磁性体などが挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが挙げられる。
黒色系着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は、前記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
該着色剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0034】
<離型剤>
トナーには、必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤を用いてもよい。該離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、シリコーンワックス、脂肪酸アミド類、エステルワックス類、カルナバワックス、炭化水素系ワックスなどが一般的に例示できる
【0035】
次に、トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法について説明する。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、50μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3
Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を1μm以上30μm以下に設定する。
【0036】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶
液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0037】
<トナー粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の個数平均粒径(D4)の測定方法の(7)の工程において、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0038】
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
【0039】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
【0041】
<非晶性ポリエステル樹脂Lの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して96.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
1.3部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂Lを得た。
【0042】
<非晶性ポリエステル樹脂Hの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
6.5部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持
したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル樹脂Hを得た。
【0043】
<結晶性ポリエステル樹脂>
・1,6-ヘキサンジオール:
34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0044】
<トナーの製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂L 70部
・非晶性ポリエステル樹脂H 30部
・結晶性ポリエステル樹脂 5部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 8部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。混練時のバレル温度は、混練物の出口温度が120℃になるよう設定した。混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA-200Eを用い直接計測した。得られた混練物を冷却し、ピンミルにて体積平均粒径100μm以下に粗粉砕し、トナー原料1を得た。
【0045】
以下、具体的な実施例及び比較例を記す。
なお、以下の実施例及び比較例で得られた微粉砕品の重量平均粒径は、上記トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法に従い測定した。
(実施例1)
本実施例においては、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
図1に示す粉砕機の構成は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250-CRS-ローター形状RS型)を、改造したものである。
図2は、回転子と固定子の構成を模式的に示した図である。
図2において、103は回転子、104は固定子を表す。D1及びD2は、固定子の凸部の先端と回転子の凸部の先端とが対向したときの隙間の距離を表している。
L1は隙間D1の領域(隙間の上流端から、隙間の距離がD1となっている領域)を示し、L2は隙間D2の領域(隙間の下流端から隙間の距離がD2となっている領域)を示している。
上記機械式粉砕機を用い、トナー原料1を用い以下に示す条件にて粉砕品を製造した。
【0046】
<条件1>Feed=30Kg/h
図1に示す粉砕機を用い、供給口からトナー原料1を30Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件で粉砕を行った。
なお、本条件での粉砕機の構成は、
図2において、D1=1.0mm、D2=1.5mmとし、L1=224mm、L2=96mm(隙間の中心回転軸方向の距離を基準として
、L2は、隙間の下流端から30%までの領域)とした。
条件1では、まず粉砕品の重量平均粒径が6.0μm~6.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約300Kgの粉砕品を得た。
【0047】
<条件2>Feed=40Kg/h
本条件では、条件1と同様の粉砕機の構成にて、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件で粉砕を行った。
条件2においても、粉砕品の重量平均粒径が6.0μm~6.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0048】
(比較例1)
本比較例においては、粉砕機に
図3に示したものを用いる。
図3に示す粉砕機は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250-CRS-ローター形状RS型)であり、回転子と固定子の隙間は回転子と固定子が対面するすべての領域において均一である。隙間の距離は1.0mmとした。
本比較例においてトナー原料1を用い、実施例1と同様に、供給口からの供給量を条件1で30Kg/h、条件2で40Kg/hとし、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件で粉砕を行った。
本比較例においても、粉砕品の重量平均粒径が各条件で6.0μm~6.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い、条件1にて約300Kg、条件2にて約400Kgの粉砕品を得た。
【0049】
本実施例及び比較例では、製造した微粉砕品を1時間毎にサンプリングし、重量平均粒径(D4)を測定し、微粉砕品の粒径安定性の評価を行った。
評価は、サンプリングした粒径の最大値と最小値の差を算出し、以下のランク付けを行った。
A・・・0.2μm未満であり非常に良好。
B・・・0.2μm以上0.4μm未満であり良好。
C・・・0.4μm以上。
【0050】
さらに、連続10時間の製造後装置を停止し、回転子及び固定子のトナーの付着度合い(汚れ)を目視で確認した。
評価ランクは以下とする。
A・・・付着はほとんどなくり非常に優れている。
B・・・若干付着は認められるが良好である。
C・・・付着がみとめられる。
【0051】
実施例1及び比較例1での各条件での評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例の粉砕機にて製造した粉砕品は粒径の安定性が優れている。
されには、長時間製造した後での機内のトナー付着もほとんどなく、生産性に優れた結果を得ている。
また、比較例に比べて、処理量を増加させてより厳しい条件にすると、効果はより顕著に表れている。
【0052】
【0053】
(実施例2)
粉砕機に
図1に示したものを用い、
図2に示す回転子103と固定子104の隙間の距離が異なる領域を示すL1及びL2を変化させて粉砕品の製造を行った。
具体的には、表2に示す各条件でL1及びL2を変化させ、隙間の下流端からのL2の割合10%から60%まで変化させた。
なお、粉砕機の他の構成は、
図2において、D1=1.0mm、D2=1.5mmとした。
供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、本実施例では、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0054】
(比較例2)
粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲となるように回転子の周速度を設定する以外は比較例1と同様の粉砕機の構成、条件にて連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得るものとする。
本実施例、比較例においても、実施例1及び比較例1と同様の評価を実施した。結果を表2に示す。
なお、本実施例において、隙間を拡大した下流端からの領域L2の割合が60%の条件においては、粉砕機の回転数の上限でも設定の粒径には達せず、供給口からのトナー原料1の供給量を30Kg/hに下げて粉砕品を作製した。
【0055】
処理量について以下のランク付けを行い、各項目において総合評価を実施した。
処理量の評価
A・・・設定粒径に対し40Kg/h以上の処理量が得られた。
B・・・設定粒径に対し30Kg/hの処理量が得られたが、40Kg/hの処理量は得られなかった。
C・・・設定粒径に対し20Kg/hの処理量が得られたが、30Kg/hの処理量は得られなかった。
【0056】
総合評価
A・・・各評価項目においてすべてAランクであった。
B・・・各評価項目において、最低ランクにBランクが1項目でもあった。
C・・・各評価項目において、最低ランクにCランクが1項目でもあった。
【0057】
表2に示すように、実施例においては、良好な結果が得られている。特に、下流側の回転子と固定子の隙間の距離を広げた領域の割合が20%~50%であると、全項目において良好な結果が得られた。
【0058】
【表2】
表中、「L2の割合」は、隙間の距離が上流側よりも広くなっている下流側の領域の割合である。
【0059】
(実施例3)
本実施例においても、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
本実施例では、
図2に示す回転子103と固定子104の隙間の距離D1及びD2を変化させて粉砕品の製造を行った。
具体的には、D1及びD2を各条件で表3に示す値とし、上流側の回転子と固定子の隙間の距離D1に対する下流側の回転子と固定子の隙間の距離D2の比(D2/D1)を1.1~2.1の範囲で変化させた。
なお、本実施例での下流側の隙間の距離を広げた領域は、
図2において、L1=224mm、L2=96mm(隙間の下流端から30%までの領域)とした。
粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/h、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、本実施例では、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得るものとする。
【0060】
本実施例においても、実施例2と同様の評価を実施し、結果を表3に示した。
なお、本実施例において、D2/D1が2.1となる条件においては、粉砕機の回転数の上限でも設定の粒径には達せず、供給口からのトナー原料1の供給量を30Kg/hに下げて粉砕品を作製した。
表3に示すように、実施例においては、良好な結果が得られている。特に、D2/D1が1.2~2.0の範囲においては全項目において良好な結果が得られている。
【0061】
【0062】
(実施例4)
本実施例では、第一の粉砕工程で、実施例1で用いた構成の粉砕機を用い、第二の粉砕工程で、比較例1で用いた構成の従来の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
まず、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとした。粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一の粉砕工程で得られた粉砕品を第二の粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得るものとする。
【0063】
(実施例5)
本実施例では、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに実施例1で用いた構成の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
本実施例では実施例4と同様、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとした。粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0064】
(比較例3)
本比較例では、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに比較例1で用いた構成の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
本比較例では実施例4と同様、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとし、粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、本比較例においても、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得るものとする。
【0065】
実施例4、5及び、比較例3において、実施例3と同様の評価を実施した。結果を表4に示す。
なお、実施例4及び比較例3の第二の粉砕工程では、回転子のモーター負荷電流が上限に達し設定の粒径には達しなかったため、供給口からのトナーの供給量を30Kg/hに下げて粉砕品を作製した。
【0066】
表4に示すように、トナー原料を重量平均粒径4μm前半に粉砕するために第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を用いる粉砕システムにおいて、少なくとも第一の粉砕工程に実施例の粉砕機を用いることで、良好な結果が得られた。
さらに、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程の両方に実施例の粉砕機を用いることで、全項目に優れたさらに良好な結果が得られた。
【0067】
【0068】
(実施例6)
本実施例においても、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
本実施例では、
図2に示す回転子103の回転周速を変化させた。
なお、本実施例での粉砕機の他の構成は、
図2において、D1=1.0mm、D2=1.5mmとした。
粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、本実施例では、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるようにL1及びL2を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0069】
平均円形度の評価
A・・・0.955以上
B・・・0.950以上0.955未満
【0070】
D4/D1の評価(粒度分布の評価)
A・・・1.30未満
B・・・1.30以上1.40未満
【0071】
総合評価
A・・・各評価項目においてすべてAランクであった。
B・・・各評価項目において、最低ランクにBランクが1項目でもあった。
【0072】
表5に示すように、実施例においては、良好な結果が得られている。特に、周速が200m/secであるとき全項目において良好な結果が得られている。
【0073】
【0074】
(実施例7)
本実施例においても、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
本実施例においても
図2に示す回転子103の回転周速を変化させていき、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるように、D2/D1を変化させた。
なお、本実施例での下流側の隙間の距離を広げた領域は、
図2において、L1=224mm、L2=96mm(隙間の下流端から30%までの領域)とした。
粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、本実施例においても、同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得るものとする。
本実施例においても、実施例6と同様の評価を実施した。結果を表6に示す。
なお、本実施例において、D2/D1が2.1となる条件においては、粉砕機の回転数の上限でも設定の粒径には達せず、供給口からのトナー原料1の供給量を30Kg/hに下げて粉砕品を作製した。
【0075】
表6に示すように、実施例においては、良好な結果が得られている。特に、周速が200m/secであるとき全項目において良好な結果が得られている。
【0076】
【0077】
(実施例8)
本実施例において、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに、粉砕機に
図1に示したものを用いて、
図2に示す回転子103の回転周速を160m/secに固定して粉砕を行った。なお、本実施例での下流側の隙間の距離を広げた領域は、
図2において、L1=224mm、L2=96mm(隙間の下流端から30%までの領域)とした。
まず、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとした。粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0078】
(実施例9)
本実施例において、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに、粉砕機に
図1に示したものを用いた。
図2に示す回転子103の回転周速を第一の粉砕工程では160m/secに、第二の粉砕工程では200m/secに固定して粉砕を行った。なお、本実施例での下流側の隙間の距離を広げた領域は、
図2において、L1=224mm、L2=96mm(隙間の下流端から30%までの領域)とした。
まず、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとした。粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温
度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0079】
(実施例10)
本実施例において、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに、粉砕機に
図1に示したものを用いた。
図2に示す回転子103の回転周速を200m/secに固定して粉砕を行った。なお、本実施例での下流側の隙間の距離を広げた領域は、
図2において、L1=224mm、L2=96mm(隙間の下流端から30%までの領域)とした。
まず、重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径5.0μm~5.2μmとした。粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料1を40Kg/hで供給し、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃の条件でトナー原料1の粉砕を行った。
なお、粉砕品の重量平均粒径が5.0μm~5.2μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程に供した。粉砕品の重量平均粒径が4.2μm~4.4μmの範囲になるようにD2/D1を変化させ、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400Kgの粉砕品を得た。
【0080】
実施例8、9及び、実施例10において、実施例6と同様の評価を実施した。結果を表7に示す。
表7に示すように、トナー原料を重量平均粒径4μm前半に粉砕するために第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を用いる粉砕システムにおいて、少なくとも第二の粉砕工程に実施例の粉砕機を用いることで、良好な結果が得られた。
【0081】
【符号の説明】
【0082】
101:供給口、1021:前室、1022:前室出口部、103:回転子、104:固定子、105:後室、106:排出口、107:回転軸、108:冷風発生装置、109:冷水供給口、110:冷水排出口