(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び廃液収容体
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B41J2/17 203
(21)【出願番号】P 2020004211
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 啓治
(72)【発明者】
【氏名】玉森 研爾
(72)【発明者】
【氏名】菅原 崇
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-124820(JP,A)
【文献】特開2015-112844(JP,A)
【文献】中国実用新案第207955021(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0240982(US,A1)
【文献】特開2018-108656(JP,A)
【文献】特開2019-018405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出装置において、
筐体と、
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を収容する廃液収容体が嵌合して着脱可能に装着される装着部と、
を備え、
前記装着部は、前記筐体の外側面に形成された開口部と前記開口部に接続する凹部として形成されるともに、前記装着部に対して前記廃液収容体を装着するときの前記廃液収容体の装着の方向を第1の方向とする構造を有し、
前記装着部において、前記装着部に嵌合して装着されている前記廃液収容体が占める領域の前記第1の方向に沿う長さを2等分する位置よりも前記第1の方向に沿って前記筐体の内部の側の位置に、前記廃液を前記廃液収容体へ送り出すための排出部が形成され
、
前記筐体は略直方体の形状を有し、前記筐体の隣接する2つの外側面が接続する位置に前記開口部が形成され、
前記隣接する2つの外側面の一方が前記凹部を部分的に覆うように延びており、
前記第1の方向は前記一方の外側面に平行な方向であり、
前記第1の方向に直交する第2の方向における前記排出部の位置は、前記第2の方向に沿う前記領域の長さを2等分する位置よりも前記第2の方向に沿って前記筐体の内部の側であり、
前記排出部は、前記第1の方向とも前記第2の方向とも直交する方向を向いていることを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
前記排出部は重力方向下方に向いている、請求項
1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
液体を吐出する液体吐出装置の装着部に対して第1の方向で挿入することによって前記装着部に嵌合して着脱可能に装着され、前記液体吐出装置から排出される廃液を収容する廃液収容体において、
略直方体の形状を有し、
前記装着部に装着された状態において前記液体吐出装置の筐体の外側面と連続する外表面を有し、
前記装着部は前記液体吐出装置の筐体に開口した凹部として形成されており、
前記装着部に装着された状態で、前記廃液収容体において前記装着部の内部に位置する部分の前記第1の方向に沿う長さを2等分する位置よりも、前記第1の方向に沿って筐体の内部となる側の位置に、前記液体吐出装置から前記廃液を受け入れる廃液導入口が開口し
、
前記第1の方向に直交する第2の方向における前記廃液導入口の位置は、前記装着部に装着された状態で、前記第2の方向に沿う前記部分の長さを2等分する位置よりも前記第2の方向に沿って前記筐体の内部の側となる位置であり、
前記廃液導入口は、前記廃液収容体の前記第1の方向及び前記第2の方向とは直交する方向を向いた表面に設けられていることを特徴とする、廃液収容体。
【請求項4】
液体を吐出する液体吐出装置の装着部に対して第1の方向で挿入することによって前記装着部に嵌合して着脱可能に装着され、前記液体吐出装置から排出される廃液を収容する廃液収容体において、
前記装着部は前記液体吐出装置の筐体に開口した凹部として形成されており、
前記装着部に装着された状態で、前記廃液収容体において前記装着部の内部に位置する部分の前記第1の方向に沿う長さを2等分する位置よりも、前記第1の方向に沿って筐体の内部となる側の位置に、前記液体吐出装置から前記廃液を受け入れる廃液導入口が開口し、
前記廃液導入口は、前記第1の方向に沿って前記装着部への装着方向の先端に設けられている
ことを特徴とする、廃液収容体。
【請求項5】
略直方体の形状を有し、前記装着部に装着された状態において前記液体吐出装置の筐体の外側面と連続する外表面を有する、請求項4に記載の廃液収容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置と液体吐出装置において使用される廃液収容体とに関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドから記録媒体などの媒体に対してインクなどの液体を吐出する液体吐出装置では、媒体に向けて吐出されなかった液体が液体吐出ヘッドから排出されるので、排出された液体を廃液として収容する廃液収容体が設けられる。廃液収容体は、液体吐出装置に設けられた装着部に着脱可能に装着される。装着部には、廃液を廃液収容体に向けて排出する排出部が設けられる。排出部から排出された廃液が排出部の周りから垂れて液体吐出装置の内部や廃液収容体の外装を汚すことがあるので、特許文献1は、装着時に液体吐出ヘッドの排出部から廃液が垂れることを抑制できる廃液収容体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃液収容体は液体吐出装置に対して着脱可能に取り付けられるものであるが、液体吐出装置において廃液収容体の着脱時には排出部が露出し、ユーザーがこの露出した排出部に触れて廃液に接触するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、廃液収容体の着脱時などにユーザーが廃液の排出部に触れにくい構造の液体吐出装置と、そのような液体吐出装置に適合した廃液収容体とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体吐出装置において、筐体と、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドから排出された廃液を収容する廃液収容体が嵌合して着脱可能に装着される装着部と、を備え、装着部は、筐体の外側面に形成された開口部と開口部に接続する凹部として形成されるともに、装着部に対して廃液収容体を装着するときの廃液収容体の装着の方向を第1の方向とする構造を有し、装着部において、装着部に嵌合して装着されている廃液収容体が占める領域の第1の方向に沿う長さを2等分する位置よりも第1の方向に沿って筐体の内部の側の位置に、廃液を廃液収容体に送り出すための排出部が形成され、筐体は略直方体の形状を有し、筐体の隣接する2つの外側面が接続する位置に開口部が形成され、隣接する2つの外側面の一方が凹部を部分的に覆うように延びており、第1の方向は一方の外側面に平行な方向であり、第1の方向に直交する第2の方向における排出部の位置は、第2の方向に沿う領域の長さを2等分する位置よりも第2の方向に沿って筐体の内部の側であり、排出部は、第1の方向とも第2の方向とも直交する方向を向いていることを特徴とする。
【0007】
本発明の廃液収容体は、液体を吐出する液体吐出装置の装着部に対して第1の方向で挿入することによって装着部に嵌合して着脱可能に装着され、液体吐出装置から排出される廃液を収容する廃液収容体において、略直方体の形状を有し、装着部に装着された状態において液体吐出装置の筐体の外側面と連続する外表面を有し、装着部は液体吐出装置の筐体に開口した凹部として形成されており、装着部に装着された状態で、廃液収容体において装着部の内部に位置する部分の第1の方向に沿う長さを2等分する位置よりも、第1の方向に沿って筐体の内部付なる側の位置に、液体吐出装置から廃液を受け入れる廃液導入口が開口し、第1の方向に直交する第2の方向における廃液導入口の位置は、装着部に装着された状態で、第2の方向に沿う部分の長さを2等分する位置よりも第2の方向に沿って筐体の内部の側となる位置であり、廃液導入口は、廃液収容体の第1の方向及び第2の方向とは直交する方向を向いた表面に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、廃液収容体の着脱時などにユーザーが廃液の排出部に触れにくい構造の液体吐出装置と、そのような液体吐出装置に適合した廃液収容体とが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】液体吐出装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】液体吐出装置に設けられるメンテナンスユニットを示す概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の液体吐出装置を説明する図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態の液体吐出装置を説明する図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の液体吐出装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明に基づく液体吐出装置を説明する前に、液体吐出装置の一般的な構成について、
図1を用いて説明する。液体吐出装置1は、紙などの媒体Pを所定方向に搬送しながら、例えば記録などのためにインクなどの液体を媒体Pに吐出するものであり、筐体6を備えている。筐体6は一般に幅方向を長手方向とする略直方体の形状を有するので、筐体6の辺に対応して相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸を定める。媒体Pが液体吐出装置1の前面側から搬送されて筐体6の内部に給送されるとして、X軸は液体吐出装置1の幅方向の軸であり、Y軸は液体吐出装置1自体の奥行方向の軸であり、Z軸は液体吐出装置1の通常の設置状態における高さ方向の軸である。液体吐出装置1の前面側での媒体Pの搬送方向は-Y方向である。
【0011】
筐体6の内部には、キャリッジ7が、記録を行うときに媒体Pが搬送される領域である搬送領域の上方を、主走査方向となる±X方向へ図示矢印Qで示されるように往復移動可能に設けられている。キャリッジ7の下部には、搬送領域を-Y方向に向けて搬送される媒体Pに向けて液体を吐出する液体吐出ヘッド2が搭載されている。さらに筐体6の内部には、液体吐出ヘッド2に供給するために液体を収容するタンク21が設けられている。可撓性を有する液体供給チューブ(不図示)がタンク21から引き出されており、液体供給チューブの下流側の端部は、キャリッジ7の上部に設けられたチューブ接続部(不図示)に接続されている。キャリッジ7の内部には、このチューブ接続部から液体吐出ヘッド2に液体を供給するための液体供給経路(不図示)が設けられている。
【0012】
筐体6の外側面には開口部8が形成されており、開口部8による凹部に対し廃液収容体5が嵌合して着脱可能に装着されている。廃液収容体5の装着のために開口部8によって形成される凹部を装着部3(
図3参照)と呼ぶ。媒体Pに対して吐出されなかった液体が液体吐出ヘッド2から廃液として発生することに対応して、廃液収容体5は、液体吐出ヘッド2で発生した廃液を収容するために設けられている。なお、廃液収容体5が着脱可能である構成は、液体吐出装置1に設けられたタンク21に対してボトルなどの補充容器から液体を補充可能である液体連続供給システムを搭載した液体吐出装置1において特に有効である。なぜなら、このような液体吐出装置1では従来よりも液体の使用量が多くなる傾向にあり、これに伴い廃液の排出量も多くなるが、廃液収容体5を着脱可能な構成とすることで、廃液収容体5の交換によって多くの廃液の排出が可能となるためである。以下、液体吐出ヘッド2で発生した廃液を回収するために液体吐出装置1に設けられるメンテナンスユニット9と廃液収容体5とについて説明する。
【0013】
図2はメンテナンスユニット9を示している。メンテナンスユニット9は、液体吐出ヘッド2から排出される廃液を受容するキャップ11を有する。キャップ11は、例えばキャリッジ7の主走査方向での往復移動の範囲の端部の位置に対応して設けられ、キャリッジ7に搭載された液体吐出ヘッド2における液体を吐出する面を覆うことができるように構成されている。キャップ11内から廃液を引き出す廃液チューブ10がポンプ12に接続されている。ポンプ12の作動に伴い、液体吐出ヘッド2からキャップ11に廃液が吸い出され、この廃液はキャップ11から廃液チューブ10内に吸引される。ポンプ12としては、例えばチューブポンプが使用される。メンテナンスユニット9において、廃液チューブ10の下流側の端部は、廃液収容体5との接続部となる排出部4に接続している。排出部4は、装着部3に廃液収容体5が装着された状態で廃液収容体5の廃液導入口13と向かい合うように、液体吐出装置1に設けられている。その結果、ポンプ12の作動に伴ってキャップ11から廃液チューブ10に吸引された廃液は、排出部4から廃液収容体5に送り出される。
【0014】
図3は、従来の廃液収容体5を示す図であり、廃液収容体5が液体吐出装置1の装着部3から取り外された状態を示している。
図3(a)は廃液収容体5を斜め上方から見た斜視図であり、
図3(b)は廃液収容体5を斜め下方から見た斜視図である。図示したものでは、液体吐出装置1の筐体6の隣接する2つの外側面が接続する位置に開口部8が形成され、この開口部8による装着部3に廃液収容体5が嵌合して装着されるようになっている。廃液収容体5も、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な辺を有する略直方体の形状を有するが、X軸方向の長さaよりもY軸方向の長さbの方が長くなっている。開口部8は筐体6の底面にまたがっては形成されておらず、装着部3では、重力に抗して廃液収容体5を保持する底壁31が、筐体6の底面を形成する部材によって形成されている。したがって、装着部3に対しては、図示+X方向に廃液収容体5を動かしても、あるいは図示+Y方向に廃液収容体5を動かしても、廃液収容体5を装着することができる。廃液収容体5の内部には、廃液を収容する廃液収容室(不図示)が設けられている。廃液収容体5の上面(+Z方向を向いた面)のほぼ中央には、廃液収容室に連通する廃液導入室20の入口である廃液導入口13が開口として設けられている。上述するように液体吐出装置1においては装着部3の内部に排出部4が設けられ、装着部3に廃液収容体5を装着した状態で排出部4は廃液収容体5の廃液導入口13の+Z方向の直上に位置する。そして液体吐出ヘッド2から排出された廃液は、メンテナンスユニット9を介して排出部4から重力方向下方(すなわち-Z方向)に排出され、廃液導入口13及び廃液導入室20を経て、廃液収容体5の廃液収容室内に供給される。
【0015】
図3に示した廃液収容体5が装着される液体吐出装置1では、液体吐出装置1の外側面において凹部として形成されている装着部3の内部の比較的に開口部8に近い位置に排出部4が設けられている。排出部4は廃液を廃液収容体5に供給するためのものであり、表面には廃液が付着している。開口部8に比較的近い位置に排出部4が設けられていると、廃液収容体5を交換する作業を行うときにユーザーが排出部4に触れやすく、その結果、ユーザーの指などが廃液で汚されてしまうことがある。本発明に基づく液体吐出装置及び廃液収容体は、装着部3における排出部4の位置をユーザーが容易には触れることがない位置とすることによって、廃液収容体5の交換時などにユーザーが廃液に接触しないようにするものである。
【0016】
[第1の実施形態]
図4は、本発明の第1の実施形態の液体吐出装置1及び廃液収容体5を示している。なお、液体吐出装置1の構成は、装着部3とその周辺を除けば、
図1乃至
図3に示すものと同様のものである。本実施形態においても装着部3を形成するための開口部8は、液体吐出装置1の筐体6の隣接する2つの外側面、すなわち-X方向を向いた外側面と-Y方向に向いた外側面とが接続する位置に設けられている。しかしながら本実施形態では、装着部3を構成する凹部を-Y方向に部分的に覆うように、筐体6の-Y方向を向いた外側面すなわち一方の外側面は、-X方向に延びて形成されている。この-Y方向を向いた外側面のうち、装着部3を構成する凹部を覆っている部分を方向規制部材32と呼ぶ。図示した例では、方向規制部材32は凹部を半分程度覆っている。
図3に示すものと同様に、装着部3には底壁31も形成されている。筐体6を構成する外側面の一部を方向規制部材32とすることにより、装着部3を構成するために必要な追加の部材の数を減らしつつ、装着時に廃液収容体5が+X方向のみに動くことができる構造を形成することができる。
【0017】
この実施形態においても廃液収容体5は、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な辺を有する略直方体の形状を有する。しかしながら本実施形態では、液体吐出装置1の側において、装着部3が底壁31と方向規制部材32と方向規制部材32に対向する側面33によって形状が規定された構造となっている。そのため本実施形態では、装着部3に廃液収容体5を嵌合させて装着するためには、廃液収容体5を+X方向に沿って装着部3に挿入する必要がある。装着時に廃液収容体5が動かされる方向を第1の方向とすれば、この例では+X方向が第1の方向ということになり、廃液収容体5の装着部3への装着の方向を第1の方向とする構造すなわち規制構造が形成されていることになる。このような方向で装着を容易にするために、廃液収容体5は、Y軸方向の長さbよりもX軸方向の長さaの方が長くなっている。そして廃液収容体5が筐体6から不自然に飛び出したり、筐体6の表面に不自然な凹みができたりしないように、廃液収容体5の外表面は、装着部3に完全に装着された状態で筐体6の外表面と連続するように構成されている。その結果、第1の方向に直交するが重力方向ではない方向を第2の方向とすれば、廃液収容体5の長さa,bは、それぞれ、装着部3に嵌合して装着されている廃液収容体5が装着部3において占める領域の第1の方向及び第2の方向に沿う長さである。またこれらの長さa,bは、それぞれ、装着部3に装着された状態で廃液収容体5において装着部3の内部に位置する部分の第1の方向及び第2の方向に沿う長さでもある。
【0018】
廃液収容体5の上面には、上述したように、廃液収容体5を装着部3に装着したときに液体吐出装置1の排出部4と向かい合い、排出部4から例えば重力方向下方に排出された廃液を受け入れる廃液導入口13が開口している。すなわち廃液導入口13が形成されている廃液収容体5の上面は、略直方体である廃液収容体5の表面のうち、第1の方向にも第2の方向にも直交する方向を向いた表面である。また排出部4が向く重力方向下方は、第1の方向にも第2の方向にも直交する方向である。排出部4からの廃液の排出方向を重力方向下方とすることにより、装着部3の内壁などを伝わって廃液が垂れる可能性を最小限にすることができる。また、第1の方向が重力方向とは直交していることから、本実施形態の構成は、机の上などに載置された液体吐出装置1に対して水平方向から廃液収容体5の交換を行うことに適した構成である。
【0019】
本実施形態では、廃液収容体5の上面での廃液導入口13の位置は、装着された状態で廃液収容体5において装着部3の内部に位置する部分の+X方向に沿う長さaを2等分する位置よりも、+X方向に沿って装着部3への装着方向の先端側の位置となっている。したがって排出部4の位置は、装着部3において、嵌合して装着されている廃液収容体5が占める領域の+X方向に沿う長さaを2等分する位置よりも+X方向に沿って筐体6の内部の側の位置ということになる。このような位置に排出部4を形成することによって、本実施形態の液体吐出装置1では、廃液収容体5の交換時などにユーザーが排出部4に触れることが抑制される。
【0020】
以上の説明では、液体吐出装置1に廃液収容体5を装着するときの装着方向が+X方向にとなるように規制されているが、装着方向はこれに限定されるものではない。例えば、+Y方向にのみ廃液収容体5が動かされるような構成とすることもできる。その場合は、第1の方向が+Y方向、第2の方向が+X方向となる。そして排出部4は、装着されている廃液収容体が装着部3において占める領域の+Y方向に沿う長さを2等分する位置よりも前記+Y方向に沿って筐体6の内部の側となる位置に設けられる。
【0021】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の液体吐出装置1及び廃液収容体5について、
図5を用いて説明する。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、X軸、Y軸及びZ軸が定められ、第1の方向及び第2の方向が定められており、液体吐出装置1及び廃液収容体5の形状も第1の実施形態と同様である。ただし第2の実施形態では、廃液収容体5のY軸方向の長さbが第1の実施形態のものよりも長くなっており、必ずしもa>bである必要はない。また第2の実施形態では、廃液収容体5の上面における廃液導入口13の位置は、装着時に筐体6の内部により近い位置となっている。以下、第2の実施形態における廃液導入口13の位置とこれに対応した排出部4の位置について説明する。
【0022】
第1の実施形態と同様に、装着された状態で廃液収容体5において装着部3の内部に位置する部分に関し、その部分の+X方向に沿う長さaを2等分する位置よりも+X方向に沿って筐体6の内部となる側の位置に廃液導入口13が設けられている。さらに廃液導入口13の位置は、装着状態の廃液収容体5において装着部3の内部に位置する部分に関し、その部分の+Y方向に沿う長さbを2等分する位置よりも+Y方向に沿って筐体6の内部となる側の位置でもある。これに対応して排出部4は、装着部3において、装着状態の廃液収容体5が占める領域の+X方向に沿う長さaを2等分する位置よりも+X方向に沿って筐体6の内部の側となる位置に設けられている。さらに排出部4の位置は、装着状態の廃液収容体5が占める領域の+Y方向に沿う長さbを2等分する位置よりも+Y方向に沿って筐体6の内部の側となる位置でもある。本実施形態では、このように排出部4と廃液導入口13の位置を設定することにより、廃液収容体5の大容量化を図ってX軸方向の長さbが長くなった場合であっても、廃液収容体5の交換時などに利用者が排出部4に触れる可能性を低減することができる。
【0023】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態の液体吐出装置1及び廃液収容体5について、
図6を用いて説明する。第3の実施形態においても、上述の実施形態と同様に、X軸、Y軸及びZ軸が定められ、第1の方向及び第2の方向が定められている。ただし上述の実施形態では装着部3への装着する際の廃液収容体5の動きの方向が+X方向となるように規制されていたが、この実施形態では、廃液収容体5の動きの方向が+Z方向となるように規制されており、+Z方向が第1の方向となる。廃液収容体5が嵌合して着脱可能に装着される装着部3が筐体6の隣接する2つの外側面が接続する位置に形成されることは上述の実施形態と同様であるが、この実施形態では、装着部3の端部となる開口部8が-Z方向に開口している。より詳しくは、筐体6の隣接する外側面が接続する位置において筐体6の底面から+Z方向に延びてえぐられるような凹状溝35が設けられており、凹状溝35の上端の位置が開口部8となっている。開口部8の位置から+Z方向の上方では、筐体6の隣接する2つの外側面がえぐられることなく接続し、隣接する2つの外側面で囲まれた領域が装着部3のための凹部となっている。装着部3のための凹部は、その開口部8が重力方向に下向きとなるように設けられており、排出部4は、凹部の上端に設けられている。
【0024】
本実施形態において廃液収容体5は、Z軸方向に細長い略直方体すなわち四角柱状となっており、その+Z方向の先端側は、装着部3に嵌合して着脱可能に装着されるために、その他の部分よりも細く形成されている。この細く形成された部分のZ軸方向の長さをcとする。長さcは、装着部3に装着された状態で廃液収容体5において装着部3の内部に位置する部分の+Z方向に沿う長さであり、かつ、液体吐出装置1において装着部3に嵌合して装着されている廃液収容体5が占める領域の+Z方向に沿う長さでもある。廃液収容体5において、廃液導入口13は、その+Z方向の先端の+Z方向を向いた面に形成されている。この場合、廃液収容体5の廃液導入口13の位置は、装着状態において装着部3の内部に位置する部分の+Z方向に沿う長さcを2等分する位置よりも、+Z方向に沿って筐体6の内部となる側の位置である、という条件を満たす。また、液体吐出装置1における排出部4の位置も、装着部3において、装着部3に装着されている廃液収容体5が占める領域の+Z方向に沿う長さcを2等分する位置よりも+Z方向に沿って筐体6の内部の側の位置である、という条件を満たす。本実施形態によれば、装着部3に対して廃液収容体5を装着するときの装着方向の最奥部に排出部4が設けられているので、廃液収容体5の交換時などに利用者が排出部4に触れる可能性を低減することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 液体吐出装置
2 液体吐出ヘッド
3 装着部
4 排出部
5 廃液収容体
6 筐体
8 開口部
9 メンテナンスユニット
13 廃液導入口