(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】冷却用ジャケット装置及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240109BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02K9/19 Z
H02K5/20
(21)【出願番号】P 2020005156
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2019098405
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】間中 雄也
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-268667(JP,A)
【文献】特開昭61-273145(JP,A)
【文献】特開昭63-241956(JP,A)
【文献】特開2001-237582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機の発熱部の周囲に配置されて前記発熱部を冷却するための冷却用ジャケット装置であって、
外面に開口形成された一対の入出口に連通し、内部に冷媒を流通させる流路が形成された略平盤状のジャケット本体と、
前記回転電機の発熱部の外周形状に合わせ、複数の前記ジャケット本体を連結して保持するための連結部材と、
前記入出口に接続し、前記ジャケット本体の前記入出口から排出された前記冷媒を他の前記ジャケット本体の前記入出口から前記流路に送り、前記複数のジャケット本体の流路に前記冷媒を流通させるための管状
の部材
であるホースと、を備え、
前記ジャケット本体は、
略平盤状に形成され、一面から他面側に凹む溝を備えた本体盤部と、
略平盤状に形成され、前記本体盤部の一面に重ねて着脱可能に一体に取り付けられ、前記本体盤部の一面に開口する溝を閉塞して前記本体盤部とともに前記流路を形成する閉塞盤部と、を備えて分割可能に形成され、
前記本体盤部は、その対向する端部それぞれの内側に前記閉塞盤部の厚みに相応する深さの凹所が段差をもって形成され、前記凹所に前記閉塞盤部を合わせて、前記本体盤部と前記閉塞盤部とを接合したときに、前記閉塞盤部が前記凹所に収容される
寸法関係になされ、
前記端部の前記凹所とは反対側の外面に前記ホースを接続する柱状のホースジョイントが突設され、
前記ホースジョイントは、その外径が前記本体盤部の厚み寸法から前記凹所の厚み寸法を差し引いた寸法を超え、該ホースジョイントの外周部位が前記端部の外面における前記凹所の底部位置に対応する位置を超えて張り出していることを特徴とする、
冷却用ジャケット装置。
【請求項2】
前記本体盤部の前記溝により形成される前記流路は、順転流路部分と反転流路部分とが前記本体盤部の中心付近で一連なりとなった反転角型渦巻状に形成され、
前記順転流路部分は、冷媒供給口となる前記入出口から前記本体盤部の中心に向かって時計回り(反時計回り)で角型渦巻状に巻き込む形態を成し、
前記反転流路部分は、前記順転流路部分としての流路の流通終端部である前記本体盤部の中心付近から発して、折り返されて反時計回り(時計回り)に反転した角型渦巻状に巻き出て冷媒排出口となる前記入出口に至る形態を成している、請求項1記載の冷却用ジャケット装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冷却用ジャケット装置を備えた、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却用ジャケット装置及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「流入口と吐出口とを有する第1流路が内部に形成された円筒部を持つハウジングと、前記ハウジングの内周面に固定され、インシュレータにより固定子コアとの間を隔絶されたコイルを収納する複数のスロットを有する固定子と、前記固定子の内周面に間隙を設けて配置された回転子と、内部に前記第1流路と接続した第2流路が形成され、前記固定子の両端において、前記固定子コアの端面に接触して配置される冷却カバーと、を備えることを特徴とする回転電機。」が開示されている。
【0003】
特許文献1の冷却用ジャケット装置においては、金属パイプを用いて流路を形成し、この金属パイプを複数箇所で屈曲させて回転電機の周方向に巻き回すように延設するとともに金属パイプをプレートで包み込んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の冷却用ジャケット装置100においては、例えば、
図7に示すように、冷却ジャケット(ジャケット本体)の流路全体が金属パイプ101を用いて形成されているため、冷却ジャケット(ジャケット本体)部分がモータなどの回転電機の外形に沿った形状となり、モータに装着しづらいという都合があった。
【0006】
また、金属パイプ101をプレート102で包み込む構造であるため、金属パイプ101とプレート102の間に隙間が生じ、これに起因して冷却効率(熱交換効率)が下がるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の冷却用ジャケット装置の一態様は、回転電機の発熱部の周囲に配置されて前記発熱部を冷却するための冷却用ジャケット装置であって、外面に開口形成された一対の入出口に連通し、内部に冷媒を流通させる流路が形成された略平盤状のジャケット本体と、前記回転電機の発熱部の外周形状に合わせ、複数の前記ジャケット本体を連結して保持するための連結部材と、前記入出口に接続し、前記ジャケット本体の前記入出口から排出された前記冷媒を他の前記ジャケット本体の前記入出口から前記流路に送り、前記複数のジャケット本体の流路に前記冷媒を流通させるための管状部材と、を備えて構成した。
【0008】
本開示の回転電機の一態様は、上記の冷却用ジャケット装置の一態様を備えて構成した。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様の冷却用ジャケット装置及びこれを備えた回転電機によれば、冷却用ジャケット装置のジャケット本体の連結部分に金属パイプがないため、モータなどの回転電機への装着を容易に行える。
【0010】
また、従来の金属パイプを用いた場合のように隙間が生じることがないため、冷却効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0011】
さらに、金属パイプを使用する必要がなくなり、プレートにパイプを挿入したり、金属パイプを屈曲加工するなどの煩雑な作業を不要にできる。これにより、冷却用ジャケット装置の製作、製造を容易に行うことができ、また、部品点数を少なくすることができ、経済性の向上を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一態様の冷却用ジャケット装置を示す斜視図である。
【
図2A】本開示の一態様の冷却用ジャケット装置のジャケット本体(本体盤部の流路形成面側)を示す斜視図である。
【
図2B】本開示の一態様の冷却用ジャケット装置のジャケット本体(本体盤部の外面側)を示す斜視図である。
【
図3】本開示の一態様の冷却用ジャケット装置のジャケット本体(閉塞盤部)示す斜視図である。
【
図4】本開示の他の態様の冷却用ジャケット装置のジャケット本体を示す分解斜視図である。
【
図5A】比較参考例のジャケット本体の作用効果を説明する図である。
【
図5B】
図4のジャケット本体の作用効果を説明する図である。
【
図6A】
図2のジャケット本体の流路の形態を示す図である。
【
図6B】
図4のジャケット本体の流路の形態を示す図である。
【
図7】従来の冷却用ジャケット装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1から
図3を参照し、一実施形態に係る冷却用ジャケット装置及び回転電機について説明する。なお、本実施形態では、回転電機がモータであるものとして説明を行うが、発電機など、他の回転電機であっても勿論構わない。
【0014】
本実施形態の冷却用ジャケット装置1は、例えば、
図1、
図2A、
図2B、
図3に示すように、高熱伝導率の金属製で略平盤状に形成されるとともに、その内部に冷却水などの冷媒を流通させる流路2を有する複数のジャケット本体(冷却ジャケット)3を備えて構成されている。また、各ジャケット本体3は、端部に、流路2に冷媒を供給する冷媒供給口(入出口4)と、流路を流通した冷媒を排出する冷媒排出口(入出口4)とを備えている。
【0015】
図2Aに示すとおり、流路2は、冷媒とジャケット本体3との接触面積を極力大きく確保し、熱交換効率を高めるために、回転電機の発熱部の外周面と接触するジャケット本体3の一面に沿って延び、且つ一方向に延びつつ間隔を極力小さくして平行に配列された複数の直線部2aと、複数配列された複数の直線部2aの隣り合う直線部2aの一端部同士、他端部同士を交互に連結して複数の直線部2aを一連の流路2として連通させる複数の連結部2bとを備え、つづら折り状に形成されている。これにより、流路2の表面積を大きく確保することができる。
【0016】
また、流路2の一端がジャケット本体3の外面に開口して冷媒供給口(4)が形成され、冷却流路2の他端がジャケット本体3の外面に開口して冷媒排出口(4)が形成されている(
図2A、
図2B)。
【0017】
ここで、本実施形態の冷却用ジャケット装置1のジャケット本体3は、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属製であり、略平盤状に形成され、一面から他面側に厚み方向に凹み、流路2(複数の直線部2a及び複数の連結部2b)となる溝を備えるとともに、溝に連通して外面に開口する冷媒供給口(4)及び冷媒排出口(4)を備えた本体盤部3a(
図2A、
図2B)と、略平盤状に形成され、本体盤部3aの一面に重ねて着脱可能に一体に取り付けられ、本体盤部3aの一面に開口する溝を閉塞/密閉し、流路2を形成する閉塞盤部3b(
図3)とを備え、分割形成されている。なお、ジャケット本体3は、必ずしも分割形成されていなくてもよいし、3つ以上に分割可能に形成されていてもよい。また、本体盤部3aと閉塞盤部3bの接続部は、メタルガスケットなどを用い、流路2を確実に閉塞/密閉できるようにすればよい。
【0018】
また、本実施形態の冷却用ジャケット装置1は、複数のジャケット本体3を連結部材5で連結し、一つのジャケット本体3の冷媒供給口(4)に冷媒供給手段の管状部材のホース6を接続し、他の一つのジャケット本体3の冷媒排出口(4)に冷却排出手段のホース6を接続し、残った隣り合うジャケット本体3の冷媒供給口(4)と冷媒排出口(4)をホース6で接続して構成されている。なお、各冷媒供給口(4)、各冷媒排出口(4)には、ホース6を接続するための結合部材のホースジョイント7が着脱可能に取り付けられている。
【0019】
上記構成からなる本実施形態の冷却用ジャケット装置1及びこれを備えた回転電機においては、分割した連結部材5にそれぞれ取り付けられた複数のジャケット本体3の一面の接触面がモータなどの回転電機の発熱部の外周面に接触するように配置するとともに、分割した連結部材5を連結して固設する。
【0020】
また、一つのジャケット本体3の冷媒供給口(4)に冷媒供給手段のホース6を接続し、他の一つジャケット本体3の冷却排出口(4)に冷却排出手段のホース6を接続し、残った隣り合うジャケット本体3の冷媒供給口(4)と冷媒排出口(4)をホース6で接続する。
【0021】
冷媒供給口(4)に接続したホース6を通じて冷却水などの冷媒を給送すると、冷却用ジャケット装置1のジャケット本体3の流路2に冷媒が流れ、冷媒排出口(4)から排出された冷媒がホース6を通じて次のジャケット本体3の冷媒供給口(4)に送られ、このジャケット本体3の流路2を流通する。順次複数のジャケット本体3の流路2を流通して最後のジャケット本体3の冷媒排出口(4)から排出された冷媒がホース6を通じて熱交換器に送られ、熱交換によって冷却されるとともに、再びホース6を通じてジャケット本体3の冷媒供給口(4)に送られ、冷媒が循環し、回転電機が冷却される。
なお、ホース6としては、例えば、フッ素樹脂製で柔軟性に優れたホース6を用いることが好ましい。このような柔軟性に優れたホース6を用いれば、ホース6の取付時や回転電機への取付時の取扱性をよくすることができる。
【0022】
そして、本実施形態の冷却用ジャケット装置1及び回転電機においては、従来と比較し、連結部分に金属パイプがなく、ジャケット本体3が略平盤状に形成されているため、モータなどの回転電機への装着を容易に行うことが可能になる。
【0023】
また、従来のような隙間が生じないため、冷却効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0024】
さらに、金属パイプを使用しないことで、従来のプレートにパイプを挿入したり、金属パイプを屈曲加工するなどの煩雑な作業を不要にできる。これにより、製作、製造を容易に行うことが可能になる。
【0025】
したがって、本実施形態の冷却用ジャケット装置1及び回転電機によれば、優れた冷却性能を有し、且つ容易に製造でき、低コスト化を図ることが可能な冷却用ジャケット装置1及びこれを備えた回転電機を実現することが可能になる。
【0026】
次に、
図4を参照して本開示の他の実施形態としての冷却用ジャケット装置について説明する。
図4の分解斜視図における冷却用ジャケット装置のジャケット本体30は、略平盤状の本体盤部30aに略平盤状の閉塞盤部30bが分解可能に接合されて構成される。本体盤部30aの一面側に流路20を構成する溝が厚み方向に一定の深さで形成されている。本体盤部30aと閉塞盤部30bとは平面投影形状が一致する。本体盤部30aに対し閉塞盤部30bを外周縁が丁度重なり合うように接合して、本体盤部30aの溝を封止することにより、本体盤部30aの内部に流路20を形成する。
【0027】
本体盤部30aと閉塞盤部30bとの接合面における外周縁近傍位置に、角型の環状シール25が挟着される。環状シール25には、HNBR(水素化ニトリルゴム)などの、耐熱性、耐油性、機械的強度、耐圧縮永久歪性に優れた材質のものが適用される。
【0028】
なお、ジャケット本体30が、連結部材によって連結されて冷却用ジャケット装置が構成され、回転電機に適用される形態は、
図1の開示における冷却用ジャケット装置1と略同様であるため、
図1に係る説明を援用する。
【0029】
図4のジャケット本体30では、本体盤部30aの流路20を形成する溝(以下、適宜、溝も流路と称する)の形状が
図2Aのジャケット本体3のものとは異なる。即ち、
図2Aのジャケット本体3の本体盤部3aの流路2は、既述のように、つづら折り状に形成されていた。これに対し、
図4のジャケット本体30の本体盤部30aの流路20は、図示のような反転角型渦巻状に形成されている。即ち、流路20は、順転流路部分21と反転流路部分22とが本体盤部30aの中心付近で一連なりになっている。順転流路部分21は、冷媒供給口(4)から本体盤部30aの中心に向かって時計回り(反時計回り)で角型渦巻状に巻き込む形態を成している。反転流路部分22は、順転流路部分21としての流路の流通終端部である本体盤部30aの中心付近から発して、折り返されて反時計回り(時計回り)に反転した角型渦巻状に巻き出て冷媒排出口(4)に至る形態を成している。上述のような反転角型渦巻状の流路20は、冷媒供給口近傍から冷媒排出口近傍に至るまで幅が均一となるように形成されている。
【0030】
次に、
図4のジャケット本体30の作用効果について、図面を参照して説明する。
図5Aは比較参考例のジャケット本体の作用効果を説明する図であり、
図5Bは
図4のジャケット本体の作用効果を説明する図である。
【0031】
図5Aの比較参考例では、全体が略平盤状の本体盤部300aの一方の主面側に略平盤状の閉塞盤部300bを両者の外周縁が重なるように接合してジャケット本体300が構成される。このため、本体盤部300aの厚み寸法d1に閉塞盤部300bの厚み寸法d2が上乗せされたものがジャケット本体300の厚み寸法d3となる。ジャケット本体300の厚み寸法d3は可能な限り小さくして薄型となることが要請される。このため、ホース6aを接続するためのホースジョイント7aを螺着する本体盤部300aの厚み寸法d1は制約されたものとなる。従って、ホースジョイント7a、ひいてはホース6aは比較的小径のものを適用せざるを得ない。
【0032】
これに対し、
図4のジャケット本体30の場合では、
図5Bの如く、端部32での厚み寸法d3の本体盤部30aに、閉塞盤部30bの厚み寸法d2に相応する深さの凹所31が段差をもって形成されている。本体盤部30aに厚み方向に深さd2で形成された凹所31の底部における厚み寸法がd1である。このため、本体盤部30aと閉塞盤部30bとを接合したときに、閉塞盤部30bが凹所31に収容されてその厚み寸法d2がジャケット本体30の厚み寸法d3を増大させることがない。一方、本体盤部30aの端部32については、本体盤部30aの厚み寸法d3がそのままジャケット本体30の厚み寸法d3である。換言すれば、本体盤部30aの端部32では、閉塞盤部30bの接合によるジャケット本体30の厚み寸法の増大がないため、薄型化が阻害されず、厚み寸法を制限する必要がない。従って、本体盤部30aの端部32における厚み寸法が十分に確保されるため、比較的大径のホースジョイント7bを接続でき、ひいてはホース6bとして比較的大径のものを適用できる。このため、冷媒の循環について圧力損失が低減され、冷却効率に優れた冷却用ジャケット装置が実現される。
【0033】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、ジャケット本体の流路の形態とその作用効果について説明する。
図6Aは、
図1、
図2A及び
図2Bを参照して説明したジャケット本体3の本体盤部3aに形成された流路の形態を示している。
図6Bは、
図4のジャケット本体30の本体盤部30aに形成された流路の形態を示している。
【0034】
図6Aにおける本体盤部3aの場合、6連の直線部2aと、これらのうち隣接する直線部2aの端部同士を接続する5箇所の連結部2bとによって一連の流路2が形成されている。5箇所の連結部2bは、冷媒の流れの向きが180度転換するヘアピン状折り返し部P1-P5を成している。このため、冷媒供給口からから冷媒排出口に至るまでの圧力損失が比較的大きい。
【0035】
図6Bの例では、本体盤部30aの流路20は、既述のように順転流路部分21と反転流路部分22とが本体盤部30aの中心付近で一連なりとなった反転角型渦巻状に形成されている。順転流路部分21は、
図6Bにおける左側の入出口4である冷媒供給口から本体盤部30aの中心Оに向かって時計回りで角型渦巻状に巻き込む形態を成している。反転流路部分22は、順転流路部分21としての流路の流通終端部である本体盤部30aの中心О付近から発して、折り返されて反時計回りに反転した角型渦巻状に巻き出て入出口4である冷媒排出口に至る形態を成している。
【0036】
即ち、順転流路部分21としての流通終端部は反転流路部分22の流通始端部であって、この部位が中心Оである。順転流路部分21は、冷媒供給口から90度以内の屈曲角度の複数の屈曲部を経て流通終端部(О)に至る直前の屈曲部で冷媒の流れの向きが180度転換するヘアピン状折り返し部P11を成している。また、反転流路部分22は、流通始端部(О)から直近の屈曲部で冷媒の流れの向きが180度転換するヘアピン状折り返し部P11を成し、これ以降、90度以内の屈曲角度の複数の屈曲部を経て冷媒排出口に至る。このように
図6Bの例では、冷媒供給口からから冷媒排出口に至るまでの流路における圧力損失に支配的に影響するヘアピン状折り返し部P11、P12が2か所のみである。このため冷媒供給口からから冷媒排出口に至るまでの圧力損失が
図6Aの場合に比して小さい。また、反転角型渦巻状の流路20は、ヘアピン状折り返し部P11、P12を含んで冷媒供給口近傍から冷媒排出口近傍に至るまで幅が均一となるように形成されている。このため、所謂一筆書き加工が可能であり、製造上、加工のタクトタイムが短縮されるという効果を奏する。
【0037】
更に、
図4の実施形態では、次のような作用効果を奏する。即ち、本体盤部30aと閉塞盤部30bとの接合面における外周縁近傍位置に挟着される環状シール25として、HNBR(水素化ニトリルゴム)などの、耐熱性、耐油性、機械的強度、耐圧縮永久歪性に優れた材質のものが適用される。これにより、環状シール25としてメタルガスケットを適用した場合に比し、閉塞盤部30bの変形に対する追随性が良好になる。このため、閉塞盤部30bとして剛性確保のために分厚いサイズのものを適用する必要がなくなる。また、本体盤部30aと閉塞盤部30bとの接合に用いるねじとして大きなサイズのものを適用したり、ねじの本数を増やしたりする必要がなくなる。従って、コストの低減がはかられる。
【0038】
以上、冷却用ジャケット装置及び回転電機の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0039】
例えば、
図1の実施形態では、回転電機の発熱部の外周面の4箇所にそれぞれ接触する4つのジャケット本体3を備えた冷却用ジャケット装置1を図示したが、ジャケット本体3の数や配置は、回転電機の形状(発熱部の外周面の形状(平面部の数))、冷却効率等に応じて決めればよい。例えば、回転電機の発熱部の外周面に7つの平面部がある場合には、各平面部に接触する7つのジャケット本体3を備えて冷却用ジャケット装置1を構成すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 冷却用ジャケット装置
2,20 流路
2a 直線部
2b 連結部
3,30 ジャケット本体(冷却ジャケット)
3a,30a 本体盤部
3b,30b 閉塞盤部
4 入出口(冷媒供給口、冷媒排出口)
5 連結部材
6,6a,6b ホース(管状部材)
7,7a,7b ホースジョイント
21 順転流路部分
22 反転流路部分
32 端部