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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】制御装置、集中管理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20240109BHJP
   B22D 17/32 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B29C45/76
B22D17/32 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020012306
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021115823
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 亮
(72)【発明者】
【氏名】堀内 淳史
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-356805(JP,A)
【文献】特開2012-079209(JP,A)
【文献】特開2012-243046(JP,A)
【文献】特開平05-293782(JP,A)
【文献】特開2006-209210(JP,A)
【文献】特開2005-346274(JP,A)
【文献】特開平05-042576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 - 45/84
B22D 15/00 - 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械を制御する制御装置であって、
オペレータを認証する認証部と、
前記オペレータによる操作の入力を受け付ける入力部と、
前記オペレータが認証されてから前記産業機械の自動運転を行うまでの作業情報を計測する計測部と、
前記作業情報を記憶する作業情報記憶部と、
操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブルを記憶する基準値テーブル記憶部と、
前記作業情報を所定の関数に入力して算出値を算出する算出部と、
前記基準値テーブル、及び前記オペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記作業情報は、前記オペレータによる現在の作業を含まない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記作業情報は、前記オペレータによる現在の作業を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記認証部は、暗証番号、RFIDカード、指紋により前記オペレータを認証する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記入力部は、キーボード、マウス、タッチパネルである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記作業情報は、作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数、操作間の経過時間のいずれか1つを含む、請求項から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記所定の関数は、算術平均値、加重平均値、最頻値、中央値、最小値のいずれかを求める、請求項から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記作業情報記憶部は、前記産業機械の機械状態に応じて前記操作間の経過時間を記憶しない、請求項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記基準値テーブル記憶部は、前記産業機械の種類毎に前記基準値テーブルを記憶する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
予め決められた所定の設定項目の属性を定義した属性テーブルを記憶する属性テーブル記憶部と、
前記属性毎の基準値が定義された属性基準値テーブルを記憶する属性基準値テーブル記憶部と、をさらに備え、
前記設定部は、前記属性基準値テーブルと前記属性テーブルとを参照して前記算出部により算出された算出値に応じて前記設定項目を設定する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記設定項目を表示する表示部をさらに備え、
前記表示部は、前記設定項目以外の表示形態と異なる表示形態で前記設定項目を表示する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
産業機械を制御し、オペレータを認証する認証部と、前記オペレータによる操作の入力を受け付ける入力部と、前記オペレータが認証されてから前記産業機械の自動運転を行うまでの作業情報を計測する計測部と、を含む複数の制御装置通信可能に接続された集中管理装置であって、
前記作業情報を記憶する作業情報記憶部と、
操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブルを記憶する基準値テーブル記憶部と、
前記作業情報を所定の関数に入力して算出値を算出する算出部と、
前記基準値テーブル、及び前記オペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータが認証された制御装置において前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定部と、
を備える集中管理装置。
【請求項13】
コンピュータにより実現される産業機械を制御する制御方法であって、
オペレータを認証する認証ステップと、
前記オペレータによる操作の入力を受け付ける入力ステップと、
前記オペレータが認証されてから前記産業機械の自動運転を行うまでの作業情報を計測する計測ステップと、
前記作業情報を記憶する作業情報記憶ステップと、
操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブルを記憶する基準値テーブル記憶ステップと、
前記作業情報を所定の関数に入力して算出値を算出する算出ステップと、
前記基準値テーブル、及び前記オペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定ステップと、
を備える制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、集中管理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械を制御する制御装置には、未熟なオペレータが産業機械の動作条件(例えば、加工条件や成形条件等)を変更して不都合が出ないように、産業機械の管理者により、オペレータ毎に設定項目を変更可能/不可能な状態に設定することができる機能が実装されているものがある。なお、産業機械には、射出成形機、工作機械、ロボット、鉱山機械、木工機械、農業機械、建設機械等がある。
この点、オペレータ毎に操作制限を設ける作業は、運用管理上必要だが煩雑であるため、暗証番号により操作制限を行う、IDカードにより操作制限を行う、タッチパネル上でアイコンをドラッグして変更可能な設定項目の振り分けを行う機能等の簡略化の方法が提案されている。例えば、特許文献1-3参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-42576号公報
【文献】特開2012-79209号公報
【文献】特開2014-19039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、設定の煩雑さを軽減する機能は既に提案されているが、設定に関する客観的な基準が無く、管理者がオペレータ毎に主観で判断して決めなければならない。このため、管理者の認識とオペレータの実際の習熟度との間に差があった場合は問題となる。例えば、産業機械として射出成形機を例示すると、管理者がオペレータの習熟度を過大に評価していた場合は未熟なオペレータが射出成形機の成形条件を変更して不都合を出す可能性があり、過少に評価していた場合は習熟しているオペレータに操作許可が与えられず生産性が低下する。
また従来、管理者がオペレータ毎に操作制限する範囲を設定した後、オペレータが経験を積んで習熟度と設定の間に差が生じた場合、十分作業に習熟しているオペレータに作業の許可が出ないことになり、非効率になるという問題がある。
【0005】
そこで、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の制御装置の一態様は、産業機械を制御する制御装置であって、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル、及びオペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定部を備える。
【0007】
(2)本開示の集中管理装置の一態様は、制御装置に通信可能に接続された集中管理装置であって、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル、及びオペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定部を備える。
【0008】
(3)本開示の制御方法の一態様は、コンピュータにより実現される産業機械を制御する制御方法であって、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル、及びオペレータの作業情報に基づいて、前記オペレータに対する前記設定項目を設定する設定ステップを備える。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る制御システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図2】射出成形機の一例を示す図である。
図3】作業情報の一例を示す図である。
図4】基準値テーブルの一例を示す図である。
図5】射出成形機に対する成形条件の設定画面の一例を示す図である。
図6】属性テーブルの一例を示す図である。
図7】属性基準値テーブルの一例を示す図である。
図8図5の設定画面の表示の一例を示す図である。
図9】オペレータが認証されてから射出成形機が自動運転を行うまでの作業進行の一例を示す図である。
図10】制御装置の設定処理について説明するフローチャートである。
図11】第2実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。
図12】制御装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図13】集中管理装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図14】集中管理装置の設定処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1実施形態について図面を用いて説明する。ここでは、産業機械として射出成形機を例示する。なお、本発明は、射出成形機に限定されず、例えば工作機械、ロボット、鉱山機械、木工機械、農業機械、建設機械等の産業機械にも適用可能である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る制御システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、制御システム1は、射出成形機10、及び制御装置20を有する。
【0012】
射出成形機10、及び制御装置20は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。なお、射出成形機10、及び制御装置20は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して相互に接続されていてもよい。この場合、射出成形機10、及び制御装置20は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えてもよい。
なお、制御装置20は、射出成形機10に含まれてもよい。
【0013】
射出成形機10は、当業者にとって公知の射出成形機であり、制御装置20の動作指令に基づいて動作する。
図2は、射出成形機10の一例を示す図である。
射出成形機10は、樹脂を溶融して金型13に注入する射出部11と、金型13を開閉する型締部14を備えている。製品の生産を行う場合には、射出成形機10は、制御装置20の動作指令に基づいて、射出部11に樹脂を投入し、シリンダ12内で加熱し、溶融した樹脂を型締部14に取り付けた金型13に注入し、金型13を開いて冷却固化した成形品を取出すといったサイクルを繰り返す。
【0014】
<制御装置20>
制御装置20は、当業者にとって公知の数値制御装置であり、後述するパネル部210を介して受け付けたオペレータからの処理要求、又はCAD/CAM装置等の外部装置(図示しない)から取得した加工プログラムに基づいて動作指令を生成し、生成した動作指令を射出成形機10に送信する。これにより、制御装置20は、射出成形機10の動作を制御する。なお、産業機械がロボット等の場合、制御装置20は、ロボット制御装置等でもよい。
【0015】
図1に示すように、制御装置20は、パネル部210、制御部220、及び記憶部230を有する。また、パネル部210は、認証部211、入力部212、及び表示部213を有する。また、制御部220は、計測部221、算出部222、及び設定部223を有する。さらに、記憶部230は、作業情報記憶部231、基準値テーブル記憶部232、属性テーブル記憶部233、及び属性基準値テーブル記憶部234を有する。
【0016】
<記憶部230>
記憶部230は、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等である。
【0017】
作業情報記憶部231は、例えば、後述する計測部221により計測されたオペレータ毎の作業情報を作業情報300(1)-300(N)に記憶する(Nは2以上の整数)。
図3は、作業情報300(1)-300(N)の一例を示す図である。
図3に示すように、作業情報300(1)-300(N)は、オペレータ毎の作業情報に含まれる、作業を開始した作業時刻、作業時刻に後述する認証部211により認証されてから自動運転開始までの作業にかかった作業時間、及び前記作業時間の間にオペレータが射出成形機10及び制御装置20の操作を行った操作回数等を格納する。そして、射出成形機10の操作に習熟しているオペレータほど、自動運転開始までの作業にかかる作業時間、及び操作回数が少なくなることから、作業情報300(1)-300(N)を参照することにより、オペレータ毎の射出成形機10に対する操作の習熟度を判定することができる。
【0018】
なお、作業情報300(1)-300(N)は、オペレータの操作に伴い後述する表示部213に表示される画面が切り替わった画面の切替回数、オペレータの操作に伴い発生したアラームの発生回数、オペレータの操作における操作間の経過時間の格納領域を有してもよい。
ここで、オペレータの操作には、射出成形機10を実際に動作させる操作盤(図示しない)上のボタンを押すことと、後述する表示部213に表示される操作画面に入力することの2つに大別できる。具体的には、操作盤(図示しない)には、可動プラテンの前進・後退や、型締部全体の前進・後退等の型動作部動作のボタン、射出部全体の前進・後退やスクリュ前進・後退・回転等の射出部動作のボタン、手動モードや自動モード等の操作モードのボタンが配置される。さらに、操作盤(図示しない)には、樹脂乾燥機、温度調節器、成形品を取り出すための3軸ロボットである取出し機、多関節ロボット等の操作ボタン等が配置されてもよい。
また、操作画面には、型締力や型開き速度等を設定する型動作部設定項目、スクリュ速度や保圧圧力等を設定する射出部設定項目、波形データ表示の表示項目を有する。
また、立ち上げ作業に関するアラームには、樹脂が供給されていないことを検知した場合の樹脂切れアラーム、型締部が動作している状態で型締部のゲートが開けられた場合の半自動運転中のフロントゲート開アラーム、金型内に成形品がある状態で開閉が行われた場合の金型保護アラーム等がある。
また、生産の立ち上げには、射出成形機10は、樹脂を溶融させるため、シリンダ12を樹脂の溶融温度まで昇温する必要がある。しかしながら、昇温していない時にシリンダ12内のスクリュ(図示しない)が動いてしまうと、溶融していない樹脂によってシリンダ12、スクリュ(図示しない)が破損する危険があるので、射出成形機10の機械側で入力がロックされる。換言すれば、入力ロックする回数が多いオペレータは、射出成形機10の操作に習熟していないとみなすことができる。このため、作業情報300(1)-300(N)は、入力ロックされた回数の格納領域を有してもよい。
【0019】
また、作業情報300(1)-300(N)は、作業時間、操作回数等において後述する算出部222により算出される算術平均値等の算出値の格納領域を有してもよい。
また、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数は、操作回数の内数である。また、操作間の経過時間の合計は、作業時間である。操作間の経過時間は、後述する計測部221により計測されるが、詳細な説明は後述する。
以下、作業情報300(1)-300(N)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「作業情報300」ともいう。
【0020】
基準値テーブル記憶部232は、例えば、機械仕様毎や機械の種類(機械諸元)毎に操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル310(1)-310(M)を記憶する(Mは2以上の整数)。例えば、基準値テーブル310(1)は、100トン仕様の射出成形機10の基準値テーブルであり、基準値テーブル310(2)は、50トン仕様の射出成形機10の基準値テーブル等であってもよい。
【0021】
図4は、基準値テーブル310(1)-310(M)の一例を示す図である。
図4に示すように、基準値テーブル310(1)は、100トン仕様の射出成形機10において、後述する算出部222により算出された算術平均作業時間、又は算術平均操作回数に応じて、設定される設定項目を設定する。
図5は、射出成形機10に対する成形条件の設定画面50の一例を示す図である。図5に示す設定画面50は、成形条件のうち射出条件を設定する射出速度の設定項目a00、a01、及び計量圧力の設定項目a10、a11と、成形条件のうち型動作条件を設定する型閉速度の設定項目b00、b01、及び型開速度の設定項目b10、b11とを有する。ここで、設定項目a00は射出速度1段目であり、設定項目a01は射出速度2段目である。また、設定項目a10は計量圧力1段目であり、設定項目a11は計量圧力2段目である。また、設定項目b00は型閉速度1段目であり、設定項目b01は型閉速度2段目である。また、設定項目b10は型開速度1段目であり、設定項目b11は、型開速度2段目である。
【0022】
図4に示すように、基準値テーブル310(1)は、算術平均作業時間が20分以上、又は算術平均操作回数が60回以上の射出成形機10の操作に不慣れなオペレータに対して、成形品の成形に最低限必要とされる射出条件である射出速度の設定項目a00、a01を設定可能に定義してもよい。
また、基準値テーブル310(1)は、算術平均作業時間が10分以上20分未満、又は算術平均操作回数が30回以上60回未満の射出成形機10の操作にある程度習熟したオペレータに対して、射出速度の設定項目a00、a01とともに、計量圧力の設定項目a10、a11を設定可能に定義してもよい。さらに、基準値テーブル310(1)は、算術平均作業時間が10分未満、又は算術平均操作回数が30回未満の射出成形機10の操作に習熟したオペレータに対して、全ての設定項目を設定可能に定義してもよい。
【0023】
なお、基準値テーブル310(2)-310(M)についても、図4の基準値テーブル310(1)と同様に設定される。
また、基準値テーブル310(1)-310(M)は、後述する算出部222により算出された画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数それぞれに応じて設定される設定項目の基準値を定義してもよい。
また、基準値テーブル310(1)-310(M)は、算術平均値に替えて、操作時間や操作回数等の加重平均値、中央値、又は最小値に応じて設定される設定項目の基準値を定義してもよい。
以下、基準値テーブル310(1)-310(M)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「基準値テーブル310」ともいう。
【0024】
属性テーブル記憶部233は、予め決められた所定の設定項目の属性を定義した属性テーブル320を記憶する。
具体的には、図6に示すように、属性テーブル320は、予め決められた所定の設定項目として、射出速度の設定項目a00、a01、及び計量圧力の設定項目a10、a11の属性を射出条件T1と定義する。また、属性テーブル320は、予め決められた所定の設定項目として、型閉速度の設定項目b00、b01、及び型開速度の設定項目b10、b11の属性を型動作条件T2と定義する。
【0025】
属性基準値テーブル記憶部234は、設定項目の属性毎の基準値が予め定義された属性基準値テーブル330を記憶する。
具体的には、図7に示すように、属性基準値テーブル330は、後述する算出部222により算出された算術平均作業時間、又は算術平均操作回数等に応じて、設定可能となる設定項目を含む射出条件T1、型動作条件T2等の属性の基準値を定義する。
属性基準値テーブル330は、例えば、算術平均作業時間が10分未満、又は算術平均操作回数が30回未満の射出成形機10の操作に習熟したオペレータに対して、射出条件T1及び型動作条件T2の属性に含まれる設定項目を設定可能に定義する。また、属性基準値テーブル330では、算術平均作業時間が10分以上20分未満、又は算術平均操作回数が30回以上60回未満の射出成形機10の操作にある程度習熟したオペレータに対して、射出条件T1の属性に含まれる設定項目を設定可能に定義する。
例えば、図5に示すように、設定画面50では、射出条件T1や型動作条件T2といった属性(種別)毎に設定項目が表示される。このため、制御装置20は、属性テーブル320及び属性基準値テーブル330に基づいて、設定項目の操作制限を属性(種別)毎に行うことで、管理者の操作制限設定作業を省力化することができる。
【0026】
<パネル部210>
認証部211は、例えば、後述する入力部212を介して、オペレータにより入力された暗証番号に基づいて、前記オペレータを認証する。あるいは、認証部211は、例えば、図示しないRFIDリーダを含み、オペレータのRFIDカード(図示しない)からオペレータの識別情報(例えば、ユーザIDやパスワード等)を読み取ることで、前記オペレータを認証してもよい。この場合、オペレータの識別情報等が記憶部230に予め記憶されてもよい。
また、認証部211は、図示しない指紋センサを含み、オペレータの指紋を読み取ることで、前記オペレータを認証してもよい。この場合、オペレータの指紋の情報が記憶部230に予め記憶されてもよい。
【0027】
入力部212は、キーボードやマウス、又はタッチパネル等の入力装置によって構成され、オペレータによる各種入力を受け付ける。
【0028】
表示部213は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置によって構成され、図5の設定画面50等を表示する。
例えば、表示部213は、図8に示すように、後述する設定部223により射出速度の設定項目a00、a01及び計量圧力の設定項目a10、a11が設定可能に設定された場合、設定項目a00、a01、a10、a11の枠を設定可能であることを強調するために太線で表示してもよい。また、表示部213は、設定部223により型閉速度の設定項目b00、b01及び型開速度の設定項目b10、b11が設定不可に設定された場合、設定項目b00、b01、b10、b11の枠を設定不可であることを強調するために破線と網掛けで表示してもよい。すなわち、表示部213は、設定可能な設定項目の表示形態(例えば、枠線の色、種類、太さ、背景の色、効果等)を、設定不可の設定項目の表示形態と異なるように表示することが好ましい。
【0029】
<制御部220>
制御部220は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは制御装置20を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って制御装置20全体を制御する。これにより、図1に示すように、制御部220が、計測部221、算出部222、及び設定部223の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。また、CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、制御装置20の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
また、制御部220は、認証部211によりオペレータが認証された場合、後述する設定部223により直近に設定された前記オペレータに対する操作可能な設定項目を設定する。
【0030】
計測部221は、例えば、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業情報を計測する。
具体的には、オペレータは認証部211により認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでに様々な操作を行うことから、計測部221は、オペレータにより行われた操作間の経過時間を計測する。
図9は、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業進行の一例を示す図である。図9では、時刻tに、オペレータが認証されたことを示す。また、時刻tから時刻tそれぞれに、射出成形機10の自動運転を行うための各種設定や操作がオペレータにより行われたことを示す。また、時刻tに、射出成形機10の自動運転が開始したことを示す。
計測部221は、操作間の経過時間(t-t)、(t-t)、(t-t)、(t-t)、及び(t-t)をそれぞれ計測し、それらを足すことでオペレータの作業時間として計測する。
【0031】
ところで、時刻tの操作が、例えば、シリンダ12を樹脂の溶融温度まで昇温させるヒートアップの場合、操作間の経過時間t(=t-t)は、射出成形機10の機械仕様に依存する時間であり、オペレータの習熟度に無関係な時間である。すなわち、ヒートアップの経過時間t等の機械仕様に依存する時間を作業時間に含めた場合、制御装置20は、オペレータの作業時間からオペレータの習熟度を正確に評価することが困難となる。
そこで、計測部221は、ヒートアップ等の射出成形機10の機械仕様に依存する時間を、操作間の経過時間から除外し記憶しないようにする。すなわち、図9の作業進行の場合、計測部221は、時間t(=(t-t)+(t-t))と、時間t(=(t-t)+(t-t))とを足した時間を、オペレータの作業時間として計測する。計測部221は、計測した作業時間を作業情報記憶部231の作業情報300に記憶する。
【0032】
ここで、機械仕様に依存する時間には、射出成形機10の場合、(a)ヒートアップの時間、(b)金型13の取付時間、(c)シリンダ12の取付時間、(d)オペレータの休憩時間等がある。
【0033】
(a)ヒートアップの時間
ヒートアップの時間は、機械仕様によってシリンダ12のサイズが異なるため増減する。そして、室温からシリンダ12の設定温度(200度から300度)までの昇温時間は、スクリュ径がφ20mm仕様の場合30分程度で、スクリュ径がφ40mm仕様の場合60分程度である。
【0034】
(b)金型13の取付時間
異なる成形品を生産する時に金型13は交換される。例えば、オペレータが操作画面に配置された金型取付作業開始/終了ボタンを押下することで、制御装置20は、金型13の取り付けを認識することができる。金型取付作業は、50トン仕様の場合15分以上かかり、100トン仕様の場合金型13のサイズが大きいため30分以上かかる。
【0035】
(c)シリンダ12の取付時間
シリンダ12は、成形品の大きさが異なる場合や樹脂の種類に応じて交換される。例えば、オペレータが操作画面に配置されたシリンダ取付作業開始/終了ボタンを押下することで、制御装置20はシリンダ12の取り付けを認識することができる。シリンダ取付作業は、50トン仕様の場合30分以上かかり、100トン仕様の場合取り付けられるシリンダのサイズが大きいため45分以上かかる。
【0036】
(d)オペレータの休憩時間
作業中にオペレータが休憩時間に入る場合、例えば、オペレータが操作画面に配置された離席/在席ボタンを押下することで、制御装置20はオペレータが休憩中であることを認識することができる。
【0037】
なお、計測部221は、図9の作業進行の場合、時刻tから時刻tそれぞれにおける操作を計測し、オペレータの操作回数を計測してもよい。計測部221は、計測した操作回数を作業情報記憶部231の作業情報300に記憶することができる。
また、計測部221は、図9の場合と同様に、作業情報として、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの画面の切替回数、アラームの発生回数、及び入力ロックされた回数等を計測してもよい。計測部221は、計測した画面の切替回数、アラームの発生回数、及び入力ロックされた回数等を作業情報記憶部231の作業情報300に記憶してもよい。
【0038】
算出部222は、オペレータの作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する。
具体的には、算出部222は、例えば、数1式を所定の関数とし、作業情報300を数1式に入力することで、オペレータ毎の作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数等の算術平均値aavgを算出値として算出する。なお、aは、作業情報300の各作業時刻における作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数等を示す。
【数1】
算出部222は、算出した前記オペレータの作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数等の算出値を、前記オペレータの作業情報300に記憶する。これにより、射出成形機10の操作に対するオペレータの習熟度を示す算出値が更新される。
【0039】
なお、算出部222は、数2式を所定の関数とし、作業情報300を数2式に入力することで、オペレータの作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数等の加重平均値aを算出値として算出してもよい。wは重み係数を示す。
【数2】
また、算出部222は、作業情報300を用いて、オペレータの作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数等の中央値や最小値等を算出値として算出してもよい。
【0040】
設定部223は、例えば、射出成形機10の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、前記オペレータに対する操作可能な設定項目を設定する。
具体的には、例えば、射出成形機10が100トン仕様で、オペレータの作業情報300における算術平均作業時間(算出値)が15分の場合、設定部223は、基準値テーブル310(1)を参照して、前記オペレータの算術平均作業時間が10分以上20分未満であると判定する。そして、設定部223は、前記オペレータが次に射出成形機10を操作する場合に、射出速度の設定項目a00、a01及び計量圧力の設定項目a10、a11を設定可能に設定し、型閉速度の設定項目b00、b01及び型開速度の設定項目b10、b11を設定不可に設定する。そして、設定部223は、例えば、設定した設定項目を、オペレータの識別情報と対応付けて記憶部230に記憶してもよい。
そうすることで、設定部223は、基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、射出成形機10の操作に対するオペレータの習熟度に応じた最適な設定項目に更新し設定することができる。
さらに、制御装置20は、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができ、管理者の操作制限設定の省力化を図ることができる。
【0041】
なお、設定部223は、基準値テーブル310に替えて、属性基準値テーブル330と属性テーブル320とを参照して算出部222により算出された算出値に応じて設定項目を設定してもよい。
【0042】
<制御装置20の設定処理>
次に、図10を参照しながら、制御装置20の処理の流れを説明する。
図10は、制御装置20の設定処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、オペレータが射出成形機10を操作する度に実行される。
【0043】
ステップS11において、制御部220は、認証されているオペレータに対して設定部223により直近に設定された操作可能な設定項目を設定する。
【0044】
ステップS12において、計測部221は、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業情報を計測する。そして、計測部221は、計測したオペレータの作業情報を、前記オペレータの作業情報300に記憶する。
【0045】
ステップS13において、算出部222は、オペレータの作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する。
【0046】
ステップS14において、設定部223は、射出成形機10の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータに対する操作可能な設定項目を設定する。
【0047】
以上により、第1実施形態の制御装置20は、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業情報を計測し、オペレータの作業情報300に記憶する。制御装置20は、オペレータの作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する。制御装置20は、射出成形機10の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータの射出成形機10に対する習熟度に応じた操作可能な設定項目を設定する。
これにより、制御装置20は、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができ、作業環境の改善、及び生産性向上を図ることができる。また、制御装置20は、管理者が行う操作制限の更新を自動化することができ、管理者の操作制限設定の省力化を図ることができる。
以上、第1実施形態について説明した。
【0048】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る集中管理装置は、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル、及び制御装置から取得されたオペレータの作業情報に基づいて、オペレータに対する設定項目を設定する点が、第1実施形態と異なる。
これにより、第2実施形態に係る集中管理装置は、オペレータが別の制御装置を介して同じ仕様の射出成形機10を操作する場合でも、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができる。
以下に、第2実施形態について説明する。
【0049】
図11は、第2実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。図11に示すように、制御システム1Aは、K個の射出成形機10、制御装置20a(1)-20a(K)、及び集中管理装置40を有する(Kは2以上の整数)。なお、図1の制御システム1の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
K個の射出成形機10、及び制御装置20a(1)-20a(K)のそれぞれは、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。また、制御装置20a(1)-20a(K)、及び集中管理装置40は、LAN等のネットワーク60を介して相互に接続されてもよい。この場合、制御装置20a(1)-20a(K)、及び集中管理装置40は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えてもよい。
なお、K個の射出成形機10、及び制御装置20a(1)-20a(K)のそれぞれは、ネットワーク60を介して相互に接続されてもよい。また、制御装置20a(1)-20a(K)、及び集中管理装置40は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。
また、制御装置20a(1)-20a(K)のそれぞれは、射出成形機10に含まれてもよい。
以下、制御装置20a(1)-20a(K)のそれぞれを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「制御装置20a」ともいう。
【0051】
<制御装置20a>
図12は、制御装置20aの機能的構成例を示す機能ブロック図である。なお、図1の制御装置20の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
制御装置20aは、第1実施形態に係る制御装置20と同様に、パネル部210、及び制御部220aを有する。
パネル部210は、第1実施形態に係るパネル部210と同様に、認証部211、入力部212、及び表示部213を有する。また、制御部220aは、計測部221、及び通信部224を有する。
【0052】
計測部221は、第1実施形態に係る計測部221と同等の機能を有する。
通信部224は、認証部211により認証されたオペレータの認証情報(例えば、ユーザIDやパスワード等)、及び計測部221により計測された前記オペレータの作業情報を、後述する集中管理装置40に送信する。
具体的には、通信部224は、例えば、認証部211によりオペレータが認証された場合、制御部220aからの制御指示に基づいて、認証されたオペレータの認証情報とともに、前記オペレータに対する設定可能な設定項目を示す設定情報(管理情報)の要求を、後述する集中管理装置40に送信する。そして、通信部224は、認証されたオペレータの設定情報(管理情報)を受信し、制御部220は、受信した設定情報(管理情報)を設定する。
【0053】
<集中管理装置40>
図13は、集中管理装置40の機能的構成例を示す機能ブロック図である。なお、図1の制御装置20の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
集中管理装置40は、コンピュータ装置等であり、制御部410、及び記憶部420を有する。また、制御部410は、算出部222、及び設定部223を有する。さらに、記憶部420は、作業情報記憶部231、基準値テーブル記憶部232、属性テーブル記憶部233、及び属性基準値テーブル記憶部234を有する。
【0054】
<記憶部420>
記憶部420は、第1実施形態に係る記憶部230と同様に、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等である。
【0055】
作業情報記憶部231は、第1実施形態に係る作業情報記憶部231と同様に、オペレータ毎の作業情報300(1)-300(N)を記憶する。なお、作業情報300(1)-300(N)に格納される作業情報は、制御装置20aそれぞれにおいて計測され、集中管理装置40に含まれる通信部(図示しない)を介して制御装置20aそれぞれから受信された作業情報である。
【0056】
基準値テーブル記憶部232は、第1実施形態に係る基準値テーブル記憶部232と同様に、機械仕様毎に操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル310(1)-310(M)を記憶する。
【0057】
属性テーブル記憶部233は、第1実施形態に係る属性テーブル記憶部233と同様に、予め決められた所定の設定項目の属性を定義した属性テーブル320を記憶する。
【0058】
属性基準値テーブル記憶部234は、第1実施形態に係る属性基準値テーブル記憶部234と同様に、設定項目の属性毎の基準値が予め定義された属性基準値テーブル330を記憶する。
【0059】
<制御部410>
制御部410は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは集中管理装置40を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って集中管理装置40全体を制御する。これにより、図13に示すように、制御部410が、算出部222、及び設定部223の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。また、CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、集中管理装置40の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0060】
また、制御部410は、制御装置20aから認証された(ログインした)オペレータの認証情報とともに、前記オペレータの設定情報(管理情報)の要求を受信した場合、後述する設定部223により設定された操作可能な設定項目を、オペレータの設定情報(管理情報)として要求した制御装置20aに送信する。
また、制御部410は、制御装置20aから受信したオペレータの作業情報を、前記オペレータの作業情報300に記憶してもよい。
【0061】
算出部222は、第1実施形態に係る算出部222と同様に、オペレータの作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する。
【0062】
設定部223は、第1実施形態に係る設定部223と同様に、射出成形機10の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、前記オペレータに対する操作可能な設定項目を設定する。そして、設定部223は、例えば、設定した設定項目を、オペレータが次に射出成形機10を操作する場合の設定情報としてオペレータの識別情報と対応付けて記憶部420に記憶してもよい。
そうすることで、オペレータが、例えば、制御装置20a(i)において認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業を行った後、制御装置20a(j)において認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業を行う場合、集中管理装置40は、制御装置20a(j)からの要求に基づいて、オペレータの習熟度に応じた最適な設定情報(管理情報)を制御装置20a(j)に設定することができる。なお、i、jは1からKの整数であり、i≠jである。
【0063】
<集中管理装置40の設定処理>
次に、図14を参照しながら、集中管理装置40の処理の流れを説明する。
図14は、集中管理装置40の設定処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、集中管理装置40が制御装置20aから認証されたオペレータの認証情報とともにオペレータの設定情報の要求を受信する度に実行される。
なお、図14に示す設定処理において、ステップS23及びステップS24の処理は、図10の第1実施形態のステップS13及びステップS14の処理と同様であり、説明は省略する。
【0064】
ステップS21において、制御部410は、制御装置20a(j)から認証されたオペレータの認証情報とともに、前記オペレータの設定情報(管理情報)の要求を受信した場合、設定部223により直近に設定されたオペレータに対する操作可能な設定項目を、オペレータの設定情報(管理情報)として制御装置20a(j)に送信する。
【0065】
ステップS22において、制御部410は、ステップS11で設定情報が送信された制御装置20a(j)からオペレータの作業情報を受信する。そして、制御部410は、受信したオペレータの作業情報を前記オペレータの作業情報300に記憶する。
【0066】
以上により、第2実施形態の集中管理装置40は、制御装置20a(j)からオペレータの設定情報(管理情報)の要求を受信した場合、設定部223により直近に設定されたオペレータに対する操作可能な設定項目を、オペレータの設定情報(管理情報)として制御装置20aに送信する。集中管理装置40は、設定情報を送信した制御装置20aから受信したオペレータの作業情報を含むオペレータの作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する。集中管理装置40は、射出成形機10の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータの射出成形機10に対する習熟度に応じた操作可能な設定項目を設定する。
これにより、集中管理装置40は、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができ、作業環境の改善、及び生産性向上を図ることができる。また、集中管理装置40は、管理者が行う操作制限の更新を自動化することができ、管理者の操作制限設定の省力化を図ることができる。
以上、第2実施形態について説明した。
【0067】
<第2実施形態の変形例>
第2実施形態では、集中管理装置40は、射出成形機10や制御装置20aと異なる装置として例示したが、集中管理装置40の一部又は全部の機能を、射出成形機10又は制御装置20aが備えるようにしてもよい。
あるいは、集中管理装置40の制御部410、及び記憶部420の一部又は全部を、例えば、サーバが備えるようにしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、集中管理装置40の各機能を実現してもよい。
さらに、集中管理装置40は、集中管理装置40の各機能を適宜複数のサーバに分散される、分散処理システムとしてもよい。
【0068】
以上、第1実施形態、第2実施形態、及び第2実施形態の変形例について説明したが、制御装置20、及び集中管理装置40は、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0069】
<変形例1>
第1実施形態、第2実施形態、及び第2実施形態の変形例では、オペレータの作業情報300には、作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数、操作間の経過時間が含まれるとしたが、これに限定されない。例えば、射出成形機10に周辺機器(樹脂乾燥機、温度調節機、取出し機、ロボット等)が結合されている場合、作業情報300には、立ち上げ作業時の周辺機器の操作回数やエラーの発生回数等を含んでもよい。
そうすることで、制御装置20、及び集中管理装置40は、オペレータの習熟度をより精度良く図ることができる。
なお、取出し機やロボットの立ち上げ手順は、1)サーボモータ通電ON、2)プログラムの読み込み、3)原点位置まで戻る、4)ステップ運転(前記プログラムを1行ずつ読み込み、スタート、動作を最終行まで繰り返す)、5)自動運転開始である。
また、例えば、産業機械が放電加工機の立ち上げ手順は、1)手動による移動、2)電極ピンとノズルの確認、3)ワイヤを取り付けローラにかける、4)プログラムの読み込み、5)加工条件の選択、6)描画による確認、7)ワークへの位置出し、8)原点出し、ドライラン(ワイヤ無しでの運転)、ワイヤ回収箱の確認、ワイヤ、加工液タンクの確認を含む加工前の準備、9)加工開始である。
【0070】
<変形例2>
また例えば、第1実施形態、第2実施形態、及び第2実施形態の変形例では、設定部223は、直近までのオペレータの作業情報300(すなわち、現在の作業を含まない作業情報)に基づいて、次に射出成形機10を操作する場合のオペレータに対する設定可能な設定項目を設定したが、これに限定されない。例えば、設定部223は、現在行っているオペレータの認証から射出成形機10の自動運転までの現在の作業を含むオペレータの作業情報300に基づいて、現在の射出成形機10の操作における設定項目の設定を行ってもよい。
そうすることで、新規のオペレータの作業情報300がない場合でも、設定部223は、オペレータに対する設定可能な設定項目を設定することができる。
【0071】
<変形例3>
また例えば、第1実施形態、第2実施形態、及び第2実施形態の変形例では、産業機械として射出成形機10としたが、例えば工作機械、ロボット、鉱山機械、木工機械、農業機械、建設機械等でもよい。この場合でも、制御装置20、及び集中管理装置40は、産業機械の仕様に応じた基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータの射出成形機10に対する習熟度に応じた操作可能な設定項目を設定することができる。
【0072】
なお、第1実施形態、第2実施形態、及び第2実施形態の変形例における、制御装置20、及び集中管理装置40に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0073】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0074】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0075】
以上を換言すると、本開示の制御装置、集中管理装置、及び制御方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
(1)本開示の制御装置20は、射出成形機10を制御する制御装置であって、
操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータに対する設定項目を設定する設定部223を備える。
この制御装置20によれば、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で設定することができる。
【0076】
(2) (1)に記載の制御装置20において、作業情報は、オペレータによる現在の作業を含まなくてもよい。
そうすることで、射出成形機10の立ち上げ作業時から適切に設定された設定項目を設定することができる。
【0077】
(3) (1)に記載の制御装置20において、作業情報は、オペレータによる現在の作業を含んでもよい。
そうすることで、新規のオペレータに対しても設定項目を設定することができる。
【0078】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の制御装置20において、オペレータを認証する認証部211と、オペレータによる操作の入力を受け付ける入力部212と、オペレータが認証されてから射出成形機10の自動運転を行うまでの作業情報を計測する計測部221と、作業情報300を記憶する作業情報記憶部231と、基準値テーブル310を記憶する基準値テーブル記憶部232と、作業情報300を所定の関数に入力して算出値を算出する算出部222と、をさらに備えてもよい。
そうすることで、設定項目の操作許可/不許可を客観的な基準で精度良く設定することができる。
【0079】
(5) (4)に記載の制御装置20において、認証部211は、暗証番号、RFIDカード、指紋によりオペレータを認証してもよい。
そうすることで、認証に基づいてオペレータ毎に作業情報300を管理することができる。
【0080】
(6) (4)又は(5)に記載の制御装置20において、入力部は、キーボード、マウス、タッチパネルであってもよい。
そうすることで、オペレータからの指示を受け付けることができる。
【0081】
(7) (4)から(6)のいずれかに記載の制御装置20において、作業情報は、作業時間、操作回数、画面の切替回数、アラームの発生回数、入力ロックされた回数、操作間の経過時間のいずれか1つを含んでもよい。
そうすることで、射出成形機10の操作に対するオペレータの習熟度を適切に評価することができる。
【0082】
(8) (4)から(7)のいずれかに記載の制御装置20において、所定の関数は、算術平均値、加重平均値、最頻値、中央値、最小値のいずれかを求めてもよい。
そうすることで、射出成形機10の操作に対するオペレータの習熟度を適切に評価することができる。
【0083】
(9) (7)に記載の制御装置20において、作業情報記憶部231は、射出成形機10の機械状態に応じて操作間の経過時間を記憶しないようにしてもよい。
そうすることで、射出成形機10の操作に対するオペレータの習熟度を適切に評価することができる。
【0084】
(10) (4)から(9)のいずれかに記載の制御装置20において、基準値テーブル記憶部232は、射出成形機10の種類毎に基準値テーブル310(1)-310(M)を記憶してもよい。
そうすることで、オペレータの習熟度に合わせた操作制限を設けることができる。
【0085】
(11) (4)から(10)のいずれかに記載の制御装置20において、予め決められた所定の設定項目の属性を定義した属性テーブル320を記憶する属性テーブル記憶部233と、属性毎の基準値が定義された属性基準値テーブル330を記憶する属性基準値テーブル記憶部234と、をさらに備え、設定部223は、属性基準値テーブル330と属性テーブル320とを参照して算出部222により算出された算出値に応じて設定項目を設定してもよい。
そうすることで、管理者の操作制限設定の省力化を図ることができる。
【0086】
(12) (1)から(11)のいずれかに記載の制御装置20において、設定項目を表示する表示部213をさらに備え、表示部213は、設定項目以外の表示形態と異なる表示形態で設定項目を表示してもよい。
そうすることで、設定可能な設定項目と設定不可の設定項目とを見分けることができる。
【0087】
(13)本開示の集中管理装置40は、制御装置20aに通信可能に接続された集中管理装置であって、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータに対する設定項目を設定する設定部223を備える。
この集中管理装置40によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0088】
(14)本開示の制御方法は、コンピュータにより実現される産業機械を制御する制御方法であって、操作可能な設定項目の基準値が予め定義された基準値テーブル310、及びオペレータの作業情報300に基づいて、オペレータに対する設定項目を設定する設定ステップを備える。
この制御方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0089】
1、1A 制御システム
10 射出成形機
20、20a(1)-20a(K) 制御装置
210 パネル部
211 認証部
212 入力部
213 表示部
220、220a 制御部
221 計測部
222 算出部
223 設定部
230 記憶部
231 作業情報記憶部
232 基準値テーブル記憶部
233 属性テーブル記憶部
234 属性基準値テーブル記憶部
300(1)-300(N) 作業情報
310(1)-310(M) 基準値テーブル
320 属性テーブル
330 属性基準値テーブル
40 集中管理装置
410 制御部
420 記憶部
図1
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