(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電子機器およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20240109BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20240109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H02J1/00 306A
G06F13/38 350
H02J7/00 303Z
(21)【出願番号】P 2020015890
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良尚
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-013932(JP,A)
【文献】特開2019-122111(JP,A)
【文献】特開2019-219720(JP,A)
【文献】特開2001-339850(JP,A)
【文献】特開2014-188931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00 - 1/16
G06F 13/38 - 13/42
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
G06F 1/26 - 1/3296
G06F 3/00
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト機器から、Universal Serial Bus(USB)を介した電力供給を受けることにより、第1のシンク機器として動作可能な電子機器であって、
前記USBと前記第1のシンク機器との接続を介して前記ホスト機器から電力供給を受けることにより動作可能となる第2のシンク機器に、接続することが可能なインターフェイスと、
前記ホスト機器からの給電能力情報を取得する第1のConfiguration Channel(CC)端子と、
前記第1のCC端子と接続する第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と、
前記第1のCC端子と前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第1のGND端子と、
前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地状態を切り替え可能なスイッチと、
を備え、
前記第2のシンク機器は 前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続された場合に前記第1のCC端子と接続する第2のCC端子と、前記第2のCC端子と接続し、前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器と接続された場合に前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と電気的に並列に接続可能な第2のプルアップ又はプルダウン抵抗と、前記第2のCC端子と前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第2のGND端子とを有しており、
前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続された場合、前記スイッチは、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地を無効化し、前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第2のGND端子への接地を有効化することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2のシンク機器は、充電可能な補助電源であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2のシンク機器の前記第1のシンク機器に対する挿抜を検知する手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続していないことが検知された場合、前記スイッチは、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地を有効化することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
印刷を実行可能な印刷手段を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記USBを介して前記ホスト機器より印刷データを受信するための受信手段を更に備え、前記印刷手段は、前記受信手段が受信した印刷データに基づいて印刷を実行することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1のシンク機器にAC電源及び前記第2のシンク機器が接続された状態で、且つ前記第1のシンク機器が電源OFFの場合、前記第2のシンク機器は、前記AC電源から電力が供給されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1のシンク機器にAC電源が接続されず、前記第1のシンク機器に前記ホスト機器及び前記第2のシンク機器が接続され、且つ前記第1のシンク機器が電源OFFの場合、前記第2のシンク機器は、前記ホスト機器から電力が供給されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
ホスト機器から、Universal Serial Bus(USB)を介した電力供給を受けることにより、第1のシンク機器として動作可能な電子機器を制御するための制御方法であって、
前記USBおよび前記第1のシンク機器との接続を介して、前記ホスト機器から電力供給を受けることにより動作可能となる第2のシンク機器が、前記第1のシンク機器に接続されたかを検知し、
前記第1のシンク機器は、前記ホスト機器からの給電能力情報を取得する第1のConfiguration Channel(CC)端子と、前記第1のCC端子と接続する第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と、前記第1のCC端子と前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第1のGND端子とを含み、
前記第2のシンク機器は 前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器と接続された場合に前記第1のCC端子と接続する第2のCC端子と、前記第2のCC端子と接続し、前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器と接続された場合に前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と電気的に並列に接続可能な第2のプルアップ又はプルダウン抵抗と、前記第2のCC端子と前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第2のGND端子とを含み、
前記第2のシンク機器の前記第1のシンク機器への接続が検知された場合、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地を無効化し、前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第2のGND端子への接地を有効化する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
前記第2のシンク機器は、充電可能な補助電源であることを特徴とする請求項9に記載
の制御方法。
【請求項11】
前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続されていない場合、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地を有効化することを特徴とする請求項9又は10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記第1のシンク機器が備える印刷手段に印刷を実行させることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項13】
前記USBを介して前記ホスト機器より印刷データを受信し、前記受信した印刷データに基づいて前記印刷手段に印刷を実行させることを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記第1のシンク機器にAC電源及び前記第2のシンク機器が接続された状態で、且つ前記第1のシンク機器が電源OFFの場合、前記第2のシンク機器は、前記AC電源から電力が供給されることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項15】
前記第1のシンク機器にAC電源が接続されず、前記第1のシンク機器に前記ホスト機器及び前記第2のシンク機器が接続され、且つ前記第1のシンク機器が電源OFFの場合、前記第2のシンク機器は、前記ホスト機器から電力が供給されることを特徴とする請求項9から13のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、USB(Universal Serial Bus)によってバッテリー(補助電源)の充電を行うUSB充電に対応するデバイスが増加している。 一般的にUSBによる電力供給を行う際には電力の供給を受ける受電側機器(以下、シンク機器とも言う)は、USB2.0、USB3.0、USB-BC(USB Battery Charge)、USB-PD(USB Power Delivery)といった規格に加え、USB Type-Cケーブルとそのコネクタという規格に準拠したものである。このType-C機器では、シンク機器のCC端子(Configuration Channel)が所定の抵抗値でプルアップまたはプルダウンされており、シンク機器はこのCC端子の電圧状態を知ることにより、給電側機器(以下、ホスト機器とも言う)の給電能力を認識することができる。
【0003】
しかし、シンク機器がホスト機器に対して複数接続可能な構成をとった場合、それぞれのシンク機器のCC端子のプルダウン抵抗が並列に接続する状態となりそれぞれの電圧が分圧されたものになる。その結果、CC端子の電圧値による識別によって誤検知を生じ、USB充電における電力供給が停止されるなどの問題がある。
【0004】
特許文献1には、シンク機器のCC端子のプルダウンをGNDから切り離した状態でホスト機器がType-Cか否かを判別する技術が記載されている。これにより、ホスト機器のインターフェースがType-Cなのか非Type-Cなのかをシンク機器が確実に判定し、その判定した種別に応じた方法でホスト機器の給電能力を判断することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホスト機器と接続する受電側機器に取り外し可能なバッテリーが存在しており、USBを介した受電側機器の本体とのデータ通信と、USBを介した着脱部に対する充電と、が行われる形態がある。このような形態において、USB接続に用いられる端子の電圧を正確に測定することにより、USB接続が行われたことを正確に検知することが求められている。
【0007】
本発明は、USB接続が行われたことを正確に検知することが可能な電子機器およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一形態は、ホスト機器から、Universal Serial Bus(USB)を介した電力供給を受けることにより、第1のシンク機器として動作可能な電子機器であって、 前記USBと前記第1のシンク機器との接続を介して前記ホスト機器から電力供給を受けることにより動作可能となる第2のシンク機器に、接続することが可能なインターフェイスと、前記ホスト機器からの給電能力情報を取得する第1のConfiguration Channel(CC)端子と、前記第1のCC端子と接続する第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と、前記第1のCC端子と前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第1のGND端子と、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地状態を切り替え可能なスイッチと、を備え、前記第2のシンク機器は 前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続された場合に前記第1のCC端子と接続する第2のCC端子と、前記第2のCC端子と接続し、前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器と接続された場合に前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗と電気的に並列に接続可能な第2のプルアップ又はプルダウン抵抗と、前記第2のCC端子と前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗との回路を接地する第2のGND端子とを有しており、前記第2のシンク機器が前記第1のシンク機器に接続された場合、前記スイッチは、前記第1のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第1のGND端子への接地を無効化し、前記第2のプルアップ又はプルダウン抵抗の前記第2のGND端子への接地を有効化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上の形態によれば、USB接続が行われたことを正確に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における電子機器の外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す電子機器の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す電子機器の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るプリンタハードオフ(電源OFF)状態におけるUSB充電の処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックのプルダウン抵抗値(電圧値)に対応する供給電力の規格値および実施例値との関係を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る、ACアダプタによるプリンタ駆動時のUSB印刷の処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るバッテリー駆動によるプリンタ駆動時のUSB印刷時のフローチャートである。
【
図8】USBによるデータ通信とUSBによる充電とを行うことが可能な装置の回路構成の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
また、本発明の実施形態における電子機器を図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、電子機器として、インクを吐出して記録動作を行うインクジェット記録装置を例に採り説明する。但し、電子機器は上記の形態に限定されず、USBケーブルによって電力供給を受け付け可能な装置であれば良い。具体的には例えば、インクジェット方式以外の方式により記録動作を行う記録装置であっても良い。また、記録装置以外の装置(パーソナルコンピュータやスマートフォン、スキャナ、デジタルカメラ、スマートスピーカ等)であっても良い。また以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施形態で説明されている特徴及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
図1は、インクジェット記録装置PRIを示す外観斜視図である。記録装置PRIは、記録装置本体10と、この記録装置本体10に着脱可能なバッテリーモジュール20とを有する。
【0013】
記録装置本体10は、その外殻をなす筐体部10aが、上ケース11と下ケース12と給紙カバー13と排紙カバー14とにより構成されている。筐体部10a内には後述の駆動機構40(
図2)が収容されている。
図1は記録装置PRIの非使用時(据え置き時及び携帯時等)の状態を示している。記録装置PRIの使用時には、給紙カバー13を背面側に開くと、給紙カバー13は記録シートを載せるための供給トレイとなる。
【0014】
また、記録装置本体10の側面には、I/F(インターフェース)コネクタ15と、DCinジャック(直流電源入力用ジャック)16とが設けられている。I/F(インターフェース)コネクタ15は、USBケーブルを接続するためのものである。DCinジャック(直流電源入力用ジャック)16は、AC電源から電力供給を受ける場合に使用するACアダプタケーブル(不図示)を差し込む。
【0015】
バッテリーモジュール20は、その外殻をなす筐体部20aがメインケース21と、カバーケース22と、バッテリー蓋23とにより構成されている。筐体部20a内には、リチウムイオン電池を内蔵したバッテリーパック54(図示せず)が収容されている。バッテリー蓋23を外してメインケース21を開口することによって、筐体部20aからバッテリーパック54を取り出すことができる。また、記録装置本体10に対するバッテリーモジュール20の装着面(接続面)には、記録装置本体10に対して電気的に接続するための本体用コネクタ24と、記録装置本体10に機械的に固定するための固定ビス25、26が設けられている。
【0016】
バッテリーモジュール20を
図1の矢印A方向に向けて記録装置本体10に装着することにより、本体用コネクタ24が記録装置本体に電気的に接続される。この状態で、DCinジャック16にACアダプタ53を接続することで、ACアダプタ53を電源としたバッテリーパック54の充電(AC充電)が可能になる。なおACアダプタ53は、記録装置本体10外部の商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を記録装置本体10に供給する装置である。記録装置本体10に接続しているACアダプタ53がコンセントやプラグ等の接続器を介して接続している状態では、ACアダプタ53から記録装置本体10には電力が供給される。なおACアダプタ53が記録装置本体10に接続している場合は、バッテリーパック54から供給される電力でなく、ACアダプタ53から供給される電力によって記録装置本体10が駆動する。そして、ACアダプタ53が記録装置本体10に接続しており、且つ記録装置本体10がハードオフ状態の場合は、ACアダプタ53から供給される電力によるバッテリーパック54の充電が行われる。そして本実施形態では、ACアダプタ53は、USB以外のインターフェースによって記録装置本体10に対して接続される。そのため、記録装置本体10は、USB規格に基づくエニュメレーション処理を実行することなく、十分大きな電力の供給をACアダプタ53から受け付けることができる。
【0017】
また本実施形態では、電力供給装置とI/Fコネクタ15とをUFBケーブルを介して接続することにより、電力供給装置からUSBバスを経由したバッテリーパック54の充電(USB充電)が可能になる。バッテリーパック54が充電された後は、外部からの電力供給がなくなったとしても、記録装置PRIは、バッテリーから供給される電力によって動作可能になる。なお、バッテリーモジュール20の天面には、バッテリーの充電状態を示す充電表示部27が設けられている。電力供給装置は例えば、外部電源としての装置であり、ホストPC(パーソナルコンピュータ)やモバイルバッテリー等である。なおUSBケーブルを介してホストPCと記録装置本体10とが接続する場合、USB規格に基づくエニュメレーション処理が実行されうる。エニュメレーション処理とは、ホストPCのOS(オペレーティングシステム)が、USB接続先の装置(ここでは記録装置本体10)を認識するための一連のデータ通信である。エニュメレーション処理が完了することにより、ホストPCのOSはUSB接続先の装置の各種情報を認識することができる。また、USBケーブルを介してホストPCと記録装置本体10とが接続している場合、USBケーブルを介した充電だけでなく、USBケーブルを介した任意のデータ通信(印刷データ通信等)がホストPCと記録装置本体10との間で可能となる。すなわち、本実施形態では、記録装置本体10がソフトオン状態では、記録装置本体10は、USBケーブルを介して、ホストPCから印刷データを受信し、受信した印刷データに基づく印刷を実行可能である。
【0018】
図2は、記録装置PRIの駆動機構40を示す斜視図である。記録装置PRIは、搬送ローラ31と、ガイドレール33と、キャリッジ34と、インクタンク35aと、記録へッド35bと、キャリッジベルト43と、キャリッジモータ44と、搬送モータ48と、フレキシブルケーブル49とを有する。記録ヘッド35bは、キャリッジ34に搭載されてガイドレール33に沿って主走査方向(X方向)に往復移動が可能である記録ヘッド35bは、キャリッジ34に搭載されてガイドレール33に沿って主走査方向(X方向)に往復移動が可能である。記録ヘッド35bには、フレキシブルケーブル49を介して、入力画像データに基づいて生成された、インクの吐出、不吐出を表す吐出データが供給される。この吐出データに基づいて記録ヘッド35bはインクを吐出する。吐出されたインクは、記録ヘッド35bと微小な間隔をおいて支持された記録媒体32に着弾し、記録媒体32に画像を記録(印刷)する。
【0019】
キャリッジモータ44は、ガイドレール33に沿って、キャリッジ34を走査させるためのモータである。キャリッジモータ44の駆動力は、キャリッジベルト43を介してキャリッジ34に伝達される。また、搬送モータ48は、記録媒体32を主走査方向と交差する方向(Y方向)へと搬送させるように搬送ローラを回転させるためのモータである。
この搬送モータ48と搬送ローラ31とにより、記録媒体を搬送する搬送手段が構成されている。このように本実施形態における記録装置は、インクを吐出する記録ヘッド35bを主走査方向に沿って往復移動させる一方、記録媒体をY方向へと間欠的に搬送させて記録を行う、シリアル型の記録装置となっている。
【0020】
なお、本実施形態において、記録ヘッド35bは、インクタンク35aと結合し、ヘッドカートリッジを構成する。このヘッドカートリッジは、記録ヘッド35bとインクタンク35aとが分離可能な構成であっても、一体化した構成であってもよい。
【0021】
図3は、記録装置PRIの制御構成を示すブロック図である。記録装置本体10には、記録装置PRIの制御を行うASIC(Application Specific Integrated Circuit)50、ヘッドユニット51、電源切替回路66、昇圧回路67、ヒート電圧SW(スイッチ)68、降圧回路70、バスSW56が設けられている。本実施形態では、ASIC50(又は、ASIC50に搭載されたCPU58)が、エニュメレーション処理を実行するコントローラとなる。また、記録装置本体10には、電力供給装置(ここではホストPC52)を接続するための前述のI/Fコネクタ15と、ACアダプタ53を接続するためのDCinジャック16が設けられている。
【0022】
ホストPC52は、記録装置本体10によって記録すべき画像に関する画像データや、種々の制御コマンドを、USBケーブルを介して記録装置本体10に送信する。ホストPC52から送信された制御コマンドや記録データは、I/Fコネクタ15、バスSW56を経てASIC50に設けられたインターフェース(I/F)回路55に受信される。なお、バスSW56はバスSW制御部57によって制御され、ホストPC52のD+D-ピンを、ASIC50とバッテリーパック54のいずれか一方に選択的に接続させることが可能になっている。
【0023】
インターフェース(I/F)回路55で受信された制御コマンドは、CPU(Central Processing Unit)58によって解析され、この制御コマンドに応じて記録装置PRIの制御が行われる。また、インターフェース(I/F)回路55で受信された記録データは画像処理部59に送られる。画像処理部59では、種々の記録方式のうち実行すべき記録方式に応じた画像処理を施し、インクの吐出、不吐出を示す吐出データとして画像メモリ60に格納される。格納された吐出データは記録に際して画像メモリ60から読み出される。
【0024】
ASIC50に設けられたデータ送信部61は、画像メモリ60から読み出された記録データをヘッドユニット51に送信する。また、ASIC50には、ホストPC52が記録装置本体10に接続された際に、ホストPC52と記録装置本体10との間でエニュメレーション処理を行うためのエニュメレーション処理部77が搭載されている。このエニュメレーション処理部77での処理結果は、バッテリーインターフェース(I/F)78を介して、バッテリーパック54に設けられた後述のBMU7073に通知される。また、ASIC50に搭載されているヒート電圧制御部69は、ヒート電圧SW68のON/OFFを制御する指示を出力する。なお本実施形態では、ASIC50を制御するCPU58が、ASIC50に含まれている。そのため、本実施形態の説明においてASIC50が実行する処理は、CPU58がAISC50を制御することにより実行している。
【0025】
ヘッドユニット51は、前述の記録ヘッド35bと、インクタンク35aと、記録ヘッドを駆動させるヘッド駆動部70とで構成されている。ヘッド駆動部70は、データ送信部61から送信された吐出データをデータ受信部62で受信した後、シフトレジスタ63に入力する。シフトレジスタ63は、吐出データをシリアルデータとしてデータラッチ64へ出力する。データラッチ64は、シフトレジスタ63から出力された吐出データを一時記憶した後、パラレルデータに変換して、ヒート回路65に出力する。ヒート回路65は、データラッチ64から出力された吐出データや、記録ヘッドの吐出エネルギー発生素(ヒータ)を発熱させる時間に対応するヒートパルス幅情報を受信し、受信した情報に基づいて吐出エネルギー発生素子を選択的に駆動し、インクを吐出させる。
【0026】
記録装置本体10は、ACアダプタ53による出力電圧VDCを用いた駆動と、バッテリーパック54の出力電圧VBATを用いた駆動とが可能である。記録装置本体10の駆動に用いる出力電圧VDCと出力電圧VBATは、電源切替回路66によって選択的に切り替えられる。本実施形態においては、ACアダプタ53とバッテリーパック54の両方が記録装置本体10に接続されている場合、ACアダプタ53の出力電圧VDCによって記録装置が駆動されるように電源切替回路66を制御する。電源切替回路66から出力された電圧は、昇圧回路67によって、記録ヘッドのヒータ(吐出エネルギー発生素子)による加熱を行うための電圧(ヒート電圧VI1)へと昇圧される。ヒート電圧SW68は、ヒート回路65に対してヒート電圧VIIの供給/遮断(ON/OFF)を行う。このヒート電圧SWのON/OFF制御は、ASIC50に搭載されているヒート電圧制御部69からの指示によって行われる。また、降圧回路70は、昇圧回路67から出力された電圧VMを降圧させて、ASIC50やヘッドユニット51で使用するロジック電源電圧VDDを生成する。
【0027】
バッテリーパック54は、充電可能であり電源となるLiB(LitiumIon Battery)71、保護IC72、BMU70(Battery Management Unit)73、充電IC74、放電SW75及びVBUS検知回路76を有している。保護IC72は、LiB71の過放電、過充電、過電流等の異常動作を保護するための機能を備えたICであり、バッテリーパック54に搭載されたプロセッサである。BMU73は、主にLiB71の放電及び充電を制御するためのユニットである。また、BMU73は、ASIC50に搭載されたバッテリーI/F78を介して通信を行い、ASIC50からのコマンドによってLiB71の放電及び充電の制御を行う。本実施形態では、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)方式でBMU73とASIC50との通信が行われる。
【0028】
充電IC74は、BMU73からの指示に従ってLiB71への充電電流の制御や充電のON/OFF等の制御を行い、ACアダプタ53による電圧VDCと、ホストPC52のUSBによる電圧VBUSの双方を電源として充電することが可能である。また、充電IC74はバスSW56を介してD+D-ピンと接続され、USB充電の際に給電元のホストPC52やUSBデバイスに合わせた充電電流の判定を行う。
【0029】
以上の充電構成におけるUSB充電では、ホストPC52がホスト機器であり、プリンタ本体10とバッテリーパック54がそれぞれシンク機器となる。この構成に関して、プリンタ本体10におけるI/Fコネクタ15はUSBケーブル接続を行うための、CC、GND、VBUS、D‐、D+それぞれの端子が設けられている。また、プリンタ本体10のI/Fコネクタ15、バッテリーパック54間には上記CC端子とGND端子間の状態を接続(接地)/非接続(非接地)とするためのスイッチ83が設けられている。
【0030】
バッテリーパック54のType-Cコントローラ79は、上述のCC端子、この端子と一端が接続され他端がGNDに接続するプルダウン抵抗80を備え、これにより、コントローラ回路がプルダウンされた構成とされている。Type-Cコントローラ79は、接続しているホスト機器がType-C機器である場合は、CC端子の電圧状態を認識することによってホスト機器の給電能力情報を取得することができる。なお、Type-C機器では接続するケーブルの表裏を識別するためCC端子は2つ存在し、ケーブルの接続向きによって有効なCC端子が決定する。本実施形態ではバッテリーパック54は取り外し可能に構成されていることから、バッテリーパックが挿入されていない(取り外されている)場合においてもUSB検知が可能となるようプリンタ側にもプルダウン抵抗81を設けている。また、バッテリーパック54は、挿入検知部82を備え、これにより、プリンタ本体10は、バッテリーパックが挿入されたことを認識できる。すなわち、挿入検知部82の信号はプリンタ本体10のASIC50にバッテリーパック54の挿抜状態を検知させるのに加え、プリンタ本体10のGND部84とプルダウン抵抗81と間の接続状態を示すスイッチ83の状態を変更する。
【0031】
本実施形態は、
図4などで後述されるように、ホストPC52に対して、それぞれシンク機器としてのプリンタ本体10がバッテリーパック54が接続された状態で接続された場合、プリンタ本体10におけるCC端子のプルダウン抵抗を無効とする。プリンタ本体10におけるプルダウン抵抗を無効とするとはすなわち、プリンタ本体10におけるプルダウン抵抗の接地状態を変更する。より具体的には、CC端子を介して流れる電流がプリンタ本体10におけるプルダウン抵抗に流れないようにし、当該電流がバッテリーパック54におけるプルダウン抵抗にのみ流れるようにする。そして、ホストPC52に対して、それぞれシンク機器としてのプリンタ本体10がバッテリーパック54が接続されていない状態で接続された場合、プリンタ本体10におけるCC端子のプルダウン抵抗を有効とする。プリンタ本体10におけるプルダウン抵抗を有効とするとはすなわち、CC端子を介して流れる電流がプリンタ本体10におけるプルダウン抵抗に流れるようにする。
【0032】
上述したとおり、ホスト機器であるホストPCに複数のシンク機器(プリンタ本体10、バッテリーパック54)に接続された状態では、シンク機器のCC端子のプルダウン抵抗が並列に接続する状態となりそれぞれの電圧が分圧されたものになる。その結果、CC端子の電圧値による識別に誤検知を生じ、USBによる電力供給が停止されるなどのエラーが生じる。
【0033】
ところでこの問題は、根本的に、プルダウン抵抗をホスト側と直接接続されているシンク機器に設け、それ以外のシンク機器にはプルダウン抵抗を設けないことで解決できる。しかしながら、ホスト機器と直接接続するシンク機器が電流制御を必要とせず、並列で接続される取り外し可能なシンク機器が電流制御を必要とする場合、上述した対策が最適な解決策とは限らない。それは、供給電流を制御するType-CコントローラにはCC端子のプルダウン抵抗が内蔵されている場合があり、取り外し可能なシンク機器にType-Cコントローラがある場合に接続されると合成抵抗による分圧が生じてしまう。また、電流制御の不必要なシンク機器に対してType-Cコントローラを設ける場合、過剰スペックになるとともにコストアップおよび部品増大に伴う基板面積増大につながる問題も懸念される。
【0034】
本実施形態は、
図4などで後述される構成によって、このような派生的な問題をも解決し、CC端子の電圧値による識別を正確に行うものである。
【0035】
図3を再び参照すると、本実施形態ではUSB-BC(USB Battery Charge)規格に準じた判定(以下BCS判定という)を行っている。
【0036】
判定結果はSDP(Standard Downstream Port)、CDP(Charging Downstream Port)、DCP(Dedicated
Charging Port)の3種類である。本実施形態ではSDPの場合はエニュメレーション処理完了後500mAの電流で、CDP及びDCPの場合は1.5Aの電流で充電を許可する制御を行う。
【0037】
BCS判定を行うタイミングは、バッテリーI/F78を介してASIC50から制御可能である。またBCS判定結果は、BMU7073及びバッテリーI/F78を介してASIC50に送信される。放電SW75はLiB71の電圧をON/OFFするためのスイッチであり、BMU7073によって制御される。VBUS検知回路76は、記録装置本体10のI/Fコネクタ15に対してホストPC52やUSBデバイスが接続されたことを検知するための回路であり、検知結果はBMU70に送信される。また、ASIC50にはホストPC52が接続された際に、ホストPC52とのエニュメレーション処理を行うためのエニュメレーション処理部77が搭載されている。エニュメレーション処理の完了を示す情報はバッテリーI/F78を介してBMU7073に通知される。本実施形態では、BMU7073はエニュメレーション処理の完了を示す情報、及びBCS判定結果を示す情報を元に充電IC74に対して充電電流の設定を行う。
【0038】
本発明の課題について詳しく説明する。本実施形態では、記録装置PRIは、USB接続を介して、バッテリーパック54の充電及び印刷データの通信とを実行可能である。記録装置PRIは、記録装置本体10にバッテリーパック54が取り付けられている状態で、USB接続が行われた場合には、バッテリーパック54への充電を行うために当該USB接続が行われたことを検知する必要がある。なお上述したように、記録装置PRIは、USB接続を介して、印刷データの通信も実行する。そのため、記録装置本体10にバッテリーパック54が取り付けられておらず、充電が行われる必要がない場合においても、データ通信を開始するために、当該USB接続が行われたことを、記録装置PRIあるいは、記録装置PRIとUSB接続した装置が検知する必要がある。そして、記録装置PRIは、当該検知のために、USB接続を介して記録装置PRIに対して流れ込んでいる電流が流れるプルダウン抵抗の電圧値を測定する。ところで本実施形態では、バッテリーパック54が取り外し可能であるが、そのような形態では、USB接続を介して記録装置PRIに対して流れ込んでいる電流が流れるプルダウン抵抗がバッテリーパック54にだけ存在する場合、バッテリーパック54が取り外されていると、記録装置PRIあるいは記録装置PRIとUSB接続した装置は、USB接続が行われたことを検知することができない。そのため、バッテリーパック54が取り外し可能な形態では、USB接続を介して記録装置PRIに対して流れ込んでいる電流が流れるプルダウン抵抗がバッテリーパック54と、記録装置本体10の両方に存在することが好ましい。USB接続を介して記録装置PRIに対して流れ込んでいる電流が流れるプルダウン抵抗がバッテリーパック54と、記録装置本体10の両方に存在する例を、
図8に示す。
【0039】
図8においては、記録装置本体10(プリンター本体)にプルダウン抵抗RD1が、バッテリーパック54(バッテリー)にプルダウン抵抗RD2が存在している。しかしながら、
図8(a)に示すような形態では、記録装置本体10にバッテリーパック54が取り付けられている形態では、USB接続を介して記録装置PRIに対して流れ込んでいる電流が流れる回路においてプルダウン抵抗が並列に接続する状態となりそれぞれの電圧が分圧されたものになる。すなわち、USB接続を介して記録装置PRIに対して供給されている電力に相当する電圧値を正確に測定できない。そこで本実施形態では、
図8(B)に示すような構成をとる。すなわち、記録装置本体10(プリンター本体)側に、プルダウン抵抗RD1に電流を流すか否かを制御可能なスイッチSWを設ける。そして、記録装置本体10にバッテリーパック54が取り付けられている形態では、スイッチSWをOFFし、プルダウン抵抗RD1に電流が流れないようにする。また、記録装置本体10にバッテリーパック54が取り付けられていない形態では、スイッチSWをONし、プルダウン抵抗RD1に電流が流れるようにする。このような形態とすることで、CC端子の電圧が分圧されて測定されることを抑制できる。
図4は、本発明の一実施形態に係るプリンタハードオフ(電源OFF)状態におけるUSB充電の処理を示すフローチャートである。この処理は、プリンタ本体10のASIC(制御手段)50によって実行される。
【0040】
先ず、バッテリーパック54(補助電源)が取り付けられている(挿入されている)か否かを判断する(S102)。これは、上述したように、バッテリーパック54の挿入検知部82からの信号をプリンタ本体10のASIC50が検知することで判定が可能である。バッテリーパック54がプリンタ本体10に取り付けられていない場合は、USB接続に用いられるCC端子に接続する抵抗であり、プリンタ本体10内に存在するプルダウン抵抗RD1を有効(プルダウンスイッチをON)とし(S103)、充電動作は行わずに(S104)本処理を終了する。
【0041】
一方、バッテリーパック54が挿入されている場合は、プルダウン抵抗RD1を無効(プルダウンスイッチをOFF)とする(S105)。これにより、USB接続に用いられるCC端子に接続する抵抗であり、バッテリー内に存在するType-Cコントローラ79に設けられたプルダウン抵抗RD2が有効となる。
【0042】
次に、ACアダプタ63の接続判定を行う(S106)。上述のとおり、本実施形態は、ACアダプタ53とバッテリーパック54の両方が挿入されている場合(S106でYES)、電力供給はAC充電へ移行する(S107)。一方、ACアダプタ53が挿入されていない場合、USBデバイスの接続の有無を検知する(S108)。USBデバイスが接続されていない場合、充電をせずに(S104)、本処理を終了する。
【0043】
一方、USBデバイスが接続されている場合、Type-Cコントローラ79に設けられた、バッテリーパック54のCC端子の電圧値を読みとる(S109)。上述したとおり、ここではプルダウン抵抗RD1は無効となっているためプルダウン抵抗RD2が有効である。
【0044】
この状態で、Type-Cコントローラ79はプルダウンのCC端子の電圧値(CC端子とプルダウン抵抗RD2の間の回路の電圧値)を読み取る、レガシー判定を行う(S109)。その後、読み取った電圧値に応じて、500mA充電(S112)、1.5A充電(S113)の充電に切り替える(S111)。
図5は、シンク機器(バッテリーパック54)のプルダウン抵抗値(電圧値)に対応する供給電力の規格値および実施例値との関係を示す図である。シンク機器のプルダウン抵抗値に応じて、供給電力の規格値は500mA,1.5A、3.0Aになるが、実施例値は、供給電力の規格値が500mAに対して500mA、規格値が1.5A、3.0Aに対して1.5Aになる。
【0045】
以上の処理によれば、ホストPCに複数のシンク機器(プリンタ本体10、バッテリーパック54)に接続された状態で、プルダウン抵抗RD1を無効にした状態でCC端子の電圧値を検出することができる。これにより、CC端子の電圧値を精度よく検出でき、USBによる電力供給が停止されるなどを未然に防止することができる。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態に係る、ACアダプタによるプリンタ駆動時のUSB印刷の処理を示すフローチャートである。この処理は、プリンタ本体10のASIC50によって実行される。
【0047】
ACアダプタ53の電源によるプリンタ駆動状態(ソフトオン時;S201)において、先ず、バッテリーパック54(補助電源)の挿抜を検知する(S202)。補助電源が挿入されている場合(S202でYES)、プルダウン抵抗RD1を無効とする(S203)。これにより、プルダウン抵抗RD2が有効となり、このプルダウンを介してバッテリーパック54がシンク機器として認識される(S204)。
【0048】
一方、補助電源が挿入されていない場合(S202でNO)、プリンタ本体10のCC端子のプルダウンをONとし(S205)、これにより、プリンタ側のプルダウンを介してプリンタ本体10がシンク機器として認識される(S206)。
【0049】
プリンタ側、補助電源側いずれかのCC端子のプルダウンによって正常な電圧値の認識がされた後、ホスト機器であるホストPC52のVBUSによって電力が供給され、VBUS検知回路によってホストPCやUSBデバイスが接続されたことを検知する。その後、印刷用データがASICへ送信され(S207)、印刷状態へ遷移する(S208)。
【0050】
図7は、本発明の一実施形態に係るバッテリー駆動によるプリンタ駆動時のUSB印刷時のフローチャートである。この処理は、プリンタ本体10のASIC50によって実行される。
【0051】
バッテリーパック54の電源によるプリンタ駆動(ソフトオン時)では(S301)、先ず、プルダウン抵抗RD1を有効とする(S302)。従って、プルダウン抵抗RD2が有効となり、バッテリー側のプルダウンによってバッテリーパック54がシンク機器として認識される(S303)。これによって正常なCC端子の電圧値の認識がされると、ホスト機器のVBUSから電力が供給され、VBUS検知回路によってホストPCやUSBデバイスが接続されたことを検知する。その後、印刷用データがASIC50へ送信され(S304)、印刷状態へ遷移する(S305)。
【0052】
以上説明した本発明の実施形態によれば、ホスト機器に対してシンク機器が複数接続された構成によるUSB電力供給において、複数シンク機器のいずれかのCC端子のプルダウンを有効とし、その他のCC端子のプルダウンを無効とする。これにより、プルダウンが有効なCC端子から適切な電圧を確実に認識でき、ホスト機器からの充電電流を適切な値に設定することが可能となる。
【0053】
なお、以上説明した実施形態は、プルダウン抵抗を用いてCC端子の電圧を検知するものとしたがこの形態に限られないことはもちろんである。プルアップ抵抗を用いてCC端子の電圧を検知する構成であっても本発明を適用することができる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 インクジェットプリンタ(装置本体)
15 I/Fコネクタ
50 ASIC
52 ホストPC
53 ACアダプタ
54 バッテリーパック
66 電源切替回路
74 充電IC
76 VBUS検知
79 Type-Cコントローラ
80 Type-Cコントローラ内部のプルダウン抵抗
81 装置本体のプルダウン抵抗
82 バッテリー挿抜検出部
83 スイッチ
84 装置本体のGND部