(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】センサユニット及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240109BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240109BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H7/14
G03G21/16 104
B41J29/48 E
(21)【出願番号】P 2020020190
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2019032128
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 修
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-344393(JP,A)
【文献】特開2003-255753(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0049995(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0035540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
G06G 13/00
G03G 13/20
G03G 15/00
G03G 15/20
G03G 21/16-21/18
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートのジャムを検知するセンサユニットであって、
第1位置と、前記第1位置とは回動方向の位置が異なる第2位置とに位置し、回動可能な第1移動部材と、
前記第1移動部材の回動方向の位置を検知するためのセンサと、
シートの移動を案内するガイド機能を有し、第3位置と前記第3位置とは異なる第4位置とに移動可能な第2移動部材と、を備え、
前記第1移動部材には、前記第1移動部材に対する位相が第1位相と前記第1位相とは異なる第2位相とに移動可能であり、前記センサによって検知される被検知部材と、前記第1移動部材に対して前記第1位相となる方向へ前記被検知部材を付勢する付勢部材と、が設けられ、
シートが前記第2移動部材に沿って正常に搬送されているとき、前記第1移動部材は前記第1位置に位置し、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が第1状態であり、
シートが搬送されていないときであって、前記第1移動部材が前記第2位置に位置するとき、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態とは逆の第2状態であり、
前記第1移動部材が前記第1位置に位置しており、かつジャムしたシートに押されて前記第2移動部材が前記第3位置から前記第4位置に移動したとき、前記被検知部材が前記第2移動部材に押されて前記第1位相とは異なる第2位相に移動することによって、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態から前記第2状態へ変化し、前記センサの出力が変化する、ように構成されている、
ことを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
シートが前記第2移動部材に沿って正常に搬送されているとき、前記センサの出力は第1出力であり、
シートが搬送されていないときであって、前記第1移動部材が前記第2位置に位置するとき、前記センサの出力は前記第1出力とは異なる第2出力であり、
前記第2移動部材が前記第3位置から前記第4位置に移動したとき、前記センサの出力は前記第1出力から前記第2出力へ変化する、ように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
シートに画像を形成する画像形成装置であって、
シートに画像を形成する画像形成部と、
シートのジャムを検知するセンサユニットと、を備え、
前記センサユニットは、
第1位置と、前記第1位置とは回動方向の位置が異なる第2位置とに位置し、回動可能な第1移動部材と、
前記第1移動部材の回動方向の位置を検知するためのセンサと、
シートの移動を案内するガイド機能を有し、第3位置と前記第3位置とは異なる第4位置とに移動可能な第2移動部材と、を備え、
前記第1移動部材には、前記第1移動部材に対する位相が第1位相と前記第1位相とは異なる第2位相とに移動可能であり、前記センサによって検知される被検知部材と、前記第1移動部材に対して前記第1位相となる方向へ前記被検知部材を付勢する付勢部材と、が設けられ、
シートが前記第2移動部材に沿って正常に搬送されているとき、前記第1移動部材は前記第1位置に位置し、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が第1状態であり、
シートが搬送されていないときであって、前記第1移動部材が前記第2位置に位置するとき、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態とは逆の第2状態であり、
前記第1移動部材が前記第1位置に位置しており、かつジャムしたシートに押されて前記第2移動部材が前記第3位置から前記第4位置に移動したとき、前記被検知部材が前記第2移動部材に押されて前記第1位相とは異なる第2位相に移動することによって、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態から前記第2状態へ変化し、前記センサの出力が変化する、ように構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
シートに形成された画像をシートに定着する定着ユニット、を更に備え、
前記定着ユニットは、
第1ニップ形成部材と、
前記第1ニップ形成部材との間で画像を担持するシートを挟持搬送する定着ニップ部を形成する第2ニップ形成部材と、
前記定着ニップ部に掛る圧力を解除するための圧解除カムと、を有し、
前記第1移動部材は、前記圧解除カムであり、
前記第1位置は、前記定着ニップ部に定着処理時の圧力が掛るときの位置であり、
前記第2位置は、前記定着処理時の圧力が解除されたときの位置である、ように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の枠体に対して開閉可能に設けられたドアと、
前記ドアの開閉に伴って前記第1位置と前記第2位置とに回転する回転部材と、を更に備え、
前記第1移動部材は、前記回転部材であり、
前記第1位置は、前記ドアが前記画像形成装置の枠体に対して閉じたときの位置であり、
前記第2位置は、前記ドアが前記画像形成装置の枠体に対して開いたときの位置である、ように構成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
シートに形成された画像をシートに定着する定着ユニットと、
前記定着ユニットへシートを案内するガイドと、を更に備え、
前記第2移動部材は、前記ガイドである、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのジャムを検知するセンサユニット、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成機構を備える複写機やプリンタは、画像をシートに定着させる定着ユニットを有する。このような定着ユニットでは、トナー画像が転写されたシートを加圧部材と加熱部材との間のニップ部で挟持して搬送し、加熱及び加圧することにより、トナーをシートに定着させている。
【0003】
このような定着ユニットには、搬送経路におけるシート詰まり、いわゆるジャムの発生を検知するセンサが設けられている。定着ユニット内部においてジャムが発生したときには、ニップ部に掛る圧力を解除した方がシートを取り除きやすいという利点がある。
【0004】
ニップ部に掛る圧力を解除するための機構に偏心カムを用いることが知られている(特許文献1)。このように偏心カムを動かす場合、加圧部材と加熱部材とが加圧状態であるのか、または、ニップ部に掛る圧力が解除された圧解除状態であるのかを正確に判別する必要がある。そこで、定着ユニットには、偏心カムの回転位相を検知するセンサも搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
なお、上記のセンサ以外にも、シート搬送のタイミングを検知するセンサや枠体のドア部の開閉を検知するセンサなど、画像形成装置には、装置の様々な挙動を検知するために、様々なセンサが設けられている。しかし、検知対象の挙動ごとにセンサを設けた場合、たくさんのセンサを搭載しなければならず、装置の大型化やコストアップが避けられないといった問題が生じうる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、装置の複数の挙動を検知可能とするセンサユニット、及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートのジャムを検知するセンサユニットであって、第1位置と、前記第1位置とは回動方向の位置が異なる第2位置とに位置し、回動可能な第1移動部材と、前記第1移動部材の回動方向の位置を検知するためのセンサと、シートの移動を案内するガイド機能を有し、第3位置と前記第3位置とは異なる第4位置とに移動可能な第2移動部材と、を備え、前記第1移動部材には、前記第1移動部材に対する位相が第1位相と前記第1位相とは異なる第2位相とに移動可能であり、前記センサによって検知される被検知部材と、前記第1移動部材に対して前記第1位相となる方向へ前記被検知部材を付勢する付勢部材と、が設けられ、シートが前記第2移動部材に沿って正常に搬送されているとき、前記第1移動部材は前記第1位置に位置し、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が第1状態であり、シートが搬送されていないときであって、前記第1移動部材が前記第2位置に位置するとき、前記被検知部材は前記第1位相に位置し、前記第2移動部材は前記第3位置に位置し、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態とは逆の第2状態であり、前記第1移動部材が前記第1位置に位置しており、かつジャムしたシートに押されて前記第2移動部材が前記第3位置から前記第4位置に移動したとき、前記被検知部材が前記第2移動部材に押されて前記第1位相とは異なる第2位相に移動することによって、前記センサに対する前記被検知部材の作用/非作用の状態が前記第1状態から前記第2状態へ変化し、前記センサの出力が変化するように構成されていることを特徴とするセンサユニット及び、これを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の複数の挙動を検知可能とするセンサユニット及び、これを備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態1に係る画像形成装置の概略断面図。
【
図3】実施形態1に係る定着ニップ部付近の概略断面図。
【
図4】実施形態1に係る圧解除カムに対する被検知フラグの位相を示す図(a、b)。
【
図5】実施形態1に係る制御部の機能構成を示す制御ブロック図。
【
図6】実施形態1に係る加熱ユニットと加圧ローラとが当接しているときの定着手段の概略断面図。
【
図7】実施形態1に係る加熱ユニットと加圧ローラとが離間しているときの定着手段の概略断面図。
【
図8】実施形態1に係る圧解除センサによる検知態様を示すシーケンス図。
【
図9】実施形態1に係るジャム検知時の定着ニップ部付近の概略断面図。
【
図10】実施形態1に係る加熱ユニットと加圧ローラとの当接離間、及び、定着ニップ部付近におけるジャム発生の有無を判定する処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】実施形態2に係る転写ニップ部から定着ニップ部間のシート搬送経路を示す概略断面図。
【
図12】実施形態2に係るリアドア部閉鎖時の定着ニップ部付近の概略断面図。
【
図13】実施形態2に係る回転部材に対する被検知フラグの位相を示す図(a、b)。
【
図14】実施形態2に係る制御部の機能構成を示す制御ブロック図。
【
図15】実施形態2に係るリアドア部開放時の定着ニップ部付近の概略断面図。
【
図16】実施形態2に係るジャム検知時の定着ニップ部付近の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
はじめに、実施形態1に係るセンサユニット100を含む画像形成装置について説明する。
図1は、センサユニット100(
図3参照)を含む本実施形態の画像形成装置としてのフルカラーレーザビームプリンタ(以下、「プリンタ200」という)の概略断面図である。
図1に示すように、プリンタ200には、プリンタ200全体の動作を制御する制御部110(
図5参照)と、シート2に画像を形成する画像形成手段としての画像形成部210とが設けられている。
【0012】
まず、プリンタ200におけるシート2の搬送経路の構成について説明する。プリンタ200には、給送トレイ1と、給送ローラ3と、搬送ローラ4と、排出ローラ15と、排出コロ16とが設けられている。給送トレイ1に収納されているシート2は、給送ローラ3によって搬送ローラ4に向かって給送され、搬送ローラ4により、ベルト内駆動ローラ5と二次転写ローラ6によって形成される転写ニップ部Tに搬送される。シート2には転写ニップ部Tにおいて、画像形成部210で形成された画像がシート2に対して転写される。
【0013】
次に、画像形成部210の構成について説明する。画像形成部210は、ベルト内駆動ローラ5、二次転写ローラ6、レーザスキャナ8、感光体ドラム7Y、7M、7C、7K、現像ローラ9Y、9M、9C、9K、を備える。また、画像形成部210は、一次転写ユニット10Y、10M、10C、10Kと、中間転写ベルト11と、テンションローラ12とを備えている。画像形成部210は、4つの感光体ドラムを用いるフルカラー方式のものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー画像がそれぞれ形成される。
【0014】
画像形成部210では、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの外周面に対してレーザスキャナ8から照射されたレーザ光により、色ごとに静電潜像が形成される。そして、これらの静電潜像は、現像ローラ9Y、9M、9C、9Kが供給するYMCKの各色のトナーによって現像され、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kにそれぞれトナー像が形成される。感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kに形成されたトナー像は、一次転写ユニット10Y、10M、10C、10Kによって転写バイアスが印加されながら押圧されることにより、中間転写ベルト11に転写される。中間転写ベルト11は、ベルト内駆動ローラ5とテンションローラ12とに巻き掛けられており、不図示の駆動部により駆動されるベルト内駆動ローラ5により、
図1中、時計まわりに回転する。
【0015】
なお、中間転写ベルト11は、ベルト内駆動ローラ5により、感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kの表面の移動速度と略同じ速度で移動する。そして、感光体ドラム7Y、7M、7C、7K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ユニット10Y、10M、10C、10Kによって、順次、中間転写ベルト11に転写される。このようにして中間転写ベルト11上に、各色のトナーによるカラー画像が形成される。中間転写ベルト11に形成されたトナー像は、ベルト内駆動ローラ5と二次転写ローラ6との転写ニップ部Tにおいて、シート2に対して一括転写される。この転写ニップ部Tから、シート2の搬送方向下流には、加熱ユニット13と、加圧ローラ14とを有する定着ユニット220が設けられている。
【0016】
転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシート2は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とよって形成される定着ニップ部Fへと搬送される。そしてシート2は、定着ニップ部Fにおいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14とによって挟持搬送され、加熱及び加圧される。トナーは、加熱及び加圧により、溶融してシート2に固着する。定着ニップ部Fでは、このようにして、トナー画像がシート2に定着される。トナー画像が定着されたシート2は、排出ローラ15及び排出コロ16により、プリンタ200の筐体外部へと排出される。
【0017】
なお、画像形成部210は、記録媒体としてのシートに画像を形成可能な画像形成手段の一例であり、上述の中間転写体を含む中間転写方式以外にも、直接転写方式の構成を用いてもよく、インクジェット方式等、他の画像形成機構を用いてもよい。さらに、プリンタ200に正逆転可能な反転ローラ対や再搬送通路等を設け、一面(例えば、表面)に画像が形成されたシート2を再度、画像形成部210に搬送してシート2の両面に画像形成を実行可能とする構成にしてもよい。
【0018】
次に、本実施形態に係る定着ユニット220について説明する。
図2は、定着ユニット220の要部を示す概略構成図である。定着ユニット220は、加熱ユニット(第1ニップ形成部材)13と、加圧ローラ(第2ニップ形成部材)14と、センサユニット100(
図3参照)と、加圧ばね22と、加圧板23と、力受けブロック24とを備える。加熱ユニット13は、円筒状の定着フィルム18、定着フィルム18に内接し、定着フィルム18を加熱するヒータ19、耐熱性を有するホルダ20、剛性を有するステイ21を有する。定着フィルム18は、例えば、高耐熱、高熱伝導性を有する薄肉円筒状のプラスチックフィルムなどである。ヒータ19は、例えば、セラミックヒータやカーボンヒータなどであって、図示しない電源による通電により発熱する熱源である。また、ヒータ19は、ホルダ20の溝部に嵌めて固定された状態で支持されている。定着フィルム18は、ヒータ19と、ホルダ20と、ステイ21との外周を覆う形で取り付けられており、回転運動が可能になっている。
【0019】
加熱ユニット13は、加圧ばね22の力を、加圧板23と力受けブロック24とを介して受けることによって、加圧ローラ14に当接可能(定着ニップ部Fを形成可能)なように構成されている。加圧ローラ14は、芯金14aと、この芯金14aの外周にローラ状に成形されたゴム層14bとを有する。したがって、加圧ローラ14の表面は弾性を有しているため、加熱ユニット13と加圧ローラ14とは、所定の幅を持つ定着ニップ部Fを形成し、所定の圧で圧接可能に設けられている。
【0020】
また、本実施形態においては、加圧ばね22が収縮しているときには、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが圧解除状態となる。圧解除状態とは、加熱ユニット13と加圧ローラ14とによって定着ニップ部Fに掛る圧力が解除された状態のことを指し、本実施形態では、例えば、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間した状態のことを指す。加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接しているが、定着に適した圧力が定着ニップ部Fに掛っていない状態も圧解除状態である。一方で、加圧ばね22が伸長しているときには、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが加圧状態となる。加圧状態とは、加熱ユニット13と加圧ローラ14とによって定着に適した圧力が定着ニップ部Fに掛っている状態のことを指す。加圧ローラ14は、加熱ユニット13と当接した状態で、加圧ローラ回転モータ140(
図5参照)によって所定の周速度で回転駆動される。そして、加圧ローラ14の回転により、定着フィルム18と加圧ローラ14との間で摩擦力が発生する。この摩擦力により、定着フィルム18は、加圧ローラ14の回転に従動した回転運動を行う。そして、ヒータ19が通電及び加熱された状態のまま、加圧ローラ14と定着フィルム18とを回転させ、定着フィルム18と加圧ローラ14との間の定着ニップ部Fに、未定着のトナー像が担持されたシート2を搬送する。そして、上述したように、定着ニップ部Fにおいて、トナー像がシート2に定着される。
【0021】
トナー像がシート2に定着された後、シート2は曲率分離され、定着ニップ部Fから、シート2の搬送方向下流に向かって搬送される。このとき、シート2は、検知ガイド31(
図3参照)等のガイド機能を有するガイド部材によって排出ローラ15と排出コロ16との間のニップ部に誘導される。ニップ部に誘導されたシート2は、排出ローラ15と排出コロ16とによって挟持された状態で搬送され、シート排出積載台17に排出される。なお、加熱ユニット13及び加圧ローラ14の構成として、ローラなどの回転体対の内部に熱源を設け、回転体対にシートを挟持させた状態でシートを加熱し、トナー像をシートに定着させる構成を用いてもよい。
【0022】
次に、本実施形態に係るセンサユニット100の構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係るセンサユニット100が設置された定着ユニット220の断面図である。センサユニット100は、回転軸25と、圧解除カム(第1移動部材)26と、被検知フラグ(被検知部材)27と、フラグばね(付勢部材)28と、圧解除センサ(センサ)29と、を備える。また、センサユニット100は、圧解除センサ29の一部でありフラグばね28に作用するレバー部29aと、及び検知ガイド(第2移動部材)31とを備える。
図3に示すように、回転軸25は、加圧板23の近傍に配置され、圧解除カム26は、回転軸25を中心として回転する回転部材である。また、圧解除カム26は、本実施形態に係る第1移動部材である。なお、
図3は、シート2が検知ガイド31に沿って正常に搬送されているときの図でもある。
【0023】
圧解除カム26には、被検知フラグ27と、フラグばね28とが取り付けられている。被検知フラグ27は、回転軸25を中心として圧解除カム26の回転方向に向かって移動可能なように、機械的なガタを持った状態で圧解除カム26に支持されている。このガタによって、被検知フラグ27は、圧解除カム26に対して相対移動可能であり、圧解除カム26に対して、少なくとも2つの位置(
図4(a)の位置(第1位相)と
図4(b)の位置(第2位相))を取ることができる。また、被検知フラグ27は、圧解除カム26の回転に伴って、圧解除カム26との相対位置を変えないまま、例えば、第1位相のまま、圧解除カム26と共に回転可能に設けられている。被検知フラグ27が圧解除カム26の回転に伴って回転する構成としては、例えば、回転軸25の軸方向に溝を設け、この溝に嵌合するような突起を圧解除カム26及び被検知フラグ27の回転軸25と当接する箇所に設けるようにしてもよい。また、圧解除カム26と被検知フラグ27の回転軸25の当接する箇所に溝を設け、この溝に嵌合するような突起を回転軸25に設けるようにしてもよい。このようにすることで、回転軸25を回転させて圧解除カム26が回転するのに伴って被検知フラグ27が回転する。
【0024】
ここで、被検知フラグ27と圧解除カム26との相対的な位置関係について、
図4を参照して説明する。
図4(a)は、フラグばね28が伸長しているときの被検知フラグ27と圧解除カム26との相対的な位置(第1位相)を示す図である。フラグばね28は圧縮バネであり、フラグばね28は、被検知フラグ27の突出部27aが圧解除カム26のばね座面26zから離れる方向に被検知フラグ27を付勢している。
図4(b)は、フラグばね28が収縮しているときの被検知フラグ27と圧解除カム26との相対的な位置(第2位相)を示す図である。フラグばね28は、
図4(a)に示すように、被検知フラグ27と圧解除カム26のばね座面26zとの間に設けられている。このような構成により、被検知フラグ27は、付勢部材としてのフラグばね28によって付勢され、圧解除カム26に対する相対的な位置が一定の位置(第1位相)となるように配置される。本実施形態においては、フラグばね28が伸長しているときの圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相を第1位相とする。第1位相にある被検知フラグ27に対して、フラグばね28が収縮する方向に向かって所定の大きさの力(後述する力F31(
図19))が加わると、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の相対的な位置は、
図4(a)から
図4(b)に示す位置へと変化する。本実施形態においては、フラグばね28が収縮しているときの圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相を第2位相とする。
【0025】
したがって、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の相対的な位置が変化するのは、被検知フラグ27に対するフラグばね28の付勢力よりも大きい力が、フラグばね28の収縮方向に向かって被検知フラグ27に対して加わったときである。このような場合、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相は、第1位相から第2位相に変化する。一方で、フラグばね28の収縮方向に向かって被検知フラグ27に対して加わっていたフラグばね28の付勢力よりも大きい力が作用しなくなったとき、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相は、第2位相から第1位相に変化する。
【0026】
図3に戻って説明を続ける。
図3に示すように、被検知部材である被検知フラグ27の移動軌跡上には、レバー部29aが設置されている。レバー部29aは圧解除センサ29の一部であり、被検知フラグ27に作用する位置(接触する位置)と作用しない位置(接触しない位置)に移動可能な作用部である。圧解除センサ29は、例えば、レバー部29aと被検知フラグ27との当接の有無に応じて、制御部110(
図5参照)に対して出力する信号のONとOFF(第1出力と第2出力)とを切り替えるスイッチを備えたセンサである。圧解除センサ29に対する被検知フラグ27の作用/非作用の状態は、レバー部29aと被検知フラグ27との当接の有無に応じて変化する。例えば、
図3に示すように、レバー部29aに対して被検知フラグ27が当接しており、レバー部29aが
図3、
図6、及び
図6の斜視図である
図17の位置に位置するとする。この場合、スイッチがON状態となり、圧解除センサ29は制御部110に対してON信号(本実施形態では第1出力)を出力する。このときの圧解除センサ29によって検知される被検知フラグ27の位置を、「検知可能位置」とする。検知可能位置は、本実施形態における「第1検知位置(第1状態)」である。
【0027】
一方で、レバー部29aに対して被検知フラグ27が当接しておらず、レバー部29aが
図7及び
図7の斜視図である
図18の位置に位置するとする。この場合、スイッチがOFF状態となり、圧解除センサ29は制御部110に対してOFF信号(本実施形態では第2出力)を出力する。このときの圧解除センサ29によって検知されない被検知フラグ27の位置を、「検知不能位置」とする。検知不能位置は、本実施形態に係る「第2検知位置(第2状態)」である。このように、「第1検知位置」と「第2検知位置」とは、圧解除センサ29が出力する信号がそれぞれの位置で異なるときの被検知フラグ27の位置を指す。本実施形態において、「第1状態」は、圧解除センサ29に対して被検知フラグ27が作用する状態(作用状態)を指し、「第2状態」は、圧解除センサ29に対して被検知フラグ27が作用しない状態(非作用状態)を指す。
【0028】
なお、圧解除センサ29として、上述したような接触検出式のセンサ以外にも、フォトインタラプタなどの光学センサや、被検知フラグ27の位置を検知可能なその他のセンサを用いてもよい。その他のセンサを用いた場合であっても、「第1検知位置」及び「第2検知位置」とは、センサの出力する信号が互いに異なる被検知部材の位置を指す。例えば、センサが被検知部材を検知可能な位置が予め決まっている場合、センサによって検知される被検知フラグ27の位置が「第1検知位置」であり、センサによって検知されない被検知フラグ27の位置が「第2検知位置」である。
【0029】
次に、本実施形態に係るプリンタ200の動作を制御する制御部110の構成について説明する。
図5は、制御部110の構成を示す制御ブロック図である。本実施形態に係る制御手段である制御部110は、演算手段としてのCPU、CPUが演算を行う際の作業領域であるRAM、CPUが実行するプログラムなどが格納されるROM、情報を記憶する各種の記憶媒体などのハードウェアを有する。制御部110には、圧解除センサ29からON信号とOFF信号とが入力される。また、
図5に示すように、制御部110は、回転制御部111、当接離間判定部112、ジャム発生判定部113を含む。
【0030】
回転制御部111は、加圧ローラ回転モータ140、圧解除カム回転モータ260の駆動や回転数を制御する。当接離間判定部112は、制御部110に入力された情報に基づいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接している(加圧状態)か、離間している(圧解除状態)かのどちらであるかを判定する。上述したように、シート2が定着ニップ部Fを通過するとき(定着処理時)には、加圧ローラ14が加熱ユニット13に当接した状態で回転する。したがって、加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間動作は、加圧ローラ14が回転する前後、すなわち、加圧ローラ14が回転していないとき(定着処理を行っていない時)に行われることとなる。そこで、当接離間判定部112は、加圧ローラ14が回転していないときに、圧解除カム回転モータ260の制御情報と、圧解除センサ29から入力される信号とを取得する。そして、当接離間判定部112は、取得した情報に基づいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接しているか、又は、離間しているかのどちらであるか(加圧状態又は圧解除状態のいずれであるか)を判定する。
【0031】
ジャム発生判定部113は、制御部110に入力された情報に基づいて、定着ニップ部Fから搬送方向下流におけるシート2のジャム発生の有無を判定する。上述したように、加圧ローラ14が加熱ユニット13に当接した状態で回転することにより、シート2が定着ニップ部Fを通過する。したがって、定着ニップ部Fでシート2のジャムが発生しうるのは、加圧ローラ14が加熱ユニット13に当接した状態であって、かつ、加圧ローラ14が回転しているときである。そこで、ジャム発生判定部113は、加圧ローラ14が回転しているときに、圧解除カム回転モータ260の制御情報と、圧解除センサ29から入力される信号を取得する。そして、当接離間判定部112は、取得した情報に基づいて、定着ニップ部Fの近傍におけるシート2のジャム発生の有無を判定する。
【0032】
次に、
図6、
図7、
図8、
図17、及び
図18を参照して、センサユニット100が加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間を検知するときの態様について説明する。
図6は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接したとき(加圧状態)の定着ニップ部Fの断面図である。
図7は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間したとき(圧解除状態)の定着ニップ部Fの断面図である。また、
図8は、加圧ローラ14の動作、圧解除カム26の回転による加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間、及び、圧解除センサ29から制御部110に入力される信号を関連付けたタイミングチャートである。
【0033】
加熱ユニット13と加圧ローラ14が離間した状態から加熱ユニット13を加圧ローラ14に当接させる場合(
図8中の期間t1)、圧解除カム26は加圧板23と接触する位相(
図7)から加圧板23と接触しない位相(
図6)に回転する。
図6の圧解除カム26の位置(位相)を、加圧板23に対する「非作用位置」とする。非作用位置は、本実施形態に係る第1位置である。圧解除カム26が非作用位置にある場合、
図6に示すように、圧解除センサ29のレバー部29aと被検知フラグ27とが当接した状態にある。したがって、圧解除センサ29のスイッチがON状態となる。このとき、シート2が定着ニップ部Fに搬送されてこない限りは、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接した状態であったとしても、加圧ローラ14を回転させる必要がない。したがって、制御部110は、加圧ローラ回転モータ140の駆動が停止している状態のときに、通常は、圧解除センサ29から出力されたON信号を受信することとなる。このように、加圧ローラ回転モータ140の駆動が停止した状態であって、圧解除センサ29からON信号を受信した場合、当接離間判定部112は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接していると判定する。
【0034】
一方で、
図6に示す状態から、圧解除カム回転モータ260(
図5参照)を駆動させて圧解除カム26を時計回りに回転させると、圧解除カム26が加圧板23に接触することとなる。このときの圧解除カム26の位置(位相)を、「作用位置」とする。作用位置は、本実施形態に係る第2位置である。そして、圧解除カム26がさらに回転することにより、加圧ばね22が収縮して、加圧板23が
図7中の矢印の方向へと移動する。そして、力受けブロック24が、加圧板23の移動方向に向かって移動することにより、加熱ユニット13は加圧ローラ14から離間することとなる(
図8中のt4)。したがって、圧解除カム26は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とを当接離間させる機構の一部である。なお、加熱ユニット13と加圧ローラ14が当接しない限りは、定着ニップ部Fにシート2が搬送されることがないため、加圧ローラ14が回転することはない。
【0035】
加圧ばね22が収縮するように圧解除カム26が回転すると、
図7に示すように、圧解除センサ29のレバー部29aと被検知フラグ27とが当接しない状態となる。このとき、圧解除センサ29のスイッチがOFF状態となるため、制御部110には、圧解除センサ29から出力されたOFF信号が入力される。したがって、制御部110は、加圧ローラ回転モータ140の回転が停止している状態のときに、圧解除センサ29から出力されたOFF信号を受信することとなる。このように、加圧ローラ回転モータ140の駆動が停止した状態であって、圧解除センサ29からOFF信号を受信した場合、当接離間判定部112は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間したと判定する。なお、
図6及び
図7の状態において、フラグばね28には、フラグばね28が収縮する方向に向かう力は加わっていない。このように、フラグばね28が収縮する方向に向かう力がフラグばね28に加わっていないとき、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相はいずれも第1位相である。
【0036】
続いて、
図3、
図9及び
図19を参照して、センサユニット100が定着ニップ部Fにおいて発生したシート2のジャムを検知するときの態様について説明する。
図3は、すでに述べた通り、センサユニット100が設置された定着ニップ部Fの断面図である。
図9及び
図19は、シート2によるジャム検知時の定着ニップ部Fの断面図及び斜視図である。なお、
図9においては、シート2の搬送方向下流側の定着ニップ部Fの近傍においてジャムが発生したときの断面図を示している。加熱ユニット13および加圧ローラ14からシート2の搬送方向下流側に向かっては、搬送時にシート2をガイドするためのガイド部材である加熱側搬送ガイド30および加圧側搬送ガイド33が設けられている。また加熱側搬送ガイド30には、検知ガイド31がシート2に当接するように設けられている。検知ガイド31は、加熱側搬送ガイド30に対して所定の姿勢となるように、保持ばね32によって加圧側搬送ガイド33に近づく方向へ付勢されており、シート2が当接することによって移動可能に設けられている第2移動部材である。
【0037】
ここで、シート2の搬送方向に直交する方向、すなわち、シート2の幅方向における各部の配置について説明する。
図19に示すように、検知ガイド31は、手前側から奥側にわたって、すなわち、シート2の幅方向にわたってシート2に当接するように設けられた幅広の部材である。さらに、検知ガイド31は、その奥側において、被検知フラグ27の突出部27aが当接可能となるような配置となっている。突出部27aは、被検知フラグ27の圧解除カム26と当接している部分を本体部とすると、本体部から回転軸25の軸方向に突出するように設けられている。また、突出部27aの奥側は、被検知フラグ27と一体的に形成されており、被検知フラグ27の奥側の部分がレバー部29aと当接する。さらに、レバー部29aは、検知ガイド31と加圧側搬送ガイド33との間を搬送されるシート2に接触しない場所に配置されている。
【0038】
ここで、
図8の期間t2のとき、すなわち、加熱ユニット13に当接した状態で加圧ローラ14を回転させてシート2を搬送している間に、シート2の搬送方向において、定着ニップ部Fから定着ニップ部Fよりも下流側の位置に亘る領域において、シート2のジャムが発生したと仮定する。なお、
図8においては、ジャムが発生したタイミングをtaとして表している。シート2のジャムが発生すると、シート2が搬送され続けることで、検知ガイド31および加圧側搬送ガイド33との間で、シート2が蛇腹状に曲がった状態で滞留することとなる。このとき、曲がったシート2によって検知ガイド31および加圧側搬送ガイド33との間の空間が押し広げられる。そして、シート2が検知ガイド31を押し広げる力が、保持ばね32が検知ガイド31を付勢する力よりも大きくなると、検知ガイド31は、加熱側搬送ガイド30に向かって移動する。検知ガイド31が加熱側搬送ガイド30に向かってさらに移動すると、被検知フラグ27の突出部27aに対して検知ガイド31が当接し、検知ガイド31によって突出部27aが力F31(
図19)で押圧されることとなる。
【0039】
このとき、検知ガイド31は、被検知フラグ27に対するフラグばね28の付勢力が加わる方向とは逆向きに突出部27aを押圧する。ゆえに、検知ガイド31が突出部27aを押圧する力F31が、被検知フラグ27に対するフラグばね28の付勢力よりも大きくなると、被検知フラグ27は時計回り、すなわち、フラグばね28が収縮する方向に向かって回転する。ここで、シート2によって押し広げられていないときの検知ガイド31の位置を、「ガイド位置」とし、シート2によって押し広げられ、突出部27aを押圧するときの検知ガイド31の位置を「押圧位置」とする。「ガイド位置」が本実施形態に係る第3位置であり、「押圧位置」が本実施形態に係る第4位置である。また、このとき、検知ガイド31がガイド位置と押圧位置との間を移動するときの方向を、「ガイド移動方向」とする。ガイド移動方向は、本実施形態に係る第2方向である。
【0040】
被検知フラグ27が時計回りに回転することにより、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相は、第1位相から第2位相へと変化する。そして、
図8のタイミングtaに示すように、被検知フラグ27が時計回りに回転することにより、圧解除センサ29のレバー部29aから被検知フラグ27が離れることとなる。このため、圧解除センサ29のスイッチがON状態からOFF状態に切り替わる。したがって、加圧ローラ回転モータ140が駆動している状態のときに、圧解除センサ29から制御部110に入力される信号が、ON信号からOFF信号に切り替わることとなる。このように、加圧ローラ回転モータ140が駆動しており、圧解除センサ29から入力される信号がON信号からOFF信号に切り替わった場合、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側においてジャムが発生したと判定する。このように、圧解除カム26が第1の位置に位置しており且つジャムしたシートに押されて検知ガイド31が第3位置とは異なる第4位置に移動した時、被検知フラグ27が検知ガイド31に押されて第1位相とは異なる第2位相に移動する。これによって、圧解除センサ29のレバー部29aに対する被検知フラグ27の作用/非作用の状態が第1状態から第2状態へ変化し、圧解除センサ29の出力がONからOFFへ変化する。この信号の変化により、ジャム発生判定部113はジャムが発生したと判定できる。
【0041】
シート2のジャムが発生した後、
図8の期間t3のタイミングにおいてユーザによってジャムしたシート2が取り除かれると仮定する。ジャムしたシート2が取り除かれると、検知ガイド31および加圧側搬送ガイド33との間の空間は、ジャム発生前の状態、すなわち、
図9から
図3の状態に戻ることとなる。これに伴って、検知ガイド31は、加熱側搬送ガイド30から離れるように、すなわち、押圧位置からガイド位置へと(第4位置から第3位置へと)移動する。検知ガイド31が押圧位置からガイド位置へと移動すると、検知ガイド31が突出部27aを押圧しない状態となるため、圧解除カム26に対する被検知フラグ27の位相は、第2位相から第1位相へと変化することとなる。したがって、ジャム発生後に、ユーザによってジャムしたシート2が取り除かれると、圧解除センサ29から制御部110に入力される信号が、OFF信号からON信号に切り替わることとなる。
【0042】
このように、ジャムを検知した後で、圧解除センサ29から入力される信号がOFF信号からON信号に切り替わった場合、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側の位置に亘る領域において発生していたジャムが解消したと判定する。そして、引き続き、圧解除カム26を回転させる(加圧状態から圧解除状態へ切り替える)と、圧解除センサ29のレバー部29aと被検知フラグ27とが当接しない状態となる。これにより、
図8の期間t4に示すように、圧解除センサ29から制御部110に入力される信号が、ON信号からOFF信号に切り替わることとなる。一方で、ジャムが検知された後にジャムしたシート2が取り除かれない限りは、検知ガイド31によって突出部27aが押圧された状態が継続することとなる。したがって、ジャムを検知した後で、圧解除センサ29から入力される信号がOFF信号のままである場合、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部F付近のジャムが解消していないと判定する。このように、本実施形態においては、圧解除センサ29のセンサ信号と加圧ローラ14の駆動状態とに基づいて、プリンタ200におけるジャムの発生の有無および加圧ローラ14と加熱ユニット13との当接離間を検知することができる。
【0043】
ここで、例えば、加圧ローラと加熱ユニットとの当接離間を検知するためのセンサや、シートのジャムを検知するセンサなど、プリンタを構成する部材ごとにこれらの挙動を検知するセンサを設けると仮定した場合について考える。このような場合、加圧ローラと加熱ユニットとを当接離間させる機構の移動量を検知するセンサや、定着ニップ部の近傍においてジャムを検知するセンサなどを設けるための空間をプリンタ筐体内部に確保しなければならない。ゆえに、プリンタの大型化が避けられない。また、プリンタを構成する部材ごとにこれらの挙動を検知するセンサ自体のコストや、センサの維持に関するコストなどが嵩んでしまうといった問題が生じ得る。
【0044】
そこで、本実施形態においては、上述したようにして、圧解除センサ29の検知結果に基づいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間、および、定着ニップ部F付近におけるシート2のジャム発生の有無を判定する。これにより、プリンタ200に搭載するセンサを少なくすることができ、さらには、センサに関連するコストを低減することが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態に係る加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間および定着ニップ部F付近におけるシート2のジャム発生の有無を判定する処理の流れについて説明する。
図10は、制御部110において加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間および定着ニップ部F付近におけるシート2のジャム発生の有無を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図1の説明で述べたように、転写ニップ部Tにおいてトナー像が転写されたシート2が、加熱ユニット13と加圧ローラ14とによって形成される定着ニップ部Fに搬送される。したがって、シート2に対して画像形成が行われない限りは、加熱ユニット13と加圧ローラ14とを当接させる必要がない。ゆえに、本実施形態では、印刷ジョブが実行され、画像形成部210においてシート2に対して画像形成が行われ、シート2が画像形成部210を通過したことをトリガーとして本処理のフローが開始される。
【0047】
なお、シート2の搬送経路、すなわち、画像形成部210から定着ニップ部Fまでの距離によっては、シート2の搬送経路に設けられた不図示のセンサによって、シート2が定着ニップ部Fに向かって搬送されている状態を検知したことをトリガーとしてもよい。ここでは、画像形成部210においてシート2に対して画像形成が行われたことをトリガーとして以後の説明を行う。シート2が画像形成部210を通過すると、回転制御部111は、圧解除カム回転モータ260の駆動を開始する(S101)。回転制御部111が圧解除カム回転モータ260の駆動を開始するタイミングは、
図8中にタイミングtbで示してある。
【0048】
圧解除カム回転モータ260が駆動すると、圧解除カム26は、回転軸25を中心として回転する。回転軸25を中心とした圧解除カム26の移動方向を「カム回転方向」とする。カム回転方向が、本実施形態に係る第1方向である。このとき、当接離間判定部112は、圧解除センサ29から入力されるセンサ信号に基づいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間を判定する(S102)。圧解除センサ29からOFF信号が入力されている場合(S102/OFF信号)、当接離間判定部112は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間した状態であると判定する(S103)。制御部110は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間した状態であると判定され、シート2がシート排出積載台17に排出されている場合(S104/YES)、本処理を終了する。一方で、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間した状態であると判定され、シート2がシート排出積載台17に排出されていない場合(S104/NO)、制御部110は、S102から再度同じ処理を実行する。
【0049】
S102の処理において、圧解除センサ29からON信号が入力されている場合(S102/ON信号)、当接離間判定部112は、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接した状態であると判定する(S105)。加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接した状態であれば、定着ニップ部Fにおいてシート2のトナー像を定着させることが可能となる。したがって、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接した状態であると判定されると、回転は、加圧ローラ回転モータ140の駆動を開始する(S106)。回転制御部111が加圧ローラ回転モータ140の駆動を開始するタイミングは、
図8中にタイミングtcで示してある。加圧ローラ14が回転されることにより、シート2が定着ニップ部Fを搬送されることとなる。加圧ローラ14が回転されている間、ジャム発生判定部113は、圧解除センサ29から入力されるセンサ信号に基づいて、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側におけるシート2のジャムが発生したか否かを判定する(S107)。
【0050】
圧解除センサ29から入力される信号がON信号である場合(S107/YES)、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側には、シート2のジャムが発生していないと判定する。制御部110は、ジャム発生判定部113によってシート2のジャムが発生していないと判定されると、シート2の搬送を継続して行う(S108)。そして、制御部110は、シート2がシート排出積載台17に排出されるまで(S109/YES)、S106から再度同じ処理を実行する(S109/NO)。圧解除センサ29から入力される信号がOFF信号である場合(S107/NO)、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側において、シート2のジャムが発生していると判定する(S110)。
図8中において、ジャムはタイミングtaで発生している。
【0051】
ジャム発生判定部113によって、ジャムが発生したと判定されると、回転制御部111は、加圧ローラ回転モータ140の駆動を停止させる。また、ジャムが発生していると判定されると、制御部110は、プリンタ200に搭載されている不図示の操作表示部に、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流側の位置に亘る領域でジャムが発生していることを示すエラー画面を表示させる(S111)。ユーザは、操作表示部に表示されたエラー画面を参照して、ジャムしたシート2を取り除く操作を行う。しかしながら、ジャムしたシート2の一部が残留することがある。ジャム発生判定部113は、シート2のジャムが発生していると判定してから所定時間経過後に、圧解除センサ29から入力されるセンサ信号に基づいて、シート2のジャムが解消したか否かを判定する(S112)。なお、ジャムしたシート2を取り除いたあとにユーザが操作表示部に対して操作を行ったタイミングを、シート2のジャムが発生していると判定してから所定時間経過後としてもよい。
【0052】
ジャム発生後、ジャムしたシート2が取り除かれない限りは、圧解除センサ29から入力される信号はOFF信号のままである。一方で、ジャムしたシート2が取り除かれると、圧解除センサ29から制御部110に入力される信号が、OFF信号からON信号に切り替わることとなる。圧解除センサ29からOFF信号を受信している場合(S112/NO)、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部F付近のジャムが解消していないと判定する。制御部110は、ジャムが解消していないと判定された場合、S111から再度同じ処理を実行する。圧解除センサ29からON信号を受信した場合(S112/YES)、ジャム発生判定部113は、定着ニップ部F付近のジャムが解消したと判定する。定着ニップ部F付近のジャムが解消したと判定されると、制御部110は、回転制御部111に、圧解除カム回転モータ260を駆動させる信号を送り、圧解除カム26を回転させる(S113)。
【0053】
タイミングtaでは、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接しているにも関わらず、圧解除センサ29から制御部110にOFF信号が入力された状態である。そして、ジャムしたシート2を取り除くことにより、圧解除センサ29から制御部110にON信号が入力されることとなる。ジャムしたシート2が除去されて、圧解除センサ29から制御部110にON信号が入力されるのは、
図8中のタイミングtdである。
図8のタイミングtdにおいては、加圧ローラ14が停止しており、圧解除センサ29がON信号のまま、すなわち、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接した状態のままである。したがって、定着ニップ部Fに搬送するシートがないにも関わらず、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが当接している状態である。
【0054】
S113において、制御部110は、圧解除センサ29から制御部110にOFF信号が入力されるまで、すなわち、加熱ユニット13と加圧ローラ14とが離間するまで、回転制御部111に圧解除カム回転モータ260を駆動させて、本処理を終了する。このとき、回転制御部111は、
図8中のタイミングteのタイミングまで、圧解除カム回転モータ260を駆動させる。以上説明したように、本実施形態においては、圧解除センサ29の検知結果に基づいて、加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間、および、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流におけるジャムの発生を検知することを可能としている。これにより、プリンタ200のセンサ構成を簡素化することができ、さらには、コストを低減することが可能となる。
【0055】
<第2実施形態>
第1実施形態においては、加熱ユニット13と加圧ローラ14との当接離間、および、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向下流に亘る領域におけるジャムを検知することができるセンサユニット100について説明を行った。本実施形態においては、プリンタ200の枠体に設けられた外装部材であるリアドア部37の開閉状態と、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流に亘る領域におけるジャムを検知するセンサユニット300(
図12参照)の構成について説明を行う。なお、プリンタ200の構成は、第1実施形態と同じである。また、第1実施形態と同じ構成については、本実施形態においても同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0056】
まず、本実施形態に係る転写ニップ部Tから定着ニップ部F間のシート2の搬送経路の構成について説明する。
図11は、本実施形態に係る転写ニップ部Tから定着ニップ部F間のシート2の搬送経路の断面図である。画像形成部210において画像が形成されたシート2は、ベルト内駆動ローラ5と二次転写ローラ6との転写ニップ部Tから、加熱ユニット13と加圧ローラ14との定着ニップ部F間に向かって搬送される。転写ニップ部Tから定着ニップ部F間には、シート2をガイドするガイド部材として、転写搬送ガイド34およびニップ入口ガイド35が設けられている。転写ニップ部Tから排出されたシート2は、転写搬送ガイド34によってニップ入口ガイド35に向かってガイドされた状態で搬送され、その後、ニップ入口ガイド35によってガイドされて定着ニップ部Fに突入する。
【0057】
転写搬送ガイド34は、プリンタ200の枠体に対して開閉可能に設けられたリアドア部37と、シート2の搬送場所との間に設けられている。また、転写搬送ガイド34は、プリンタ200の枠体外部に向かって開放可能な構成を有している。このような構成により、例えば、シートのジャムが発生したとき、リアドア部37を開放した後で、転写搬送ガイド34を開放することにより、転写搬送ガイド34の近くで滞留しているシートを取り除くことができる。本実施形態に係る第2移動部材であるニップ入口ガイド35は、回転中心35aを中心に回動可能に設けられている。ニップ入口ガイド35は、プリンタ200の枠体に設けられたガイド保持ばね36によって、定着ニップ部Fに向かってシート2がガイドされる位置に付勢されている。ガイド保持ばね36は、シート2が正常状態で搬送されてきたとき、すなわち、シート2が蛇腹状に曲がったりしていない状態で、転写搬送ガイド34から搬送されてきたときにニップ入口ガイド35を保持可能なばね圧に設定されている。
【0058】
次に、本実施形態に係るセンサユニット300の構成について説明する。
図12は、本実施形態に係るセンサユニット300が設置された定着ニップ部Fの断面図である。なお、
図12は、リアドア部37が閉鎖された状態のときの定着ニップ部Fの断面を示している。センサユニット300は、回転部材(第1移動部材)38、被検知フラグ(被検知部材)39、フラグばね(付勢部材)40、リアドアセンサ(センサ)41、レバー部41a、およびニップ入口ガイド(第2移動部材)35を備える。
図12に示すように、回転部材38は、転写搬送ガイド34とリアドア部37との間に設けられている。
図12は、シートがニップ入口ガイド35に沿って正常に搬送されている時の図でもある。
【0059】
リアドア部37には、回転部材押圧部37aが設けられている。リアドア部37が閉鎖されると、回転部材押圧部37aは回転部材38を押圧し、回転部材38を
図12に示す位置である第1位置へ回動させる。一方で、リアドア部37が開放されると、回転部材押圧部37aは、回転部材38から離間し、回転部材38は
図15に示す位置である第2位置へ回動する。本実施形態に係る第1移動部材である回転部材38には、被検知フラグ39が取り付けられている。被検知フラグ39は、回転部材38が回転するときの軸38aを中心として、回転部材38の回転方向に向かって、機械的なガタを持った状態で支持されている。軸38aを中心とした回転部材38の回転方向が本実施形態に係る第1方向である。このガタによって、被検知フラグ39は、回転部材38に対して相対移動可能であり、回転部材38に対して、少なくとも2つの位置(第1位相と第2位相)を取ることができる。また、被検知フラグ39は、フラグばね40の付勢力により、回転部材38に対する位相を維持したまま回転部材38の回転に伴って移動可能なように設けられている。被検知フラグ39が回転部材38の回転に伴って移動可能とする構成としては、例えば、回転部材38の軸38aに軸方向に溝を設け、この溝に嵌合するような突起を回転部材38および被検知フラグ39と、軸38aとが当接する箇所に設けるようにしてもよい。また、回転部材38および被検知フラグ39と回転部材38とが当接する箇所に溝を設け、この溝に嵌合するような突起を軸38aに設けるようにしてもよい。このようにすることで、回転部材38が回転するのに伴って被検知フラグ39が移動する。
【0060】
また、被検知フラグ39には、周方向の異なる位置で、径方向外側に突出するように、第1突出部39aと第2突出部39bとが設けられている。回転部材38の軸38aの軸方向に向かって設けられた突起によって第1突出部39aが押圧されることにより、回転部材38の回転に伴って被検知フラグ39が移動する。さらに、
図12に示す方向にセンサユニット300を見た時に、軸38aには、回転部材38を反時計回りに回転させるように付勢する不図示の付勢部材が設けられている。この付勢部材により、リアドア部37が開放されると、回転部材38は、反時計回りに回転する。また、回転部材38の回転に伴って、被検知フラグ39も回転する。
【0061】
ここで、被検知フラグ39と回転部材38との相対的な位置関係について、
図13を参照して説明する。
図13(a)は、フラグばね40が伸長しているときの被検知フラグ39と回転部材38との相対的な位置を示す図である。
図13(b)は、フラグばね40が収縮しているときの被検知フラグ39と回転部材38との相対的な位置を示す図である。本実施形態に係る付勢部材であるフラグばね40は、
図13(a)に示すように、被検知フラグ39と回転部材38との間に設けられている。このような構成により、被検知フラグ39は、付勢部材として機能するフラグばね40によって付勢され、回転部材38に対する相対的な位置が一定の位置(第1位相)となるように配置される。本実施形態においては、フラグばね40が伸長しているときの回転部材38に対する被検知フラグ39の位相を第1位相とする。第1位相にある被検知フラグ39に対して、フラグばね40が収縮する方向に向かって所定の大きさの力が加わると、回転部材38に対する被検知フラグ39の相対的な位置は、
図13(a)から
図13(b)に示す位置(第2位相)へと変化する。本実施形態においては、フラグばね40が収縮しているときの回転部材38に対する被検知フラグ39の位相を第2位相とする。
【0062】
したがって、回転部材38に対する被検知フラグ39の相対的な位置が変化するのは、被検知フラグ39に対するフラグばね40の付勢力よりも大きい力が、フラグばね30の収縮方向に向かって被検知フラグ39に対して加わったときである。このような場合、回転部材38に対する被検知フラグ39の位相は、第1位相から第2位相に変化する。一方で、フラグばね40の収縮方向に向かって被検知フラグ39に対して加わっていたフラグばね40の付勢力よりも大きい力が作用しなくなったとき、回転部材38に対する被検知フラグ39の位相は、第2位相から第1位相に変化する。
【0063】
図12に戻って説明を続ける。
図12に示すように、本実施形態に係る被検知部材である被検知フラグ39の軌跡上には、リアドアセンサ41のレバー部41aが設置されている。リアドアセンサ41は、例えば、レバー部41aと被検知フラグ39との当接の有無に応じて、制御部120(
図14参照)に対して出力する信号のONとOFFとを切り替えるスイッチを備えたセンサである。例えば、
図12に示すように、レバー部41aに対して被検知フラグ39が当接していない場合にはスイッチがOFF状態となり、リアドアセンサ41は制御部120に対してOFF信号(本例における第1出力)を出力する。リアドアセンサ41によって検知されない被検知フラグ39の位置を、「検知不能位置」とする。検知不能位置が本実施形態に係る「第1検知位置(第1状態)」である。一方で、レバー部41aに対して被検知フラグ39が当接している場合にはスイッチがON状態となり、リアドアセンサ41は制御部120に対してON信号(本例における第2出力)を出力する。リアドアセンサ41によって検知される被検知フラグ39の位置を、「検知可能位置」とする。検知可能位置が本実施形態に係る「第2検知位置(第2状態)」である。なお、リアドアセンサ41として、上述したような接触検出式のセンサ以外にも、フォトインタラプタなどの光学センサや、被検知フラグ39の位置を検知可能なその他のセンサを用いてもよい。その他のセンサを用いた場合であっても、「第1検知位置」および「第2検知位置」とは、センサの出力する信号が互いに異なる被検知部材の位置を指す。例えば、センサが被検知部材を検知可能な位置が予め決まっている場合、センサによって検知されない被検知フラグ39の位置が「第1検知位置」であり、センサによって検知される被検知フラグ39の位置が「第2検知位置」である。
【0064】
次に、本実施形態に係るプリンタ200の動作を制御する制御部120の構成について説明する。
図14は、制御部120の構成を示す制御ブロック図である。本実施形態に係る制御手段である制御部120は、演算手段としてのCPU、CPUが演算を行う際の作業領域であるRAM、CPUが実行するプログラムなどが格納されるROM、情報を記憶する各種の記憶媒体などのハードウェアを有して構成される。制御部120には、リアドアセンサ41からON信号とOFF信号とが入力される。また、
図14に示すように、制御部120は、回転制御部121、ロック機構制御部122、開閉判定部123、ジャム発生判定部124を含む。回転制御部121は、シート2を搬送するローラのうち、モータを駆動源とするローラ、例えば、ベルト内駆動ローラ5や加圧ローラ14を回転させるモータ240の駆動を制御する。
【0065】
ロック機構制御部122は、ロック機構230を制御して、リアドア部37の開閉制御を行う。ロック機構230は、リアドア部37を閉鎖状態に維持する機構である。ロック機構制御部122は、回転制御部121によってモータ240が駆動されているときに、ロック機構230をONして、リアドア部37が開放されないようにリアドア部37の移動を拘束する。開閉判定部123は、制御部120に入力された情報に基づいて、プリンタ200の枠体に対してリアドア部37が開放状態か、閉鎖状態かのどちらであるかを判定する。モータ240が駆動しているときには、ロック機構230によってリアドア部37が閉鎖され、リアドア部37の移動が拘束される。したがって、リアドア部37の開閉動作は、モータ240が駆動していないとき、すなわち、シート2が搬送されていないときに行われることとなる。そこで、開閉判定部123は、ロック機構230がOFF状態であるときに、リアドアセンサ41から入力される信号を取得し、プリンタ200の枠体に対してリアドア部37が開放状態か、または、閉鎖状態かのどちらであるかを判定する。
【0066】
ジャム発生判定部124は、制御部120に入力される情報に基づいて、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流におけるシート2のジャム発生の有無を判定する。シート2が定着ニップ部Fに向かって搬送されるのは、モータ240が駆動しているときである。このとき、ロック機構230は、ロック機構制御部122によりONされ、リアドア部37の移動は、リアドア部37が閉鎖された状態のまま拘束されることとなる。そこで、ジャム発生判定部124は、モータ240が駆動状態であるときに、リアドアセンサ41から入力される信号を取得し、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流におけるシート2のジャム発生の有無を判定する。
【0067】
次に、
図12および
図15を参照して、センサユニット300がリアドア部37の開閉状態を検知するときの態様について説明する。
図12は、上述したように、リアドア部37が閉鎖された状態のときの定着ニップ部Fの断面図である。
図15は、リアドア部37が開放された状態のときの定着ニップ部Fの断面図である。なお、
図15においては、モータ240が駆動していないとき、すなわち、シート2が搬送されていないときの定着ニップ部Fの断面を示している。
図12は、モータ240が駆動し、シートがニップ入口ガイド35に沿って正常に搬送されている時の図でもある。
【0068】
リアドア部37が閉鎖されている場合、
図12に示すように、被検知フラグ39がレバー部41aに接触しない位相となるように回転部材38が位置する。このときの回転部材38の位置を、「ドア閉鎖位置」とする。ドア閉鎖位置にいる回転部材38の位置を、本実施形態では「第1位置」とする。回転部材38がドア閉鎖位置にある場合、
図12に示すように、リアドアセンサ41のレバー部41aと被検知フラグ39とが離間した状態となる。したがって、リアドアセンサ41のスイッチがOFF状態となり、リアドアセンサ41はOFF信号(本例における第1出力)を出力する。
【0069】
一方で、リアドア部37が開放されている場合、
図15に示すように、被検知フラグ39がレバー部41aに接触するように、回転部材38が回転する。このときの回転部材38の位置を、「ドア開放位置」とする。ドア開放位置にいる回転部材38の位置を、本実施形態では「第2位置」とする。なお、回転部材38がドア開放位置にある場合、
図15に示すように、リアドアセンサ41のレバー部41aと被検知フラグ39とが当接した状態となる。したがって、リアドアセンサ41のスイッチがON状態となる。上述したように、
図15は、シート2が搬送されていないときの定着ニップ部Fを例示しているため、回転制御部121は、モータ240の駆動を停止させている状態である。このとき、ロック機構230はOFF状態である。モータ240が駆動停止状態であって、リアドアセンサ41からON信号(本例における第2出力)を受信した場合、開閉判定部123は、リアドア部37が開放状態であると判定する。なお、このとき、被検知フラグ39には、フラグばね40が収縮する方向に向かう力などの力が加わっていない。すなわち、被検知フラグ39は、回転部材38に対して第1位相に位置する。
【0070】
続いて、
図12および
図16を参照して、センサユニット300が定着ニップ部Fにおいて発生したシート2のジャムを検知するときの態様について説明する。
図12は、シート2が搬送されている時の定着ニップ部Fの断面図である。
図16は、シート2によるジャム検知時の定着ニップ部Fの断面図である。なお、
図16においては、シート2の搬送方向上流側の定着ニップ部Fの近傍においてジャムが発生したときの断面図を示している。
【0071】
上述したように、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流側に向かっては、転写搬送ガイド34とニップ入口ガイド35とが設けられている。ニップ入口ガイド35は、ガイド保持ばね36が収縮するように移動すると、第2突出部39bに当接可能なように設けられている。
図16に示すように、シート2のジャムが発生すると、シート2が搬送され続けることで、シート2が蛇腹状に曲がった状態で滞留することとなる。そして、ジャムしたシート2でニップ入口ガイド35を押し広げる力が、保持ばね36がニップ入口ガイド35を付勢する力よりも大きくなると、ニップ入口ガイド35は、リアドア部37に向かって移動する。
【0072】
このとき、ニップ入口ガイド35は、被検知フラグ39に対するフラグばね40の付勢力が加わる方向とは逆向きに第2突出部39bを押圧する。これにより被検知フラグ39は回転部材38に対して、反時計回り、すなわち、フラグばね40が収縮する方向に向かって回転する。ここで、シート2によって押し広げられていないときのニップ入口ガイド35の位置を「ガイド位置」とし、シート2によって押し広げられ、第2突出部39bを押圧するときのニップ入口ガイド35の位置を「押圧位置」とする。「ガイド位置」が本実施形態に係る第3位置であり、「押圧位置」が本実施形態に係る第4位置である。また、このとき、ニップ入口ガイド35が、ガイド位置と押圧位置との間を移動するときの方向を、「ガイド移動方向」とする。ガイド移動方向は、本実施形態に係る第2方向である。
【0073】
被検知フラグ39が反時計回りに回転することにより、回転部材38に対する被検知フラグ39の位相は、第1位相から第2位相へと変化する。そして、被検知フラグ39が反時計回りに回転することにより、リアドアセンサ41のレバー部41aに被検知フラグ39が当接することとなるため、圧解除センサ29のスイッチがOFF状態からON状態に切り替わる。
図16は、シート2が搬送されているときの定着ニップ部Fを示しているため、回転制御部121は、モータ240を駆動させている状態である。このとき、ロック機構230はON状態である。したがって、モータ240が回転している時に、リアドアセンサ41から制御部120に入力される信号が、OFF信号からON信号に切り替わることとなる。このように、モータ240が回転している状態であり、リアドアセンサ41から入力される信号がOFF信号からON信号に切り替わった場合、ジャム発生判定部124は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流側にジャムが発生したと判定する。
【0074】
シート2のジャムが発生した後、リアドア部37および転写搬送ガイド34を開放して、ユーザによってジャムしたシート2が取り除かれると仮定する。ジャムしたシート2が取り除かれると、ニップ入口ガイド35は、ジャム発生前の状態、すなわち、
図16から
図12の状態に戻ることとなる。これに伴って、ニップ入口ガイド35は、リアドア部37から離れるように、すなわち、押圧位置からガイド位置(第4位置から第3位置)へと移動する。ニップ入口ガイド35が押圧位置からガイド位置へと移動すると、ニップ入口ガイド35が第2突出部39bを押圧しない状態となるため、回転部材38に対する被検知フラグ39の位相は、第2位相から第1位相へと変化することとなる。したがって、ジャム発生後に、ユーザによってジャムしたシート2が取り除かれると、リアドアセンサ41から制御部120に入力される信号が、ON信号からOFF信号に切り替わることとなる。このように、ジャムを検知した後で、リアドアセンサ41から入力される信号がON信号からOFF信号に切り替わった場合、ジャム発生判定部124は、定着ニップ部Fからシート2の搬送方向上流側において発生していたジャムが解消したと判定する。
【0075】
一方で、ジャムが検知された後にジャムしたシート2が取り除かれない限りは、ニップ入口ガイド35によって第2突出部39bが押圧された状態が継続することとなる。したがって、ジャムを検知した後で、リアドアセンサ41から入力される信号がON信号のままである場合、ジャム発生判定部124は、定着ニップ部F付近のジャムが解消していないと判定する。このように、本実施形態においては、リアドアセンサ41のセンサ信号とモータ240の駆動状態とに基づいて、プリンタ200におけるジャムの発生の有無およびリアドア部37の開閉状態を検知することができる。
【0076】
<その他の実施形態>
【0077】
第1実施形態においては、定着ニップ部F付近におけるプリンタ200の複数の挙動を検知した。定着ニップ部F以外にも、例えば、一次転写ユニット10Y、10M、10C、10Kと感光体ドラム7Y、7M、7C、7Kとの当接離間など、プリンタ200に含まれるその他のニップ部において、挙動を検知するようにしてもよい。さらに、プリンタ200の枠体に設けられている開閉可能な部材であれば、リアドア部37と同様に開閉状態を検知することができる。
【0078】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0079】
26 圧解除カム(第1移動部材)/ 38 回転部材(第1移動部材)/ 31 検知ガイド(第2移動部材)/ 35 ニップ入口ガイド(第2移動部材)/ 27、39 被検知フラグ(被検知部材)/ 29 圧解除センサ(センサ)/ 41 リアドアセンサ(センサ)/ 100、300 センサユニット/ 200 プリンタ(画像形成装置)/ 210 画像形成部/ 220 定着ユニット