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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240109BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240109BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L27/146 E
H04N25/70
H01L31/10 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020021828
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128989
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 幸弘
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143158(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150989(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/150972(WO,A1)
【文献】特開2018-085402(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155841(WO,A1)
【文献】特開2018-107799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体量子ドットの堆積層で構成され、堆積方向と垂直な方向において電位勾配を有する光電変換層と、
前記光電変換層で発生した電荷を読み出すための読み出し電極と、
前記読み出し電極に隣接して設けられ、前記光電変換層で発生した電荷を前記光電変換層内に蓄積させるための蓄積電極と
を備え
前記光電変換層は、前記蓄積電極と対向する部分において、前記蓄積電極側から前記読み出し電極側に向かって電位勾配を有する
固体撮像素子。
【請求項2】
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットの組成が前記堆積方向と垂直な方向において異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットの組成が互いに異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットにおけるリガンド組成が前記堆積方向と垂直な方向において異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットにおけるリガンド組成が互いに異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットのサイズが前記堆積方向と垂直な方向において異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットのサイズが互いに異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が前記堆積方向と垂直な方向において異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が互いに異なる
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成されたn型光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成されたp型光電変換層と
を有する
請求項に記載の固体撮像素子。
【請求項11】
前記p型光電変換層は、前記n型光電変換層を覆うように形成される
請求項10に記載の固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
波長選択性を有する半導体を用いる光電変換素子は、特定の波長帯の光を光電変換することが可能である。このような光電変換素子を固体撮像素子に用いる場合、互いに異なる波長選択性を有する複数の光電変換素子を積層した積層型光電変換素子を画素ごとに設けることが可能である(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-124338号公報
【文献】特表2011-528865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の固体撮像素子の分野では、光電変換素子内での電子の再結合や電荷の転送残りに起因する撮像画質の低下が起こり得る。従って、撮像画質を向上させることの可能な固体撮像素子を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子は、半導体量子ドットの堆積層で構成され、堆積方向と直交する方向において電位勾配を有する光電変換層を備える。この固体撮像素子は、光電変換層で発生した電荷を読み出すための読み出し電極と、読み出し電極に隣接して設けられ、光電変換層で発生した電荷を光電変換層内に蓄積させるための蓄積電極とを更に備える。光電変換層は、蓄積電極と対向する部分において、蓄積電極側から読み出し電極側に向かって電位勾配を有する。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子では、半導体量子ドットの堆積層で構成された光電変換層において、堆積方向と直交する方向において電位勾配が形成される。これにより、光電変換層から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子の概略構成の一例を表す図である。
図2図1の画素の断面構成の一例を表す図である。
図3図1の画素の回路構成の一例を表す図である。
図4図3の光電変換素子の構成の一例を展開して表す図である。
図5図1の画素の回路構成の一例を表す図である。
図6図1の画素の回路構成の一例を表す図である。
図7図3の光電変換素子の断面構成の一例を表す図である。
図8図7の光電変換層を構成する材料の一例を表す図である。
図9図7の光電変換層のバンドギャップの一例を表す図である。
図10】7の光電変換素子における電荷蓄積時のポテンシャルの一例を表す図である。
図11図7の光電変換素子における電荷転送時のポテンシャルの一例を表す図である。
図12】比較例に係る光電変換素子の断面構成の一例を表す図である。
図13図12の光電変換素子における電荷蓄積時のポテンシャルの一例を表す図である。
図14図12の光電変換素子における電荷転送時のポテンシャルの一例を表す図である。
図15図3の光電変換素子の断面構成の一変形例を表す図である。
図16図1の画素の断面構成の一変形例を表す図である。
図17図1の画素の断面構成の一変形例を表す図である。
図18】撮像システムの概略構成の一例を表す図である。
図19】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図20】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図21】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図22】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(固体撮像素子)…図1図14
2.変形例(固体撮像素子)…図15図17
3.適用例(撮像システム)…図18
4.応用例
移動体への応用例…図19図20
内視鏡手術システムへの応用例…図21図22
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子1の概略構成の一例を表す。固体撮像素子1は、複数の画素11が行列状に配置された画素領域10を備える。図1には、行方向を示す符号としてDrが、列方向を示す符号としてDcがそれぞれ示されている。図2は、画素11の断面構成の一例を表す。
【0010】
固体撮像素子1は、画素信号を処理するロジック回路20を備える。ロジック回路20は、例えば、垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22、水平駆動回路23およびシステム制御回路24を有する。ロジック回路20は、各画素11から得られた画素信号に基づいて出力電圧を生成し、外部に出力する。
【0011】
垂直駆動回路21は、例えば、複数の画素11を所定の単位画素行ごとに順に選択する。「所定の単位画素行」とは、同一アドレスで画素選択可能な画素行を指している。カラム信号処理回路22は、例えば、垂直駆動回路21によって選択された行の各画素11から出力される画素信号に対して、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)処理を施す。カラム信号処理回路22は、例えば、CDS処理を施すことにより、画素信号の信号レベルを抽出し、各画素11の受光量に応じた画素データを保持する。カラム信号処理回路22は、例えば、データ出力線VSLごとにカラム信号処理部を有する。カラム信号処理部は、例えば、シングルスロープA/D変換器を含む。シングルスロープA/D変換器は、例えば、比較器およびカウンタ回路を含んで構成される。水平駆動回路23は、例えば、カラム信号処理回路22に保持されている画素データを順次、外部に出力する。システム制御回路24は、例えば、ロジック回路20内の各ブロック(垂直駆動回路21、カラム信号処理回路22および水平駆動回路23)の駆動を制御する。
【0012】
画素11は、例えば、図2に示したように、互いに異なる波長選択性を有する3つの光電変換素子110,120,130が積層された積層型光電変換素子を有する。つまり、固体撮像素子1は、上記積層型光電変換素子を画素11ごとに備える。画素11は、さらに、例えば、上記積層型光電変換素子と対向する箇所にオンチップレンズ160を有する。つまり、固体撮像素子1は、オンチップレンズ160を画素11ごとに備える。
【0013】
光電変換素子110は、例えば、半導体基板140上の絶縁層(絶縁層115,116および保護層117)内に形成され、例えば、電極111、光電変換層112および電極113を、半導体基板140側からこの順に積層して構成される。電極111は、本開示の「読み出し電極」の一具体例に相当する。半導体基板140は、例えば、シリコン基板によって構成される。光電変換素子110は、さらに、例えば、電極111と同一の層内に、電極111に隣接して設けられた電荷蓄積用の電極(蓄積電極114)を有する。電極111と蓄積電極114との間には、絶縁層116が設けられる。
【0014】
蓄積電極114は、光電変換層112で発生した電荷を光電変換層112内に蓄積させるための電極である。蓄積電極114は、絶縁層116を介して光電変換層112と対向して配置される。電極111および蓄積電極114は、絶縁層115,116によって覆われ、電極111は、絶縁層116の開口を介して光電変換層112に接する。電極113は、光電変換層112および絶縁層116を間にして、電極111および蓄積電極114と対向する位置に配置される。電極113は、例えば、光電変換層112および絶縁層116の表面に接して形成されたベタ膜であり、隣接する画素11の電極113と共通の層によって構成される。
【0015】
光電変換素子110は、例えば、緑色の光(495nm以上570nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層112を有し、緑色の光に感度を有する。光電変換層112は、例えば、緑色の光を吸収する半導体量子ドットの堆積層によって構成される。絶縁層115,116および保護層117は、例えば、SiOや、SiN等によって構成される。電極111,113は、例えば、透明導電材料によって構成される。透明導電材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)や、IZO(Indium Zinc Oxide)等が挙げられる。
【0016】
光電変換素子110は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール153等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線156に接続される。配線156は、光電変換素子110の電極111と、光電変換素子110用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極157)とを電気的に接続する。
【0017】
光電変換素子120,130は,例えば、半導体基板140内に形成される。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140の表面近傍に形成されたn型半導体領域141を光電変換層として有する。光電変換素子120は、例えば、青色の光(425nm以上495nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域141を有しており、青色の光に感度を有する。光電変換素子120は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続される。この配線は、n型半導体領域141と、光電変換素子120用の画素回路12とを電気的に接続する。なお、図2には、光電変換素子120と電気的に接続された転送トランジスタのゲート電極158が例示される。
【0018】
光電変換素子130は、例えば、半導体基板140の、n型半導体領域141よりも深い領域に形成されたn型半導体領域142を光電変換層として有している。光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域142を有し、赤色の光に感度を有する。光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続される。この配線は、n型半導体領域142と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極159)とを電気的に接続する。
【0019】
半導体基板140は、n型半導体領域141と半導体基板140の表面との間にp+層145を有する。p+層145は暗電流の発生を抑制する。半導体基板140は、さらに、n型半導体領域141とn型半導体領域142との間に、p+層143を有する。p+層143は、さらに、n型半導体領域142の側面の一部(例えばゲート電極158近傍)を囲む。p+層143は、n型半導体領域141とn型半導体領域142とを分離する。半導体基板140は、半導体基板140の裏面近傍にp+層144を有する。p+層144は暗電流の発生を抑制する。半導体基板140の裏面には、絶縁膜154が設けられ、半導体基板140の表面には、HfO膜151および絶縁膜152が積層される。HfO膜151は、負の固定電荷を有する膜であり、このような膜を設けることによって、暗電流の発生を抑制することができる。半導体基板140の裏面には、例えば、光電変換素子110,120,130と画素回路12とを互いに電気的に接続する配線や、画素回路12などを覆う絶縁層155が形成される。
【0020】
光電変換素子110,120,130の堆積方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順であることが好ましい。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。赤色は3色の中では最も長い波長であるので、光入射面から見て光電変換素子130を最下層に位置させることが好ましい。これらの光電変換素子110,120,130の積層構造によって、1つの積層型光電変換素子が構成される。
【0021】
図3は、画素11(具体的には光電変換素子110)およびその周辺の回路構成の一例を表す。図4は、図3に記載の光電変換素子110の展開斜視構成の一例を表す。図5は、画素11(具体的には光電変換素子120)およびその周辺の回路構成の一例を表す。図6は、画素11(具体的には光電変換素子130)およびその周辺の回路構成の一例を表す。
【0022】
上述したように、各画素11は、光電変換素子110,120,130を積層した構造となっており、かつ、複数の画素11は画素領域10において行列状に配置される。このことから、複数の光電変換素子110は、画素領域10の光入射面寄りの層内において行列状に配置され、複数の光電変換素子130は、画素領域10の、光入射面とは反対側の面寄りの層内において行列状に配置される。さらに、複数の光電変換素子120は、画素領域10において、複数の光電変換素子110が配置される層と、複数の光電変換素子130が配置される層との間の層内において行列状に配置される。
【0023】
固体撮像素子1は、複数の画素回路12と、複数の駆動配線VOAと、複数のデータ出力線VSL(VSL1,VSL2,VSL3)とを備える。画素回路12は、画素11から出力された電荷に基づく画素信号を出力する。駆動配線VOAは、画素11に蓄積された電荷の出力を制御する制御信号が印加される配線であり、例えば、行方向Drに延在する。データ出力線VSL(VSL1,VSL2,VSL3)は、各画素回路12から出力された画素信号をロジック回路20に出力する配線であり、例えば、列方向Dcに延在する。
【0024】
各光電変換素子110(具体的には電極111)には、画素回路12Gが接続される。各光電変換素子120には、転送トランジスタTR2を介して画素回路12Bが接続される。各光電変換素子130には、転送トランジスタTR3を介して画素回路12Rが接続される。以下では、光電変換素子110を便宜的に光電変換部11Gと称する場合がある。また、光電変換素子120および転送トランジスタTR2からなる回路を光電変換部11Bと称する場合がある。また、光電変換素子130および転送トランジスタTR3からなる回路を光電変換部11Rと称する場合がある。
【0025】
画素回路12Gは、例えば、図3に示したように、フローティングディフュージョンFD1と、リセットトランジスタRST1と、選択トランジスタSEL1と、増幅トランジスタAMP1とを有する。フローティングディフュージョンFD1は、光電変換部11Gから出力された電荷を一時的に保持する。リセットトランジスタRST1のソースがフローティングディフュージョンFD1に接続され、リセットトランジスタRST1のドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMP1のドレインに接続される。リセットトランジスタRST1のゲートは制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。増幅トランジスタAMP1のソースが選択トランジスタSEL1のドレインに接続され、増幅トランジスタAMP1のゲートがフローティングディフュージョンFD1に接続される。選択トランジスタSEL1のソースがデータ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に接続され、選択トランジスタSEL1のゲートが制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。光電変換部11Gの蓄積電極114は、駆動配線VOAを介して垂直駆動回路21に接続される。光電変換部11Gの電極113は、駆動配線VOUを介して垂直駆動回路21に接続される。
【0026】
画素回路12Bは、例えば、図5に示したように、フローティングディフュージョンFD2と、リセットトランジスタRST2と、選択トランジスタSEL2と、増幅トランジスタAMP2とを有する。フローティングディフュージョンFD2は、光電変換部11Bから出力された電荷を一時的に保持する。リセットトランジスタRST2のソースがフローティングディフュージョンFD2に接続され、リセットトランジスタRST2のドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMP2のドレインに接続される。リセットトランジスタRST2のゲートは制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。増幅トランジスタAMP2のソースが選択トランジスタSEL2のドレインに接続され、増幅トランジスタAMP2のゲートがフローティングディフュージョンFD2に接続される。選択トランジスタSEL2のソースがデータ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に接続され、選択トランジスタSEL2のゲートが制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。
【0027】
画素回路12Rは、例えば、図6に示したように、フローティングディフュージョンFD3と、リセットトランジスタRST3と、選択トランジスタSEL3と、増幅トランジスタAMP3とを有する。フローティングディフュージョンFD3は、光電変換部11Rから出力された電荷を一時的に保持する。リセットトランジスタRST3のソースがフローティングディフュージョンFD3に接続され、リセットトランジスタRST3のドレインが電源線VDDおよび増幅トランジスタAMP3のドレインに接続される。リセットトランジスタRST3のゲートは制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。増幅トランジスタAMP3のソースが選択トランジスタSEL3のドレインに接続され、増幅トランジスタAMP3のゲートがフローティングディフュージョンFD3に接続される。選択トランジスタSEL3のソースがデータ出力線VSL3を介してカラム信号処理回路22に接続され、選択トランジスタSEL3のゲートが制御線(図示せず)を介して垂直駆動回路21に接続される。
【0028】
リセットトランジスタRST1は、フローティングディフュージョンFD1の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRST1がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD1の電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSEL1は、画素回路12からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMP1は、画素信号として、フローティングディフュージョンFD1に保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMP1は、ソースフォロア型のアンプを構成しており、光電変換部11Gで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMP1は、選択トランジスタSEL1がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD1の電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、データ出力線VSL1を介してカラム信号処理回路22に出力する。リセットトランジスタRST1、増幅トランジスタAMP1および選択トランジスタSEL1は、例えば、NMOSトランジスタである。
【0029】
転送トランジスタTR2は、転送トランジスタTR2がオン状態となると、光電変換部11Bの電荷をフローティングディフュージョンFD2に転送する。リセットトランジスタRST2は、フローティングディフュージョンFD2の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRST2がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD2の電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSEL2は、画素回路12からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMP2は、画素信号として、フローティングディフュージョンFD2に保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMP2は、ソースフォロア型のアンプを構成しており、光電変換部11Bで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMP2は、選択トランジスタSEL2がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD2の電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、データ出力線VSL2を介してカラム信号処理回路22に出力する。転送トランジスタTR2、リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMP2および選択トランジスタSEL2は、例えば、NMOSトランジスタである。
【0030】
転送トランジスタTR3は、転送トランジスタTR3がオン状態となると、光電変換部11Rの電荷をフローティングディフュージョンFD3に転送する。リセットトランジスタRST3は、フローティングディフュージョンFD3の電位を所定の電位にリセットする。リセットトランジスタRST3がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD3の電位を電源線VDDの電位にリセットする。選択トランジスタSEL3は、画素回路12からの画素信号の出力タイミングを制御する。増幅トランジスタAMP3は、画素信号として、フローティングディフュージョンFD3に保持された電荷のレベルに応じた電圧の信号を生成する。増幅トランジスタAMP3は、ソースフォロア型のアンプを構成しており、光電変換部11Rで発生した電荷のレベルに応じた電圧の画素信号を出力する。増幅トランジスタAMP3は、選択トランジスタSEL3がオン状態となると、フローティングディフュージョンFD3の電位を増幅して、その電位に応じた電圧を、データ出力線VSL3を介してカラム信号処理回路22に出力する。転送トランジスタTR3、リセットトランジスタRST3、増幅トランジスタAMP3および選択トランジスタSEL3は、例えば、NMOSトランジスタである。
【0031】
複数の画素回路12は、例えば、半導体基板140の裏面に形成される。固体撮像素子1に設けられた複数の画素回路12には、光電変換部11Gに割り当てられた複数の画素回路12Gと、光電変換部11Bに割り当てられた複数の画素回路12Bと、光電変換部11Rに割り当てられた複数の画素回路12Rとが含まれる。画素回路12Gは、所定の波長選択性を有する光電変換部11Gから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。画素回路12Bは、所定の波長選択性を有する光電変換部11Bから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。画素回路12Rは、所定の波長選択性を有する光電変換部11Rから出力された電荷に基づく画素信号を出力する。
【0032】
次に、光電変換層112について詳細に説明する。図7は、光電変換素子110(光電変換部11G)の断面構成の一例を表す。光電変換層112は、例えば、図7に示したように、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bを有する。第1光電変換層112Aは、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡って形成される。第2光電変換層112Bは、少なくとも第1光電変換層112Aと同一の層内に形成される。第2光電変換層112Bは、少なくとも、蓄積電極114と対向する領域のうち、第1光電変換層112Aの未形成領域に形成される。第2光電変換層112Bは、第1光電変換層112Aを覆うように形成される。このとき、第2光電変換層112Bは、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111から離れた領域において、絶縁層116および電極113に接して形成される。第2光電変換層112Bは、さらに、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域において、第1光電変換層112Aおよび電極113に接して形成される。
【0033】
第1光電変換層112Aは、n型の導電型を有する層であり、例えば、n型の導電型を有する半導体量子ドットの堆積層で構成される。半導体量子ドットは、数nmサイズの結晶構造を有する半導体物質であり、同一物質のバルク半導体と、不連続分子との間の特性を示す。量子ドットでは、量子拘束効果(quantum confinement effect)と、大きい表面と体積との比とによって、同一物質で、大きさを変化させることによって、物理的、化学的、電気的な特性の調整が可能である。第1光電変換層112Aにおいて、n型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例1に示したように、n型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。リガンドとは、半導体量子ドットの表面を終端する有機材料を指している。第1光電変換層112Aは、例えば、n型の導電型を有する半導体量子ドットを溶媒に分散させたインクを絶縁層116上に塗布し、溶媒を揮発させた後、パターニングを行うことにより形成される。
【0034】
第2光電変換層112Bは、p型の導電型を有する層であり、例えば、p型の導電型を有する半導体量子ドットの堆積層で構成される。第2光電変換層112Bにおいて、p型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例1に示したように、p型の導電型を有するPbTe超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。このとき、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bにおいて、半導体量子ドットの組成が互いに異なる。つまり、光電変換層112(第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112B)において、半導体量子ドットの組成が堆積方向と直交する方向において異なる。第2光電変換層112Bは、例えば、p型の導電型を有する半導体量子ドットを溶媒に分散させたインクを、第1光電変換層112Aを含む表面全体に塗布し、溶媒を揮発させることにより形成される。
【0035】
図8の実施例1では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットのサイズは、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例1では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットを被覆するリガンドの組成は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例1では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。
【0036】
第1光電変換層112Aにおいて、n型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例2に示したように、n型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これを、TBAI(Tetrabutylammonium Iodide)からなるリガンドで被覆した構成となる。
【0037】
第2光電変換層112Bにおいて、p型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例2に示したように、p型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これを、MPA(3-mercaptopropionic acid)からなるリガンドで被覆した構成となる。このとき、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bにおいて、半導体量子ドットにおけるリガンド組成が互いに異なる。つまり、光電変換層112(第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112B)において、半導体量子ドットにおけるリガンド組成が堆積方向と直交する方向において異なる。
【0038】
図8の実施例2では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットのサイズは、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例2では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットの組成は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例2では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。
【0039】
第1光電変換層112Aにおいて、n型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例3に示したように、n型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。
【0040】
第2光電変換層112Bにおいて、p型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例3に示したように、p型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。このとき、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bにおいて、半導体量子ドットサイズが互いに異なる。つまり、光電変換層112(第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112B)において、半導体量子ドットサイズが堆積方向と直交する方向において異なる。具体的には、第1光電変換層112Aにおける半導体量子ドットサイズが、第2光電変換層112Bにおける半導体量子ドットサイズよりも大きくなっている。
【0041】
ここで、半導体量子ドットサイズ(粒径)が概ね10nm以下になると、量子効果が顕著になり、粒径の減少と共にバンドギャップが小さくなる。例えば、図9に示したように、PbSバルクでは、バンドギャップは0.37となる。一方、半導体量子ドットのコアがPbS超微粒子で構成されている場合、バンドギャップは、例えば、図9に示したように、粒径が10nmのときに0.60eVとなり、粒径が5nmのときに0.90eVとなり、粒径が3nmのときに1.30eVとなる。
【0042】
図8の実施例3では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットの組成は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例3では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットの組成は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例3では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。
【0043】
第1光電変換層112Aにおいて、n型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例4に示したように、n型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。
【0044】
第2光電変換層112Bにおいて、p型の導電型を有する半導体量子ドットは、例えば、図8の実施例4に示したように、p型の導電型を有するPbS超微粒子をコアとし、これをリガンドで被覆した構成となる。このとき、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bにおいて、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が互いに異なる。つまり、光電変換層112(第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112B)において、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が堆積方向と直交する方向において異なる。具体的には、第1光電変換層112Aにおける、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が、第2光電変換層112Bにおける、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率よりも多くなっている。
【0045】
図8の実施例4では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットのサイズは、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例4では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットの組成は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。また、図8の実施例4では、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bの半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率は、互いに同一となってもよいし、互いに異なってもよい。
【0046】
[動作]
次に、図7図9図10を参照して、光電変換素子110(光電変換部11G)の動作について説明する。図9は、光電変換素子110(光電変換部11G)における電荷蓄積時のポテンシャルの一例を表す。図10は、光電変換素子110(光電変換部11G)における電荷転送時のポテンシャルの一例を表す。図9(A)、図10(A)は、光電変換素子110(光電変換部11G)における横方向(堆積方向と直交する方向)のポテンシャルの一例を表す。図9(B)、図10(B)は、光電変換素子110(光電変換部11G)における垂直方向(堆積方向と平行な方向)のポテンシャルの一例を表す。
【0047】
ここで、電極111の電位を電極113の電位よりも高くした。即ち、例えば、電極111を正の電位とし、電極113を負の電位とし、光電変換層112において光電変換され、電子が電極111に読み出される。なお、電極111を負の電位とし、電極113を正の電位とし、光電変換層112において光電変換に基づき生成した正孔が電極111に読み出される形態にあっては、以下の述べる電位の高低を逆にすればよい。
【0048】
図7図10図11中で使用している符号A~Dは、以下のとおりである。
・A:第2光電変換層112Bのうち、蓄積電極114と対向する領域であって、かつ電極111から離れた領域
・B:第1光電変換層112Aのうち、蓄積電極114と対向する領域であって、かつ電極111寄りの領域
・C:第1光電変換層112Aのうち、電極111と対向する領域
・D:第2光電変換層112Bのうち、蓄積電極114と対向する領域であって、かつ電極111寄りの領域
【0049】
電荷蓄積時においては、垂直駆動回路21から、電極111に電位V1が印加され、蓄積電極114に電位V2が印加される。光電変換層112に入射された光によって光電変換層112において光電変換が生じる。光電変換によって生成した正孔は、電極113から配線VOUを介して垂直駆動回路21へ送出される。一方、電極111の電位を電極113の電位よりも高くしたので、すなわち、例えば、電極111に正の電位が印加され、電極113に負の電位が印加されるとしたので、V2≧V1、好ましくは、V2>V1とする。これにより、光電変換によって生成した電子は、蓄積電極114に引き付けられ、光電変換層112のうち蓄積電極114に隣接する領域に止まる。即ち、光電変換層112に電荷が蓄積される。V2>V1であるが故に、光電変換層112の内部に生成した電子が、電極111に向かって移動することはない。光電変換の時間経過に伴い、蓄積電極114と対向する光電変換層112の領域における電位は、より負側の値となる。
【0050】
このとき、光電変換層112には、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bが設けられている。これにより、光電変換層112は、横方向(堆積方向と直交する方向)において電位勾配を有する。光電変換層112は、例えば、図10に示したように、蓄積電極114と対向する部分(A,B)において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配を有する。この電位勾配は、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bが、図8の実施例1~4のいずれかに記載の半導体量子ドットの堆積層で構成されることにより生じる。ここで、C,Dの電位は、図10に示したように、A,Bの電位よりも低くなっている。そのため、光電変換層112のうち、蓄積電極114と対向する部分(A,B)に蓄積させた電子の流出は、CおよびDにおいて生じる電位障壁によって防止される。
【0051】
電荷蓄積の終了後において、リセット動作がなされる。これによって、電極111の電位がリセットされ、電極111の電位は電源の電位VDDとなる。
【0052】
リセット動作の完了後、電荷の読み出しを行う。即ち、電荷転送時において、垂直駆動回路21から、電極111に電位V3が印加され、蓄積電極114に電位V4が印加される。ここで、V4<V3とする。これによって、光電変換層112のうち蓄積電極114に隣接する領域に止まっていた電子は、電極111へ読み出される。即ち、光電変換層112に蓄積された電荷がカラム信号処理回路22に読み出される。より具体的には、電荷転送時において、V4<V3といった状態になると、光電変換層112から電極111への電荷の流れを、確実に確保することができる。
【0053】
このとき、光電変換層112には、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bが設けられている。これにより、光電変換層112は、横方向(堆積方向と直交する方向)において電位勾配を有する。光電変換層112は、例えば、図11に示したように、蓄積電極114と対向する部分(A,B)において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配を有する。この電位勾配は、第1光電変換層112Aおよび第2光電変換層112Bが、図8の実施例1~4のいずれかに記載の半導体量子ドットの堆積層で構成されることにより生じる。ここで、Cの電位が、図11に示したように、A,Bの電位よりも高くなっている。そのため、光電変換層112のうち、蓄積電極114と対向する部分(A,B)に蓄積させた電子は、Cを介して電極111へ確実に転送することができる。
【0054】
[効果]
次に、本実施の形態に係る固体撮像素子1の効果について説明する。
【0055】
本実施の形態では、半導体量子ドットの堆積層で構成された光電変換層112において、横方向(堆積方向と直交する方向)において電位勾配が形成される。これにより、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0056】
本実施の形態では、光電変換層112において、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。これにより、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0057】
本実施の形態では、光電変換層112において、半導体量子ドットの組成が堆積方向と直交する方向において異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0058】
本実施の形態では、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡って光電変換層112Aが形成され、光電変換層112Aと同一の層内に形成され、蓄積電極114と対向する領域のうち、光電変換層112Aの未形成領域に光電変換層112Bが形成される。さらに、本実施の形態では、光電変換層112A,112Bにおいて、半導体量子ドットの組成が互いに異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0059】
本実施の形態では、光電変換層112において、半導体量子ドットにおけるリガンド組成が堆積方向と直交する方向において異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0060】
本実施の形態では、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡って光電変換層112Aが形成され、光電変換層112Aと同一の層内に形成され、蓄積電極114と対向する領域のうち、光電変換層112Aの未形成領域に光電変換層112Bが形成される。さらに、本実施の形態では、光電変換層112A,112Bにおいて、半導体量子ドットにおけるリガンド組成が互いに異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0061】
本実施の形態では、光電変換層112において、半導体量子ドットのサイズが堆積方向と直交する方向において異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0062】
本実施の形態では、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡って光電変換層112Aが形成され、光電変換層112Aと同一の層内に形成され、蓄積電極114と対向する領域のうち、光電変換層112Aの未形成領域に光電変換層112Bが形成される。さらに、本実施の形態では、光電変換層112A,112Bにおいて、半導体量子ドットのサイズが互いに異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0063】
本実施の形態では、光電変換層112において、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が堆積方向と直交する方向において異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0064】
本実施の形態では、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡って光電変換層112Aが形成され、光電変換層112Aと同一の層内に形成され、蓄積電極114と対向する領域のうち、光電変換層112Aの未形成領域に光電変換層112Bが形成される。さらに、本実施の形態では、光電変換層112A,112Bにおいて、半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が互いに異なる。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0065】
本実施の形態では、蓄積電極114と対向する領域のうち電極111寄りの領域から、電極111と対向する領域に渡ってn型の光電変換層112Aが形成され、光電変換層112Aと同一の層内に形成され、蓄積電極114と対向する領域のうち、光電変換層112Aの未形成領域にp型の光電変換層112Bが形成される。これにより、蓄積電極114と対向する部分において、蓄積電極114側から電極111側に向かって電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0066】
本実施の形態では、光電変換層112Bが光電変換層112Aを覆うように形成される。これにより、横方向(堆積方向と直交する方向)だけでなく、垂直方向(堆積方向と平行な方向)にも電位勾配が形成される。その結果、光電変換層112から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りが抑制される。その結果、撮像画質を向上させることができる。
【0067】
<2.変形例>
以下に、上記実施の形態に係る固体撮像素子1の変形例について説明する。
【0068】
[[変形例A]]
図15は、光電変換素子110(光電変換部11G)の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態の光電変換素子110(光電変換部11G)において、第2光電変換層112Bは、第1光電変換層112Aと同一の層内にだけ形成されていてもよい。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0069】
[[変形例B]]
図16は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像素子1における画素11の断面構成の一変形例を表す。上記実施の形態およびその変形例では、光電変換素子120が半導体基板140内に設けられていた。しかし、上記実施の形態およびその変形例において、光電変換素子120が半導体基板140の上方に設けられていてもよい。光電変換素子120は、例えば、図16に示したように、光電変換素子110の上に設けられていてもよい。
【0070】
光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子120、光電変換素子110、光電変換素子130の順となっている。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。なお、光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順となってもよい。
【0071】
本変形例では、光電変換素子120は、例えば、光電変換素子110上の絶縁層(保護層117、絶縁層125および保護層126)内に形成されており、例えば、電極121、光電変換層122および電極123を、半導体基板140側からこの順に積層して構成される。
【0072】
光電変換素子120は、さらに、例えば、電極121と同一の層内に、電極121と離間して配置された蓄積電極124を有する。蓄積電極124は、絶縁層125を介して光電変換層122と対向して配置される。電極121および蓄積電極124は、保護層117、絶縁層125によって覆われており、電極121は、絶縁層125の開口を介して光電変換層122に接している。電極123は、光電変換層122および絶縁層125の表面に接して形成されたベタ膜であり、例えば、隣接する画素11の電極123と共通の層によって構成されている。
【0073】
光電変換素子120は、例えば、青色の光(425nm以上495nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層122を有し、青色の光に感度を有している。光電変換層122は、例えば、青色の光を吸収する半導体量子ドットによって構成される。保護層117、絶縁層125および保護層126は、例えば、SiOや、SiN等によって構成される。電極121,123は、例えば、透明導電材料によって構成される。透明導電材料としては、例えば、ITOや、IZO等が挙げられる。
【0074】
光電変換素子120は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール162等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線163に接続されている。配線163は、光電変換素子120の電極121と、光電変換素子120用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極164)とを電気的に接続している。光電変換素子120は、第1光電変換層112Aと同様の構成を有する第1光電変換層と、第2光電変換層112Bと同様の構成を有する第2光電変換層とを有する。
【0075】
本変形例では、光電変換素子130は、例えば、半導体基板140内に形成されたn型半導体領域161を光電変換層として有する。光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収するn型半導体領域161を有し、赤色の光に感度を有する。光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられた転送トランジスタTRを介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線に接続されている。この配線は、n型半導体領域161と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極165)とを電気的に接続している。
【0076】
半導体基板140は、n型半導体領域161と半導体基板140の表面との間にp+層145を有している。半導体基板140は、半導体基板140の裏面近傍にp+層144を有している。半導体基板140の裏面には、絶縁膜154が設けられており、半導体基板140の表面には、HfO膜151および絶縁膜152が積層されている。HfO膜151は、負の固定電荷を有する膜であり、このような膜を設けることによって、暗電流の発生を抑制することができる。半導体基板140の裏面には、例えば、光電変換素子110,120,130と画素回路12とを互いに電気的に接続する配線や、画素回路12などを覆う絶縁層155が形成されている。
【0077】
本変形例では、2つの光電変換素子120,130が半導体基板140の上方に設けられている。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0078】
[[変形例C]]
図17は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像素子1における画素11の断面構成の一変形例を表す。本変形例では、3つの光電変換素子110,120,130全てが、半導体基板140の上方に設けられている。つまり、本変形例にかかる固体撮像素子1は、上記変形例Bに係る固体撮像素子1において、光電変換素子130を半導体基板140の上方に設けた装置に相当する。
【0079】
光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子120、光電変換素子110、光電変換素子130の順となっている。これは、より短い波長の光がより入射表面側において効率良く吸収されるからである。なお、光電変換素子110,120,130の垂直方向における配置順は、光入射方向(オンチップレンズ160側)から光電変換素子110、光電変換素子120、光電変換素子130の順となってもよい。
【0080】
本変形例では、光電変換素子130は、例えば、半導体基板40の表面と光電変換素子110との間の絶縁層(絶縁層127,128,115)内に形成され、例えば、電極131、光電変換層132および電極133を、半導体基板140側からこの順に積層して構成される。
【0081】
光電変換素子130は、さらに、例えば、電極131と同一の層内に、電極131と離間して配置された蓄積電極134を有する。蓄積電極134は、絶縁層128を介して光電変換層132と対向して配置される。電極131および蓄積電極134は、絶縁層127,128によって覆われており、電極131は、絶縁層128の開口を介して光電変換層132に接する。電極133は、光電変換層132および絶縁層125の表面に接して形成されたベタ膜であり、例えば、隣接する画素11の電極133と共通の層によって構成される。
【0082】
光電変換素子130は、例えば、赤色の光(620nm以上750nm以下の範囲内の波長域の光)を吸収する光電変換層132を有し、赤色の光に感度を有する。光電変換層132は、例えば、赤色の光を吸収する半導体量子ドットによって構成される。絶縁層127,128は、例えば、SiOや、SiN等によって構成されている。電極13,133は、例えば、透明導電材料によって構成されている。透明導電材料としては、例えば、ITOや、IZO等が挙げられる。
【0083】
光電変換素子130は、例えば、半導体基板140に設けられたコンタクトホール166等を介して、半導体基板140の裏面に設けられた配線167に接続される。配線167は、光電変換素子130の電極131と、光電変換素子130用の画素回路12(例えば、画素回路12内の増幅トランジスタのゲート電極168)とを電気的に接続する。光電変換素子130は、第1光電変換層112Aと同様の構成を有する第1光電変換層と、第2光電変換層112Bと同様の構成を有する第2光電変換層とを有する。
【0084】
本変形例では、3つの光電変換素子110,120,130全てが、半導体基板140の上方に設けられている。このようにした場合であっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
<3.適用例>
図18は、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像素子1を備えた撮像システム2の概略構成の一例を表したものである。撮像システム2は、例えば、光学系220と、シャッタ装置230と、固体撮像素子1と、信号処理回路240と、表示部250とを備える。
【0086】
光学系220は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子1の撮像面上に結像させる。シャッタ装置230は、光学系220および固体撮像素子1の間に配置され、固体撮像素子1への光照射期間および遮光期間を制御する。固体撮像素子1は、固体撮像素子1から入射された像光(入射光)を受光し、受光した像光(入射光)に応じた画素信号を信号処理回路240に出力する。信号処理回路240は、固体撮像素子1から入力された画像信号を処理して、映像データを生成する。信号処理回路240は、さらに、生成した映像データに対応する映像信号を生成し、表示部250に出力する。表示部250は、信号処理回路240から入力された映像信号に基づく映像を表示する。
【0087】
本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る固体撮像素子1が撮像システム2に適用される。これにより、固体撮像素子1を小型化もしくは高精細化することができるので、撮像画質の高い撮像システム2を提供することができる。
【0088】
<4.応用例>
[応用例1]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0089】
図19は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0090】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図19に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0091】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0092】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0093】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0094】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0095】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0096】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0097】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0098】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検出した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0099】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図19の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0100】
図20は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0101】
車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0102】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0103】
なお、図20には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0104】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0105】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0106】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0107】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0108】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、撮像装置3は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高画質な撮影画像を得ることができるので、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0109】
[応用例2]
図21は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0110】
図21では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0111】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0112】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0113】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0114】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0115】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0116】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0117】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0118】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0119】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0120】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0121】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0122】
図22は、図21に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0123】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0124】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0125】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0126】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0127】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0128】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0129】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0130】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0131】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0132】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0133】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0134】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0135】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0136】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0137】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0138】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0139】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、高画質な撮影画像を得ることができるので、高画質な内視鏡11100を提供することができる。
【0140】
以上、実施の形態およびその変形例、適用例および応用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0141】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
半導体量子ドットの堆積層で構成され、堆積方向と直交する方向において電位勾配を有する光電変換層を備えた
固体撮像素子。
(2)
前記光電変換層で発生した電荷を読み出すための読み出し電極と、
前記読み出し電極に隣接して設けられ、前記光電変換層で発生した電荷を前記光電変換層内に蓄積させるための蓄積電極と
を更に備え、
前記光電変換層は、前記蓄積電極と対向する部分において、前記蓄積電極側から前記読み出し電極側に向かって電位勾配を有する
(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットの組成が前記堆積方向と直交する方向において異なる
(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットの組成が互いに異なる
(3)に記載の固体撮像素子。
(5)
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットにおけるリガンド組成が前記堆積方向と直交する方向において異なる
(2)に記載の固体撮像素子。
(6)
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットにおけるリガンド組成が互いに異なる
(5)に記載の固体撮像素子。
(7)
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットのサイズが前記堆積方向と直交する方向において異なる
(2)に記載の固体撮像素子。
(8)
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットのサイズが互いに異なる
(7)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記光電変換層において、前記半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が前記堆積方向と直交する方向において異なる
(2)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成された第1光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成された第2光電変換層と
を有し、
前記第1光電変換層および前記第2光電変換層において、前記半導体量子ドットを被覆するリガンドの比率が互いに異なる
(9)に記載の固体撮像素子。
(11)
前記光電変換層は、
前記蓄積電極と対向する領域のうち前記読み出し電極寄りの領域から、前記読み出し電極と対向する領域に渡って形成されたn型光電変換層と、
第1光電変換層と同一の層内に形成され、前記蓄積電極と対向する領域のうち、前記第1光電変換層の未形成領域に形成されたp型光電変換層と
を有する
(2)に記載の固体撮像素子。
(12)
前記p型光電変換層は、前記n型半導体層を覆うように形成される
(11)に記載の固体撮像素子。
【0142】
本開示の一実施の形態に係る固体撮像素子によれば、半導体量子ドットの堆積層で構成された光電変換層において、堆積方向と直交する方向において電位勾配を形成するようにしたので、光電変換層から電荷を排出したときに、電子の再結合や電荷の転送残りを抑制することができる。その結果、画素信号を効率的に出力、転送することができる。
【符号の説明】
【0143】
1…固体撮像素子、2…撮像システム、10…画素領域、11…画素、11R,11G,11B…光電変換部、12,12R,12G,12B…画素回路、20…ロジック回路、21…垂直駆動回路、22…カラム信号処理回路、23…水平駆動回路、24…システム制御回路、110,120,130…光電変換素子、111,113…電極、112…光電変換層、112A…第1光電変換層、112B…第2光電変換層、114…蓄積電極、115,116…絶縁層、117…保護層、121,123…電極、122…光電変換層、124…蓄積電極、125…絶縁層、126…保護層、127,128…絶縁層、131,133…電極、132…光電変換層、134…蓄積電極、140…半導体基板、141,142…n型半導体領域、143,144,145…p+層、151…HfO膜、152…絶縁膜、153…コンタクトホール、154…絶縁膜、155…絶縁層、156…配線、157,158,159…ゲート電極、160…オンチップレンズ、162…コンタクトホール、163…配線、164,165…ゲート電極、220…光学系、230…シャッタ装置、240…信号処理回路、250…表示部、11000…内視鏡手術システム、11100…内視鏡、11101…鏡筒、11102…カメラヘッド、11110…その他の術具、11111…気腹チューブ、11112…エネルギー処置具、11120…支持アーム装置、11200…カート、11201…カメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)、11202…表示装置、11203…光源装置、11204…入力装置、11205…処置具制御装置、11206…気腹装置、11207…レコーダ、11208…プリンタ、11131…術者、11132…患者、11133…患者ベッド、11401…レンズユニット、11402…撮像部、11403…駆動部、11404…通信部、11405…カメラヘッド制御部、11411…通信部、11412…画像処理部、11413…制御部、12000…車両制御システム、12001…通信ネットワーク、12010…駆動系制御ユニット、12020…ボディ系制御ユニット、12030…車外情報検出ユニット、12031…撮像部、12040…車内情報検出ユニット、12041…運転者状態検出部、12050…統合制御ユニット、12051…マイクロコンピュータ、12052…音声画像出力部、12053…車載ネットワークI/F(interface)、12061…オーディオスピーカ、12062…表示部、12063…インストルメントパネル、12100…車両、12101,12102,12103,12104,12105…撮像部、12111,12112,12113,12114…撮像範囲、AMP1,AMP2,AMP3…増幅トランジスタ、Dc…列方向、Dr…行方向、FD1,FD2,FD3…フローティングディフュージョン、RST1,RST2,RST3…リセットトランジスタ、SEL1,SEL2,SEL3…選択トランジスタ、TR2,TR3…転送トランジスタ、VDD…電源線、VOA,VOU…駆動配線、VSL,VSL1,VSL2,VSL3…データ出力線。
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