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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】テープ貼り用治具
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B65H35/07 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020026383
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021130543
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 極
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-048413(JP,A)
【文献】実開昭60-110359(JP,U)
【文献】実開平02-142095(JP,U)
【文献】実開昭60-78356(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける作業を補助するテープ貼り用治具であって、
前記被貼り付け面に当てられて、前記被貼り付け面に沿った移動をガイドするガイド面と、
前記離型紙付粘着テープから剥がれた前記粘着テープを前記被貼り付け面に押し当てる押し当て面と、
前記ガイド面と前記押し当て面の間に位置するテープ供給部と、
前記ガイド面、前記押し当て面及び前記テープ供給部を除いたその他の部分に入口を有し、前記テープ供給部に出口を有し、前記離型紙付粘着テープが通される第一スリットと、
前記テープ供給部に入口を有し、前記その他の部分に出口を有し、前記離型紙付粘着テープから剥がれた前記離型紙が通される第二スリットと、
を備える、
テープ貼り用治具。
【請求項2】
前記ガイド面、前記押し当て面、前記テープ供給部、前記第一スリット、及び前記第二スリットを有する治具本体と、
前記治具本体の側面に固定される側部材と、を備え、
前記側部材には、前記第一スリットにつながって前記第一スリットを拡張する第一拡張スリットと、前記第二スリットにつながって前記第二スリットを拡張する第二拡張スリットとが設けられ、
前記側部材は、前記押し当て面から後退して位置し、
前記治具本体の前記側面は、前記押し当て面に連続し、前記押し当て面に対して交差する第二押し当て面を有し、
前記第一スリット及び前記第一拡張スリットを通過した前記離型紙付粘着テープから剥がれた前記粘着テープの端部は、前記第二押し当て面によって、前記被貼り付け面が有する起立面に押し当てられる、
請求項1に記載のテープ貼り用治具。
【請求項3】
前記治具本体の前記側面とは反対側を向く他の側面に固定される第二側部材を更に備え、
前記側部材及び前記第二側部材のそれぞれは、前記治具本体に対して着脱可能である、
請求項2に記載のテープ貼り用治具。
【請求項4】
前記治具本体は、
前記ガイド面を有する第一部材と、
前記押し当て面を有する第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材との間に間隔をおいて位置する第三部材と、を含み、
前記第二部材と前記第三部材の間の空間が、前記第一スリットであり、
前記第三部材と前記第一部材の間の空間が、前記第二スリットであり、
前記第一部材と前記第二部材と前記第三部材のそれぞれは、
前記側部材に固定されている、
請求項2又は3に記載のテープ貼り用治具。
【請求項5】
一部が前記ガイド面よりも突出し、他部が前記第二スリットに突出する第一搬送ローラーを更に備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のテープ貼り用治具。
【請求項6】
一部が前記第二スリットに突出し、他部が前記第一スリットに突出する第二搬送ローラーを更に備える、
請求項5に記載のテープ貼り用治具。
【請求項7】
一部が前記第一スリットに突出し、前記第二搬送ローラーとの間で前記離型紙付粘着テープを挟み込む第三搬送ローラーを更に備える、
請求項6に記載のテープ貼り用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープ貼り用治具に関し、より詳細には、離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける作業を補助するテープ貼り用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、耐火シートを左右の側面に貼り付けた耐火パネルが記載されている。この耐火パネルでは、パネル長さ方向の全長にわたるように左右の側面のそれぞれに耐火シートが貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-190610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、耐火シートは、例えば、その裏面に両面テープが設けられたものであって、離型紙を外しながら、耐火パネルの左右の側面にそれぞれ貼り付ける必要がある。
【0005】
耐火パネルは、その最大長さが6.0mと長尺であるため、左右二つの側面のそれぞれに耐火シートを貼り付ける作業は、より簡略化することが求められる。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける作業を簡略化することができるテープ貼り用治具を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るテープ貼り用治具は、離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける作業を補助するテープ貼り用治具である。前記テープ貼り用治具は、ガイド面、押し当て面、テープ供給部、第一スリット、及び第二スリットを備える。前記ガイド面は、前記被貼り付け面に当てられて、前記被貼り付け面に沿った移動をガイドする。前記押し当て面は、前記離型紙付粘着テープから剥がれた前記粘着テープを前記被貼り付け面に押し当てる。前記テープ供給部は、前記ガイド面と前記押し当て面の間に位置する。前記第一スリットは、前記ガイド面、前記押し当て面及び前記テープ供給部を除いたその他の部分に入口を有し、前記テープ供給部に出口を有し、前記離型紙付粘着テープが通される。前記第二スリットは、前記テープ供給部に入口を有し、前記その他の部分に出口を有し、前記離型紙付粘着テープから剥がれた前記離型紙が通される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るテープ貼り用治具では、離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のテープ貼り用治具の使用状態を示す一部破断した平面図である。
図2図2は、同上のテープ貼り用治具を示す斜視図である。
図3図3は、同上のテープ貼り用治具を分解して示す分解斜視図である。
図4図4は、同上のテープ貼り用治具を示す平面図である。
図5図5は、同上のテープ貼り用治具を用いて粘着テープが貼り付けられたパネルの一例を示す斜視図である。
図6図6A図6Bは、同上のパネルの側端部を示す平断面図である。
図7図7は、同上のパネルを示す側断面図である。
図8図8は、同上のテープ貼り用治具を用いて、同上のパネルの側面の被貼り付け面に粘着テープを貼り付ける様子を示す側面図である。
図9図9A図9Bは、同上のテープ貼り用治具を用いて、離型紙付粘着テープから離型紙を剥がして粘着テープを被貼り付け面に貼り付ける様子を順に示す平面図である。
図10図10は、同上のテープ貼り用治具の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.概要
図1に示す一実施形態のテープ貼り用治具1(以下「治具1」と記載する)は、離型紙付粘着テープ2から離型紙20を剥がして粘着テープ21を被貼り付け面3に貼り付ける作業を補助する治具1である。治具1は、ガイド面40、押し当て面41、テープ供給部42、第一スリット43、及び第二スリット44を備える。ガイド面40は、被貼り付け面3に当てられて、被貼り付け面3に沿った移動をガイドする。押し当て面41は、離型紙付粘着テープ2から剥がれた粘着テープ21を被貼り付け面3に押し当てる。テープ供給部42は、ガイド面40と押し当て面41の間に位置する。第一スリット43は、ガイド面40、押し当て面41及びテープ供給部42を除いたその他の部分に入口430を有し、テープ供給部42に出口431を有し、離型紙付粘着テープ2が通される。第二スリット44は、テープ供給部42に入口440を有し、前記その他の部分に出口441を有し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた離型紙20が通される。
【0011】
上記構成を備える一実施形態の治具1では、第一スリット43に離型紙付粘着テープ2を通し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた離型紙20を第二スリット44に通し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた粘着テープ21を押し当て面41によって被貼り付け面3に押し当て、ガイド面40を被貼り付け面3に当て、この状態で、治具1を被貼り付け面3に沿って一方向(本実施形態では左方)に移動させることで、被貼り付け面3に粘着テープ21を連続的に貼り付けることができる。
【0012】
これにより、一実施形態の治具1では、施工者が治具1を使わず手作業で貼り付け作業を行う場合に比べて、離型紙付粘着テープ2から離型紙20を剥がして粘着テープ21を被貼り付け面3に貼り付ける作業を簡略化することができる。
【0013】
2.詳細
2-1.治具
続いて、図1から図4に示す治具1について更に詳しく説明する。以下では、図1から図4に示す前後左右上下方向を用いて、治具1の各構成について詳しく説明する。ここで規定する方向は、治具1の使用時の姿勢を限定するものではなく、治具1は他の姿勢でも利用可能である。
【0014】
図2及び図3に示すように、治具1は、ガイド面40、押し当て面41、テープ供給部42、第一スリット43、及び第二スリット44を有する治具本体4と、治具本体4の側面(本実施形態では下面)に固定された側部材5と、を備える。治具1は更に、治具本体4の他の側面(本実施形態では上面)に固定された第二側部材6を備える。治具1は更に、第一搬送ローラー70と、第二搬送ローラー71と、第三搬送ローラー72とを備える。本実施形態では、治具1は、作業者が片手で掴んで操作することが可能なサイズに設けられている。
【0015】
治具本体4は、ガイド面40を有する第一部材45と、押し当て面41を有する第二部材46と、第一部材45と第二部材46との間に間隔をおいて位置する第三部材47と、を含む。第二部材46と第三部材47との間の空間が、第一スリット43である。第三部材47と第一部材45との間の空間が、第二スリット44である。第一部材45と第二部材46と第三部材47のそれぞれは、側部材5に固定されている。本実施形態では、第一部材45と第二部材46と第三部材47のそれぞれは、第二側部材6に対しても固定されている。
【0016】
第一部材45と第二部材46と第三部材47のそれぞれは、上下方向にわたって断面形状が一定である。第一部材45と第二部材46のそれぞれは、中空の筒状であり、第三部材47は、板状である。第一部材45、第二部材46、及び第三部材47は、厚み(上下方向の長さ)が互いに同じである。第一部材45、第二部材46、及び第三部材47は、その厚みが、スリット43,44に通す離型紙付粘着テープ2の幅に対応するサイズに形成される。
【0017】
なお、治具本体4(つまり、第一部材45、第二部材46及び第三部材47のセット)として、互いに厚みが異なる複数種類のものを準備しておくことで、様々な幅の離型紙付粘着テープ2に対応可能である。
【0018】
図3及び図4に示すように、第一部材45は、左右方向に対して平行でありかつ前方を向く第一面450と、左右方向に対して傾いた平面状の第二面451と、第一面450の一端(左端)と第二面451の一端(左端)とに連続する略弧状の第三面452と、第一面450の他端(右端)と第二面451の他端(右端)とに連続する円弧状の第四面453と、を有する。第一面450、第二面451、第三面452及び第四面453は、第一部材45の外周面を構成している。第一面450が、ガイド面40を構成している。第三面452の右端部は、平面状である。ガイド面40は、押し当て面41よりも左右方向に長くて面積が大きい。
【0019】
第四面453は、第一搬送ローラー70の外周面に沿った形状である。第四面453によって囲まれる領域に、第一搬送ローラー70が回転自在に収容される。第一搬送ローラー70は、その中心の回転軸が側部材5,6によって回転自在に支持される。第一搬送ローラー70は、一部が第一面450(ガイド面40)よりも前方に突出し、他部が第二面451よりも第二スリット44側に突出する。
【0020】
第二部材46は、左右方向に対して平行でありかつ前方を向く第一面460と、第一面460の一端(左端)に連続し、第一面460に対して鈍角をなす平面状の第二面461と、第一面460の他端(右端)と第二面461の一端(左端)とに連続する略弧状の第三面462と、を有する。第一面460、第二面461、及び第三面462は、第二部材46の外周面を構成している。第一面460が、押し当て面41を構成している。第三面462の左半部は、平面状である。
【0021】
第一面460は、第一部材45の第一面450よりも僅かに後退して位置する。詳しくは、第一面460は、第一面450よりも2mm程度後方に位置している。第一面450に対する第一面460の前後方向の位置の差は、粘着テープ21の厚みに対応しており、被貼り付け面3に貼り付けられる前の非圧縮状態の粘着テープ21の厚みよりも短くなるように設定されている。
【0022】
第二部材46は、第三搬送ローラー72が回転自在に収容されるローラー収容部463を有する。第二面461には、ローラー収容部463につながった開口464が設けられている。ローラー収容部463は、第二部材46の一部を上下方向に貫通している。第三搬送ローラー72は、その中心の回転軸が側部材5,6によって回転自在に支持される。ローラー収容部463に収容された第三搬送ローラー72は、開口464を通じて第二面461から第一スリット43に突出する。
【0023】
第三部材47は、左右方向に対して平行でありかつ前方を向く第一面470と、左右方向に対して平行でありかつ後方を向く第二面471と、第一面470の一端(右端)と第二面471の一端(右端)とに連続する平面状の第三面472と、第一面470の他端(左端)と第二面471の他端(左端)とに連続する平面状の第四面473と、を有する。
【0024】
第一面470は、第二部材46の第一面460よりも後方に位置する。第二面471は、第一部材45の第三面452の平面状の右端部と、第二部材46の第三面462の平面状の左半部のそれぞれに対して、略面一に位置する。
【0025】
第三面472は、右方を向く面であり、第二部材46の第二面461に対して平行であり、第二面461から間隔をおいて位置する。第三面472と第二面461の間の空間が、第一スリット43である。
【0026】
第四面473は、左方を向く面であり、第一部材45の第二面451に対して平行であり、第二面451から間隔をおいて位置する。第四面473と第二面451の間の空間が、第二スリット44である。
【0027】
第一面470と第二部材46の第二面461との間の部分が、第一スリット43の出口431であり、第二面471と第二部材46の第二面461(又は第三面462)との間の部分が、第一スリット43の入口430である。
【0028】
第一面470と第一部材45の第二面451との間の部分が、第二スリット44の入口440であり、第二面471と第一部材45の第二面451(又は第三面452)との間の部分が、第二スリット44の出口441である。
【0029】
第一部材45と第二部材46の間に位置する第一面470を含んだ仮想平面が、テープ供給部42である。
【0030】
第三部材47は、第二搬送ローラー71が回転自在に収容されるローラー収容部474を有する。第三面472と第四面473には、ローラー収容部474につながった開口475,476がそれぞれ設けられている。ローラー収容部474は、第三部材47の一部を上下方向に貫通している。第三部材47は、ローラー収容部474を挟む二つの部材に分かれている。第二搬送ローラー71は、その中心の回転軸が側部材5,6によって回転自在に支持される。ローラー収容部474に収容された第二搬送ローラー71は、一部が開口475を通じて第三面472から第一スリット43に突出し、他部が開口476を通じて第四面473から第二スリット44に突出する。
【0031】
第一スリット43は、自身の長さ方向にわたって溝幅が一定である。第一スリット43の溝幅は、導入される離型紙付粘着テープ2の厚みに対応して、適宜設定される。第二スリット44は、自身の長さ方向にわたって溝幅が一定である。第二スリット44の溝幅は、導入される離型紙20の厚みに対応して、適宜設定される。本実施形態では、第二スリット44は、第一スリット43よりも溝幅が狭い。
【0032】
第一部材45、第二部材46、及び第三部材47のそれぞれの上面と下面には、側部材5又は第二側部材6を固定するねじ等の固定具が固定される複数のねじ穴48が設けられている。なお、複数のねじ穴48は、第一部材45、第二部材46、及び第三部材47のそれぞれを上下方向に貫通するように設けてもよいし、省略してもよい。
【0033】
図3に示すように、側部材5は、治具本体4に対応した形状を有する。側部材5は、上下方向を厚み方向とする平板状であり、上方から見て略半楕円状である。図2及び図3に示すように、側部材5には、第一スリット43につながって第一スリット43を拡張する第一拡張スリット50と、第二スリット44につながって第二スリット44を拡張する第二拡張スリット51とが設けられている。
【0034】
図3に示すように、第一拡張スリット50は、上方から見て、第一スリット43と同じ形状である。第二拡張スリット51は、上方から見て、第二スリット44と同じ形状である。第一拡張スリット50と第二拡張スリット51のそれぞれは、上方及び前後方向に開放された溝であり、下方は閉塞されている。
【0035】
側部材5は、左右方向に対して平行でありかつ前方を向く第一面52と、左右方向に対して平行でありかつ後方を向く第二面53と、第一面52の一端(右端)と第二面53の一端(右端)とに連続する弧状の第三面54と、第一面52の他端(左端)と第二面53の他端(左端)とに連続する弧状の第四面55と、を有する。第一面52、第二面53、第三面54、及び第四面55は、側部材5の外周面を構成している。
【0036】
第一面52は、治具本体4の第三部材47の第一面470と面一に位置する。言い換えると、第一面52と第一面470とは、前後方向の位置が互いに同じである。つまり、側部材5は、治具本体4のガイド面40及び押し当て面41から後退して位置する。
【0037】
第一面52には、第一拡張スリット50の出口501と第二拡張スリット51の入口510とが設けられている。第二面53には、第一拡張スリット50の入口500と第二拡張スリット51の出口511とが設けられている。
【0038】
第一拡張スリット50の入口500は、第一スリット43の入口430と上下に並んで位置し、左右方向及び前後方向の位置が互いに同じである。第一拡張スリット50の出口501は、第一スリット43の出口431と上下に並んで位置し、左右方向及び前後方向の位置が互いに同じである。
【0039】
第二拡張スリット51の入口510は、第二スリット44の入口440と上下に並んで位置し、左右方向及び前後方向の位置が互いに同じである。第二拡張スリット51の出口511は、第二スリット44の出口441と上下に並んで位置し、左右方向及び前後方向の位置が互いに同じである。
【0040】
側部材5には、側部材5を治具本体4に固定する固定具が収まる複数の取付孔56が設けられている。複数の取付孔56のそれぞれは、固定具の頭部が収まる大径部と、固定具の軸部が通る小径部と、を有する。
【0041】
側部材5は、第二面53と第三面54と第四面55が、治具本体4の第一部材45の第三面452と第三部材47の第二面471と第二部材46の第三面462に対して面一に並ぶ。治具本体4の部材45,46,47へ側部材5の固定は、ねじ等の固定具を用いて行われる。側部材5は、治具本体4に対して着脱可能である。なお、側部材5の治具本体4への固定は、接着等の周知の他の固定手段で行ってもよい。
【0042】
治具本体4の側面(詳しくは下面)は、その前端部に側部材5によって覆われない部分を有する。治具本体4の側面は、押し当て面41に連続し、押し当て面41に対して交差する第二押し当て面49を有する。詳しくは、第二部材46の側面(詳しくは下面)のうち、側部材5によって覆われない前端部が、第二押し当て面49である。
【0043】
第二側部材6は、治具本体4に対応した形状を有する。第二側部材6は、上下方向を厚み方向とする平板状であり、上方から見て略半楕円状である。第二側部材6は、上方から見た形状(外形状)が、側部材5と同じである。なお、第二側部材6には、スリット43,44に対応する拡張スリットが形成されていない。
【0044】
第二側部材6には、第二側部材6を治具本体4に固定する固定具が収まる複数の取付孔60が設けられている。複数の取付孔60のそれぞれは、固定具の頭部が収まる大径部と、固定具の軸部が通る小径部と、を有する。
【0045】
第二側部材6は、外周面のうち前面61を除いた残りの部分が、治具本体4の第一部材45の第三面452と第三部材47の第二面471と第二部材46の第三面462に対して面一に並ぶ。第二側部材6の治具本体4への固定は、ねじ等の固定具を用いて行われる。第二側部材6は、治具本体4に対して着脱可能である。なお、第二側部材6の治具本体4への固定は、接着等の周知の他の固定手段で行ってもよい。
【0046】
図4に示すように、第二側部材6の前面61は、治具本体4の第三部材47の第一面470と面一に位置する。言い換えると、第二側部材6の前面61と第三部材47の第一面470とは、前後方向の位置が互いに同じである。つまり、第二側部材6は、治具本体4のガイド面40及び押し当て面41から後退して位置する。
【0047】
搬送ローラー70,71,72のそれぞれは、離型紙付粘着テープ2又は離型紙20の搬送に用いられる。搬送ローラー70,71,72のそれぞれは、本実施形態では、円柱状である。搬送ローラー70,71,72のそれぞれは、上下方向に対して平行な回転軸を有し、回転軸周りに回転する。
【0048】
第一搬送ローラー70は、第一部材45の第一面450(つまりガイド面40)よりも前方に突出しており、被貼り付け面3に当たって一方向(本実施形態では時計回り)に回転する。また、第一搬送ローラー70は、第一部材45の第二面451よりも第二スリット44側に突出しており、第二スリット44内の離型紙20に当たって、離型紙20を第二スリット44の出口441に向かう方向に搬送する。
【0049】
第二搬送ローラー71は、一部が開口476から第二スリット44に突出し、他部が開口475から第一スリット43に突出している。第二搬送ローラー71は、第二スリット44内を移動する離型紙20に当たることで他方向(本実施形態では反時計回り)に回転し、第一スリット43内の離型紙付粘着テープ2に当たって離型紙付粘着テープ2を第一スリット43の入口430に向かう方向に搬送する。
【0050】
第三搬送ローラー72は、一部が開口464から第一スリット43に突出しており、第一スリット43内の離型紙付粘着テープ2を第二搬送ローラー71に押し当てる。
【0051】
第一搬送ローラー70と第二搬送ローラー71とは、第二スリット44を通過する離型紙20を介して互いに接する。これにより、第一搬送ローラー70の回転が、第二搬送ローラー71に伝わって、第二搬送ローラー71が回転する。
【0052】
第二搬送ローラー71と第三搬送ローラー72とは、第一スリット43を通過する離型紙付粘着テープ2を介して互いに接する。これにより、離型紙付粘着テープ2は、第二搬送ローラー71と第三搬送ローラー72の回転によって、第一スリット43の出口431に向かう方向に移動される。第三搬送ローラー72は、第一スリット43を通過する離型紙付粘着テープ2に当たることで、一方向(本実施形態では時計回り)に回転する。第二搬送ローラー71は、第一搬送ローラー70とは反対向きに回転し、第三搬送ローラー72は、第二搬送ローラー71とは反対向きに回転する。第一搬送ローラー70と第三搬送ローラー72の回転方向は同じである。
【0053】
2-2.被貼り付け面
続いて、被貼り付け面3を有する貼り付け対象の一例について説明する。
【0054】
貼り付け対象の一例としては、例えば、図5から図7に示す耐火パネル8が挙げられる。耐火パネル8の側面が、被貼り付け面3である。
【0055】
耐火パネル8は、一対の金属外皮80,81とその間に位置する芯材82とを備えるサンドイッチパネルである。耐火パネル8は、矩形板状である。図5から図7では、耐火パネル8の厚み方向を前後方向とし、耐火パネル8の長さ方向を上下方向とし、耐火パネル8の幅方向を左右方向としている。以下、耐火パネル8については、図5から7に示す前後左右上下方向を用いて説明する。
【0056】
耐火パネル8は、例えば、上下方向の長さが、0.5~6.0mであり、左右方向の長さ(幅)が、0.3~1.5mであり、前後方向の長さ(厚み)が、30~150mmである。
【0057】
図6A,B及び図7に示すように、芯材82は、断熱性を有する本体部820と、本体部820の左右の端部に設けた凹部に配置され、本体部820よりも耐火性の高い耐火部821とを含む。本体部820は、例えば、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等で固めた複数のブロック体を1枚の矩形板状に並べたものである。耐火部821は、例えば、石膏ボードや、珪酸カルシウムボードである。なお、本体部820は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム等の発泡系の有機材で形成されてもよいし、スチレンボード、ウレタンボード等であってもよい。
【0058】
一対の金属外皮80,81のそれぞれは、金属板をロール加工やプレス加工などにより所望の形状に成形することによって得られる。金属板は、例えば、厚みが0.25~2.0mmである。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板等であるが、これらに限定されない。
【0059】
一対の金属外皮80,81のうち、前側に位置する金属外皮80は、後側に向けて開口した矩形の箱状である。金属外皮80は、芯材82の前面を覆う矩形板状の本体部800と、芯材82の上面の前側の部分を覆う上板部801と、芯材82の下面の前側の部分を覆う下板部802と、芯材82の左右の側面の前側の部分を覆う左右の側板部803と、を有する。
【0060】
左右の側板部803は、本体部800に連続する平板部804と、平板部804の端部(後端部)から左右方向外側(つまり芯材82の側面から離れる方向)に突出した端縁部805とを含む。左右の側板部803は、芯材82のうち、本体部820の左右の側面を覆い、耐火部821は覆っていない。
【0061】
一対の金属外皮80,81のうち、後側に位置する金属外皮81は、芯材82の後面を覆う矩形板状の本体部810と、芯材82の左右の側面の後側の部分を覆う左右の側板部811と、を有する。左右の側板部811は、本体部810に連続し、左右方向外側に突出した断面U字状の突出部812と、突出部812に連続する平板状の端縁部813とを含む。左右の側板部811は、芯材82のうち、本体部820の左右の側面を覆い、耐火部821は覆っていない。なお、金属外皮81は、芯材82の上面や下面を覆う部分を有さない。
【0062】
金属外皮80,81のそれぞれは、本体部800,810が芯材82の前後の面に接着されて、芯材82と一体化している。芯材82の側面は、金属外皮80,81の側板部803,811によって覆われない露出部を有する。
【0063】
耐火パネル8は、金属外皮80の上板部801、下板部802、及び左右の側板部803に取り付けられるパッキン83を更に備える。なお、図5では、パッキン83の図示は省略している。図6A図6B及び図7に示すように、パッキン83は、上板部801の上面の前後方向の中央部と、下板部802の下面の前後方向の中央部と、左右の側板部803の平板部804の後端部のそれぞれに、取り付けられる。パッキン83は、長手方向に直交する断面が、中空の半円形状である。パッキン83は、耐火パネル8を全周にわたって囲むように正面視にて矩形枠状に設けられる。パッキン83は、例えば合成ゴム製である。
【0064】
図5図6A及び図6Bに示すように、耐火パネル8は、芯材82の左右の側面822の露出部(詳しくは耐火部821の左右方向外側の側面)を覆うように設けられた耐火シート9をさらに備える。この耐火シート9が、治具1によって貼り付けられた粘着テープ21である。耐火シート9は、芯材82の左右の側面822の露出部を、上下方向の全長に亘って覆っている。
【0065】
耐火パネル8は、被貼り付け面3として、芯材82の側面822の露出部と側板部811の平板状の端縁部813とで構成される平面部30と、端縁部805の厚み方向の片側の面(詳しくは後面)で構成される起立面31と、を有する。耐火シート9は、平面部30に沿った第一部分90と、起立面31に沿った第二部分91とを一体に有する。第二部分91は、第一部分90に対して略直角に折れ曲がっている。
【0066】
耐火シート9は、例えば、熱膨張性黒鉛を含有したロックウールフェルトであり、その裏面には両面テープが設けられている。耐火シート9の厚みは、例えば、3mmである。耐火シート9の幅は、被貼り付け面3の大きさと同じであり、例えば、70mm程度である。耐火シート9は、ロール状に巻かれたものから巻き出しながら使用される。
【0067】
3.治具を用いたテープ貼り方法
続いて、上述した治具1を用いて、離型紙付粘着テープ2から離型紙20を剥がして粘着テープ21を被貼り付け面3に貼り付けるテープ貼り方法について説明する。
【0068】
以下では、耐火パネル8の側面の被貼り付け面3に対して、粘着テープ21を貼り付ける方法について説明する。
【0069】
まず、図8に示すように、金属外皮80の本体部800が下方を向き、金属外皮81の本体部810が上方を向く平置き姿勢に、耐火パネル8を設置する。治具1は、図9Aに示すように、第一スリット43に離型紙付粘着テープ2を通し、離型紙付粘着テープ2から剥がした離型紙20を第二スリット44に通し、離型紙20が剥がれた粘着テープ21を押し当て面41に沿わせておく。
【0070】
次いで、治具1のガイド面40及び第一搬送ローラー70を耐火パネル8の側面の平面部30(芯材82の側面822の露出部と側板部811の平板状の端縁部813)に直接当て、治具1の押し当て面41を粘着テープ21を介して耐火パネル8の側面の平面部30に当てる。またこのとき、図8に示すように、治具1の第二押し当て面49を粘着テープ21を介して端縁部805の厚み方向の片側の面(詳しくは上面)である起立面31に押し当てる。
【0071】
次いで、図9A及び図9Bに示すように、ガイド面40、押し当て面41、及び第二押し当て面49が耐火パネル8の側面の平面部30又は起立面31に当たった状態を維持しながら、治具1を耐火パネル8の側面に沿って左方に移動させる。これにより、耐火パネル8の側面の平面部30と起立面31とに、粘着テープ21が連続的に貼り付けられていく。上記の貼り付け作業は、例えば一人の作業者が治具1を上下から挟むように把持しながら行うことができる。
【0072】
本実施形態の治具1では、第一搬送ローラー70が耐火パネル8の側面の平面部30に当たって進行方向と反対方向(詳しくは時計回り)に回転することで、この第一搬送ローラー70によって第二スリット44内の離型紙20の出口441側への移動が促される。またこのとき、回転する第一搬送ローラー70に離型紙20を介して接する第二搬送ローラー71が進行方向(つまり半時計周り)に回転し、第二搬送ローラー71が第一スリット43内の離型紙付粘着テープ2に当たることで、離型紙付粘着テープ2の第一スリット43の出口431側への移動が促される。またこのとき、回転する第二搬送ローラー71に離型紙付粘着テープ2を介して接する第三搬送ローラー72が進行方向と反対方向(詳しくは時計回り)に回転することで、離型紙付粘着テープ2の移動が促される。
【0073】
以上説明した本実施形態の治具1を用いたテープ貼り付け方法によれば、治具1を被貼り付け面3の平面部30と起立面31に当てながら一方向に移動させることで、被貼り付け面3の長手方向にわたって粘着テープ21を貼り付けることができて、貼り付け作業の簡略化が図れる。
【0074】
なお、手作業で粘着テープ21を貼り付ける場合、例えば、粘着テープ21を被貼り付け面3の平面部30に一端から他端にわたって貼り付けた後で、粘着テープ21の端部を被貼り付け面3の起立面31に他端から一端にわたって貼り付ける等する必要があり、往復の必要があるため、作業効率に改善の余地がある。また、被貼り付け面3に対して粘着テープ21を手作業で貼り付けると、貼り付け状態が安定しにくいという問題もある。
【0075】
しかし、本実施形態の治具1を用いることで、一方向の移動で、粘着テープ21を被貼り付け面3の平面部30と起立面31とに貼り付けることができて、貼り付け作業が効率良く行える。また、一定の面積を有する押し当て面41,49によって粘着テープ21を被貼り付け面3の平面部30と起立面31とに貼り付けることができるため、一定の圧力で貼り付けることができて、貼り付け状態が長手方向にわたって安定しやすい。
【0076】
また、本実施形態の治具1では、押し当て面41がガイド面40よりも粘着テープ21の厚み程度後退して位置するため、押し当て面41が被貼り付け面3に面接触しやすくて、治具1の姿勢が安定しやすい。
【0077】
また、本実施形態の治具1では、テープ供給部42が押し当て面41よりも後退して位置するため、テープ供給部42において粘着テープ21から剥がれた離型紙20が被貼り付け面3へと至りにくい。
【0078】
また、本実施形態の治具1では、第二側部材6が押し当て面41よりも後退して位置するため、図8に示すように耐火パネル8の側面に治具1を当てたときに、耐火パネル8の突出部812と治具1との接触を防ぐことができる。
【0079】
4.変形例
以上説明した本実施形態の治具1及びこれを用いたテープ貼り方法の変形例について説明する。
【0080】
治具1は、治具本体4と、拡張スリット50,51が設けられた側部材5とを備えるものに限らず、治具本体4と、拡張スリットが設けられてない側部材5とを備えるものであってもよい。また、側部材5は、治具本体4と別体に設けられて、治具本体4に固定されるものに限らず、治具本体4と一体に成形されたものであってもよい。
【0081】
治具本体4は、第一部材45と第二部材46と第三部材47とを含むものに限らず、一部材で構成されてもよい。
【0082】
治具1は、搬送ローラー70,71,72のうち、第一搬送ローラー70のみを備えてもよいし、搬送ローラー70,71のみを備えてもよい。また、治具1は、図10に示す変形例のように、搬送ローラー70,71,72をいずれも備えなくてもよい。
【0083】
また、第二搬送ローラー71は、第一搬送ローラー70に離型紙20を介して接する位置に配置されなくてもよく、離型紙20に接する位置に配置されればよく、離型紙20の移動方向において、第一搬送ローラー70よりも上流側又は下流側に配置されてもよい。
【0084】
また、第三搬送ローラー72は、第二搬送ローラー71に離型紙付粘着テープ2を介して接する位置に配置されなくてもよく、離型紙付粘着テープ2に接する位置に配置されればよい。例えば、第三搬送ローラー72は、離型紙付粘着テープ2の移動方向において、第二搬送ローラー71よりも上流側または下流側に配置されてもよい。
【0085】
また、第一搬送ローラー70と第二搬送ローラー71のそれぞれは、機械的に互いに噛み合う歯車を有してもよい。この場合、両ローラー70,71の間を通る離型紙20との摩擦力に頼らなくても、第一搬送ローラー70の回転力を第二搬送ローラー71に、より確実に伝達することができて、離型紙20や離型紙付粘着テープ2の搬送が容易となる。また、第二搬送ローラー71と第三搬送ローラー72についても同様に、機械的に互いに噛み合う歯車を有してもよい。
【0086】
また、被貼り付け面3が、起立面31を有さず平面部30のみで構成される場合、治具本体4の側面は、第二押し当て面49を有さなくてもよく、この場合、側部材5,6は、その前面(第一面52,前面61)が治具本体4のガイド面40と面一に並ぶように、治具本体4に固定されてもよい。
【0087】
また、被貼り付け面3は、耐火パネル8の側面に限らず、ALC(autoclaved lightweight concrete)パネル、押出成形セメント板等の窯業系のパネル、金属サイディング材、木製のパネル等の建築用パネルの側面であってもよい。また、被貼り付け面3は、耐火パネル8の側面に限らず、側面以外の面であってもよい。また、被貼り付け面3は、建築用パネルの側面に限らず、その他の部材の表面であってもよい。
【0088】
また、離型紙付粘着テープ2の粘着テープ21は、耐火性を有する耐火シートに限らず、防水シートやその他の機能を有する粘着テープであってもよい。
【0089】
また、第二スリット44内の離型紙20の移動は、搬送ローラー70,71によるものではなく、作業者が手で引き出すことで行ってもよい。
【0090】
5.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様の治具1は、下記の構成を備える。
【0091】
すなわち、第一態様の治具1は、離型紙付粘着テープ2から離型紙20を剥がして粘着テープ21を被貼り付け面3に貼り付ける作業を補助する治具1である。治具1は、ガイド面40、押し当て面41、テープ供給部42、第一スリット43、及び第二スリット44を備える。ガイド面40は、被貼り付け面3に当てられて、被貼り付け面3に沿った移動をガイドする。押し当て面41は、離型紙付粘着テープ2から剥がれた粘着テープ21を被貼り付け面3に押し当てる。テープ供給部42は、ガイド面40と押し当て面41の間に位置する。第一スリット43は、ガイド面40、押し当て面41及びテープ供給部42を除いたその他の部分に入口430を有し、テープ供給部42に出口431を有し、離型紙付粘着テープ2が通される。第二スリット44は、テープ供給部42に入口440を有し、前記その他の部分に出口441を有し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた離型紙20が通される。
【0092】
上記構成を備える第一態様の治具1では、第一スリット43に離型紙付粘着テープ2を通し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた離型紙20を第二スリット44に通し、離型紙付粘着テープ2から剥がれた粘着テープ21を押し当て面41によって被貼り付け面3に押し当て、ガイド面40を被貼り付け面3に当て、この状態で、治具1を被貼り付け面3に沿って移動させることで、被貼り付け面3に粘着テープ21を連続的に貼り付けることができる。
【0093】
これにより、第一態様の治具1では、施工者が治具1を使わず手作業で貼り付け作業を行う場合に比べて、離型紙付粘着テープ2から離型紙20を剥がして粘着テープ21を被貼り付け面3に貼り付ける作業を簡略化することができる。
【0094】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様の治具1は、第一態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0095】
すなわち、第二態様の治具1は、ガイド面40、押し当て面41、テープ供給部42、第一スリット43、及び第二スリット44を有する治具本体4と、治具本体4の側面に固定される側部材5と、を備える。側部材5には、第一スリット43につながって第一スリット43を拡張する第一拡張スリット50と、第二スリット44につながって第二スリット44を拡張する第二拡張スリット51とが設けられている。側部材5は、押し当て面41から後退して位置する。治具本体4の前記側面は、押し当て面41に連続し、押し当て面41に対して交差する第二押し当て面49を有する。第一スリット43及び第一拡張スリット50を通過した離型紙付粘着テープ2から剥がれた粘着テープ21の端部は、第二押し当て面49によって、被貼り付け面3が有する起立面31に押し当てられる。
【0096】
上記構成を備える第二態様の治具1では、拡張スリット50,51を有する側部材5を更に備えることで幅広の離型紙付粘着テープ2を用いることができ、被貼り付け面3が起立面31を含む場合でも、起立面31にも第二押し当て面49によって粘着テープ21を貼り付けることができる。また、第二態様の治具1では、一方向の移動で、起立面31を含んだ被貼り付け面3に粘着テープ21を貼り付けることができて、貼り付け作業の効率が向上している。
【0097】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第三態様の治具1は、第二態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0098】
すなわち、第三態様の治具1では、治具本体4の前記側面とは反対側を向く他の側面に固定される第二側部材6を更に備える。側部材5及び第二側部材6のそれぞれは、治具本体4に対して着脱可能である。
【0099】
上記構成を備える第三態様の治具1では、側部材5及び第二側部材6と組み合わせる治具本体4を、互いに厚みの異なる複数種類のものの中から選択することで、様々な幅の離型紙付粘着テープ2に対応することができる。
【0100】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様の治具1は、第二又は第三態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0101】
すなわち、第四態様の治具1では、治具本体4は、ガイド面40を有する第一部材45と、押し当て面41を有する第二部材46と、第一部材45と第二部材46との間に間隔をおいて位置する第三部材47と、を含む。第二部材46と第三部材47の間の空間が、第一スリット43であり、第三部材47と第一部材45の間の空間が、第二スリット44である。第一部材45と第二部材46と第三部材47のそれぞれは、側部材5に固定されている。
【0102】
上記構成を備える第四態様の治具1では、離型紙付粘着テープ2や離型紙20の厚みに合わせて、部材45,47,46の間隔を変えてスリット44,43の幅を調整することができる。
【0103】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第五態様の治具1は、第一から第四のいずれか一つの態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0104】
すなわち、第五態様の治具1は、一部がガイド面40よりも突出し、他部が第二スリット44に突出する第一搬送ローラー70を更に備える。
【0105】
上記構成を備える第五態様の治具1では、ガイド面40を被貼り付け面3に当てて治具1を移動させる際に、第一搬送ローラー70が被貼り付け面3に当たって回転し、この第一搬送ローラー70が第二スリット44内の離型紙20に当たることで、離型紙20の出口441側への移動を促すことができる。
【0106】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第六態様の治具1は、第五態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0107】
すなわち、第六態様の治具1は、一部が第二スリット44に突出し、他部が第一スリット43に突出する第二搬送ローラー71を更に備える。
【0108】
上記構成を備える第六態様の治具1では、第一搬送ローラー70に当たって搬送される離型紙20に第二搬送ローラー71が当たって回転し、この回転する第二搬送ローラー71が第一スリット43内の離型紙付粘着テープ2に当たることで、離型紙付粘着テープ2の出口431側への移動を促すことができる。
【0109】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第七態様の治具1は、第六態様の治具1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0110】
すなわち、第七態様の治具1は、一部が第一スリット43に突出し、第二搬送ローラー71との間で離型紙付粘着テープ2を挟み込む第三搬送ローラー72を更に備える。
【0111】
上記構成を備える第七態様の治具1では、回転する第二搬送ローラー71を、第一スリット43内の離型紙付粘着テープ2に当てやすく、また、第二搬送ローラー71によって離型紙付粘着テープ2が第一スリット43を囲む壁に押し当てられて壁との摩擦により移動しにくくなることを防ぐことができる。
【0112】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 テープ貼り用治具
2 離型紙付粘着テープ
20 離型紙
21 粘着テープ
3 被貼り付け面
31 起立面
4 治具本体
40 ガイド面
41 押し当て面
42 テープ供給部
43 第一スリット
44 第二スリット
45 第一部材
46 第二部材
47 第三部材
49 第二押し当て面
5 側部材
50 第一拡張スリット
51 第二拡張スリット
6 第二側部材
70 第一搬送ローラー
71 第二搬送ローラー
72 第三搬送ローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10