(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240109BHJP
B65H 3/06 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B65H7/14
B65H3/06 B
(21)【出願番号】P 2020026451
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】舟木 健
(72)【発明者】
【氏名】庭田 智行
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩行
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169104(JP,A)
【文献】特開2011-129990(JP,A)
【文献】特開2009-149407(JP,A)
【文献】特開2017-061350(JP,A)
【文献】特開2006-248646(JP,A)
【文献】特開2007-266767(JP,A)
【文献】特開2017-147605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0359475(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114716(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0100395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台と、
前記載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、
前記給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、
前記給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、前記載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、
前記搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、
前記浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定する浮き上がり判定部と、
前記スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定するスキュー判定部と、
前記浮き上がり判定部により媒体の浮き上がりが発生していると判定され
た場合に、前記スキュー判定部により媒体のスキューが発生していると判定された場合
は、媒体の搬送異常が発生したと判定
し、前記スキュー判定部により媒体のスキューが発生していないと判定された場合は、媒体の搬送異常が発生していないと判定する異常判定部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記スキューセンサは、媒体を撮像する撮像センサを含む、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、超音波を出力可能な超音波発信器と、
前記超音波発信器と対向して配置され、受信した超音波に応じた超音波信号を出力する超音波受信器と、
前記超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生しているか否かを判定する重送判定部と、をさらに有し、
前記異常判定部は、前記浮き上がり判定部により媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、前記重送判定部により媒体の重送が発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記給送部は、前記載置台に載置された媒体を下側から順に給送する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記異常判定部により媒体の搬送異常が発生したと判定された場合に、媒体の給送及び搬送を停止する制御部をさらに有する、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、媒体の給送を停止した場合、当該媒体を前記載置台に一旦戻し、分離せずに再給送するように前記給送部を制御する、請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記浮き上がりセンサは、光を照射する発光部、及び、受光した光に応じた信号を前記出力信号として出力する受光部を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
載置台と、前記載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、前記給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、前記給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、前記載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、前記搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
前記浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定し、
前記スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定し、
媒体の浮き上がりが発生していると判定され
た場合に、媒体のスキューが発生していると判定された場合
は、媒体の搬送異常が発生したと判定
し、媒体のスキューが発生していないと判定された場合は、媒体の搬送異常が発生していないと判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
載置台と、前記載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、前記給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、前記給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、前記載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、前記搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、前記搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定し、
前記スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定し、
媒体の浮き上がりが発生していると判定され
た場合に、媒体のスキューが発生していると判定された場合
は、媒体の搬送異常が発生したと判定
し、媒体のスキューが発生していないと判定された場合は、媒体の搬送異常が発生していないと判定する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、媒体の搬送異常が発生したか否かを判定する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体搬送装置は、複数の媒体を分離して給送する機能を有している。しかしながら、複数の媒体を分離して給送する機能を有効にした状態で、二つ折りにされた媒体又はステイプルで綴じられた媒体等が搬送されると、媒体は分離されず、ジャム(紙詰まり)等の搬送異常が発生する可能性がある。媒体搬送装置では、媒体の搬送異常が発生した場合に媒体の搬送を停止して媒体の損傷を防止できるように、媒体の搬送異常が発生しているか否かを精度良く判定する必要がある。
【0003】
給送されるシートの変形量(跳ね上がり量)が判定閾値以上になったとき、シートの給送異常と判定する給送装置が開示されている(特許文献1を参照)。この給送装置は、シート先端の斜行量の変化に応じて判定閾値を修正する。
【0004】
原稿の跳ね上げを検知する跳ね上げ検知部と、原稿の重送を検知する重送検知部とを備え、跳ね上げ検知部及び重送検知部の検知結果に基づいて原稿にステイプル処理が施されているか否かについて判定する画像読取装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-169104号公報
【文献】特開2017-147605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
媒体搬送装置では、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定できることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、載置台と、載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定する浮き上がり判定部と、スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定するスキュー判定部と、浮き上がり判定部により媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、スキュー判定部により媒体のスキューが発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する異常判定部と、を有する。
【0009】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、載置台と、載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定し、スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定し、媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、媒体のスキューが発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する。
【0010】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、載置台と、載置台に載置された媒体を分離して給送する給送部と、給送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、給送部により給送された媒体を媒体搬送方向の下流側に搬送する搬送部と、給送部に対して媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、載置台に載置された媒体の浮き上がりを検知するための浮き上がりセンサと、搬送部に対して媒体搬送方向の下流側に配置され、且つ、搬送部により搬送された媒体のスキューを検知するためのスキューセンサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、浮き上がりセンサからの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定し、スキューセンサからの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定し、媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、媒体のスキューが発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定することを媒体搬送装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に従った媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】第1センサ111等の配置について説明するための模式図である。
【
図4】第1センサ111等の配置について説明するための模式図である。
【
図5】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図8】浮き上がり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図9A】第1媒体信号等の特性の一例について説明するための模式図である。
【
図9B】第1媒体信号等の特性の一例について説明するための模式図である。
【
図10】重送判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図11】スキュー判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図12A】二つ折りにされた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図12B】二つ折りにされた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図12C】二つ折りにされた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図13A】綴じられた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図13B】綴じられた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図13C】綴じられた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
【
図14A】山折りにされた媒体について説明するための模式図である。
【
図14B】谷折りにされた媒体について説明するための模式図である。
【
図14C】山折りにされた媒体について説明するための模式図である。
【
図14D】谷折りにされた媒体について説明するための模式図である。
【
図15】他の処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、カード又は冊子等である。用紙には、薄紙又は厚紙等が含まれる。冊子には、パスポート又は通帳等が含まれる。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0015】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。載置台103は、媒体を載置する載置面103aを有する。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0020】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1センサ111、第2センサ112、第3センサ113、給送ローラ114、ブレーキローラ115、第4センサ116、超音波発信器117a、超音波受信器117b、第1搬送ローラ118、第2搬送ローラ119、第5センサ120、第1撮像装置121a、第2撮像装置121b、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを総じて撮像装置121と称する場合がある。
【0021】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0022】
第3センサ113は、第1センサ111及び第2センサ112より下流側且つ給送ローラ114及びブレーキローラ115より上流側に配置される。第3センサ113は、接触検知センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第3センサ113は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第3媒体信号を生成して出力する。
【0023】
給送ローラ114は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ115は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ114と対向して配置される。
【0024】
第4センサ116は、給送ローラ114及びブレーキローラ115より下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119より上流側に配置される。第4センサ116は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第4センサ116は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第4媒体信号を生成して出力する。第4センサ116の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第4センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第4媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0025】
超音波発信器117a及び超音波受信器117bは、給送ローラ114及びブレーキローラ115に対して媒体搬送方向A1の下流側且つ第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119に対して媒体搬送方向A1の上流側に配置される。超音波発信器117a及び超音波受信器117bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器117aは、超音波を出力可能である。一方、超音波受信器117bは、超音波発信器117aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器117a及び超音波受信器117bを総じて超音波センサ117と称する場合がある。
【0026】
第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、給送ローラ114及びブレーキローラ115に対して媒体搬送方向A1の下流側且つ撮像装置121に対して媒体搬送方向A1の上流側に配置される。
【0027】
第5センサ120は、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119に対して媒体搬送方向A1の下流側且つ撮像装置121に対して媒体搬送方向A1の上流側に、媒体搬送方向と直交する幅方向A2の略中央部に配置される。第5センサ120は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第5センサ120は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第5媒体信号を生成して出力する。第5センサ120の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第5センサ120の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第5媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0028】
第1撮像装置121aは、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119に対して媒体搬送方向A1の下流側に配置される。第1撮像装置121aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。ラインセンサは、媒体を撮像する撮像センサの一例である。また、第1撮像装置121aは、搬送される媒体に向けて光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置121aは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の表面のラインセンサと対向する領域を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。即ち、ライン画像の垂直方向(副走査方向)の画素数は1であり、水平方向(主走査方向)の画素数は複数である。
【0029】
同様に、第2撮像装置121bは、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119に対して媒体搬送方向A1の下流側に配置される。第2撮像装置121bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。ラインセンサは、媒体を撮像する撮像センサの一例である。また、第2撮像装置121bは、搬送される媒体に向けて光を照射する光源と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置121bは、一定間隔毎に、搬送されている媒体の裏面のラインセンサと対向する領域を撮像してライン画像を順次生成し、出力する。
【0030】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0031】
第5センサ120及び撮像装置121は、スキューセンサの一例であり、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119により搬送された媒体のスキューを検知するために使用される。
【0032】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ114が
図2の矢印A4の方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ115は、媒体搬送時、矢印A5の方向に回転する。給送ローラ114及びブレーキローラ115の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ114と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。給送ローラ114及びブレーキローラ115は、載置台103に載置された媒体を分離して給送する給送部の一例である。
【0033】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ118と第2搬送ローラ119の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置121aと第2撮像装置121bの間に送り込まれる。第1搬送ローラ118及び第2搬送ローラ119は、給送ローラ114及びブレーキローラ115により給送された媒体を媒体搬送方向A1の下流側に搬送する搬送部の一例である。撮像装置121により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0034】
図3~
図4は、第1センサ111及び第2センサ112等の配置について説明するための模式図である。
図3は、媒体搬送装置100の上流側を側方から見た模式図である。
図4は、媒体搬送装置100の上流側を上方から見た模式図である。
【0035】
図3に示すように、第1センサ111及び第2センサ112は、上側ガイド107bに、即ち媒体の搬送路に対して上側に、且つ、給送ローラ114及びブレーキローラ115に対して媒体搬送方向A1の上流側に配置される。また、
図4に示すように、第1センサ111及び第2センサ112は、幅方向A2において間隔を空けて並べて配置される。第1センサ111は、載置台103の中央位置P0より一方の側(
図4の左側)に配置され、第2センサ112は、載置台103の中央位置P0より他方の側(
図4の右側)に配置される。
【0036】
第1センサ111は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第1センサ111は、第1発光部111a及び第1受光部111bを含む。第1発光部111aは、載置台103の載置面103a又は載置台103に載置された媒体Mに向けて光(赤外光)を照射する。特に、第1発光部111aは、媒体搬送方向A1において上流側であり、且つ、幅方向A2において第1発光部111aと対向する位置に向けて光を照射する。一方、第1受光部111bは、第1発光部111aにより照射され、載置台103の載置面103a又は載置台103に載置された媒体Mにより反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第1媒体信号を生成して、出力信号として出力する。
【0037】
第1媒体信号は、第1発光部111aが光を照射してから第1受光部111bが光を受光するまでの時間及び第1受光部111bが受光した光の光量を示す。したがって、第1媒体信号は、第1センサ111から、載置台103に載置された媒体Mの、第1発光部111aにより照射される第1部分P1までの距離に応じて変化する。
【0038】
同様に、第2センサ112は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第2センサ112は、第2発光部112a及び第2受光部112bを含む。第2発光部112aは、載置台103の載置面103a又は載置台103に載置された媒体に向けて光(赤外光)を照射する。特に、第2発光部112aは、媒体搬送方向A1において上流側であり、且つ、幅方向A2において第2発光部112aと対向する位置に向けて光を照射する。一方、第2受光部112bは、第2発光部112aにより照射され、載置台103の載置面103a又は載置台103に載置された媒体により反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して、出力信号として出力する。
【0039】
第2媒体信号は、第2発光部112aが光を照射してから第2受光部112bが光を受光するまでの時間及び第2受光部112bが受光した光の光量を示す。したがって、第2媒体信号は、第2センサ112から載置台103に載置された媒体Mの、第2発光部112aにより照射される第2部分P2までの距離に応じて変化する。
【0040】
第1センサ111及び第2センサ112は、浮き上がりセンサの一例であり、載置台103に載置された媒体Mの浮き上がり(撓み)を検知するために使用される。媒体搬送装置100は、発光部及び受光部を含む光センサを浮き上がりセンサとして用いることにより、媒体の浮き上がりを高精度に検知することができる。第1センサ111及び第2センサ112として、例えば、0~100mmの範囲で、1mmの分解能で距離を測定できる公知の赤外線近接距離センサを利用できる。なお、媒体の浮き上がりを検知するためのセンサの数は、二つに限定されず、一つ又は三つ以上でもよい。
【0041】
また、媒体搬送装置100は、浮き上がりセンサとして、発光部及び受光部を含む光検知センサの代わりに、接触検知センサを使用してもよい。接触検知センサは、上側ガイド107bに、即ち媒体の搬送路に対して上側に、且つ、給送ローラ114及びブレーキローラ115より上流側に配置される。接触検知センサは、給送される媒体に接触可能であり且つ接触した媒体により移動可能に設けられたアームを含み、アームの移動量に応じた電気信号を第1媒体信号又は第2媒体信号として生成し、出力信号として出力する。
【0042】
図5は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0044】
モータ131は、1つ又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ114、ブレーキローラ115、第1~第4搬送ローラ118、119、122及び123を回転させて媒体を搬送させる。
【0045】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0046】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0047】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0048】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1センサ111、第2センサ112、第3センサ113、第4センサ116、超音波センサ117、第5センサ120、撮像装置121、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131の駆動制御、撮像装置121の撮像制御等を行い、入力画像を生成し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、第1センサ111からの第1媒体信号、第2センサ112からの第2媒体信号、第5センサ120からの第5媒体信号及び撮像装置121からのライン画像等に基づいて、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定する。
【0049】
図6は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0050】
図6に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、画像生成プログラム142、浮き上がり判定プログラム143、重送判定プログラム144、スキュー判定プログラム145及び異常判定プログラム146等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151、画像生成部152、浮き上がり判定部153、重送判定部154、スキュー判定部155及び異常判定部156として機能する。
【0051】
図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0052】
以下、
図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。なお、媒体搬送装置100は、媒体を給送する給送モードとして、複数の媒体を分離して給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有している。
図7に示す動作のフローは、給送モードが分離モードに設定されている場合に実行される。
【0053】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0054】
次に、制御部151は、第3センサ113から第3媒体信号を取得し、取得した第3媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0055】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0056】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動し、給送ローラ114、ブレーキローラ115、第1~第4搬送ローラ118、119、122、123を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS103)。制御部151は、分離モードでは、給送ローラ114及び第1~第4搬送ローラ118、119、122、123をそれぞれ矢印A4、A6、A7、A8、A9の方向(媒体給送方向又は媒体搬送方向)に回転させるようにモータ131を駆動する。また、制御部151は、ブレーキローラ115を矢印A5の方向(媒体給送方向の反対方向)に回転させるようにモータ131を駆動する。
【0057】
次に、制御部151は、浮き上がりフラグ、重送フラグ及びスキューフラグをOFFに設定する(ステップS104)。浮き上がりフラグは、後述する浮き上がり判定処理において、浮き上がり判定部153により、第1センサ111からの第1媒体信号又は第2センサ112からの第2媒体信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生していると判定されたときにONに設定される。重送フラグは、後述する重送判定処理において、重送判定部154により、超音波センサ117からの超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生していると判定されたときにONに設定される。スキューフラグは、後述するスキュー判定処理において、スキュー判定部155により、第5センサ120からの第5媒体信号及び撮像装置121からのライン画像に基づいて、媒体のスキューが発生していると判定されたときにONに設定される。
【0058】
次に、異常判定部156は、浮き上がり判定処理において浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定されたか否かを判定する(ステップS105)。異常判定部156は、浮き上がりフラグがONであるか否かにより、浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定されたか否かを判定する。浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定されていない場合、異常判定部156は、処理をステップS113へ移行する。
【0059】
一方、浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定されている場合、異常判定部156は、重送判定処理において重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定されたか否かを判定する(ステップS106)。異常判定部156は、重送フラグがONであるか否かにより、重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定されたか否かを判定する。
【0060】
重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定されていない場合、異常判定部156は、スキュー判定処理においてスキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定されたか否かを判定する(ステップS107)。異常判定部156は、スキューフラグがONであるか否かにより、スキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定されたか否かを判定する。
【0061】
重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定された場合、又は、スキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定された場合、異常判定部156は、媒体のジャム(紙詰まり)等の搬送異常が発生したと判定する(ステップS108)。このように、異常判定部156は、浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、スキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する。また、異常判定部156は、浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定され、且つ、重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定された場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する。
【0062】
次に、異常判定部156により媒体の搬送異常が発生したと判定された場合、制御部151は、モータ131を停止して、媒体の給送及び搬送を停止する(ステップS109)。制御部151は、媒体のジャム等の搬送異常が発生している場合に、媒体の給送及び搬送を停止することにより、媒体が損傷することを抑制できる。また、制御部151は、異常が発生した旨を表示装置106に表示、又は、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信し、利用者に警告を通知する。
【0063】
次に、制御部151は、給送ローラ114及び第1~第4搬送ローラ118、119、122、123をそれぞれ矢印A4、A6、A7、A8、A9(媒体給送方向又は媒体搬送方向)の反対方向に回転させるようにモータ131を駆動する。また、制御部151は、ブレーキローラ115を矢印A5の方向(媒体給送方向の反対方向)に回転させるようにモータ131を駆動する。これにより、制御部151は、媒体を逆送させて、載置台103に一旦戻す(ステップS110)。
【0064】
次に、制御部151は、給送モードを分離モードから非分離モードに変更する(ステップS111)。制御部151は、非分離モードでは、給送ローラ114及び第1~第4搬送ローラ118、119、122、123をそれぞれ矢印A4、A6、A7、A8、A9の方向(媒体給送方向又は媒体搬送方向)に回転させる。また、制御部151は、非分離モードでは、モータ131からブレーキローラ115への駆動力を遮断することにより、給送する媒体の分離機能をOFFにする。なお、制御部151は、ブレーキローラ115を媒体給送方向(矢印A5の反対方向)に回転させることにより、又は、ブレーキローラ115による分離力を低減させることにより、給送する媒体の分離機能をOFFにしてもよい。
【0065】
次に、制御部151は、モータ131を再駆動し、給送ローラ114及び第1~第4搬送ローラ118、119、122、123を媒体給送方向又は媒体搬送方向に再回転させて、媒体を再給送及び再搬送させる(ステップS112)。次に、制御部151は、処理をステップS104へ移行する。このとき、ブレーキローラ115は、給送ローラ114に従動し、又は、モータ131により媒体給送方向に回転し、媒体を分離しない。
【0066】
このように、制御部151は、媒体の給送を停止した場合、その媒体を載置台103に一旦戻し、分離せずに再給送するように給送ローラ114及びブレーキローラ115を制御する。これにより、利用者は、媒体の分離機能をOFFにして媒体を再給送する必要がなくなり、制御部151は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。なお、ステップS110及びS112の処理が省略され、制御部151は、媒体の給送及び搬送を停止したまま、給送モードの変更のみを実行してもよい。その場合、利用者は、給送モードを変更する必要がなくなり、制御部151は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0067】
一方、ステップS107で、スキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定されていなかった場合、制御部151は、媒体全体が撮像装置121の撮像位置を通過したか否かを判定する(ステップS113)。制御部151は、第5センサ120から定期的に第5媒体信号を取得し、取得した第5媒体信号に基づいて、第5センサ120の位置に媒体が存在するか否かを判定する。制御部151は、第5媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第5センサ120の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第5センサ120の位置を通過してから所定時間が経過した時に媒体全体が撮像位置を通過したと判定する。なお、制御部151は、予め定められた数のライン画像を撮像装置121から取得したときに、搬送された媒体全体が撮像位置を通過したと判定してもよい。まだ媒体全体が撮像位置を通過していない場合、制御部151は、処理をステップS105へ戻す。
【0068】
一方、媒体全体が撮像位置を通過した場合、異常判定部156は、媒体の搬送異常が発生していないと判定する(ステップS114)。即ち、異常判定部156は、浮き上がり判定部153により媒体の浮き上がりが発生していると判定されなかった場合、媒体の搬送異常が発生していないと判定する。また、異常判定部156は、重送判定部154により媒体の重送が発生していると判定されず且つスキュー判定部155により媒体のスキューが発生していると判定されなかった場合も、媒体の搬送異常が発生していないと判定する。
【0069】
なお、媒体の浮き上がりが発生していると判定されず、且つ、媒体の重送及びスキューが発生していると判定された場合、異常判定部156は、封筒又は冊子状に綴じられた伝票等が傾いて搬送されたと判定する。また、媒体の浮き上がり及びスキューが発生していると判定されず、媒体の重送が発生していると判定された場合、異常判定部156は、封筒又は冊子状に綴じられた伝票等が傾かずに搬送されたと判定する。また、媒体の浮き上がり及び重送が発生していると判定されず、媒体のスキューが発生していると判定された場合、異常判定部156は、媒体が傾いて搬送された又は非矩形状の媒体が搬送されたと判定する。また、媒体の浮き上がり、重送及びスキューが発生していると判定されなかった場合、異常判定部156は、媒体が正常に搬送されたと判定する。
【0070】
媒体の浮き上がりが発生していても、媒体の重送及びスキューが発生していない場合、異常判定部156は、媒体の搬送異常が発生していないと判定し、媒体の給送及び搬送を継続させる。また、媒体のスキュー又は重送が発生していても、媒体の浮き上がりが発生していない場合、異常判定部156は、媒体の搬送異常が発生していないと判定し、媒体の給送及び搬送を継続させる。異常判定部156は、媒体の損傷が発生する可能性が低い場合、媒体の給送及び搬送を継続させることにより、媒体読取処理にかかるトータル時間を低減させることができる。なお、異常判定部156は、媒体の浮き上がり、重送及び/又はスキューの判定結果を表示装置106に表示、又は、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信し、利用者に警告を通知してもよい。
【0071】
次に、画像生成部152は、撮像装置121から媒体搬送中に生成された各ライン画像を取得し、取得した全てのライン画像を合成して入力画像を生成し、インタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信する(ステップS115)。
【0072】
次に、制御部151は、第3センサ113から取得する第3媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS116)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS104へ処理を戻し、ステップS104~S116の処理を繰り返す。
【0073】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、モータ131を停止して、媒体の搬送を停止し(ステップS117)、一連のステップを終了する。
【0074】
なお、ステップS106の処理が省略され、異常判定部156は、媒体の重送が発生しているか否かを判定することなく、媒体の搬送異常が発生したか否かを判定してもよい。また、ステップS107の処理が省略され、異常判定部156は、媒体のスキューが発生しているか否かを判定することなく、媒体の搬送異常が発生したか否かを判定してもよい。また、ステップS109の処理が省略され、制御部151は、媒体の搬送異常が発生した場合に、媒体の給送及び搬送を停止することなく、利用者に警告のみを通知してもよい。また、ステップS110~S112の処理が省略され、制御部151は、媒体の給送及び搬送を停止した場合、媒体の再給送を行わずに、一連のステップを終了してもよい。
【0075】
図8は、媒体搬送装置100の浮き上がり判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0076】
以下、
図8に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の浮き上がり判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図8に示す動作のフローは、媒体搬送中に定期的に実行される。
【0077】
最初に、浮き上がり判定部153は、第1センサ111から第1媒体信号を取得し、第2センサ112から第2媒体信号を取得する(ステップS201)。次に、浮き上がり判定部153は、第1媒体信号に示される時間又は第2媒体信号に示される時間が浮き上がり閾値未満であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0078】
図9A及び
図9Bは、第1媒体信号及び第2媒体信号の特性の一例について説明するための模式図である。
【0079】
図9Aは、第1部分P1側及び第2部分P2側が折れ曲がっていない媒体が搬送された時の第1媒体信号901及び第2媒体信号902を示す。
図9Bは、第1部分P1側が折れ曲がっており且つ第2部分P2側が折れ曲がっていない媒体が搬送された時の第1媒体信号911及び第2媒体信号912を示す。
図9A及び
図9Bにおいて、横軸は搬送開始からの時間(モータ131の駆動量)を示し、縦軸は各媒体信号に示される時間を示す。第1媒体信号901及び第2媒体信号902が生成されたとき、第1センサ111及び第2センサ112が光を照射する位置で媒体の浮き上がりが発生していなかったため、第1媒体信号901及び第2媒体信号902に示される時間は十分に大きい。また、第2媒体信号912が生成されたとき、第2センサ112が光を照射する位置で媒体の浮き上がりが発生していなかったため、第2媒体信号912に示される時間も十分に大きい。一方、第1媒体信号911が生成されたとき、第1センサ111が光を照射する位置で媒体の浮き上がりが発生していたため、第1媒体信号911に示される時間は低下している。
【0080】
浮き上がり閾値Tは、媒体の浮き上がりが発生している時の第1媒体信号及び第2媒体信号に示される時間と、媒体の浮き上がりが発生していない時の第1媒体信号及び第2媒体信号に示される時間との間の値に設定される。浮き上がり判定部153は、各媒体信号に示される時間が浮き上がり閾値T未満であるか否かを判定することによって、各媒体信号に対応する部分で媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定することができる。
【0081】
浮き上がり判定部153は、第1媒体信号に示される時間及び第2媒体信号に示される時間が浮き上がり閾値以上である場合、媒体の浮き上がりが発生していないと判定し(ステップS203)、一連のステップを終了する。一方、浮き上がり判定部153は、第1媒体信号に示される時間又は第2媒体信号に示される時間が浮き上がり閾値未満である場合、媒体の浮き上がりが発生したと判定する(ステップS204)。次に、浮き上がり判定部153は、浮き上がりフラグをONに設定し(ステップS205)、一連のステップを終了する。
【0082】
このように、浮き上がり判定部153は、第1センサ111及び第2センサ112からの出力信号に基づいて、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定する。
【0083】
なお、浮き上がり判定部153は、各媒体信号に示される時間が端部浮き上がり閾値未満であるか否かでなく、各媒体信号に示される時間の変化量が変化閾値以上であるか否かにより、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定してもよい。また、浮き上がり判定部153は、搬送直前の各媒体信号に示される時間と、搬送中の各媒体信号に示される時間との差が変化閾値以上であるか否かにより、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定してもよい。変化閾値は、媒体が撓んでいる場合に発生する高さ方向A3の変化(例えば1mm)に相当する時間に設定される。これにより、浮き上がり判定部153は、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを高精度に判定することができる。
【0084】
また、浮き上がりセンサとして第1センサ111及び第2センサ112の代わりに接触センサが使用される場合、浮き上がり判定部153は、各媒体信号に示される移動量が閾値以上であるか否かにより、媒体の浮き上がりが発生しているか否かを判定する。
【0085】
図10は、媒体搬送装置100の重送判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0086】
以下、
図10に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の重送判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図10に示す動作のフローは、媒体搬送中に定期的に実行される。
【0087】
最初に、重送判定部154は、超音波センサ117から超音波信号を取得する(ステップS301)。次に、重送判定部154は、取得した超音波信号の信号値が重送閾値未満であるか否かを判定する(ステップS302)。重送閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値との間の値に設定される。
【0088】
重送判定部154は、超音波信号の信号値が重送閾値以上である場合、媒体の重送が発生していないと判定し(ステップS303)、一連のステップを終了する。一方、重送判定部154は、超音波信号の信号値が重送閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する(ステップS304)。次に、重送判定部154は、重送フラグをONに設定し(ステップS305)、一連のステップを終了する。
【0089】
このように、重送判定部154は、超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生しているか否かを判定する。
【0090】
図11は、媒体搬送装置100のスキュー判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0091】
以下、
図11に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の重送判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
図11に示す動作のフローは、媒体搬送中に定期的に実行される。
【0092】
最初に、スキュー判定部155は、スキュー条件が満たされたか否かを判定する(ステップS401)。スキュー判定部155は、媒体の先端の中央部が第5センサ120の位置に到達したか否かを判定する。スキュー判定部155は、第5センサ120から定期的に第5媒体信号を取得し、取得した第5媒体信号に基づいて、第5センサ120の位置に媒体が存在するか否かを判定する。スキュー判定部155は、第5媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端の中央部が第5センサ120の位置に到達したと判定する。
【0093】
また、スキュー判定部155は、媒体の先端の各端部が撮像装置121の撮像位置に到達したか否かを判定する。スキュー判定部155は、撮像装置121がライン画像を生成するたびに、撮像装置121からライン画像を取得する。スキュー判定部155は、最新のライン画像と、直前に取得したライン画像のそれぞれについて、ライン画像の両端から所定範囲にある各端部領域内の画素の階調値の平均値を算出する。スキュー判定部155は、最新のライン画像の各端部領域から算出した平均値と、直前のライン画像の各端部領域から算出した平均値との差の絶対値が階調閾値以上である場合、媒体の先端の各端部が撮像位置に到達したと判定する。一方、スキュー判定部155は、その差の絶対値が階調閾値未満である場合、媒体の先端の各端部が撮像位置にまだ到達していないと判定する。階調値は、輝度値又は色値(R値、G値又はB値)である。階調閾値は、例えば、人が画像上の輝度又は色の違いを目視により判別可能な階調値の差(例えば20)に設定される。
【0094】
スキュー判定部155は、媒体の先端の中央部が第5センサ120の位置に到達する前に、媒体の先端の何れかの端部が撮像位置に到達した場合、スキュー条件が満たされたと判定する。なお、スキュー判定部155は、媒体の先端の何れかの端部が撮像位置に到達してから所定時間が経過した時に、媒体の先端の中央部が第5センサ120の位置に到達していない場合、スキュー条件が満たされたと判定してもよい。また、スキュー判定部155は、媒体の先端の中央部が第5センサ120の位置に到達してから所定時間が経過する前に媒体の先端の何れかの端部が撮像位置に到達した場合、スキュー条件が満たされたと判定してもよい。一方、それ以外の場合、スキュー判定部155は、スキュー条件が満たされていないと判定する。
【0095】
なお、スキュー判定部155は、媒体の先端の複数の部分のそれぞれが撮像位置に到達した時刻の差が閾値以上であるか否かにより、スキュー条件が満たされるか否かを判定してもよい。また、媒体搬送装置100は、複数の光センサを幅方向A2に間隔を空けて並べて配置し、スキュー判定部155は、媒体の先端が各光センサの位置に到達した時刻の差が閾値以上であるか否かにより、スキュー条件が満たされるか否かを判定してもよい。
【0096】
スキュー判定部155は、スキュー条件が満たされていない場合、媒体のスキューが発生していないと判定し(ステップS402)、一連のステップを終了する。一方、スキュー判定部155は、スキュー条件が満たされた場合、媒体のスキューが発生したと判定する(ステップS403)。次に、スキュー判定部155は、スキューフラグをONに設定し(ステップS404)、一連のステップを終了する。
【0097】
このように、スキュー判定部155は、撮像装置121及び/又は第5センサ120からの出力信号に基づいて、媒体のスキューが発生しているか否かを判定する。
【0098】
以下、媒体の浮き上がりが発生している場合に、さらに媒体のスキュー及び/又は重送が発生しているか否かを判定することにより、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定することの技術的意義にについて説明する。
【0099】
図12A~
図12Cは、媒体搬送方向A1に沿って二つ折りにされた媒体1200が給送されるときの様子を示す模式図である。
図12Aは、媒体1200を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、
図12Bは、媒体1200を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図であり、
図12Cは、媒体1200を上方から見た模式図である。
図12A~
図12Cに示すように、媒体1200では、媒体搬送方向A1に沿った一端1201が綴じられている。媒体搬送装置100の給送部は、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送するため、媒体1200の下側部分1202は給送部の下流側に送られるが、上側部分1203の下流側の端部は給送部より上流側に留まる。
【0100】
この場合、上側部分1203は給送部によって留まろうとするが、綴じられた一端1201には下側部分1202によって下流側に向かう力が加わり、上側部分1203の上流側部分1204が上方に向けて撓む。一方、下側部分1202の下流側部分1205は給送部の下流側に送られるが、綴じられた一端1201は上側部分1203によって上流側に留まろうとするため、下側部分1202は傾いて搬送される。このように、二つ折りにされた媒体が搬送される場合、媒体の浮き上がり及びスキューの両方が発生する。
【0101】
なお、例えば載置台103に大量の媒体が積載されているときのように、上側部分1203と下側部分1202の間の摩擦力が十分に大きい場合、下側部分1202とともに上側部分1203も給送部の下流側に送られる可能性がある。その場合、綴じられた一端1201も下流側に送られるため、下側部分1202はあまり傾かない。このように、二つ折りにされた媒体が搬送される場合、媒体の浮き上がり及び重送が発生する可能性もある。また、媒体1200が給送部に到達した時に、上側部分1203が傾いて、下側部分1202はあまり傾かない場合もある。その場合、上側部分1203及び下側部分1202がわずかに傾きながら給送部の下流側に搬送されることにより、媒体のスキューは検知されず、媒体の重送が検知される。
【0102】
図13A~
図13Cは、媒体の一つの角がステイプルで綴じられた複数の媒体1300が、綴じられた部分が下流側に配置された状態で給送されるときの様子を示す模式図である。
図13Aは、媒体1300を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、
図13Bは、媒体1300を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図であり、
図13Cは、媒体1300を上方から見た模式図である。
図13A~
図13Cに示すように、媒体1300では、媒体搬送方向A1の下流側であり且つ幅方向A2の一端側である端部1301が綴じられている。
【0103】
この場合、上側部分1303は給送部によって留まろうとするが、綴じられた端部1301には下側部分1302によって下流側に向かう力が加わり、上側部分1303の端部1301の周辺部分1304が上方に向けて撓む。一方、下側部分1302の下流側部分1305は給送部の下流側に送られるが、綴じられた端部1301は上側部分1303によって上流側に留まろうとするため、下側部分1302は傾いて搬送される。このように、ステイプルで綴じられた媒体が搬送される場合も、媒体の浮き上がり及びスキューの両方が発生する。
【0104】
なお、例えば載置台103に大量の媒体が積載されているときのように、上側部分1303と下側部分1302の間の摩擦力が十分に大きい場合、下側部分1302とともに上側部分1303も給送部の下流側に送られる可能性がある。その場合、綴じられた端部1301も下流側に送られるため、下側部分1302はあまり傾かない。このように、ステイプルで綴じられた媒体が搬送される場合も、媒体の浮き上がり及び重送が発生する可能性がある。また、媒体1300が給送部に到達した時に、上側部分1303が傾いて、下側部分1302はあまり傾かない場合もある。その場合、上側部分1303及び下側部分1302がわずかに傾きながら給送部の下流側に搬送されることにより、媒体のスキューは検知されず、媒体の重送が検知される。
【0105】
図14A~
図14Dは、山折り又は谷折りにされた媒体について説明するための模式図である。
【0106】
図14Aに示す媒体1400では、角1401の周辺の折り目部1402が山折りにされており(上方に向けて凸となるように折られており)、折り目部1402が浮き上がっている。
図14Bに示す媒体1410では、角1411の周辺の折り目部1412が谷折りにされており(下方に向けて凸となるように折られており)、角1411が浮き上がっている。
図14Cに示す媒体1420では、幅方向A2の中央部分1421が媒体搬送方向A1に沿って山折りにされており、中央部分1421が浮き上がっている。
図14Dに示す媒体1430では、幅方向A2の中央部分1431が媒体搬送方向A1に沿って谷折りにされており、中央部分1431と媒体搬送方向A1に沿った端部1432との間の中央部分1433が浮き上がっている。
【0107】
これらの媒体が搬送される場合、媒体の浮き上がりが発生するが、スキュー及び重送は発生しない。また、これらの媒体は下側ガイド107aと上側ガイド107bにガイドされながらスムーズに搬送されるため、これらの媒体が搬送される場合にジャム等の搬送異常が発生する可能性は低い。したがって、異常判定部156は、媒体の浮き上がりが発生している場合に、さらに媒体のスキュー及び/又は重送が発生しているか否かを判定することにより、媒体の搬送異常が発生しているか否かを精度良く判定することができる。
【0108】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体の浮き上がりが発生し且つ媒体のスキューが発生している場合に、媒体の搬送異常が発生したと判定する。これにより、媒体搬送装置100は、折り目が付けられた媒体が搬送された場合に、媒体の搬送異常が発生したと誤って判定することを抑制できる。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定することが可能となった。
【0109】
特に、媒体搬送装置100は、媒体の浮き上がりがどれだけ大きくても、媒体のスキュー又は重送が発生していない場合には、媒体の搬送異常が発生していないと判定する。これにより、媒体搬送装置100は、端部が折れ曲がっている媒体等が搬送された場合に、媒体の搬送異常が発生したと誤って判定することを抑制できる。
【0110】
また、媒体搬送装置100は、給送部に対して上流側に配置された第1センサ111及び第2センサ112により媒体の浮き上がりを検知する。さらに、媒体搬送装置100は、給送部の下流側に配置された搬送部に対して下流側に配置された第5センサ120及び撮像装置121により媒体のスキューを検知する。上記したように、二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が搬送される場合、給送部の上流側で媒体の浮き上がりが発生し、給送部の下流側で媒体のスキューが発生する。そのような媒体は給送部で傾き始めるため、給送部の近傍で媒体のスキューを検知することは困難である。媒体搬送装置100は、給送部から十分に離れた位置に配置されたセンサによって媒体のスキューを検知することにより、媒体のスキューが発生したか否かを精度良く判定することが可能となる。
【0111】
また、媒体搬送装置100では、搬送される媒体を撮像する撮像装置121をスキューセンサとして兼用する。これにより、媒体搬送装置100は、部品数を削減することが可能となり、装置費用及び装置重量を低減させることが可能となる。
【0112】
図15は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路250の概略構成を示す図である。処理回路250は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理、浮き上がり判定処理、重送判定処理及びスキュー判定処理を実行する。処理回路250は、制御回路251、画像生成回路252、浮き上がり判定回路253、重送判定回路254、スキュー判定回路255及び異常判定回路256等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0113】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105から操作信号を、第3センサ113から第3媒体信号を、第4センサ116から第4媒体信号を受信し、記憶装置140から媒体の搬送異常の判定結果を読み出す。制御回路251は、受信又は読み出した各情報に応じて媒体の給送及び搬送を制御するように、モータ131に制御信号を出力する。
【0114】
画像生成回路252は、画像生成部の一例であり、画像生成部152と同様の機能を有する。画像生成回路252は、撮像装置121からライン画像を受信して入力画像を生成し、記憶装置140に記憶し又はインタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信する。
【0115】
浮き上がり判定回路253は、浮き上がり判定部の一例であり、浮き上がり判定部153と同様の機能を有する。浮き上がり判定回路253は、第1センサ111から第1媒体信号を、第2センサ112から第2媒体信号を受信し、受信した各信号に基づいて媒体の端部で浮き上がりが発生しているか否かを判定し、浮き上がりフラグを記憶装置140に記憶する。
【0116】
重送判定回路254は、重送判定部の一例であり、重送判定部154と同様の機能を有する。重送判定回路254は、超音波センサ117から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて媒体の重送が発生しているか否かを判定し、重送フラグを記憶装置140に記憶する。
【0117】
スキュー判定回路255は、スキュー判定部の一例であり、スキュー判定部155と同様の機能を有する。スキュー判定回路255は、第5センサ120から第5媒体信号を、撮像装置121からライン画像を受信し、受信した各情報に基づいて媒体のスキューが発生しているか否かを判定し、スキューフラグを記憶装置140に記憶する。
【0118】
異常判定回路256は、異常判定部の一例であり、異常判定部156と同様の機能を有する。異常判定回路256は、記憶装置140から浮き上がりフラグ、重送フラグ及びスキューフラグを読み出し、読み出した各フラグに基づいて、媒体の搬送異常が発生しているか否かを判定し、判定結果を記憶装置140に記憶する。
【0119】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路250を用いる場合においても、媒体の搬送異常が発生したか否かをより精度良く判定することが可能となった。
【符号の説明】
【0120】
100 媒体搬送装置、103 載置台、111 第1センサ、112 第2センサ、114 給送ローラ、115 ブレーキローラ、117 超音波センサ、118 第1搬送ローラ、119 第2搬送ローラ、120 第5センサ、121 撮像装置、151 制御部、153 浮き上がり判定部、154 重送判定部、155 スキュー判定部、156 異常判定部