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特許7414586極低温冷凍機用圧縮機システムおよび補助冷却装置
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  • 特許-極低温冷凍機用圧縮機システムおよび補助冷却装置 図1
  • 特許-極低温冷凍機用圧縮機システムおよび補助冷却装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】極低温冷凍機用圧縮機システムおよび補助冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240109BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F25B9/00 A
F25B1/00 399Y
F25B1/00 321M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020033085
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135018
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】勢村 健太
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/181595(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/171486(WO,A1)
【文献】特表2019-505751(JP,A)
【文献】特開2015-021712(JP,A)
【文献】特開2006-284062(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088262(WO,A1)
【文献】特開2000-088295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温冷凍機の冷媒ガスを圧縮する圧縮機本体と、前記圧縮機本体によって圧縮された冷媒ガスおよび前記圧縮機本体を潤滑するオイルのうち少なくとも一方を冷却液との熱交換により冷却する液冷式熱交換器と、を備える圧縮機ユニットと、
メインチラーから前記液冷式熱交換器に前記冷却液を供給する供給ラインと、
前記液冷式熱交換器から前記メインチラーに前記冷却液を回収する回収ラインと、
前記圧縮機ユニットの外部に設置され、前記メインチラーに代替してまたは前記メインチラーとともに前記液冷式熱交換器に前記冷却液を循環させるバックアップチラーであって、循環ポンプと、前記循環ポンプの入口側または出口側で前記冷却液を冷却する冷却器と、を備えるバックアップチラーと、を備え
前記バックアップチラーは、前記供給ラインと前記回収ラインをつなぐ接続ラインを備え、前記循環ポンプと前記冷却器は、前記接続ラインに設置されていることを特徴とする極低温冷凍機用圧縮機システム。
【請求項2】
前記接続ラインに対して前記メインチラー側で前記供給ラインと前記回収ラインをつなぎ、前記液冷式熱交換器および前記バックアップチラーをバイパスして前記メインチラーに前記冷却液を循環させる流路の一部となるバイパスラインをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の極低温冷凍機用圧縮機システム。
【請求項3】
前記供給ラインと前記回収ラインはそれぞれ、前記接続ラインに対して前記メインチラー側で切り離し可能に前記メインチラーに接続されていることを特徴とする請求項またはに記載の極低温冷凍機用圧縮機システム。
【請求項4】
前記圧縮機ユニットは、前記冷却液、前記冷媒ガス、または前記オイルの温度を測定する温度センサを備え、
前記バックアップチラーは、前記温度センサによって測定された前記冷却液、前記冷媒ガス、または前記オイルの温度に基づいて前記バックアップチラーを起動するコントローラを備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の極低温冷凍機用圧縮機システム。
【請求項5】
前記バックアップチラーは、前記冷却液の温度、流量、または圧力を測定するセンサと、前記センサによって測定された前記冷却液の温度、流量、または圧力に基づいて前記バックアップチラーを起動するコントローラと、を備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の極低温冷凍機用圧縮機システム。
【請求項6】
極低温冷凍機用の圧縮機ユニットのための補助冷却装置であって、
メインチラーから、前記圧縮機ユニットに内蔵された液冷式熱交換器に冷却液を供給する供給ラインと、
前記液冷式熱交換器から前記メインチラーに前記冷却液を回収する回収ラインと、
前記圧縮機ユニットの外部に設置され、前記メインチラーに代替してまたは前記メインチラーとともに前記液冷式熱交換器に前記冷却液を循環させるバックアップチラーであって、循環ポンプと、前記循環ポンプの入口側または出口側で前記冷却液を冷却する冷却器と、を備えるバックアップチラーと、を備え
前記バックアップチラーは、前記供給ラインと前記回収ラインをつなぐ接続ラインを備え、前記循環ポンプと前記冷却器は、前記接続ラインに設置されていることを特徴とする補助冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温冷凍機用圧縮機システムおよび補助冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デュアル・アフタークーラー付きのオイル潤滑ヘリウム圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この圧縮機には、ヘリウムおよびオイルを冷却する2つのアフタークーラー、すなわち水冷式アフタークーラーと空冷式アフタークーラーが内蔵される。空冷式アフタークーラーは、水冷式アフタークーラーと直列または並列に配置される。空冷式アフタークーラーのファンを作動させることにより、水冷式アフタークーラーの冷却水回路がブロックされた場合における冗長性が提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-505751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上述の圧縮機について検討し、以下の課題を認識した。実際のところ、冷却ファンを動作させるべき緊急事態はめったに起こらないのがふつうである。動作頻度が極めて低い場合、冷却ファンに固着が起こるリスクが高まりうる。固着すればファンは送風できない。そのため、冷却ファンを使用した冗長性には、信頼性に懸念がある。また、空冷式アフタークーラーは相応のサイズを有する。空冷式アフタークーラーを内蔵すれば、圧縮機は大型化し、製造コストも高まりうる。
【0005】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、極低温冷凍機用圧縮機システムの冷却に冗長性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機用圧縮機システムは、極低温冷凍機の冷媒ガスを圧縮する圧縮機本体と、圧縮機本体によって圧縮された冷媒ガスおよび圧縮機本体を潤滑するオイルのうち少なくとも一方を冷却液との熱交換により冷却する液冷式熱交換器と、を備える圧縮機ユニットと、メインチラーから液冷式熱交換器に冷却液を供給する供給ラインと、液冷式熱交換器からメインチラーに冷却液を回収する回収ラインと、圧縮機ユニットの外部に設置され、メインチラーに代替してまたはメインチラーとともに液冷式熱交換器に冷却液を循環させるバックアップチラーであって、循環ポンプと、循環ポンプの入口側または出口側で冷却液を冷却する冷却器と、を備えるバックアップチラーと、を備える。
【0007】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機用の圧縮機ユニットのための補助冷却装置は、メインチラーから、圧縮機ユニットに内蔵された液冷式熱交換器に冷却液を供給する供給ラインと、液冷式熱交換器からメインチラーに冷却液を回収する回収ラインと、圧縮機ユニットの外部に設置され、メインチラーに代替してまたはメインチラーとともに液冷式熱交換器に冷却液を循環させるバックアップチラーであって、循環ポンプと、循環ポンプの入口側または出口側で冷却液を冷却する冷却器と、を備えるバックアップチラーと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、極低温冷凍機用圧縮機システムの冷却に冗長性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る極低温冷凍機用圧縮機システムを概略的に示す図である。
図2】実施の形態に係る極低温冷凍機用圧縮機システムの変形例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
図1は、実施の形態に係る極低温冷凍機用圧縮機システムを概略的に示す図である。圧縮機システム100は、圧縮機ユニット102と、補助冷却装置10とを備える。圧縮機システム100は、コールドヘッド104とともに極低温冷凍機106を構成する。また、圧縮機ユニット102を冷却するために、メインチラー70が設けられている。メインチラー70と補助冷却装置10により、圧縮機ユニット102の冷却システムが構成される。
【0013】
圧縮機ユニット102は、極低温冷凍機106の冷媒ガスをコールドヘッド104から回収し、回収した冷媒ガスを昇圧して、再び冷媒ガスをコールドヘッド104に供給するよう構成されている。コールドヘッド104は、膨張機とも称され、室温部104aと、冷却ステージとも称される低温部104bとを有する。圧縮機ユニット102とコールドヘッド104により極低温冷凍機106の冷凍サイクルが構成され、それにより低温部104bが所望の極低温に冷却される。冷媒ガスは、作動ガスとも称され、通例はヘリウムガスであるが、適切な他のガスが用いられてもよい。
【0014】
極低温冷凍機106は、一例として、単段式または二段式のギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon;GM)冷凍機であるが、パルス管冷凍機、スターリング冷凍機、またはそのほかのタイプの極低温冷凍機であってもよい。コールドヘッド104は、極低温冷凍機106のタイプに応じて異なる構成を有するが、圧縮機ユニット102は、極低温冷凍機106のタイプによらず、以下に説明する構成を用いることができる。
【0015】
なお、一般に、圧縮機ユニット102からコールドヘッド104に供給される冷媒ガスの圧力と、コールドヘッド104から圧縮機ユニット102に回収される冷媒ガスの圧力は、ともに大気圧よりかなり高く、それぞれ第1高圧及び第2高圧と呼ぶことができる。説明の便宜上、第1高圧及び第2高圧はそれぞれ単に高圧及び低圧とも呼ばれる。典型的には、高圧は例えば2~3MPaである。低圧は例えば0.5~1.5MPaであり、例えば約0.8MPaである。
【0016】
圧縮機ユニット102は、圧縮機本体110、オイルライン112、オイルセパレータ114、アドゾーバ116を備える。また、圧縮機ユニット102は、吐出ポート118、吸入ポート120、吐出流路122、吸入流路124、ストレージタンク126、バイパス弁128、液冷式熱交換器130を備える。液冷式熱交換器130は、冷媒ガス冷却部130aとオイル冷却部130bを備える。さらに、圧縮機ユニット102は、圧縮機本体110やオイルセパレータ114、液冷式熱交換器130など圧縮機ユニット102の各構成要素を収容する圧縮機筐体132を備える。
【0017】
圧縮機本体110は、その吸入口から吸入される冷媒ガスを内部で圧縮して吐出口から吐出するよう構成されている。圧縮機本体110は、例えば、スクロール方式、ロータリ式、または冷媒ガスを昇圧するそのほかのポンプであってもよい。圧縮機本体110は、固定された一定の冷媒ガス流量を吐出するよう構成されていてもよい。あるいは、圧縮機本体110は、吐出する冷媒ガス流量を可変とするよう構成されていてもよい。圧縮機本体110は、圧縮カプセルと称されることもある。
【0018】
圧縮機本体110では冷却と潤滑のためにオイルが使用され、吸入された冷媒ガスは圧縮機本体110内でこのオイルに直接さらされる。よって、冷媒ガスは、オイルが若干混入した状態で吐出口から送出される。
【0019】
オイルライン112は、オイル循環ライン112aと、オイル戻りライン112bとを備える。オイル循環ライン112aは、圧縮機本体110から流出するオイルがオイル冷却部130bを通って再び圧縮機本体110に流入するように構成されている。オイル循環ライン112aには、内部を流れるオイル流量を制御するオリフィスが設けられている。また、オイル循環ライン112aには、オイルに含まれる塵埃を除去するフィルターが設けられてもよい。オイル戻りライン112bは、オイルセパレータ114で回収されたオイルを圧縮機本体110に戻すために、オイルセパレータ114を圧縮機本体110に接続する。オイル戻りライン112bの途中には、オイルセパレータ114で分離されたオイルに含まれる塵埃を除去するフィルターと、圧縮機本体110へのオイルの戻り量を制御するオリフィスが設けられてもよい。
【0020】
オイルセパレータ114は、圧縮機本体110を通ることによって冷媒ガスに混入するオイルを冷媒ガスから分離するために設けられている。アドゾーバ116は、冷媒ガスに残留している例えば気化したオイルそのほかの汚染成分を冷媒ガスから吸着により除去するために設けられている。オイルセパレータ114とアドゾーバ116は、直列に接続されている。吐出流路122において、オイルセパレータ114が圧縮機本体110側に配置され、アドゾーバ116が吐出ポート118側に配置されている。
【0021】
吐出ポート118は、圧縮機本体110により高圧に昇圧された冷媒ガスを圧縮機ユニット102から送出するために圧縮機筐体132に設置された冷媒ガスの出口であり、吸入ポート120は、低圧の冷媒ガスを圧縮機ユニット102に受け入れるために圧縮機筐体132に設置された冷媒ガスの入口である。吐出ポート118および吸入ポート120はそれぞれ、コールドヘッド104の高圧ポート108aと低圧ポート108bに冷媒ガス配管により接続されている。高圧ポート108aと低圧ポート108bは、コールドヘッド104の室温部104aに設けられている。圧縮機ユニット102内においては、圧縮機本体110のガス吐出口が吐出流路122により吐出ポート118に接続され、吸入ポート120が吸入流路124により圧縮機本体110のガス吸入口に接続されている。
【0022】
ストレージタンク126は、コールドヘッド104から圧縮機ユニット102へと戻る低圧の冷媒ガスに含まれる脈動を除去するための容積として設けられている。ストレージタンク126は、吸入流路124に配置されている。
【0023】
バイパス弁128は、圧縮機本体110を迂回するように吐出流路122を吸入流路124に接続する。一例として、バイパス弁128は、オイルセパレータ114とアドゾーバ116の間で吐出流路122から分岐し、圧縮機本体110とストレージタンク126の間で吸入流路124に接続される。バイパス弁128は、冷媒ガス流量制御のために、及び/または、圧縮機ユニット102を停止する際の吐出流路122と吸入流路124との均圧化のために設けられている。
【0024】
したがって、コールドヘッド104から圧縮機ユニット102に回収される冷媒ガスは、低圧ポート108bから圧縮機ユニット102の吸入ポート120に流入する。冷媒ガスは、吸入流路124上のストレージタンク126を経て、圧縮機本体110のガス吸入口へと回収される。冷媒ガスは、圧縮機本体110によって圧縮され昇圧される。圧縮機本体110の吐出口から送出される冷媒ガスは、吐出流路122上の冷媒ガス冷却部130a、オイルセパレータ114、アドゾーバ116を経て、吐出ポート118から圧縮機ユニット102を出る。冷媒ガスは、高圧ポート108aからコールドヘッド104の内部に供給される。
【0025】
液冷式熱交換器130は、圧縮機ユニット102の主冷却装置として、圧縮機ユニット102に内蔵されている。液冷式熱交換器130は、圧縮機本体110によって圧縮された冷媒ガスおよび圧縮機本体110を潤滑するオイルを冷却液または冷却流体との熱交換により冷却するように構成される。典型的に、冷却液は、たとえば、水道水、工業用水などの冷却水である。
【0026】
冷媒ガス冷却部130aは、圧縮機本体110での冷媒ガスの圧縮に伴って生じる圧縮熱により加熱された高圧の冷媒ガスを冷却するために、吐出流路122に配置される。この実施形態では、冷媒ガス冷却部130aは、吐出流路122において圧縮機本体110のガス吐出口とオイルセパレータ114の間に配置される。オイル冷却部130bは、オイル循環ライン112aを流れるオイルを冷却するために、オイル循環ライン112aに配置される。
【0027】
圧縮機筐体132には、冷却液入口ポート134および冷却液出口ポート136が設けられている。液冷式熱交換器130の入口側が冷却液入口ポート134に接続され、液冷式熱交換器130の出口側が冷却液出口ポート136に接続され、圧縮機ユニット102の内部冷却液流路が形成される。冷却液は、冷却液入口ポート134から圧縮機ユニット102に流入し、液冷式熱交換器130に供給される。液冷式熱交換器130において冷媒ガスとオイルの冷却に使用された冷却液は、液冷式熱交換器130から冷却液出口ポート136を通じて圧縮機ユニット102外に排出される。冷媒ガス冷却部130aとオイル冷却部130bは、直列に接続されている。圧縮機ユニット102の内部冷却液流路において、冷媒ガス冷却部130aが冷却液入口ポート134側に配置され、オイル冷却部130bが冷却液出口ポート136側に配置されている。
【0028】
この実施形態では、液冷式熱交換器130は、冷媒ガスとオイルの両方を冷却するように構成されているが、これに限定されない。液冷式熱交換器130は、冷媒ガスまたはオイルのうちいずれかのみを冷却するように構成されてもよい。この場合、例えば、圧縮機ユニット102は、2つの液冷式熱交換器を有してもよく、すなわち、冷媒ガスを冷却する熱交換器と、オイルを冷却する熱交換器とを個別に有してもよい。
【0029】
圧縮機ユニット102には、冷却液がメインチラー70から冷却液入口ポート134を通じて供給される。冷却に使用された冷却液は、圧縮機ユニット102から冷却液出口ポート136を通じてメインチラー70に回収される。
【0030】
メインチラー70は、冷却液を温調するとともに循環させるように構成されている。冷却液は、メインチラー70によって、例えば、室温より低く、冷却液の凝固点(水の場合0℃)より高い温度に冷却される。メインチラー70は、たとえば公知の水チラーであってもよい。メインチラー70は、圧縮機ユニット102に専用の冷却液源として設けられる必要はなく、むしろ、一般的には、冷却液を必要とする複数の機器に共用されうる。よって、メインチラー70は、極低温冷凍機106が設置され使用される工場、病院、またはその他の場所で使用される様々な機器に冷却液を提供するようにそれら機器に接続されていてもよい。
【0031】
補助冷却装置10は、メインチラー70から液冷式熱交換器130に冷却液を供給する供給ライン12と、液冷式熱交換器130からメインチラー70に冷却液を回収する回収ライン14と、を備える。供給ライン12は、メインチラー70の冷却液供給ポート71を圧縮機ユニット102の冷却液入口ポート134に接続し、回収ライン14は、メインチラー70の冷却液回収ポート72を圧縮機ユニット102の冷却液出口ポート136に接続する。
【0032】
供給ライン12および回収ライン14はそれぞれ、たとえばフレキシブル管またはリジッド管など、冷却液の搬送に適する適宜の配管または流路であってもよい。供給ライン12と回収ライン14それぞれの末端は、たとえばセルフシーリング・カップリングのような着脱可能な継手であってもよく、その場合、補助冷却装置10をメインチラー70および圧縮機ユニット102と着脱しやすく便利である。
【0033】
補助冷却装置10は、圧縮機ユニット102の外部に設置され、メインチラー70に代替してまたはメインチラー70とともに液冷式熱交換器130に冷却液を循環させるバックアップチラー20を備える。
【0034】
バックアップチラー20は、循環ポンプ22と、循環ポンプ22に直列に接続された冷却器24とを備える。この実施形態では、冷却器24は、循環ポンプ22の入口側で冷却液を冷却する。ただし、これには限られず、冷却器24は、循環ポンプ22の出口側で冷却液を冷却してもよい。
【0035】
バックアップチラー20は、圧縮機ユニット102に対してメインチラー70と並列に設けられている。バックアップチラー20は、供給ライン12と回収ライン14をつなぐ接続ライン16を備え、循環ポンプ22と冷却器24は、接続ライン16に設置されている。
【0036】
循環ポンプ22は、回収ライン14から供給ライン12へと冷却液を循環させる。循環ポンプ22は、供給ライン12に対する回収ライン14の圧力損失を回復するポンプ能力を有するとともに、冷却液の種類や組成など冷却液の性質に適合するものであれば、公知のポンプを適宜用いることができる。
【0037】
冷却器24は、一例として、液冷式熱交換器である。よって、圧縮機ユニット102の液冷式熱交換器130を第1の液冷式熱交換器と呼び、冷却器24を第2の液冷式熱交換器と呼ぶこともできる。冷却器24は、液冷式熱交換器130から回収された第1の冷却液と、第2の冷却液ライン26を流れる第2の冷却液との熱交換により、第1の冷却液を冷却するように構成される。
【0038】
第2の冷却液ライン26は、冷却に使用した冷却液を外部(たとえば下水)に排出する非循環式であってもよく、第2の冷却液は、たとえば、水道水、工業用水などの冷却水であってもよい。あるいは、第2の冷却液ライン26は、循環式であってもよく、メインチラー70によって冷却水を循環させるようにメインチラー70に接続されてもよい。第2の冷却液ライン26は、メインチラー70とは別に設けられた第2の水チラーであってもよい。あるいは、第2の冷却液ライン26は、たとえば冷却オイルなど、その他の冷却液または冷却流体を循環させるように構成されてもよい。
【0039】
供給ライン12と回収ライン14はそれぞれ、接続ライン16に対してメインチラー70側で切り離し可能にメインチラー70に接続されている。後述するバルブの閉鎖により供給ライン12と回収ライン14がメインチラー70から切り離されてもよい。あるいは、供給ライン12と回収ライン14をそれぞれ冷却液供給ポート71と冷却液回収ポート72から取り外すことによって、供給ライン12と回収ライン14がメインチラー70から切り離されてもよい。
【0040】
バックアップチラー20は、一組の第1バルブ28と、一組の第2バルブ30とを備える。第1バルブ28と第2バルブ30はいずれも、たとえばオンオフバルブである。なお、第1バルブ28と第2バルブ30の組み合わせに代えて、三方弁が設けられてもよい。
【0041】
一組の第1バルブ28は、接続ライン16において、一方が供給ライン12側に、他方が回収ライン14側に設けられ、これら2つの第1バルブ28の間に循環ポンプ22と冷却器24が配置される。第1バルブ28は互いに同期して開閉される。両方の第1バルブ28が開くとき、バックアップチラー20が液冷式熱交換器130に接続され、両方の第1バルブ28が閉じるとき、バックアップチラー20が液冷式熱交換器130から切り離される。
【0042】
一組の第2バルブ30は、一方が供給ライン12に、他方が回収ライン14に設けられる。これら2つの第2バルブ30はともに、接続ライン16に対してメインチラー70側に配置される。第2バルブ30も互いに同期して開閉される。両方の第2バルブ30が開くとき、メインチラー70が液冷式熱交換器130に接続され、両方の第2バルブ30が閉じるとき、メインチラー70が液冷式熱交換器130から切り離される。あるいは、第2バルブ30は、供給ライン12と回収ライン14それぞれにおいて逆流を防ぐように配置された逆止弁でもよい。
【0043】
補助冷却装置10は、接続ライン16に対してメインチラー70側で供給ライン12と回収ライン14をつなぐバイパスライン18を備えてもよい。バイパスライン18は、液冷式熱交換器130およびバックアップチラー20をバイパスしてメインチラー70に冷却液を循環させる流路の一部となる。
【0044】
バイパスライン18には、第3バルブ32が設けられている。第3バルブ32は、たとえばオンオフバルブである。第3バルブ32が開くとき、回収ライン14から供給ライン12へのバイパスライン18を通じた冷却液の流れが許容され、第3バルブ32が閉じるときバイパスライン18を通じた冷却液の流れが遮断される。第3バルブ32は、回収ライン14から供給ライン12への流れを許容し、逆の流れを遮断する逆止弁でもよい。
【0045】
バイパスライン18が補助冷却装置10に設けられている場合、第2バルブ30は、バイパスライン18に対してバックアップチラー20側に配置される。したがって、第2バルブ30を閉じ第3バルブ32を開くとき、メインチラー70の冷却液供給ポート71からバイパスライン18を通って冷却液回収ポート72に至る冷却液の流路が形成される。すなわち、バイパスライン18によって、圧縮機ユニット102の液冷式熱交換器130を経由しないメインチラー70のための冷却液循環経路が形成される。
【0046】
接続ライン16とバイパスライン18はそれぞれ、供給ライン12と回収ライン14に着脱可能であってもよい。また、接続ライン16とバイパスライン18はそれぞれ、たとえばフレキシブル管またはリジッド管など、冷却液の搬送に適する適宜の配管または流路であってもよい。
【0047】
バックアップチラー20、バイパスライン18など補助冷却装置10の構成要素は、圧縮機ユニット102のように、筐体に収められ、一つのユニットとして提供されてもよい。部品を個別に用意する場合に比べて、圧縮機ユニット102、メインチラー70への補助冷却装置10の取付作業が容易になる。
【0048】
圧縮機システム100には、各種のセンサが設けられている。たとえば、圧縮機ユニット102は、冷却液の温度を測定する第1温度センサ138を備える。第1温度センサ138は、たとえば、液冷式熱交換器130の出口側、つまり圧縮機ユニット102の内部冷却液流路上で液冷式熱交換器130と冷却液出口ポート136との間に設けられる。これに加えて、またはこれに代えて、冷却液の温度を測定するもう1つの冷却液温度センサが液冷式熱交換器130の入口側に設けられてもよい。
【0049】
また、圧縮機ユニット102は、冷媒ガスの温度を測定する第2温度センサ140を備えてもよい。第2温度センサ140は、吐出流路122上、たとえば冷媒ガス冷却部130aとオイルセパレータ114との間に設けられてもよい。これとともに、またはこれに代えて、冷媒ガスの温度を測定するもう1つの冷媒ガス温度センサが圧縮機本体110の吐出口と冷媒ガス冷却部130aとの間に設けられてもよい。圧縮機ユニット102は、オイルの温度を測定する第3温度センサ142を備えてもよい。第3温度センサ142は、オイル循環ライン112a上で圧縮機本体110のオイル流入口とオイル冷却部130bとの間に設けられてもよい。
【0050】
バックアップチラー20は、冷却液の温度を測定するセンサ34を備える。センサ34は、供給ライン12に配置される。センサ34は、接続ライン16に対して圧縮機ユニット102側に配置され、それにより、バックアップチラー20から圧縮機ユニット102に供給される冷却液だけでなく、メインチラー70から供給される冷却液も測定することができる。センサ34は、冷却液の温度に代えて、またはそれに加えて、冷却液の流量または圧力を測定してもよい。言い換えれば、センサ34は、1つ又は複数の異なるセンサで構成されてもよく、たとえば、温度センサ、流量センサ、および圧力センサのうち少なくとも1つを含みうる。センサ34に加えて、またはセンサ34に代えて、冷却液の温度、流量、または圧力を測定するもう1つのセンサが回収ライン14に設けられてもよい。
【0051】
バックアップチラー20には、バックアップチラー20を起動するコントローラ40が設けられている。コントローラ40は、少なくとも1つのセンサから当該センサの測定結果を示すセンサ信号を受け、測定結果に基づいてバックアップチラー20を起動するように構成される。コントローラ40は、循環ポンプ22のオンオフ、第1バルブ28の開閉など、バックアップチラー20の構成要素を制御するように構成される。
【0052】
たとえば、コントローラ40は、第1温度センサ138によって測定された冷却液の温度に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。この場合、コントローラ40は、冷却液の測定温度を示す第1温度センサ信号を第1温度センサ138から受け、この測定温度を温度しきい値と比較する。この温度しきい値は、冷却液温度がこのしきい値よりも高い場合、冷却液が過剰に高温であると評価される値に設定される。
【0053】
第1温度センサ138が測定する冷却液温度が温度しきい値を超えるひとつの原因として、たとえば、メインチラー70から圧縮機ユニット102に供給される冷却液の温度が高すぎる場合(すなわちメインチラー70の冷却不良や故障)が想定される。
【0054】
そこで、コントローラ40は、測定温度が温度しきい値を超える場合にバックアップチラー20を起動する。一方、コントローラ40は、測定温度が温度しきい値を超えない場合には、バックアップチラー20を起動しない。
【0055】
バックアップチラー20を起動するために、コントローラ40は、循環ポンプ22をオフからオンに切り替えて循環ポンプ22の冷却液送出動作を開始するとともに、第1バルブ28を開く。第2の冷却液ライン26も循環式である場合には、コントローラ40は、第2の冷却液ライン26の循環ポンプもオフからオンに切り替えてもよい。なお、バックアップチラー20の動作を停止するときは、コントローラ40は、循環ポンプ22をオフに切り替え、第1バルブ28を閉じる。
【0056】
このとき、コントローラ40は、第2バルブ30を閉じ、メインチラー70を圧縮機ユニット102から切り離してもよい。それとともに、コントローラ40は、第3バルブ32を開いてもよい。このようにして、メインチラー70の冷却液の流れを妨げることなくメインチラー70を圧縮機ユニット102から切り離し、メインチラー70の代替としてバックアップチラー20を使用することができる。メインチラー70が圧縮機ユニット102から切り離されているとき、メインチラー70の点検、修理が行われてもよい。
【0057】
コントローラ40は、バックアップチラー20を起動するために、他のセンサを使用してもよい。圧縮機ユニット102における冷媒ガスまたはオイルの温度は、液冷式熱交換器130から回収されまたは液冷式熱交換器130に供給される冷却液の温度と相関をもつと考えられる。たとえば、メインチラー70の冷却不良の結果として液冷式熱交換器130の冷却能力が不足し、冷媒ガスまたはオイルの温度が高まることが考えられる。したがって、コントローラ40は、第2温度センサ140によって測定された冷媒ガスの温度に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。コントローラ40は、第3温度センサ142によって測定されたオイルの温度に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。コントローラ40は、第1温度センサ138、第2温度センサ140、および第3温度センサ142のうち少なくとも1つの温度センサの測定温度に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。
【0058】
また、コントローラ40は、バックアップチラー20を起動するために、圧縮機ユニット102外に配置されたセンサ34を使用してもよい。センサ34は、上述のように、冷却液の温度を測定してもよく、コントローラ40は、センサ34によって測定された冷却液の温度に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。
【0059】
あるいは、センサ34は、冷却液の流量または圧力を測定してもよい。冷却液の流量または圧力が流量または圧力のしきい値を下回る場合、その原因の一つとして、メインチラー70からの冷却液の供給が不十分であることが考えられる。このしきい値は、メインチラー70から冷却液が正常に供給されているときの供給ライン12(または回収ライン14)における流量または圧力よりも小さい値に設定される。よって、コントローラ40は、センサ34によって測定された冷却液の流量または圧力に基づいてバックアップチラー20を起動してもよい。コントローラ40は、センサ34によって測定された冷却液の流量または圧力を流量または圧力のしきい値と比較し、測定値がしきい値を下回る場合にバックアップチラー20を起動してもよい。一方、コントローラ40は、測定値がしきい値を超える場合には、バックアップチラー20を起動しない。
【0060】
メインチラー70の冷却不良や故障など緊急時にのみバックアップチラー20を起動する場合、そうした事態の発生頻度はふつう、かなり低いものと想定される。バックアップチラー20は、長期にわたって動作を停止したいわば休眠期間を経て、起動されるケースが多くなる。
【0061】
そこで、コントローラ40は、任意のタイミングで(たとえば定期的に)、バックアップチラー20を起動してもよい。このように、コントローラ40によるバックアップチラー20の起動は、圧縮機ユニット102の内部または外部に設けられた少なくとも1つのセンサの測定結果に基づいて行うものには限られない。
【0062】
コントローラ40は、少なくとも1つのセンサから当該センサの測定結果を示すセンサ信号を受け、測定結果に基づいてバックアップチラー20を監視してもよい。たとえば、コントローラ40は、第1温度センサ138によって測定された冷却液温度を温度しきい値と比較する。コントローラ40は、測定温度が温度しきい値を超えない場合、バックアップチラー20が正常であると判定する。コントローラ40は、測定温度が温度しきい値を超える場合、バックアップチラー20が不良であると判定する。このようにして、バックアップチラー20が正常に動作することを確認することができる。長期の動作停止期間に故障していることを見逃した結果、バックアップチラー20がメインチラー70に代替して動作すべき状況で動作できない、といった不測の事態を避けることができる。
【0063】
バックアップチラー20の動作確認のために、コントローラ40は、バックアップチラー20を起動するとともに、第2バルブ30を閉じ、メインチラー70を圧縮機ユニット102から切り離してもよい。それとともに、コントローラ40は、第3バルブ32を開いてもよい。メインチラー70の冷却液の流れを妨げることなくメインチラー70を圧縮機ユニット102から切り離して、バックアップチラー20の動作確認を行うことができる。もし、バックアップチラー20に動作不良が生じている場合には、メインチラー70による冷却を続けながら(すなわち圧縮機ユニット102、極低温冷凍機106の動作を継続しながら)、バックアップチラー20を単独で修理または交換することができる。これは、圧縮機システム100の信頼性向上につながる。
【0064】
コントローラ40がたとえば第1温度センサ138などの圧縮機ユニット102内に設けられたセンサの測定結果に基づいてバックアップチラー20を起動するように構成される場合には、コントローラ40は、圧縮機システム100の動作を統括的に制御する圧縮機コントローラの一部を構成してもよい。あるいは、コントローラ40がセンサ34のように圧縮機ユニット102の外部に設けられたセンサの測定結果に基づいてバックアップチラー20を起動するように構成される場合には、コントローラ40は、圧縮機コントローラとは別個に設けられてもよい。
【0065】
コントローラ40は、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現されるが、図では適宜、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0066】
なお、バックアップチラー20の起動はコントローラ40の制御により自動的に行われることは必須ではない。圧縮機システム100のオペレータが、手動により循環ポンプ22を作動させ、バルブを切り替えて、バックアップチラー20を起動してもよい。
【0067】
バックアップチラー20は、メインチラー70の代替として使用されるだけでなく、メインチラー70とともに(同時に)動作させてもよい。こうしたメインチラー70とバックアップチラー20の併用は、メインチラー70の冷却不良が発生したときだけでなく、メインチラー70が正常に動作しているときにも行われてもよい。メインチラー70の冷却能力にバックアップチラー20の冷却能力が追加され、圧縮機システム100の冷却能力を一時的に増強することができる。
【0068】
以上説明したように、実施の形態によれば、圧縮機ユニット102の液冷式熱交換器130に冷却液を循環させるために、バックアップチラー20をメインチラー70に代替してまたはメインチラー70とともに使用することにより、圧縮機ユニット102の冷却に冗長性がもたらされる。バックアップチラー20を動作させることによって、メインチラー70の経年劣化や故障による冷却能力の低下や喪失に対処することができる。あるいは、メインチラー70とバックアップチラー20の同時運転により、圧縮機システム100の冷却能力を一時的に増強することができる。このようにして、圧縮機ユニット102の冷却機能が安定化され、圧縮機ユニット102ひいては極低温冷凍機106の運転継続性および信頼性が向上される。
【0069】
また、従来構成では、水冷式と空冷式の2つのアフタークーラーを圧縮機に内蔵されるのに対し、実施の形態に係る圧縮機システム100においては、液冷式熱交換器130は圧縮機ユニット102内に配置され、バックアップチラー20は圧縮機ユニット102の外部に設置される。そのため、標準装備としては液冷式熱交換器130のみを備え、バックアップチラー20を含まない形で、圧縮機ユニット102を設計することができる。圧縮機ユニット102は構造がシンプルになり、コストダウンにつながる。バックアップチラー20は、オプションとして、必要に応じて後付けできる。
【0070】
バックアップチラー20は圧縮機ユニット102の外に設置されるので、配置場所の選択の自由度が増す。メインチラー70はしばしば圧縮機ユニット102から遠隔の場所(たとえば別の部屋)に置かれ、メインチラー70と圧縮機ユニット102は比較的長い冷却液配管で接続される。冷却液配管のルート上から、たとえば空きスペースなど他の機器類と干渉しない場所を適宜選んでバックアップチラー20を配置することができる。
【0071】
この実施形態では、バックアップチラー20は、液冷式である。よって、たとえば冷却ファンの固着など、空冷式の冷却器に特有の問題は起こらない。
【0072】
図2は、実施の形態に係る極低温冷凍機用圧縮機システムの変形例を概略的に示す図である。図2に示される実施形態においても、図1に示されるものと同様に、圧縮機システム100は、圧縮機ユニット102の外部に設置され、メインチラー70に代替してまたはメインチラー70とともに圧縮機ユニット102に冷却液を循環させるバックアップチラー20を備える。バックアップチラー20は、循環ポンプ22と、冷却器24と、を備える。ただし、冷却器24は、空冷式であり、接続ライン16を流れる冷却液を冷却するために接続ライン16に送風するように配置された冷却ファンを有する。
【0073】
バックアップチラー20の動作確認のために、コントローラ40は、センサ34に代えて、またはセンサ34とともに、冷却ファンのモータ電圧または電流に基づいてバックアップチラー20を監視してもよい。また、冷却ファンは、正回転または逆回転を切替可能であってもよく、その場合、コントローラ40は、バックアップチラー20が不良であると判定した場合、冷却ファンの回転を逆転させてもよい。仮に冷却ファンに固着が発生していたり、塵が詰まっていたとしても、ファンを逆回転させることにより、解消または緩和される可能性がある。
【0074】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0075】
上述の実施の形態では、圧縮機ユニット102の液冷式熱交換器130に対してバックアップチラー20とメインチラー70が並列に接続されているが、本発明はこれに限られない。ある実施形態においては、バックアップチラー20とメインチラー70が直列に接続されてもよい。この場合、バックアップチラー20は、供給ライン12(または回収ライン14)上に設置されてもよい。
【0076】
バックアップチラー20の冷却器24は、上述の液冷式または空冷式の冷却器には限られず、たとえば、冷却液を冷却素子(たとえばペルチエ素子)で冷却する等、その他の形式の冷却器であってもよい。
【0077】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0078】
10 補助冷却装置、 12 供給ライン、 14 回収ライン、 16 接続ライン、 18 バイパスライン、 20 バックアップチラー、 22 循環ポンプ、 24 冷却器、 34 センサ、 40 コントローラ、 70 メインチラー、 100 圧縮機システム、 102 圧縮機ユニット、 106 極低温冷凍機、 110 圧縮機本体、 130 液冷式熱交換器。
図1
図2