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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】配線形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240109BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L21/88 B
H01L21/90 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020043282
(22)【出願日】2020-03-12
(65)【公開番号】P2021145058
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良市
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛和
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-283619(JP,A)
【文献】特開2006-019707(JP,A)
【文献】特開2006-319255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0032945(US,A1)
【文献】特開2010-045231(JP,A)
【文献】特開2001-093978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/28-21/288
H01L 21/44-21/445
H01L 29/40-29/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の凹部と、該第1の凹部の底部に設けられる第2の凹部とを含む第1のテンプレートを第1の膜に押し当てることにより、前記第1の凹部に対応する第1の凸部と、前記第2の凹部に対応し、前記第1の凸部から突出する第2の凸部とを有する第1のパターンを形成し、
前記第1の膜が光硬化性有機材料で形成され、
当該第1の膜の前記第1のパターンを覆う第1の絶縁膜を形成し、
前記第1のパターンの少なくとも一部を露出させ、
前記第1の絶縁膜から露出する、前記第1のパターンを除去して、前記第1のパターンの形状を反映する空洞部を形成し、
前記空洞部を導電性材料で埋め込むことにより、前記第1の凸部に対応する第1の配線と、前記第2の凸部に対応し前記第1の配線上に突出するビアとを形成する、
配線形成方法。
【請求項2】
第1の凹部と、該第1の凹部の底部に設けられる第2の凹部とを含む第1のテンプレートを第1の膜に押し当てることにより、前記第1の凹部に対応する第1の凸部と、前記第2の凹部に対応し、前記第1の凸部から突出する第2の凸部とを有する第1のパターンを形成し、
前記第1の膜が光硬化性有機材料で形成されており、
当該第1の膜に形成された前記第1のパターンに金属を含浸させることにより、前記第1の凸部に対応する第1の配線と、前記第2の凸部に対応し前記第1の配線上に突出するビアとを形成する、
線形成方法。
【請求項3】
前記ビア上に、第2の膜を有機材料で形成し、
前記第2の膜に第2のパターンを形成し、
前記第2のパターンに金属を含浸させることにより、前記ビアと接続する第2の配線を形成する、請求項に記載の配線形成方法。
【請求項4】
第1の凹部と、該第1の凹部の底部に設けられる第2の凹部とを含む第1のテンプレートを第1の膜に押し当てることにより、前記第1の凹部に対応する第1の凸部と、前記第2の凹部に対応し、前記第1の凸部から突出する第2の凸部とを有する第1のパターンを形成し、
前記第1の膜が光硬化性有機材料で形成されており、
記第1のパターンを覆う第1の絶縁膜を形成し、
前記第1のパターンの前記第2の凸部の上面を露出させ、
前記第1の絶縁膜から露出する前記第2の凸部の上面から前記第1のパターンに金属を含浸させることにより、前記第1の凸部に対応する第1の配線と、前記第2の凸部に対応し前記第1の配線と連続するビアとを形成する、
線形成方法。
【請求項5】
記第1の絶縁膜と、当該第1の絶縁膜から露出する前記ビアとの上に、第2の膜を有機材料で形成し、
前記第2の膜に第2のパターンを形成し、
前記第2のパターンを覆う第3の絶縁膜を形成し、
前記第2のパターンの少なくとも一部を露出させ、
前記第3の絶縁膜から露出する前記第2のパターンに金属を含浸させることにより、前記ビアに接続する第2の配線を形成する、請求項に記載の配線形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、配線形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの多くは複数の配線層を有している。複数の配線層のうち上下に隣接する2つの配線層においては、下層の配線層内の配線(下層配線)と、上層の配線層内の配線(上層配線)とがビアにより電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2011-508459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの実施形態は、少ない工程数で配線とビアを形成可能な配線形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの実施形態によれば、第1の凹部と、該第1の凹部の底部に設けられる第2の凹部とを含む第1のテンプレートを第1の膜に押し当てることにより、第1の凹部に対応する第1の凸部と、第2の凹部に対応し、第1の凸部から突出する第2の凸部とを有する第1のパターンが形成され、第1の膜が光硬化性有機材料で形成され、当該第1の膜の第1のパターンを覆う第1の絶縁膜を形成し、第1のパターンの少なくとも一部を露出させ、第1の絶縁膜から露出する、第1のパターンを除去して、第1のパターンの形状を反映する空洞部を形成し、空洞部を導電性材料で埋め込むことにより、第1の凸部に対応する第1の配線と、第2の凸部に対応し第1の配線上に突出するビアとが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態による配線形成方法に使用可能なテンプレートの一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図3図3は、図2に引き続いて、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図4図4は、図3に引き続いて、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図5図5は、図4に引き続いて、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図6図6は、図5に引き続いて、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図7図7は、図6に引き続いて、第1の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図8図8は、比較例による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図9図9は、図8に引き続いて、比較例による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図10図10は、第2の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図11図11は、図10に引き続いて、第2の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図12図12は、図11に引き続いて、第2の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図13図13は、図12に引き続いて、第2の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図14図14は、図13に引き続いて、第2の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図15図15は、第3の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図16図16は、図15に引き続いて、第3の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図17図17は、第4の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図18図18は、図17に引き続いて、第4の実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図である。
図19図19は、実施形態による配線形成方法が適用される半導体装置の製造方法により製造され得る半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら、限定的でない実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間、または、種々の層の厚さの間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による配線形成方法に使用可能なテンプレート(原版またはモールドとも称される。)の一例を模式的に示す斜視図である。テンプレート10は、紫外光を透過する材料、例えば石英ガラスにより形成される。また、テンプレート10は、図示のとおり、複数の溝部10Gと、複数の溝部10Gに対応して設けられた凹部10Dとを有している。溝部10Gの各々は、テンプレート10の上面Sからテンプレート10の内部へと切り込まれた中空の細長い直方体の形状を有し、一の方向に延伸している。また、溝部10Gは、本実施形態による配線形成方法によって形成される配線に対応している。一方、凹部10Dは、溝部10Gの底面から更にテンプレート内部へと延びる有底筒状の形状を有している。また、凹部10Dの幅は、上記の一の方向には凹部10Dの長さよりも短く、一の方向と直交する方向には凹部10Dの幅と同じであって良い。凹部10Dは、本実施形態による配線形成方法により形成されるビアに対応している。実施形態による配線形成方法に関する以下の説明においては、図1のテンプレート10が用いられるものとする。
【0009】
図2は、本実施形態による配線形成方法により形成される配線パターンの工程ごとの断面を模式的に示す図であり、これらは、図1におけるI-I線に沿った断面に対応している。
【0010】
図2の(A)を参照すると、ウエハWの上に絶縁膜211が形成されており、絶縁膜211の上に導電性材料膜221が形成されている。ウエハWは例えばシリコンウエハなどの半導体基板であり、シリコンウエハには金属酸化物半導体(MOS)トランジスタなどの素子や配線が形成されていて良い。
【0011】
絶縁膜211は、例えば酸化シリコン(SiOx)膜であって良く、例えば化学気相堆積(CVD)法により形成され得る。ただし、絶縁膜211は、SiOxに限らず、酸化窒化シリコン(SiON)や炭素ドープ酸化シリコン(SiCOH)で形成されても良い。さらに、絶縁膜211は、スピンオングラス(SOG)膜であっても良い。また、絶縁膜211には、ウエハWの素子や配線と、以下に説明する配線とを接続する所定のビアが形成されていても良い。
【0012】
導電性材料膜221は、金属や合金で形成されることが好ましく、金属としては銅(Cu)やタングステン(W)などが例示される。導電性材料膜221をCuで形成する場合にはめっき法を利用することができ、導電性材料膜221をWで形成する場合にはCVD法を利用することができる。また、導電性材料膜221は、アルミニウム(Al)や、シリコン-銅-アルミニウム(Si-Cu-Al)などで形成されても良い。これらの場合には、導電性材料膜221は、例えばスパッタ法によりを形成され得る。
【0013】
次に、図2の(B)に示すように、導電性材料膜221の上にレジスト層231が形成される。レジスト層231はスピンコート法により形成しても良く、所定のノズルからレジストを滴下することにより形成しても良く、インクジェットノズルからレジストを吐出することにより形成しても良い。なお、以降、幾つかのレジスト層が用いられるが、それらも同様に形成されて良い。
【0014】
次いで、図2の(C)に示すように、図1に示すテンプレート10がレジスト層231に押し当てられる。これにより、レジスト層231は変形し、テンプレート10の溝部10G及び凹部10Dがレジストで充填される。テンプレート10がレジスト層231に押し当てられたまま、テンプレート10を通してレジストに紫外光が照射されると、レジストが硬化する。テンプレート10が取り外されると、図3の(D)に示すようにテンプレート10の溝部10Gと凹部10Dの形状を反映したインプリントレジストマスクIM(以下、単にレジストマスクIMと言う)が得られる。すなわち、レジストマスクIMは、溝部10Gに対応する隆起部IMRと、凹部10Dに対応する突起部IMPとを有している。
【0015】
続けて、例えばアッシングによりレジスト残膜RLが除去される。レジスト残膜RLは、テンプレート10がレジスト層231に押し当てられたときに、テンプレート10の上面S(図2の(C))と導電性材料膜221との間に残留したレジストより成る。レジスト残膜RLの除去により、導電性材料膜221の上にレジストマスクIMが残り、レジストマスクIM以外の領域では導電性材料膜221の上面が露出することとなる(図3の(E))。
【0016】
次に、レジストマスクIMをマスクとして、導電性材料膜221がエッチングされる。このエッチングには、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法などのプラズマエッチング法を利用することができる。エッチングが開始されると、図3の(F)に示すように、導電性材料膜221は、露出した上面からエッチングされていく。これに伴い、レジストマスクIMもまたエッチングされて薄くなる。隆起部IMRが消失し、突起部IMPが残ると、突起部IMPのみがマスクとなって導電性材料膜221が更にエッチングされる。これにより、図4の(G)に示すように、導電性材料膜221のうちレジストマスクIMにより覆われていなかった部分が除去されるとともに、隆起部IMRで覆われていた部分が薄くなる。所定の時間が経過した後にエッチングを停止し、残留した突起部IMPを除去すると、図4の(H)に示すように導電部EPが得られる。導電部EPは配線M1とビアV1を有している。配線M1とビアV1は単一体としてエッチング工程で一括して形成される。配線M1は、テンプレート10の溝部10Gに対応した形状を有し、ビアV1は、テンプレート10の凹部10Dに対応した形状を有している。すなわち、配線M1は、一の方向に延伸し、ビアV1は、配線M1の上面に柱状に突出している。ビアV1の幅は、一の方向には配線M1の長さよりも短く、一の方向と直交する方向には配線M1の幅と同じであって良い。
なお、レジストマスクIMにおいて、隆起部IMRの上面から突起部IMPの上面までの高さ、つまり図1の凹部10Dの溝部10G底部からの深さは、エッチング停止時に突起部IMPが導電部EP上に所望の高さだけ残るように設定される。これにより、ビアV1は、配線M1の上面から確実に立ち上がるように形成され得る。
【0017】
続けて、導電部EPを覆うように、導電部EPと絶縁膜211の上に絶縁膜212が形成される(図4の(I))。絶縁膜212は、絶縁膜211(図2の(A))の材料と同じ材料から形成される。この後、化学機械研磨(CMP)法により絶縁膜212が研磨され、図5の(J)に示すように絶縁膜212の上面が導電部EPのビアV1の上面と同一面になる。
【0018】
この後、図5の(K)に示すように、絶縁膜212の上面と導電部EPのビアV1の上面とに導電性材料膜222が形成され、導電性材料膜221の上にレジスト層232が形成される。導電性材料膜222は、本実施形態では、導電性材料膜221(図2の(A))と同じ材料で、同じ方法により形成される。ここで、絶縁膜212の上面には、ビアV1の上面が露出しているため、導電性材料膜222はビアV1と電気的に接続される。また、レジスト層232は、前述のレジスト層231と同様に形成され得る。なお、導電性材料膜222は、導電性材料膜221と異なる導電性材料で形成されても良い。
【0019】
次に、レジスト層232に対してテンプレート11が押し当てられる。テンプレート11は、テンプレート10とは異なり、溝部11Gを有するものの、凹部10Dに相当する部分を有していない。溝部11Gは、配線M1よりも上の配線層に含まれる配線に対応している。テンプレート11をレジスト層232に押し当てると、図5の(L)に示すように、溝部11Gがレジストで充填される。テンプレート11がレジスト層232に押し当てられたまま、テンプレート11を通してレジストに紫外光が照射されると、レジストが硬化する。テンプレート11が取り外されると、図6の(M)に示すように、レジストマスクIM2が得られる。引き続いて、例えばアッシングによりレジスト残膜RLが除去されると、図6の(N)に示すように、導電性材料膜222の上にレジストマスクIM2が残り、これ以外の部分では、導電性材料膜222の上面が露出することとなる。
【0020】
次いで、レジストマスクIM2をマスクとして導電性材料膜222がエッチングされる。このエッチングには、前述の導電性材料膜221のエッチングと同様に行われ得る。このエッチングにより、図6の(O)に示すように配線M2が形成される。配線M2は、ビアV1を介して配線M1と電気的に接続している。この後、図7の(P)に示すように、配線M2を覆うように、配線M2と絶縁膜212の上に絶縁膜213が形成される。絶縁膜213は、本実施形態では、絶縁膜211,212と同じ材料で、同じ方法により形成される。この後、CMP法により絶縁膜213を研磨すると、図7の(Q)に示すように、配線M2の上面が絶縁膜213の上面と同一面になる。以上により、ビアV1を介して互いに電気的に接続される配線M1及び配線M2が形成される。なお、絶縁膜213は絶縁膜211、212と異なる絶縁性材料で形成されても良い。また、配線M2は、配線M1と同じ方向に延伸して良く、異なる方向に延伸しても良い。さらに、延伸長さはビアV1の幅より長くて良い。
【0021】
以上説明したように、第1の実施形態による配線形成方法によれば、導電性材料膜221の上に形成されたレジスト層231に対してテンプレート10を押し当てることにより、レジストマスクIMが形成される。テンプレート10は、溝部10Gと凹部10Dとを有しているため、レジストマスクIMは、凹部10Dに対応する突起部IMPと、溝部10Gに対応する隆起部IMRとを有することとなる。このようなレジストマスクIMがマスクとして用いられて導電性材料膜221がエッチングされるため、配線M1とビアV1が単一体として一括して形成される。
【0022】
(比較例)
下層配線(上述の配線M1に相当)とビア(上述のビアV1に相当)を介して上層配線(上述の配線M2に相当)とが電気的に接続される構造は、例えばデュアルダマシン法によって形成することができる。以下、図8及び図9を参照しながら、比較例として、デュアルダマシン法によりテンプレートを用いずに下層配線と上層配線とその間のビアを形成する工程を説明する。
【0023】
図8の(A)に示すように、絶縁膜30の上に絶縁膜31が形成され、絶縁膜31の上にフォトレジスト層40が形成されている。絶縁膜30,31は、例えばSiOxで形成されて良い。また、絶縁膜30には下層配線LMが埋め込まれている。絶縁膜30に埋め込まれた下層配線LMは例えばダマシン法により形成することができる。なお、図8及び図9において、絶縁膜30の下方のウエハなどは省略されている。
【0024】
次に、リソグラフィの手法によりフォトレジスト層40の所定の位置に開口40Hが形成されて、フォトレジストマスクPM3が形成され、フォトレジストマスクPM3をマスクとして、絶縁膜31がエッチングされる。このエッチングは、下層配線LMの上面が露出したときに終了し、これにより、絶縁膜31にホール31Hが形成される(図8の(B))。
【0025】
次に、フォトレジスト層40が除去され、絶縁膜31上に例えばスピンオン材料層50が形成される。このとき、絶縁膜31に形成されたホール31Hは、スピンオン材料により埋め込まれ、その結果、スピンオン材料層50の上面は平坦になる。次いで、スピンオン材料層50の上にフォトレジスト層41が形成され、開口41Hが形成される。これにより、図8の(C)に示すように、フォトレジストマスクPM4が形成される。
【0026】
続けて、フォトレジストマスクPM4をマスクとして絶縁膜31がエッチングされる。すなわち、始めに、開口41Hに露出するスピンオン材料層50がエッチングされ、次いで絶縁膜31がエッチングされていく。所定の時間が経過した後にエッチングを停止すると、図9の(D)に示すように、絶縁膜31には、フォトレジスト層41の開口41Hに対応したトレンチ31Tが形成される。すなわち、絶縁膜31には、トレンチ31Tと、これに連続するホール31Hとが形成される。
【0027】
次に、絶縁膜31の上に残るスピンオン材料層50とフォトレジストマスクPM4が除去され、図9の(E)に示すように、絶縁膜31の上に金属層60が形成される。金属層60は、例えばめっき法によりCuで形成されて良い。金属層60の形成により、トレンチ31Tとホール31HもCuにより埋め込まれる。なお、めっき法によりCuで金属層60を形成する場合には、バリア層やシード層が必要となるが、これらの層は図示されていない。
【0028】
この後、絶縁膜31の上面の金属層60がCMP法により除去されると、金属層60の上面と絶縁膜31の上面とが同一面となる。その上に絶縁膜32を形成すると、図9の(F)に示すように、下層配線LMと上層配線UMがビアVにより電気的に接続された配線構造が形成される。
【0029】
以上のように、デュアルダマシン法が適用された比較例においては、フォトレジストマスクPM3を用いて、ビアVを形成するためのホール31Hが絶縁膜31に形成され(図8の(B))、フォトレジストマスクPM4を用いて、上層配線UMを形成するためのトレンチ31Tが形成される(図9の(D))。すなわち、ビア用と上層配線用にそれぞれフォトレジストマスクが形成される。
【0030】
これに対して、第1の実施形態による配線形成方法においては、レジストマスクIMという一つのマスクによって下層配線M1とビアVを単一体として一括に形成することができる。すなわち、第1の実施形態によれば、デュアルダマシン法でのマスク形成工程数よりも少ないマスク形成工程数でビアと配線を形成できるという効果が奏される。また、第1の実施形態による配線形成方法によれば、テンプレート11の凹部10Dに基づいてビアV1が形成される。凹部10Dには大きな圧力が加わり難いため、変形する可能性は低く、したがって、テンプレート10を長期間にわたって使用することが可能となる。
【0031】
なお、比較例においては、下層配線LMが形成された後に、これと電気的に接続するビアV及び上層配線UMが形成される。すなわち、下層配線LMとは別個にビアVと上層配線UMとが一体的に形成される。この場合、下層配線LMの上に対してビアVの下端面が接合するため、下層配線LMの上面とビアVの下端面との間には接合界面が存在することとなる。接合界面は、例えば、下層配線LMの上に形成される自然酸化膜や、下層配線LM内の金属の粒界とビアV内の金属の粒界との不一致などにより画定され、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などにより観察可能である。
【0032】
一方、第1の実施形態による配線形成方法によれば、下層配線M1とビアV1とが単一体として一括に形成された後に、上層配線M2が形成される。したがって、接合界面はビアV1と配線M2の間に形成される。すなわち、ビアV1と上層配線M2の間に接合界面が観察されれば、第1の実施形態による配線形成方法の実施が推定され得る。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、図10から図14までを参照しながら、第2の実施形態による配線形成方法について、第1の実施形態による配線形成方法との差異を中心に説明する。また、第1の実施形態における層、膜、及び部材とそれぞれ対応する層、膜、及び部材には対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
図10の(A)を参照すると、ウエハWの上に絶縁膜211が形成されており、絶縁膜211の上にレジスト層231が形成されている。上述の第1の実施形態では、絶縁膜211とレジスト層231の間には導電性材料膜221が形成されたが(図2の(B))、第2の実施形態には導電性材料膜221はない。
【0035】
次に、図10の(B)のように、レジスト層231に対して、第1の実施形態でも用いられたテンプレート10が押し当てられる。これにより、テンプレート10の溝部10G及び凹部10Dがレジストにより充填される。次いで、テンプレート10がレジスト層231に押し当てられたまま、テンプレート10を通してレジストに紫外光が照射されると、レジストが硬化する。
【0036】
テンプレート10が取り外されると、図10の(C)に示すようにテンプレート10の溝部10Gと凹部10Dの形状を反映したレジストパターンFP1が得られる。レジストパターンFP1は、凹部10Dに対応する突起部FPPと、溝部10Gに対応する隆起部FPRとを有している。続けて、例えばアッシングによりレジスト残膜RLが除去されると、図11の(D)に示すように、絶縁膜211の上にはレジストパターンFP1が残る。
【0037】
次いで、図11の(E)に示すように、レジストパターンFP1と絶縁膜211の上に絶縁膜212が形成される。この後、図11の(F)に示すように、絶縁膜212がCMP法により研磨され、レジストパターンFP1の突起部FPPの上面が絶縁膜212の上面と同一面になる。
【0038】
続けて、アッシングによりレジストパターンFP1が除去される。すなわち、レジストパターンFP1が、露出した上面から灰化されていき、絶縁膜212内にレジストパターンFP1の形状に対応した形状を有する空洞Cvが形成される(図12の(G))。空洞Cvは、この後、めっき又はCVD法により例えばCu等の金属(W、Al、Si-Cu-Alなど)で埋め込まれる。言い換えると、絶縁膜212内のレジストパターンFPが金属で置換されることとなる。この結果、図12の(H)に示すように、配線M1とビアV1とが単一体として一括に形成される。配線M1は、テンプレート10の溝部10Gに対応した形状を有し、ビアV1は、テンプレート10の凹部10Dに対応した形状を有する。すなわち、第1の実施形態と同様に、配線M1は、一の方向に延伸し、ビアV1は、配線M1の上面に柱状に突出している。ビアV1の幅は、一の方向には配線M1の長さよりも短く、一の方向と直交する方向には配線M1の幅と同じであって良い。
【0039】
この後、ビアV1と絶縁膜212の上にレジスト層232が形成される(図12の(I))。続けて、レジスト層232に対してテンプレート11が押し当てられ(図13の(J))、レジストパターンFP2が形成される(図13の(K))。レジスト残膜RLが除去された後(図13の(L))、レジストパターンFP2と絶縁膜212の上に絶縁膜213が形成される(図14の(M))。そして、絶縁膜213がCMP法により研磨されて、レジストパターンFP2の上面が絶縁膜213の上面と同一面となる(図14の(N))。この後、アッシングによりレジストパターンFP2が除去され、レジストパターンFP2に対応した空間が生じる。この後、その空間は、めっき又はCVD法により例えばCu等の金属で埋め込まれる。これにより、図14の(O)に示すように配線M2が形成される。配線M2は、配線M1及びビアV1と同じ金属で形成されて良く、異なる金属で形成されても良い。また、配線M2は、配線M1と同じ方向に延伸して良く、異なる方向に延伸しても良い。さらに、延伸長さはビアV1の幅より長くて良い。
【0040】
以上説明したように、第2の実施形態による配線形成方法においては、テンプレート10がレジスト層231に押し当てられることにより、レジストパターンFP1が形成される。レジストパターンFP1は、テンプレート10の溝部10G及び凹部10Dにそれぞれ対応する隆起部FPR及び突起部FPPを有している。そして、レジストパターンFPが金属により置換され、突起部FPPに対応するビアV1と、隆起部FPRに対応する配線M1とが形成される。すなわち、一つのレジストパターンFP1から、配線M1とビアV1が単一体として一括して形成される。したがって、第2の実施形態においても、第1の実施形態による配線形成方法と同様の効果が奏される。
【0041】
なお、第2の実施形態において、ビアV1及び配線M1が形成された後は(図12の(H))、例えば、第1の実施形態において図5の(K)から図7の(Q)までを参照しながら説明した手順と同じ手順を適用しても良い。
【0042】
(第3の実施形態)
次に、図15及び図16を参照しながら、第3の実施形態による配線形成方法について、第2の実施形態による配線形成方法との差異を中心に説明する。また、第2の実施形態における層、膜、及び部材とそれぞれ対応する層、膜、及び部材には対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
図15の(A)を参照すると、ウエハWの上に形成された絶縁膜211の上にレジストパターンFP1が形成されている。レジストパターンFP1は、テンプレート10(図1)の溝部10Gに対応する隆起部FPRと、テンプレート10の凹部10Dに対応する突起部FPPとを有している。このような構成は、第2の実施形態における工程(図10の(A)から図11の(D)まで)と同一の工程を順に行うことにより形成される。
【0044】
次に、レジストパターンFP1内に金属元素を含浸させる金属含浸処理が行われる。具体的には、不図示の真空チャンバ内において、ウエハW、絶縁膜211、及びレジストパターンFP1が約80℃から約300℃までの範囲の温度(例えば200℃)に維持され、真空チャンバ内にトリメチルアルミニウム(TMA)ガスが導入される。これにより、レジストパターンFP1がTMAガスに晒され、レジストパターンFP1の上面及び側面からレジストパターンFP1内にTMAガスが含浸される。所定の時間が経過した後、TMAガスがパージされ、水蒸気(HO)、又はオゾン(O)ガス、酸素(O)ガスなどの酸化ガスが真空チャンバ内に導入される。レジストパターンFP1に含浸されたTMAが酸化ガスにより酸化され、アルミニウムが析出する。このため、レジストパターンFP1は導電性を有することとなる。以下、図15の(B)に示すように、導電性を有するレジストパターンFP1を金属含有部MC1と言う。金属含有部MC1は、突起部MC1Pと隆起部MC1Rとを有している。突起部MC1Pは、レジストパターンFP1の突起部FPPから形成され、隆起部MC1Rは、レジストパターンFP1の隆起部FPRから形成されている。隆起部FPRが、テンプレート10(図1)の溝部10Gに対応した形状を有するため、隆起部MC1Rもまた溝部10Gに対応した形状を有している。また、突起部FPPは、テンプレート10の凹部10Dに対応した形状を有するため、突起部MC1Pもまた凹部10Dに対応した形状を有している。すなわち、隆起部MC1Rは、一の方向に延伸し、突起部MC1Pは、隆起部MC1Rの上面に柱状に突出している。突起部MC1Pの幅は、一の方向には隆起部MC1Rの長さよりも短く、一の方向と直交する方向には隆起部MC1Rの幅と同じであって良い。
なお、上述のTMAガスと水蒸気の真空チャンバへの交互導入は、複数回繰り返されても良い。これにより、金属含有部MC1内のAl原子濃度を高めることができる。
【0045】
続けて、金属含有部MC1と絶縁膜211の上に絶縁膜212が形成され(図15の(C))、絶縁膜212がCMP法により研磨されて、図15の(D)に示すように絶縁膜212の上面が金属含有部MC1の上面と同一面になる。この後、金属含有部MC1と絶縁膜212の上にレジスト層232が形成され(図15の(E))、レジスト層232に対してテンプレート11が押し当てられる(図15の(F))。テンプレート11が押し当てられたまま、テンプレート11を通してレジスト層232に紫外光が照射されると、レジスト層232が硬化し、図16の(G)に示すように、テンプレート11の形状を反映したレジストパターンFP2が得られる。
【0046】
例えばアッシングなどによりレジスト残膜RLが除去されると、絶縁膜212の上にはレジストパターンFP2が残る(図16の(H))。ここで、レジストパターンFP1に対して行われたのと同様に、レジストパターンFP2に対して金属が含浸される。これにより、レジストパターンFP2は導電性を有することとなり、金属含有部MC2(図16の(I))になる。ここで、レジストパターンFP2に含浸される金属は、レジストパターンFP1に含浸された金属と同じであって良く、異なっても良い。また、金属含有部MC2は、隆起部MC1Rと同じ方向に延伸して良く、異なる方向に延伸しても良い。さらに、延伸長さは突起部MC1Pの幅より長くて良い。
【0047】
次いで、金属含有部MC2と絶縁膜212の上に絶縁膜213が形成され(図16の(J))、絶縁膜213がCMP法により研磨されて、金属含有部MC2の上面が絶縁膜213の上面と同一面となる(図16の(K))。以上により、図16の(K)に示すように、金属含有部MC2と、金属含有部MC1の隆起部MC1Rとが、突起部MC1Pを介して接続する構造が得られる。
【0048】
以上説明したように、第3の実施形態による配線形成方法において、レジスト層231(図10の(A))にテンプレート10(図10の(B))を押し当てることにより得られたレジストパターンFP1(図15の(A))に対し、金属含浸処理が行われ、金属含有部MC1が形成される。金属含有部MC1は、導電性を有するとともに、テンプレート10の凹部10D及び溝部10Gにそれぞれ対応する突起部MC1P及び隆起部MC1Rを有している。そして、突起部MC1Pは、導電性を有する金属含有部MC2に接続している。したがって、隆起部MC1Rは配線として、金属含有部MC2は隆起部MC1Rよりも上層の配線として、突起部MC1Pは、隆起部MC1Rと金属含有部MC2とを接続するビアとして機能し得る。また、レジストパターンFP1が金属含有部MC1となるため、下層の配線として機能し得る隆起部MC1Rと、ビアとして機能し得る突起部MC1Pとが単一体として一括に形成される。したがって、第3の実施形態による配線形成方法によっても、第1及び第2の実施形態による配線形成方法と同様の効果が奏される。なお、隆起部MC1Rと突起部MC1Pとは単一体として連続している一方、突起部MC1P(ビアに相当)と金属含有部MC2(上層の配線に相当)とは、互いに接触している。
【0049】
(第3の実施形態の変形例1)
次に、第3の実施形態の変形例1について説明する。第3の実施形態においては、レジストパターンFP1(図15の(A))に対して金属含浸処理を行うことにより、導電性を有する金属含有部MC1が形成された(図15の(B))。しかし、本変形例においては、金属粒子の分散液を用いて、金属含有部MC1に相当する導電性構造体が形成される。具体的には、金属粒子の分散液が、例えばインクジェット法やスピンコート法により絶縁膜211の上に塗布され、分散液膜が形成される。分散液膜から溶剤が揮発して固化する前に、当該分散液膜に対してテンプレート10が押し当てられる。これにより、テンプレート10の溝部10Gと凹部10Dが分散液により充填される。テンプレート10が取り外された後、分散液による残膜が除去される。ここで、残膜とは、テンプレート10の上面Sと絶縁膜211との間に残った分散液により生じる膜である。すなわち、上述のレジスト残膜RLに相当する。残膜除去後に絶縁膜211上に残った分散液膜を不活性ガス(窒素ガス、希ガス)の雰囲気下で焼成することにより、金属含有部MC1に相当する導電性構造体が得られる。
【0050】
また、同様にして、絶縁膜212の上に金属粒子の分散液膜を形成し、この分散液膜に対してテンプレート11を押し当て、残膜を除去し、焼成することにより、金属含有部MC2の代わりに、溝部11Gの形状を反映した導電性構造体が得られる。これらの導電性構造体は、比較的高い導電性を有しており、配線やビアとして機能することができる。以上のように、このような金属粒子の分散液を用いても、単一体として一括に形成される配線M1及びビアV1と、配線M2とを形成することができる。また、これらの配線M1及びビアV1と、配線M2とは、第1及び第2の実施形態における配線M1及びビアV1と、配線M2と同じ形状を有することができる。
【0051】
なお、金属粒子の平均粒径は、例えば数十nm以下であって良く、好適には10nm以下であって良い。さらには、平均粒径は5nm以下であって良い。平均粒径が小さくなると、溶媒中の分散性が向上する。また、焼成温度は、例えば100℃から500℃までの範囲の温度であっても良い。さらに、焼成の代わりに、例えばキセノンランプを使用するフォトシンタリングを採用しても良い。また、銅インクを用いる場合は、不活性ガス雰囲気下ではなく、水素などの還元ガス雰囲気下で還元処理を行っても良い。
【0052】
金属粒子としては、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などの粒子が例示される。また、これらのうちの複数の金属の粒子から分散液を得ても構わない。なお、金属粒子の分散液は、金属インク、金属ナノインクとも呼ばれる。
【0053】
また、分散液の種類によっては、テンプレート10を分散液膜に押し当て、例えばフラッシュランプなどにより光を照射することにより、分散液膜を焼成することもできる。
【0054】
(第3の実施形態の変形例2)
また、上述の変形例1における金属粒子の分散液の代わりに、ポリアセチレンやポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンなどの導電性高分子を用いることもできる。すなわち、絶縁膜211の上に金属粒子の分散液による分散液膜を形成する代わりに、液状の導電性高分子層を形成し、この液状導電性高分子層に対してテンプレート10を押し当てても良い。液状導電性高分子層は、例えばスピンコート法やインクジェット法により形成することができる。なお、導電性高分子には、電子/正孔導電性高分子や、イオン導電性高分子、複合高分子などがあるが、いずれの導電性高分子を利用して良い。また、電子/正孔導電性高分子(又は有機半導体)を用いる場合、アクセプタ不純物又はドナー不純物をドーピングすることにより、導電性を高めることも可能である。
【0055】
このような導電性高分子を用いても、変形例1と同様に、単一体として一括に形成される配線M1及びビアV1と、配線M2を形成することができる。これらの配線M1及びビアV1と、配線M2とは、第1及び第2の実施形態における配線M1及びビアV1と、配線M2と同じ形状を有することができる。
【0056】
(第4の実施形態)
次に、図17及び図18を参照しながら、第4の実施形態による配線形成方法について説明する。以下の説明においては、第2及び第3の実施形態による配線形成方法との差異を中心に説明する。また、第2及び第3の実施形態における層、膜、及び部材とそれぞれ対応する層、膜、及び部材には対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0057】
図17の(A)を参照すると、ウエハWの上に形成された絶縁膜211の上にレジストパターンFP1が形成されている。レジストパターンFP1は、テンプレート10(図1)の溝部10Gに対応する隆起部FPRと、テンプレート10の凹部10Dに対応する突起部FPPとを有している。なお、このような構成は、第2の実施形態における工程(図10の(A)から図11の(D)まで)と同一の工程を順に行うことにより形成される。
【0058】
次に、図17の(B)に示すように、レジストパターンFP1と絶縁膜211の上に絶縁膜212が形成される。次いで、絶縁膜212がCMP法により研磨され、絶縁膜212の上面が、レジストパターンFP1の上面と同一面となる(図17の(C))。
【0059】
この後、レジストパターンFP1に対して、第3の実施形態における金属含浸処理と同様に金属含浸処理が行われる。これより、レジストパターンFP1のうちの絶縁膜212の上面に露出した部分からTMAガスがレジストパターンFP1内へと侵入し、酸化ガスにより、TMAガスが酸化されてAl原子がレジストパターンFP1内に析出する。これによって、レジストパターンFP1は、導電性を有する金属含有部MC1になる(図17の(D))。金属含有部MC1は、レジストパターンFP1の突起部FPPから変わった突起部MC1Pと、レジストパターンFP1の隆起部FPRから変わった隆起部MC1Rとを有している。
【0060】
このような金属含浸処理は、本実施形態においては、レジストパターンFP1が絶縁膜212に埋め込まれた後に行われている。この点において、本実施形態は、レジストパターンFP1に対して金属含浸処理が行われてから絶縁膜212に埋め込まれる第3の実施形態と異なる。
【0061】
次に、図17の(E)に示すように、金属含有部MC1と絶縁膜212の上にレジスト層232が形成される。そして、レジスト層232に対して、溝部11Gを有するテンプレート11が押し当てられる(図17の(F))。押し当てられたまま、テンプレート11を通してレジスト層232に紫外光が照射されると、レジストが硬化する。この後、テンプレート11が取り外されると、図18の(G)に示すように、レジストパターンFP2が得られる。続けて、レジスト残膜RLが除去されると、図18の(H)に示すように、絶縁膜212の上にレジストパターンFP2が残る。
【0062】
次に、レジストパターンFP2と絶縁膜212の上に絶縁膜213が形成され(図18の(I))、絶縁膜213がCMP法により研磨されると、絶縁膜213の上面がレジストパターンFP2の上面と同一面になる(図18の(J))。
【0063】
この後、レジストパターンFP1に対して行われた金属含浸処理と同様の金属含浸処理が、レジストパターンFP2に対して行われ、金属含有部MC2が得られる(図18の(K))。ただし、レジストパターンFP2に含浸される金属は、レジストパターンFP1に含浸された金属と同じであって良く、異なっても良い。本実施形態は、レジストパターンFP2が上面を露出したまま絶縁膜213に埋め込まれた後に、レジストパターンFP2に対して金属含浸処理が行われる点で、金属含浸処理が行われてから絶縁膜に覆われる第3の実施形態と相違する。ただし、本実施形態における隆起部MC1R及び突起部MC1Pと、金属含有部MC2とは、第3の実施形態における隆起部MC1R及び突起部MC1Pと、金属含有部MC2と同じ形状を有することができる。
【0064】
以上説明したように、第4の実施形態による配線形成方法においても金属含有部MC1及びMC2が形成される。そして、金属含有部MC1の隆起部MC1Rは配線として、金属含有部MC2は隆起部MC1Rの上層の配線として、突起部MC1Pは、隆起部MC1Rと金属含有部MC2とを接続するビアとして機能し得る。また、金属含有部MC1は、凹部10Dと溝部10Gを有するテンプレート10をレジスト層に押し当てることにより形成されたレジストパターンFP1に由来する。すなわち、下層の配線として機能し得る隆起部MC1Rと、ビアとして機能し得る突起部MC1Pとが単一体として一括に形成され得る。したがって、第4の実施形態による配線形成方法によっても、第1から第3の実施形態による配線形成方法と同様の効果が奏される。
【0065】
(適用例)
上述の第1から第4の実施形態(変形例を含む)による配線形成方法は、例えば、半導体装置の製造方法の一部として利用することができる。そのような半導体装置の製造方法によって製造され得る半導体装置の一例を図19に示す。図示のとおり、半導体装置100は、半導体基板101と、その上に形成された絶縁層102とを有している。半導体基板101内には、その上面101Sに接するように素子分離絶縁膜72が局所的に設けられている。素子分離絶縁膜72により、半導体基板101の上層部分は複数の半導体領域73に区画されている。少なくとも一部の半導体領域73には、ソース領域74とドレイン領域75が形成されている。半導体基板101の上面101S上には、ソース領域74とドレイン領域75の間の領域において、ゲート絶縁膜76及びゲート電極77が設けられている。ソース領域74、ドレイン領域75、ゲート絶縁膜76、及びゲート電極77により、電界効果型のトランジスタ78が形成されている。
【0066】
半導体基板101の上に形成された絶縁層102には、図示の例では、2層の配線層が設けられている。2層の配線層のうち下層の配線層には配線M1が設けられ、上層の配線層には配線M2が設けられている。配線M1と配線M2とがビアV1により接続される。配線M2の上面は絶縁層102の上面と同一面を形成し、これらの上には絶縁膜103が設けられている。絶縁膜103には、配線M2に対応する位置に開口を有し、この開口には金属パッド80が設けられている。また、配線M1とソース領域74とがコンタクトCにより接続されている。
【0067】
上述の構成を有する半導体装置100は、例えば、3次元的に複数のメモリセルが構成されるアレイチップを制御する制御チップとして機能し得る。この場合、半導体装置100は、金属パッド80とアレイチップにおける対応する金属パッドとが、例えば金属バンプにより接合されることにより、アレイチップと接合される。
【0068】
半導体装置100は、半導体製造プロセスにおける種々の要素プロセスを適宜組み合わせた本実施形態による半導体装置の製造方法により製造可能である。その製造方法は、上述の実施形態による配線形成方法を含み、配線M1とビアV1が単一体として一括して形成される。このため、本実施形態による半導体装置の製造方法によっても、上述の実施形態による配線形成方法と同様の効果が奏される。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
例えば、第1の実施形態においては、導電性材料膜221上にレジストマスクIMが形成され、レジストマスクIMをマスクとして用い、導電性材料膜221がエッチングされて、配線M1とビアV1が形成されたが、導電性材料膜221上にハードマスク材料膜を形成し、その上にレジストマスクIMを形成しても良い。これによれば、レジストマスクIMをマスクとして用いて、ハードマスク材料膜をエッチングすることにより、溝部10Gに対応する隆起部と、凹部10Dに対応する突起部とを有するハードマスクが形成される。そして、このハードマスクをマスクとして用いて導電性材料膜221をエッチングすることにより、配線M1とビアV1が形成される。ハードマスク材料膜は、例えばスピンオンカーボン(SOC)膜やスピンオングラス(SOG)膜などであって良い。
【0071】
また、第1の実施形態において、テンプレート11を用いてレジストマスクIM2が形成されたが、このレジストマスクIM2は、テンプレートによらず、フォトレジスト層を導電性材料膜222上に塗布し、所定の遮光パターンを有するマスク(レチクル)を通して当該フォトレジスト層に紫外光等を照射することにより、レジストマスクIM2と同様のレジストマスクを形成しても良い。また、第3及び第4の実施形態におけるレジストパターンFP2についてもフォトレジスト層が所定の遮光パターンを有するマスクを通して露光されることにより形成されても良い。
【0072】
さらに、第3及び第4の実施形態において、レジストパターンFP1,FP2をTMAガスに晒し、TMAガスをレジストパターンFP1,FP2内に含浸させたが、TMAガスの代わりに、アルミニウム以外の金属元素を含む有機金属ガスを用いても良い。このような金属元素の例は、クロム(Cr)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ジルコニウム(Zr)などである。また、これらのうちの二つ又は三つ以上を組み合わせても良い。
【0073】
また、有機金属としては、メチル基を含む有機金属に限らず、エチル基を含む有機金属や、その他の有機基を有する有機金属を利用することができる。このような有機金属としては、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(Cr(C)、シクロペンタジエニルマンガントリカルボニル((C)Mn(CO))、TDMAT、テトラキスエチルメチルアミノチタン(TEMAT)、チタンテトラターシャリブトキシド(Ti(OtBu))、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ)、テトラジメチルアミノジルコニウム(TDMAZ)、ジルコニウムテトラターシャリブトキシド(Zr(OtBu))、テトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH)、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TDEAH)、ハフニウムテトラターシャリブトキシド(Hf(OtBu))等が例示される。また、AlCl、MoF、WF、TiCl、ZrCl,HfCl等のハロゲン化物のガスを金属含浸処理に用いることも可能である。
【0074】
また、第3及び第4の実施形態において、レジスト層231(又は232)は、例えば、カルボニル基など炭素原子と酸素原子との間の二重結合を含む光硬化性有機材料により形成されることが望ましい。これは、そのような有機材料でレジスト層231(又は232)を形成すれば、内部の炭素原子と酸素原子との間の二重結合により、金属元素が含有され易くなるためである。そのような有機材料の一例は、メタクリル樹脂系のレジスト材料である。
【0075】
ビアV1を介した配線M1と配線M2の2つの配線層間の電気的接続を説明したが、更に上層の配線を連続して形成することも可能である。具体的には、図5の(K)に示すレジスト層232に対して、テンプレート10と同様に、溝部と、溝部の底面に形成されるホールとが所定のパターンで設けられたテンプレートを適宜用いれば良い。
【0076】
また、上述の各実施形態において、CMP法により絶縁膜212,213を研磨する工程を説明したが、CMP法に代わり、これらの絶縁膜212,213を全面的にエッチバックしても良い。
【符号の説明】
【0077】
10…テンプレート、10G,11G…溝部、10D…凹部、211,212,213…絶縁膜、221,222…導電性材料膜、231,232…レジスト層、MC1,MC2…金属含有部、EP…導電部、FP1,FP2…レジストパターン、M1,M2…配線、IM,IM2…レジストマスク、IMP,FPP,MC1P…突起部、IMR,MC1R…隆起部、RL…レジスト残膜、W…ウエハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19