(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】地点案内システム、地点管理システム、地点案内プログラム及び地点管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240109BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240109BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G01C21/26 C
G08G1/13
(21)【出願番号】P 2020044862
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】519182659
【氏名又は名称】MONET Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕司
(72)【発明者】
【氏名】平野 怜司
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓光
(72)【発明者】
【氏名】大谷 史郎
(72)【発明者】
【氏名】山科 瞬
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191774(JP,A)
【文献】特開2012-243165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G01C 21/26
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を取得する取得部と、
移動予定経路上に存在する前記急ブレーキ地点を案内部に案内させる案内制御部と、を備え、
前記案内制御部は、
前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内さ
せ、
前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点以前の期間であり、
前記案内制御部は、
最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、
前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする、
地点案内システム。
【請求項2】
前記車両が前記急ブレーキ地点を基準とした案内領域に位置する場合に、前記案内制御部が前記急ブレーキ地点を案内させる、
請求
項1に記載の地点案内システム。
【請求項3】
車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、
前記急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部
と、を備え、
前記案内指示部は、
前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示
し、
前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点を含み、
前記案内指示部は、
最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、
前記検出期間内に、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする、
地点管理システム。
【請求項4】
前記急ブレーキ地点を基準とした案内領域に位置する前記地点案内システムにおいて前記急ブレーキ地点が案内される、
請求
項3に記載の地点管理システム。
【請求項5】
前記急ブレーキが検出された前記車両の進行方向を特定する進行方向特定部をさらに備え、
前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムの前記案内指示部において、前記急ブレーキ地点が案内される、
請求
項3又は4に記載の地点管理システム。
【請求項6】
前記急ブレーキの減速度を評価する減速評価部をさらに備え、
前記減速度が減速度閾値未満の場合には、前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて前記急ブレーキ地点が案内され、
前記減速度が前記減速度閾値以上の場合には、前記車両の進行方向と同一の方向に沿った移動又は逆の方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて、前記急ブレーキ地点が案内される、
請求
項5に記載の地点管理システム。
【請求項7】
車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、
前記急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部と、を備え、
前記案内指示部は、
前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示し、
前記急ブレーキが検出された前記車両の進行方向を特定する進行方向特定部をさらに備え、前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムの前記案内指示部において、前記急ブレーキ地点が案内され、
前記急ブレーキの減速度を評価する減速評価部をさらに備え、
前記減速度が減速度閾値未満の場合には、前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて前記急ブレーキ地点が案内され、
前記減速度が前記減速度閾値以上の場合には、前記車両の進行方向と同一の方向に沿った移動又は逆の方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて、前記急ブレーキ地点が案内される、
地点管理システム。
【請求項8】
前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点を含む、
請求
項7に記載の地点管理システム。
【請求項9】
前記案内指示部は、
最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、
前記検出期間内に、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする、
請求
項7又は8に記載の地点管理システム。
【請求項10】
前記急ブレーキ地点を基準とした案内領域に位置する前記地点案内システムにおいて前記急ブレーキ地点が案内される、
請求
項7乃至9の何れか1項に記載の地点管理システム。
【請求項11】
コンピュータを、
車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を取得する取得部と、
移動予定経路上に存在する前記急ブレーキ地点を案内部に案内させる案内制御部と、
して機能させ、
前記案内制御部は、
前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内さ
せ、
前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点以前の期間であり、
前記案内制御部は、
最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、
前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする、
地点案内プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、
前記急ブレーキ地点を移動予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部と
して機能させ、
前記案内指示部は、
前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示
し、
前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点を含み、
前記案内指示部は、
最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、
前記検出期間内に、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする、
地点管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地点案内システム、地点管理システム、地点案内プログラム及び地点管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両による急ブレーキが発生した場合に、警告を行う技術が知られている。特許文献1には、被警告車両の前方に急ブレーキ車両が存在する場合に、警告を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急ブレーキの原因には、小動物の飛び出しのように一時的なものの他、渋滞や道路に落下物が存在するといった、一定期間の間、周辺の車両に影響を及ぼすものがある。このように急ブレーキの原因によって、周辺の車両で走行するユーザにとって、急ブレーキの情報の重要性は異なる。しかしながら、従来技術においては、これらが考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、車両の急ブレーキの重要度に応じた案内を実施できる可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の地点案内システムは、車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を取得する取得部と、移動予定経路上に存在する前記急ブレーキ地点を案内部に案内させる案内制御部と、を備え、前記案内制御部は、前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点以前の期間であり、前記案内制御部は、最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする。
【0007】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の地点管理システムは、車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、前記急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部と、を備え、前記案内指示部は、前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示し、前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点を含み、前記案内指示部は、最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出期間内に、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする。
また、本発明の地点管理システムは、車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、前記急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部と、を備え、前記案内指示部は、前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示し、前記急ブレーキが検出された前記車両の進行方向を特定する進行方向特定部をさらに備え、前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムの前記案内指示部において、前記急ブレーキ地点が案内され、前記急ブレーキの減速度を評価する減速評価部をさらに備え、前記減速度が減速度閾値未満の場合には、前記車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて前記急ブレーキ地点が案内され、前記減速度が前記減速度閾値以上の場合には、前記車両の進行方向と同一の方向に沿った移動又は逆の方向に沿った移動が検出された前記地点案内システムにおいて、前記急ブレーキ地点が案内される、
【0008】
また、上記の目的を達成するため、本発明の地点案内プログラムは、コンピュータを、車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を取得する取得部と、移動予定経路上に存在する前記急ブレーキ地点を案内部に案内させる案内制御部と、して機能させ、前記案内制御部は、前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点以前の期間であり、前記案内制御部は、最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、本発明の地点管理プログラムは、コンピュータを、車両による急ブレーキが検出された急ブレーキ地点を特定する急ブレーキ地点特定部と、前記急ブレーキ地点を移動予定の地点案内システムに前記急ブレーキ地点を案内するよう指示する案内指示部として機能させ、前記案内指示部は、前記急ブレーキ地点を基準として設定される検出領域内で前記急ブレーキが検出され、前記検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された前記急ブレーキの回数が回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合よりも強調して前記急ブレーキ地点を案内するよう指示し、前記検出期間は、最後に前記急ブレーキが検出された時点を含み、前記案内指示部は、最後に前記急ブレーキが検出された後、予め決められた有効期間が経過していない場合に前記急ブレーキ地点を案内させ、前記検出期間内に、前記検出領域内で検出された前記急ブレーキの回数が前記回数閾値以上である場合、前記回数閾値未満の場合より前記有効期間を長くする。
【0010】
上記地点案内システム、地点管理システム、地点案内プログラム及び地点管理プログラムは、急ブレーキの回数が回数閾値以上の場合に、回数閾値未満の場合よりも強調して機急ブレーキ地点を案内する。このように、急ブレーキの回数に応じて案内の強調の程度を異ならせることで、車両の急ブレーキの重要度に応じた案内を行う可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3Aは、急ブレーキテーブルのデータ構成例を示す図。
図3Bは、ユーザテーブルのデータ構成例を示す図。
図3Cは、指示情報テーブルのデータ構成例を示す図。
【
図8】指示情報管理処理及び地点案内処理を示すフローチャート。
【
図9】第2の実施形態に係る地点管理システムの構成を示す図。
【
図10】第2の実施形態に係る地点案内システムの構成を示す図。
【
図11】指示情報テーブルのデータ構成例を示す図。
【
図12】第2の実施形態に係る地点管理処理を示すフローチャート。
【
図13】第2の実施形態に係る指示情報生成処理を示すフローチャート。
【
図14】第2の実施形態に係る指示情報管理処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1の実施形態のシステムの構成:
(2)第1の実施形態のシステムによる処理:
(3)第2の実施形態のシステムの構成:
(4)第2の実施形態のシステムによる処理:
(5)他の実施形態:
【0013】
(1)第1の実施形態のシステムの構成:
図1は、第1の実施形態に係るシステムの全体図である。本実施形態のシステムは、地点管理システム10と、地点案内システム20と、を備えている。地点管理システム10は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型の外部サーバなどである。地点案内システム20は、例えばユーザが携帯可能なスマートフォン等の携帯型の情報処理装置である。ユーザは、地点案内システム20を携帯して車両に乗って移動するものとする。地点管理システム10と地点案内システム20は、ネットワークを介して通信可能に無線接続されているものとする。
【0014】
地点管理システム10は、車両Aにおいて急ブレーキが発生すると、これを検出し、急ブレーキが発生したことを、後続の車両Bに乗車するユーザが携帯する地点案内システム20bに案内する。なお、以下においては、急ブレーキが発生した車両を急ブレーキ車両と称する。
【0015】
図2は、地点管理システム10の構成を示す図である。地点管理システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部120と、記録媒体130と、通信部140と、を備えている。通信部140は、外部の装置と無線通信を行うための装置であり、制御部120は、通信部140を介して地点案内システム20と通信することができる。
【0016】
制御部120は、記録媒体130やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部120は、このプログラムの1つとして、地点管理プログラム121を実行することができる。制御部120は、地点管理プログラム121の処理により、急ブレーキ車両が検出された場合に、周辺の車両に案内する。
【0017】
記録媒体130は、地図情報130aと、急ブレーキテーブル130bと、ユーザテーブル130cと、指示情報テーブル130dと、を記憶している。地図情報130aは、道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士を接続するリンクを示すリンクデータ等を含んでいる。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。地図情報130aは、車両の位置の特定や目的地までの経路探索、経路案内等に利用される。本実施形態において、リンクデータには、リンクデータが示す道路区間上で車両が進行可能な方向を示す情報が含まれている。また、リンクデータには、道路上に存在する車線の構造を示す情報が含まれている。車線の構造は、各進行方向のそれぞれにおいて、車両が走行可能な車線の数を示している。
【0018】
図3Aは、急ブレーキテーブル130bのデータ構成の一例を示す図である。急ブレーキテーブル130bは、急ブレーキ地点と、急ブレーキの発生時刻とを対応付けて記憶する。急ブレーキ地点とは、急ブレーキが発生した地点である。地点管理システム10において急ブレーキが検出されると、制御部120は、検出された急ブレーキに係る発生時刻と急ブレーキ地点とを対応付けて急ブレーキテーブル130bに登録する。
【0019】
図3Bは、ユーザテーブル130cのデータ構成の一例を示す図である。ユーザテーブル130cは、ユーザIDと、移動履歴とを対応付けて記憶する。ここで、ユーザIDは、地点案内システム20のユーザを識別する情報である。また、移動履歴は、地点案内システム20の位置及び加速度の時間変化を示す情報である。本実施形態においては、移動履歴として、地点案内システム20から受信した、移動情報が記憶される。ここで、移動情報は、地点案内システム20により検出された位置及び加速度と、これらの検出時刻とを対応付けた情報である。ここで、加速度は、地点案内システム20の進行方向をプラスとした場合のプラス方向及びマイナス方向の加速度である。ユーザテーブル130cには、ユーザIDに対応付けて、異なる検出時刻に係る複数の移動情報が移動履歴として記憶される。
【0020】
本実施形態においては、地点案内システム20のユーザが車両に乗車していると想定する。したがって、移動情報に示される位置及び加速度は、ユーザが乗車する車両の位置及び加速度と擬制することができる。移動情報は、定期的に地点案内システム20から送信され、これに応じて、同一のユーザIDに対して複数の移動情報が移動履歴として蓄積されていく。さらに、ユーザテーブル130cには、複数のユーザそれぞれのユーザIDに対応付けて、複数の移動履歴が記憶されている。
【0021】
図3Cは、指示情報テーブル130dのデータ構成の一例を示す図である。指示情報テーブル130dは、指示情報と、急ブレーキの発生時刻と、有効期間と、送信対象条件とを対応付けて記憶する。ここで、指示情報は、地点案内システム20に急ブレーキ地点を案内するよう指示する情報である。発生時刻は、指示情報に係る急ブレーキが発生した時刻である。有効期間は、指示情報に応じた案内が有効な期間である。なお、有効期間は、発生時刻を起算点としてカウントされる期間である。指示情報及び指示情報に対応付けられた情報は、有効期間が経過すると、指示情報テーブル130dから削除される。送信対象条件は、指示情報の送信対象の地点案内システム20を特定するための条件である。指示情報、送信対象条件、及び指示情報テーブル130dを用いた処理については、後に詳述する。指示情報及びこれに対応付けられた情報の登録及び削除は、制御部120により管理される。
【0022】
地点管理システム10の制御部120が実行する地点管理プログラム121は、急ブレーキ地点を管理するために、移動情報受信部121aと、急ブレーキ地点特定部121bと、登録済急ブレーキ抽出部121cと、減速評価部121dと、進行方向特定部121eと、案内指示部121fと、を備えている。
【0023】
移動情報受信部121aは、通信部140を介して、地点案内システム20から定期的に移動情報を受信する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、移動情報受信部121aの機能により、以下の処理を行う。地点管理システム10は、複数の地点案内システム20を管理対象とし、制御部120は、管理対象の複数の地点案内システム20それぞれから定期的に移動情報を受信する。移動情報には、送信元の地点案内システム20のユーザIDが対応付けられている。制御部120は、受信した移動情報を、移動情報と共に受信したユーザIDに対応付けて、ユーザテーブル130cに記録する。
【0024】
急ブレーキ地点特定部121bは、急ブレーキ地点を特定する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、移動情報受信部121aの機能により受信した移動情報に示される加速度から、移動情報の送信元の地点案内システム20のユーザが乗車する車両の急ブレーキ判定を行う。制御部120は、具体的には、まず移動情報から減速度を抽出する。ここで、減速度は、地点案内システム20の進行方向と逆方向の加速度の大きさである。すなわち、減速度は、進行方向の加速度をプラスとした場合のマイナスの加速度の大きさと一致する。制御部120は、減速度が急ブレーキ判定閾値以上の場合に、急ブレーキとして検出する。ここで、急ブレーキ判定閾値は、予め設定された減速度の閾値である。急ブレーキが検出された場合には、制御部120は、移動情報に示される位置を、検出した急ブレーキの発生地点、すなわち急ブレーキ地点として特定する。制御部120はさらに、移動情報に示される検出時刻を急ブレーキの発生時刻として取得する。制御部120は、急ブレーキ地点及び発生時刻を対応付けて急ブレーキテーブル130bに登録する。なお、制御部120は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により移動情報が得られたタイミングで、最新の移動情報に基づいて、急ブレーキ判定を行う。
【0025】
登録済急ブレーキ抽出部121cは、急ブレーキ地点特定部121bの機能により特定された急ブレーキ地点に対応した登録済みの急ブレーキ(登録済急ブレーキ)を抽出する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。ここで、登録済急ブレーキとは、急ブレーキ地点特定部121bにより検出された急ブレーキよりも前に検出された急ブレーキであり、急ブレーキテーブル130bに登録済みの急ブレーキである。
【0026】
制御部120は、登録済急ブレーキ抽出部121cの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、まず検出領域を設定する。ここで、検出領域は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により特定した急ブレーキ地点を基準とした領域である。好ましくは、検出領域は、急ブレーキ地点を含む領域である。本実施形態においては、検出領域は、急ブレーキ地点を中心とし、所定距離を半径とする領域とする。なお、同一の原因により発生した急ブレーキに係る急ブレーキ車両を抽出する観点より、所定距離は、数十mのオーダーの距離が好ましい。例えば、急ブレーキ地点から30mまでの範囲が検出領域として設定される。このように、制御部120は、同一の原因による急ブレーキが発生し得る領域を検出領域として設定する。
【0027】
制御部120はさらに、検出期間を設定する。ここで、検出期間は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により検出された急ブレーキの発生時刻、すなわち最後に急ブレーキが検出された時点以前の一定期間である。一定期間は例えば1分とする。すなわち、最後に急ブレーキが検出された時点から、当該時点よりも1分前の時点までの期間が検出期間として設定される。制御部120は、急ブレーキテーブル130bを参照し、発生時刻が検出期間に含まれ、かつ急ブレーキ地点が検出範囲内に含まれる急ブレーキを登録済急ブレーキとして抽出する。
【0028】
図4Aに示すように、道路上に落下物Pが存在し、この道路を走行する車両Q、Rにおいて、この順に急ブレーキが発生したとする。この場合、急ブレーキテーブル130bには、車両Q、Rの急ブレーキに係る情報が登録される。この状態で、
図4Bに示すように、さらに後続の車両Sにおいて落下物Pに起因して急ブレーキが発生したとする。この場合、制御部120は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により、車両Sの急ブレーキを検出する。そして、制御部120は、登録済急ブレーキ抽出部121cの機能により、車両Sの急ブレーキ地点を中心として検出領域300を設定する。車両Q、Rの急ブレーキ地点T1,T2が検出領域に含まれ、各車両Q、Rの急ブレーキの発生時刻が検出期間内であれば、車両Q、Rによる急ブレーキが登録済急ブレーキとして抽出される。
【0029】
減速評価部121dは、制御部120の機能により得られた急ブレーキ車両の減速度を評価する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、減速評価部121dの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、最新の急ブレーキ車両に対応した地点案内システム20の移動情報に含まれる加速度を参照し、マイナスの加速度、すなわち減速度が減速度閾値以上の場合に、減速レベルを高レベルと判定する。また、制御部120は、減速度が減速度閾値未満の場合に、減速レベルを低レベルと判定する。ここで、減速度閾値は、急ブレーキ判定閾値よりも減速度が大きい値である。
【0030】
進行方向特定部121eは、急ブレーキ地点特定部121bの機能により検出された急ブレーキ車両の進行方向を特定する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、進行方向特定部121eの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、急ブレーキ車両に対応した地点案内システム20の最新の移動情報と、ユーザテーブル130cに登録されている過去の移動情報とを参照することで、位置の時間変化から、進行方向を特定する。制御部120はさらに、地図情報130aを参照し、進行方向を、道路に沿った方向に補正し、補正後の進行方向を急ブレーキ車両の進行方向として特定する。
【0031】
案内指示部121fは、急ブレーキ地点特定部121bの機能により検出された急ブレーキ地点を走行予定の車両に対応した地点案内システム20に、急ブレーキ地点を案内するよう指示する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。ここで、案内とは、急ブレーキが発生したことの案内である。制御部120は、案内指示部121fの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、まず、案内の種類を決定する。制御部120は、登録済急ブレーキ抽出部121cの機能により、登録済急ブレーキ車両が抽出されなかった場合には、案内の種類を第1の案内に決定する。制御部120は、登録済急ブレーキ車両が抽出された場合には、案内の種類を第2の案内に決定する。ここで、第2の案内は、第1の案内よりも急ブレーキの発生を強調して案内するものである。
【0032】
図5Aは、第1の案内の説明図である。第1の案内は、地図情報の表示上において、例えば、「!!前方に急ブレーキ車両がいます。」という文字列を、背景が白のアイコンで表示するものである。さらに、第1の案内は、地点案内システム20の後述の案内部280としてのスピーカに対し「ポーン」という通知音を出力させるものである。5Bは、第2の案内の説明図である。第2の案内は、地図情報の表示上において、例えば「!!前方に急ブレーキ車両がいます。速度を落とし注意して走行して下さい。」という文字列を、背景が黄色のアイコンで表示するものである。さらに、第2の案内は、地点案内システム20のスピーカに対し「ポンポン」という通知音を出力させるものである。このように、第2の案内は、第1の案内よりも強調された案内であり、ユーザへの警告の程度がより高いものである。
【0033】
急ブレーキが1回のみ検出された場合には、急ブレーキの原因は、小動物の飛び出しや人の飛び出しといった、一時的なものである可能性が高い。この場合には、後続車両にとっては、急ブレーキ地点の案内はさほど重要ではない。これに対し、検出領域において、急ブレーキが複数回検出された場合には、例えばタイヤ等の落下物が道路に存在しており、後続車両に対しても影響が大きく、後続車両にとっての急ブレーキ地点の案内は重要になる。そこで、本実施形態の地点管理システム10は、急ブレーキの回数が複数回の場合には、急ブレーキの回数が1回のみの場合よりも強調した案内が行われるよう制御することとした。
【0034】
すなわち、本実施形態においては、制御部120は、検出期間内に検出領域内で検出された急ブレーキの回数が2回以上の場合に、2回未満の場合よりも強調して急ブレーキ地点を案内するよう指示する。ここで、2回は回数閾値として予め設定された値である。登録済急ブレーキ車両が抽出された場合には、急ブレーキ地点特定部121bの機能により特定された急ブレーキと合わせて検出期間内に検出領域内で2回以上の急ブレーキが検出されていることがわかる。すなわち、急ブレーキが検出された場合に、対応する登録済急ブレーキの有無を判定することは、急ブレーキの回数が回数閾値(2回)以上か否かを判定することと同義である。
【0035】
図2に戻り、制御部120は、案内指示部121fの機能により、さらに以下の処理を行う。制御部120は、決定された種類の案内を、地点案内システム20の後述の案内部280に案内させるよう指示する指示情報を生成する。指示情報には、第1の案内又は第2の案内のいずれの案内を行うかを示す情報と、急ブレーキ地点とが含まれる。さらに、制御部120は、指示情報に対し有効期間を設定する。ここで、有効期間は、案内を実行可能な期間であり、急ブレーキの発生時刻を起算点とする。第1の案内が指定された場合には、有効期間として、第1の期間が設定される。第2の案内が指定された場合には、有効期間として、第2の期間が設定される。ここで、第2の期間は、第1の期間よりも長い期間である。第1の期間及び第2の期間は、予め定められているものとする。例えば、第1の期間及び第2の期間には、それぞれ1分及び5分が設定される。
【0036】
制御部120はさらに、指示情報の送信対象条件を設定する。制御部120は、減速評価部121dの機能により、減速レベルとして低レベルが設定された場合には、第1の条件を送信対象条件として設定する。制御部120は、減速評価部121dの機能により、減速レベルとして高レベルが設定された場合には、第2の条件を送信対象として設定する。
【0037】
第1の条件及び第2の条件は、以下に示すように、それぞれ2つの条件を含む。
<第1の条件>
・案内領域内に存在する
・移動方向が急ブレーキ車両の進行方向と同一方向
<第2の条件>
・案内領域内に存在する
・移動方向が急ブレーキ車両の進行方向と同一又は逆方向
【0038】
ここで、案内領域は、最新の急ブレーキ地点から所定距離までの領域である。なお、所定距離は、予め定められているものとする。所定距離としては、例えば、500mが設定される。
【0039】
なお、制御部120は、急ブレーキ車両の進行方向と、地点案内システム20の移動方向との比較においては、まず、ユーザテーブル130cを参照し、地点案内システム20の移動情報に示される位置の時間変化から移動方向を特定する。制御部210はさらに、地図情報130aを参照することで、移動方向を、移動情報に示される位置に対応した道路が延びる方向に補正する。そして、制御部120は、地点案内システム20の移動方向との比較を行うこととする。これにより、道路に沿った方向の判定を行うことができる。
【0040】
制御部120は、指示情報と、指示情報に係る急ブレーキの発生時刻と、指示情報に対して設定された有効期間と、送信対象条件と、を対応付けて、指示情報テーブル130dに登録する。制御部120は、指示情報テーブル130dに登録された各指示情報について、対応する発生時刻からの経過時間を監視する。そして、制御部120は、有効期間を超えた指示情報が存在する場合には、有効期間を超えた指示情報と、当該指示情報に対応付けられている発生時刻、有効期間及び送信対象条件を指示情報テーブル130dから削除する。
【0041】
制御部120はさらに、指示情報テーブル130dに指示情報が登録されている場合には、各地点案内システム20から定期的に受信する移動情報における位置と、位置の時間変化に基づいて、移動情報受信部121a機能により受信した移動情報の位置に基づいて、送信対象条件を満たす地点案内システム20が存在するか否かを判定する。具体的には、移動情報の位置が案内領域内に含まれ、移動情報から特定される移動方向が急ブレーキ車両の進行方向と同一方向の場合に、第1の条件を満たすと判定する。また、移動情報の位置が案内領域内に含まれ、移動情報から特定される移動方向が急ブレーキ車両の進行方向と同一又は逆方向の場合に、第2の条件を満たすと判定する。そして、制御部120は、送信対象条件を満たす地点案内システム20が存在する場合には、この地点案内システム20に指示情報テーブル130dにおいて、送信対象条件に対応付けられている指示情報を、通信部140を介して送信する。
【0042】
このように、制御部120は、急ブレーキ地点を基準として設定された案内領域に位置する地点案内システム20を指示情報の送信対象とする。これにより、制御部120は、案内領域に位置する地点案内システム20が急ブレーキ地点の案内を行うよう制御することができる。さらに、制御部120は、急ブレーキ車両の進行方向に沿った移動方向が特定された地点案内システム20を送信対象とする。より具体的には、制御部120は、減速の程度が減速度閾値未満の場合には、急ブレーキ車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された地点案内システム20を送信対象とする。一方で、制御部120は、減速の程度が減速度閾値以上の場合には、急ブレーキ車両の進行方向と同一方向又は逆の方向に沿った移動が検出された地点案内システム20を送信対象とする。減速の程度が大きい場合には、例えば、大きな事故により車や破片が対向車線まで飛び出している等、急ブレーキの原因が広範囲に影響を与えている可能性が高い。そこで、減速の程度が大きい場合には、急ブレーキ車両と同一の方向だけでなく、逆の方向に沿った移動が検出された地点案内システム20も送信対象とすることとする。
【0043】
また、制御部120は、指示情報テーブル130dに登録されている指示情報を地点案内システム20に送信するが、指示情報は、有効期間が経過すると指示情報テーブル130dから削除される。これにより、制御部120は、有効期間内においてのみ、地点案内システム20において急ブレーキ地点が案内されるよう制御することができる。さらに、有効期間には、急ブレーキの回数が複数回の場合には、1回の場合に比べて長い期間が設定される。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る地点管理システム10は、車両の急ブレーキの頻度に応じて、強調の程度が異なる案内を地点案内システム20に実行させるための指示情報を生成する。そして、地点管理システム10は、送信対象条件を満たす地点案内システム20に指示情報を送信する。これにより、指示情報を受信した地点案内システム20は、検出領域内で急ブレーキが複数回検出された場合には、急ブレーキが1回のみ検出された場合よりも強調した案内を行うことができる。
【0045】
図6は、地点案内システム20の構成を示す図である。地点案内システム20は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部220と、記録媒体230と、通信部240と、GNSS受信部250と、加速度センサ270と、案内部280と、を備えている。制御部220は、記録媒体230やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部220は、このプログラムの1つとして、地点案内プログラム221を実行することができる。制御部220は、地点案内プログラム221の処理により、急ブレーキ車両の案内を行う。
【0046】
記録媒体230は、地図情報230aを記憶している。地図情報230aは、
図2を参照しつつ説明した地点管理システム10の地図情報130aと同様である。通信部240は、外部の装置と無線通信を行うための装置であり、制御部220は通信部240を介して地点管理システム10と通信することができる。
【0047】
GNSS受信部250は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部250は、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して、地点案内システム20の位置を算出するための信号を出力する。制御部220は、この信号を取得して地点案内システム20の位置を取得する。加速度センサ270は、地点案内システム20の加速度を検出する。ここで、加速度は、地点案内システム20の進行方向に沿ったプラスの加速度と進行方向に対して逆の方向に沿ったマイナスの加速度を含む。なお、地点案内システム20の位置及び加速度は定期的に検出されるものとする。
【0048】
案内部280は、地点案内システム20のユーザに案内を行うための出力機器である。案内部280は、ディスプレイ及びスピーカを備える。地点案内システム20は、案内部280に対し、制御信号を出力することで、ディスプレイに各種情報を表示させ、また各種音をスピーカに出力させる。
【0049】
地点案内システム20の制御部220が実行する地点案内プログラム221は、急ブレーキ地点を案内するために、移動情報送信部221aと、取得部221bと、案内制御部221cと、を備えている。
【0050】
移動情報送信部221aは、地点案内システム20の位置及び加速度とこれらの検出時刻とを含む移動情報を、通信部240を介して地点管理システム10に定期的に送信する機能を制御部220に実現させるプログラムモジュールである。
【0051】
取得部221bは、通信部240を介して地点管理システム10から指示情報を受信する機能を制御部220に実現させるプログラムモジュールである。指示情報には、急ブレーキ地点と案内の種類が含まれている。すなわち、制御部220は、取得部221bの機能により、急ブレーキ地点及び案内の種類を取得する。
【0052】
案内制御部221cは、指示情報に従い、急ブレーキ地点を案内部280に案内させる機能を制御部220に実現させるプログラムモジュールである。制御部220は、案内制御部221cの機能により、以下の処理を行う。制御部220は、指示情報が第1の案内を指示するものである場合、
図5Aを参照しつつ説明した第1の案内を案内部280に実行させるよう制御する。また、制御部220は、指示情報が、第2の案内を指示するものである場合、
図5Bを参照しつつ説明した第2の案内を案内部280に実行させるよう制御する。なお、第1の案内及び第2の案内に係るアイコンは、地図情報230aに応じて表示される地図上に重畳して表示される。このように、制御部220は、指示情報に従って案内を行うよう制御する。これにより、制御部220は、案内領域内に位置し、地点案内システム20の移動経路上に急ブレーキ地点が存在する場合に、急ブレーキ地点の案内を行うよう制御することができる。より詳しくは、制御部220は、検出領域内で急ブレーキが検出され、検出領域内で予め定められた検出期間内に検出された急ブレーキの回数が複数回である場合に、1回の場合よりも強調して急ブレーキ地点を案内させるよう制御することができる。
【0053】
以上のように、制御部220は、指示情報を参照することにより、急ブレーキ地点において、急ブレーキが複数回検出された場合には、急ブレーキが1回のみ検出された場合よりも強調して急ブレーキ地点を案内させることができる。
【0054】
(2)第1の実施形態のシステムによる処理:
次に、第1の実施形態に係る地点管理システム10による地点管理処理について説明する。地点管理処理は、地点設定処理及び指示情報管理処理を含む。
【0055】
図7は、地点設定処理を示すフローチャートである。地点管理システム10の制御部120は、移動情報を取得する度に地点設定処理を実行する。制御部120はまず、移動情報受信部121aの機能により、地点案内システム20から通信部140を介して、移動情報を受信すると、移動情報を記録媒体130等に保存する(ステップS100)。制御部120はさらに、受信した移動情報を、移動情報と共に受信したユーザIDに対応付けて、移動履歴としてユーザテーブル130cに記録する。
【0056】
次に、制御部120は、急ブレーキ地点特定部121bの機能により、ステップS100において取得した移動情報に基づいて、急ブレーキ判定を行う(ステップS105)。制御部120は、急ブレーキが検出されなかった場合には(ステップS110でN)、地点設定処理を終了する。制御部120は、急ブレーキが検出された場合には(ステップS110でY)、急ブレーキ地点特定部121bの機能により、急ブレーキ地点を特定する(ステップS115)。
【0057】
ステップS115の処理の後、制御部120は、登録済急ブレーキ抽出部121cの機能により、登録済みの急ブレーキを抽出する(ステップS120)。具体的には、制御部120は、ステップS115において特定された急ブレーキ地点と急ブレーキの発生時刻を基準として検出領域及び検出期間を設定する。そして、制御部120は、急ブレーキテーブル130bに登録されている急ブレーキのうち、検出領域内で検出期間に発生した急ブレーキを登録済急ブレーキとして抽出する。
【0058】
制御部120は、登録済急ブレーキが抽出された場合には(ステップS125でY)、案内指示部12
1fの機能により、第1の案内を行うことを指示する指示情報を生成する(ステップS130)。ステップS130において生成される指示情報には、ステップS105において検出された急ブレーキ地点と、
図5Aを参照しつつ説明した第1の案内を行うことを指示する情報が含まれる。制御部120はさらに、案内指示部12
1fの機能により、指示情報と、指示情報に係る急ブレーキの発生時刻とを対応付けて、指示情報テーブル130dに登録する。次に、制御部120は、案内指示部12
1fの機能により、第1の期間を有効期間として、ステップS130において生成した指示情報に対応付けて指示情報テーブル130dに登録する(ステップS135)。
【0059】
一方、制御部120は、ステップS125において、登録済急ブレーキが抽出されなかった場合には(ステップS125でN)、案内指示部12
1fの機能により、第2の案内を行うことを指示する指示情報を生成する(ステップS140)。ステップS140において生成される指示情報には、ステップS105において検出された急ブレーキ地点と、
図5Bを参照しつつ説明した第2の案内を行うことを指示する情報が含まれる。制御部120はさらに、案内指示部12
1fの機能により、指示情報と、指示情報に係る急ブレーキの発生時刻とを対応付けて、指示情報テーブル130dに登録する。次に、制御部120は、案内指示部12
1fの機能により、第2の期間を有効期間として、ステップS140において生成した指示情報に対応付けて指示情報テーブル130dに登録する(ステップS145)。その後、制御部120は、処理をステップS150へ進める。
【0060】
ステップS135の処理の後、制御部120は、進行方向特定部121eの機能により、急ブレーキ車両に対応した地点案内システム20の移動情報に基づいて、進行方向を特定する(ステップS150)。制御部120は、さらに、地図情報130aを参照し、道路が延びる方向に沿った方向に進行方向を補正する。なお、ステップS145の処理の後、制御部120は、ステップS150に処理を進める。
【0061】
次に、制御部120は、進行方向特定部121eの機能により、急ブレーキ車両の減速度を評価する。具体的には、制御部120は、減速レベルが低レベルか高レベルかを判定する(ステップS155)。減速レベルが低レベルの場合には(ステップS155で低レベル)、制御部120は、第1の条件を送信対象条件として設定する(ステップS160)。一方、減速レベルが高レベルの場合には(ステップS155で高レベル)、制御部120は、第2の条件を送信対象条件として設定する(ステップS165)。以上で、地点設定処理が完了する。
【0062】
なお、指示情報の登録時に、指示情報テーブル130dに指示情報に係る急ブレーキ地点から所定距離内の急ブレーキ地点に係る指示情報が既に登録されている場合がある。この場合、両者は同一の急ブレーキ地点とみなすことができる。そこで、この場合には、制御部120は、既に登録されている指示情報を新たに生成された指示情報で上書きする。さらに、制御部120は、指示情報に対応付けられていた発生時刻、有効期間及び送信先条件もそれぞれ新たに設定された発生時刻、有効期間及び送信先条件で上書きする。これにより、有効期間は、最新の急ブレーキの発生地点から新たにカウントされることになる。すなわち、有効期間が延長される。
【0063】
図8の左に示すフローチャートは、指示情報管理処理を示すフローチャートである。制御部120は、指示情報テーブル130dに指示情報が登録されている場合に、定期的に、指示情報管理処理を実行する。指示情報管理処理は、案内指示部121fの機能により実行される処理である。まず、制御部120は、指示情報テーブル130dを参照し、有効期間が経過した指示情報が存在するか否かを判定する(ステップS200)。制御部120は、有効期間が経過した指示情報が存在する場合には(ステップS200でY)、有効期間が経過した指示情報と、これに対応付けられている情報を指示情報テーブル130dから削除する(ステップS205)。
【0064】
次に、制御部120は、指示情報テーブル130dに登録されている送信対象条件を満たす地点案内システム20が存在するか否かを判定する(ステップS210)。なお、制御部120は、ステップS200において、有効期間が経過した指示情報が存在しない場合には(ステップS200でN)、ステップS205の処理を行うことなく、処理をステップS210へ進める。
【0065】
制御部120は、送信対象条件を満たす地点案内システム20が存在する場合には(ステップS210でY)、送信対象条件を満たす地点案内システム20を送信対象に決定する。そして、制御部120は、送信対象条件に対応付けて指示情報テーブル130dに登録されている指示情報を、通信部140を介して、送信対象に決定した地点案内システム20に送信する(ステップS215)。以上で、指示情報管理処理が完了する。一方で、制御部120は、送信対象条件を満たす地点案内システム20が存在しない場合には(ステップS210でN)、ステップS215の処理を行うことなく、指示情報管理処理を完了する。
【0066】
以上のように、地点管理システム10は、指示情報削除処理により、有効期間が経過した指示情報を削除する一方で、指示情報テーブル130dに登録されている指示情報を、送信対象条件を満たす地点案内システム20に送信する。したがって、地点管理システム10は、有効期間内に案内領域内に存在し、進行方向の条件を満たす地点案内システム20に対し指示情報を送信することができる。
【0067】
以上のように、制御部120は、定期的に有効期間が経過したか否かを監視し、有効期間が経過した指示情報を削除することができる。
【0068】
図8の右のフローチャートは、地点案内システム20による地点案内処理を示すフローチャートである。制御部220は、取得部221bの機能により、指示情報を、通信部240を介して地点管理システム10から取得する(ステップS300)。次に、制御部220は、案内制御部221cの機能により、ステップS300において受信した指示情報に従い、急ブレーキ地点の案内を行う(ステップS305)。なお、ステップS305において、制御部220は、指示情報が第2の案内に係る指示情報である場合には、第1の案内に係る指示情報である場合に比べて強調した案内を行う。
【0069】
なお、地点案内システム20が指示情報を受信するのは、地点案内システム20が案内領域に存在する場合である。案内領域は、急ブレーキ地点から比較的近い位置であり、したがって、地点案内システム20は、急ブレーキ地点に接近した、適切なタイミングで案内を行うことができる。さらに、有効期間が経過した指示情報は地点案内システム20に送信されない。したがって、急ブレーキが発生してから有効期間が経過した後で、急ブレーキ地点が案内されることがなく、無駄な案内を防ぐことができる。
【0070】
(3)第2の実施形態のシステム構成:
次に、第2の実施形態に係るシステムについて、第1の実施形態に係るシステムと異なる点を主に説明する。第2の実施形態に係るシステムにおいては、第1の実施形態において地点管理システム10が行っていた処理の一部を地点案内システム20が行う。
【0071】
図9は、第2の実施形態に係る地点管理システム10の構成を示す図である。第2の実施形態に係る地点管理システム10の制御部120は、地点管理プログラム122を実行することができる。制御部120は、地点管理プログラム122の処理により、急ブレーキを検出し、地点案内システム20へ通知する。
【0072】
本実施形態に係る記録媒体130は、地図情報130a及びユーザテーブル130cを記憶している。地図情報130a及びユーザテーブル130cは、それぞれ第1の実施形態に係る地図情報130a及びユーザテーブル130cと同様である。なお、本実施形態に係る記録媒体130には、急ブレーキテーブル130b及び指示情報テーブル130dは記憶されていない。
【0073】
本実施形態に係る制御部120が実行する地点管理プログラム122は、急ブレーキ地点を管理するために、移動情報受信部122aと、急ブレーキ地点特定部122bと、減速評価部122cと、進行方向特定部122dと、急ブレーキ情報送信部122eと、を備えている。移動情報受信部122a、急ブレーキ地点特定部122b、減速評価部122c及び進行方向特定部122dは、それぞれ第1の実施形態に係る移動情報受信部121a、急ブレーキ地点特定部121b、減速評価部121d及び進行方向特定部121eと同様である。ただし、本実施形態の急ブレーキ地点特定部122bは、急ブレーキテーブルへの急ブレーキ地点の登録は行わない。
【0074】
急ブレーキ情報送信部122eは、通信部140を介して地点案内システム20に急ブレーキ情報を送信する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、急ブレーキ情報送信部122eの機能により、以下の処理を行う。制御部120は、急ブレーキ情報を生成する。具体的には、制御部120は、急ブレーキ地点特定部122bの機能により特定された急ブレーキ地点、発生時刻を取得する。制御部120はさらに、減速評価部122cの機能により特定された減速レベルと、進行方向特定部122dの機能により特定された、急ブレーキ車両の進行方向を取得する。そして、制御部120は、急ブレーキ地点、発生時刻、急ブレーキ車両の進行方向、減速レベルを含んだ情報を急ブレーキ情報として生成する。制御部120は、生成した急ブレーキ情報を、通信部140を介して、管理対象の地点案内システム20に送信するよう制御する。
【0075】
このように、本実施形態に係る地点管理システム10は、指示情報の生成及び有効期間の監視を行わず、急ブレーキに関する情報を地点案内システム20に送信する。
【0076】
図10は、第2の実施形態に係る地点案内システム20の構成を示す図である。第2の実施形態に係る地点案内システム20の制御部220は、地点案内プログラム222を実行することができる。制御部220は、地点案内プログラム222の処理により、急ブレーキ地点を案内する。
【0077】
本実施形態に係る地点案内システム20の記録媒体230は、地図情報230aの他に、急ブレーキテーブル230b及び指示情報テーブル230cを記憶している。地図情報230aは、第1の実施形態に係る地図情報230aと同様である。急ブレーキテーブル230bは、第1の実施形態に係る地点管理システム10が備える急ブレーキテーブル130bと同様である。
【0078】
図11は、指示情報テーブル230cのデータ構成例を示す図である。指示情報テーブル230cは、指示情報と、急ブレーキの発生時刻と、有効期間と、案内条件とを対応付けて記憶する。ここで、案内条件は、第1の実施形態において説明した送信対象条件と同様である。第2の実施形態においては、送信対象条件と同様の第1の条件及び第2の条件が、当該地点案内システム20が案内を行うことを判断するための条件として参照される。
【0079】
図10に戻り、本実施形態に係る制御部220が実行する地点案内プログラム222は、急ブレーキ地点を案内するために、移動情報送信部222aと、取得部222bと、登録済急ブレーキ抽出部222cと、案内制御部222dと、を備えている。移動情報送信部222aは、第1の実施形態に係る移動情報送信部221aと同様である。
【0080】
取得部222bは、通信部240を介して地点管理システム10から急ブレーキ情報を取得する機能を制御部220に実現させるプログラムモジュールである。急ブレーキ情報には、急ブレーキ地点が含まれている。すなわち、制御部220は、取得部222bの機能により急ブレーキ地点を取得する。制御部220はさらに、取得部222bの機能により、急ブレーキ情報に含まれる、急ブレーキ地点及び発生時刻を急ブレーキテーブル230bに登録する。このように、第2の実施形態においては、地点案内システム20において、急ブレーキの履歴を管理する。
【0081】
登録済急ブレーキ抽出部222cの機能は、第1の実施形態係る地点管理システム10の登録済急ブレーキ抽出部121cの機能と同様である。ただし、登録済急ブレーキ抽出部222cの機能においては、急ブレーキテーブル130bに替えて、地点案内システム20が備える急ブレーキテーブル230bを参照して、登録済急ブレーキを抽出する。
【0082】
案内制御部222dは、案内部280に急ブレーキ地点を案内させる機能を制御部220に実現させるプログラムモジュールである。制御部220は、案内制御部222dの機能により、以下の処理を行う。制御部220は、指示情報を生成し、指示情報、発生時刻、有効期間及び案内条件を指示情報テーブル230cに登録する。本処理は、第1の実施形態に係る制御部120による、指示情報の生成、有効期間及び送信対象条件の登録と同様である。案内条件は、上述の通り、第1の実施形態に係る送信対象条件と同様である。
【0083】
制御部220はさらに、第1の実施形態に係る制御部120と同様に、指示情報テーブル230cにおける有効期間を監視し、有効期間が経過した指示情報とこれに対応付けられている情報とを指示情報テーブル230cから削除する。制御部220はまた、指示情報テーブル230cに指示情報が登録されている場合には、当該地点案内システム20の位置に基づいて、案内条件を満たすか否かを判定する。そして、制御部220は、案内条件を満たす場合に、この案内条件に対応付けて指示情報テーブル230cに登録されている指示情報に従い、案内部280に急ブレーキ地点を案内させる。
【0084】
以上のように、第2の実施形態においては、地点案内システム20が、強調の程度の異なる案内に係る指示情報を生成する。そして、地点案内システム20が、指示情報に応じて、急ブレーキ地点において急ブレーキが複数回検出されたか否かを判定し、複数回検出された場合には、急ブレーキが1回のみ検出された場合よりも強調して急ブレーキ地点を通知することができる。
【0085】
このように、制御部220は、急ブレーキ地点を基準として設定された案内領域に位置する場合に、案内を行うよう制御する。さらに、制御部120は、急ブレーキ車両の進行方向に沿った移動方向が特定された場合に、案内を行うよう制御する。より具体的には、制御部220は、減速の程度が減速度閾値未満の場合には、急ブレーキ車両の進行方向と同一方向に沿った移動が検出された場合に、案内を行うよう制御する。一方で、制御部220は、減速の程度が減速度閾値以上の場合には、急ブレーキ車両の進行方向と同一方向又は逆の方向に沿った移動が検出された場合に、案内を行うよう制御する。
【0086】
また、制御部220は、指示情報テーブル230cに登録されている指示情報を有効期間が経過すると指示情報テーブル130dから削除する。これにより、制御部220は、有効期間内においてのみ、急ブレーキ地点の案内を行うよう制御することができる。さらに、有効期間には、急ブレーキの回数が複数回の場合には、1回の場合に比べて長い期間が設定される。
【0087】
(4)第2の実施形態のシステムによる処理:
次に、第2の実施形態に係る地点管理システム10による地点管理処理について説明する。
図12は、地点管理処理を示すフローチャートである。地点管理システム10の制御部120は、移動情報を受信する度に地点管理処理を実行する。
【0088】
制御部120はまず、移動情報受信部122aの機能により、地点案内システム20から通信部140を介して、移動情報を受信すると、移動情報を記録媒体130等に保存する(ステップS400)。次に、制御部120は、急ブレーキ地点特定部122bの機能により、急ブレーキ判定を行う(ステップS405)。本処理は、
図7を参照しつつ説明したステップS105の処理と同様である。
【0089】
制御部120は、急ブレーキが検出されなかった場合には(ステップS410でN)、地点管理処理を終了する。制御部120は、急ブレーキが検出された場合には(ステップS410でY)、進行方向特定部122dの機能により、急ブレーキ車両の進行方向を特定する(ステップS415)。本処理は、ステップS150の処理と同様である。次に、制御部120は、減速評価部122cの機能により、減速レベルを特定する(ステップS420)。本処理は、ステップS155の処理と同様である。
【0090】
次に、制御部120は、急ブレーキ情報送信部122eの機能により、急ブレーキ地点、急ブレーキの発生時刻、減速レベル及び急ブレーキ車両の進行方向を含む急ブレーキ情報を生成する(ステップS425)。次に、制御部120は、急ブレーキ情報送信部122eの機能により、通信部140を介して、地点案内システム20に急ブレーキ情報を送信する(ステップS430)。なお、急ブレーキ情報の送信対象は、地点管理システム10が管理するすべての地点案内システム20とする。以上で、地点管理処理が完了する。
【0091】
次に、第2の実施形態に係る地点案内システム20による地点案内処理について説明する。地点案内処理は、指示情報生成処理と、指示情報管理処理とを含む。
図13は、指示情報生成処理を示すフローチャートである。地点案内システム20の制御部220は、急ブレーキ情報を取得する度に、指示情報生成処理を実行する。制御部220はまず、取得部222bの機能により、急ブレーキ情報を取得すると、急ブレーキ情報を記録媒体230等に保存する(ステップS500)。次に、制御部220は、登録済急ブレーキ抽出部222cの機能により、急ブレーキ情報に示される急ブレーキ地点に対応した登録済急ブレーキを急ブレーキテーブル230bから抽出する(ステップS505)。
【0092】
続く、ステップS510、ステップS515、ステップS520、ステップS525及びステップS530の処理は、それぞれ
図7を参照しつつ説明した、地点管理システム10による、ステップS125、ステップS130、ステップS135、ステップS140及びステップS145の処理と同様である。ただし、ステップS510~ステップS530の処理は、制御部220が、案内制御部222dの機能により実行するものであり、これらの処理により、地点案内システム20の指示情報テーブル230cに指示情報、有効期間が登録される。
【0093】
制御部220は、ステップS520の処理の後、処理をステップS535へ進める。制御部220はまた、ステップS530の処理の後、処理をステップS535へ進める。制御部220は、減速評価部122cの機能により、急ブレーキ車両の減速度を評価する(ステップS535)。なお、ステップS535、ステップS540及びステップS545の処理は、
図7を参照しつつ説明した、地点管理システム10による、ステップS155、ステップS160及びステップS165の処理と同様である。以上で、指示情報生成処理が完了する。このように、地点案内システム20は、指示情報生成処理において、指示情報を生成し、さらに指示情報、発生時刻有効期間及び案内条件を指示情報テーブル230cに登録する。
【0094】
図14は、指示情報管理処理を示すフローチャートである。地点案内システム20の制御部220は、指示情報テーブル230cに指示情報が登録されている場合に、定期的に、指示情報管理処理を実行する。指示情報管理処理は、案内制御部222dの機能により実行される処理である。なお、
図14に示す指示情報管理処理は、第1の実施形態において
図8を参照しつつ説明した、指示情報管理処理及び
図9を参照しつつ説明した地点案内処理に対応した処理である。
【0095】
まず、制御部220は、指示情報テーブル230cを参照し、有効期間が経過した指示情報が存在するか否かを判定する(ステップS600)。制御部120は、有効期間が経過した指示情報が存在する場合には(ステップS600でY)、有効期間が経過した指示情報と、これに対応付けられている情報を指示情報テーブル130dから削除する(ステップS605)。
【0096】
次に、制御部220は、当該地点案内システム20が指示情報テーブル230cに登録されている案内条件を満たすか否かを判定する(ステップS610)。なお、制御部120は、ステップS600において、有効期間が経過した指示情報が存在しない場合には(ステップS600でN)、ステップS605の処理を行うことなく、処理をステップS610へ進める。
【0097】
制御部220は、地点案内システム20が案内条件を満たす場合には(ステップS610でY)、案内条件に対応付けて指示情報テーブル230cに登録されている指示情報に従い、案内部280に案内させるよう制御する(ステップS615)。以上で、指示情報管理処理が完了する。一方で、制御部220は、案内条件を満たさない場合には(ステップS610でN)、ステップS615の処理を行うことなく、指示情報管理処理を完了する。
【0098】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、地点管理システム10は、複数の装置(例えば、クライアントとサーバや、ナビゲーション装置内の制御部とユーザI/F部内の制御部等)によって実現されるシステムであってもよい。地点管理システム10が備える移動情報受信部121a、急ブレーキ地点特定部121b、登録済急ブレーキ抽出部121c、減速評価部121d、進行方向特定部121e及び案内指示部121fの少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在してもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0099】
また、本実施形態においては、急ブレーキ判定に利用される移動情報を地点管理システム10に送信するシステムと、急ブレーキ地点の案内を行うシステムは一体に設けられていたが、これらは別のシステムにより実現されてもよい。例えば、地点管理システム10は、車両に搭載されたナビゲーションシステムから車両の移動情報を定期的に受信し、この移動情報から急ブレーキ地点を特定し、急ブレーキ地点に係る指示情報を地点案内システム20に送信してもよい。
【0100】
本実施形態においては、地点案内システム20は、携帯型の情報処理装置としたが、例えば車両に搭載されたナビゲーションシステムの一部として車両に搭載されるシステムであってもよい。この場合には、GNSS受信部、ジャイロセンサ、加速度センサ、案内部としてのディスプレイやスピーカとして、ナビゲーションシステムや車両に搭載されているハードウェアを利用することができる。
【0101】
本実施形態においては、検出期間は、最後に得られた急ブレーキの検出時点から所定期間過去の時点までの期間としたが、検出期間は予め設定された期間であればよく、実施形態に限定されるものではない。他の例としては、例えば、10時0分~10時1分というように、時刻を単位とした検出期間を予め定めておき、制御部120は、この検出期間を単位として、急ブレーキが複数回検出されたか否かを判定してもよい。同様に、検出領域は、所定の面積の範囲であればよく、急ブレーキ地点を基準としたものではなく、例えば、地図情報を格子上に分割したような領域であってもよい。
【0102】
上記実施形態において、急ブレーキ地点の案内を行う主体は、急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システム20であればよい。例えば、減速レベルに拘わらず、急ブレーキ車両の進行方向と同一の移動方向が特定された地点案内システム20が、急ブレーキ地点の案内主体として特定されてもよい。また、他の例としては、減速レベルに拘わらず、急ブレーキ車両の進行方向と同一又は逆の移動方向が特定された地点案内システム20が案内主体として特定されてもよい。さらには、移動方向に拘わらず、案内領域内に位置する地点案内システム20が、案内主体として特定されてもよい。
【0103】
さらには、案内領域外の地点案内システム20が案内主体として特定されてもよい。例えば、移動予定経路が設定されているような地点案内システム20において、急ブレーキ地点が移動予定経路に含まれているとする。この場合に、当該地点案内システム20が、案内領域外に位置する場合においても、案内主体として特定されてもよい。これにより、ユーザは、移動予定経路の状況を事前に把握することができる。このように、地点管理システム10は、急ブレーキ地点を通過予定の地点案内システム20を特定する際には、移動情報を参照し、移動方向を特定するのに替えて、移動予定経路を参照してもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、急ブレーキ回数が1回か複数回(2回以上)かにより、案内の強調の程度及び有効期間を異ならせることとしたが、基準となる急ブレーキの回数は、実施形態に限定されるものではない。すなわち、急ブレーキ回数が所定の回数閾値以上の場合に、回数閾値未満の場合よりも強調した案内が行われればよい。
【0105】
第1の実施形態の地点管理システム10は、
図8を参照しつつ説明した指示情報管理処理において、定期的に、指示情報に対応付けられた送信対象条件を満たすか否かを判定した。これにかえて、地点管理システム10は、送信対象条件を満たすか否かの判定を、移動情報を受信する度に行うこととしてもよい。これにより、地点管理システム10は、送信対象条件を満たす場合に速やかに指示情報を送信することができる。同様に、第2の実施形態の地点案内システム20は、
図14を参照しつつ説明した指示情報管理処理において、案内条件を満たすか否かの判定を、地点案内システム20の位置を検出する度に行うこととしてもよい。
【0106】
第1の実施形態においては、指示情報の有効期間の管理は、地点管理システム10が行うこととしたが、これに替えて、地点案内システム20が行うこととしてもよい。すなわち、地点管理システム10は、指示情報を生成し、指示情報、発生時刻、有効期間及び案内条件を、管理対象のすべての地点案内システム20に送信する。そして、各地点案内システム20は、第2の実施形態に係る案内制御部222dの機能に応じた処理と同様に、指示情報テーブル230cに指示情報、発生時刻、有効期間及び案内条件を登録し、
図14を参照しつつ説明した指示情報管理処理を実行すればよい。また、上記の例において、指示情報等の送信先が急ブレーキ地点から所定距離の範囲の地点案内システム20に制限されてもよい。これにより通信量を低減することができる。ここで、所定距離の範囲は、通知領域よりも広い範囲とする。
【0107】
同様に、第2の実施形態の急ブレーキ情報の送信先は、急ブレーキ地点から所定距離の範囲に位置する地点案内システム20としてもよい。これにより、通信量を低減することができる。
【0108】
さらに、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0109】
10…地点管理システム、20…地点案内システム、120…制御部、121a…移動情報受信部、121b…急ブレーキ地点特定部、121c…登録済急ブレーキ抽出部、121d…減速評価部、121e…進行方向特定部、121f…案内指示部、220…制御部、221a…移動情報送信部、221b…取得部、221c…案内制御部、280…案内部