(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】真贋判定用情報表示媒体
(51)【国際特許分類】
B42D 25/378 20140101AFI20240109BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B42D25/378
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2020059585
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直孝
(72)【発明者】
【氏名】五十部 慎也
(72)【発明者】
【氏名】進藤 優
(72)【発明者】
【氏名】高岡 宏彰
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165800(JP,A)
【文献】特開2006-103048(JP,A)
【文献】特開2002-036764(JP,A)
【文献】米国特許第07040663(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 25/378
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、
基材と、
前記基材上に当該基材の色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層と、
前記第1示温インキ層側に設けられた層であり、前記基材の色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、当該第1示温インキ層の色と
同じ色が印刷された領域内に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該基材の色として看取させる印刷層と、
を有することを特徴とする真贋判定用情報表示媒体。
【請求項2】
特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、
基材と、
前記基材上に、所定色で印刷された下地印刷層と、
前記下地印刷層上に当該下地印刷層の所定色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層と、
前記第1示温インキ層側に設けられた層であり、前記下地印刷層の所定色と異なる色を含み、かつ、当該第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、
当該下地印刷の所定色と異なり、かつ、第1示温インキ層の色と
同じ色が印刷された領域内に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる印刷層と、
を有することを特徴とする真贋判定用情報表示媒体。
【請求項3】
特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、
基材と、
前記基材上に、当該基材の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層と、
前記第2示温インキ層側に設けられた層であり、前記基材の色を含み、かつ、当該第2示温インキ層の第2特定色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、当該基材の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が
当該基材の色として看取させる印刷層と、
を有することを特徴とする真贋判定用情報表示媒体。
【請求項4】
特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、
基材と、
前記基材上に、所定色で印刷された下地印刷層と、
前記下地印刷層上に当該下地印刷層の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層と、
前記第2示温インキ層側に設けられた層であり、当該下地印刷層の色を含み、かつ、当該第2示温インキ層の第2特定色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、前記下地印刷層の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる印刷層と、
を有することを特徴とする真贋判定用情報表示媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定用の情報を備える真贋判定用情報表示媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、真贋判定が可能な種々のカード類が知られている。このようなカード類には所有者固有の識別情報に限らず所定のパターンを含む情報を真贋判定用の情報若しくはパターンとして用いられており、これら情報等に対する真贋判定を簡易かつ容易とすることが望まれる。
【0003】
従来、真贋判定用のシート等について、例えば特許文献1などで知られているものがある。特許文献1には、安全保護シート等に関して、第1の基材上に蛍光インキで蛍光物質層を形成し、当該蛍光物質層上に第2の基材を設け、当該第2の基材の一部をレーザ加工により図柄等の基材除去部を形成したシートに、当該基材除去部に光を照射することによって蛍光物質層を蛍光発光させて当該基材除去部の画像を認識させて真贋判定させることが記載されている。一方、真贋判定用ではないが、示温インキを用いて温度に応じて可逆的に有色状態、透明状態に色変化させる技術が例えば特許文献2,3で知られており、当該示温インキの変色温度が、例えば10℃~50℃で種々設定されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4264776号公報
【文献】特開2018-166956号公報
【文献】特許第4570968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、真贋判定をする対象を蛍光インキを用いた蛍光物質層に対して当該蛍光物質層を蛍光発光させるためには紫外線照射器(ブラックライト)等の特別な機器を必要として手軽に真贋判定を行うということができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、媒体に形成された真贋判定情報を簡易かつ容易に判定可能な真贋判定用情報表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、基材と、前記基材上に当該基材の色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層と、前記第1示温インキ層側に設けられた層であり、前記基材の色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、当該第1示温インキ層の色と同色の位置に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該基材の色として看取させる印刷層と、を有する構成とする。
【0008】
請求項2の発明では、特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、基材と、前記基材上に、所定色で印刷された下地印刷層と、前記下地印刷層上に当該下地印刷層の所定色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層と、前記第1示温インキ層側に設けられた層であり、前記下地印刷層の所定色と異なる色を含み、かつ、当該第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、当該当該下地印刷の所定色と異なり、かつ、第1示温インキ層の色と同色の位置に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる印刷層と、を有する構成とする。
【0009】
請求項3の発明では、特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、基材と、前記基材上に、当該基材の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層と、前記第2示温インキ層側に設けられた層であり、前記基材の色を含み、かつ、当該第2示温インキ層の第2特定色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、当該基材の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる印刷層と、を有する構成とする。
【0010】
請求項4の発明では、特定温度の熱印加で色変化させて真贋判定させる真贋判定情報を備える真贋判定用情報表示媒体であって、基材と、前記基材上に所定色で印刷された下地印刷層と、前記下地印刷層上に当該下地印刷層の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層と、前記第2示温インキ層側に設けられた層であり、当該下地印刷層の色を含み、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、前記下地印刷層の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で前記真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる印刷層と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,2の発明によれば、基材上に当該基材の色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層が設けられ、第1示温インキ層側に印刷層が設けられ、当該印刷層は、基材の色と異なり、かつ、第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、当該第1示温インキ層の色と同色の位置に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該基材の色として看取させる構成とし、また、基材上に所定色で印刷された下地印刷層上に、当該下地印刷層の所定色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層が設けられ、第1示温インキ層側に印刷層が設けられ、当該印刷層は、当該下地印刷層の所定色を含み、かつ、第1示温インキ層の第1特定色を含んだ情報が印刷された状態から、当該下地印刷層の所定色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層の色と同色の位置に、当該第1示温インキ層まで穿刻させた形態で真贋判定情報を形成させ、表出された第1示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる構成とすることにより、第1示温インキ層が有色状態のときには穿刻状態の真贋判定情報は印刷層の色と同色の状態であたかも存在しないように看取され、特殊な機器を用いずに日常気温以上の温度に熱印加して透明状態とすることで当該真贋判定情報を容易に看取させることができ、簡易かつ容易に真贋判定を行うことができるものである。
【0012】
請求項3,4の発明によれば、基材上に当該基材の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された特定温度の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層が設けられ、第2示温インキ層側に印刷層が設けられ、当該印刷層は、基材の色と同色を含み、かつ、第2示温インキ層の第2特定色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、当該基材の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該基材の色として看取させる構成とし、また、基材上に所定色で印刷された下地印刷層が設けられ、、下地印刷層上に当該下地印刷層の色と異なる第2特定色で特定温度の熱印加に反応して透明化する示温インキが塗布された第2示温インキ層が設けられ、当該第2示温インキ層側に印刷層が設けられ、当該印刷層は、下地印刷層の所定色を含み、かつ、第2示温インキ層の第2特定色と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、下地印刷層の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層の色と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層まで穿刻させた形態で真贋判定情報を形成させ、表出された第2示温インキ層への熱印加で透明化させたときに当該真贋判定情報が当該下地印刷層の色として看取させる構成とすることにより、第2示温インキ層が有色状態のときには真贋判定情報は看取される状態であり、特殊な機器を用いずに日常気温以上の温度に熱印加して透明状態とすることで穿刻状態の真贋判定情報が印刷層の色と同色の状態となってあたかも存在しないように看取されることで簡易かつ容易に真贋判定を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第1実施形態の構成図である。
【
図2】
図1の真贋判定用情報表示媒体の分解構成図である。
【
図3】
図1の真贋判定用情報表示媒体の製造に関する説明図である。
【
図4】
図1の真贋判定用情報表示媒体の真贋判定の説明図である。
【
図5】本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第1実施形態の他の構成図である。
【
図6】本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第2実施形態の構成図である。
【
図7】
図6の真贋判定用情報表示媒体の真贋判定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。
図1に本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第1実施形態の構成図を示すとともに、
図2に
図1の真贋判定用情報表示媒体の分解構成図を示す。
図1(A)、(B)及び
図2に示す真贋判定用情報表示媒体11は、基材12上に第1示温インキ層13Aが設けられ、当該第1示温インキ層13A上に中間保護部材層14A、隠蔽層14Bを介在させて印刷層15が設けられたものであって、当該印刷層15から上記第1示温インキ層13Aまで穿刻形態で真贋判定情報16が形成されたものである。
【0015】
上記基材12は、全体的に不透明な例えば白色の樹脂を主成分として例えば厚さ560μmのものであり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)が使用されるが、他にポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PET-G)、ポリカーボネート(PC)などの公知の不透明な樹脂が使用することも可能である。
【0016】
上記第1示温インキ層13Aは、基材12の色と異なる第1特定色(例えば青色とする)の示温インキが塗布された層であって、特定温度(例えば青色で変色温度を45~50℃とする)の熱印加に反応して透明化する。当該示温インキは公知のもので、色や変色温度が種々設定されたものが知られている。
【0017】
上記中間保護部材層14Aは、例えば透明なPET部材で例えば厚さ5~10μmで形成され、上記隠蔽層l4Bは、例えば不透明な白色インキで印刷された層であって例えば厚さ2μmで形成される。当該中間保護部材層14A及び隠蔽層14Bの役割については後述する。
【0018】
上記印刷層15は、基材12の色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層13Aの第1特定色(例えば青色)を含んだ情報が印刷された状態から、当該第1示温インキ層13Aの色と同色の位置に、当該第1示温インキ層13Aまで穿刻させた形態で真贋判定情報16を形成させたものである。
【0019】
この状態では、
図1(A)に示すように、印刷層15の真贋判定情報16が形成された部分及び中間保護部材層14A及び隠蔽層14Bの同一部分が穿刻された状態であり、仮に第1示温インキ層13Aが存在しないときには基材12の表面の色(白色)が当該真贋判定情報16として看取されて当該印刷層15の情報の一部が欠損した状態となるものであるが、真贋判定情報16の形成のために当該情報が穿刻された当該欠損した部分の色と同一色の第1示温インキ層13Aの部分が当該情報の全体が看取されることとなって、一見して真贋判定情報16自体が認識されないようにしたものである。
【0020】
ここで、
図3に、
図1の真贋判定用情報表示媒体の製造に関する説明図を示す。まず、
図3(A)に示すように、例えば白色の基材12の一方面上に例えば青色であって変色温度を例えば45℃の示温インキが塗布されて第1示温インキ層13Aが形成される。当該第1示温インキ層13A上の全面には、
図3(B)に示すように、例えば透明なPET部材の中間保護部材層14Aが例えば接着剤により接着される。当該中間保護部材層14A上には、
図3(C)に示すように、例えば全面を白色の印刷インキで隠蔽層14Bが印刷される。
【0021】
当該隠蔽層14B上には、
図3(D)に示すように、基材12の色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層13Aの第1特定色(例えば青色)を含んだ情報が印刷インキで印刷層15が印刷される。この状態の印刷層15は真贋判定情報16が形成される元となる。
【0022】
そして、
図3(E)に示すように、印刷層15上の所望位置であって、第1示温インキ層13Aの色と同色の位置に、当該第1示温インキ層13Aまでレーザ光21を真贋判定情報16の形状に応じて照射することで穿刻形態の真贋判定情報16が形成されて
図1に示す真贋判定用情報表示媒体11が作製されるものである。
【0023】
なお、この実施形態では真贋判定情報16の形状でレーザ加工して穿刻した場合を示したが、当該真贋判定情報16の形状のエッジのみを穿刻することとしてもよく、真贋判定情報16が穿刻で形成されていることをより判別し難くさせることができるものである。
【0024】
ところで、レーザ加工で真贋判定情報16を形成するにあたり、印刷層15の厚さが2μmで形成されていることから、この厚さを対象としたレーザ加工は誤差もあって高度な調整が必要となるが、中間保護部材層14Aを介在させることによってレーザ加工により当該透明な中間保護部材層14Aが若干残った場合でも第1示温インキ層13Aの該当部分が看取されることから、当該レーザ照射の調整を容易とすることができるものである。
【0025】
そこで、
図4に、
図1の真贋判定用情報表示媒体の真贋判定の説明図を示す。真贋判定用情報表示媒体11は、通常の照明光や自然光の下では
図1(A)及び
図4(B)の上段に示すように、真贋判定情報16の特に色合いは第1示温インキ層13Aの色として周辺の色と同化しており、凹凸の目視か手による感触で認識できる程度で一見して視認困難な状態である。なお、例えば印刷層15上に透明な保護層を設けると凹凸の目視での認識となる。
【0026】
そこで、
図4(A)に示すように、例えば変色温度として温度45℃以上の印加熱31で加熱すると、
図4(B)の下段に示されるように、第1示温インキ層13Aが透明化して下層の基材12の色が出現して、当該真贋判定情報16の形状が看取されることとなる。上記変色温度で加熱させる手段としては、例えばホットドリンクなどにおいても真贋判定させることができ、また、例えば指等でこすった摩擦熱でも真贋判定させることができ、上記特許文献1のようにブラックライトなどの特定光を出力させる特別な機器を使用することなく真贋判定を行うことができるものである。
【0027】
すなわち、真贋判定情報16が出現すれば当該真贋判定用情報表示媒体11が真正のものと判定され、出現しなければ贋物と判定されることとなるものである。なお、隠蔽層14Bは、印刷層15の形成部分に印刷されない領域が存在した場合に真贋判定情報16以外の部分が基材12の色として出現させることを防止するためのものである。
【0028】
次に、
図5に、本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第1実施形態の他の構成図を示す。
図5(A)に示す真贋判定用情報表示媒体11は、基材12上に所定色の下地印刷層17Aを設け、当該下地印刷層17Aの所定色と異なる第1特定色の示温インキが塗布された特定温度の熱印加に反応して透明化する第1示温インキ層13Aを設けたものである。この場合、印刷層15は、下地印刷層17Aの所定色
と異なる色を含み、かつ、第1示温インキ層13Aの第1特定色(例えば青色)を含んだ情報が印刷された状態から、当該下地印刷層17Aの所定色と異なり、かつ、当該第1示温インキ層13Aの色と同色の位置に、当該第1示温インキ層13Aまで穿刻させた形態で真贋判定情報16を形成させたものである。
【0029】
上記のような真贋判定用情報表示媒体11は、
図5(B)に示すように、例えば変色温度として温度45℃以上の印加熱31で加熱すると、真贋判定情報16が、
図1(A)の一見して見えない状態から、
図5(C)に示されるように、第1示温インキ層13Aが透明化して下地印刷層17Aの色が出現されることで、当該真贋判定情報16の形状が看取されることとなるものである。
【0030】
このように、第1示温インキ層13Aが青色の有色状態のときには穿刻状態の真贋判定情報16は印刷層15の色と同色の状態であたかも存在しないように看取され、特殊な機器を用いずに日常気温以上の温度に熱印加して透明状態とさせることで当該真贋判定情報16が下地印刷層17Aの色として容易に看取させることができ、簡易かつ容易に真贋判定を行うことができるものである。
【0031】
次に、
図6に、本発明に係る真贋判定用情報表示媒体の第2実施形態の構成図を示す。
図6(A)、(B)に示す真贋判定用情報表示媒体11は、基材12上に所定色で印刷された下地印刷層17Bが設けられ、下地印刷層17B上に当該下地印刷層17Bの色と異なる第2特定色(例えば赤色とする)で特定温度(変色温度を例えば45℃とする)の熱印加に反応して透明化する示温インキが塗布された第2示温インキ層13Bが設けられ、中間保護部材層14A、隠蔽層14Bを介在させて印刷層15が設けられたものである。
【0032】
上記印刷層15は、下地印刷層17Bの所定色を含み、かつ、第2示温インキ層13Bの色(例えば赤色)と異なる色を含んだ情報が印刷されて真贋判定情報16が形成される元となる。この状態から、下地印刷層17Bの色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層13Bの色(例えば赤色)と異なる色の位置に、当該第2示温インキ層13Bまで穿刻させた形態で真贋判定情報16を形成させて真贋判定用情報表示媒体11としたものである。すなわち、真贋判定情報16は印刷層15の周辺色と異なる例えば赤色でその形状が看取される状態としている。
【0033】
そこで、
図7に、
図6の真贋判定用情報表示媒体の真贋判定の説明図を示す。真贋判定用情報表示媒体11は、通常の照明光や自然光の下では
図7(B)の上段に示すように、真贋判定情報16は第2示温インキ層13Bの色(例えば赤色)として看取される。
【0034】
そこで、
図7(A)に示すように、例えば変色温度として温度45℃以上の印加熱31で加熱すると、
図7(B)の下段に示されるように、第2示温インキ層13Bが透明化して下地印刷層17Bの色となって印刷層15の真贋判定情報16の形成部分の色と同化してあたかも存在しないように看取される。すなわち、真贋判定情報16が消滅したように看取されれば当該真贋判定用情報表示媒体11が真正のものと判定され、当該真贋判定情報16がそのまま看取されれば贋物と判定されることとなり、特別な機器を使用することなく真贋判定できるものである。
【0035】
なお、図示しないが、上記下地印刷層17Bを設けない構成としてもよい。この場合、基材12上に当該基材12の色と異なる第2特定色の示温インキが塗布された層であり、特定温度(例えば45℃)の熱印加に反応して透明化する第2示温インキ層13Bが設けられ、第2示温インキ層13B上に中間保護部材層14A、隠蔽層14Bを介して印刷層15を設けた構成となり、当該印刷層15は、基材12の色と同色を含み、かつ、第2示温インキ層13Bの第2特定色(例えば赤色)と異なる色を含んだ情報が印刷された状態から、当該基材12の色と同色であり、かつ、当該第2示温インキ層13Bの色と異なる位置に、当該第2示温インキ層13Bまで穿刻させた形態で真贋判定情報16を形成させたものとなる。
【0036】
このように、第2示温インキ層13Bが赤色の有色状態のときには穿刻状態の真贋判定情報16は印刷層15の色とは異なって看取され、特殊な機器を用いずに日常気温以上の温度に熱印加して透明状態とさせることで当該真贋判定情報16が印刷層15の色と同色の状態であたかも存在しないように看取させることができ、簡易かつ容易に真贋判定を行うことができるものである。
【0037】
ところで、上記各実施形態は、基材12の一方面上の構成として示したが、他方面に同一の構成を設けてもよく、媒体の偽造をより困難とさせることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の真贋判定用情報表示媒体は、真贋判定に用いる情報表示媒体の製造、販売、使用等の産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
11 真贋判定用情報表示媒体
12 基材
13A 第1示温インキ層
13B 第2示温インキ層
14A 中間保護部材層
14B 隠蔽層
15 印刷層
16 真贋判定情報
17A,17B 下地印刷層
21 レーザ光
31 印加熱