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特許7414614引分け戸、引分け戸用レールの連結部材及び引分け戸用レールの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】引分け戸、引分け戸用レールの連結部材及び引分け戸用レールの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240109BHJP
   E05F 5/00 20170101ALI20240109BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E05D15/06 125B
E05F5/00 D
E05D15/06 125Z
E06B3/46
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020059888
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156118
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅之
(72)【発明者】
【氏名】平岡 華子
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-057676(JP,U)
【文献】実公昭38-018885(JP,Y1)
【文献】特開2010-246438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06
E05F 5/00
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体開口部を開閉可能に配置される少なくとも一対の戸体と、前記一対の戸体を上吊りして移動させるレールと、を備える引分け戸であって、
前記レールは、2つのレール部材と、前記2つのレール部材の端部間に配置されて前記2つのレール部材同士を連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、前記一対の戸体の移動を規制する戸当たり部と、前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材に沿ってそれぞれ延び、前記2つのレール部材の前記端部の上面及び下面のいずれか一方の面に対してそれぞれ固定される固定部と、前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材のうちの一方のレール部材に向けて延び、前記一方のレール部材の前記端部を保持する仮固定部と、を有する、引分け戸。
【請求項2】
前記連結部材は、前記固定部とによって前記2つのレール部材の前記端部を上下から挟持し、前記固定部と一体にねじ止めされる一つの裏板部材を有する、請求項1記載の引分け戸。
【請求項3】
前記2つのレール部材をそれぞれ覆うように取り付けられる2つのカバー部材と、
前記2つのカバー部材の間において、前記連結部材に対して取り付けられ、前記2つのカバー部材の間の隙間を目隠しするキャップ部材と、を備える、請求項1又は2に記載の引分け戸。
【請求項4】
前記キャップ部材は、前記連結部材に対向する面に突起部を有し、
前記連結部材は、前記突起部を収容して前記キャップ部材を位置決めする位置決め溝を有する、請求項に記載の引分け戸。
【請求項5】
引分け戸を構成する少なくとも一対の戸体を上吊りして移動させる2つのレール部材同士を連結する連結部材であって、
前記2つのレール部材の端部間に配置され、前記一対の戸体の移動を規制する戸当たり部と、
前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材に沿ってそれぞれ延び、前記2つのレール部材の前記端部の上面及び下面のいずれか一方の面に対してそれぞれ固定される固定部と、
前記戸当たり部の上部から、前記2つのレール部材のうちの一方のレール部材に向けて延び、前記一方のレール部材の前記端部を保持する仮固定部と、を有する、引分け戸用レールの連結部材。
【請求項6】
前記固定部とによって前記2つのレール部材の前記端部を上下に挟持し、前記固定部と一体にねじ止めされる一つの裏板部材を有する、請求項に記載の引分け戸用レールの連結部材。
【請求項7】
躯体開口部を開閉可能に配置される少なくとも左右一対の戸体を上吊りして移動させる引分け戸用レールの施工方法であって、
前記一対の戸体の移動を規制する戸当たり部と、前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材に沿ってそれぞれ延びる固定部と、前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材のうちの一方のレール部材に向けて延び、前記一方のレール部材の前記端部を保持する仮固定部と、を有する連結部材を、2つのレール部材の端部間に配置し、
前記2つのレール部材を前記連結部材に引き寄せる前に、前記仮固定部によって前記一方のレール部材の前記端部を保持することによって、前記連結部材を前記一方のレール部材の前記端部に仮固定し、
前記2つのレール部材を前記連結部材に引き寄せて、前記固定部を、前記2つのレール部材の前記端部の上面及び下面のいずれか一方の面にそれぞれ配置し、
前記固定部と前記2つのレール部材の前記端部とをそれぞれ固定する、引分け戸用レールの施工方法。
【請求項8】
前記固定部を前記2つのレール部材の前記端部の上面及び下面のいずれか一方の面にそれぞれ配置した後に、前記固定部とによって前記2つのレール部材の前記端部を上下から挟持するように一つの裏板部材を配置し、
前記2つのレール部材の前記端部を挟んで、前記固定部と前記裏板部材とに亘ってねじ止めする、請求項に記載の引分け戸用レールの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引分け戸、引分け戸用レールの連結部材及び引分け戸用レールの施工方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、躯体開口部を開閉可能に配置される一対の戸体をレールに上吊りし、左右に開くことによって広い開口を形成する引分け戸が知られている。引分け戸では、戸体を上吊りするレールが、戸体4枚分の長さを有する。そのため、レールの輸送時、保管時及び施工時の取り扱い性が悪いことが課題となっている。
【0003】
特許文献1には、レールを2つに分割し、分割した各レール部材同士を連結することによって、1本のレールを構築することが開示されている。各レール部材の接合面には、上方に突出するようにL形金具が設けられる。2つのレール部材は、中央で突き合わされ、L形金具同士をねじ止めすることによって連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-299305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引分け戸のレールには、各戸体の移動を中央で停止させるために、レールの中央に戸当たりが設けられる。しかしながら、レールを2つに分割した場合は、分割した2つのレール部材同士を連結し、さらに、各レール部材の端部間に戸当たりを納めなくてはならない。よって、発明者は、2つのレール部材同士を連結するとともに2つのレール部材の端部間に戸当たりを納めることができるようにする、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、躯体開口部を開閉可能に配置される少なくとも一対の戸体と、前記一対の戸体を上吊りして移動させるレールと、を備える引分け戸であって、前記レールは、2つのレール部材と、前記2つのレール部材の端部間に配置されて前記2つのレール部材同士を連結する連結部材と、を有し、前記連結部材は、前記一対の戸体の移動を規制する戸当たり部と、前記戸当たり部の上部から前記2つのレール部材に沿ってそれぞれ延び、前記2つのレール部材の前記端部の上面及び下面のいずれか一方の面に対してそれぞれ固定される固定部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係る引分け戸の正面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る引分け戸の一部分を拡大して示す分解斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る引分け戸の連結部分を示す図である。
図4】本開示の一実施形態に係る引分け戸に使用される連結部材を上側から見た斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係る引分け戸に使用される連結部材を下側から見た斜視図である。
図6】本開示の一実施形態に係る引分け戸に使用されるキャップ部材を示す斜視図である。
図7】本開示の一実施形態に係る引分け戸のレールの施工方法を説明する斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る引分け戸のレールの施工方法を説明する平面図である。
図9】本開示の一実施形態に係る引分け戸のレールの施工方法を説明する斜視図である。
図10】本開示の一実施形態に係る引分け戸のレールの施工方法を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の引分け戸の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、引分け戸1は、レール2と、左右一対の戸体3,3と、を有する。レール2は、躯体100の開口部101の上方の側壁面100aにアウトセットされる。戸体3,3はレール2に上吊りされ、レール2に沿って左右方向にそれぞれ移動することによって開口部101を開閉する。引分け戸1においては、レール2がアウトセットされる躯体100の側壁面100aが面する側を前と定義し、その反対側を後と定義する。
【0009】
図2に示すように、レール2は、中央で分割された2つのレール部材21,21同士を連結することによって長尺に形成されている。詳しくは、2つのレール部材21,21は、長さ方向の中央において、連結部材4によって連結される。連結された2つのレール部材21,21は、躯体100の側壁面100aに設けられた一対の下地材102,102にそれぞれ取り付けられている。2つの戸体3,3は、2つのレール部材21,21にそれぞれ対応して上吊りされている。
【0010】
レール部材21,21には、それぞれ樹脂製の断面L形のカバー部材22,22が取り付けられる。カバー部材22,22は、各レール部材21,21の前面及び上面を覆うように取り付けられている。2つのカバー部材22,22の間には、カバー部材22,22間の隙間を見隠しする樹脂製のキャップ部材23が取り付けられる。
【0011】
2つのレール部材21,21は同一構成である。図2に示すように、レール部材21は、下地材102の前面102aに当接する上下一対の脚部211,211と、脚部211,211から前方に向けて突出するように設けられる走行部212と、を少なくとも有する。上側の脚部211は、下地材102の上面102bに当接して配置される上面支持板211aを有する。走行部212は、戸体3の上端部に取り付けられる吊車31の一対のローラ311,311を走行可能に収容する。
【0012】
連結部材4は、連結部材本体41と、裏板部材42と、を有して構成される。図2図4及び図5に示すように、連結部材本体41は、略ブロック状の樹脂成形体からなる。詳しくは、連結部材本体41は、図3に示すように、下地材102の前面102aから前方に向けて延びる戸当たり部411と、戸当たり部411の上部に設けられる固定部412及び仮固定部413,414と、戸当たり部411の前部に設けられる突出部415と、を一体に有する。
【0013】
戸当たり部411は、連結部材本体41の大部分を構成する。図3図4及び図5に示すように、戸当たり部411は、矩形状の戸当たり板411bを有する。戸当たり板411bは、下地材102の前面102aに当接する後部板411aから、レール部材21の長さ方向と交差するように前方に向けて延びている。戸当たり板411bの厚みは、後部板411aの幅よりも小さい。戸当たり板411bは、後部板411aに対して直交して配置され、走行部212の全体を実質的に閉塞している。
【0014】
戸当たり板411bの上端は、上部板411cを有する。上部板411cは、後部板411aと同じ幅を有して戸当たり板411bに対して直交して配置される。戸当たり板411bの下端は、下部板411dを有する。下部板411dは、後部板411aと同じ幅を有して戸当たり板411bに対して直交して配置される。戸当たり板411bの前端は、前部板411eを有する。前部板411eは、後部板411aと同じ幅を有して戸当たり板411bに対して直交して配置される。これによって、戸当たり板411bの四周縁は、それぞれ戸当たり板411bに対して直交する後部板411a、上部板411c、下部板411d及び前部板411eによって囲まれている。
【0015】
戸当たり板411bの両面には、複数のリブが設けられる。詳しくは、複数のリブは、上部板411cと下部板411dとの間を繋ぐように設けられる3つの縦方向リブ411f,411g,411hを含む。3つの縦方向リブ411f,411g,411hのうちの最も前方側に配置される縦方向リブ411f及び前部板411eの間隔と、中間に配置される縦方向リブ411g及び最も後方側に配置される縦方向リブ411hの間隔とは、ほぼ等しい。
【0016】
図3に示すように、走行部212内に収容される吊車31の一対のローラ311,311は、レール部材21,21同士の連結部分において、戸当たり部411によって進路を塞がれる。そのため、レール2に沿う戸体3の移動は、レール2の中央において吊車31が戸当たり部411に当接することによって規制される。詳しくは、戸体3,3がそれぞれ中央に向けて移動した際に、吊車31の一対のローラ311,311は、戸当たり部411の縦方向リブ411fと前部板411eとの間、及び縦方向リブ411gと縦方向リブ411hとの間にそれぞれ収容される。これによって、ローラ311,311は、戸当たり板411bに当接し、戸体3のそれ以上の移動が阻止される。戸当たり板411bは、後部板411a、上部板411c、下部板411d、前部板411e及び両面の複数のリブによって補強されている。そのため、戸当たり板411bは、薄い板樹脂製であっても、吊車31が衝突した際の衝撃に対して十分に耐えることができる。
【0017】
固定部412は、戸当たり部411の上部に一体に設けられる板状体からなる。詳しくは、固定部412は、戸当たり部411の上部板411cから、両側の2つのレール部材21,21に向けて、戸当たり板411bと直交するようにそれぞれ延びている。戸当たり部411から一方のレール部材21に向けて延びる固定部412の長さと、戸当たり部411から他方のレール部材21に向けて延びる固定部412の長さとは、ほぼ等しい。
【0018】
固定部412の前後方向の幅は、図2及び図3に示すように、走行部212の天板部212aに設けられる凹部212cの前後方向の幅に対応する。これによって、戸当たり部411を挟んだ固定部412の両端部は、それぞれレール部材21,21の端部21a,21aから凹部212c,212c内に挿入可能である。凹部212cは、天板部212aの前後方向の略中央部が上方に突出した突出部分212bの下面側に設けられる。凹部212cは、走行部212の内側において、吊車31の一対のローラ311,311の間に対応する位置に配置されている。凹部212c,212c内に挿入された固定部412は、各レール部材21,21の走行部212,212の下面を支持する。
【0019】
戸当たり部411を挟んだ固定部412の両端部には、それぞれねじ挿通穴412a,412aが設けられている。ねじ挿通穴412a,412aは、各レール部材21,21の端部21a,21において、天板部212a,212aに設けられるねじ挿通穴212d,212dの位置に対応して配置される。
【0020】
仮固定部413,414は、固定部412と同様に、それぞれ戸当たり部411の上部に一体に設けられる板状体からなる。詳しくは、仮固定部413,414は、戸当たり部411の上部板411cの上面から、2つのレール部材21,21のうちの一方のレール部材21のみに向けて、戸当たり板411bと直交するように延びている。仮固定部413,414の長さは、戸当たり部411から同じレール部材21に向けて延びる固定部412の長さに比べて僅かに短い。
【0021】
本実施形態において、一方のレール部材21は、図1における右側に配置されるレール部材21を指す。他方のレール部材21は、図1における左側に配置されるレール部材21を指す。
【0022】
仮固定部413と仮固定部414とは、固定部412を挟んで配置される。詳しくは、仮固定部413は、固定部412に対して前方側に平行に配置される。仮固定部414は、固定部412に対して後方側に平行に配置される。図3に示すように、仮固定部413,414は、固定部412よりも上方に配置される。仮固定部413と仮固定部414との上下方向の位置は、ほぼ等しい。仮固定部413,414は、図3に示すように、固定部412が一方のレール部21の凹部212c内に挿入されたときに、突出部分212bを挟んだ前方側及び後方側の天板部212aの上面に配置される。そのため、仮固定部413,414は、固定部412が一方のレール部材21の端部21aから凹部212c内に挿入された際に、固定部412との間で端部21aを上下から挟持して保持する。これによって、仮固定部413,414は、連結部材本体41を、一方のレール部材21の端部21aに仮固定することが可能である。
【0023】
突出部415は、戸当たり部411の前部板411eの下部から、前部板411eと同じ幅で、さらに前方に向けてブロック状に突出している。戸当たり部411の下部板411dは、突出部415の下面415bと面一状に連続している。
【0024】
図4及び図5に示すように、突出部415の前面415aには、上下方向に延びる位置決め溝415cが設けられる。位置決め溝415cは、後述するキャップ部材23に設けられる突起部236を収容することによって、連結部材本体41に対してキャップ部材23の左右方向を位置決めする。突出部415の下面415bには、後述するキャップ部材23を固定するためのねじ穴415dが設けられている。突出部415内には、ねじ穴415dと同軸状にナット(図示せず)が埋め込まれている。
【0025】
裏板部材42は、図2及び図3に示すように、固定部412の長さにほぼ等しい長さを有する金属板によって構成される。詳しくは、裏板部材42は、固定部412の長さにほぼ等しい長さを有する平板部421と、一対の脚板部422,422と、を有する。脚板部422,422は、平板部421の長さ方向に沿う両端部をそれぞれ同一方向に折り曲げることによって形成されている。平板部421の前後方向に沿う幅は、図3に示すように、レール部材21の天板部212aの突出部分212bを一対の脚板部422,422の間に配置可能な幅を有する。一対の脚板部422,422の高さは、図3に示すように、天板部212aにおける突出部分212bの突出高さにほぼ等しい。そのため、裏板部材42が天板部212aの突出部分を覆うように配置された際、天板部212aの突出部分212bは、裏板部材42の内側に完全に収容される。
【0026】
裏板部材42の平板部421の両端部には、ねじ穴421a,421aが設けられる。ねじ穴421a,421aは、固定部412のねじ挿通穴412a,412aに対応して配置されている。ねじ穴421a,421aの内周面には、それぞれ雌ねじが設けられている。
【0027】
キャップ部材23は、図2及び図6に示すように、レール2の前方に配置される前板部231と、レール2の上方に配置される上板部232と、を有する。これによって、キャップ部材23は、カバー部材23と同様の断面L形を有する。キャップ部材23の内側には、補強リブ233が一体に設けられる。補強リブ233は、前板部231及び上板部232に対して直交し、前板部231の内面231aから上板部232の内面232aに亘ってL形に一体に形成されている。これによって、キャップ部材23が補強される。
【0028】
前板部231の内面231aの下部には、一対の挟持片234,235が後方に向けて突出している。一対の挟持片234,235の間隔は、連結部材本体41の突出部415の高さにほぼ等しい。一対の挟持片234,235は、連結部材本体41の突出部415を上下から挟持する。これによって、キャップ部材23は、連結部材本体41に対して、上下方向に位置決めされる。
【0029】
一対の挟持片234,235のうちの下側の挟持片235には、ねじ挿通穴235aが設けられる。ねじ挿通穴235aは、突出部415の下面415bのねじ穴415dに対応して配置されている。前板部231の内面231aは、連結部材4に対向する面である。この内面231aにおける一対の挟持片234,235の間には、挟持片234,235を繋ぐように上下方向に延びる突起部236が設けられている。
【0030】
次に、連結部材4を使用したレール2の施工方法について、図7図8図9及び図10を参照して説明する。まず、図7に示すように、施工者は、2つのレール部材21,21のうちの一方のレール部材21の端部21aに、連結部材本体41を装着する。
【0031】
詳しくは、施工者は、連結部材本体41の突出部415を前方に向けた状態で、連結部材本体41の固定部412の一方端部を、一方のレール部材21の凹部212c内に挿入する。これと同時に、連結部材本体41の一対の仮固定部413,414を、それぞれ天板部212aの突出部分212bを挟んで天板部212aの上面に配置されるように差し入れる。
【0032】
これによって、固定部412の一方端部は、一方のレール部材21の天板部212aの下面を支持するように配置される。一対の仮固定部413,414は、一方のレール部材21の天板部212aの上面を支持するように配置される。連結部材本体41は、固定部412及び仮固定部413,414によって、一方のレール部材21の端部21aを上下から挟持する。そのため、施工者が連結部材本体41から手を放しても、連結部材本体41は、一方のレール部材21の端部21aに保持され、仮固定される。このとき、固定部412の一方端部のねじ挿通穴412aの位置と、一方のレール部材21のねじ挿通穴212dの位置とは一致している。
【0033】
次に、施工者は、図8に示すように、一方のレール部材21に仮固定された連結部材本体41に向けて、他方のレール部材21を引き寄せ、連結部材本体41の固定部412の他方端部を、他方のレール部材21の凹部212c内に挿入する。これによって、固定部412の他方端部は、他方のレール部材21の天板部212aの下面を支持するように配置される。このとき、固定部412の他方端部のねじ挿通穴412aの位置と、他方のレール部材21のねじ挿通穴212dの位置とは一致している。
【0034】
次に、施工者は、図9に示すように、2つのレール部材21,21の上方から裏板部材42を装着する。詳しくは、施工者は、レール部材21,21の天板部212a,212aの突出部分212b,212bを覆い、かつ裏板部材42のねじ穴421a,421aとレール部材21,21のねじ挿通穴212d,212dとが一致するように、裏板部材42を装着する。これによって、レール部材21,21の端部21a,21aは、連結部材本体41の固定部412と裏板部材42とによって、上下から挟持される。その後、施工者は、レール部材21,21の下方から、固定部412のねじ挿通穴412a,412a、レール部材21,21のねじ挿通穴212d,212dを通して、ねじ24,24を挿入し、裏板部材42のねじ穴421a,421aに対して螺合させる。これによって、2つのレール部材21,21同士は、連結部材本体41及び裏板部材42からなる連結部材4によって連結される。
【0035】
その後、施工者は、図10に示すように、各レール部材21,21の前面及び上面を覆うようにカバー部材22,22を取り付ける。レール部材21,21に取り付けられたカバー部材22,22の間には、隙間Sが形成される。
【0036】
次に、施工者は、カバー部材22,22間の隙間Sにキャップ部材23を装着する。詳しくは、施工者は、カバー部材22,22の前面22a,22a側から隙間Sにキャップ部材23を挿入する。このとき、キャップ部材23の一対の挟持片234,235は、突出部415を上下から挟持するように配置される。一対の挟持片234,235の間の突起部236は、突出部415に設けられた位置決め溝415cに収容される。これによって、キャップ部材23は、連結部材本体41に対して、上下方向及び左右方向に位置決めされる。その後、施工者は、キャップ部材23の下側の挟持片235に設けられたねじ挿通穴235aにねじ(図示せず)を挿入して突出部415のねじ穴415dに螺合させ、キャップ部材23を連結部材4に固定する。これによって、カバー部材22,22間の隙間Sがキャップ部材23によって目隠しされる。
【0037】
以上のように構成される本実施形態に係る引分け戸1によれば、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る引分け戸1は、躯体100の開口部101を開閉可能に配置される左右一対の戸体3,3と、一対の戸体3,3を上吊りして移動させるレール2と、を備えて構成される。レール2は、2つのレール部材21,21と、2つのレール部材21,21の端部21a,21a間に配置されて2つのレール部材21,21同士を連結する連結部材4と、を有する。連結部材4は、一対の戸体3,3の移動を規制する戸当たり部411と、戸当たり部411の上部から2つのレール部材21,21に沿ってそれぞれ延び、2つのレール部材21,21の端部21a,21aの下面に対してそれぞれ固定される固定部412と、を有する。したがって、2つのレール部材21,21を連結部材4を用いて連結するだけで、2つのレール部材21,21の端部21a,21a間に、連結部材4の戸当たり部411によって構成される戸当たりを納めることができる。レール2は、2つのレール部材21,21に分割されるため、レール2の輸送時、保管時及び施工時の作業性が向上する。連結部材4は、レール部材21,21の連結機能と戸当たり機能とを兼ねるため、部品点数を削減でき、2つのレール部材21,21を有する引分け戸1を低コストに構築することができる。連結部材4は、固定部412によって2つのレール部材21,21の下面を支持した状態でレール部材21,21に固定されるため、レール部材21,21間に段差が形成されるおそれはない。
【0038】
本実施形態に係る引分け戸1において、連結部材4(本実施形態においては連結部材本体41)は、戸当たり部411の上部から2つのレール部材21,21のうちの一方のレール部材21に向けて延び、一方のレール部材21の端部21aを保持する仮固定部413,414を有する。これによれば、2つのレール部材21,21同士を連結部材4によって連結する際に、連結部材本体41を、一方のレール部材21の端部21aに仮固定することができる。そのため、施工性の良い引分け戸1を構成することができる。
【0039】
本実施形態に係る引分け戸1において、連結部材4は、固定部412とによって2つのレール部材21,21の端部21a,21aを上下から挟持し、固定部412と一体にねじ止めされる一つの裏板部材42を有する。これによれば、連結部材4によって、2つのレール部材21,21の端部21a,21a同士をより強固に連結することができる。
【0040】
本実施形態に係る引分け戸1において、2つのレール部材21,21をそれぞれ覆うように取り付けられる2つのカバー部材22,22と、2つのカバー部材22,22の間において、連結部材4に対して取り付けられ、2つのカバー部材22,22の間の隙間Sを目隠しするキャップ部材23と、を備える。これによれば、カバー部材22,22の間の隙間Sがキャップ部材23によって目隠しされ、引分け戸1の意匠性が向上する。
【0041】
本実施形態に係る引分け戸1において、キャップ部材23は、連結部材4に対向する面に突起部236を有し、連結部材4は、突起部236を収容してキャップ部材23を位置決めする位置決め溝415cを有する。これによれば、キャップ部材23は、連結部材本体41に対して適正な位置に位置決めされる。そのため、連結部材4に対するキャップ部材23の取付け作業性が向上する。キャップ部材23が適正に位置に位置決めされることによって、引分け戸1の意匠性もさらに向上する。
【0042】
本実施形態に係る引分け戸用レールの施工方法は、一対の戸体3,3の移動を規制する戸当たり部411と、戸当たり部411の上部から2つのレール部材21,21に沿ってそれぞれ延びる固定部412と、を有する連結部材4(本実施形態では連結部材本体41)を、2つのレール部材21,21の端部21a,21a間に配置し、2つのレール部材21,21を連結部材本体41に引き寄せて、固定部412を、2つのレール部材21,21の端部21a,21aの下面にそれぞれ配置し、固定部412と2つのレール部材21,21の端部21a,21aとをそれぞれ固定する。これによれば、2つのレール部材21,21同士を連結部材本体41に引き寄せて固定するだけで、2つのレール部材21,21を段差なく連結することができる。2つのレール部材21,21の間に連結部材本体41を固定するだけで、2つのレール部材21,21間に戸当たり部411によって構成される戸当たりを納めることができる。
【0043】
本実施形態に係る引分け戸用レールの施工方法において、連結部材4(本実施形態では連結部材本体41)は、戸当たり部411の上部から2つのレール部材21,21のうちの一方のレール部材21に向けて延び、一方のレール部材21の端部21aを保持する仮固定部413,414を有し、2つのレール部材21,21を連結部材本体41に引き寄せる前に、仮固定部413,414によって一方のレール部材21の端部21aを保持することによって、連結部材本体41を一方のレール部材21の端部21aに仮固定する。これによれば、連結部材本体41を、一方のレール部材21の端部21aに仮固定することができる。そのため、引分け戸1の施工作業性が向上する。
【0044】
本実施形態に係る引分け戸用レールの施工方法において、固定部412を2つのレール部材21,21の端部21a,21aの下面にそれぞれ配置した後に、固定部412とによって2つのレール部材21,21の端部21a,21aを上下から挟持するように一つの裏板部材42を配置し、2つのレール部材21,21の端部21a,21を挟んで、固定部412と裏板部材42とに亘ってねじ止めする。これによれば、連結部材4によって、2つのレール部材21,21の端部21a,21a同士をより強固に連結することができる。
【0045】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、連結部材の固定部はレール部材の端部の上面に配置されてもよい。この場合、仮固定部は、レール部材の端部の下面に配置される。
【0046】
連結部材4の仮固定部413,414は、固定部412との間でレール部材21の端部21aを挟持するものに限定されない。仮固定部は、例えば、上下一対の挟持片によって構成されてもよい。これによって、仮固定部は、それ自身でレール部材の端部を保持することできる。仮固定部の数は、2つに限定されない。
【0047】
引分け戸は、連結部材の戸当たり部に対して、戸体の吊車のローラ以外の戸体の一部が当接するように構成されてもよい。引分け戸に設けられる戸体は、左右一対に限定されず、3枚以上であってもよい。引分け戸は、レールが躯体の側壁面にアウトセットされるものに限定されない。引分け戸は、レールが開口部内にインセットされるものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 引分け戸
2 レール
21 レール部材
21a 端部
22 カバー部材
23 キャップ部材
236 突起部
3 戸体
4 連結部材
411 戸当たり部
412 固定部
413,414 仮固定部
415c 位置決め溝
42 裏板部材
100 躯体
101 開口部
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10