(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】発光装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240109BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21S2/00 435
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020067778
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 延幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-034801(JP,A)
【文献】米国特許第10551551(US,B1)
【文献】国際公開第2013/005559(WO,A1)
【文献】特開2016-071326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面に、第1方向に沿って配列され、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延伸する、複数の第1凸部を有する導光板と、
前記導光板の側面に隣接して配置された、複数の光源素子と、
前記第1主面に対向して配置される、プリズムシートと、
を備え、
前記光源素子の出光面は前記第2方向に向かって配置し、
前記第1凸部の前記第1方向に沿った断面形状は、
頂角が底辺の上方に位置する二等辺三角形であり、頂角が55°以上65°以下であ
り、
前記導光板は、第2主面に、前記第1方向に沿って延伸し、前記第2方向に沿って配列する、複数の第2凸部を有し、
前記第2凸部の前記第2方向に沿った断面形状は、
頂角が底辺の下方に位置する二等辺三角形であり、底角が1°以上3°以下である、発光装置。
【請求項2】
前記プリズムシートは、前記導光板と対向する面に、前記第1方向に延伸し、前記第2方向に配列される、複数の第3凸部状を有し、
前記プリズムシートの前記複数の
第3凸部状のそれぞれは、前記第2方向に沿った断面形状が、頂角が底辺の下方に位置する二等辺三角形である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記導光板の前記第2主面に対向して配置される、反射シートをさらに有する、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置に重畳する、集光装置と
を備える、照明装置。
【請求項5】
前記集光装置は、液晶レンズが形成される液晶層を有する、請求項4に記載の照明装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面状発光が可能な発光装置が開発されている。
導光板の側面に光源を配置し、側面に対して角度をもって配置された主面から光を出射する発光装置は面光源として用いられている。例えば、このような発光装置は液晶表示装置のバックライトに用いられる。
【0003】
液晶表示装置のバックライト用発光装置は、表示装置の視角による輝度変化を抑制するために光の出射角を広くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】2018-045778号公報
【文献】2012-069409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、コリメート光を照射可能な発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る発光装置は、第1主面に、第1方向に沿って配列され、前記第1方向と交差する第2方向に沿って延伸する、複数の第1凸部を有する導光板と、前記導光板の側面に隣接して配置された、複数の光源素子と、前記第1主面に対向して配置される、プリズムシートと、を備え、前記光源素子の出光面は前記第2方向に向かって配置し、前記第1凸部の前記第1方向に沿った断面形状は、頂角が55°以上65°以下である、前記導光板は、第2主面に、前記第1方向に沿って延伸し、前記第2方向に沿って配列する、複数の第2凸部を有し、前記第2凸部の前記第2方向に沿った断面形状は、底角が1°以上3°以下である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、発光装置の構成を説明する分解斜視図である。
【
図4】
図4は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図5】
図5は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図6】
図6は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図7】
図7は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図8】
図8は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図9】
図9は、頂角θ1に対する出射角φhとの関係を示す図である。
【
図10】
図10は、頂角θ1に対するノイズ相対値の関係を示す図である。
【
図11】
図11は、底角θ2に基づく出射光Lの出射角φvの変化を示す図である。
【
図12】
図12は、底角θ2に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図13】
図13は、底角θ2に対する出射角分布特性を示す図である。
【
図14】
図14は、底角θ2に対する出射角φvとの関係を示す図である。
【
図17】
図17は、集光装置の電極の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る発光装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに交差しているが、直交していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における発光装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
図1は、実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図1に示す発光装置ILDは、第3方向Zに沿って、反射シートREF、導光板LG、プリズムシートPRMを備えている。また発光装置ILDは、導光板LGの側面LG1sに隣接して配置された光源素子LS1を備える。
導光板LGは、プリズムシートPRMに対向する第1主面LGa(主面LGaともいう)、及び反射シートREFと対向する第2主面LGb(主面LGbともいう)を有している。主面LGaは、主面LGbより上方に位置しており、導光板の出光面である。また主面LGbは、主面LGaと対向し、反対側に設けられている。主面LGa及び主面LGbには、後述する三角形柱形状の第1凸部及び第2凸部が設けられている。当該凸部の詳細については、後に詳述する。
【0013】
図1に示す例では、導光板LGの第1側面LG1sに隣接して光源素子LS1、及び第1側面LG1sと反対側の第2側面LG2sに隣接して光源素子LS2が配置されている。なお
図1では、光源素子LS1及びLS2は、それぞれ1つずつ示されているが、複数の光源素子LS1及び複数の光源素子LS2を設けてもよい。また光源素子LS1及びLS2の両方を設けず、光源素子LS1のみ又は光源素子LS2のみを設けてもよい。
さらに本実施形態では、光源素子LS1及びLS2を区別しない場合は、単に光源素子LSと呼ぶ。また第1側面LG1s及び第2側面LG2sを区別しない場合は、単に側面という。
【0014】
光源素子LS1から出射された光は、第2方向Yに沿って、導光板LGの側面LG1sから導光板LGに入射する。光源素子LS2から出射された光は、第2方向Yの逆方向に沿って、導光板LGの側面LG2sから導光板LGに入射する。導光板LGの側面LG1sは光源素子LS1の入光面であり、側面G2sは光源素子LS1の入光面である。光源素子LS1の面のうち、導光板LGの側面LG1sに第2方向Yに向かって対向する面は、光源素子LS1の出光面である。また光源素子LS2の面のうち、導光板LGの側面LG2sに第2方向Yに向かって対向する面は、光源素子LS2の出光面である。導光板LGに入射した光は、導光板LG内部を伝播し、かつ上方に出射される。このとき導光板LGから出射された光は、複数の傾斜角を有してプリズムシートPRMに入射する。プリズムシートPRMに入射した光は、プリズムシートPRMにより第3方向Zに平行な方向に出射される。以上のようにして、発光装置ILDは、第3方向Zに平行な光が揃ったコリメート光を出射することが可能である。
【0015】
図2は、発光装置の構成を説明する図である。
図2(A)は、発光装置の構成を説明する分解斜視図である。
図2(A)に示すように、導光板LGは、第1主面LGaに、複数の三角柱形状の第1凸部TRVa(凸部TRaともいう)が設けられている。凸部TRVaはそれぞれ、第2方向Yに沿って延伸している。複数の凸部TRVaは、第2方向Yに交差する第1方向Xに沿って配列している。1つの凸部TRVaの第1方向Xに沿った断面形状は、二等辺三角形であり、第2方向Yに沿った断面形状は、長方形である。さらに具体的には、該二等辺三角形の頂点は、底辺より上方に位置している。
【0016】
また、導光板LGは、第2主面LGbに、複数の三角柱形状の第2凸部TRVb(凸部TRbともいう)が設けられている。凸部TRVbはそれぞれ、第1方向Xに沿って延伸している。複数の凸部TRVbは、第2方向Yに沿って配列している。1つの凸部TRVbの第2方向Yに沿った断面形状は、二等辺三角形であり、第1方向Xに沿った断面は、長方形である。さらに具体的は、該二等辺三角形の頂点は、底辺より下方に位置している。
なお凸部TRVaが延伸する方向(第2方向Y)と、凸部TRVbが延伸する方向(第1方向X)は、90°以外で交差しているが、直交していることがより好ましい。
【0017】
導光板LGは、例えば透光性を有する樹脂材料により形成されている。凸部TRVa及びTRVbは、例えば透光性を有する樹脂材料により導光板LGと一体成型されている。よって上記を換言すると、導光板LGの主面LGaは、複数の凸部TRVaを含むプリズム形状を有しており、導光板LGの主面LGbは、複数の凸部TRVbaを含むプリズム形状を有していると言える。
1つの凸部TRVaは、稜線RDGaを有している。複数の稜線RDGaとの間には、谷部VLYaが設けられる。稜線RDGa及び谷部VLYaが延伸する方向が、凸部TRVaが延伸する方向(第2方向Y)である。
1つの凸部TRVbは、稜線RDGbを有している。複数の稜線RDGbとの間には、谷部VLYbが設けられる。稜線RDGb及び谷部VLYbが延伸する方向が、凸部TRVbが延伸する方向(第1方向X)である。
【0018】
さらに換言すると、導光板LGは、稜線RDGaが第2方向Yに延伸する凸部TRVaを複数有する主面LGaを有し、隣り合う稜線RDGaとの間には、谷部VLYaを有している。稜線RDaから谷部VLYaには傾斜面が配置されている。第1方向Xに沿って、稜線RDGa、谷部VLYa、及び該傾斜面がなす形状は、二等辺三角形である。
また導光板LGは、稜線RDGbが第1方向Xに延伸する凸部TRVbを複数有する主面LGbを有し、隣り合う稜線RDGbとの間には、谷部VLYbを有している。稜線RDbから谷部VLYbには傾斜面が配置されている。第2方向Yに沿って、稜線RDGb、谷部VLYb、及び該傾斜面がなす形状は、二等辺三角形である。
導光板LGの上方には、導光板LGと対向して、プリズムシートPRMが設けられている。プリズムシートPRMは、導光板LGと対向する主面PRMb(第3主面ともいう)、及び主面PRMbと反対側に位置して光を出射する主面PRMa(第4主面ともいう)を有している。
主面PRMbには、第1方向Xに沿って延伸し、第2方向Yに沿って配列する、複数の三角柱形状の第3凸部TRVp(以下、凸部TRVpという)が設けられている。1つの凸部TRVpの第2方向Yに沿った断面形状は、二等辺三角形であり、第1方向Xに沿った断面は、長方形である。さらに具体的は、該二等辺三角形の頂点は、底辺より下方に位置している。プリズムシートPRMは、いわゆる逆プリズムシートである。
【0019】
図2(A)に示す反射シートREFは、導光板LGの主面LGbから漏出した光を反射し、導光板LG内に戻す機能を有する。これにより光取り出し効率を向上させることができる。反射シートREFは、例えば導光板LGと対向する面が鏡面となっており、金属、例えば銀を蒸着したシートにより形成されている。ただし反射シートREFは、金属を蒸着したシートに限定されず、例えば金属薄膜を複数積層したシート、又は光学吸収体から形成されるシート、例えば黒色シート等であってもよい。
【0020】
図2(B)及び
図2(C)は、出射光Lの出射角を説明する図である。
図2(B)に示すように、導光板LGの短手方向(Horizontal)である第1方向X、及び、導光板LGの長手方向(Vertical)である第2方向Yにおいて、導光板LG上の空間に半立体球を仮定する。
図2(B)及び
図2(C)において、発光装置ILDから出射する出射光Lが、Y-Z平面において第3方向Zとなす角を出射角φvとする。同様に、出射光Lが、X-Z平面において第3方向Zとなす角を出射角φhとする。出射角φvは、-90°以上90°以下(-90°≦φv≦90°)、出射角φhは、-90°以上90°以下(-90°≦φh≦90°)の範囲を有する。理想的なコリメート光では、φv=φh=0°であるが、実際の出射光Lにおいては、出射角の分布が存在する。出射角の分布については、後に詳述する。
【0021】
図3は、導光板LGの断面形状を示す図である。
図3(A)は、
図2の線A1-A2に沿った導光板LGの断面図である。
図3(B)は、
図2の線B1-B2に沿った導光板LGの断面図である。
図3(A)に示す凸部TRVaの第1方向Xに沿った断面形状は、上述のように頂点が底辺の上方に位置する二等辺三角形である。
図3(A)において、凸部TRVaの断面形状である二等辺三角形の頂角をθ1とする。頂角θ1は、55°以上60°以下が好適である。理由は後述する。
【0022】
図3(B)に示す凸部TRVbの第2方向Yに沿った断面形状は、上述のように頂点が底辺の下方に位置する二等辺三角形である。
図3(B)において、凸部TRVbの断面形状である二等辺三角形の底角をθ2とする。底角θ2は、1°以上3°以下が好適である。理由は後述する。
【0023】
ここで頂角θ1が55°以上60°以下が好適である理由について述べる。
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8は、頂角θ1に対する出射角分布特性を示す図である。
図4は凸部TRVaの頂角θ1が60°、
図5は頂角θ1が50°、
図6は頂角θ1が70°、
図7は頂角θ1が80°、
図8は頂角θ1が100°の場合を示している。
【0024】
図4(A)は、
図2で述べた発光装置ILDの出射光Lの出射角φv及びφhに対する、等輝度曲線である。
図4(A)において、横軸は出射角φh、縦軸は出射角φvを示しており、図中同一線は等輝度の部分を示している。
図4(B)は、
図4(A)に基づいた、出射角φv及びφh、並びに輝度の関係を示すグラフである。
図4(B)において、横軸は出射角φv及びφh、縦軸は出射角φv及びφhの輝度を規格化した規格化輝度である。
図4(B)において、出射角φvは実線、出射角φhは点線で表している。
【0025】
図4(A)に示されるように、例えば頂角θ1が60°の場合では、輝度の分布が出射角φh(第1方向X)及びφv(第2方向Y)において、ほぼ同等である。すなわち、第1方向X及び第2方向Yの両方において、均等に出射光が照射されていることを意味する。第1方向X及び第2方向Yに均等に光が出射されていることは、
図4(B)において、出射角φv及びφhのグラフの重複が多いことからも推定される。
【0026】
一方、
図5(A)(頂角θ1=50°)、
図6(A)(頂角θ1=70°)、
図7(A)(頂角θ1=80°)、及び
図8(A)(頂角θ1=100°)の等輝度曲線は、出射角φh(第1方向X)が広がっている。すなわち、第1方向Xと第2方向Yでは、不均等に光が照射されていることが分かる。
図5(B)(頂角θ1=50°)、
図6(B)(頂角θ1=70°)、
図7(B)(頂角θ1=80°)、及び
図8(B)(頂角θ1=100°)においても、出射角φv及びφhのグラフの重複が少ない。よって、頂角θ1が50°、70°、80°、及び100°の場合では、出射光が第1方向X及び第2方向Yで不均等であると言える。
【0027】
さらに
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)、
図7(B)、及び
図8(B)に示されるグラフの半値全幅(full width at half of the maximum:FWHM)を用いて、頂角θ1の好適な範囲の算定について説明する。
ここでまた
図4(B)に戻り、頂角θ1が60°の場合について述べる。
図4(B)のグラフから半値全幅を求めると、半値全幅を取る場合の出射角φvは-12°及び+12°、及びφhは-12°及び+12°となる。
【0028】
図4(B)のグラフの半値全幅の範囲、すなわち出射角φvが-12°以上12°以下(-12°≦φv≦12°)、並びに、出射角φhが12°以上12°以下(-12°≦φh≦12°)である出射光は、コリメート光として許容範囲の光である。よって本実施形態の発光装置ILDでは、当該範囲の出射角φv及びφhの出射光を多く含んでいることが好ましい。
【0029】
図4(B)と同様にして、
図5(B)(頂角θ1=50°)、
図6(B)(頂角θ1=70°)、
図7(B)(頂角θ1=80°)、
図8(B)(頂角θ1=100°)の出射角φv及びφhそれぞれの半値全幅を求め、半値全幅での出射角φhをプロットしたグラフを、
図9に示す。
なお出射角φvについては、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)、
図7(B)、及び
図8(B)において、半値全幅を取る場合の出射角φvは、全て-12°及び+12°であったため、出射角φhのみで評価を行う。
【0030】
図9は、頂角θ1に対する出射角φhとの関係を示す図である。
図9において、横軸は頂角θ1、縦軸は半値全幅での出射角φhの正の値を示している。
図9に示す斜線の領域は、半値全幅での出射角φhの正の値が12°付近の場合における、頂角θ1の取り得る範囲である。
図9に示されるように、頂角θ1は、55°以上65°以下、75°以上100°以下が好ましい。
【0031】
ここで本実施形態におけるノイズについて説明する。本実施形態においてノイズとは、X-Y平面に対して浅い角度で出射する光の光量とする。例えば、
図8(B)(頂角θ1=100°)において、出射角φv及びφhの両方において、30°以上90°以下、並びに、-90°以上―30°の領域に、出射光があることが分かる。このように浅い角度で出射する光(ノイズ)が多いということは、横に広がる出射光が多いということである。コリメート光を照射する発光装置ILDは、ノイズの割合が少ないことが好ましい。
【0032】
図10は、頂角θ1に対するノイズ相対値の関係を示す図である。
図10において、横軸は頂角θ1、縦軸は下記のようにして算出したノイズ相対値である。すなわち、
図8(B)(頂角θ1=100°)において、出射角φhが30°の輝度を1とする。当該輝度に対して、
図4(B)(頂角θ1=60°)、
図5(B)(頂角θ1=50°)、
図6(B)(頂角θ1=70°)、
図7(B)(頂角θ1=80°)の出射角φhが30°の輝度の相対値をプロットしたグラフが、
図10となる。
【0033】
図10に示す斜線の領域は、上述したノイズ相対値が極小値を取る場合の、頂角θ1の取り得る範囲を示している。
図10に示すように、頂角θ1は、55°以上65°以下、95°以上100°以下が好ましい。
さらに55°以上65°以下、並びに、95°以上100°以下を比較すると、頂角θ1が55°以上65°以下の方が、95°以上100°以下よりも、ノイズ相対値が小さい。
以上から、発光装置ILDの導光板LGの凸部TRVaは、頂角θ1が55°以上65°以下が好適であることは明らかである。
【0034】
ここで凸部TRVbの底角θ2が1°以上3°以下が好適である理由について述べる。
図11は、底角θ2に基づく出射光Lの出射角φvの変化を示す図である。
図11(A)は、底角θ2が小さい場合、
図11(B)は、底角θ2が大きい場合の出射角φvの角度及び出射光Lの分布を示している。
【0035】
図11(A)に示すように、底角θ2が小さい場合は、出射角φvは大きく、出射角度分布は狭い。換言すると、出射光Lは、導光板LGの主面LGaに対して浅い角度でまとまって出射すると言える。
一方、
図11(B)に示すように、底角θ2が大きい場合は、出射角φvは小さく、出射角度分布は広い。換言すると、出射光Lは、導光板LGの主面LGaに対して深い角度で広がって出射すると言える。
【0036】
図11(C)は、導光板LG、プリズムシートPRM、及び出射光Lの角度を説明する概略断面図である。
図11(C)に示されるように、導光板LGから出射した出射光Lは、プリズムシートPRMに入射し、プリズムシートPRMの凸部TRVp内部で反射し、上方に出射される。
上述したコリメート光を得るには、プリズムシートPRMから出射された出射光Lが、第3方向Zと平行方向に出射されることが望ましい。
【0037】
ここで
図11(A)に示す出射光Lは、出射角度分布が狭いため、プリズムシートPRMの上方に取り出される出射光の光量が多くなる。一方、
図11(B)に示す出射光Lは、出射角度分布が広いため、プリズムシートPRMの表面から上方に出射光が、様々な角度を持つ広がった光となってしまう。つまり、第3方向Zと平行な方向に取り出される出射光が少なくなる恐れが生じる。よって、出射光Lは、出射角度分布が狭いことが望ましい。狭い出射角度分布を得るには、導光板LGの凸部TRVbの底角θ2が小さいことが好適である。以下にさらに詳細について説明する。
【0038】
図12及び
図13は、底角θ2に対する出射角分布特性を示す図である。
図12は凸部TRVbの底角θ2が2°、
図13は底角θ2が5°の場合を示している。
図12(A)及び
図13(A)は、
図4(A)等と同様、出射角φv及びφhに対する、等輝度曲線である。
図12(A)及び
図13(A)において、横軸は出射角φh、縦軸は出射角φvを示しており、図中同一線は等輝度の部分を示している。
図12(B)及び
図13(B)は、それぞれ
図12(A)及び
図13(A)に基づいた、出射角φh及びφv、並びに輝度の関係を示すグラフである。
【0039】
図12(B)のグラフから半値全幅(FWHM)を求めると、半値全幅での出射角φvの範囲(出射角分布に相当)は24°となる。
図13(B)のグラフから半値全幅を求めると、半値全幅で出射角φvの範囲は38°となる。
すなわち、
図12(B)に示すグラフの方が、
図13(B)に示すグラフよりも、出射角度分布が狭いということである。よって、底角θ2は、5°より2°の方が好適である。
【0040】
さらに、半値全幅を用いた出射角度分布の評価について
図14を用いて説明する。
図14は、底角θ2に対する出射角φvとの関係を示す図である。
図14において、横軸は凸部TRVbの底角θ2、縦軸は半値全幅での出射角φvの範囲を示している。
図14に示されるように、底角θ2が増えるにつれ出射角φvの範囲も増加する。すなわちθ2が小さければ出射角度分布が狭い。しかし底角θ2は0°にはできないため、底角θ2の好適な範囲は、1°≦θ2≦3°である。また底角が1度未満では導光板LGからの光の出射効率が低下し、特に、底角が0度の場合は導光板LGから光の出射ができない。
【0041】
以上本実施の形態により、発光装置ILDの導光板LGの凸部TRVbについて、底角θ2が1°以上3°以下が好適であることは明らかである。
【0042】
本実施形態の発光装置ILDは、上述したようにコリメート光を出射することが可能である。このような発光装置ILDに集光装置を積層すると、光の照射方向が制御可能な照明装置を得ることができる。以下に本実施形態の照明装置について説明する。
【0043】
図15は、照明装置ILMの一構成例を示す図である。
図15に示す照明装置ILMは、上述した発光装置ILD、及び発光装置ILDに第3方向Zで重畳する集光装置LSMを有している。
照明装置ILMは、制御部CTを有している。制御部CTは、制御部ICT及びLCTを有している。制御部ICTは発光装置ILDを制御する制御部であり、制御部LCTは集光装置LSMを制御する制御部である。制御部ICTは、例えば
図1に示す光源素子LS1への電流を制御する。制御部LCTについては後述する。
【0044】
図16は、集光装置LSMの概略断面図である。集光装置LSMは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、複数の液晶分子からなる液晶層LCと、第1制御電極ELE1と、第2制御電極ELE2とを備えている。図示した例では、第1制御電極ELE1は第1基板SUB1に設けられ、第2制御電極ELE2は第2基板SUB2に設けられている。しかし第1制御電極ELE1及び第2制御電極ELE2がいずれも同一基板、つまり第1基板SUB1又は第2基板SUB2に設けられていてもよい。
【0045】
第1基板SUB1は、透光性を有する基材BA1と、第1制御電極ELE1と、配向膜ALA1と、給電線SPLとを備えている。第1制御電極ELE1は、基材BA1と液晶層LCとの間に位置している。複数の第1制御電極ELE1は、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。一例では、第1制御電極ELE1の第1方向Xに沿った幅は、隣り合う第1制御電極ELE1の第1方向Xに沿った間隔と同等以下である。配向膜ALA1は、第1制御電極ELE1を覆い、液晶層LCに接触している。給電線SPLは、有効領域AAの外側の非有効領域NAに位置している。
【0046】
第2基板SUB2は、透光性を有する基材BA2と、第2制御電極ELE2と、配向膜ALA2とを備えている。第2制御電極ELE2は、基材BA2と液晶層LCとの間に位置している。第2制御電極ELE2は、例えば、有効領域AAの略全面に位置するとともに非有効領域NAにも延在した単一の平板電極である。第2制御電極ELE2は、有効領域AAにおいて、液晶層LCを介して第1制御電極ELE1と対向している。第2制御電極ELE2は、非有効領域NAにおいて給電線SPLと対向している。配向膜ALA2は、第2制御電極ELE2を覆い、液晶層LCに接触している。
【0047】
基材BA1及びBA2は、例えばガラス基板または樹脂基板である。第1制御電極ELE1及び第2制御電極ELE2は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成されている。配向膜ALA1及びALA2は、例えば、水平配向膜であり、いずれも第1方向Xに沿って配向処理されている。
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、非有効領域NAにおいて、シール材SALによって接着されている。シール材SALは、導通材CDPを備えている。導通材CDPは、給電線SPLと第2制御電極ELE2との間に介在し、給電線SPLと第2制御電極ELE2とを電気的に接続している。
【0048】
液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持されている。液晶層LCは、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料によって形成されている。第1制御電極ELE1及び第2制御電極ELE2は、液晶層LCに電圧を印加することにより、液晶層LCに含まれる液晶分子LCMの配向方向を変化させる。液晶分子LCMの配向方向が変化することにより、液晶層LCに液晶レンズLNSが形成される。
【0049】
制御部LCTは、液晶層LCに印加する電圧を制御する。制御部LCTは、第1制御電極ELE1及び第2制御電極ELE2にそれぞれ供給する電圧を制御することにより、液晶層LCに含まれる液晶分子LCMの配向方向の変化の度合を制御することができる。また制御部LCTは、第1制御電極ELE1の各々に供給する電圧を制御することにより、液晶レンズLNSの半径、焦点距離、形成位置等を制御することができる。
【0050】
図17は、集光装置LSMの第1制御電極ELE1の形状を示す平面図である。
図17に示す第1制御電極ELE1は、多数の円弧電極ELE1a(中心部のみ円形)及び引出電極WLを有している。円弧電極ELE1aはそれぞれ引出電極WLを介して制御部ICTに接続されている。
上述したように、制御部LCTから第1制御電極ELE1に供給する電圧を変化させることにより、液晶レンズLNSの半径、焦点距離、形成位置等を変化させることが可能である。
【0051】
以上本実施形態により、コリメート光を照射可能な発光装置、及び当該発光装置を備える照明装置を得ることが可能である。このような照明装置では、指向性を有する光を照射可能であり、照射方向がより詳細な制御が可能である。
【実施例】
【0052】
図18は、実施例の発光装置を説明する図である。
図18(A)に示す発光装置ILDは、
図2と同様の構成を有しているので、詳細な説明は
図2を援用し、ここでは省略する。
図18(A)に示す発光装置ILDにおいて、導光板LGは、屈折率1.58のポリカーボネート材料で構成されている。導光板LGの大きさは、第1方向Xに沿った長さW、第2方向Yに沿った長さH、第3方向Zに沿った長さ(厚さ)Tは、それぞれ90mm、90mm、2.0mmである。
【0053】
導光板LGの凸部TRVaは、第2方向Yに沿って延伸する三角柱形状を有している。凸部TRVaの第1方向Xに沿った断面形状は、頂角θ1が60°の二等辺三角形である。
導光板LGの凸部TRVは、第1方向Xに沿って延伸する三角柱形状を有している。導光板LGの凸部TRVbにおいて、第2方向Yに沿った断面形状は、底角θ2が2°(頂角176°)の二等辺三角形である。
【0054】
図18(B)は、
図18(A)に示すプリズムシートPRMの線C1-C2に沿った断面図である。プリズムシートPRMは、屈折率1.52のアクリル材料で構成されている。プリズムシートPRMは、上述のように、第1方向Xに沿って延伸する三角柱形状の凸部TRVpが設けられている。凸部TRVpの第2方向Yに沿った断面形状は、頂点が底辺より下方に位置する二等辺三角形である。凸部TRVpの断面形状である二等辺三角形の頂角を、頂角θ3とする。
図18(A)及び
図18(B)において、頂角θ3は68°である。
【0055】
また
図18(A)に示す反射シートREFは、銀蒸着正反射材により構成されている。光源素子LS1は、発光ダイオード(LED)である。
【0056】
図18(A)及び
図18(B)に示す発光装置ILDからの出射光について、出射角φv及びφh、並びに輝度についての関係を示したグラフが、
図4(B)となる。
図4(B)については、すでに詳述したので、ここでは説明は省略する。このように本実施例において、コリメート光を出射可能な発光装置を得ることができる。
【0057】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
ILD…発光装置、ILM…照明装置、L…出射光、LG…導光板、LG1s…側面、LG2s…側面、LGa…主面、LGb…主面、LNS…液晶レンズ、LS…光源素子、LS1…光源素子、LS2…光源素子、LSM…集光装置、PRM…プリズムシート、REF…反射シート、TRV…凸部、TRVa…凸部、TRVb…凸部、TRVba…凸部、TRVp…凸部、VLYa…谷部、VLYb…谷部、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向。