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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】モータ駆動装置及びモータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20240109BHJP
【FI】
H02P29/024
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020070004
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021166462
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌浩
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-261396(JP,A)
【文献】特開平05-130795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの第1の相を駆動する第1の駆動回路と、
前記モータの第2の相を駆動する第2の駆動回路と、
前記第1の相の経路で発生した過電流異常を検出する第1の検出回路と、
前記第2の相の経路で発生した過電流異常を検出する第2の検出回路と、
前記第1の相の経路で発生した負荷オープン異常を検出する第3の検出回路と、
前記第2の相の経路で発生した負荷オープン異常を検出する第4の検出回路と、
前記第1の検出回路から前記第4の検出回路の検出結果に基づいて、異常が検出された前記第1の相又は前記第2の相の経路に関する情報と、発生した前記過電流異常又は前記負荷オープン異常に関する情報と、の両方をフラグ信号として出力する出力回路と、
を有することを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項2】
前記出力回路は、前記第1の検出回路乃至前記第4の検出回路の検出結果のそれぞれに対応した複数のフラグ信号を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記第1の検出回路から前記第4の検出回路の検出結果に基づいて、前記モータを制御するための第1及び第2の制御信号を前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路に出力する制御回路を有することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記第1の駆動回路は、前記第1の制御信号に基づいて、前記モータの前記第1の相を駆動し、
前記第2の駆動回路は、前記第2の制御信号に基づいて、前記モータの前記第2の相を駆動することを特徴とする請求項3に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記第1の駆動回路は、電源とグランドとの間に、直列接続された第1のトランジスタと第2のトランジスタ、及び、直列接続された第3のトランジスタと第4のトランジスタが、並列接続され、
前記第2の駆動回路は、前記電源と前記グランドとの間に、直列接続された第5のトランジスタと第6のトランジスタ、及び、直列接続された第7のトランジスタと第8のトランジスタが、並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記第1、前記第2、前記第3、前記第4、前記第5、前記第6、前記第7、及び、前記第8のトランジスタには、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び、第8の過電流検出用の検出回路が並列に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記第1の検出回路は、前記第1、前記第2、前記第3、及び、前記第4の過電流検出用の検出回路の検出結果に基づいて、前記過電流異常を検出し、
前記第2の検出回路は、前記第5、前記第6、前記第7、及び、前記第8の過電流検出用の検出回路の検出結果に基づいて、前記過電流異常を検出することを特徴とする請求項6に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
前記第2、前記第4のトランジスタと前記グランドとの接続点には、第1のコンパレータが接続され、
前記第6、前記第8のトランジスタと前記グランドとの接続点には、第2のコンパレータが接続されていることを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記第3の検出回路は、前記第1のコンパレータの検出結果に基づいて、前記負荷オープン異常を検出し、
前記第4の検出回路は、前記第2のコンパレータの検出結果に基づいて、前記負荷オープン異常を検出することを特徴とする請求項8に記載のモータ駆動装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載のモータ駆動装置と、
前記フラグ信号に基づいて、前記モータ駆動装置を制御するマイクロコントロールユニットと、
を有することを特徴とするモータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、モータ駆動装置及びモータ駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用途に用いられる半導体装置、例えばモータ駆動装置は、高い信頼性が求められているため、異常検出機能が一般的に搭載されている。代表的な異常検出機能は、過電流(ショート不良)の検出、及び、負荷オープン(オープン不良)の検出等がある。モータ駆動装置は、異常を検出し、検出結果を外部のマイクロコントロールユニットに送信する。マイクロコントロールユニットがモータ駆動装置の動作を停止させる、あるいは、安全な動作をさせるように制御する。
【0003】
また、モータ駆動装置は、ステッピングモータ等の複数相のコイルで構成されたモータを駆動する場合、コイルのいずれの相で異常が発生したかを検出することが、安全性の向上に有効である。
【0004】
しかしながら、いずれの相で異常が発生しているかを検出するためには、外付けの電流検出回路を設け、各相のコイルまたはその経路に流れる電流を監視する必要があった。あるいは、シーケンスを組み、各相のコイルを個別に励磁した状態で電流を監視する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3146815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、複数相のいずれで異常が発生しているかを容易に検出することができるモータ駆動装置及びモータ駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のモータ駆動装置は、第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、第1の検出回路と、第2の検出回路と、第3の検出回路と、第4の検出回路と、出力回路とを有する。第1の駆動回路は、モータの第1の相を駆動する。第2の駆動回路は、モータの第2の相を駆動する。第1の検出回路は、第1の相の経路で発生した過電流異常を検出する。第2の検出回路は、第2の相の経路で発生した過電流異常を検出する。第3の検出回路は、第1の相の経路で発生した負荷オープン異常を検出する。第4の検出回路は、第2の相の経路で発生した負荷オープン異常を検出する。出力回路は、第1の検出回路から第4の検出回路の検出結果に基づいて、異常が検出された第1の相又は第2の相の経路に関する情報と、発生した過電流異常又は負荷オープン異常に関する情報と、の両方をフラグ信号として出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のモータ駆動システムの構成を示す図である。
図2】駆動回路の構成を示す図である。
図3】各異常状態と出力端子から出力される異常検出フラグ信号との関係の一例を示す図である。
図4】各異常状態と出力端子から出力される異常検出フラグ信号との関係の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
図1は、一実施形態のモータ駆動システムの構成を示す図である。モータ駆動システム1は、モータ駆動装置2と、マイクロコントロールユニット(以下、MCUと呼ぶ)3と、ステッピングモータ10とを有して構成されている。
【0010】
ステッピングモータ10は、A相(第1の相)のコイル11と、B相(第2の相)のコイル12と、ロータ13とにより構成されている。なお、ステッピングモータ10は、2相に限定されることなく、3相以上であってもよい。また、モータ駆動システム1は、ステッピングモータ10に代わり2相以上のブラシレスモータで構成されていてもよい。
【0011】
モータ駆動装置2は、MCU3の制御のもとステッピングモータ10を駆動する装置である。MCU3は、モータ駆動装置2を制御するための信号を出力する。
【0012】
モータ駆動装置2は、電源回路21と、モータ制御回路22と、駆動回路23、24と、過電流検出回路25、26と、負荷オープン検出回路27、28と、過熱検出回路29と、異常検出フラグ信号出力回路30と、複数の入出力端子31とを有して構成されている。ここで、複数の入出力端子のうち、異常検出フラグ信号出力回路30が異常検出を示すフラグ信号を出力する3つの端子を出力端子DIAG32、33、34と呼ぶ。
【0013】
電源回路21には、図示しない商用電源やバッテリ等の電源が供給される。電源回路21は、供給された電源を各回路の動作電圧に変換し、供給する。
【0014】
モータ制御回路22は、ステッピングモータ10を制御するための制御信号SC1及びSC2を駆動回路23及び24に出力する。駆動回路23及び24は、制御信号SC1及びSC2に基づいてステッピングモータ10を駆動する。より具体的には、制御信号SC1に基づいて、駆動回路23はA相のコイル11を駆動し、制御信号SC2に基づいて、駆動回路24はB相のコイル12を駆動する。
【0015】
図2は、駆動回路の構成を示す図である。駆動回路23は、電源とグランドとの間に、直列接続されたFET51とFET52、および、FET53とFET54が、並列に接続されている。そして、駆動回路23は、FET51及びFET52の接続点と、FET53及びFET54の接続点との間にコイル11を接続してA相のHブリッジ回路を構成する。
【0016】
FET51~54のそれぞれには、過電流検出用の検出回路51a~54aが並列に設けられている。検出回路51a~54aは、それぞれFET51~54に流れる電流を測定するセンサと、測定された電流を基準電流と比較する比較回路とを有し、測定された電流と基準電流とを比較し、過電流の検出結果を過電流検出回路25に出力する。検出回路51a~54aは、例えば、測定された電流が基準電流よりも高い場合にはHレベルの信号を、測定された電流が基準電流以下の場合にはLレベルの信号を、過電流検出回路25に出力する。
【0017】
また、FET52、54とグランドとの接続点は、オープン不良の異常を検出するためのコンパレータ55が接続されている。コンパレータ55は、一方の入力端子にコイル11に供給されている電圧が入力され、他方の入力端子に基準電圧が入力される。コンパレータ55は、コイル11に供給されている電圧と基準電圧とを比較し、負荷オープンの検出結果を出力する。コンパレータ55は、例えば、供給されている電圧が基準電圧よりも高い場合にはHレベルの信号を、供給されている電圧が基準電圧以下の場合にはLレベルの信号を、負荷オープン検出回路27に出力する。
【0018】
同様に、駆動回路24は、電源とグランドとの間に、直列接続されたFET61とFET62、及び、FET63とFET64が、並列に接続されている。そして、駆動回路24は、FET61及びFET62の接続点と、FET63及びFET64の接続点との間にコイル12を接続してB相のHブリッジ回路を構成する。
【0019】
FET61~64のそれぞれには、過電流検出用の検出回路61a~64aが並列に設けられている。検出回路61a~64aは、それぞれFET61~64に流れる電流を測定するセンサと、測定された電流を基準電流と比較する比較回路とを有し、測定された電流と基準電流とを比較し、過電流の検出結果を過電流検出回路26に出力する。検出回路61a~64aは、例えば、測定された電流が基準電流よりも高い場合にはHレベルの信号を、測定された電流が基準電流以下の場合にはLレベルの信号を、過電流検出回路26に出力する。
【0020】
また、FET62、64とグランドとの接続点は、オープン不良の異常を検出するためのコンパレータ65が接続されている。コンパレータ65は、一方の入力端子にコイル12に供給されている電圧が入力され、他方の入力端子に基準電圧が入力される。コンパレータ65は、コイル12に供給されている電圧と基準電圧とを比較し、負荷オープンの検出結果を出力する。コンパレータ65は、例えば、供給されている電圧が基準電圧よりも高い場合にはHレベルの信号を、供給されている電圧が基準電圧よりも低い場合にはLレベルの信号を負荷オープン検出回路28に出力する。
【0021】
FET52及び54には、モータ制御回路22から制御信号SC1が入力され、FET51及び53には、インバータINV1及びINV2により反転された制御信号SC1が入力される。制御信号SC1により、FET51及びFET54がONされると、コイル11は、矢印Aの方向に電流が流れる。一方、制御信号SC1により、FET52及びFET53がONされると、コイル11は、矢印Bの方向に電流が流れる。
【0022】
同様に、FET62及び64には、モータ制御回路22から制御信号SC2が入力され、FET61及び63には、インバータINV3及びINV4により反転された制御信号SC2が入力される。制御信号SC2により、FET61及びFET64がONされると、コイル12は、矢印Bの方向に電流が流れる。一方、制御信号SC2により、FET62及びFET63がONされると、コイル12は、矢印Aの方向に電流が流れる。
【0023】
駆動回路23及び24は、制御信号SC1及びSC2に応じて、コイル11、12に流れる電流の方向を切り替えることで発生する磁界の方向を変化させてロータ13を回転させる。
【0024】
第1の検出回路を構成する過電流検出回路25は、検出素子51a~54aからの検出結果に基づいて、コイル11及びコイル11にかかる経路の過電流異常(ショート不良)を検出する。コイル11の両端子のいずれかが電源線に短絡(天絡)または接地線に短絡(地絡)、あるいは、コイル11に接続されている配線同士が短絡することで、電位差のある2点が接続されて大きな電流が流れる。検出回路51a~54aで基準電流より大きな電流が検出された場合、過電流検出回路25は、ショート不良と検出する。
第2の検出回路を構成する過電流検出回路26は、検出素子61a~64aからの検出結果に基づいて、コイル12及びコイル12にかかる経路の過電流異常(ショート不良)を検出する。検出回路61a~64aで基準電流より大きな電流が検出された場合、過電流検出回路26は、ショート不良と検出する。
【0025】
過電流検出回路25、26は、検出結果をモータ制御回路22及び異常検出フラグ信号出力回路30に出力する。例えば、過電流検出回路25、26は、ショート不良の異常を検出していない場合、Lレベルの信号を出力し、ショート不良の異常を検出した場合、Hレベルの信号を出力する。
【0026】
第3の検出回路を構成する負荷オープン検出回路27は、コンパレータ55の検出結果に基づいて、コイル11及びコイル11にかかる経路の負荷オープン異常(オープン不良)を検出する。コイル11及びコイル11に接続されている配線(電源線)が断線することで、電源及びグランド間に電流が流れなくなる。これにより、コンパレータ55の一方の入力端子に0Vが入力される。コンパレータ55で基準電圧以下の電圧が検出された場合、負荷オープン検出回路27は、オープン不良と検出する。
第4の検出回路を構成する負荷オープン検出回路28は、コンパレータ65の検出結果に基づいて、コイル12及びコイル12にかかる経路の負荷オープン異常(オープン不良)を検出する。コンパレータ65で基準電圧以下の電圧が検出された場合、負荷オープン検出回路28は、オープン不良と検出する。
【0027】
負荷オープン検出回路27、28は、検出結果をモータ制御回路22及び異常検出フラグ信号出力回路30に出力する。例えば、負荷オープン検出回路27、28は、異常を検出していない場合、Lレベルの信号を出力し、異常を検出した場合、Hレベルの信号を出力する。
【0028】
過熱検出回路29は、モータ駆動装置2の温度を検出し、過熱されているかを否かの検出結果をモータ制御回路22及び異常検出フラグ信号出力回路30に出力する。例えば、過熱検出回路29は、過熱の異常を検出していない場合、Lレベルの信号を出力し、過熱の異常を検出した場合、Hレベルの信号を出力する。
【0029】
モータ制御回路22は、過電流検出回路25、26、負荷オープン検出回路27、28及び過熱検出回路29の検出結果に応じて、モータ駆動装置2の動作を停止させる、あるいは、安全な動作をさせるように制御する。例えば、過電流検出回路25、26、過熱検出回路29の検出結果に異常があった場合、モータ駆動装置2の温度が上がり、発火する虞があるため、モータ制御回路22はモータ駆動装置2を停止するように制御する。一方、負荷オープン検出回路27、28の検出結果に異常があった場合、モータ駆動装置2が発火する虞がないため、モータ制御回路22はモータ駆動装置2を必ずしも停止する必要がなく、安全な動作をさせるように制御する。
【0030】
出力回路を構成する異常検出フラグ信号出力回路30は、過電流検出回路25、26、負荷オープン検出回路27、28及び過熱検出回路29の検出結果に応じたフラグ信号を、出力端子DIAG32、33、34を経由してMCU3に出力する。MCU3は、フラグ信号からA相とB相のいずれでショート不良が発生したか、オープン不良が発生したかを認識することができる。
【0031】
図3は、各異常状態と出力端子から出力される異常検出フラグ信号との関係の一例を示す図である。出力端子DIAG32、33、34は、通常動作時にはHi-Zとなっており、異常検出時にはLを出力する、あるいは、Hi-Zのままとなる。異常検出フラグ信号出力回路30は、図3の真理値表の出力信号を生成する回路構成を有している。過電流検出回路25、26、負荷オープン検出回路27、28及び過熱検出回路29の検出結果が全て正常の場合、出力端子DIAG32、33、34はHi-Zのままである。
【0032】
過電流検出回路25の検出結果が異常の場合、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG32からLを出力し、出力端子DIAG33、34はHi-Zのままである。
過電流検出回路26の検出結果が異常の場合、出力端子DIAG32、34はHi-Zのままで、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG33からLを出力する。
【0033】
負荷オープン検出回路27の検出結果が異常の場合、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG32、34からLを出力し、出力端子DIAG33はHi-Zのままである。
負荷オープン検出回路28の検出結果が異常の場合、出力端子DIAG32はHi-Zのままで、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG33、34からLを出力する。
【0034】
異常検出フラグ信号出力回路30は、過熱検出回路29の検出結果が異常の場合、出力端子DIAG32、33、34からLを出力する。
【0035】
このように、本実施形態のモータ駆動装置2は、A相専用の過電流検出回路25及び負荷オープン検出回路27と、B相専用の過電流検出回路26及び負荷オープン検出回路28と設け、過電流検出回路25、26、負荷オープン検出回路27、28の検出結果に応じたフラグ信号を外部のMCU3に通知する。この結果、MCU3はA相とB相のいずれでショート不良が発生したか、オープン不良が発生したかを認識することができる。
【0036】
本実施形態の構成によれば、モータ駆動装置2とは別に外付けの電流検出回路を設ける必要がなく、かつ、各相のコイルを個別に励磁した状態で電流を監視する等の複雑なシーケンスを組む必要もない。よって、本実施形態のモータ駆動装置によれば、複数相のいずれで異常が発生しているかを容易に検出することができる。
【0037】
なお、本実施形態では出力端子DIAG32、33、34を備えているため、異常検出フラグ信号出力回路30は、最大で8つの状態をMCU3に通知することができる。図3の例では異常検出フラグ信号出力回路30は、6つの状態をMCU3に通知しているが、図4に示すように8つの状態をMCU3に通知してもよい。
【0038】
図4は、各異常状態と出力端子から出力される異常検出フラグ信号との関係の他の例を示す図である。図4は、図3の6つの状態に加え、2つの異常検出の組み合せについても示している。
【0039】
負荷オープン検出回路28の検出結果が異常となった後、過電流検出回路25の検出結果が異常となった場合、出力端子DIAG32、33はHi-Zのままで、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG34からLを出力する。
また、負荷オープン検出回路27の検出結果が異常となった後、過電流検出回路26の検出結果が異常となった場合、異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子DIAG32、33からLを出力し、出力端子DIAG34はHi-Zのままである。
【0040】
オープン不良の異常では、モータ駆動装置2の動作を必ずしも停止する必要がない。そのため、異常検出フラグ信号出力回路30は、オープン不良の異常からショート不良の異常が発生した場合、MCU3に異常検出を示すフラグ信号を出力するようにしている。これにより、異常検出フラグ信号出力回路30は、異常の発生した順番をMCU3に通知することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、2相のステッピングモータ10のいずれの相で異常が発生したかを検出しているが、3相以上のステッピングモータのいずれの相で異常が発生したかを検出することができる。
【0042】
相のそれぞれに対して過電流検出回路と負荷オープン検出回路とを設けるとともに、異常検出フラグ信号出力回路30に接続される出力端子を4つ以上設けるようにする。異常検出フラグ信号出力回路30は、出力端子を4つ以上設けることで、最大で16の状態をMCU3に通知することができる。これにより、MCU3は、いずれの相で異常が発生したかを認識することができる。
【0043】
発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…モータ駆動システム、2…モータ駆動装置、3…MCU、10…ステッピングモータ、11,12…コイル、13…ロータ、21…電源回路、22…モータ制御回路、23,24…駆動回路、25,26…過電流検出回路、27,28…負荷オープン検出回路、29…過熱検出回路、30…異常検出フラグ信号出力回路、31…入出力端子、32~34…出力端子、51~54,61~64…FET、51a~54a,61a~64a…検出素子、55,65…コンパレータ。
図1
図2
図3
図4