(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電子機器、制御方法およびコンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20240109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240109BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240109BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240109BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20240109BHJP
【FI】
G06F1/26 306
H02J7/00 303C
G03B15/05
G03B17/02
G03B7/091
(21)【出願番号】P 2020071196
(22)【出願日】2020-04-10
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千島 悠輝
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-528625(JP,A)
【文献】特開2013-034172(JP,A)
【文献】特開2000-041340(JP,A)
【文献】特表2016-537749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 - 1/3296
H02J 7/00
G03B 15/05
G03B 17/02
G03B 7/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
複数の動作モードの
うち、前記電子機器に現在
設定されている動作モードに応じて、
前記電子機器に接続されたアクセサリ機器が有する電池の目標とする
残量を
決定する決定手段と、
前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量よりも少ない場合に、前記アクセサリ機器の電池が前記電子機器から供給された電力で充電されるように前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を行い、前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量以上の場合に前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を停止するように、前記決定された残量
に基づいて前記アクセサリ機器への給電処理を
制御する
制御手段と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電子機器の電池から前記アクセサリ機器に電力供給を行い、前記電子機器
の電池の
残量が所定の値以下の場合には
、前記アクセサリ機器への給電を停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記アクセサリ機器と通信するための通信手段を有し、
前記
制御手段は、
所定の周期で、前記通信手段を介して前記アクセサリ機器の電池の
残量を示す情報を受信し、
受信した
残量が前記目標とする
残量よりも小さい場合は、前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を行い、
前記受信した
残量が前記目標とする
残量以上である場合には、前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器はデジタルカメラであり、前記アクセサリ機器はストロボ装置であり、
前記複数の動作モードは、ストロボ発光禁止モード、動画
撮影モード、プログラムAE撮影モード
を含み、
前記
決定手段は、
前記ストロボ発光禁止モードにおいて第1の値を前記目標の残量として決定し、前記動画撮影モードにおいて前記第1の値よりも大きい第2の値を前記目標の残量として決定し、前記プログラムAE撮影モードにおいて前記第2の値よりも大きい第3の値を前記目標の残量として決定することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記アクセサリ機器が接続されるコネクタを有し、
前記制御手段は、前記コネクタを介して前記アクセサリ機器に電力を供給することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
電子機器の制御方法であって、
複数の動作モードの
うち、前記電子機器に現在
設定されている動作モードに応じて、
前記電子機器に接続されたアクセサリ機器が有する電池の目標とする
残量を
決定する決定工程と、
前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量よりも少ない場合に、前記アクセサリ機器の電池が前記電子機器から供給された電力で充電されるように前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を行い、前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量以上の場合に前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を停止するように、前記決定された残量
に基づいて前記アクセサリ機器への給電処理を
制御する
制御工程と
を有することを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項7】
電子機器のコンピュータに、
複数の動作モードの
うち、前記電子機器に現在
設定されている動作モードに応じて、
前記電子機器に接続されたアクセサリ機器が有する電池の目標とする
残量を
決定する決定工程と、
前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量よりも少ない場合に、前記アクセサリ機器の電池が前記電子機器から供給された電力で充電されるように前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を行い、前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量以上の場合に前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を停止するように、前記決定された残量
に基づいて前記アクセサリ機器への給電処理を
制御する
制御工程
を実行させるためのプログラム
を格納したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、制御方法およびコンピュータ可読記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンピュータとUSBデバイスとが接続されている場合に、コンピュータからUSBデバイスに電力を供給するコンピュータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、第1の機器から第2の機器に電力を供給するシステムを想定した場合は、どのような条件が満たされた場合に、第1の機器から第2の機器に電力を供給すればよいかを考慮する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、第1の機器の動作モードに基づき、第1の機器から第2の機器への給電を制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課代を解決するために、本発明の電子機器は、複数の動作モードのうち、前記電子機器に現在設定されている動作モードに応じて、前記電子機器に接続されたアクセサリ機器が有する電池の目標とする残量を決定する決定手段と、前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量よりも少ない場合に、前記アクセサリ機器の電池が前記電子機器から供給された電力で充電されるように前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を行い、前記アクセサリ機器の電池の残量が前記決定された残量以上の場合に前記電子機器から前記アクセサリ機器への給電を停止するように、前記決定された残量に基づいて前記アクセサリ機器への給電処理を制御する制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の機器の動作モードに基づき、第1の機器から第2の機器への給電を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1における給電システムの構成要素の一例を説明するためのブロック図である。
【
図2】マスター機器とスレーブ機器との接続状態の一例を説明するための図である。
【
図3】マスター機器での動作モードを設定するためのモードダイヤルの上面図である。
【
図4】スレーブ電池の目標電池残量を決定する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】状態遷移におけるスレーブ機器への給電処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1における給電システムの構成要素を説明するためのブロック図である。実施形態1における給電システムは、マスター機器100およびスレーブ機器200を有する。実施形態1においては、マスター100は、例えば、デジタルカメラとして動作可能な電子機器である。スレーブ機器200は、マスター機器100のアクセサリ機器の1つであるストロボとして動作可能な電子機器である。マスター機器100はスレーブ機器200を制御する電子機器、スレーブ機器200はマスター機器100によって制御される電子機器と考えると分かり易い。
【0011】
マスター機器100は、マスター電池101、マスター電源回路102、マスター制御部103、マスター内部回路104、スイッチ105、スレーブ接続部110、操作部111を有する。
【0012】
マスター電池101は、マスター機器100の電力源であり、充電可能な電池である。マスター電池101は、マスター機器100から取り外し可能な電池でもあってもよい。
【0013】
マスター電源回路102は、マスター電池101の電圧を、マスター制御部103およびマスター内部回路104に適した電圧に変換し、変換後の電圧をマスター制御部103およびマスター内部回路104に供給する。この結果、マスター制御部103およびマスター内部回路104が機能することになる。
【0014】
マスター制御部103は、プロセッサと、当該プロセッサで実行されるプログラムを格納したメモリ(例えばEEPROM)と、当該プロセッサがワークエリアとして使用するメモリ(例えばRAM)とを含む。
【0015】
操作部111は、ユーザが操作可能なユーザインターフェースであり、スイッチ、ボタンおよびタッチパネルを含む。操作部111には、撮影モードを設定するモードダイヤル115も含まれている。
【0016】
スレーブ接続部110は、マスター機器100とスレーブ機器200とを電気的に接続すると共に、マスター機器100とスレーブ機器200とを一体に保持する。実施形態1におけるマスター機器100はデジタルカメラであるので、スレーブ接続部110は例えばアクセサリシューである。マスター制御部103は、スレーブ接続部110へのスレーブ機器200の接続を検出できる。検出方法としては、スレーブ機器200を接続した際に押下状態となるメカニカルスイッチを利用する方法、スレーブ接続部110に含まれる特定の信号線の電圧値から判定する方法等があり、いずれを採用しても構わない。
図2は、マスター機器100のスレーブ接続部110にスレーブ機器200を接続した様を示している。
図2における2つの「BAT」の一方はマスター電池101を、他方がスレーブ電池201を表している。
【0017】
マスター制御部103は、通信線106を介して受信した信号から、マスター電池101の電池残量を判定できる。また、マスター制御部110は、通信線112を介して受信した信号から、ユーザによる操作部111に対する操作があったか否か、および、その操作の種別を判定できる。
【0018】
また、マスター制御部103は、通信線114を介して、マスター内部回路104を制御する。この結果、マスター機器100がデジタルカメラとして機能する。なお、実施形態1において、マスター内部回路104は、デジタルカメラとしての機能を提供するための回路であるものとし、その詳細な説明は省略する。
【0019】
スレーブ接続部110にスレーブ機器200が接続されている場合、マスター制御部103は、通信線108を介して、スレーブ機器200のスレーブ制御部203と通信できる。この通信にて、マスター制御部103は、複数種類の要求を、スレーブ接続部110に送信できる。送信できる要求には、電池残量の要求、発光要求、機種情報の要求、性能情報の要求、発光履歴の要求等が含まれるが、その詳細については後述する。
【0020】
また、マスター制御部103は、通信線107を介して、スイッチ105の開閉を制御できる。したがって、スレーブ接続部110にスレーブ機器200が接続され、かつ、スイッチ105の開いている場合は、マスター電池101からの電力が、スレーブ機器200にも供給される。スイッチ105が閉じると、マスター機器100からの電力はスレーブ機器200へは供給されない。
【0021】
スレーブ機器200は、スレーブ電池201、スレーブ電源回路202、スレーブ内部回路204、スレーブ制御部203を有する。
【0022】
スレーブ電池201は、スレーブ機器200の電力源であり、充電可能な電池である。スレーブ電池201は、スレーブ機器200から取り外し可能な電池でもあってもよい。
【0023】
スレーブ機器200がマスター機器100のスレーブ接続部110に接続され、かつ、スイッチ105が開いているとする。この場合、マスター機器100のマスター電池101からの電力が、スレーブ機器のスレーブ電池201およびスレーブ電源回路202に供給されることになる。この結果、スレーブ機器200は、マスター機器100から供給される電力で動作し、かつ、スレーブ電池201は充電される。
【0024】
スレーブ制御部203は、プロセッサと、当該プロセッサで実行されるプログラムを格納したメモリ(例えばEEPROM)と、当該プロセッサがワークエリアとして使用するメモリ(例えばRAM)とを含む。
【0025】
スレーブ制御部203は、通信線205を介して受信した信号から、スレーブ電池101の電池残量を判定できる。
【0026】
また、スレーブ機器200が、マスター機器100のスレーブ接続部110に接続されているとする。この場合、スレーブ制御部203は、通信線108を介して、マスター機器100のマスター制御部103と通信できる。そして、スレーブ制御部203は、通信線108を介して受信した要求に応じた処理を実行する。
【0027】
例えば、電池残量情報の要求を受信した場合、スレーブ制御部203は、通信線205を介して得た信号からスレーブ電子201の電池残量を表す百分率の値の情報を生成する。そして、スレーブ制御部203は、生成した情報を、要求に対する応答として、マスター機器100のマスター制御部103に送信する。
【0028】
また、発光要求を受信した場合、スレーブ制御部203は、通信線207を介してスレーブ内部回路204を制御し、ストロボ発光を行わせる。そして、スレーブ制御部203は、その発光完了を示す情報を要求に対する応答として、マスター制御部103に送信する。また、スレーブ制御部203は、発光要求の受信する回数をカウントし、そのカウントした値を、揮発性メモリにおける所定のアドレスに、日付と関連付けて不揮発性メモリに格納する。スレーブ制御部203は、ストロボ発光要求を受信した際の日付が、不揮発性メモリに記憶された日付と異なる場合、カウント値を“0”にリセットしてからカウントアップする。この結果、スレーブ制御部203は、不揮発性メモリには、直近日の発光回数を記憶することができる。なお、実施形態1において、スレーブ内部回路204は、ストロボとして機能するための回路であるとし、その詳細な説明は省略する。
【0029】
また、機種情報の要求を受信した場合には、スレーブ制御部203は、スレーブ機器200のモデル名を示す情報をマスター制御部103に送信する。性能情報の要求を受信した場合は、スレーブ制御部203は、ガイドナンバーや1回当たりのストロボ発光での電力消費量等の情報を、要求に対する応答として、マスター制御部103に送信する。そして、発光履歴の要求を受信した場合、スレーブ制御部203は、不揮発性メモリから、直近の一日におけるストロボの発光回数を示す情報を取得する。そして、スレーブ制御部203は、その取得した発光回数を示す情報を、要求に対する応答として、マスター制御部103に送信する。
【0030】
図3は、マスター機器100の操作部111の構成要素であるモードダイヤル115の上面図である。図示のように、モードダイヤル115の上面には複数のモードそれぞれを表す記号や文字等のシンボルが刻印されている。ユーザは、このモードダイヤルを回動させることで、目的とするモードを選択できる。マスター制御部103は、通信線112を介して受信した信号に基づき、ユーザがいずれのモードを選択したのかを判定できる。なお、複数のモードの中から1つを選択できればよい。したがって、モードダイヤルの代わりに、複数のモードを選択可能にメニュー表示することで実現しても構わない。
【0031】
シンボル301は動画の撮影と記録を行うモード(以降、動画モード)を示している。動画モードにおいて、マスター制御部103が通信線112を介して操作部111における所定ボタンの押下を示す信号を受信した場合、マスター制御部103はマスター内部回路104を制御することで、動画像の撮影と記録処理を実行する。
【0032】
シンボル302から307は、静止画の撮影と記録を行うモードである。シンボル302は、一般にマニュアル露出撮影モードと呼ばれる撮影モード(以降、Mモード)を表している。シンボル303は、一般に絞り優先AE撮影モードと呼ばれる撮影モード(以降、AVモード)を表している。シンボル304は、一般にシャッター速度優先AE撮影モードと呼ばれる撮影モード(以降、TVモード)を表している。シンボル305は、一般にプログラムAE撮影モードと呼ばれる撮影モード(以降、Pモード)を表している。シンボル306は、一般的にオート露出撮影モードと呼ばれる撮影モード(以降、Aモード)を表している。シンボル307は、ストロボ発光禁止モードである。撮影モードがストロボ発光禁止モードである場合、マスター制御部103は、スレーブ機器200に、発光要求を送信することはない。
【0033】
また、上述した一般的なモードの他に、マスター機器100が利用できるモードには、ポートレートモード、マクロモード等の、特殊な撮影補助を行うモードが含まれるが、ここでは、それら全てを「その他のモード」として定義する。
【0034】
本願の発明者は、スレーブ機器200によるストロボ発光を利用する可能性が高いモードは概ね次のような順になると考えた。
ストロボ発光禁止モード≦動画モード<Pモード<M/AV/TV/Aモードおよびその他のモード …(1)
式(1)に示す順位において、ストロボ発光禁止モードが最下位となるのは、スレーブ電池201の電池残量がない場合であっても、撮像・記録への影響はないからである。また、動画モードが2番目に低いのは、動画の撮影記録中では、ストロボ発光を利用した静止画の撮影記録を行うことは起こり得るものの、そのようなことはめったにないことが理由である。M/AV/TV/Aモードにおいては、スレーブ機器200のストロボ発光による撮影を行うか否かは、屋内か屋外か、天候等の撮影状況、並びに、ユーザの好み(ユーザ設定)に依存する。ただし、M/AV/TV/Aモードにおける撮影では、Pモードのときの撮影よりも、ストロボ発光する可能性は高い。
【0035】
さて、ユーザが撮影する静止画の枚数は未知であるが、ストロボ発光する可能性が高い撮影モードほど、スレーブ機器200におけるスレーブ電池201の電池残量が多いことが望まれることは明らかである。
【0036】
そこで、スレーブ機器200がスレーブ接続部110に接続された際、マスター制御部103は、スレーブ機器200のスレーブ電池201の目標電池残量Wtargetを決定する。なお、実施形態1における電池残量とは、対象となる電池が有する全電力量に対する百分率で表すものとして説明する。
【0037】
目標電池残量Wtargetを決定するため、実施形態1におけるマスター制御部103は、以下に示す条件の下での処理を実行する。
(i)マスター電池101の電池残量が閾値Th_mよりも小さい場合は、マスター機器の動作を優先するために、目標電池残量Wtargetの決定処理は行わない。
(ii)以下は、マスター電池101の電池残量が閾値Th_m以上であることを条件で実行される処理である。
・撮影モードがストロボ発光禁止モードである場合
マスター制御部103は、ストロボ発光禁止モード用に所定の値W0を、目標電池残量Wtargetとして決定する。
・撮影モードが動画モードである場合
マスター制御部103は、動画モード用に所定の値W1を、目標電池残量Wtargetとして決定する。
・撮影モードがPモードである場合
マスター制御部103は、Pモード用に所定の値W2を、目標電池残量Wtargetとして決定する。
・撮影モードが、M、AV、TV、A、および、「その他のモード」のいずれかである場合
マスター制御部103は、発光履歴の要求をスレーブ機器200に送信することで、直近日のストロボ発光回数Nを受信する。そして、マスター制御部103は、1回当たりのストロボ発光の消費電力と、ストロボ発光回数Nと、補正係数とを乗算することで、直近日の撮影でのストロボ発光による消費された電力量を計算する。そして、マスター制御部103は、計算した消費電力量を、スレーブ電池201の全電力量で除算することで、消費電力の百分率の値Weを計算する。そして、マスター制御部103は、計算した値Weと、所定の値W3とを比較し、大きい方を目標電池残量Wtargetとして決定する。
【0038】
実施形態1において、W0、W1,W2、W3は、上述した式(1)との関係から、次の関係にある。
0<W0≦W1<W2<W3
ここで、W0をゼロよりも大きくしているのは、スレーブ機器200のスレーブ電池残量がゼロであっても、スレーブ制御部203が通信処理を行うだけの電源を確保するためである。
【0039】
このようにして、マスター制御部103は目標電池残量Wtargetを決定する。
【0040】
次に、マスター制御部103は、目標電池残量Wtargetを用いて、スレーブ機器200のスレーブ電池201を充電するための給電処理を開始する。
【0041】
給電処理にて、マスター制御部103は、通信線108を介して、現在のスレーブ電池201の電池残量Wsを示す情報を受信する。そして、マスター制御部103は、電池残量Wsと目標電池残量Wtargetとを比較する。そして、マスター制御部103は、電池残量Wsと目標電池残量Wtargetとを比較した結果に基づき、次の2つの何れか一方の処理を実行する。
・Ws<Wtargetである場合
マスター制御部103は、スイッチ105を開く。この結果、マスター電池101の電力が、スレーブ機器101のスレーブ電池の充電のために供給される。
・Ws≧Wtargetである場合
マスター制御部103は、スイッチ105を閉じる。この結果、マスター電池101の電力はスレーブ機器101に供給されない。
【0042】
給電処理は、所定の周期(例えば1分間隔)で繰り返し実行される。給電処理の繰り返し実行において、マスター電池101の電池残量Wmが閾値Th_m以下となった場合は、マスター制御部103は給電処理を停止する。
【0043】
このように、給電処理では、スレーブ機器200のスレーブ電池の電池残量Wsが、設定された撮影モードに依存した目標電池残量Wtarget以上である場合は、マスター機器100からスレーブ機器200への電力供給は行われない。また、マスター機器100からスレーブ機器200へ電力供給中に、仮に、マスター電池101の電池残量が閾値Th_mよりも小さくなった場合は、電力供給は停止される。
【0044】
次に、
図4のフローチャートを参照して、マスター制御部103における目標電池残量Wtargetの決定処理を説明する。
【0045】
ステップS401にて、マスター制御部103は、スレーブ接続部110にスレーブ機器200が接続されたのか否かを判定する。マスター制御部103は、スレーブ接続部110にスレーブ機器200が接続されたと判定した場合、ステップS402に進む。
【0046】
ステップS402にて、マスター制御部103は、通信線108を介して、スレーブ機器200から、スレーブ機器200に関する情報を受信する。スレーブ機器200に関する情報は、スレーブ機器200におけるスレーブ電池201の残量、機種情報、性能情報、発光履歴が含まれる。マスター制御部103は、電池残量の要求、機種情報の要求、性能情報の要求、発光履歴の要求を送信することで、これらの情報を受信できる。
【0047】
ステップS403にて、マスター制御部103は、現在の撮影モードがストロボ発光禁止モードであるか否かを判定する。マスター制御部103は、現在の撮影モードがストロボ発光禁止モードであると判定した場合、ステップS404に進む。また、マスター制御部103は、現在の撮影モードがストロボ発光禁止モードではないと判定した場合、ステップS405に進む。
【0048】
ステップS404にて、マスター制御部103は、値W0を目標電池残量Wtargetに設定し、その後、ステップS411に進む。
【0049】
ステップS405にて、マスター制御部103は、現在の撮影モードが動画モードであるか否かを判定する。マスター制御部103は、現在の撮影モードが動画モードであると判定した場合、ステップS406に進む。また、マスター制御部103は、現在の撮影モードが動画モードではないと判定した場合、ステップS407に進む。
【0050】
ステップS406にて、マスター制御部103は、値W1を目標電池残量Wtargetに設定し、その後、ステップS411に進む。
【0051】
ステップS407にて、マスター制御部103は、現在の撮影モードがPモードであるか否かを判定する。マスター制御部103は、現在の撮影モードがPモードであると判定した場合、ステップS408に進む。また、マスター制御部103は、現在の撮影モードがPモードではないと判定した場合、ステップS409に進む。
【0052】
ステップS408にて、マスター制御部103は、値W2を目標電池残量Wtargetに設定し、その後、ステップS411に進む。
【0053】
ステップS409の処理に進むのは、現在の設定されている撮影モードが、M、AV、TV、A、および、「その他のモード」のいずれかである場合である。ステップS409にて、マスター制御部103は、ステップS402で受信したスレーブ機器200に関する情報に基づき、直近日のストロボ発光での消費電力量を表す百分率の値Weを計算する。
We=α×Wf×N×100/Wmax
ここで、αは補正係数であり、1よりも大きい実数である。ストロボ発光しなくても、スレーブ制御部203等の回路で消費される電力を加味しているためである。また、Wfは1回当たりのストロボ発光による消費電力、Wmaxはスレーブ電池201の全電力量であり、これらはステップS402で受信した、スレーブ機器200に関する情報に含まれるものである。
【0054】
ステップS410にて、マスター制御部103は、計算した値Weと所定の値W3の大きい方を、目標電池残量Wtargetとして設定する。
図4のステップS410における「max(...)」は、括弧内の複数の値における最大値を返す関数である。この後、マスター制御部103は、ステップS411に進む。
【0055】
ステップS411にて、マスター制御部103は、スレーブ機器200に対する給電処理を開始する。
【0056】
ステップS411にて開始される給電処理を、
図5のフローチャートを参照して説明する。この給電処理は、上述したように、所定の周期で実行されるものであることに注意されたい。
【0057】
ステップS501にて、マスター制御部103は、通信線106を介して、マスター電池101の電池残量Wmを示す情報を取得し、ステップS502に進む。
【0058】
ステップS502にて、マスター制御部103は、電池残量Wmと閾値Th_mとを比較する。マスター制御部103は、電池残量Wmと閾値Th_mとを比較した結果に基づき、電池残量Wmが閾値Th_mよりも大きいか否かを判定する。マスター制御部103は、電池残量Wmが閾値Th_mよりも大きいと判定した場合、ステップS503に進む。マスター制御部103は、電池残量Wmが閾値Th_m以下であると判定した場合、ステップS506に進む。
【0059】
ステップS503にて、マスター制御部103は、通信線108を介して、電池残量の要求をスレーブ制御部203に送信する。そして、マスター制御部103は、その要求に対する応答を受信することで、スレーブ電池201の電池残量Wsを取得する。そして、マスター制御部103は、ステップS504に進む。
【0060】
ステップS504にて、マスター制御部103は、電池残量Wsと目標電池残量Wtargetとを比較する。マスター制御部103は、電池残量Wsと目標電池残量Wtargetとを比較した結果に基づき、電池残量Wsが目標電池残量Wtargetよりも小さいか否かを判定する。マスター制御部103は、電池残量Wsが目標電池残量Wtargetよりも小さいと判定した場合、ステップS505に進む。マスター制御部103は、電池残量Wsが目標電池残量Wtarget以上であると判定した場合、ステップS506に進む。
【0061】
ステップS505にて、マスター制御部103は、通信線107を介して、スイッチ105を開く。この結果、スレーブ機器200への電力供給が行われる。
【0062】
ステップS506にて、マスター制御部103は、通信線107を介して、スイッチ105を閉じる。この結果、スレーブ機器200への電力供給は行われない。
【0063】
以上説明したように、実施形態1によれば、マスター機器のマスター制御部103は、マスター機器の現在の動作モード(実施形態1では撮影モード)に応じて、スレーブ機器200内のスレーブ電池201の目標電池残量Wtargetを決定する。そして、マスター制御部103は、スレーブ機器200のスレーブ電池201の電池残量Wsが目標電池残量Wtargetよりも小さい場合には、マスター機器100からスレーブ機器200への給電を継続する。ただし、マスター電池101の電池残量Wmが閾値Th_m以下となった場合は給電を停止する。この結果、ユーザが望んだ動作モードにおいて、マスター機器100とスレーブ機器200による共同動作が持続する期間を維持し易くすることができる。
【0064】
なお、
図5の給電処理を行っているときに、ユーザが動作モードを変更する可能性がある。そのためには、マスター制御部103は、動作モードの変更があったか否かの判定を
図5のフローチャートにおける最初に行い、変更があった場合は処理を
図4のフローチャートに戻す処理を実行すればよいであろう。
【0065】
また、実施形態1で示した値W0、W1,W2,W3は、スレーブ機器200の機種に応じて決定するようにしてもよい。このため、ROMは、接続可能なスレーブ機器の機種と{W0、W1,W2,W3}との対応テーブルを予め記憶する。そして、マスター制御部103は、通信線108を介して、接続されたスレーブ機器200から受信した情報に基づき、テーブルから対応する{W0、W1,W2,W3}を読み出し、実施形態1で説明した処理を実行する。
【0066】
また、実施形態1では、マスター機器の動作モードを4つに分類することで4つの値W0、W1、W2、W3を定義して説明したが、分類数は2以上であればよく、その数の特に制限はない。
【0067】
また、実施形態1では、マスター機器100がデジタルカメラとして動作可能であり、スレーブ機器200がストロボ装置として動作可能である例にしたが、実施形態1はこのような例に限定されるものではない。複数の動作モードを有するマスター機器100と、マスター機器に接続可能なスレーブ機器200とを有する給電システムであれば、どのような給電システムであっても実施形態1を適用することができる。
【0068】
(他の実施形態)
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサがプログラムを実行することによって実現することもできる。以下、実施形態2では、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサを「コンピュータX」と呼ぶ。また、実施形態2では、コンピュータXを制御するためのプログラムであって、実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法を実現するためのプログラムを「プログラムY」と呼ぶ。
【0069】
実施形態1で説明した様々な機能、処理または方法は、コンピュータXがプログラムYを実行することによって実現される。この場合において、プログラムYは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してコンピュータXに供給される。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ハードディスク装置、磁気記憶装置、光記憶装置、光磁気記憶装置、メモリカード、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの少なくとも一つを含む。実施形態2におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、non-transitoryな記憶媒体である。
【符号の説明】
【0070】
100…マスター機器、101…マスター電池、103…マスター制御部、110…スレーブ接続部、200…スレーブ機器、201…スレーブ電池、203…スレーブ制御部