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特許7414630電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240109BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A47L9/28 N
A47L9/04 A
A47L9/28 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020076779
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021171255
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】矢戸 佑毅
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-179474(JP,A)
【文献】特開2006-288593(JP,A)
【文献】特開2000-262442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00 - 9/32
A47L 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記回転清掃体の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体内で移動可能に設けられ、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記回転清掃体と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記回転清掃体と接触することにより前記回転清掃体を介して前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成され
前記回転清掃体は、前記駆動部にて回転する軸部と、前記軸部の両端を回転可能に支持するよう前記筐体内に取り付けられる軸受け部とを有し、
前記非清掃状態のときに前記軸部と接触するように前記接触部材が移動し、かつ、前記清掃状態のときに前記軸部から離間するように前記接触部材が移動することを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
【請求項2】
吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記回転清掃体の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記回転清掃体と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記回転清掃体と接触することにより前記回転清掃体を介して前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成され、
前記回転清掃体は、前記駆動部にて回転する軸部と、前記軸部の両端を回転可能に支持するように前記筐体内に取り付けられる軸受け部とを有し、
前記制動機構は、前記筐体内で移動可能に設けられた前記接触部材と、前記軸部を挿通させるように前記接触部材に設けられた軸挿通孔とを有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材の前記軸挿通孔の内周縁が前記軸部と接触するように前記接触部材が移動し、かつ、前記清掃状態のときに前記内周縁が前記軸部から離間するように前記接触部材が移動することを特徴とする吸込口体。
【請求項3】
前記制動機構は、前記内周縁を前記軸部に接触させる方向に前記接触部材を付勢する付勢部材をさらに有し、
前記非清掃状態のときに前記付勢部材の付勢方向に前記接触部材が移動することにより前記内周縁が前記軸部と接触し、かつ、前記清掃状態のときに前記付勢部材の付勢力に抗して前記接触部材が被清掃面にて押圧される方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部から離間する請求項2に記載の吸込口体。
【請求項4】
前記非清掃状態のときに前記接触部材が自重によって重力方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部と接触し、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面にて押圧される方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部から離間する請求項2に記載の吸込口体。
【請求項5】
前記駆動部は、駆動モータまたはタービンと、前記駆動モータまたは前記タービンの回転力を前記回転清掃体の前記軸部の一端側に伝達する動力伝達機構を備え、
前記接触部材は、前記軸部の前記一端側とは反対の他端側に配置されている請求項~4のいずれか1つに記載の吸込口体。
【請求項6】
前記軸挿通孔は、前記非清掃状態のときに前記軸部と接触する前記内周縁の一部を形成する接触孔部と、前記清掃状態のときに前記軸部と非接触となる前記接触孔部よりサイズが大きく前記内周縁の一部を形成する非接触孔部とを有する請求項2~4のいずれか1つに記載の吸込口体。
【請求項7】
塵埃を吸引し集塵する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される請求項1~6のいずれか1つに記載の吸込口体とを備えた電気掃除機。
【請求項8】
前記駆動部は、駆動モータを備え、
前記掃除機本体は、前記駆動モータを駆動または停止させるよう制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動モータに前記所定値以上の負荷が加わったときの前記駆動モータの電流値に基づいて、駆動中の前記駆動モータを停止させる請求項7に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機の吸込口体として、特許文献1では、吸込口を有する吸込具本体と、吸込具本体に設けられた回転ブラシおよびその駆動モータと、安全スイッチとを備えた吸込具が提案されている。
安全スイッチは、スイッチ本体と、スイッチ本体のレバーに当接離間可能なように吸込具本体の底部の凹部に揺動可能に設けられたブラケットと、ブラケットの先端に設けられた回転ローラとを備える。
【0003】
この吸込具によれば、吸込具本体が床面上に載置されるとブラケットが凹部内に押し込まれ、それによってブラケットがレバーに当接してスイッチ本体がONとなり、停止中の駆動モータが駆動して回転ブラシが回転する。また、吸込具本体が床面から浮き上がるとブラケットが凹部内から下方に突出し、それによってブラケットがレバーから離れてスイッチ本体がOFFとなり、駆動中の駆動モータが停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-332165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような安全スイッチを備えた従来の吸込口体では、吸込口体内に安全スイッチを設ける専用のスペースが必要となる課題があった。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記回転清掃体の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記回転清掃体と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記回転清掃体と接触することにより前記回転清掃体を介して前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成された電気掃除機の吸込口体が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、塵埃を吸引し集塵する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される前記吸込口体とを備えた電気掃除機が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、塵埃を吸引し集塵する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え
前記吸込口体は、吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記駆動部の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記駆動部と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記駆動部と接触することにより前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成されており、
前記駆動部は、駆動モータを備え、
前記掃除機本体は、前記駆動モータを駆動または停止させるよう制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動モータに前記所定値以上の負荷が加わったときの前記駆動モータの電流値に基づいて、駆動中の前記駆動モータを停止させる電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小サイズ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電気掃除機の第1実施形態の斜視図である。
図2】第1実施形態の電気掃除機の制御系を説明するブロック図である。
図3】第1実施形態の電気掃除機における吸込口体の斜視図である。
図4】第1実施形態の吸込口体の部分的な左側断面図である。
図5】第1実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する正面側から視た断面図である。
図6】第1実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する正面側から視た断面図である。
図7】第1実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する右側面側から視た断面図である。
図8】第1実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する右側面側から視た断面図である。
図9】第2実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する右側面側から視た断面図である。
図10】第2実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する右側面側から視た断面図である。
図11】第2実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がって裏返った状態を説明する右側面側から視た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る電気掃除機の第1実施形態の斜視図であり、図2は第1実施形態の電気掃除機の制御系を説明するブロック図である。また、図3は第1実施形態の電気掃除機における吸込口体の斜視図であり、図4は第1実施形態の吸込口体の部分的な左側断面図である。なお、図1図3および図4において、電気掃除機および吸込口体の使用時の前後左右上下方向を矢印にて示しており、電気掃除機および吸込口体の構成はこれらの方向に基づいて説明される。
【0013】
図1図2に示すように、この電気掃除機1は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるバッテリ40と、掃除機本体10に着脱可能に接続される一端61aを有する延長管60と、延長管60の他端61bと着脱可能に接続される吸込口体70と、掃除機本体10から吸込口体70に亘って設けられた複数の導電ケーブルを含む電気配線部26、62、76とを備えたスティックタイプのコードレス電気掃除機1である。
なお、図1で示した電気掃除機1は、延長管60を介さずに、掃除機本体10に吸込口体70を直接接続してハンディタイプとして使用することもできる。
【0014】
掃除機本体10は、電動送風機22を内蔵しダストを吸引する吸引部20と、吸引部20に着脱可能に装着されて吸引したダストを捕捉する集塵部30とを備える。
【0015】
吸引部20は、制御部23を構成する回路基板および電動送風機22を収納する電動送風機収納部21aを備える。また、吸引部20は、起立状態の電気掃除機1において、電動送風機収納部21aの上方に設けられたハンドル部21bと、電動送風機収納部21aの後方に設けられたバッテリ装着部21cと、電動送風機収納部21aの下方に設けられたパイプ部21dと、ハンドル部21bのパイプ部21d側に設けられた操作スイッチ部21eとを備える。
【0016】
制御部23は、図示しない導電ケーブルを介してバッテリ40と電気的に接続され、導電ケーブル25を介して電動送風機22と電気的に接続されている。
また、掃除機本体10において、吸引部20の電動送風機収納部21aからパイプ部21dに亘って、制御部23と電気的に接続された前記電気配線部26が設けられており、パイプ部21dの先端開口部には電気配線部26と電気的に接続された複数の接続端子26aが設けられている。本実施形態では、接続端子26aとしてクリップ形端子が用いられている。なお、前記導電ケーブル25は電気配線部26の一部として含まれてもよい。
【0017】
延長管60は、管本体61と、管本体61に沿って設けられた前記電気配線部62とを備える。
また、管本体61の一端61a側には電気配線部62と電気的に接続された複数の第1接続端子62aが設けられると共に、管本体61の他端61b側には電気配線部62と電気的に接続された複数の第2接続端子62bが設けられている。なお、本実施形態では、第1接続端子62aとしてピン形端子が用いられ、第2接続端子62bとしてクリップ形端子が用いられている。
【0018】
図1図4に示すように、吸込口体70は、吸込口本体71と、前後方向の第1軸心P1を中心として回動可能に吸込口本体71と結合した関節部78と、第1軸心P1と直交する第2軸心P2を中心として回動可能に関節部78と結合した接続管部79と、吸込口本体71から接続管部79に亘って設けられた前記電気配線部76とを備える。また、接続管部79の延長管60との接続端部側には、電気配線部76と電気的に接続された接続端子76aが設けられている。なお、本実施形態では、接続端子76aとしてピン形端子が用いられている。
【0019】
吸込口本体71は、底部に吸込口71aを有する左右方向に延びる前部71xと、前部71xの左右方向の中間部から後方に突出した後方突出部71yとを有する筐体71Fを備えている。
前部71xは、吸込口71aの近傍に左右方向の第3軸心P3を中心として回転可能に設けられたブラシ状の回転清掃体72と、回転清掃体72を回転させる駆動モータ73と、駆動モータ73の出力軸の回転力を回転清掃体72に伝える動力伝達機構74等を備える。
後方突出部71yには、左右方向の第4軸心P4を中心として回転可能に後部ローラ71bが設けられている。
【0020】
駆動モータ73は、電気配線部76と電気的に接続されている。
動力伝達機構74は、駆動モータ73の出力軸に設けられた第1プーリ74aと、回転清掃体72の軸部72aの左端部に設けられた第2プーリ74bと、第1プーリ74aと第2プーリ74bとを連結するタイミングベルト74cとを有する。なお、動力伝達機構74は複数のギアにて構成されてもよい。
【0021】
図5は第1実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する正面側から視た断面図であり、図6は第1実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する正面側から視た断面図である。また、図7は第1実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する右側面側から視た断面図であり、図8は第1実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する右側面側から視た断面図である。なお、図5図8において、吸込口体の使用時の前後左右上下方向を矢印にて示しており、吸込口体の構成はこれらの方向に基づいて説明される。
【0022】
回転清掃体72は、軸部72aと、軸部72aの外周面に沿って螺旋状に設けられた複数のブラシ部72bと、軸部72aの両端を回転可能に支持するように筐体71F内に取り付けられる一対の軸受け部72cとを有する。
軸部72aは、複数のブラシ部72bが設けられた大径軸部72aaと、大径軸部72aaの左右両端から第3軸心P3上で外部に突出する左右一対の小径軸部72ab、72acと、左右の小径軸部72ab、72acの端部から第3軸心P3上で外部に突出する左右一対の軸芯部72ad、72aeと有する。
左右の軸受け部72cは、第3軸心P3の方向から視て略正方形にそれぞれ形成されており、軸部72aの左右の軸芯部72ad、72aeにベアリング(不図示)を介して取り付けられている。
【0023】
吸込口体70の筐体71Fにおいて、前部71xは、吸込口71aが設けられた底壁71xaと、左右の側壁71xb、71xcと、上壁71xdとを有する。
また、左右の側壁71xb、71xcの内面には、第3軸心P3上で回転清掃体72の左右の軸受け部72cを保持する左右一対の凹形保持部71xeが設けられている。
これら左右の凹形保持部71xeに回転清掃体72の左右の軸受け部72cが嵌め込まれて保持されることにより、固定部としての左右の軸受け部72cに対して軸部72aが回転可能となっている。
【0024】
回転清掃体72において、左側の小径軸部72abには、前記動力伝達機構74の第2プーリ74bが設けられている。これにより、駆動モータ73(図4参照)の出力が動力伝達機構74を介して回転清掃体72の軸部72aに伝達されて回転するようになっている。なお、筐体71Fの前部71xの内部において、大径軸部72aaと第2プーリ74bとの間には、吸込口71aから動力伝達機構74の収納スペースを遮蔽する仕切り壁71xwが左の小径軸部72abを挿通させるようにして設けられている。
【0025】
図5図8に示すように、この吸込口体70の筐体71Fにおいて、前部71xの内部には回転清掃体72の近傍、具体的には軸部72aの右側の小径軸部72acの近傍には、回転清掃体72の回転を制動可能な制動機構75が設けられている。
制動機構75は、筐体71Fが被清掃面F上に載置された清掃状態(図5図7参照)のときに被清掃面Fと接触し、かつ、筐体71Fが被清掃面Fから離れた非清掃状態(図6図8参照)のときに回転清掃体72と接触する接触部材75aを有する。
さらに、制動機構75は、回転清掃体72と接触する方向に接触部材75aを付勢する付勢部材75bを有する。
【0026】
この制動機構75は、非清掃状態(図6図8参照)のときに接触部材75aが回転清掃体72と接触することにより回転清掃体72を介して駆動モータ73(図2図4参照)に所定値以上の負荷を加え、かつ、清掃状態(図5図7参照)のときに接触部材75aが被清掃面Fと接触することにより前記負荷を解除するように構成されている。
【0027】
制動機構75において、接触部材75aは、筐体71Fの前部71x内で移動可能に設けられた板状部材であり、回転清掃体72の軸部72aの右側の小径軸部72acを挿通させる軸挿通孔75hを有している。
この軸挿通孔75hは、非清掃状態(図6図8参照)のときに周縁部が右側の小径軸部72acと接触する接触孔部75haと、清掃状態(図5図7参照)のときに周縁部が右側の小径軸部72acと非接触となる非接触孔部75hbとを有してなる。なお、右側の小径軸部72acは第3軸心P3の方向から視て円形の外周面を有している。
【0028】
非接触孔部75hbは回転清掃体72の右側の小径軸部72acの外径よりも僅かに大きい内径を有する一部円形の孔であり、接触孔部75haは右側の小径軸部72acの外径と概ね同一の内径を有する一部円形の孔である。すなわち、非接触孔部75hbのサイズは接触孔部75haのサイズよりも大きい。
【0029】
図7では第3軸心P3と非接触孔部75hbの軸心とが略一致した状態を示しており、図8では第3軸心P3と接触孔部75haの軸心とが略一致した状態を示している。これら図7図8から明らかなように、軸挿通孔75hは、回転清掃体72の右側の小径軸部72acの略上半部分が接触孔部75haと接触する程度に接触孔部75haと非接触孔部75hbとが重なった長孔形状となっている。
【0030】
また、図5図8に示すように、接触部材75aは、軸挿通孔75hが設けられた胴部75aaと、胴部75aaから筐体71Fの吸込口71a側へ突出する脚部75abと、脚部75abの先端に設けられた緩衝部75acと、胴部75aaの脚部75abとは反対側の端部に設けられたボス部75adとを有する。なお、緩衝部75acとしては、例えば、起毛布を用いることができる。
【0031】
付勢部材75bは、例えば、圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネは接触部材75aのボス部75adと筐体71Fの前部71xとの間のスペースに位置決めされており、接触部材75aを吸込口71a側へ移動させる方向に付勢している。なお、圧縮コイルバネに替えて、板バネあるいは弾性発泡体を用いてもよい。
【0032】
図7図8に示すように、筐体71Fの前部71xの内部には、制動機構75を直線方向に移動可能に支持する支持リブ71xrが設けられている。
この支持リブ71xrは、接触部材75aの前後を覆うように前部71xの上部内面から下方(吸込口71a側)へ垂設されており、接触部材75aの胴部75aaの前側と後側を上下スライド可能に嵌め入れる前後一対の溝部71xgを有している。また、支持リブ71xrは、接触部材75aの脚部75abを上下スライド可能に挿通させる挿通孔71xhを有している。なお、図5図6では、支持リブ71xrの図示が省略されている。
【0033】
次に、図1図8を参照しながら、第1実施形態の吸込口体70を備えた電気掃除機1の運転制御について説明する。
電気掃除機1の清掃状態では、吸込口体70が被清掃面F上に載置され、電動送風機22が駆動することにより吸引力が発生すると共に、駆動モータ73が駆動して回転清掃体72が回転する。このとき、図5図7に示すように、制動機構75の付勢部材75bの付勢力に抗して接触部材75aが被清掃面Fにて押圧される方向(吸込口71aとは反対側の方向)に移動している。そのため、接触部材75aの非接触孔部75hbの軸心が回転清掃体72の第3軸心P3と略一致しており、接触部材75aの軸挿通孔75h(非接触孔部75hb)の内周縁は右側の小径軸部72acと非接触状態となっている。
【0034】
清掃状態において、吸込口体70を被清掃面F上で前後方向に移動させると、制動機構75の接触部材75aの脚部75abに設けられた緩衝部75acが被清掃面Fをスムーズに摺接する。
また、清掃状態では、接触部材75aのボス部75adがストッパとなって筐体71Fに当接している。これによって、吸込口体70を被清掃面F上に載置した清掃状態では接触部材75aが、清掃状態における所定位置に位置するようになっている。すなわち、接触部材75aの非接触孔部75hbの内周縁が回転清掃体72の右側の小径軸部72acに接触しないように、接触部材75aが所定位置よりも上方へ移動することを規制している。言い換えれば、接触部材75aのボス部75adは、非接触孔部75hbが小径軸部72acの下半部分に接近する方向への移動を規制している。
【0035】
この清掃状態(運転状態)から、図6図8に示すように、吸込口体70を被清掃面Fから浮き上がらせて離すと非清掃状態となり、このとき、制動機構75の付勢部材75bの付勢力によって付勢方向(吸込口71a側)に接触部材75aが移動する。このとき、接触部材75aの胴部75aaの下部が支持リブ71xrの底部71xqに当接して下方への移動が規制される。
【0036】
これにより、接触部材75aの接触孔部75haの内周縁が回転清掃体72の右側の小径軸部72acと接触し、それによって回転清掃体72および動力伝達機構74を介して駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかる。なお、接触部材75aは樹脂材料にて構成することができるが、少なくとも接触孔部75haの内周縁の材質は、小径軸部72acとの摩擦抵抗が大きくなる材質(例えば、ゴム、起毛布等)であってもよい。
【0037】
ここで、前記所定値以上の負荷とは、例えば、回転する回転清掃体72との摩擦抵抗が比較的大きい被清掃面(例えば、絨毯、毛足の長いラグ、マット等の敷物)を清掃するときに駆動モータ73にかかる負荷よりも大きい負荷を意味する。
駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかると、駆動モータ73の電流値が所定電流値以上に上昇する。
【0038】
掃除機本体10の制御部23は、駆動中の駆動モータ73の電流値を読み取っており、駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかったときの所定電流値以上となると、駆動モータ73を停止する。
つまり、吸込口体70が清掃状態から非清掃状態となると、制動機構75によって駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかり、それによって制御部23が駆動モータ73の所定電流値以上の電流値に基づいて少なくとも駆動モータ73を停止させて回転清掃体72の回転を停止させる。なお、制御部23は駆動モータ73と電動送風機22とを同期的に駆動または停止させるように制御してもよい。
【0039】
このように、比較的簡単な構成の制動機構75によって非清掃時には安全に配慮して回転清掃体72を停止させることができる。この際、被清掃面Fから浮き上がらせた吸込口体70を裏返しても、付勢部材75bによって接触部材75aを回転清掃体72の小径軸部72acに押し付けた状態が維持される。すなわち、付勢部材75bは、吸込口体70を裏返しても、付勢部材75bによって接触部材75aを回転清掃体72の小径軸部72acに押し付けた状態を維持できる付勢力を有している。
【0040】
また、被清掃面Fから浮き上がらせた吸込口体70を、図5図7のように再び被清掃面F上に載置した清掃状態に戻すと、非接触孔部75hbが小径軸部72ac側に移動して接触部材75aが小径軸部72acと非接触となり、回転清掃体72へかけられていた所定値以上の負荷が解除される。吸込口体70を再び清掃状態へ戻した後は、使用者が操作スイッチ部21eにて運転モードに切り替えて停止中の駆動モータ73および電動送風機22を駆動させることができる。あるいは、吸込口体70が清掃状態から被清掃状態となり、再び清掃状態へ戻るまでの時間が所定時間内(例えば、5秒以内)であれば、使用者が操作スイッチ部21eを操作しなくても、自動的に停止中の駆動モータ73および電動送風機22を駆動させる制御であってもよい。
【0041】
(第1実施形態の変形例)
前記のように非清掃状態において回転清掃体72を完全に停止させる制御を次のように変更してもよい。つまり、吸込口体70の非清掃状態において、制御部23は、制動機構75によって制動されている回転清掃体72の回転数が所定回転数まで低下するように駆動モータ73の出力を抑えるよう制御してもよい。また、吸込口体70が再び清掃状態となると、回転清掃体72への負荷が解除され、それにより駆動モータ73の電流値が変動し(電流値が低下し)、制御部23はこの電流値の変動に基づいて回転清掃体72の回転数が通常の回転数まで上昇するよう駆動モータ73の出力を増加させるよう制御してもよい。
【0042】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の吸込口体が被清掃面に載置された状態を説明する右側面側から視た断面図であり、図10は第2実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がった状態を説明する右側面側から視た断面図であり、図11は第2実施形態の吸込口体が被清掃面から浮き上がって裏返った状態を説明する右側面側から視た断面図である。なお、図9図11において、図7図8中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。また、図9図11において、吸込口体の使用時の前後左右上下方向を矢印にて示しており、吸込口体の構成はこれらの方向に基づいて説明される。
第2実施形態の吸込口体170は、制動機構175の構成が第1実施形態とは異なる以外は、第1実施形態と概ね同様に構成されている。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0043】
図9図10に示すように、第2実施形態の吸込口体170において、制動機構175は、第1実施形態における制動機構75の接触部材75aと類似する接触部材175aを備えるが、第1実施形態における制動機構75の付勢部材75bは省略されている(図7参照)。
この制動機構175では、接触部材175aの自重によって重力方向に移動可能とされている。
【0044】
接触部材175aは、第1実施形態の接触部材75aの軸挿通孔75hにおける接触孔部75haおよび非接触孔部75hbに相当する接触孔部175haおよび非接触孔部175hbを有する軸挿通孔175hを有している。
さらに、接触部材175aには、軸挿通孔175hの内周縁における接触孔部175haと非接触孔部175hbとの前後の境界部分に、一対の爪形小突起175hcが設けられている。この場合、接触部材175aの材質は、少なくとも一対の爪形小突起175hcの部分が弾性変形可能な材質(例えば、ゴム、弾性樹脂等)にて形成されている。
【0045】
図10に示すように、非清掃状態において、接触部材175aが回転清掃体の小径軸部72acの上半部分を少し下半部分側に超える範囲と接触するよう、一対の爪形小突起175hcの小径軸部72acとの接触面は接触孔部175haの内周縁と連続的に湾曲している。
また、接触部材175aにおいて、脚部175abの内部には錘175ae(例えば金属錘)が埋め込まれると共に、胴部175aaの上端には接触部材175aの上方への移動を規制するストッパ凸部175adが設けられている。
【0046】
次に、図1図2図9および図10を参照しながら、第2実施形態の吸込口体170を備えた電気掃除機の運転制御について説明する。
第2実施形態の電気掃除機の清掃状態では、図9に示すように、吸込口体170が被清掃面F上に載置され、電動送風機22が駆動することにより吸引力が発生すると共に、駆動モータ73が駆動して回転清掃体72が回転する。このとき、制動機構175の接触部材175aが被清掃面Fにて押圧される方向(吸込口71aとは反対側の方向)に移動している。そのため、接触部材175aの非接触孔部175hbの軸心が回転清掃体72の第3軸心P3と略一致しており、接触部材175aの軸挿通孔175h(非接触孔部175hb)の内周縁は小径軸部72acと非接触状態となっている。
【0047】
このとき、一対の爪形小突起175hcの先端が小径軸部72acにて押圧されて弾性変形している。つまり、清掃状態での接触部材175aにおいては、一対の爪形小突起175hcのみが小径軸部72acに接触している。このときの回転清掃体72および動力伝達機構74を介して駆動モータ73にかかる負荷は、第1実施形態で説明した所定値以上の負荷よりも小さい負荷であるため、駆動モータ73の電流値は所定電流値以上に上昇しない。
【0048】
清掃状態において、吸込口体170を被清掃面F上で前後方向に移動させると、制動機構175の接触部材175aの脚部175abに設けられた緩衝部75acが被清掃面Fをスムーズに摺接する。
また、清掃状態では、接触部材175aのストッパ凸部175adがストッパとなって筐体71Fに当接している。これによって、吸込口体170を被清掃面F上に載置した清掃状態では接触部材175aが、清掃状態における所定位置に位置するようになっている。すなわち、接触部材175aの非接触孔部175hbの内周縁が回転清掃体72の小径軸部72acに接触しないように、接触部材175aが所定位置よりも上方へ移動することを規制している。言い換えれば、接触部材175aのストッパ凸部175adは、非接触孔部175hbが小径軸部72acの下半部分に接近する方向への移動を規制している。
【0049】
この清掃状態(運転状態)から、図10に示すように、吸込口体170を被清掃面Fから浮き上がらせて離すと非清掃状態となり、このとき、制動機構175の接触部材175aが自重によって重力方向(下方)へ移動する。このとき、接触部材175aの胴部175aaの下部が支持リブ71xrの底部71xqに当接して下方への移動が規制される。また、一対の爪形小突起175hcが弾性変形前の形状に戻る。
【0050】
これにより、一対の爪形小突起175hcに加え、接触部材175aの接触孔部175haの内周縁が回転清掃体72の小径軸部72acと接触し、それによって回転清掃体72および動力伝達機構74を介して駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかる。なお、接触部材175aの接触孔部75haの内周縁の材質は、一対の爪形小突起175hcと同様の材質(例えば、ゴム、弾性樹脂等)であってもよい。
駆動モータ73に所定値以上の負荷がかかると、駆動モータ73の電流値が所定電流値以上に上昇し、第1実施形態と同様に、掃除機本体10の制御部23は駆動モータ73を停止する。なお、この場合も、制御部23は駆動モータ73と電動送風機22とを同期的に駆動または停止させるように制御してもよい。
【0051】
このように、第2実施形態においても、比較的簡単な構成の制動機構175によって非清掃時には安全に配慮して回転清掃体72を停止させることができる。この際、図11に示すように、被清掃面Fから浮き上がらせた吸込口体170を裏返しても、一対の爪形小突起175hcが、このときの小径軸部72acの上半部分の一部を抱え込むように接触しているため、接触部材175aが自重によって下降する(重力方向へ移動する)ことがない。すなわち、一対の爪形小突起175hcは、吸込口体170を裏返しても、接触部材175aの自重を支えつつ、回転清掃体72の小径軸部72acに接触孔部175haを押し付けた状態を維持できる弾性力を付加する弾力性を有している。
【0052】
また、被清掃面Fから浮き上がらせた吸込口体170を、図9のように再び被清掃面F上に載置した清掃状態に戻すと、非接触孔部175hbが小径軸部72ac側に移動して一対の爪形小突起175hcのみが小径軸部72acと接触した状態となり、回転清掃体72へかけられていた所定値以上の負荷が解除される。吸込口体170を再び清掃状態へ戻した後は、使用者が操作スイッチ部21eにて運転モードに切り替えて停止中の駆動モータ73および電動送風機22を駆動させることができる。あるいは、吸込口体170が清掃状態から被清掃状態となり、再び清掃状態へ戻るまでの時間が所定時間内(例えば、5秒以内)であれば、使用者が操作スイッチ部21eを操作しなくても、自動的に停止中の駆動モータ73および電動送風機22を駆動させる制御であってもよい。
【0053】
なお、制動機構175の接触部材175aの一対の爪形小突起175hcを省略してもよい。この場合、図11に示すように、被清掃面Fから浮き上がらせた吸込口体170を裏返したときに接触部材175aが自重によって下降し、それによって接触部材175aが小径軸部72acと非接触状態となる。このとき、使用者が操作スイッチ部21eを操作して運転モードに切り替えない限り、停止中の駆動モータ73および電動送風機22が再駆動することはない。あるいは、前記のように自動的に停止中の駆動モータ73および電動送風機22を駆動させる制御であってもよい。但しこの場合、吸込口体170を裏返したときに接触部材175aが自重によって下降して接触部材175aが小径軸部72acと非接触状態となるため、吸込口体170が裏返し状態であることを検知するセンサ(例えば、ジャイロセンサ)を吸込口体170内に設け、裏返し状態では停止中の駆動モータ73および電動送風機22が自動的に駆動しないように制御する。
【0054】
(第2実施形態の変形例)
前記のように非清掃状態において回転清掃体72を完全に停止させる制御を次のように変更してもよい。つまり、第2実施形態の吸込口体170においても、第1実施形態の変形例と同様に、吸込口体170の非清掃状態において、制御部23は、制動機構75によって制動されている回転清掃体72の回転数が所定回転数まで低下するように駆動モータ73の出力を抑えるよう制御してもよい。また、吸込口体170が再び清掃状態となると、回転清掃体72への負荷が解除され、それにより駆動モータ73の電流値が変動し(電流値が低下し)、制御部23はこの電流値の変動に基づいて回転清掃体72の回転数が通常の回転数まで上昇するよう駆動モータ73の出力を増加させるよう制御してもよい。
【0055】
(第3実施形態)
第1および第2実施形態では、非清掃状態のとなると回転中の回転清掃体に接触して制動する制動機構を備えた吸込口体を例示したが、第1または第2実施形態の制動機構を応用して、例えば、回転清掃体の駆動部を制動するようにしてもよい。例えば、吸込口体が非清掃状態となると動力伝達機構であるプーリ・ベルト機構のタイミングベルトに接触部材が接触して制動し、清掃状態となるとタイミングベルトから接触部材が離間するように制動機構を構成してもよい。あるいは、制動機構は、駆動モータの出力軸に接触して制動し、離間して制動を解除する構造であってもよい。
【0056】
(第4実施形態)
第1および第2実施形態では、モータ駆動式の回転清掃体を備える吸込口体を例示したが、第3実施形態の吸込口体は、タービン駆動式の回転清掃体を備えると共に、第1または第2実施形態で説明した制動機構を備える。
第3実施形態の場合、吸込口体が清掃状態から非清掃状態となると、接触部材が回転清掃体に接触して生じる摩擦抵抗によって、回転中の回転清掃体の回転数が低下する。
【0057】
(まとめ)
本発明の電気掃除機の吸込口体は、吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記回転清掃体の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記回転清掃体と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記回転清掃体と接触することにより前記回転清掃体を介して前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成されたものである。
【0058】
この構成によれば、吸込口体の筐体内における回転清掃体が設けられた既存のスペースに制動機構を設けることができるため、制動機構の専用スペースが不要となる。すなわち、特許文献1のような安全スイッチを筐体内に設ける専用スペースが不要となるため、筐体内における駆動部および駆動部を制御する回路基板等が設けられるスペースに余裕を持たせた簡素な内部構造とすることができる。
また、制動機構は回転清掃体と直接接触して制動することができる機構であるため、特許文献1のような安全スイッチ(電気部品)を備えた吸込口体よりも低コスト化、部品組み付けの容易化、配線作業の省略化、軽量化および小サイズ化を図ることができる。
【0059】
本発明の電気掃除機の吸込口体は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0060】
・前記回転清掃体は、前記駆動部にて回転する軸部と、前記軸部の両端を回転可能に支持するように前記筐体内に取り付けられる軸受け部とを有し、
前記制動機構は、前記筐体内で移動可能に設けられた前記接触部材と、前記軸部を挿通させるように前記接触部材に設けられた軸挿通孔とを有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材の前記軸挿通孔の内周縁が前記軸部と接触するように前記接触部材が移動し、かつ、前記清掃状態のときに前記内周縁が前記軸部から離間するように前記接触部材が移動するものであってもよい。
この構成によれば、吸込口体の筐体内における回転清掃体スペースに制動機構の接触部材を設けることができる。
【0061】
・前記制動機構は、前記内周縁を前記軸部に接触させる方向に前記接触部材を付勢する付勢部材をさらに有し、
前記非清掃状態のときに前記付勢部材の付勢方向に前記接触部材が移動することにより前記内周縁が前記軸部と接触し、かつ、前記清掃状態のときに前記付勢力に抗して前記接触部材が被清掃面にて押圧される方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部から離間するものであってもよい。
この構成によれば、非清掃状態となると付勢部材の付勢力を利用して接触部材を軸部に接触させて回転清掃体を制動し、清掃状態となると付勢部材の付勢力に抗して接触部材が被清掃面にて押圧される力を利用して回転清掃体の制動を解除することができる簡素な構成の制動機構を得ることができる。
【0062】
・前記非清掃状態のときに前記接触部材が自重によって重力方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部と接触し、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面にて押圧される方向に移動することにより前記内周縁が前記軸部から離間するものであってもよい。
この構成によれば、非清掃状態または清掃状態のときに接触部材自体の重量を利用して接触部材による回転清掃体の制動または制動解除を行うことができるより簡素な構成の制動機構を得ることができる。
【0063】
・前記駆動部は、駆動モータまたはタービンと、前記駆動モータまたは前記タービンの回転力を前記回転清掃体の前記軸部の一端側に伝達する動力伝達機構を備え、
前記接触部材は、前記軸部の前記一端側とは反対の他端側に配置されてもよい。
この構成によれば、筐体内の動力伝達機構が設けられるスペースとは反対側のスペースに制動機構を設けることができる。
【0064】
・前記軸挿通孔は、前記非清掃状態のときに前記周縁部が前記軸部と接触する接触孔部と、前記清掃状態のときに前記周縁部が前記軸部と非接触となる前記接触孔部よりサイズが大きい非接触孔部とを有するものであってもよい。
この構成によれば、接触部材が一方向に直線移動したときには回転清掃体を制動し、接触部材が他方向(反対方向)に直線移動したときには回転清掃体の制動を解除するように制動機構を構成することができる。
【0065】
また、本発明の電気掃除機は、塵埃を吸引し集塵する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される前記吸込口体とを備える。
この構成によれば、前記効果を奏する吸込口体を備えた電気掃除機を得ることができる。
この場合、前記駆動部は、駆動モータを備え、
前記掃除機本体は、前記駆動モータを駆動または停止させるよう制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動モータに前記所定値以上の負荷が加わったときの前記駆動モータの電流値に基づいて、駆動中の前記駆動モータを停止させるものであってもよい。
この構成によれば、電気掃除機の運転中において、回転清掃体が制動機構によって制動されたときに変動する駆動モータの電流値に基づいて制御部が駆動モータを駆動または停止させることができる。
【0066】
また、本発明の別の電気掃除機は、塵埃を吸引し集塵する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続される吸込口体とを備え
前記吸込口体は、吸込口を有する筐体と、前記筐体内における前記吸込口の近傍に回転可能に設けられた回転清掃体と、前記筐体内に設けられて前記回転清掃体を回転させる駆動部と、前記筐体内における前記駆動部の近傍に設けられた制動機構とを備え、
前記制動機構は、前記筐体が被清掃面上に載置された清掃状態のときに被清掃面と接触し、かつ、前記筐体が被清掃面から離れた非清掃状態のときに前記駆動部と接触する接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記駆動部と接触することにより前記駆動部に所定値以上の負荷を加え、かつ、前記清掃状態のときに前記接触部材が被清掃面と接触することにより前記負荷を解除するように構成されており、
前記駆動部は、駆動モータを備え、
前記掃除機本体は、前記駆動モータを駆動または停止させるよう制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記駆動モータに前記所定値以上の負荷が加わったときの前記駆動モータの電流値に基づいて、駆動中の前記駆動モータを停止させるものである。
この構成によれば、筐体内の動力伝達機構が設けられるスペースの近傍スペースに制動機構を設けることができる。
【0067】
また、前記別の電気掃除機において、前記駆動部は、前記駆動モータの回転力を前記回転清掃体に伝達する動力伝達機構を備え、
前記制動機構は、前記筐体内で移動可能に設けられた前記接触部材を有し、前記非清掃状態のときに前記接触部材が前記動力伝達機構と接触するように前記接触部材が移動し、かつ、前記清掃状態のときに前記動力伝達機構から離間するように前記接触部材が移動するものであってもよい。
この構成によれば、例えば、動力伝達機構がプーリ・ベルト機構である場合には、接触部材をベルトに接触させて回転清掃体の回転を制動し、接触部材をベルトから離間させて回転清掃体の制動を解除するように構成することができる。
【0068】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0069】
1:電気掃除機、 10:掃除機本体、 20:吸引部、 21a:電動送風機収納部、 21b:ハンドル部、 21c:バッテリ装着部、 21d:パイプ部、 21e:操作スイッチ部、 22:電動送風機、 23:制御部、 25:導電ケーブル、 26:電気配線部、 26a:接続端子、 30:集塵部、 40:バッテリ、 60:延長管、 61:管本体、 61a:一端、 61b:他端、 62:電気配線部、 62a:第1接続端子、 62b:第2接続端子、 70:吸込口体、 71:吸込口本体、 71b:後部ローラ、 71F:筐体、 71x:前部、 71xa:底壁、 71xb:側壁、 71xc:側壁、 71xd:上壁、 71xe:凹形保持部、 71xg:溝部、 71xh:挿通孔、 71xq:底部、 71xr:支持リブ、 71xw:仕切り壁、 71y:後方突出部、 72:回転清掃体、 72a:軸部、 72aa:大径軸部、 72ab:小径軸部、 72ac:小径軸部、 72ad:軸芯部、 72ae:軸芯部、 72b:ブラシ部、 72c:軸受け部、 73:駆動モータ、 74:動力伝達機構、 74a:第1プーリ、 74b:第2プーリ、 74c:タイミングベルト、 75:制動機構、 75a:接触部材、 75aa:胴部、 75ab:脚部、 75ac:緩衝部、 75ad:ボス部、 75b:付勢部材、 75h:軸挿通孔、 75ha:接触孔部、 75hb:非接触孔部、 76:電気配線部、 76a:接続端子、 78:関節部、 79:接続管部、 170:吸込口体、 175:制動機構、 175a:接触部材、 175aa:胴部、 175ab:脚部、 175ad:ストッパ凸部、 175ae:錘、 175h:軸挿通孔、 175ha:接触孔部、 175hb:非接触孔部、 175hc:爪形小突起、 F:被清掃面、 P1:第1軸心、 P2:第2軸心、 P3:第3軸心、 P4:第4軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11