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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A47L9/28 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020089689
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183053
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】杉本 涼
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019905(JP,A)
【文献】実公昭38-014173(JP,Y1)
【文献】実開平03-124496(JP,U)
【文献】特開平10-055895(JP,A)
【文献】特開平07-095945(JP,A)
【文献】登録実用新案第3222247(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28-9/32
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を内蔵する筐体を有しダストを吸引する吸引装置と、吸引したダストを捕捉する集塵装置とを有する掃除機本体を備え、
前記吸引装置は、前記電動送風機および制御基板を収納する電気部品収納部と、前記電動送風機による吸引力によって吸込んだ空気と被清掃面上のダストとを前記集塵装置へ移送するためのパイプ部と、前記電動送風機の駆動と停止を切り替える操作部と、放電部とを有し、
前記操作部は、前記筐体内に設けられたスイッチ部と、前記スイッチ部を操作可能に前記筐体の外面に設けられたカバー部と、前記筐体内に設けられ、前記スイッチ部と前記制御基板とを電気的に接続可能な配線部とを有し、
前記放電部は、前記配線部の外周における前記スイッチ部の近傍位置に設けられ、前記配線部の静電気を前記筐体内の空気中に放電するように構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記吸引装置は、前記操作部の近傍にハンドル部を有する請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記スイッチ部は、スイッチ本体と、前記スイッチ本体を実装する回路基板と、前記回路基板と前記配線部とを電気的に接続する基板側コネクタ部とを有し、
前記配線部は、配線本体と、前記基板側コネクタ部と電気的に接続可能なように前記配線本体と電気的に接続された配線側コネクタ部とを有し、
前記放電部は、前記配線本体の外周における前記配線側コネクタ部の近傍位置に設けられている請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記放電部は、前記配線本体の外周における前記配線側コネクタ部の近傍位置に巻き付けられる導電性の巻設部と、前記巻設部から前記配線側コネクタ部とは反対側の前記配線本体側に突出する導電性の突出部とを有する請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記突出部が、ブラシ状の導電性繊維束にて形成されてなる請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記巻設部が、帯状の導電性繊維束にて形成されてなる請求項4または5に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記巻設部および前記突出部は1枚の導電性シートからなり、
前記突出部は、複数の細長いテープからなるテープ束、または、先端に尖った鋭角部を有するテープにて形成されてなる請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記巻設部から前記配線側コネクタ部までの間隔が1mm~6mmである請求項4~7のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記巻設部から複数の前記突出部が互いに離れた状態で前記配線本体側に突出している請求項4~8のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記複数の突出部としての一対の突出部が互いに前記配線本体を中心に対向する位置に配置されている請求項4~9のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記突出部が、前記配線本体の外周全体に亘って設けられている請求項3~8のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項12】
前記掃除機本体の前記パイプ部と直接または延長管を介して接続される吸込口体をさらに備え、
前記吸込口体は、回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させる駆動モータとを有し、
前記掃除機本体の前記スイッチ部から、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続された前記吸込口体の前記駆動モータに亘って、前記配線部を含む電気配線系が設けられている請求項1~11のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機では、被清掃面上のダストを空気と共に吸引することによって、電気掃除機内の通風路とダストまたは空気との間等での摩擦による静電気が発生し、電気掃除機から使用者の手に静電気が伝わって不快感を与えることがあった。
また、特許文献1では、帯電性部品に帯電する静電気をフェルトの短繊維の端部から空中へ放電可能な静電気放電体を吸引流路の外面に設けた電気掃除機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-55895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転ブラシを有する吸込口体にてダスト(特に、粉塵物)を掻き込みながら吸引することによって静電気が発生し、その静電気が電気配線系を介してハンドルに伝わり、使用者に不快感を与える可能性があった。
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、電動送風機を内蔵する筐体を有しダストを吸引する吸引装置と、吸引したダストを捕捉する集塵装置とを有する掃除機本体を備え、
前記吸引装置は、前記電動送風機および制御基板を収納する電気部品収納部と、前記電動送風機による吸引力によって吸込んだ空気と被清掃面上のダストとを前記集塵装置へ移送するためのパイプ部と、前記電動送風機の駆動と停止を切り替える操作部と、放電部とを有し、
前記操作部は、スイッチ部と、前記スイッチ部を操作可能に前記筐体の外面に設けられたカバー部と、前記スイッチ部と前記制御基板とを電気的に接続可能な配線部とを有し、
前記放電部は、前記配線部の外周における前記スイッチ部の近傍位置に設けられ、前記配線部の静電気を前記筐体内の空気中に放電するように構成された電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気掃除機による清掃時に生じる静電気によって使用者の手に不快な刺激を与える可能性を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の電気掃除機の制御系を説明するブロック図である。
図3】第1実施形態の電気掃除機の掃除機本体を示す左側断面図である。
図4図3の掃除機本体の制御系を説明するブロック図である。
図5図3の掃除機本体の操作部およびハンドル部を示す部分左側断面図である。
図6図3の掃除機本体の操作部の配線部に設けられた放電部を示す説明図である。
図7図6の配線部に設けられた放電部を示す横断面図である。
図8図6の配線部に取り付ける前の放電部を示す平面図である。
図9】第1実施形態の放電部の変形例を示す平面図である。
図10図10(A)は第2実施形態の放電部の平面図、図10(B)はその変形例の平面図である。
図11図11(A)は第3実施形態の放電部の平面図、図11(B)は第2実施形態の変形例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の電気掃除機の第1実施形態を示す斜視図である。
図1に示すように、この電気掃除機1は、掃除機本体10と、掃除機本体10に着脱可能に装着されるバッテリ40と、掃除機本体10に着脱可能に接続される一端61aを有する延長管60と、延長管60の他端61bと着脱可能に接続される吸込口体70とを備えたスティック型のコードレス電気掃除機である。また、電気掃除機1においては、延長管60を介さずに、掃除機本体10に吸込口体70を直接接続してハンディ型として使用することもできる。
なお、本実施形態ではスティック型電気掃除機を例示するが、本発明は、延長管側に集塵装置が設けられたタイプのスティック型電気掃除機、キャニスター型電気掃除機、アップライト型電気掃除機または布団掃除機などのハンディ型電気掃除機であってもよい。
【0011】
図2は第1実施形態の電気掃除機の制御系を説明するブロック図である。
図1図2に示すように、この電気掃除機1は、掃除機本体10と吸込口体70とを延長管60を介してまたは介さずに電気的に接続する中継配線部26、62、76などを含む電気配線系が設けられている。なお、中継配線部26、62、76および他の配線部について詳しくは後述する。
【0012】
掃除機本体10は、電動送風機22を内蔵しダストを吸引する吸引装置20と、吸引したダストを捕捉する集塵装置30とを備える。なお、掃除機本体10について詳しくは後述する。
【0013】
延長管60は、管本体61と、管本体61に沿って設けられた複数の導電ケーブルを含む前記中継配線部62とを備える。
また、中継配線部62の各導電ケーブルは、一端61a側に設けられたピン形端子62aと、他端61b側に設けられたクリップ形端子62bとをそれぞれ有する。
【0014】
吸込口体70は、吸込口本体71と、前後方向の第1軸心を中心として回動可能に吸込口本体71と結合した関節部72と、第1軸心と直交する第2軸心を中心として回動可能に関節部72と結合した接続管部73とを備える。
【0015】
吸込口本体71は、底部に図示しない吸込口を有する筐体71aと、筐体71a内の吸込口近傍に回転可能に設けられた回転ブラシ74と、回転ブラシ74を回転させる駆動モータ75と、駆動モータ75と電気的に接続された図示しないモータ駆動回路と、先端にピン形端子76aを有しモータ駆動回路と電気的に接続された複数の導電ケーブルを含む前記中継配線部76と、駆動モータ75の回転力を回転ブラシ74に伝達する動力伝達機構77(例えば、プーリ・ベルト機構)とを備える。
【0016】
吸込口体70と延長管60とが接続された状態において、吸込口体70の中継配線部76のピン形端子76aは、延長管60の中継配線部62のクリップ形端子62bに差し込まれて電気的に接続されている。
また、延長管60と掃除機本体10とが接続された状態において、延長管60の中継配線部62のピン形端子62aは、掃除機本体10の後述する複数の導電ケーブルを含む中継配線部26のクリップ形端子26aに差し込まれて電気的に接続されている。
なお、延長管60を介さずに、掃除機本体10に吸込口体70を直接接続して使用する場合、クリップ形端子26aにピン形端子76aが差し込まれて電気的に接続される。
【0017】
<掃除機本体の構成>
図3は第1実施形態の電気掃除機の掃除機本体を示す左側断面図であり、図4図3の掃除機本体の制御系を説明するブロック図であり、図5図3の掃除機本体の操作部およびハンドル部を示す部分左側断面図である。なお、図3中に、掃除機本体10の後述するパイプ部21dを水平状に構えた使用者から視た場合の前後上下方向を矢印にて示しており、この前後上下方向と直交する方向(図3の紙面に対して垂直方向)が左右方向であり、掃除機本体の構造はこの前後左右上下方向に基づいて説明される。また、図4では、掃除機本体10(吸引装置20)の制御系が図2よりも詳しく示されており、掃除機本体10内における制御系の各部品の大まかな位置も図示されている。
【0018】
図2図5に示すように、掃除機本体10の吸引装置20は、電動送風機22とその駆動基板22aおよび制御基板23等を収納する電気部品収納部21aと、電気部品収納部21aの後方に設けられたハンドル部21bと、電気部品収納部21aの下端に設けられたバッテリ装着部21cと、電気部品収納部21aの上部の前方に設けられたパイプ部21dとを含む筐体21を備える。
また、吸引装置20には、電気部品収納部21aの上端からハンドル部21b側へ延びる操作部21eが設けられると共に、操作部21eの静電気を筐体21内の空気中に放電する放電部21fが設けられている。
【0019】
筐体21の電気部品収納部21aは、略円筒形の部分であり、前方へ開口する円筒形の空気導入口21aaが設けられており、空気導入口21aa内には格子部材21ab(図3参照)が嵌め込まれている。
また、電気部品収納部21aの右側壁には複数の小孔からなる排気口21acが設けられている。
【0020】
電動送風機22は、電気部品収納部21a内の空気導入口21aaの後方であって、空気導入口21aaの中心を通る中心線Pよりも電動送風機22の回転軸が平行上方位置となるように配置されている。
電動送風機22の駆動基板22a、は電動送風機22の後方に配置されている。
制御基板23(図4参照)は、例えば、駆動基板22aの後方または電動送風機22とバッテリ装着部21cとの間に配置されている。
マイコンを含む電子部品が実装された制御基板23は、複数の導電ケーブルを含む配線部23aを介してバッテリ装着部21cに装着されたバッテリ40と電気的に接続されると共に、複数の導電ケーブルを含む配線部23bを介して駆動基板22aと電気的に接続されている。
【0021】
ハンドル部21bは、電気部品収納部21aの上部から後方へ延びる上端部21baと、電気部品収納部21aの下部から後方へ延びる下端部21bbと、上端部21baと下端部21bbとを連結するグリップ部21bcとからなる。グリップ部21bcには、グリップ部21bcを握る使用者の手H(図5参照)の指を検知して検知信号を制御基板(制御部)23へ出力するようにグリップ部21bcに設けられたグリップセンサ21bsが設けられている。また、ハンドル部21bの下部には、バッテリ用ロック機構21bdが設けられている。
【0022】
グリップセンサ21bsは、発光素子および受光素子を有し、グリップ部21bcを握る使用者の手Hの指に向かって発光素子から光L1が照射され、その光L1が指を反射した反射光L2を受光素子が受光することにより手Hの指を検知する(図5参照)。
このグリップセンサ21bsは複数の導電ケーブルを含む配線部21ecを介して操作部21eと電気的に接続されている。なお、配線部21ecにおける操作部21eとの接続部付近には後述する放電部21fが設けられている。
【0023】
電気部品収納部21aの上部には、ハンドル部21bの上端部21baと連続的に繋がる連結部21aeが設けられており、この連結部21aeとハンドル部21bの上端部21baに、電動送風機22の強/弱を切り替えるスイッチや電動送風機22の出力を自動調整しながら運転を行う自動運転モードスイッチ、運転を停止する「切」スイッチ等を含む操作部21eが設けられている。
操作部21eは、複数の導電ケーブルを含む配線部21edを介して制御基板23と電気的に接続されている(図4参照)。なお、操作部21eおよび放電部21fについて詳しくは後述する。
【0024】
バッテリ用ロック機構21bdは、グリップ部21bcの下部に設けられたロック解除ボタン部21bdaと、ロック解除ボタン部21bdaと摺接可能な傾斜面部を有する爪部21bdbと、爪部21bdbを下方へ付勢する付勢部材21bdc(例えば、圧縮コイルバネ)とを有する。
【0025】
このバッテリ用ロック機構21bdによれば、ロック解除ボタン部21bdaを前方へ押すと、ロック解除ボタン部21bdaの前端が爪部21bdbの傾斜面部を押圧し、それによって付勢部材21bdcの付勢力に抗して爪部21bdbが上方へ移動する。この状態からロック解除ボタン部21bdaの押圧を解除すると、付勢部材21bdcにて爪部21bdbが押圧されて下方へ移動し、それによってロック解除ボタン部21bdaが後方の初期位置(図3で示した位置)へ移動する。
【0026】
バッテリ装着部21cは、下方および後方へ開口する凹部を有し、凹部は後方から前方へ向かうにつれて少し(例えば、10°前後)上昇する傾斜状に設けられている。また、バッテリ装着部21cの凹部の奥部には、バッテリ40の給電端子(不図示)と電気的に接続可能な受電端子(不図示)が設けられている。
また、凹部内の左右側面には前後長手方向に沿って延びる図示しないリブが設けられており、バッテリ装着時にはバッテリ40の左右に沿って設けられた溝部(不図示)がバッテリ装着部21cの左右のリブにスライドしながら嵌り込むようになっている。このとき、バッテリ用ロック機構21bdの爪部21bdbがバッテリ40の後部上面の切欠凹部42に係止することにより、バッテリ装着部21cにバッテリ40が装着状態でロックされる(図3参照)。
【0027】
パイプ部21dは、連結部21aeに連設されて空気導入口21aaよりも前方へ突出した突出部21adから前方へ突出しており、先端に吸引口21daが設けられている。
また、図3図4に示すように、パイプ部21dにおいて、吸引口21daより下の閉鎖空間内に前記中継配線部26のクリップ形端子26aが設けられると共に、複数のクリップ形端子26aと連通する複数の挿入孔(不図示)を有する仕切り板21dbが閉鎖空間の前端に設けられている。
【0028】
図2図4に示すように、中継配線部26は、制御基板23と電気的に接続されている。
延長管60の一端61aを吸引装置20のパイプ部21dの吸引口21daに挿入して接続すると、延長管60の複数のピン形端子62aがパイプ部21dの複数の挿入孔に挿入されて複数のクリップ形端子26aと電気的に接続する。
【0029】
図3に示すように、集塵装置30は、集塵容器31と、集塵容器31と着脱可能なフィルタ部32とを有するサイクロン方式の集塵装置であり、吸引装置20のパイプ部21dの下端に沿って横向きに装着される。すなわち、吸引装置20におけるパイプ部21dの下端と電気部品収納部21aの空気導入口21aaとの間のスペースが集塵装置30の装着部として構成されている。
【0030】
集塵容器31の周壁部の一部に流入口31a(図3参照)が設けられており、一方、吸引装置20のパイプ部21dの下端には集塵容器31の流入口31aと接続可能な流出口21dc(図5参照)が設けられている。よって、掃除機本体10の駆動時において、吸引装置20のパイプ部21d内に流入した塵埃含有空気は、流出口21dcおよび流入口31aを介して集塵容器31内に流入する。
【0031】
集塵装置30のフィルタ部32は、集塵容器31の開口部に着脱可能に嵌め込まれるカップ部32aと、カップ部32aの中心孔と接続されて集塵容器31内に収納される内筒部32bと、カップ部32aの内筒部32bとは反対側に設けられるフィルタ本体32cとを有する。
【0032】
掃除機本体10の駆動時において、集塵容器31内に流入した塵埃含有空気のうち、比較的大きな第1の塵埃の一部は集塵容器31内を旋回して遠心分離され、他の第1の塵埃は内筒部32bに設けられたメッシュ部にて捕獲される。メッシュ部を通過した比較的微細な第2の塵埃は、フィルタ本体32cにて捕獲される。フィルタ本体32cを通過することにより塵埃が除去された空気は、吸引装置20内へ空気導入口21aaから流入し、電動送風機22を通過して排気口21acから排気される。
【0033】
<操作部および放電部について>
図6図3の掃除機本体の操作部の配線部に設けられた放電部を示す説明図である。また、図7図6の配線部に設けられた放電部を示す横断面図であり、図8図6の配線部に取り付ける前の放電部を示す平面図である。
図3図6に示すように、ハンドル部21bの近傍に設けられた操作部21eは、スイッチ部21eaと、スイッチ部21eaを操作可能に筐体21の外面に設けられたカバー部21ebと、スイッチ部21eaとグリップセンサ21bsとを後述の基板側コネクタ部21eacおよび配線側コネクタ部21ecbを介して電気的に接続する前記配線部21ecと、スイッチ部21eaと制御基板23とを電気的に接続する前記配線部21edとを有する。
【0034】
スイッチ部21eaは、スイッチ本体21eaaと、スイッチ本体21eaaを実装する回路基板21eabと、回路基板21eabと配線部21ecとを電気的に接続する基板側コネクタ部21eacとを有する。
本実施形態では、3つのスイッチ本体21eaaが回路基板21eabに設けられている。これら3つのスイッチ本体21eaaは、例えば、電動送風機22の出力を自動調整しながら運転を行う自動運転モードスイッチ、電動送風機22の出力の「強/弱」を切り替えるスイッチと、電動送風機22の運転を停止する「切」スイッチである。
また、本実施形態では、回路基板21eabには、3つのLEDライト21eadが設けられている。これら3つのLEDライト21eadは、例えば、自動運転モード時に点灯するライト、電動送風機22の出力が「強」であるときに点灯するライト、電動送風機22の出力が「弱」であるときに点灯するライトである。
【0035】
回路基板21eabは、基板側コネクタ部21eacがハンドル部21b側へ向くようにして筐体21内のリブ構造部にビス留めされている(図3参照)。
図1図3図6に示すように、カバー部21ebは、筐体21に形成された長円形の孔部に嵌め込まれた長円形のシート材からなり、複数のスイッチ本体21eaaを上方から覆うようになっている。
カバー部21ebは、3つのスイッチ本体21eaaに対応位置に3つの円形の可撓性膜部21ebaを有し、それらの表面には例えば「自動」、「強/弱」、「切」といった文字が印刷されている。それらの可撓性膜部21ebaを指で押すことによって、各可撓性膜部21ebaを介して各スイッチ本体21eaaが押せるようになっている。
また、カバー部21ebにおける3つのLEDライト21eadに対応する部分は透明または半透明になっており、各LEDライト21eadの光を外部から目視できるようになっている。
【0036】
また、配線部21ecは、導電ケーブル21ecxを絶縁チューブ21ecyにて被覆してなる配線本体21eca(図7参照)と、基板側コネクタ部21eacと電気的に接続可能なように配線本体21ecaと電気的に接続された配線側コネクタ部21ecbとを有する。なお、本実施形態では、配線部21ecが3本の配線本体21ecaを有する場合を例示しているが、配線部21ecの本数は特に限定されず、1本または2本でもよく、4本以上でもよい。
【0037】
図6図8に示すように、放電部21fは、配線本体21ecaの外周における配線側コネクタ部21ecbの近傍位置に巻き付けられる導電性の巻設部21faと、巻設部21faから配線側コネクタ部21ecbとは反対側の配線本体21eca側に突出する導電性の一対の突出部21fbとを有する。
本実施形態の場合、放電部21fにおいて、巻設部21faは帯状の導電性繊維束にて形成され、突出部21fbはブラシ状の導電性繊維束にて形成されている。放電部21fは、例えば、展開した帯状の巻設部21faの一方の長辺側に、ブラシ状の一対の突出部21fbを互いに離間させて取り付けることにより形成できる。
なお、放電部21fに用いられる導電性繊維としては、導電性を有する繊維であればよく、例えば、銅、アルミニウム、ステンレススチール等の金属からなる繊維が挙げられる。
【0038】
放電部21fは、一対の突出部21fbが配線側コネクタ部21ecbとは反対側の配線部21ec(3本の配線本体21eca)の方へ突出するようにして巻設部21faを配線部21ecの外周に巻き付けることにより取り付けられる。
このとき、例えば、巻設部21faの広い一面に貼り付けた両面テープ(不図示)を配線部21ecに巻き付ける(貼り付ける)ようにしてもよい。さらには、配線部21ecに巻き付けた巻設部21faの外面に固定テープ21fcを巻き付けて、巻設部21faを配線部21ecに強固に固定し、かつ、各突出部21fbを構成する導電性繊維の抜け止めを行ってもよい。なお、両面テープおよび固定テープ21fcは、導電性を有するものであってもよい。
【0039】
放電部21fを配線部21ecに巻き付ける際、一対の突出部21fbを配線側コネクタ部21ecbとは反対側の配線部21ec(3本の配線本体21eca)の方へ突出させればよい。つまり、一対の突出部21fbは、配線部21ecに沿うように突出してもよく、あるいは各突出部21fbの先端側が配線部21ecに対して離れる方向または近づく方向に湾曲していてもよい。
【0040】
また、放電部21fを配線部21ecに巻き付ける際、巻設部21faから配線側コネクタ部21ecbまでの間隔Wが1mm~6mmであることが好ましい(図6参照)。
間隔Wが1mm以上であることにより配線本体21ecaと配線側コネクタ部21ecbとの間に巻設部21faの導電性繊維が入り込んで配線本体21ecaの芯線(導電ケーブル21ecx)と接触する可能性を抑えることができると共に、間隔Wが6mm以下であるため静電気が配線側コネクタ部21ecbから巻設部21faへ飛び移りやすくなって放電部21fによる高い放電効果が得られやすくなる。言い換えると、間隔Wが1mm未満であると配線本体21ecaと配線側コネクタ部21ecbとの間に巻設部21fa(導電性繊維)が入り込んで配線本体21ecaの芯線(導電ケーブル21ecx)と接触する可能性が高まり、間隔Wが6mmを超えると静電気が配線側コネクタ部21ecbから放電部21fの巻設部21faへ飛び移りにくくなって放電部21fによる高い放電効果が得られにくくなる。
【0041】
さらに、放電部21fを配線部21ecに巻き付ける際、一対の突出部21fbが互いに配線部21ec(3本の配線本体21eca)を中心に対向する位置に配置されるようにすることが、放電部21fによる放電効果をより高めることができる上で好ましい。
【0042】
<運転時の電気掃除機について>
このように構成された第1実施形態の電気掃除機1(図1図6参照)によれば、使用者がグリップ部21bcを握り、操作部21eの電源スイッチ(スイッチ本体21eaa)を押すことにより、グリップセンサ21bsからの検知信号(HighまたはLow)および電源スイッチ(スイッチ本体21eaa)からの運転指令信号が制御基板23のマイコンに入力される。マイコンはこれらの信号に基づき、回転ブラシ74の駆動モータ75を駆動させるよう駆動基板(不図示)を介して制御すると共に、電動送風機22を駆動させるよう駆動基板22aを介して制御する。なお、「自動」のスイッチ本体21eaaを押すと床面の状態やごみセンサの検知結果に応じて電動送風機22の出力を自動的に切り替えながら(調整しながら)運転を行う自動運転モードとなる。また、「強/弱」のスイッチ本体21eaaを押すことにより、マイコンが電動送風機22の出力を強(または弱)となるように、「強/弱」のスイッチ本体21eaaを押すごとに強弱を切り替える制御を行う。また、運転中、使用者がグリップ部21bcから手Hを離すと、グリップセンサ21bsから検知信号(lowまたはhigh)がマイコンに入力され、マイコンは回転ブラシ74の駆動モータ75を停止させるよう駆動基板(不図示)を介して制御すると共に、電動送風機22を停止させるよう駆動基板22aを介して制御する。また、運転中、「切」のスイッチ本体21eaaを押すと、マイコンは回転ブラシ74の駆動モータ75を停止させるよう駆動基板(不図示)を介して制御すると共に、電動送風機22を停止させるよう駆動基板22aを介して制御する。
【0043】
電気掃除機1の運転時、吸込口体70の回転ブラシ74が回転して被清掃面上のダストを吸込口に掻き込みながら吸引する。このとき、特にダストが粉塵物であると、回転ブラシ74に静電気が発生しやすく、発生した静電気が回転ブラシ74から動力伝達機構77、駆動モータ75とそのモータ駆動回(不図示)、中継配線部76、62、26、制御基板23および配線部21ec等を伝って配線側コネクタ部21ecbおよび操作部21eの基板側コネクタ部21eacに達する場合がある。
【0044】
仮に、配線側コネクタ部21ecbの近傍に放電部21fが設けられていないとすると、配線側コネクタ部21ecbおよび基板側コネクタ部21eacに静電気が溜まり、溜まった静電気の帯電量が一定量を超えたときにハンドル部21bのグリップ部21bcを握る使用者の手Hに飛んで不快な刺激を与えることがある。この際、図1図5に示すように、例えば、グリップ部21bcを構成する筐体21の外側部品21xと内側部品21yとを接合したときの接合部分21qの僅かな隙間、あるいは、筐体21の内側部品21yに設けられた取付孔の周縁とその取付孔に嵌め込まれたグリップセンサ21bsの外枠との嵌合部分21gの僅かな隙間から静電気が外部へアーク放電すると推測される。
【0045】
このような静電気がアーク放電して使用者の手Hに不快な刺激を与える可能性を抑制するために、本発明では配線側コネクタ部21ecbの近傍に放電部21fを設け、基板側コネクタ部21eacに静電気が達すると、少ない帯電量のときに定期的に静電気が放電部21fの巻設部21faへ飛び移ってブラシ状の突出部21fbの各導電性繊維の先から筐体21内の空気中にコロナ放電する。そのため、前記のようなアーク放電によって使用者の手Hに不快な刺激を与える可能性を抑制することができる。
【0046】
なお、吸引装置20内において、電動送風機22から排気口21acの間の排気風路を流れる空気と配線部21ecとの摩擦によって発生した静電気が配線側コネクタ部21ecbへ伝わった場合でも、前記と同様に静電気は放電部21fから筐体21内の空気中にコロナ放電される。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
図9は第1実施形態の放電部の変形例を示す平面図である。なお、図9において、図8中の要素と同様の要素については同一の符号を付している。
図9に示すように、放電部121fは、巻設部21faの一方の長辺の全体にブラシ状の突出部121fbが設けられてもよい。
このようにすれば、配線部21ecに放電部121fを巻き付けることにより、配線部21ec(3本の配線本体21eca)の外周全体に亘って放電部121fの突出部121fbを配置することができる。そのため、放電部121fによる高い放電効果を得ることができる。
【0048】
(第2実施形態およびその変形例)
図10(A)は第2実施形態の放電部の平面図、図10(B)はその変形例の平面図である。
図10(A)に示すように、第2実施形態の場合、放電部221fの巻設部221faおよび一対の突出部221fbは、1枚の導電性シートからなる。さらに、各突出部221fbは、短冊状にカットされた複数の細長いテープ221fbaからなるテープ束となっている。
図10(B)に示すように、第2実施形態の変形例の場合、放電部321fの巻設部221faの一方の長辺の全体に、複数の細長いテープ321fbaからなるテープ束が突出部321fbとして設けられている。
第2実施形態およびその変形例の放電部221f、321fの突出部221fb、321fbの場合、複数の細長いテープ221fba、321fbaの先端から静電気がコロナ放電する。
なお、第2実施形態およびその変形例において、巻設部221faの配線側コネクタ部側の端部を配線部と直角方向にフランジ状に折り曲げる、あるいは巻設部221faの厚みを厚くすることにより、配線側コネクタ部から飛ぶ静電気をキャッチしやすくしてもよい。この点については、後述の第3実施形態およびその変形例についても同様である。
第2実施形態およびその変形例において、その他の構成は第1実施形態およびその変形例と同様である。
【0049】
(第3実施形態およびその変形例)
図11(A)は第3実施形態の放電部の平面図、図11(B)は第2実施形態の変形例の平面図である。なお、図11(A)および(B)において、図10(A)および(B)中の要素と同様の要素については同一の符号を付している。
図11(A)に示すように、第3実施形態の場合、第2実施形態と同様に、放電部421fの巻設部221faおよび一対の突出部421fbは、1枚の導電性シートからなる。さらに、各突出部421fbは、先端に複数の尖った鋭角部421fbaを有するテープにて形成されている。
図11(B)に示すように、第3実施形態の変形例の場合、放電部521fの巻設部221faの一方の長辺の全体に、先端に複数の尖った鋭角部521fbaを有するテープが突出部521fbとして設けられている。
第3実施形態およびその変形例の放電部421f、521fの突出部421fb、521fbの場合、鋭角部421fba、521fbaの尖った先端から静電気がコロナ放電する。
第3実施形態およびその変形例において、その他の構成は第1実施形態およびその変形例と同様である。
【0050】
(他の実施形態)
前記実施形態の電気掃除機1における吸込口体70では、モータ駆動式の回転ブラシ74を備え、回転ブラシ74の回転中に静電気が発生し、その静電気が電気配線系を介して操作部21eに達したときに、静電気を操作部21eと電気的に接続された配線部21ecに設けた放電部21fによって筐体21内の空気中にコロナ放電させ、それによって使用者の手Hに静電気が飛んで不快な刺激を与える可能性を抑制した場合を例示したが、本発明は次のように構成してもよい。
つまり、吸引装置20内において、電動送風機22から排気口21acの間の排気風路を流れる空気と配線部21ecとの摩擦によって静電気が発生し、その静電気が配線側コネクタ部21ecbへ伝わって溜まる可能性がある。このような現象は、吸込口体にモータ駆動式の回転ブラシが備えられる場合だけでなく、吸込口体にタービン駆動式の回転ブラシが備えられる場合や、吸込口体が回転ブラシおよびその駆動系等を備えていない場合でも生じる可能性がある。
したがって、本発明の電気掃除機は、掃除機本体と吸込口体とが電気配線系を介して電気的に接続されずかつ吸込口体がタービン駆動式の回転ブラシを備えた電気掃除機や、掃除機本体と吸込口体とが電気配線系を介して電気的に接続されずかつ吸込口体が回転ブラシおよびその駆動系を備えない電気掃除機にも適用できる。
また、本発明は掃除機本体にハンドル部が設けられた電気掃除機に限定されず、例えば、ハンドル部を有さないボトル形の電気掃除機にも適用可能である。
【0051】
(まとめ)
本発明の電気掃除機は、電動送風機を内蔵する筐体を有しダストを吸引する吸引装置と、吸引したダストを捕捉する集塵装置とを有する掃除機本体を備え、
前記吸引装置は、前記電動送風機および制御基板を収納する電気部品収納部と、前記電動送風機による吸引力によって吸込んだ空気と被清掃面上のダストとを前記集塵装置へ移送するためのパイプ部と、前記電動送風機の駆動と停止を切り替える操作部と、放電部とを有し、
前記操作部は、スイッチ部と、前記スイッチ部を操作可能に前記筐体の外面に設けられたカバー部と、前記スイッチ部と前記制御基板とを電気的に接続可能な配線部とを有し、
前記放電部は、前記配線部の外周における前記スイッチ部の近傍位置に設けられ、前記配線部の静電気を前記筐体内の空気中に放電するように構成されている。
【0052】
この構成によれば、電気掃除機による清掃中に生じた静電気は配線部を介してスイッチ部に達し、スイッチ部の静電気の帯電量が増える前に定期的にスイッチ部から放電部を介して筐体内の空気中に放電(コロナ放電)するため、スイッチ部に静電気が溜まりにくくなる。したがって、スイッチ部に静電気が多く溜まって(帯電量が多くなって)一気に放電(アーク放電)し、それによって電気掃除機の操作部付近を持つ使用者の手に不快な刺激を与える、という可能性を低減できる。
また、従来の電気掃除機として、筐体を帯電防止剤を含有する樹脂にて形成することによって、静電気の発生量を抑え、静電気が使用者の手に伝わる可能性を低減する技術が知られている。しかしながら、この場合、静電気の帯電量は0にはならず、静電気が使用者の手に飛ぶ可能性は大きく変わらず、それに加え、成型品の直行率が低下しかつコストが上昇するが、本発明では成型品の直行率に影響を与えずかつ静電気対策を低コストにて対応できる。
また、前記特許文献1の電気掃除機では、静電気放電体が吸引通路の外面に設けられるため、外観デザインに影響を与えてしまうが、本発明では筐体内に放電部が設けられるため外観デザインに影響を与えることがない。
【0053】
本発明の電気掃除機は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0054】
・前記吸引装置は、前記操作部の近傍にハンドル部を有するものであってもよい。
スティック型、ハンディ型、キャニスター形、アップライト型等の各種の電気掃除機の多くは操作部の近傍にハンドル部を有しているため、この構成によれば、ハンドル部を握る使用者の手に静電気が飛んで不快な刺激を与える可能性の低減に効果的である。
【0055】
・前記スイッチ部は、スイッチ本体と、前記スイッチ本体を実装する回路基板と、前記回路基板と前記配線部とを電気的に接続する基板側コネクタ部とを有し、
前記配線部は、配線本体と、前記基板側コネクタ部と電気的に接続可能なように前記配線本体と電気的に接続された配線側コネクタ部とを有し、
前記放電部は、前記配線本体の外周における前記配線側コネクタ部の近傍位置に設けられてもよい。
この構成によれば、配線本体を伝って配線側コネクタ部および基板側コネクタ部に達した静電気が放電部へ飛んで移動し、放電部から筐体内の空気中にコロナ放電される。
【0056】
・前記放電部は、前記配線本体の外周における前記配線側コネクタ部の近傍位置に巻き付けられる導電性の巻設部と、前記巻設部から前記配線側コネクタ部とは反対側の前記配線本体側に突出する導電性の突出部とを有するものであってもよい。
この構成によれば、配線本体を伝って配線側コネクタ部および基板側コネクタ部に達した静電気が、放電部の広い面積の巻設部に飛び移りやすくなり、かつ、巻設部に移った静電気が突出部から筐体内の空気中にコロナ放電しやすくなる。
【0057】
・前記突出部が、ブラシ状の導電性繊維束にて形成されてもよい。
この構成によれば、放電部の静電気が、突出部であるブラシ状の導電性繊維束の各繊維先端から筐体内の空気中にコロナ放電する。
【0058】
・前記巻設部が、帯状の導電性繊維束にて形成されてもよい。
この構成によれば、巻設部と突出部とを同じ導電性繊維にて一体状に容易に形成することができる。
【0059】
・前記巻設部および前記突出部は1枚の導電性シートからなり、
前記突出部は、複数の細長いテープからなるテープ束、または、先端に尖った鋭角部を有するテープにて形成されてもよい。
この構成によれば、低コストにて放電部を形成することができる。また、放電部の静電気が、突出部であるテープ束の各細長いテープの先端または突出部であるテープの先端の鋭角部から筐体内の空気中にコロナ放電する。
【0060】
・前記巻設部から前記配線側コネクタ部までの間隔が1mm~6mmであってもよい。
この構成によれば、前記間隔が1mm以上であるため配線本体と配線側コネクタ部との間に巻設部が入り込んで配線本体の芯線(導線)と接触する可能性を抑えることができると共に、前記間隔が6mm以下であるため静電気が配線側コネクタ部から放電部の巻設部へ飛び移りやすく(引き寄せられやすく)なって放電部による高い放電効果が得られやすくなる。言い換えると、前記間隔が1mm未満であると配線本体と配線側コネクタ部との間に巻設部が入り込んで配線本体の芯線(導線)と接触する可能性が高まり、前記間隔が6mmを超えると静電気が配線側コネクタ部から放電部の巻設部へ飛び移りにくくなって放電部による高い放電効果が得られにくくなる。
【0061】
・前記巻設部から複数の前記突出部が互いに離れた状態で前記配線本体側に突出してもよい。
この構成によれば、配線本体の外周の複数箇所に放電部の突出部を配置することができるため、放電部による放電効果をより高めることができ、配線部の配線本体が複数本束になっている場合に効果的である。
【0062】
・前記複数の突出部としての一対の突出部が互いに前記配線本体を中心に対向する位置に配置されてもよい。
この構成によれば、配線本体の外周に放電部の一対の突出部を対向位置に配置することができるため、放電部による放電効果をより高めることができ、配線部の配線本体が複数本束になっている場合(例えば、2~3本の束)に効果的である。
【0063】
・前記突出部が、前記配線本体の外周全体に亘って設けられてもよい。
この構成によれば、配線本体の外周全体に亘って放電部の突出部を配置することができるため、放電部による高い放電効果を得ることができ、配線部の配線本体が複数本束になっている場合に効果的である。
【0064】
・前記掃除機本体の前記パイプ部と直接または延長管を介して接続される吸込口体をさらに備え、
前記吸込口体は、回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させる駆動モータとを有し、
前記掃除機本体の前記スイッチ部から、前記掃除機本体と直接または延長管を介して接続された前記吸込口体の前記駆動モータに亘って、前記配線部を含む電気配線系が設けられてもよい。
この構成によれば、回転ブラシを有する吸込口体にてダスト(特に、粉塵物)を掻き込みながら吸引することによって静電気が発生し、その静電気が電気配線系を介してスイッチ部に伝わり、スイッチ部に溜まった静電気の帯電量(電荷)が一定量を超えたときに、電気掃除機を持つ使用者の手に静電気がアーク放電して不快な刺激を与える可能性を抑えることができる。
【0065】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
1:電気掃除機、 10:掃除機本体、 20:吸引装置、 21:筐体、 21 a:電気部品収納部、 21aa:空気導入口、 格子部材:21ab、 21 ac:排気口、 21ad:突出部、 21ae:連結部、 21b:ハンドル 部、 21ba:上端部、 21bb:下端部、 21bc:グリップ部、 21bd:バッテリ用ロック機構、 21bda:ロック解除ボタン部、 21b db:爪部、 21bdc:付勢部材、 21bs:グリップセンサ、 21c :バッテリ装着部、 21d:パイプ部、 21da:吸引口、 21db:仕 切り板、 21dc:流出口、 21e:操作部、 21ea:スイッチ部、 21eaa:スイッチ本体、 21eab:回路基板、 21eac:基板側コ ネクタ部、 21ead:LEDライト、 21eb:カバー部、 21eba :可撓性膜部、 21ec:配線部、 21eca:配線本体、 21ecb: 配線側コネクタ部、 21ecx:導電ケーブル、 21ecy:絶縁チューブ、 21ed:配線部、 21f:放電部、 21fa:巻設部、 21fb: 突出部、 21fc:固定テープ、 21g:嵌合部分、 21q:接合部分、 21x:外側部品、 21y:内側部品、 22:電動送風機、 22a: 駆動基板、 23:制御基板、 23a:配線部、 23b:配線部、 26 :中継配線部、 26a:クリップ形端子、 30:集塵装置、 31:集塵容 器、 31a:流入口、 32:フィルタ部、 32a:カップ部、 32b :内筒部、 32c:フィルタ本体、 40:バッテリ、 42:切欠凹部、 60:延長管、 61:管本体、 61a:一端、 61b:他端、 62 :中継配線部、 62a:ピン形端子、 62b:クリップ形端子、 70:吸 込口体、 71:吸込口本体、 71a:筐体、 72:関節部、 73:接 続管部、 74:回転ブラシ、 75:駆動モータ、 76:中継配線部、 76a:ピン形端子、 77:動力伝達機構、 121f:放電部、 121f b:突出部、 221f:放電部、 221fa:巻設部、 221fb:突出 部、 221fba:細長いテープ、 321f:放電部、 321fb:突出 部、 321fba:細長いテープ、 421f:放電部、 421fb:突出 部、 421fba:鋭角部、 521f:放電部、 521fb:突出部、 521fba:鋭角部、 L1:光、 L2:反射光、 P:中心線、 W :間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11