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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】操舵状態判定装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20240109BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20240109BHJP
   B62D 117/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20240109BHJP
   B62D 109/00 20060101ALN20240109BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D1/04
B62D117:00
B62D113:00
B62D119:00
B62D109:00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020105464
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021075260
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019201371
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】田村 勉
(72)【発明者】
【氏名】フックス ロバート
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 勝利
(72)【発明者】
【氏名】杉山 剛司
(72)【発明者】
【氏名】大北 直之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲平
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116429(JP,A)
【文献】特開2018-001907(JP,A)
【文献】特開2010-202048(JP,A)
【文献】特開2002-104223(JP,A)
【文献】特開2010-188770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 1/04
B62D 117/00
B62D 113/00
B62D 119/00
B62D 109/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵者が操舵部材の所定部に接触したことを検知する接触検出部と、
操舵トルクに基づき操舵者の操舵を検出する操舵検出部と、
前記接触検出部および前記操舵検出部からの情報に基づき、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しているが操舵は行っていない接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態、および操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していないが操舵している不安定状態のいずれかの状態であると判定する判定部と、を備え
前記判定部は、
前記把持状態であると判定している際に、前記接触検出部から操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していない非接触情報および前記操舵検出部から操舵者の操舵情報を取得すると、非接触状態、接触状態、把持状態、および不安定状態のいずれでもない暫定状態と判定する
操舵状態判定装置。
【請求項2】
操舵者が操舵部材の所定部に接触したことを検知する接触検出部と、
操舵トルクに基づき操舵者の操舵を検出する操舵検出部と、
前記接触検出部および前記操舵検出部からの情報に基づき、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しているが操舵は行っていない接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態、および操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していないが操舵している不安定状態のいずれかの状態であると判定する判定部と、
時間を計測する計時部と、
前記操舵検出部から得られる操舵角と前記計時部から得られる時間に基づき操舵角速度を取得し、前記操舵トルクと前記操舵角速度に基づき操舵仕事率を算出する仕事率算出部と、を備え
前記操舵検出部は、
操舵トルクおよび操舵角に応じて操舵を検出し、
前記判定部は、
前記操舵トルクに基づき操舵度合を算出し、
操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態であって、且つ、前記操舵度合が所定の閾値以上となった場合に、操舵状態と判定し、
操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態であって、且つ、前記操舵度合が所定の閾値未満となった場合に、保舵状態と判定し、
前記仕事率算出部から取得した操舵仕事率を前記操舵度合として、前記操舵状態および前記保舵状態を判定する
操舵状態判定装置。
【請求項3】
操舵者が操舵部材の所定部に接触したことを検知する接触検出部と、
操舵トルクに基づき操舵者の操舵を検出する操舵検出部と、
前記接触検出部および前記操舵検出部からの情報に基づき、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しているが操舵は行っていない接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態、および操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していないが操舵している不安定状態のいずれかの状態であると判定する判定部と、
前記判定部の所定時間分の判定結果を判定情報として記憶させ、前記判定情報を時間の経過に従い順次更新する循環記憶部と、
車両の異常を示す異常情報を取得する異常情報取得部と、を備え、
前記循環記憶部は、
前記異常情報取得部が異常を判定した時の前記判定情報を固定化する
操舵状態判定装置。
【請求項4】
操舵者が操舵部材の所定部に接触したことを検知する接触検出部と、
操舵トルクに基づき操舵者の操舵を検出する操舵検出部と、
前記接触検出部および前記操舵検出部からの情報に基づき、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しているが操舵は行っていない接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態、および操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していないが操舵している不安定状態のいずれかの状態であると判定する判定部と、を備え
前記接触検出部は、
接触センサからの信号を接触閾値に基づく閾値判断により操舵者が操舵部材に接触したことを検知し、前記接触閾値に基づき接触が検知される前に前記操舵検出部により操舵が検出された場合には、前記接触閾値を変更する
操舵状態判定装置。
【請求項5】
時間を計測する計時部をさらに備え、
前記操舵検出部は、
操舵トルクが所定のトルク閾値以上の場合は操舵を検出し、
操舵トルクが所定のトルク閾値未満の状態が第1所定時間以上継続した場合は非操舵を検出する
請求項1から4のいずれか一項に記載の操舵状態判定装置。
【請求項6】
前記操舵検出部は、
トルク推定オブザーバを用いて外乱が除去された操舵トルクを推定する
請求項1から5のいずれか一項に記載の操舵状態判定装置。
【請求項7】
前記接触検出部は、
前記接触閾値を変更した後であって、前記操舵検出部により操舵が検出されない場合には、前記接触閾値を元に戻す
請求項に記載の操舵状態判定装置。
【請求項8】
前記判定部の判定結果に応じて、転舵輪の転舵角に対する前記操舵部材の回転角の比である伝達比を変更する伝達比変更部を備える
請求項1からのいずれか一項に記載の操舵状態判定装置。
【請求項9】
前記伝達比変更部は、
自動運転開始後において、前記判定部の判定結果を数値化した関与量を積分した値に応じて前記伝達比を徐々に減少させる
請求項に記載の操舵状態判定装置。
【請求項10】
前記暫定状態が、第2所定時間(≧第1所定時間)以上継続した場合、不安定状態であると判定する
請求項1に記載の操舵状態判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵者の操舵状態を判定する操舵状態判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システムが走行の全てを制御する自動運転、いわゆるレベル3以上の自動運転を実現する車両の開発が進んでいる。一方、自動運転が可能な車両であっても運転を楽しみたい場合や緊急回避時など運転者が車両の操舵を望む場合もある。
【0003】
特許文献1には、自動運転中であっても運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを高い信頼性で検知できる技術が記載されている。
【0004】
このような技術により、自動運転中であってもステアリングホイールを運転者が把持しているか否かにより運転者の意図を読み取り、その意図を自動運転の停止などに反映させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-1907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、運転者の意図は、自動運転か手動運転かの2択ではなく、そろそろ手動運転に移行しようと言うような準備の意図がある場合や、自動運転は続行したいが誤ってステアリングホイールに触れてしまった場合など複雑である。
【0007】
そこで、本発明は、操舵者の意図をきめ細かく判定することができる操舵状態判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の1つである操舵状態判定装置は、操舵者が操舵部材の所定部に接触したことを検知する接触検出部と、操舵トルクに基づき操舵者の操舵を検出する操舵検出部と、前記接触検出部および前記操舵検出部からの情報に基づき、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触しているが操舵は行っていない接触状態、操舵者が前記操舵部材の所定部に接触して操舵している把持状態、および操舵者が前記操舵部材の所定部に接触していないが操舵している不安定状態のいずれかの状態であると判定する判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操舵者の意思をきめ細かく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る判定部の判定の遷移条件を示す図である。
図3図3は、実施の形態2に係る判定部の判定の遷移条件を示す図である。
図4図4は、実施の形態3に係る操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態3に係る循環記憶部の動作の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態3に係る判定情報を概念的に示す図である。
図7図7は、実施の形態4に係る操舵状態判定装置を備えた操舵システムを示す図である。
図8図8は、実施の形態4に係る操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。
図9図9は、実施の形態4に係る判定部の判定結果の経時変化を示す図である。
図10図10は、接触検出部の動作の流れの別例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る操舵状態判定装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、および接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。本実施の形態1の操舵状態判定装置100は、自動運転と手動運転との切り替えが可能な車両に搭載されている。同図に示すように、操舵状態判定装置100は、操舵部材200に対する操舵者の接触などに基づき操舵状態を判定する装置であって、接触検出部110、操舵検出部120、および判定部130を備えている。実施の形態1の場合、操舵状態判定装置100はさらに、仕事率算出部140、および計時部150を備えている。
【0013】
操舵部材200は、手動運転の際に操舵のために操舵者が操作する部材である。操舵部材200の形状は、特に限定されるものではなく、ホイール形状などを例示することができる。実施の形態1の場合、操舵部材200は、円環状のリム部201と、リム部201と回転軸とを連結するスポーク部202とを備えている。
【0014】
接触検出部110は、操舵者が操舵部材200の所定部に接触したことを操舵部材200に取り付けられた接触センサ210からの信号に基づき検出し、検出結果を出力する。本実施の形態1の場合、接触検出部110は、接触センサ210に操舵者が接触していることを検出した場合は、接触情報であるONの信号を出力し、それ以外の場合は非接触情報であるOFFの信号を出力する。
【0015】
接触センサ210は、ステアリングホイールなどの操舵部材200の所定部に取り付けられている。本実施の形態1の場合、接触センサ210が取り付けられている所定部は、操舵部材200のリム部201の外周面であり、リム部201の全周にわたっている。一方、スポーク部202には接触センサ210は取り付けられていない。接触センサ210の種類は、特に限定されるものではなく、静電容量式、抵抗膜式、機械式など任意に採用される。実施の形態1の場合、接触センサ210は、静電容量式が採用されている。
【0016】
操舵検出部120は、操舵者が操舵部材200に付与する操舵トルクに基づき操舵を検出する。本実施の形態1の場合、操舵部材200には、トルク取得手段220、および回転角取得手段230が取り付けられており、操舵検出部120は、トルク取得手段220により検出されたトルク、および回転角取得手段230により検出された操舵角に基づき、トルク推定オブザーバを用いて転舵輪からの逆入力トルクなどの外乱を除去した真の値に近い操舵トルクを推定する。本実施の形態1の場合、操舵検出部120は、操舵トルクがトルク閾値以上の場合は、操舵を検出し、ONの信号を判定部130に出力する。また、操舵検出部120は、操舵トルクがトルク閾値未満の状態が第1所定時間(例えば2秒間)以上継続した場合は、非操舵を検出し、OFFの信号を判定部130に出力する。即ち、本実施の形態1の場合、操舵検出部120がON(操舵)からOFF(非操舵)を検出するまでの間に第1所定時間(例えば2秒間)の遅延が存在する。敢えてこのような遅延時間を設けることにより、操舵部材200の切り戻し等で、短時間、操舵トルクが零となるような場合に操舵検出部120からOFF信号が出力されるのを防止することができる。
【0017】
なお、「操舵」には、操舵者が操舵を意図して操舵部材200を回転させる場合、操舵者が車両の直進を意図して操舵部材200をわずかに回転させる場合(中点付近の微操舵)、および操舵者が意図せずに操舵部材200を回転させる場合などが含まれる。前記場合の内「操舵者が車両の直進を意図して操舵部材200をわずかに回転させる場合」は、操舵検出部120からONの信号が出力されるように、トルク閾値が設定されている。
【0018】
また、操舵検出部120は、トルク取得手段220により検出されたトルクを操舵トルクとして用いてもかまわない。
【0019】
トルク取得手段220は、操舵部材200に作用するトルクに関連する情報を取得できるものであれば、特に限定されるものではない。
【0020】
回転角取得手段230は、操舵者が操舵部材200を回転させた際の操舵部材200の基準位置からの回転角である操舵角を取得できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的に例えば、回転角取得手段230としてはロータリーエンコーダを例示することができる。また、回転角取得手段230は±360度を越える回転角を操舵角として取得してもかまわない。
【0021】
計時部150は、時間を計測する処理部である。計時部150の計時方法は特に限定されるものではないが、例えば操舵状態判定装置100のサンプリング周期に基づき時間を計測してもかまわない。また、時間とは絶対的な時間ではなく、操舵状態判定装置100固有の時間であってもかまわない。例えば、サンプリング周期の1回を時間1としてもかまわない。
【0022】
仕事率算出部140は、回転角取得手段230から得られる操舵角と、計時部150から得られる時間に基づき操舵部材200の角速度を示す操舵角速度を取得する。具体的に例えば、仕事率算出部140は、操舵状態判定装置100のサンプリング周期1周期の間に回転角取得手段230から得られるパルス数を操舵角の変化量とし、この値を操舵角速度として取得してもかまわない。なお、この場合でも操舵角を計時部150から得られた時間で除算したものとする。仕事率算出部140は、取得した操舵角速度にトルク取得手段220から取得した操舵トルクを乗算して得られた積を操舵仕事率(操舵度合)として算出し、算出した操舵仕事率を出力する。
【0023】
図2は、判定部の判定の遷移条件を示す図である。同図に示す破線は、一方通行の遷移を示し、実線は双方向の遷移を示している。また図2において、各状態に対応した操舵部材200と操舵者の手の関係を示すイメージ図をブロック図の右横に記載している。
【0024】
判定部130は、接触検出部110、および操舵検出部120からの情報に基づき、操舵者が操舵部材200のリム部201に取り付けられている接触センサ210に接触しておらず操舵は行っていない非接触状態301、操舵者が接触センサ210に接触しているが操舵は行っていない接触状態302、操舵者がリム部201に接触して操舵している保舵状態(把持状態)303、および操舵者が接触センサ210に接触していないが操舵している不安定状態304のいずれかの状態であると判定する。
【0025】
本実施の形態1の場合、判定部130はさらに、保舵状態(把持状態)303であると判定している際に、操舵しているが接触検出部110から操舵者が操舵部材200の所定部に接触していない非接触情報を示すOFF信号を取得すると、非接触状態301、接触状態302、保舵状態(把持状態)303、および不安定状態304のいずれでもない暫定状態305と判定する。
【0026】
判定部130はさらに、操舵者がリム部201に接触して操舵している保舵状態(把持状態)303であって、且つ、仕事率算出部から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、操舵状態(把持状態)306であると判定する。また判定部130は、操舵者がリム部201に接触して操舵している保舵状態(把持状態)303であって、且つ、操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、保舵状態303と判定する。即ち、操舵状態(把持状態)306および保舵状態303は、操舵者がリム部201に接触して操舵している把持状態の一態様である。
【0027】
判定部130はさらに、操舵状態(把持状態)306であると判定している際に、接触検出部110から非接触情報を示すOFF信号を取得すると、暫定状態305と判定する。
【0028】
実施の形態1における判定部130の具体的な判定条件は、以下の通りである。なお、括弧書きの数字は図2に記載の括弧書きの数字と対応している。
【0029】
(1)判定部130は、車両のシステム始動時に初期状態300となり、初期状態300においては、操舵状態を非接触状態301と判定する。
【0030】
(2)非接触状態301と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。
【0031】
(3)非接触状態301と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、接触状態302であると判定する。
【0032】
(4)非接触状態301と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0033】
(5)接触状態302と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。
【0034】
(6)接触状態302と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0035】
(7)接触状態302と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0036】
(8)保舵状態(把持状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0037】
(9)保舵状態(把持状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、接触状態302であると判定する。
【0038】
(10)保舵状態(把持状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、不安定状態304であるとは判定せず、暫定状態305であると判定する。
【0039】
(11)把持状態(保舵状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、判定部130は、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0040】
(12)操舵状態(把持状態)306と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、判定部130は、保舵状態303であると判定する。
【0041】
(13)操舵状態(把持状態)306と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、暫定状態305であると判定する。
【0042】
(14)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの状態、即ち、暫定状態305が第2所定時間(≧第1所定時間、例えば2秒間)以上継続した場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。第2所定時間を判定の条件とすることにより、運転者が付与する実際の操舵トルクが零に近くなった際に、操舵検出部120がONからOFFを検出するまでの遅延に対応することができる。なお、遅延が発生しない場合は、暫定状態305を経由することなく各状態に遷移してもかまわない。
【0043】
(15)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0044】
(16)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、接触状態302であると判定する。
【0045】
(17)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0046】
(18)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0047】
(19)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0048】
(20)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、接触状態302であると判定する。
【0049】
(21)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0050】
(22)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0051】
上記実施の形態1に係る操舵状態判定装置100によれば、非接触状態301、接触状態302、保舵状態(把持状態)303、不安定状態304、操舵状態(把持状態)306、および補助的な暫定状態305の6段階できめ細かく操舵者の操舵状態に対応した制御を実行することができる。
【0052】
これにより、判定部130は、各状態に対応した信号を制御装置240に出力することで、車両は自動運転と手動運転との切り替えなどをスムーズに行うことが可能となる。
【0053】
なお、制御装置240は、自動運転制御を含む車両の主要な制御を行う装置である。具体的には、エンジンを制御するエンジン制御、4輪のブレーキ装置を制御するブレーキ制御、車両の操舵系に設けられたパワーステアリングを制御するステアリング制御等を例示することができる。
【0054】
(実施の形態2)
続いて、操舵状態判定装置100の他の実施の形態について説明する。なお、実施の形態2に係る操舵状態判定装置100は、前記実施の形態1に係る操舵状態判定装置100と同じ構成を備えており、判定部130の判定手法が異なっているため、実施の形態2では、判定部130における判定手法を説明する。
【0055】
図3は、判定部の判定の遷移条件を示す図である。同図に示す破線は、一方通行の遷移を示し、実線は双方向の遷移を示している。また、図3に記載の括弧書きの数字は、下記の括弧書きの数字と対応している。
【0056】
本実施の形態2の場合、判定部130は、操舵意図無モード311、および操舵意図有モード312を備えている。操舵意図無モード311において、判定部130は、非接触状態301、不安定状態304、暫定状態305、および操舵の意図無く接触センサ210に接触している意図無接触状態307を選択的に判定する。また、操舵意図有モード312において、判定部130は、保舵状態(把持状態)303、操舵状態(把持状態)306、および操舵の意図を有して接触センサ210に接触している意図有接触状態308を選択的に判定する。
【0057】
本実施の形態2における判定部130の具体的な判定条件は、以下の通りである。
【0058】
判定部130は、車両のシステム始動時に操舵状態を暫定状態305と判定する。
【0059】
(31)操舵意図無モード311において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がONの場合、操舵意図有モード312に遷移する。
【0060】
(32)操舵意図有モード312において、接触検出部110からの出力がOFFの場合、操舵意図無モード311に遷移する。
【0061】
なお、操舵意図有モード312から操舵意図無モード311に遷移した直後は、判定部130は、暫定状態305と判断した状態となる。操舵意図無モード311から操舵意図有モード312モードに遷移した直後、判定部130は初期状態310として再度判定を行う。
【0062】
操舵意図無モード311における判定部130の具体的な判定手法は以下の通りである。
【0063】
(33)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの状態、即ち、暫定状態305が第2所定時間(≧第1所定時間、例えば2秒間)以上継続した場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。
【0064】
(34)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0065】
(35)暫定状態305と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、意図無接触状態307であると判定する。
【0066】
(36)非接触状態301と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。
【0067】
(37)非接触状態301と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、意図無接触状態307であると判定する。
【0068】
(38)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0069】
(39)不安定状態304と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、意図無接触状態307であると判定する。
【0070】
(40)意図無接触状態307と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がONの場合、判定部130は、不安定状態304であると判定する。
【0071】
(41)意図無接触状態307と判定している場合において、接触検出部110からの出力がOFF、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、非接触状態301であると判定する。
【0072】
操舵意図有モード312における判定部130の具体的な判定手法は以下の通りである。
【0073】
(42)初期状態310において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0074】
(43)初期状態310において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、判定部130は、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0075】
(44)意図有接触状態308と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合の場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0076】
(45)意図有接触状態308と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、判定部130は、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0077】
(46)保舵状態(把持状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、意図有接触状態308であると判定する。
【0078】
(47)保舵状態(把持状態)303と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値以上の場合、判定部130は、操舵状態(把持状態)306であると判定する。
【0079】
(48)操舵状態(把持状態)306と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がON、仕事率算出部140から取得した操舵仕事率が仕事率閾値未満の場合、判定部130は、保舵状態(把持状態)303であると判定する。
【0080】
(49)操舵状態(把持状態)306と判定している場合において、接触検出部110からの出力がON、操舵検出部120からの出力がOFFの場合、判定部130は、意図有接触状態308であると判定する。
【0081】
上記実施の形態2に係る操舵状態判定装置100によれば、操舵意図無モード311、および操舵意図有モード312を備えているため、自動運転にするか手動運転にするかの情報を制御装置240に的確に出力することができる。具体的に判定部130は、操舵意図無モード311において、非接触状態301、意図無接触状態307、不安定状態304、および暫定状態305の情報を制御装置240に出力することができる。また判定部130は、操舵意図有モード312において、意図有接触状態308、保舵状態(把持状態)303、操舵状態(把持状態)306、および初期状態310の情報を制御装置240に出力することができる。そのため、各モードにおいてきめ細かく操舵者の操舵状態に対応した制御を実行することができる。
【0082】
(実施の形態3)
続いて、操舵状態判定装置100の他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1、2と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1、2と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0083】
図4は、実施の形態3に係る操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。同図に示すように、実施の形態3に係る操舵状態判定装置100は、実施の形態1に係る操舵状態判定装置100に加えて循環記憶部160と、異常情報取得部170とを備えている。
【0084】
循環記憶部160は、判定部130の所定時間分の判定結果を判定情報として記憶装置250に記憶させ、判定情報を時間の経過に従い順次更新するいわゆるリングバッファとして機能する処理部である。
【0085】
異常情報取得部170は、事故の発生など車両の異常を示す異常情報を車両に搭載されている他のECU(Electronic Control Unit)から取得する処理部である。
【0086】
図5は、循環記憶部の動作の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、循環記憶部160は、カウンタによるカウントアップを実行し(S101)、判定部130から新しい判定結果を取得したか否かを判断する(S102)。循環記憶部160は、新しい判定結果を取得するまでは(S102:No)カウントアップを続行し、新しい判定結果を取得すると(S102:Yes)、異常情報取得部170が異常情報を取得しているか否かを判断する(S103)。
【0087】
異常情報取得部170が異常情報を取得していない場合(S103:No)、循環記憶部160は、記憶装置250に記憶されている判定情報を更新する(S104:判定情報更新)。具体的には図6に示すように、時刻t1において循環記憶部160は、判定部130の現在時刻t1から所定時間Tを遡る間の判定結果を判定情報h1として記憶装置250に記憶させている。なお、図中のドット(黒丸)が判定部130の判定結果を示している。次に時刻t2において循環記憶部160は、判定部130の新しい判定結果を取得すると判定情報h1から新しい判定情報h2に情報を更新する。循環記憶部160は、異常情報取得部170が異常情報を取得するまで判定情報を順次更新していく。
【0088】
異常情報取得部170が異常情報を取得すると(S103:Yes)、異常情報を取得した時刻における最新の判定情報を固定化する(S105:判定情報固定化)。固定化とは、異常情報を取得した時刻における最新の判定情報を保持させることであり、例えば循環記憶部160が更新を停止することも固定化に含まれる。また、循環記憶部160は、異常情報を取得した時刻における最新の判定情報を別の記憶領域に記憶させることにより記憶情報の固定化を図っても構わない。
【0089】
以上、実施の形態3に係る操舵状態判定装置100によれば、事故などの異常が発生する直前の運転者の操舵部材200の操作状態を保持することができるため、異常発生後に運転者の行動を検証することが可能となる。
【0090】
(実施の形態4)
続いて、操舵状態判定装置100の他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1、2、3と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1、2、3と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0091】
図7は、操舵状態判定装置を備えた操舵システムを示す図である。操舵システム400は、運転者が操舵部材200を操作した操作量を信号(情報)に変換し、信号を受信したECU440が転舵機構430を制御することにより転舵輪420を転舵するシステムである。
【0092】
転舵機構430は、ECU440によって制御される転舵モータ432を駆動源として、転舵輪420を転舵させる機構であり、本実施の形態の場合、ラックシャフト431と、転舵モータ432と、転舵モータ432の回転駆動力を増幅してラックシャフト431に伝達するピニオンシャフトを備えた転舵減速機433と、直動するラックシャフト431と転舵輪420とを連結するタイロッド434と、を備えている。
【0093】
また、操舵システム400は、手動運転時においては、操舵部材200を操作する運転者に適切な操舵感を付与し、自動運転時においては、操舵部材200を自動的に回転させる反力モータを備えた反力発生手段260を備えている。
【0094】
図8は、実施の形態3に係る操舵状態判定装置の各機能を示すブロック図である。同図に示すように、実施の形態4に係る操舵状態判定装置100は、実施の形態1に係る操舵状態判定装置100に加えて伝達比変更部180を備えている。
【0095】
伝達比変更部180は、判定部130の判定結果に応じて、転舵輪420の転舵角に対する操舵部材200の回転角の比である伝達比を変更する((伝達比)=(操舵部材200の回転角)/(転舵輪420の転舵角))。伝達比変更部180は、変更した伝達比を反力発生手段260に対して出力する。反力発生手段260は、取得した伝達比に基づき、転舵輪420の転舵角に応じて操舵部材200を回転させる。
【0096】
例えば伝達比変更部180は、図9の括弧内に示すように、判定部130の判定結果を運転者が操舵部材200に関与した関与量として数値化する。そして、自動運転開始時に値を1とし、判定結果が数値化された関与量を順次1に加えることで積分し、積分結果に応じた伝達比を反力発生手段260に出力する。なお、積分結果が0になると、マイナスの関与量が発生した場合でも0を維持する。関与量の最大値は1で飽和させ、関与量が1を超える場合は1を維持する。関与量の最小値は0から1の間で任意に設定でき、関与量が最小値を下回る場合は最小値を維持する。伝達比変更部180は、数値化した関与量と、通常時ギヤ比(デフォルトのギヤ比)とから、(伝達比)=(通常時ギヤ比)*(関与量) の式で伝達比を演算する。
【0097】
以上により、自動運転開始時は、手動運転時と同等に転舵輪420の転舵角に応じて操舵部材200の回転角が同期し、運転者が操舵部材200に接触しない場合、徐々に操舵部材200の回転量が減少し、停止する。これによれば、安定した自動運転が継続した場合、操舵部材200が停止して運転者に与える煩わしさを抑制できる。また、小さな関与量では、伝達比が小さくなるので、操舵角も小さくなり、最小限の回転で自動運転の進行方向をドライバーに伝えることができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施の形態1から4に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0099】
例えば、操舵状態判定装置100は、計時部150、および仕事率算出部140を備えなくてもかまわない。また、操舵度合として操舵仕事率以外のパラメータ(例えば、操舵トルク)を用いてもよい。これらの場合においても、操舵状態判定装置100は、操舵者の操舵状態をきめ細かく判定することが可能である。
【0100】
また、操舵部材200は、複数方式の接触センサ210を備えてもかまわない。これによりさらにきめ細かく接触状態を判定することが可能となる。
【0101】
また、上記実施の形態1、2では、操舵状態判定装置100が自動運転と手動運転との切り替えが可能な車両に搭載された場合について記載した。しかし、LKA(レーンキープアシスト)搭載の車両において、LKA制御を有効あるいは無効にする判定をする場合にも本発明を適用できる。例えば、把持状態あるいは操舵状態の場合にLKA制御を有効にし、非接触状態の場合にLKA制御を無効にするようにしてもよい。
【0102】
また、接触検出部110の出力信号、および操舵検出部120の出力信号に基づき接触検出部110の判断基準となる接触閾値の値を変更しても構わない。例えば、図10に示すように、接触検出部110の出力信号がON(S201:Yes)、かつ操舵検出部120の出力信号がON(S202:Yes)の場合、または接触検出部110の出力信号がOFF(無い)場合(S201:No)、かつ操舵検出部120の出力信号がOFF(無い)場合(S203:No)の場合、接触閾値は変更しない。接触検出部110の出力信号がON(S201:Yes)、かつ操舵検出部120の出力信号がOFF(無い)の場合(S202:No)、接触検出部の接触閾値をBからAに変更(B<A)する(S204)。接触検出部110の出力信号がOFF(無い)場合(S201:No)、かつ操舵検出部120の出力信号がONの場合(S203:Yes)の場合、接触検出部の接触閾値をAからBに変更(B<A)する(S205)。これによれば、操舵が検出される前に接触状態が検出されるように接触閾値を変更することができ、検知順序の適正化を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、自動車、農業機械、建設機械など操舵者の意図に従い操作可能な車両などに利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
100…操舵状態判定装置、110…接触検出部、120…操舵検出部、130…判定部、140…仕事率算出部、150…計時部、160…循環記憶部、170…異常情報取得部、180…伝達比変更部、200…操舵部材、201…リム部、202…スポーク部、210…接触センサ、220…トルク取得手段、230…回転角取得手段、240…制御装置、250…記憶装置、260…反力発生手段、301…非接触状態、302…接触状態、303…把持状態、304…不安定状態、305…暫定状態、306…操舵状態、307…意図無接触状態、308…意図有接触状態、310…初期状態、311…操舵意図無モード、312…操舵意図有モード、400…操舵システム、420…転舵輪、430…転舵機構、431…ラックシャフト、432…転舵モータ、433…転舵減速機、434…タイロッド、440…ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10