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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240109BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20240109BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L29/78 652B
H01L29/44 Y
H01L29/78 652C
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 658A
H01L29/78 658F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020154752
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048752
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】馬場 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】西口 俊史
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0337236(US,A1)
【文献】特開2004-031385(JP,A)
【文献】特開2019-186506(JP,A)
【文献】特開2014-060298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、29/41、29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、
前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い、前記第3半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む第2導電部材と、
前記第1半導体領域の他部の上に設けられた第3導電部材であって、前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する、前記第3導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の前記一部と対向する第1面を含み、前記第1面は、前記第1絶縁部材と接する第1接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第1面の下端部との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接触部分との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短く、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と対向する第2面を含み、前記第2面は、前記第1絶縁部材と接する第2接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第2面の下端部との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1導電部材と前記第2接触部分との間の前記第1方向に沿う第4距離よりも短く、
前記第3距離は、前記第1導電部材と前記第3導電部材の上端部との間の前記第1方向に沿う距離よりも短く、
前記第4距離は、前記第1導電部材と前記第3導電部材の前記上端部との間の前記第1方向に沿う前記距離よりも長い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1距離は、前記第1導電部材と前記第3導電部材の下端部との間の前記第1方向に沿う距離よりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、
前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い、前記第3半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む第2導電部材と、
前記第1半導体領域の他部の上に設けられた第3導電部材であって、前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する、前記第3導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の前記一部と対向する第1面を含み、前記第1面は、前記第1絶縁部材と接する第1接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第1面の下端部との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接触部分との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短く、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と対向する第2面を含み、前記第2面は、前記第1絶縁部材と接する第2接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第2面の下端部との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1導電部材と前記第2接触部分との間の前記第1方向に沿う第4距離よりも短く、
前記第1距離は、前記第1導電部材と前記第3導電部材の下端部との間の前記第1方向に沿う距離よりも短い、半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁部材は、前記第3半導体領域の上に設けられた上部絶縁領域を含み、
前記上部絶縁領域の上面は、前記上部絶縁領域の前記上面の前記第2方向の端部に設けられた突出部を含む、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、
前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い、前記第3半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む第2導電部材と、
前記第1半導体領域の他部の上に設けられた第3導電部材であって、前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する、前記第3導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の前記一部と対向する第1面を含み、前記第1面は、前記第1絶縁部材と接する第1接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第1面の下端部との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接触部分との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短く、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と対向する第2面を含み、前記第2面は、前記第1絶縁部材と接する第2接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第2面の下端部との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1導電部材と前記第2接触部分との間の前記第1方向に沿う第4距離よりも短く、
前記第1絶縁部材は、前記第3半導体領域の上に設けられた上部絶縁領域を含み、
前記上部絶縁領域の上面は、前記上部絶縁領域の前記上面の前記第2方向の端部に設けられた突出部を含む、半導体装置。
【請求項6】
前記第1絶縁部材は、前記第3半導体領域の上に設けられた上部絶縁領域を含み、
前記上部絶縁領域は、第1絶縁部分及び第2絶縁部分を含み、
前記第1絶縁部分は前記第1導電部分と前記第2絶縁部分との間にあり、
前記第1絶縁部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2絶縁部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも薄い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、
前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い、前記第3半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む第2導電部材と、
前記第1半導体領域の他部の上に設けられた第3導電部材であって、前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する、前記第3導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の前記一部と対向する第1面を含み、前記第1面は、前記第1絶縁部材と接する第1接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第1面の下端部との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接触部分との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短く、
前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と対向する第2面を含み、前記第2面は、前記第1絶縁部材と接する第2接触部分を含み、前記第1導電部材と前記第2面の下端部との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1導電部材と前記第2接触部分との間の前記第1方向に沿う第4距離よりも短く、
前記第1絶縁部材は、前記第3半導体領域の上に設けられた上部絶縁領域を含み、
前記上部絶縁領域は、第1絶縁部分及び第2絶縁部分を含み、
前記第1絶縁部分は前記第1導電部分と前記第2絶縁部分との間にあり、
前記第1絶縁部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2絶縁部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項8】
第1導電部材と、
半導体部材であって、前記半導体部材は、
前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域であって、前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い、前記第3半導体領域と、
を含む、前記半導体部材と、
前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む第2導電部材と、
前記第1半導体領域の他部の上に設けられた第3導電部材であって、前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する、前記第3導電部材と、
第1絶縁部材であって、前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する、前記第1絶縁部材と、
を備え、
前記第1絶縁部材は、前記第3半導体領域の上に設けられた上部絶縁領域を含み、
前記上部絶縁領域の上面は、前記上部絶縁領域の前記上面の前記第2方向の端部に設けられた突出部を含む、半導体装置。
【請求項9】
第4導電部材をさらに備え、
前記第4導電部材の少なくとも一部は、前記第1半導体領域の前記他部と、前記第3導電部材と、の間にあり、
前記第1絶縁部材の一部は、前記半導体部材と前記第4導電部材との間にあり、前記第1絶縁部材の前記一部は、前記半導体部材と、前記第4導電部材と、の間を電気的に絶縁し、
前記第4導電部材は、前記第2導電部材及び前記第3導電部材の一方と電気的に接続されている、または、前記第4導電部材と電気的に接続された端子と前記第2導電部材と電気的に接続された端子とが接続部材により電気的に接続される、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
第1導電形の第1半導体領域を含む半導体部材と、前記第1半導体領域の一部の上に設けられた上部絶縁領域を含む第1絶縁部材と、2つの導電部材と、を含む構造体を準備し、前記第1半導体領域の前記一部から前記上部絶縁領域への第1方向は、前記2つの導電部材の1つから前記2つの導電部材の別の1つへの第2方向と交差し、前記第1半導体領域の前記一部は、前記第2方向において、前記2つの導電部材の間にあり、前記上部絶縁領域の上面は、前記上部絶縁領域の前記上面の前記第2方向の端部に設けられた突出部を含み、
前記上部絶縁領域を介して、第2導電形の不純物を、前記半導体部材の前記一部に導入して第2導電形の第2半導体領域を形成し、
前記上部絶縁領域を介して、前記第1導電形の不純物を、前記第2半導体領域の一部に導入して、前記第1導電形の第3半導体領域を形成する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-27182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1導電部材と、半導体部材と、第2導電部材と、第3導電部材と、第1絶縁部材と、を含む。前記半導体部材は、前記第1導電部材の上に設けられた第1導電形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の一部の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられた前記第1導電形の第3半導体領域と、を含む。前記第3半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度は、前記第1半導体領域における前記第1導電形の不純物濃度よりも高い。前記第2導電部材は、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第1導電部分を含む。前記第3導電部材は、前記第1半導体領域の他部の上に設けられる。前記第2半導体領域から前記第3導電部材への第2方向は、前記第1導電部材から前記第1半導体領域への第1方向と交差する。前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間にある。前記第1絶縁部材の前記少なくとも一部は、前記半導体部材と前記第3導電部材との間を電気的に絶縁する。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の前記一部と対向する第1面を含む。前記第1面は、前記第1絶縁部材と接する第1接触部分を含む。前記第1導電部材と前記第1面の下端部との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1導電部材と前記第1接触部分との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短い。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域と対向する第2面を含む。前記第2面は、前記第1絶縁部材と接する第2接触部分を含む。前記第1導電部材と前記第2面の下端部との間の前記第1方向に沿う第3距離は、前記第1導電部材と前記第2接触部分との間の前記前記第1方向に沿う第4距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3図3は、参考例に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を例示する模式的断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1及び図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1導電部材51、第2導電部材52、第3導電部材53、半導体部材10及び第1絶縁部材41を含む。
【0009】
半導体部材10は、第1半導体領域11、第2半導体領域12及び第3半導体領域13を含む。後述するように、半導体部材10は、第4半導体領域14及び第5半導体領域15を含んでも良い。
【0010】
第1半導体領域11は、第1導電部材51の上に設けられる。第1半導体領域11は、第1導電形である。第2半導体領域12は、第1半導体領域11の一部11aの上に設けられる。第2半導体領域12は、第2導電形である。第3半導体領域13は、第2半導体領域12の上に設けられる。第3半導体領域13は、第1導電形である。
【0011】
例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でも良い。以下では、第1導電形がn形であり、第2導電形がp形であるとする。
【0012】
第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えば、n層(n層を含む)である。例えば、第3半導体領域13は、n層である。
【0013】
第2導電部材52は、第1導電部分52aを含む。第1導電部分52aは、第2半導体領域12及び第3半導体領域13と電気的に接続される。第3導電部材53は、第1半導体領域11の他部11bの上に設けられる。
【0014】
第1導電部材51から第1半導体領域1への方向を第1方向とする。第1半導体領域11の一部11aから第3半導体領域13への方向は第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0015】
第2半導体領域12から第3導電部材53への第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えばX軸方向である。
【0016】
第1絶縁部材41の少なくとも一部は、半導体部材10と第3導電部材53との間にある。第1絶縁部材41の上記の少なくとも一部は、半導体部材10と、第3導電部材53と、の間を電気的に絶縁する。例えば、第1絶縁部材41は、第1絶縁領域41a及び第2絶縁領域41bを含む。第1絶縁領域41aは、第2方向(X軸方向)において、第2半導体領域12と第3導電部材53との間にある。第絶縁領域41bは、第1方向(Z軸方向)において、第1半導体領域11の他部11bと、第3導電部材53と、の間にある。
【0017】
例えば、第1導電部材51と第2導電部材52との間に流れる電流は、第3導電部材53の電位により制御できる。第1導電部材51は、例えば、ドレイン電極である。第2導電部材52は、例えば、ソース電極である。第3導電部材53は、例えば、ゲート電極である。第1絶縁部材41の第1絶縁領域41aは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0018】
図1に示すように、半導体装置110は、第4半導体領域14を含んでも良い。第4半導体領域14は、第2導電形(例えば、p形)である。第4半導体領域14の少なくとも一部は、第1方向(Z軸方向)において、第2半導体領域12の一部と第1導電部分52aとの間にある。第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度は、第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度よりも高い。第2半導体領域12は、例えば、p層である。第4半導体領域14は、例えばp層である。第4半導体領域14が設けられることで、例えば、第2半導体領域12の電位が安定する。
【0019】
図1に示すように、半導体装置110は、第1導電形の第5半導体領域15をさらに含んでも良い。第5半導体領域15は、第1方向(Z軸方向)において、第1導電部材51と第1半導体領域11との間にある。第5半導体領域15における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。第1半導体領域11は、例えば、n層である。第5半導体領域15は、例えばn層である。第5半導体領域15が設けられることで、例えば、第1導電部材51において、低いコンタクト抵抗が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0020】
既に説明したように、第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度は、第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度よりも高い。第2導電部材52において、低いコンタクト抵抗が得られる。例えば、低いオン抵抗が得られる。
【0021】
第2半導体領域12は、例えば、ベース層である。第3半導体領域13は、例えば、ソース層である。第1半導体領域11の上記の一部11aは、ドリフト層である。
【0022】
図1に示すように、第2半導体領域12は、第1面F1を含む。第1面F1は、第1半導体領域11の上記の一部11aと対向する。第1面F1は、第1絶縁部材41と接する第1接触部分FC1を含む。第1面F1の下端部FL1は、第1接触部分FC1よりも下にある。
【0023】
第3半導体領域13は、第2面F2を含む。第2面F2は、第2半導体領域12と対向する。第2面F2は、第1絶縁部材41と接する第2接触部分FC2を含む。第2面F2の下端部FL2は、第2接触部分FC2よりも下にある。
【0024】
図2に示すように、第1導電部材51と、第1面F1の下端部FL1と、の間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第1距離d1とする。第1導電部材51と、第1接触部分FC1と、の間の第1方向に沿う距離を第2距離d2とする。実施形態においては、第1距離d1は、第2距離d2よりも短い。
【0025】
図2に示すように、第1導電部材51と、第2面F2の下端部FL2と、の間の第1方向(Z軸方向)に沿う距離を第3距離d3とする。第1導電部材51と、第2接触部分FC2と、の間の第1方向に沿う距離を第4距離d4とする。実施形態においては、第3距離d3は、第4距離d4よりも短い。
【0026】
例えば、第1面F1は、凸状である。第2面F2は、凸状である。1つの例において、第2面F2は、第1面F1に沿って凸状に曲がっている。
【0027】
このような構成により、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0028】
図3は、参考例に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、参考例の半導体装置119においては、第1面F1は凹状であり、第2面F2は凹状である。このような半導体装置119においては、例えば、第2半導体領域12のX軸方向の端部(第1絶縁部材41側の部分)がX軸方向の中央部よりも下に延びている。その結果、寄生抵抗が高くなり易い。これにより、オン抵抗が高くなり易い。チャネル長が長くなり易く、オン抵抗Ron・Aが高くなる傾向がある。さらに、半導体装置119においては、第2半導体領域12(例えばベース層)の下側部分(第1半導体領域11と第4半導体領域14との間の部分)が薄い。これにより、パンチスルーが生じ易い。
【0029】
これに対して、実施形態においては、第2面F2は凸状である。これにより、寄生抵抗が抑制され、低いオン抵抗が得易くなる。チャネル長を短くでき、低いオン抵抗Ron・Aが得易い。実施形態においては、第1面F1が凸状なので、例えば、第2半導体領域12の下側部分(第1半導体領域11と第4半導体領域14との間の部分)を厚く維持し易い。これにより、パンチスルーが抑制される。
【0030】
図1に示すように、例えば、第2面F2の下端部FL2は、第3導電部材53の上端部53bよりも下にある。例えば、第2接触部分FC2は、第3導電部材53の上端部53bよりも上にある。例えば、第1面F1の下端部FL1は、第3導電部材53の下端部53aよりも下にある。このような構成により、より安定な特性が得られる。この例では、第1接触部分FC1の高さは、第3導電部材53の下端部53aの高さと実質的に同じである。図2に示すように、例えば、第3距離d3は、第1導電部材51と、第3導電部材53の上端部53bと、の間の第1方向に沿う距離d5よりも短い。例えば、第4距離d4は、第1導電部材51と、第3導電部材53の上端部53bと、の間の第1方向に沿う距離d5よりも長い。例えば、第1距離d1は、第1導電部材51と、第3導電部材53の下端部53aと、の間の第1方向に沿う距離d6よりも短い。この例では、第2距離d2は、第1導電部材51と、第3導電部材53の下端部53aと、の間の第1方向に沿う距離d6と実質的に同じである。
【0031】
図1に示すように、半導体装置110は、第2絶縁部材42をさらに含んでも良い。この例では、第2導電部材52は、第2導電部分52bをさらに含む。第1絶縁部材41は、上部絶縁領域41cを含む。上部絶縁領域41cは、第3半導体領域13の上に設けられる。第2導電部分52bは、上部絶縁領域41cの上にある。第2絶縁部材42の一部は、第1方向(Z軸方向)において、上部絶縁領域41cと、第2導電部分52bの一部と、の間にある。
【0032】
第1絶縁部材41と第2絶縁部材42との間の境界は、明確でも、不明確でも良い。
【0033】
図1に示すように、半導体装置110は、第4導電部材54をさらに含んでも良い。第4導電部材54の少なくとも一部は、第1半導体領域11の上記の他部11bと、第3導電部材53と、の間にある。第4導電部材54の少なくとも一部の第1方向(Z軸方向)にける位置は、第1半導体領域11の上記の他部11bの第1方向における位置と、第3導電部材53の第1方向における位置と、の間にある。第1絶縁部材41の一部41fは、半導体部材10と第4導電部材54との間にある。第1絶縁部材41の一部41fは、半導体部材10と、第4導電部材54と、の間を電気的に絶縁する。第1絶縁部材41の一部41fと、第1絶縁領域41aと、の間の境界は、明確でも、不明確でも良い。第1絶縁部材41の一部41fと、第2絶縁領域41bと、の間の境界は、明確でも、不明確でも良い。
【0034】
1つの例において、第4導電部材54は、第2導電部材52及び第3導電部材53の一方と電気的に接続されている。または、第4導電部材54は、第2導電部材52及び第3導電部材53の一方と電気的に接続されることが可能である。
【0035】
この例では、第4導電部材54は、第2導電部材52と電気的に接続される。例えば、半導体装置110は、接続部材54Lをさらに含んでも良い。接続部材54Lは、第2導電部材52及び第3導電部材53の一方と、第4導電部材54と、を電気的に接続する。
【0036】
図1に示すように、半導体装置110は、第4導電部材54と電気的に接続された端子54Tを含んでも良い。第4導電部材54と端子54Tとは、例えば、接続部材54Cにより電気的に接続される。半導体装置110は、第2導電部材52と電気的に接続された端子52Tを含んでも良い。第2導電部材52と端子52Tとは、例えば、接続部材52Cにより接続される。端子54Tと端子52Tとが、接続部材54Lにより電気的に接続されても良い。端子54Tが設けられる場合、接続部材54Lは、半導体装置110に含まれなくても良い。
【0037】
第4導電部材54は、例えば、フィールドプレートとして機能する。第4導電部材54が設けられることにより、電界の集中が抑制できる。例えば、高い耐圧が得られる。
【0038】
以下、半導体装置110の製造方法の例について説明する。
図4(a)~図4(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図4(a)に示すように、構造体SB1を準備する。構造体SB1は、半導体部材10と、第1絶縁部材41と、2つの導電部材(例えば、第3導電部材53)と、を含む。半導体部材10は、第1導電形の第1半導体領域11Fを含む。第1絶縁部材41は、上部絶縁領域41cを含む。上部絶縁領域41cは、第1半導体領域11Fの一部11dの上に設けられる。第1半導体領域11Fの一部11dから上部絶縁領域41cへの方向を第1方向とする。第1方向は、例えば、Z軸方向である。2つの導電部材(第3導電部材53)の1つから2つの導電部材(第3導電部材53)の別の1つへの方向を第2方向とする。第1方向は、第2方向と交差する。第2方向は、例えば、X軸方向である。第1半導体領域11Fの一部11dは、第2方向(X軸方向)において、2つの導電部材(第3導電部材53)の間にある。
【0039】
図4(b)に示すように、第1絶縁部材41の上部絶縁領域41cは、第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む。第1絶縁部分41pは、第1半導体領域11Fの上記の一部11dの第2方向(X軸方向)における中央部の上にある。第2絶縁部分41qは、第1半導体領域11Fの上記の一部11dの第2方向(X軸方向)における端部11deの上にある。端部11deは、第1半導体領域11Fのうちの2つの導電部材(例えば、第3導電部材53)の間にある部分(一部11d)のX軸方向における端である。端部11deは、第1絶縁部材41と接する部分を含む。
【0040】
図4(b)に示すように、第1絶縁部分41pの第1方向(Z軸方向)に沿う厚さを第1厚さt1とする。第2絶縁部分41qの第1方向に沿う厚さを第2厚さt2とする。第1厚さt1は、第2厚さt2よりも薄い。
【0041】
このような構造は、例えば、図4(a)において、第1絶縁部材41の上に開口部を有するマスクを形成し、その開口部を介して第1絶縁部材41の一部を除去することで形成できる。
【0042】
図4(c)に示すように、上部絶縁領域41cを介して、第2導電形の不純物12iを、第1半導体領域11の上記の一部11dに導入して第2導電形の第2半導体領域12Fを形成する。不純物12iの導入は、例えば、インプランテーションにより行われる。
【0043】
図4(d)に示すように、上部絶縁領域41cを介して、第1導電形の不純物13iを、第2半導体領域12Fの一部に導入して、第1導電形の第3半導体領域13を形成する。不純物13iの導入は、例えば、インプランテーションにより行われる。不純物13iが導入されなかった領域が、第2半導体領域12となる。
【0044】
上記の製造方法において、上部絶縁領域41cは、厚さが互いに異なる第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む。例えば、厚い第2絶縁部分41qに対応する領域に導入される不純物の深さは、薄い第1絶縁部分41pに対応する領域に導入される不純物の深さよりも浅くなる。これにより、凸状の第1面F1及び第2面F2(図4(d)参照)が安定して得易い。
【0045】
この後、第2導電部材52及び第1導電部材51を形成することで、半導体装置110が得られる。
【0046】
上記の参考例の半導体装置119(図3参照)は、例えば、第1半導体領域11、第2半導体領域12及び第3半導体領域13となる構造体SB1(図4(a)参照)に不純物を導入することで形成される。参考例においては、第1絶縁部材41の厚さが均一な図4(a)の構成において、不純物が導入される。この場合、例えば、イオンインプランテーションの条件、及び/または、熱処理条件などに依存して、導入した不純物の拡散の程度が、第3導電部材53(例えば、ゲート)の高さ(深さ)に応じて変化し易い。これにより、図3に例示した凹状の第1面F1及び第2面F2が生じ易い。このような場合、第3導電部材53(例えば、ゲート)の高さ(深さ)に依存してチャネル長が変化して、しきい値電圧が変動し易い。
【0047】
これに対して、実施形態に係る製造方法の例においては、例えば、厚さが互いに異なる第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む第1絶縁部材41を介して不純物を導入することで、より安定して、凹状の第1面F1及び第2面F2を抑制できる。例えば、凸状の第1面F1及び第2面F2が得易い。または、フラットな第1面F1及び第2面F2が得易い。これにより、例えば、安定したしきい値電圧が得易い。例えば、しきい値電圧が第3導電部材53(例えばゲート)の高さ(深さ)に依存して変化することが抑制できる。
【0048】
上記の製造方法は例であり、実施形態において、他の方法により半導体装置110の構造が得られても良い。例えば、図4(a)に例示した形状の上部絶縁領域41cを介して、ある程度の広がり持つ粒子束で不純物をインプランテーションで導入することで、凹状の第1面F1及び第2面F2が形成されても良い。後述するように、上部絶縁領域41cの上面のX軸方向の端部に突出部が設けられても良い。
【0049】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置110aにおいては、第1絶縁部材41の上部絶縁領域41cは、厚さが互いに異なる第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む。これ以外の半導体装置110aの構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0050】
半導体装置110aにおいて、例えば、第1絶縁部材41の上部絶縁領域41cは、第3半導体領域13の上に設けられる。上部絶縁領域41cは、第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む。第1絶縁部分41pは第1導電部分52aと第2絶縁部分41qとの間にある。第1絶縁部分41pの第1方向(Z軸方向)に沿う第1厚さt1は、第2絶縁部分41qの第1方向に沿う第2厚さt2よりも薄い。
【0051】
このような第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む第1絶縁部材41(上部絶縁領域41c)を介して不純物が導入されることで、不純物が導入された領域の形状をより安定して制御できる。後述するように、上部絶縁領域41cの上面のX軸方向の端部に突出部が設けられても良い。
【0052】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置110bにおいては、第1絶縁部材41の上部絶縁領域41cは、厚さが互いに異なる第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含む。半導体装置110bにおいて、第1面F1及び第2面F2はX-Y平面に実質的に平行である。第1面F1及び第2面F2は、実質的にフラットである。半導体装置110bにおいては、第1面F1及び第2面F2が凹状でないため、寄生抵抗が抑制され、低いオン抵抗が得易くなる。低いオン抵抗Ron・Aが得易い。
【0053】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置110cにおいても、第1絶縁部材41は、第3半導体領域13の上に設けられた上部絶縁領域41cを含む。半導体装置110cにおいては、上部絶縁領域41cの上面41cdは、上部絶縁領域41cの上面41cdの第2方向(X軸方向)の端部に設けられた突出部41cpを含む。半導体装置110cにおけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置110cにおいて、例えば、上記のような形状の上部絶縁領域41cを介して不純物が導入されることで、不純物が導入された領域の形状をより安定して制御できる。例えば、第1面F1及び第2面F2が凹状になることが効果的に抑制できる。
【0054】
図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法の一部を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、図4(b)に対応する工程において、上部絶縁領域41cの上面41cdは、上部絶縁領域41cの上面41cdの第2方向(X軸方向)の端部に設けられた突出部41cpを含む。このような上部絶縁領域41cを介して、図4(c)及び図4(d)に関して説明したように、不純物を導入することで、例えば、半導体装置110cが得られる。これは、不純物の導入において、例えば、不純物の粒子束は、ある程度の広がり持つことによる。
【0055】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係る半導体装置110dにおいては、第1接触部分FC1は、第3導電部材53の下端部53aよりも上である。例えば、第2距離d2(図2参照)は、距離d6(図2参照)よりも長い。半導体装置110dにおけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置110dにおいても、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0056】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図10に示すように、実施形態に係る半導体装置110eにおいては、第1接触部分FC1は、第3導電部材53の下端部53aよりも下にある。例えば、第2距離d2(図2参照)は、距離d6(図2参照)よりも短い。半導体装置110eにおけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置110eにおいても、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0057】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図11に示すように、実施形態に係る半導体装置110fにおいては、2つの第1導電部分52aの間に設けられる第3導電部材53の数が1つである。半導体装置110fにおけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置110fにおいても、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0058】
図12図14は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図12図14に示すように、実施形態に係る半導体装置120、120a及び120bにおいては、第4導電部材54は、第3導電部材53と電気的に接続されている。または、第4導電部材54は、第3導電部材53と電気的に接続されることが可能である。
【0059】
例えば、第4導電部材54は、接続部材54Lにより、第3導電部材53と電気的に接続される。例えば、第4導電部材54と電気的に接続された端子54Tが設けられる。第3導電部材53と電気的に接続された端子53Tが設けられる。第3導電部材53と端子53Tとは、例えば、接続部材53Cにより接続される。端子54Tと端子53Tとが、接続部材54Lにより電気的に接続されても良い。端子54Tが設けられる場合、接続部材54Lは、半導体装置120、120a及び120bに含まれなくても良い。第4導電部材54が設けられることにより、電界の集中が抑制できる。例えば、高い耐圧が得られる。実施形態において、図12図14に例示した断面で、第4導電部材54が第3導電部材53と電気的に接続されても良い。
【0060】
上記を除く半導体装置120、120a及び120bの構成は、半導体装置110、110a~110fの構成と同様でよい。半導体装置120、120a及び120bによれば、特性の向上が可能な半導体装置が提供できる。
【0061】
実施形態において、半導体部材10は、例えば、シリコンを含む。
【0062】
第1半導体領域11における第1導電形の不純物濃度(または第1導電形のキャリア濃度)は、例えば、1×1015cm-3以上5×1016cm-3以下である。
【0063】
第2半導体領域12における第2導電形の不純物濃度(または第2導電形のキャリア濃度)は、例えば、1×1017cm-3以上5×1017cm-3以下である。
【0064】
第3半導体領域13における第1導電形の不純物濃度(または第1導電形のキャリア濃度)は、例えば、1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0065】
第4半導体領域14における第2導電形の不純物濃度(または第2導電形のキャリア濃度)は、例えば、1×1019cm-3以上8×1020cm-3である。
【0066】
第5半導体領域15における第1導電形の不純物濃度(または第1導電形のキャリア濃度)は、例えば、1×1019cm-3以上1×1020cm-3以下である。
【0067】
第1導電部材51は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、錫、金及び銀よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2導電部材52の第1導電部分52aは、例えば、アルミニウム、銅、チタン、タングステン及びシリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2導電部材52の第2導電部分52bは、例えば、アルミニウム、銅、タングステン及びシリコンよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3導電部材53及び第4導電部材54は、例えば、ポリシリコンを含む。このポリシリコンは、不純物を含んでも良い。1つの例において、第1絶縁部材41は、シリコンと酸素とを含む。1つの例において、第2絶縁部材42は、例えば、シリコンと酸素とを含む。第2絶縁部材42は、窒素を含んでも良い。
【0068】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャート図である。
図15に示すように、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1導電形の第1半導体領域11Fを含む半導体部材10と、第1絶縁部材41と、2つの導電部材(第3導電部材53)と、を含む構造体SB1(図4(b)参照)を準備すること(ステップS110)を含む。図8に関して説明したように、例えば、上部絶縁領域41cの上面41cdは、上部絶縁領域41cの上面41cdの第2方向(X軸方向)の端部に設けられた突出部41cpを含む。例えば、図4(b)に関して説明したように、第1絶縁部材41の上部絶縁領域41cは、第1絶縁部分41p及び第2絶縁部分41qを含んでも良い。第1絶縁部分41pは、第1半導体領域11Fの一部11dの第2方向(軸方向)における中央部の上にある。第2絶縁部分41qは、第1半導体領域11Fの一部11dの第2方向(X軸方向)における端部11deの上にある。第1絶縁部分41pの第1方向(Z軸方向)に沿う第1厚さt1は、第2絶縁部分41qの第1方向に沿う第2厚さt2よりも薄い(図4(b)参照)。
【0069】
図15に示すように、製造方法は、上記の第1絶縁部材41を介して、第2導電形の不純物12iを導入すること(ステップS120)を含む。ステップS120において、図4(c)に関して説明した処理が実施される。
【0070】
図15に示すように、製造方法は、上記の第1絶縁部材41を介して、第1導電形の不純物13iを導入すること(ステップS130)を含む。ステップS130において、図4(d)に関して説明した処理が実施される。
【0071】
実施形態に係る製造方法によれば、例えば、凹状の第1面F1及び第2面F2が抑制される。特性の向上が可能な半導体装置の製造方法が提供できる。
【0072】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における不純物の濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域におけるキャリア濃度に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)などにより得られる。
【0073】
実施形態によれば、特性の向上が可能な半導体装置及びその製造方法が提供できる。
【0074】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0075】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる導電部材、半導体部材、半導体領域及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0076】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0077】
本発明の実施の形態として上述した半導体装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0078】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10…半導体部材、 11~15…第1~第5半導体領域、 11F…第1半導体領域、 11a…一部、 11b…他部、 11d…一部、 11de…端部、 12F…第2半導体領域、 12i、13i…不純物、 41、42…第1、第2絶縁部材、 41a、41b…第1、第2絶縁領域、 41c…上部絶縁領域、 41cd…上面、 41cp…突出部、 41f…一部、 41p、41q…第1、第2絶縁部分、 51~54…第1~第4導電部材、 52L、53L、54L…接続部材、 52T、53T、54T…端子、 52a、52b…第1、第2導電部分、 53a…下端部、 53b…上端部、 110、110a~110f、119、120、120a、120b…半導体装置、 F1、F2…第1、第2面、 FC1、FC2…第1、第2接触部分、 FL1、FL2…下端部、 SB1…構造体、 d1~d4…第1~第4距離、 d5、d6…距離、 t1、t2…第1、第2厚さ
図1
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