(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-05
(45)【発行日】2024-01-16
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240109BHJP
E05B 15/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E06B5/16
E05B15/02 D
(21)【出願番号】P 2020186605
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】穴井 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 久夫
(72)【発明者】
【氏名】草開 常徳
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-19065(JP,U)
【文献】特開平11-152946(JP,A)
【文献】特開2014-77276(JP,A)
【文献】特開2020-16040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
E05B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体に開き開閉自在に支持された障子を備え、
障子は、ロック部を有しており、
枠体は、ロック部を受けるロック受を有しており、
ロック受は、樹脂製のロック受本体と、金属製のロック受補強材を有し、
ロック受本体は、ロック部が嵌り込むロック受部を有しており、
ロック受補強材は、ロック部が出入りする開口部を有する見込壁部と固定部を有しており、
ロック受補強材の固定部は、枠体とロック受本体の間に挟持されて、ロック受本体とロック受補強材の固定部が枠体に共締め固定されている建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される樹脂製の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に固定された枠体と、枠体に開き開閉自在に支持された障子を備える建具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたサッシにおいては、ハンドルを回動してロック部材を窓枠の室内側面に係止して、障子の開き止めをしており、ロック部材の先端部分が露出していた。
本発明は、ロック部材による障子の開き止めを良好に行うとともに、開き窓に対して、防火性能を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の建具は、枠体と、枠体に開き開閉自在に支持された障子を備え、障子は、ロック部を有しており、枠体は、ロック部を受けるロック受を有しており、ロック受は、樹脂製のロック受本体と、金属製のロック受補強材を有し、ロック受本体は、ロック部が嵌り込むロック受部を有しており、ロック受補強材は、ロック部が出入りする開口部を有する見込壁部と固定部を有しており、ロック受補強材の固定部は、枠体とロック受本体の間に挟持されて、ロック受本体とロック受補強材の固定部が枠体に共締め固定されている建具である。
【発明の効果】
【0006】
実施形態の建具によれば、ロック部材による障子の開き止めを良好に行うとともに、開き窓に対して、防火性能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(a)(b)は、一実施形態に係る建具の吊元側である右竪枠及び右竪框部分の横断面図である。
【
図4】(a)は、一実施形態に係る建具の戸先側である左竪枠及び左竪框部分の横断面図であり、(b)は、ロック受の分解斜視図であり、(c)はロック受の取付け図である。
【
図5】他の実施形態に係る建具の図であり、(a)は全体の竪断面図であり、(b)は竪枠の上方部分を内周側から見た図である。
【
図7】他の実施形態に係る建具の右竪枠及び右竪框部分の横断面図であり、(a)は、右竪框の横断面図であり、(b)は、右竪枠の横断面図であり、(c)は、障子が閉鎖状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
-開き窓-
一実施形態の建具について、建物開口部の内周に固定される枠体の内周に框材を四周に組んでなる障子を開き自在に支持して形成される開き窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0009】
(全体の構成)
本実施形態の開き窓は、樹脂材料よりなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1の内周に、樹脂材料よりなる上框21、下框22及び左、右竪框23,24を四周に組んで内周にパネル体25を嵌め込んでなる障子2が開き自在に支持されている。
【0010】
(枠体)
枠体1を構成する上枠11は、
図1に示すように、建物開口部の内周面に固定される上枠本体111と、上枠本体111の室外側内周面に取付けられ中空部を有する室外側壁112を有している。
上枠本体111は、略矩形状の中空部111aを有し、中空部111aの室外側に室外側壁112を取り付ける取付部111bを有している。
【0011】
上枠11は、中空部111aの内部にスチール等の金属材料からなる断面矩形中空形状の上枠補強材113が配置されているとともに、上枠11の内周面から室外側壁112の室内側面に沿って見込壁及び室外側見付壁を有する断面略L字状の外れ防止補強材114が配置されている。
【0012】
外れ防止補強材114は、室外側見付壁の室内側面及び見込壁の内周面に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f,fが配置されており、上枠11の室外側壁112の室内側下端には障子2の上框21に当接する気密材s13が設けられている。
なお、上枠11の外周面と建物開口部の内周面の間、及び外れ防止補強材114の外周側面と上枠11の内周面の間に加熱膨張材fを設けてもよく、火災時に発泡して上枠11が溶融した際に生じる隙間を埋めることで防火性能を向上させる。
【0013】
枠体1を構成する下枠12は、
図1に示すように、建物開口部の内周面に固定される下枠本体121と、下枠本体121の室外側内周面に取付けられる中空部を有する室外側壁122を有している。
下枠本体121は、略矩形状の中空部121aを有し、中空部121aの室外側に室外側壁122を取り付ける取付部121bを有している。
【0014】
下枠12は、中空部121aの内部にスチール等の金属材料からなる断面矩形中空形状の下枠補強材123が配置されているとともに、下枠12の内周面から室外側壁122の室内側面に沿って見込壁及び室外側見付壁を有する断面略L字状の外れ防止補強材124が配置されている。
【0015】
外れ防止補強材124は、室外側見付壁の室内側面及び見込壁の内周面に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材f,fが配置されており、下枠12の室外側壁122の室内側上端には障子2の下框22に当接する気密材s23が設けられている。
なお、上枠11と同様に、下枠12の外周面と建物開口部の内周面の間、及び外れ防止補強材124の外周側面と下枠12の内周面の間に加熱膨張材fを設けてもよい。
【0016】
枠体1を構成する左、右竪枠13,14は、
図2に示すように、ほぼ同様の構成を有しているので、ここでは、本実施形態の建具の竪枠について、主に吊元側竪枠である右竪枠14を用いて説明し、戸先側竪枠である左竪枠13については、右竪枠14と異なる部分について説明する。
なお、
図2には、左竪枠13に関して、右竪枠14と同様に主な符号を付与しておく。
【0017】
枠体1を構成する右竪枠14は、
図2に示すように、建物開口部の内周面に固定される右竪枠本体141と、右竪枠本体141の室外側内周面に取付けられ中空部を有する室外側壁142を有している。
右竪枠本体141は、略矩形状の中空部141aを有し、中空部141aの室外側に室外側壁142を取り付ける取付部141bを有している。
【0018】
右竪枠14は、中空部141aの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の竪枠補強材143が外周方向に開口するように配置されているとともに、右竪枠本体141の内周面から室外側壁142の室内側面に沿って見込壁及び室外側見付壁を有する断面略L字状の外れ防止補強材144が配置されており、竪枠補強材143と外れ防止補強材144とともにネジ等の固定手段bによって建物開口部の内周面に固定されている。
【0019】
外れ防止補強材144は、室外側見付壁の室内側面に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材fが配置されている。
なお、右竪枠14の外周面と建物開口部の内周面の間、及び外れ防止補強材144の外周面と右竪枠14の内周面の間に、加熱膨張材fを配置してもよい。
【0020】
右竪枠14は、室外側壁142の室内側の内周端に、障子2の右竪框24の室外側に当接する弾性を有する気密材s41が設けられている。
【0021】
吊元側竪枠である右竪枠14は、
図2,
図3(a)に示すように、高さ方向で複数箇所にヒンジ部材7が配置されており、障子2を開閉自在に支持している。
ヒンジ部材7は、枠側部材71が右竪枠14の内周面に配置され、ビス等の固定手段によって右竪枠本体141の中空部141a内に配置された竪枠補強材143に固定されている。
【0022】
また、右竪枠14は、
図3(b)に示すように、内周面に外れ防止金具5の枠側部材51が固定されている。枠側部材51は、矩形ブロック形状の短尺部材であり、例えば右竪枠14の長手方向(高さ)方向3箇所に設けられ、ビス等の固定手段によって竪枠補強材143に固定されている。なお、外れ防止金具5の枠側部材51は、竪枠補強材143のみに固定されていてもよいが、さらに外れ防止補強材144に固定されていてもよい。
【0023】
戸先側竪枠である左竪枠13は、
図2に示すように、左竪枠本体131の室内側面にロック受8が固定されている。
ロック受8は、樹脂材料からなり、内周に開口するロック受部81aを有している。
【0024】
(障子)
障子2を構成する上框21は、
図1に示すように、複数の中空部211a,211bを有する上框本体部211と、上框本体部211の内周側に形成されるガラス間口部212を有しており、ガラス間口部212にグレイジングチャンネル等を介して単層ガラスからなるパネル体25が保持されている。
【0025】
上框21は、複数の中空部211a,211bのうち外周側(上側)に配置される中空部211aの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の外周側框補強材213が外周側に向かって開口するように配置されており、外周側框補強材213の見付け面の内側に加熱膨張材f,fが配置されている。
【0026】
また、上框21は、複数の中空部211a,211bのうち内周側に配置される中空部211bの内部に複数の内周側補強材(外補強材214,中補強材215及び内補強材216)が配置されているとともに、ガラス間口部212の内部にガラス間口補強材217が配置されている。
【0027】
複数の内周側補強材のうち、上方に位置する外補強材214は、上方に開口して上框21のタッピングホールを囲むように配置され、中間に位置する中補強材215は、室内側に開口するように配置され、下方に位置する内補強材216は、下方に開口して上框21のタッピングホールを囲むように配置されている。
【0028】
上框21に配置された外周側框補強材213、内周側補強材214,215,216及びガラス間口補強材217は、ビス等の固定手段によって連結されており、適宜加熱膨張材fが配置されている。
【0029】
障子2を構成する下框22は、
図1に示すように、上框21と同様の構成をしており、複数の中空部221a,221bを有する下框本体部221と、下框本体部221の内周側に形成されるガラス間口部222を有しており、ガラス間口部222にグレイジングチャンネル等を介して単層ガラスからなるパネル体25が保持されている。
【0030】
下框22は、複数の中空部221a,221bのうち外周側(下側)に配置される中空部221aの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の外周側框補強材223が外周側に向かって開口するように配置されており、外周側框補強材223の見付け面の内側に加熱膨張材f,fが配置されている。
【0031】
また、下框22は、複数の中空部221a,221bのうち内周側に配置される中空部221bの内部に複数の内周側補強材(外補強材224,中補強材225及び内補強材226)が配置されているとともに、ガラス間口部222の内部にガラス間口補強材227が配置されている。
【0032】
複数の内周側補強材のうち、下方に位置する外補強材224は、下方に開口して下框22のタッピングホールを囲むように配置され、中間に位置する中補強材225は、室内側に開口するように配置され、上方に位置する内補強材226は、上方に開口して下框22のタッピングホールを囲むように配置されている。
【0033】
下框22に配置された外周側框補強材223、内周側補強材224,225,226及びガラス間口補強材227は、ビス等の固定手段によって連結されており、適宜加熱膨張材fが配置されている。
【0034】
障子2を構成する左、右竪框23,24は、
図2に示すようにほぼ同様の構成を有しているので、ここでは、本実施形態の開き窓の竪框について、主に右竪框24を用いて説明し、左竪框23については、右竪框24と異なる部分について説明する。
なお、
図2には、左竪框23に関して、右竪框24と同様に主な符号を付与しておく。
【0035】
障子2を構成する右竪框24は、
図2に示すように、中空部を有する右竪框本体部241と、右竪框本体部241の内周側に形成されるガラス間口部242を有しており、ガラス間口部242にグレイジングチャンネル等を介して単層ガラスからなるパネル体25が保持されている。
【0036】
右竪框24は、右竪框本体部241の中空部内にアルミ等の金属材料からなる矩形中空形状の竪框補強材243が配置されており、ガラス間口部242の内部にスチール等の金属材料からなるガラス間口補強材247が配置されている。
右竪框24に配置された竪框補強材243及びガラス間口補強材247は、ビス等の固定手段によって連結されており、適宜加熱膨張材fが配置されている。
【0037】
吊元側框である右竪框24は、
図2,
図3(a)に示すように、障子2を開閉可能に支持するヒンジ部材7の框側部材72が固定されている。
右竪框24は、高さ方向の複数箇所において、外周側面にヒンジ部材7の框側部材72がビス等によって固定されており、障子2は、右竪枠14に固定されたヒンジ部材7のヒンジ軸7aを中心に開閉自在に支持されている。
【0038】
また、右竪框24は、
図3(b)に示すように、外周面に外れ防止金具5の框側部材52が固定されている。框側部材52は、枠側部材51と同様に矩形ブロック形状の短尺部材であり、右竪枠14の内周面に配置された外れ防止金具5の枠側部材51に対応するように配置され、竪框補強材243に固定されている。
【0039】
戸先側框である左竪框23は、
図2に示すように、室内側面にハンドル9が設けられている。
ハンドル9は、樹脂材料からなり、使用者が握るハンドル部91と左竪枠13に設けられたロック受8のロック受部81aに嵌り込むロック部92を有しており、ハンドル9の内部には金属材料からなる芯材93が内蔵されている。
【0040】
ハンドル9は、ハンドル軸93aを中心にして障子2の面内方向で回動可能に取り付けられており、ハンドル9を回動してロック部92を左竪枠13の室内側面に固定されたロック受8のロック受部81aに嵌合することで障子2を閉鎖状態に維持する。
【0041】
以上のように、本実施形態の開き窓は、吊元側の右竪枠14と右竪框24との間に防火性能を備えた外れ防止金具5を配置することで、火災時の熱によって樹脂材料からなる部分が溶融しても外れ防止金具5によって障子2が外れることを抑制することができる。
そして、本実施形態の開き窓は、ロック受8に防火性能をもたせることで、さらに防火性能を向上させている。
以下、防火性能を付与したロック受8について、説明する。
【0042】
本実施形態の開き窓のロック受8は、
図4(b)に示すように、樹脂材料からなるロック受本体81と、金属材料からなるロック受補強材82を有している。
ロック受本体81は、矩形ブロック形状をしており、左竪枠13の室内側面に固定された状態で内周側となる面に凹状のロック受部81aが形成されており、同状態で室内側から室外側に向かって貫通する上下のビス孔81b,81bを有している。
【0043】
ロック受補強材82は、左竪枠13に固定される固定部82bと、ロック受本体81のロック受部81aが形成される面に沿って配置される見込壁部82aを有しており、見込壁部82aにはロック受部81aにあわせて開口部82cが形成されているとともに、固定部82bにロック受本体81のビス孔81b,81bにあわせて複数のビス孔82dが形成されている。
【0044】
そして、ロック受補強材82は、
図4(c)に示すように、左竪枠13の室内側面とロック受本体81との間にロック受補強材82の固定部82bを挟んだ状態で、ロック受本体81とロック受補強材82がビス孔81bから挿通されたビスb,bによって左竪枠13及び竪枠補強材133に共締め固定されている。
【0045】
左竪枠13の室内側面に固定されたロック受8は、ロック受部81aの内周側に金属材料からなるロック受補強材82が配置されており、ロック受補強材82は左竪枠13の中空部131aに配置されている竪枠補強材133に連結されているので、
図4(a)に示す障子2の閉鎖状態で火災が発生して樹脂材料からなるロック受本体81が溶融しても、ハンドル9のロック部92もしくは芯材93がロック受補強材82の開口部82cに嵌合されて、障子2の脱落を抑制することができる。
【0046】
なお、ロック受本体81のロック受部81aは、内周側開口から奥に進むにしたがって狭くなるようにテーパーを設けることで障子2を引き寄せることができる。
また、通常時にハンドル9を回動させてのロック部92をロック受部81a内に挿入するときに、ロック部92がロック受補強材82の開口部82cの縁に当たらないように開口部82cを形成することで、摩擦の増加やハンドル9の傷付きを抑制でき、スムーズな閉鎖操作を行うことができる。
【0047】
-本実施形態の建具の効果-
以上のように、本実施形態の開き窓は、戸先側の左竪枠13に設けたロック受8に金属材料からなるロック受補強材82を設けて(左)竪枠13の中空部内に配置された金属材料からなる竪枠補強材133に固定しているので、火災時の熱によって戸先側の枠材もしくは框材が溶融しても、ロック受補強材82及びハンドル9の芯材93の嵌合によって竪枠と竪框との係合が維持され、障子の外れを抑制することができる。
【0048】
特に、戸先側におけるロック受8による障子2の落下防止と、吊元側における外れ防止金具5による障子2の落下防止を合わせて採用することで、開き戸における障子の落下をさらに抑制することができる。
【0049】
-FIX窓-
他の実施形態の建具について、枠体の内周に框材を四周に組んでなる障子を取り付けて形成されるFIX窓の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0050】
(全体の構成)
本実施形態のFIX窓は、樹脂材料よりなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1の内周に、樹脂材料よりなる上框21、下框22及び左、右竪框23,24を四周に組んで内周にパネル体25を嵌め込んでなる障子2が支持されて形成されている。
【0051】
(枠体)
枠体1を構成する上枠11は、
図5(a)に示すように、建物開口部の内周面に固定される本体部11aと、本体部11aの屋内側から内周方向に延設された中空状の室内側壁11bと、本体部11aの屋外側から内周方向に延設された中空状の室外側壁11cを有しており、本体部11aの内周に、室内側壁11bと室外側壁11cによって保持溝11dが形成されている。
【0052】
上枠11は、保持溝11dの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の上枠補強材113が下方に開口するように配置されており、上枠補強材113とともにネジ等の固定手段bによって建物開口部の内周面に固定されている。
【0053】
上枠補強材113は、見込み面及び見付け面の内側に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材fが配置されている。
なお、上枠11の外周面と建物開口部の内周面との間に、加熱膨張材fを配置してもよい。
【0054】
上枠11は、保持溝11dの入り口両端、すなわち室内側壁11bの室外側の下端と室外側壁11cの室内側の下端に、障子2の上框の挿入を許容しながら障子2の室内外側面に当接して障子2を保持、気密する気密材s11,s12が設けられている。
気密材s11,s12は、弾性を有しており、室内側壁11b及び室外側壁11cの下端から水平に伸びて障子2の室内側面及び室外側面に当接もしくは近接する短い気密片と、室内側壁11b及び室外側壁11cの下端から斜め上方に延びて障子2の室内側面及び室外側面に当接する気密片を備えており、2重の気密構造を構成している。
【0055】
枠体1を構成する下枠12は、
図5(a)に示すように、上枠11と同様の構成をしており、建物開口部の内周面に固定される本体部12aと、本体部12aの屋内側から内周方向に延設された中空状の室内側壁12bと、本体部12aの屋外側から内周方向に延設された中空状の室外側壁12cを有しており、本体部12aの内周に、室内側壁12bと室外側壁12cによって保持溝12dが形成されている。
【0056】
下枠12は、保持溝12dの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の下枠補強材123が上方に開口するように配置されており、下枠補強材123とともにネジ等の固定手段bによって建物開口部の内周面に固定されている。
【0057】
また、下枠12は、見付け(左右)方向両端部の近傍位置にスチール等の金属材料からなる略U字状の下がり防止部材125が下方に開口するように配置されており、室内側の見付壁の下端が下枠補強材123の見込み面に当接されているとともに、室外側の見付壁が下枠補強材123の室外側の見付壁に固定されている。
【0058】
下枠補強材123は、見込み面及び見付け面の内側に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材fが配置されている。
なお、下枠12の外周面と建物開口部の内周面との間に、加熱膨張材fを配置してもよい。
【0059】
下枠12は、保持溝12dの入り口両端、すなわち室内側壁12bの室外側の上端と室外側壁12cの室内側の上端に、障子2の下框の挿入を許容しながら障子2の室内外側面に当接して障子2を保持、気密する気密材s21,s22が設けられている。
なお、気密材s21,s22は、弾性を有しており、室内側壁12b及び室外側壁12cの上端から水平に伸びて障子2の室内側面及び室外側面に当接もしくは近接する短い気密片と、室内側壁12b及び室外側壁12cの上端から斜め下方に延びて障子2の室内側面及び室外側面に当接する気密片を備えており、2重の気密構造を構成している。
【0060】
枠体1を構成する左、右竪枠13,14は、
図6に示すように、ほぼ同様の構成を有しているので、ここでは、本実施形態の建具の竪枠について、主に右竪枠14を用いて説明し、左竪枠13については、右竪枠14と異なる部分について説明する。
なお、
図6には、左竪枠13に関して、右竪枠14と同様に主な符号を付与しておく。
【0061】
枠体1を構成する右竪枠14は、
図6に示すように、建物開口部の内周面に固定される右竪枠本体141と、右竪枠本体141の室外側内周面に取付けられた中空部を有する室外側壁142を有している。
右竪枠本体141は、略矩形状の中空部141aを有し、中空部141aの室外側に室外側壁142を取り付ける取付部141bを有している。
【0062】
右竪枠14は、中空部141aの内部にスチール等の金属材料からなる略U字状の竪枠補強材143が外周方向に開口するように配置されているとともに、右竪枠本体141の内周面から室外側壁142の室内側面に沿って見込壁及び室外側見付壁を有する断面略L字状の外れ防止補強材144が配置されており、竪枠補強材143と外れ防止補強材144とともにネジ等の固定手段bによって建物開口部の内周面に固定されている。
【0063】
外れ防止補強材144は、室外側見付壁の室内側面に火災時の加熱により膨張する加熱膨張材fが配置されている。
右竪枠14の内周面に、外れ防止金具5の枠側部材51が固定されている。枠側部材51は、
図5(b)、
図6に示すように、矩形ブロック形状の短尺部材であり、例えば右竪枠14の長手方向(高さ)方向3箇所に設けられている。
なお、右竪枠14の外周面と建物開口部の内周面の間、及び外れ防止補強材144の外周面と右竪枠14の内周面の間に、加熱膨張材fを配置してもよい。
【0064】
右竪枠14は、室外側壁142の室内側の内周端に、障子2の右竪框24の室外側に当接する弾性を有する気密材s41が設けられている。
【0065】
(障子)
障子2を構成する上框21及び下框22は、
図1、
図5(a)からわかるように、開き窓の実施形態の障子2の上框21及び下框22と同様の構成を有しているので、ここでは説明を省略し、
図5(a)に符号のみを記載する。
【0066】
障子2を構成する左、右竪框23,24は、
図6に示すようにほぼ同様の構成を有しているので、ここでは、本実施形態のFIX窓の竪框について、主に右竪框24を用いて説明し、左竪框23については、右竪框24と異なる部分について説明する。
なお、
図2には、左竪框23に関して、右竪框24と同様に主な符号を付与しておく。
【0067】
障子2を構成する右竪框24は、
図6に示すように、中空部を有する右竪框本体部241と、右竪框本体部241の内周側に形成されるガラス間口部242を有しており、ガラス間口部242にグレイジングチャンネル等を介して単層ガラスからなるパネル体25が保持されている。
【0068】
右竪框24は、右竪框本体部241の中空部内にアルミ等の金属材料からなる矩形中空形状の竪框補強材243が配置されており、ガラス間口部242の内部にスチール等の金属材料からなるガラス間口補強材247が配置されている。
右竪框24に配置された竪框補強材243及びガラス間口補強材247は、ビス等の固定手段bによって連結されており、適宜加熱膨張材fが配置されている。
【0069】
右竪框24の外周面には、外れ防止金具5の框側部材52が固定されている。框側部材52は、枠側部材51と同様に矩形ブロック形状の短尺部材であり、
図5(b),
図6に示すように、右竪枠14の内周面に配置された外れ防止金具5の枠側部材51に対応するように、右竪框24の長手方向(高さ)方向3箇所に設けられている。
【0070】
障子2を枠体1に取り付けるに際しては、障子2の上框21を上枠11の保持溝11dに対して奥まで挿入した後、障子2の下框22を下枠12の保持溝12dに落とし込むことで、ケンドンによって取付けられ、下枠12の保持溝12dに落とし込まれた下框22は下がり防止部材125の上に載置される。
【0071】
ケンドン時、障子2が上枠11の保持溝11dに挿入されて持ち上げられ、その後下枠12の保持溝12dに落とし込まれることで、右竪框24の外周面に配置された外れ防止金具5の框側部材52が右竪枠14に配置された枠側部材51の上方を通って室内側から室外側に移動し、
図5(b)に示すように、枠側部材51の室外側に落し込まれる。
【0072】
右竪枠14の内周面に配置された枠側部材51と、枠側部材51の室外側に落とし込まれた框側部材52が見込み方向に見て重複することで、障子2の室内側への外れを防止している。
なお、枠側部材51と框側部材52は、見込み方向で一部重複していればよいが、框側部材52が枠側部材51よりも上方に位置している方が好ましい。
框側部材52が枠側部材51よりも上方に位置していることによって、火災時に障子が下降しても枠側部材51と框側部材52との重複を維持することができる。
【0073】
枠体1に取り付けられた障子2は、下がり防止部材125の上に載置された状態で上下部分が枠体1の保持溝11d,12dの入り口両端に配置された気密材s11,s12,s21,s22によってガタつきなく保持されるとともに、枠体1との間に隙間が生じないように気密される。
【0074】
以上、本実施形態のFIX窓の構成について説明したが、本実施形態のFIX窓は、竪枠と竪框との間に配置される外れ防止金具5に防火性能を持たせることで、火災時の熱によって樹脂材料からなる部分が溶融しても、外れ防止金具5によって障子2が外れることを抑制している。
以下、防火性能を付与した外れ防止金具5について、説明する。
【0075】
外れ防止金具5の枠側部材51が固定される右竪枠14は、
図7(b)に示すように、右竪枠本体141の中空部141aの内部に竪枠補強材143が配置されているともに、右竪枠本体141の内周面に見込壁144aと室外側見付壁144bを有する断面略L字状の外れ防止補強材144が配置されている。
なお、外れ防止補強材144と右竪枠14との間に加熱膨張材fが配置されていてもよい。
【0076】
そして、外れ防止金具5の枠側部材51は、長方形状の金属板51aを複数積層して形成されており、外れ防止補強材144の内周面に配置され、ビス等の固定手段bによって、外れ防止補強材144及び竪枠補強材143とともに右竪枠14に対して共締め固定されている。
【0077】
一方、外れ防止金具5の框側部材52が固定される右竪框24は、
図7(a)に示すように、右竪框本体部241の中空部内に竪框補強材243が配置されており、ガラス間口部242の内部に配置されたガラス間口補強材247とネジ等の固定手段bによって連結されている。
【0078】
そして、外れ防止金具5の框側部材52は、長方形状の金属板52aを複数積層して形成されており、右竪框24の外周面に配置され、ビス等の固定手段bによって、右竪框24の竪框補強材243と連結固定されている。
なお、本実施形態の外れ防止金具5の枠側部材51及び框側部材52は、長方形状の金属板51a,52aを複数積層して形成されているが、一つのブロックによって形成してもよい。
【0079】
-本実施形態の建具の効果-
以上のように、本実施形態のFIX窓は、外れ防止金具5の枠側部材51及び框側部材52をともに、竪枠に配置された補強材及び竪框に配置された補強材に連結することによって、火災時に熱によって枠材もしくは框材が溶融しても、外れ防止金具5が補強材によって維持され、障子の外れを抑制することができる。
【0080】
特に、
図7(b)(c)に示すように、枠側部材51を(右)竪枠14の内周面に配置される略L字状の外れ防止補強材144の見込壁144aに配置して、外れ防止補強材144と共に竪枠補強材143に連結しているので、外れ防止補強材144の室外側見付壁144bと枠側部材51とによって、框側部材52が固定された右竪框24を挟み込み、室内側及び室外側の両方向への外れを抑制することができる。
さらに、外れ防止補強材144の室外側見付壁144bに加熱膨張材fが配置されているので、火災時には、外れ防止金具5によって維持されている(右)竪枠14と(右)竪框24との間を閉塞し、室内外の連通を防止することができる。
【0081】
また、本実施形態の外れ防止金具5の枠側部材51及び框側部材52を複数の金属板51a,52aを積層して形成することで、積層する金属板の枚数によって外れ防止金具5の厚みを変更することができ、寸法や開放方法等によって生じる障子と枠体との間隔の違いに対応することができる。
【0082】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
13 :左竪枠
131 :左竪枠本体
131a :中空部
133 :竪枠補強材
14 :右竪枠
141 :右竪枠本体
141a :中空部
141b :取付部
142 :室外側壁
143 :竪枠補強材
144 :外れ防止補強材
144a :見込壁
144b :室外側見付壁
2 :障子
23 :左竪框
24 :右竪框
5 :外れ防止金具
51 :枠側部材
52 :框側部材
8 :ロック受
81 :ロック受本体
81a :ロック受部
82 :ロック受補強材
82a :見込壁部
82b :固定部
82c :開口部
92 :ロック部
241 :右竪框本体部
243 :竪框補強材